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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/13 20060101AFI20231129BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20231129BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231129BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B41J29/13
G03G21/16 133
B41J2/01 305
H05K5/03 D
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019232982
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021100806
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 憲吾
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-170354(JP,A)
【文献】特開2019-003515(JP,A)
【文献】特開2005-346033(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0011174(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/13
G03G 21/16
B41J 2/01
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー本体と前記カバー本体の基端部に設けられた回動軸とを有し、シートの搬送経路を区画し前記搬送経路を当該装置外から遮蔽する閉位置と前記閉位置よりも下方の中継位置との間で変位可能で、かつ、前記中継位置と前記中継位置よりも後方で前記搬送経路を当該装置外に開放する開位置との間で前記回動軸を中心に回動可能であり、さらに、前記カバー本体の端部に設けられたカバー係止部と、前記カバー係止部よりも前記基端部側に設けられて前記回動軸を中心とする弧状のリブ係合面を有するリブとを有するカバー、
前記カバーが前記閉位置のときに前記カバー係止部に係合して前記カバーの前記開位置への回動を制限するカバーストッパ部、
前記カバーの回動中に前記リブの前記リブ係合面に上方から接触して前記カバーの前記開位置と前記中継位置との間の回動をガイドする回動ガイド部、および、
前記カバーを前記中継位置から前記閉位置に向けて付勢する付勢部材、を備え、
前記カバーが前記開位置から前記中継位置へ回動する際には前記リブおよび前記回動ガイド部が互いに係合し合って前記付勢部材の付勢力に抗して前記カバーの上方への移動を規制し、かつ、前記カバーが前記中継位置に達したときには前記規制が解除されて前記カバーが前記閉位置に移動して前記カバー係止部と前記カバーストッパ部とが係合する、搬送装置。
【請求項2】
前記リブ係合面は、前記回動軸を中心として一定径の円弧状に形成されている、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記リブは、前記カバーが前記閉位置にあるときに前記回動ガイド部に向かって突出する突起部を前記リブ係合面の後方端側に有する、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記付勢部材は、ばねおよび前記ばねの付勢力を受けて前記回動軸を押圧するリフタを含み、
前記リフタの上面は、前記回動軸を上方かつ前方に押圧する向きに沿って傾斜している、請求項1乃至3の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記リフタは、前記ばねと当接する当接面と、前記ばねを前記当接面と垂直な姿勢に位置付けるばね位置決め部を有する、請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記カバーが前記閉位置から前記中継位置に移動する際に前記カバーストッパ部に対する前記カバー係止部の係合が解除された後に、前記リブと前記回動ガイド部とが互いに係合する、請求項1乃至5の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記回動ガイド部は、その少なくとも一部が平面視において前記付勢部材と重なるように配置されている、請求項1乃至6の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記シートを収容する収容部をさらに備え、
前記リブは、前記リブ係合面に連なると共に、前記カバーが前記閉位置にあるときに前記収容部への干渉を回避すべく勾配が相互に異なる少なくとも2つの面を有する干渉回避部をさらに含む、請求項1乃至7の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記カバーが前記回動軸を介して回動可能に組み付けられる支持部材をさらに備え、
前記カバーは、前記支持部材への組み付けを容易にすべく当該カバーの外側から内側に向かう方向に傾斜した傾斜部を有する、請求項1乃至8の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記支持部材は、前記閉位置と前記中継位置との間における前記カバーの移動をガイドする支持ガイド部を有し、
前記付勢部材は前記支持ガイド部の下部に配置されている、請求項9に記載の搬送装置。
【請求項11】
前記支持部材には、その上部に前記カバーに対して前方に離間して配置された切り欠き部が設けられ、
前記カバーは、当該カバーが前記閉位置にあるときに前記切り欠き部を後方から覆う被覆部を有している、請求項9又は10に記載の搬送装置。
【請求項12】
前記ばねを支持するばね支持部が設けられ、前記ばね支持部と前記支持ガイド部とが前記支持部材により一体成型されている、請求項10に記載の搬送装置。
【請求項13】
前記カバーと共に前記搬送経路を区画すると共に、前記カバーの下方に少なくとも一部が配置された経路形成部材を備え、
前記カバーの、前記搬送経路側の面には、搬送中の前記シートが接触する複数の通紙リブが設けられ、
前記カバーが前記閉位置から前記中継位置へ向けて下降する際に前記カバーに当接して当該カバーの所定量以上の下降を規制する規制部をさらに備え、
前記カバーが前記規制部に当接した状態において、前記通紙リブは前記経路形成部材よりも上方に位置する、請求項1乃至12の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項14】
前記規制部は、前記カバーが前記中継位置から前記開位置へ回動する際に前記通紙リブが前記経路形成部材に対して後方に離間するまで前記カバーの下降を規制すべく弧状に形成されている、請求項13に記載の搬送装置。
【請求項15】
前記規制部は、前記搬送経路外の位置に設けられている、請求項13又は14に記載の搬送装置。
【請求項16】
前記カバーの上部には前記搬送経路の一部を区画するガイドフラップが設けられ、
前記カバーは、当該カバーが前記閉位置にある状態における前記ガイドフラップの少なくとも一部よりも高い位置に位置される上端を備える保護リブを有する、請求項1乃至15の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項17】
前記カバーの上方に前記シートを収容する上部収容部をさらに備え、
前記保護リブの上端は前記上部収容部の下端よりも上方に位置する、請求項16に記載の搬送装置。
【請求項18】
前記カバーの上端には緩衝部材が設けられている、請求項1乃至17の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項19】
前記カバー係止部は、後方に配置され、前記カバーストッパ部に係合する傾斜面又は円弧面を有する、請求項1乃至18の何れか1項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタ等の画像記録装置に用いられる搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットプリンタの背面側には、給紙ローラから給紙されたシートが搬送される搬送経路の一部を構成する背面カバーが設けられている。背面カバーは、ジャム処理時にユーザがシートへアクセスできるように、上記搬送経路を区画する閉位置と当該搬送経路を開放する開位置との間で移動可能に構成されている。
【0003】
上述の通り、背面カバーは、搬送経路を区画しているため、当該搬送経路を搬送されるシートから力を受ける。このとき、シートから受ける力は背面カバーを閉位置から開位置へ付勢する力となる。そのため、シートから受ける力によって開位置へと移動しないように背面カバーを閉位置に保持する必要がある。一方、ジャム処理時には、ユーザが背面カバーを手動で操作して閉位置から開位置へ移動させる構成が一般的であるため、ユーザが大きな力をかけずとも背面カバーを容易に閉位置から開位置へ移動できるよう、高い操作性を確保することも重要である。
【0004】
例えば、特許文献1には、背面カバーのロック機構として、背面カバーに設けられた突起形状の被係合部と、装置本体に設けられて被係合部と係合する棒状の係合部を使用している。このような構成において、背面カバーが閉じられているときは被係合部と係合部が係合することで背面カバーがロックされ、付勢部材によって被係合部が係合方向に付勢されている。一方、背面カバーを開くときはユーザがレバー部材を操作し、被係合部材を付勢部材の付勢力に抗して係合方向と反対に回動させてロック解除を行う。
【0005】
ここで、背面カバーが搬送負荷として用紙から受ける力には、付勢部材の付勢方向と反対、つまりロックを解除する向きの成分が含まれる。そのため、確実にロックするためにはロック荷重である付勢部材の付勢力を大きくする必要がある。しかしながら、付勢力を大きくするとロック解除のときのユーザの操作荷重が大きくなり、操作性が悪くなる。このように、ロック性能と操作性とは、相互にトレードオフの関係にあり、両者を同時に好適なものとする構成が望ましい。そこで、良好なロック性能および良好な操作性を両立させるため、背面カバーを閉位置に付勢する付勢向きを、背面カバーが用紙から受ける力の向きを含まない上向きとする構成が考えられる。こうすることでロック時の付勢力に対する搬送負荷の影響を低減することができ、十分なロック性能を確保しつつロック解除時の操作荷重の増加を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-133708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
背面カバーを閉位置に付勢する付勢向きを、背面カバーが用紙から受ける力の向きを含まない上向きとする構成では、ロックは背面カバー上端に設けられた爪部が装置本体側の係合部に係合することで行われる。背面カバーを閉状態から開状態にする際には、一旦背面カバーを下に押し下げて上記係合を解除し、その状態で背面カバーを開方向へ回動させる。しかしながら、背面カバーが常に上方に付勢されているため、背面カバーを開状態から閉状態に戻すときに爪部が係合部に引っ掛かることで半閉まりになってしまう恐れがある。この場合、確実に背面カバーを閉状態に戻すためには、爪部が係合部を乗り越えるようにユーザが背面カバーを下に押し込みながら戻す必要がある。押し込み量が不足すると半閉まりになってしまうことから操作性に課題が残る。
【0008】
そこで、本発明は、カバーを開状態から閉状態にする際におけるユーザの操作性を良くすると共に半閉まりを抑制することができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の搬送装置は、カバー本体と前記カバー本体の基端部に設けられた回動軸とを有し、シートの搬送経路を区画し前記搬送経路を当該装置外から遮蔽する閉位置と前記閉位置よりも下方の中継位置との間で変位可能で、かつ、前記中継位置と前記中継位置よりも後方で前記搬送経路を当該装置外に開放する開位置との間で前記回動軸を中心に回動可能であり、さらに、前記カバー本体の端部に設けられたカバー係止部と、前記カバー係止部よりも前記基端部側に設けられて前記回動軸を中心とする弧状のリブ係合面を有するリブとを有するカバー、前記カバーが前記閉位置のときに前記カバー係止部に係合して前記カバーの前記開位置への回動を制限するカバーストッパ部、前記カバーの回動中に前記リブの前記リブ係合面に上方から接触して前記カバーの前記開位置と前記中継位置との間の回動をガイドする回動ガイド部、および、前記カバーを前記中継位置から前記閉位置に向けて付勢する付勢部材、を備え、前記カバーが前記開位置から前記中継位置へ回動する際には前記リブおよび前記回動ガイド部が互いに係合し合って前記付勢部材の付勢力に抗して前記カバーの上方への移動を規制し、かつ、前記カバーが前記中継位置に達したときには前記規制が解除されて前記カバーが前記閉位置に移動して前記カバー係止部と前記カバーストッパ部とが係合するものである。
【0010】
本発明に従えば、カバーが付勢部材に付勢されている状態にあっても、その開位置から中継位置への回動が、回動ガイド部に対するリブ係合面の係合によって円滑にガイドされる。また、カバーが中継位置に回動した後には前記係合による規制が解除されると共に付勢部材によってカバーが閉位置に移動する。これにより、カバーを開状態から閉状態にする際におけるユーザの操作性を良くすると共に、カバーの半閉まりを抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カバーを開状態から閉状態にする際におけるユーザの操作性を良くすると共に半閉まりを抑制することができる搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る搬送装置が適用される画像記録装置の斜視図である。
図2図1の画像記録装置の搬送装置の構成を示す模式図である。
図3】カバーおよび支持部材を前方から見た場合の斜視図である。
図4図3の支持部材を斜め上方から見た場合の斜視図である。
図5】支持ガイド部を説明するための図である。
図6】付勢部材のリフタの斜視図である。
図7】開位置から中継位置に向かうカバーの状態を示す画像記録装置の断面図である。
図8】中継位置に達する直前のカバーの状態を示す画像記録装置の断面図である。
図9】中継位置にあるカバーの状態を示す画像記録装置の断面図である。
図10】閉位置にあるカバーの状態を示す画像記録装置の断面図である。
図11】支持部材の切り欠き部とカバーの被覆部との位置関係を示す部分的斜視図である。
図12図11の状態に経路形成部材を配置した状態を示す部分的斜視図である。
図13】保護リブの上端と周辺部材との位置関係を示す画像記録装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る搬送装置について図面を参照して説明する。この搬送装置は例えばインクジェットプリンタ等の画像記録装置に適用される。以下に説明する搬送装置は本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除および変更が可能である。
【0014】
以下では、画像記録装置としてインクジェットプリンタを例に挙げて説明するが、画像記録装置はこれに限られるものではなく、例えばレーザープリンタや感熱式プリンタ等の他のプリンタであってもよい。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の搬送装置1が適用される画像記録装置10は例えば直方体状の筐体2を備える。搬送装置1の構成要素の一部および印刷ユニットは筐体2内に設けられ、他の一部は外部に露出するように設けられている。なお、筐体2上にスキャナユニットが設けられてもよい。
【0016】
図2に示すように、本実施形態の搬送装置1は、シート(被記録媒体)Kを収容する収容部(給紙トレイ)11と、給紙ローラ12と、搬送ローラ13と、排出ローラ14と、排出トレイ15と、収容部11から排出トレイ15に至るまでに形成されて収容部11から後方且つ上方へ湾曲する搬送経路Hと、カバー16とを備える。なお、カバー16は背面カバー又はシュートカバーとも称されることがある。
【0017】
搬送ローラ13は搬送方向においてカバー16よりも下流側に配置されている。収容部11は筐体2内の下部に配置されている。この収容部11に収容されているシートKは給紙ローラ12によりカバー16の内側面を介して搬送ローラ13に向けて搬送される。また、シートKは搬送ローラ13により後述のプラテン20に向けて搬送され、印刷処理が行われた後、排紙ローラ14に向けて搬送される。さらに、シートKは排出ローラ14により排出トレイ15に向けて搬送される。
【0018】
上述の搬送経路Hのうちの搬送ローラ13と排出ローラ14との間の部分の下方にはプラテン20が設けられており、プラテン20の上方にはノズルからインクを吐出する吐出ヘッド22が取り付けられたキャリッジ21が設けられている。キャリッジ21は左右方向(主走査方向Ds)に延在するガイドフレーム21aに移動可能に支持されている。
【0019】
このような構成において、収容部11から給紙されたシートKは給紙ローラ12によりカバー16の内側面を介して搬送ローラ13に向けて搬送される。その後、シートKは搬送ローラ13により吐出ヘッド22の下方まで搬送される。そこで吐出ヘッド22により画像がシートKに印刷された後、印刷済みのシートKは排出ローラ14により排出トレイ15に排出される。このようにして、シートKは収容部11から排出トレイ15に至るまでに形成された搬送経路Hに沿って搬送される。なお、搬送経路Hには、上述の搬送ローラ13の他に、別の搬送ローラが1又は複数設けられてもよい。
【0020】
カバー16は筐体2の背面側(後方側)に設けられている。カバー16は大略板状に形成されている。カバー16は後述のカバー本体25の基端部に配置された一対の回動軸16aを有する。カバー16は、搬送経路Hを区画する閉位置(つまりカバー16が閉状態となる位置)P1の直下の中継位置P2と、中継位置P2よりも後方で搬送経路Hを開放する開位置(つまりカバー16が全開状態となる位置)P3との間で移動可能である。なお、カバー16を閉位置P1から開位置P3に移動させる方法、および当該カバー16を開位置P3から閉位置P1に移動させる方法については後で説明する。
【0021】
図3に示すように、カバー16は主走査方向Dsに延在する。なお、符号Dfは主走査方向Dsに直交する方向である副走査方向である。図3に示すように、カバー16は、主走査方向Dsに延在するカバー本体25と、一対のカバー係止部26と、一対のリブ42(図7)と、操作部27と、ガイドフラップ28と、主走査方向Dsに延在する保護リブ29とを有する。
【0022】
ユーザはカバー16を開位置P3から中継位置P2を介して閉位置P1まで移動させる際には、上記の操作部27を把持することができる。操作部27は、カバー本体25の厚み部分を切り欠くようにして形成された溝部で構成される。この操作部27の幅(主走査方向Dsにおける長さ)は、ユーザの1本の指(例えば人差し指)が十分に収まる程度の長さに設定されている。また、操作部27はカバー本体25において主走査方向Dsの中央に配置されている。これによって、ユーザによる操作部27の操作によって生じる押圧力がカバー本体25の主走査方向Dsの中央から両端に向けて均等に伝達されるため、カバー本体25の押し下げ時に当該カバー本体25をあまり傾かせることなく下降させることができる。
【0023】
一対のカバー係止部26の各々は、カバー本体25の主走査方向Dsの両端に設けられている。各カバー係止部26は、回動軸16aよりも上方に設けられ、カバー本体25の上端よりも上方に突出して凸状に形成されている。各カバー係止部26は、その後方に配置され且つカバー16が中継位置P2から閉位置P1へ向かう際に後述のカバーストッパ部50に係合するC面状の傾斜面26aを有する。また、各カバー係止部26には、これと一体的に下方に形成された側面部41が連結されている。各回動軸16aは、各側面部41に設けられると共に主走査方向Dsにおいてカバー本体25の中央から離れる向きにそれぞれ突出するように配置されている。各側面部41の一部は例えば円弧状に形成されている。なお、図3においては、カバー16の、主走査方向Dsの一方端(紙面手前側の端部)についてはカットして図示しているため、当該一方端のカバー係止部26および側面部41については図示されていない。
【0024】
一対のリブ42の各々は、カバー本体25の主走査方向Dsの両端に設けられている。詳しくは、各リブ42は、図7に示すように、対応の回動軸16aを中心として一定径の円弧状に形成されたリブ係合面42aと、干渉回避部42bと、突起部42cとを備える。リブ係合面42aは、カバー係止部26よりもカバー本体25の基端部側に設けられて回動軸16aを中心とする弧状に形成されている。本実施形態では、リブ係合面42aは円弧状に形成されている。
【0025】
図7乃至図10に示すように、本実施形態の搬送装置1には、カバー16の各回動軸16aを上方に向けて付勢するための付勢部材43が設けられている。この付勢部材43は各回動軸16aに対応して設けられ、対応の回動軸16aの下方に配置されている。カバー16は付勢部材43により回動軸16aを介して上方に向けて付勢される。各付勢部材43は、ばね43aおよび当該ばね43aの付勢力を受けて回動軸16aを押圧するリフタ43bを含む。
【0026】
筐体2内には、カバー16が閉位置P1にあるときに、カバー係止部26に係合して当該カバー16の開位置P3への回動を制限するカバーストッパ部50が設けられている。カバーストッパ部50は、側面視において略V字状に形成されており、カバー16が閉位置P1にある状態におけるカバー係止部26の上端よりも低い高さに位置される下端を有する。カバーストッパ部50の下端は例えばR面状に形成されている。また、カバー16が閉位置P1にあるときに当該カバー16の上方に位置する手差しトレイ60が設けられている。この手差しトレイ60は画像記録装置10の本体に主走査方向Dsに延在する図略の回動軸を中心として、開放位置である給紙位置(図13参照)と閉鎖位置との間で回動可能に構成されている。
【0027】
また、筐体2内には、カバー16の回動中にリブ42のリブ係合面42aに上方から接触してカバー16の開位置P3と中継位置P2との間の回動を案内する一対の回動ガイド部51が設けられている。各回動ガイド部51は側面視において例えばL字状に形成されており、上下方向に延在する壁部とその下端から後方へ延在する最下部とを有する。換言すれば、回動ガイド部51は図7の図示方向に沿って見た場合は逆L字状に形成されている。カバー16が閉位置P1にあるときには、各回動ガイド部51の最下部は各リブ42の突起部42cよりも低い高さに位置される。回動ガイド部51の最下部の前側部分は例えば円弧状に形成されている。また、回動ガイド部51は、その少なくとも一部が平面視において付勢部材43と重なるように配置されている。
【0028】
突起部42cは、円弧状のリブ係合面42aの後方端側に設けられており、カバー16が閉位置P1にあるときに回動ガイド部51の上記壁部に向かって突出している。また、突起部42cは例えば円弧状に形成されている。このような構成により、突起部42cは、カバー16が中継位置P2と閉位置P1との間を移動する際に回動ガイド部51の上記壁部に対して面接触ではなく点接触の状態にすることができる。
【0029】
干渉回避部42bは、リブ係合面42aに連なると共に、カバー16が閉位置P1にあるときに収容部11への干渉を回避すべく勾配が相互に異なる少なくとも2つの面42b1,42b2を有している。図10に示すように、カバー16が閉位置P1にあるとき、面42b2は前後方向に沿って延在し、面42b1は前方に向かって右肩下がりに傾斜している。
【0030】
本実施形態の搬送装置1には図4の支持部材53が備わっている。図4に示すように、支持部材53は、カバー16が回動軸16aを介して回動可能に組み付けられるものであり、カバー16を回動可能に支持する。支持部材53は主走査方向Dsに延在する。カバー16を押し下げる際の案内機能を実現すべく、支持部材53の主走査方向Dsの両側には、カバー16の回動軸16aが回動可能かつ上下動可能に嵌まり込む支持ガイド部54が設けられている。各支持ガイド部54は、対応する回動軸16aを前後方向の壁部で挟持するように形成されている。また、各支持ガイド部54は上下方向に延在している。各支持ガイド部54は、一対のリフタ43bの前後方向の壁部で挟持し、各リフタ43bを上下方向に移動可能にガイドする。このような構成において、カバー16を支持部材53に組み付ける際には、各回動軸16aを上方から各支持ガイド部54に差し込んで押し下げる。これにより、各回動軸16aが各支持ガイド部54の所定位置に位置付けられる。ここで、カバー16のリブ42には、支持部材53への組み付けを容易にし、かつ、リブ42の所定位置への位置付けを容易にすべく、当該カバー16の外側から内側に向かう方向に傾斜した傾斜部52が備わっている。カバー16を支持部材53に組み付ける際には、傾斜部52が支持部材53に当接および摺動することにより、支持部材53へのカバー16の組み付けおよびリブ42の所定位置への位置付けが容易になる。
【0031】
続いて、図5に示すように、上述の支持ガイド部54の下部には上述の付勢部材43が配置される。各回動軸16aを各支持ガイド部54の上方から差し込んで押し下げた際に、各回動軸16aは付勢部材43のリフタ43b上に配置されるようになっている。ばね43aは、支持部材53の下部に設けられた、突起状のばね支持部44に支持されている。このばね支持部44と支持ガイド部54とは支持部材53により一体成型されている。リフタ43bの上面43b1は、回動軸16aを上方かつ前方に押圧する向きに沿って、つまり後方から前方にかけて低くなるように前傾している。また、図6に示すように、リフタ43bは、上面43b1と反対側に位置する当接面43b2を有する。当接面43b2は、ばね43aの上端に当接し、ばね43aからの付勢力を直接受ける。また、リフタ43bは、互いに異なる傾斜角度を有する一対の傾斜面43b3と、各傾斜面43b3と当接面43b2とをそれぞれつなぐ一対の垂直面43b4を備える。一方の傾斜面43b3と他方の傾斜面43b3とは互いに向かい合って配置され、一方の垂直面43b4と他方の垂直面43b4とは互いに向かい合って配置されている。各傾斜面43b3および各垂直面43b4は、ばね43aおよびリフタ43bを支持部材53に組み付ける際にばね43aが当接面43b2に対して垂直な姿勢となるよう、ばね43aの組み付けをガイドすると共にばね43aを位置決めする。これにより、ばね43aがリフタ43bを付勢する付勢力の向きを確実に上下方向に沿った向きとすることができる。なお、各傾斜面43b3および各垂直面43b4は、本発明におけるばね位置決め部の一例である。
【0032】
次いで、本実施形態において、開位置P3にあるカバー16を、中継位置P2を介して閉位置P1まで移動させる方法、すなわち、開放された状態のカバー16を閉める方法について図面を参照しつつ説明する。
【0033】
カバー16が開位置P3にある状態において、回動ガイド部51はリブ42のリブ係合面42aに上方から接触しており、それによりカバー16は、回動のみ許容され、当該カバー16を付勢部材43の付勢力に抗して押し下げる場合を除き、回動ガイド部51の上述の最下部によってその上下動が規制されている。図7に示すように、ユーザは、上述の操作部27を把持した状態で又は当該操作部27に指を置いた状態で、開位置P3にあるカバー16を前方に向けて押す。そうすると、カバー16は、回動ガイド部51がリブ42のリブ係合面42aに上方から接触した状態で回動軸16aを中心として前方に向けて(図7の面視では時計回りで)回動する。
【0034】
続いて、図8に示すように、開位置P3から回動するカバー16が中継位置P2に到達する直前に、回動ガイド部51の最下部前方の円弧部分とリブ42の突起部42cとが係合する。これにより、ユーザによる前方への押圧力がカバー16にかかった状態において、回動ガイド部51の円弧部分と突起部42cとの係合が解除され易く、それ故ユーザが無理にそれ以上押圧せずとも、図9に示すようにカバー16が中継位置P2に到達し易くなっている。つまり、回動ガイド部51の円弧部分と突起部42cとの組合せ構成は、カバー16の中継位置P2への移動を容易にし得る引き込み構成(誘い構成)となっている。
【0035】
そして、カバー16が中継位置P2に到達すると、リブ42の突起部42cおよびリブ係合面42aの上方への移動に対する回動ガイド部51の規制が解除される。これによって、図10に示すように、カバー16は、突起部42cが回動ガイド部51の上述の壁部に摺動しつつ、中継位置P2から閉位置P1に移動(上昇移動)する。この場合、突起部42cは回動ガイド部51の壁部に対して点接触の状態で当該回動ガイド部51上を摺動するので、突起部42cと回動ガイド部51との間の摩擦が低減されてカバー本体25を押し上げ易くなる。カバー16が上昇移動すると、カバー係止部26がカバーストッパ部50に係合する。このようにカバー係止部26がカバーストッパ部50に係合することで、閉位置P1に位置されたカバー16の回動が規制される。以上のような方法で、開位置P3にあるカバー16を、中継位置P2を介して閉位置P1まで移動させることができる。
【0036】
これに対して、閉位置P1にあるカバー16を、中継位置P2を介して開位置P3まで移動させる方法は次の通りであるが、基本的には上述のカバー16の閉鎖方法の逆順である。
【0037】
ユーザはその指を操作部27上に置いた状態又は操作部27を把持した状態で、付勢部材43による上方への付勢力に抗してカバー16を押し下げる。これにより、カバー16を閉位置P1から中継位置P2に移動(下降移動)させることができる。そして、カバー16が閉位置P1から中継位置P2に移動する途中に、カバーストッパ部50に対するカバー係止部26の係合が解除される。この場合、リブ42の突起部42cは、未だ上方への移動が回動ガイド部51により規制されない状態で当該回動ガイド部51に係合する。すなわち、突起部42cは回動ガイド部51に対して点接触の状態で当該回動ガイド部51上を摺動する。これにより、突起部42cと回動ガイド部51との間の摩擦が低減されてカバー本体25を押し下げ易くなる。
【0038】
カバー16を下降させることで当該カバー16が中継位置P2に到達すると、回動ガイド部51の最下部前方の円弧部分とリブ42の突起部42cとが係合する。これにより、回動ガイド部51の円弧部分と突起部42cとの係合が解除され易くなり、それ故リブ係合面42aが回動ガイド部51の最下部に接触して後方にガイドされ易くなる。このように、本実施形態では、まずカバーストッパ部50に対するカバー係止部26の係合が解除された後、リブ係合面42aと回動ガイド部51との係合が開始されるように構成されている。
【0039】
ユーザは、引き続き、操作部27を介してカバー16を後方に向けて回動させる。この場合、リブ42の突起部42cは、上方への移動が回動ガイド部51により規制された状態で当該回動ガイド部51により後方にガイドされる。これにより、カバー16が開位置P3に到達する。以上のような方法で、閉位置P1にあるカバー16を、中継位置P2を介して開位置P3まで移動させることができる。
【0040】
ここで、図3に示すように、カバー16と共に搬送経路Hを区画すると共に、カバー16の下方に少なくとも一部が配置された経路形成部材30,32が設けられている。なお、経路形成部材30,32は別部材としてではなく、一体に形成されてもよい。経路形成部材30は、主走査方向Dsに沿って配置された2つの経路形成部材32の間に配置されている。これらの経路形成部材30,32は支持部材53のうち前方に延在する下部53a上に配置される。経路形成部材30,32は、上述の通り搬送経路Hを形成すべく、後方から前方にかけて右肩下がりに傾斜する。
【0041】
カバー16には複数の通紙リブ16rおよび被当接部16bが設けられている。隣り合う一の通紙リブ16rと他の通紙リブ16rとの間には空隙が存在する。複数の通紙リブ16rは、カバー16の前面側(搬送経路Hの側)に配置されると共に主走査方向Dsに並設され、搬送中のシートKが接触する。このような通紙リブ16rの存在によって、シートKに対する搬送抵抗を低減することができる。また、被当接部16bは略L字状に形成されている。
【0042】
このような通紙リブ16rが、カバー16の下降移動により支持部材53や経路形成部材30,32に干渉しないようにするべく、支持部材53の後部には規制部55が設けられている。
【0043】
規制部55は筐体2の外側に設けられている。すなわち、規制部55は搬送経路H外の位置に設けられている。規制部55は、カバー16が閉位置P1から中継位置P2へ向けて下降する際に、上述の被当接部16bに当接してカバー16の所定量以上の下降を規制する。規制部55は例えば円弧状に形成されている。これにより、カバー16が中継位置P2から開位置P3へ向かう際に、当該カバー16の被当接部16bが円弧状の規制部55の外形に沿って回動する。これにより、通紙リブ16rが支持部材53や経路形成部材30,32に対して後方に離間するまでカバー16の下降が規制される。以上のような規制部55によって、カバー16が閉位置P1から中継位置P2へ向けて下降する際に通紙リブ16rが支持部材53や経路形成部材30,32に接触するのを回避することができる。
【0044】
また、経路形成部材30は、その傾斜面上に突出して搬送方向に並設された複数の突起31を有する。このような構成において、複数のシートKが重なり合って経路形成部材30まで搬送されてきた際に、下側のシートKが突起31に引っ掛かることで上側のシートKから分離される。これによって、複数のシートKが重なり合った状態で経路形成部材30の下流側に搬送されることを防ぐことができる。
【0045】
ここで、上述したようにカバー16は下降移動するので、支持部材53に対する干渉を防ぐ必要がある。そこで、図11および図12に示すように、支持部材53の上下に延在する後壁53bには、その上部にカバー16のカバー本体25に対して前方に離間して配置された切り欠き部53cが設けられている。また、カバー16が閉位置P1にあるときに上記切り欠き部53cから粉塵等が侵入することおよび動作音漏れを防ぐべく、カバー16は、当該カバーが閉位置P1にあるときに切り欠き部53cを後方から覆う被覆部16hを有している。なお、図11および図12はカバー16および支持部材53を主走査方向Dsの任意位置でカットした状態を示す斜視図であり、図11は経路形成部材32の図示を省略した状態を示す。
【0046】
上記したガイドフラップ28は、図13に示すように、カバー16の上部に設けられ、当該カバー16と同様に搬送経路Hの一部を区画する。ガイドフラップ28は、搬送ローラ13の側の部分を曲面状に形成した曲面部28aを有している。なお、符号28bはガイドフラップ28の上端である。シートKはカバー本体25に案内された後、この曲面部28a上を摺動することで搬送ローラ13に向かって搬送される。カバー16は、当該カバー16が閉位置P1にあるときにガイドフラップ28の少なくとも一部よりも高い位置に位置される上端を備える保護リブ29を有する。
【0047】
手差しトレイ60には、当該手差しトレイ60が閉鎖位置にある状態(例えば図10の状態)において当該手差しトレイ60の後部を覆うカバー部60aが設けられている。図13に示すように、手差しトレイ60が回動された状態でかつカバー16が閉位置P1にあるときに、保護リブ29の上端は、カバー部60aの前端60a1(手差しトレイ60が図13のように傾斜した状態でのカバー部60aの前方端部)とカバーストッパ部50との隙間に配置されるようになっている。これにより、カバー部60aの前端60a1とカバーストッパ部50との隙間から粉塵等の異物が侵入することを防ぐことができると共に動作音漏れを抑制することができる。また、保護リブ29の上端は、手差しトレイ60が給紙位置にある状態において当該手差しトレイ60の下端よりも上方に位置する。これにより、保護リブ29と手差しトレイ60との隙間を小さくすることができる。これにより、異物の侵入および動作音漏れを抑制することができる。なお、手差しトレイ60が閉鎖位置にある状態(図10の状態)において、保護リブ29の上端は手差しトレイ60の下端よりも下方に位置するようになっているが、これに限定されるものではなく、この状態においても保護リブ29の上端が手差しトレイ60の下端よりも上方に位置するように構成してもよい。
【0048】
また、カバー16の上端には、例えばスポンジ等である緩衝部材56が設けられている。カバー16が中継位置P2から閉位置P1に上昇移動する際に当該カバー16の上昇移動に伴って緩衝部材56が手差しトレイ60に押し付けられるようになっている。これにより、カバー16の上端と手差しトレイ60との隙間が、上記押し付けにより収縮した状態の緩衝部材56によって塞がれる。これによって、粉塵等の侵入防止の信頼性および動作音漏れ抑制の信頼性をさらに向上することができる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の搬送装置1によれば、カバー16が付勢部材43に付勢されている状態にあっても、当該カバー16の開位置P3から中継位置P2への回動が、回動ガイド部51に対するリブ係合面42aの係合によって円滑にガイドされるようになっている。カバー16が中継位置P2に回動した後には上記係合による規制が解除されると共に付勢部材43によってカバー16が閉位置P1に移動する。これにより、カバー16を開状態から閉状態にする際におけるユーザの操作性を良くすると共に、カバー16の半閉まりを抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態では、リブ係合面42aが回動軸16aを中心として一定径の円弧状に形成されているので、回動ガイド部51に対するリブ係合面42aの摺動が円滑に行われる。これにより、カバー16の回動が円滑に行われる。
【0051】
また、本実施形態では、リブ42が、カバー16が閉位置P1にあるときに回動ガイド部51に向かって突出する突起部42cを有している。このような構成により、ユーザによる前方への押圧力がカバー16にかかった状態において、回動ガイド部51の円弧部分と突起部42cとの係合が解除され易く、それ故ユーザが無理にそれ以上押圧せずとも、カバー16が中継位置P2に到達し易くなる。また、突起部42cが回動ガイド部51に対して点接触の状態で当該回動ガイド部51上を摺動するので、突起部42cと回動ガイド部51との間の摩擦が低減されてカバー本体25を押し上げ易くなる。
【0052】
また、本実施形態では、リフタ43bの上面43b1が、回動軸16aを上方かつ前方に押圧する向きに沿って、つまり後方から前方にかけて右肩下がりに傾斜している。通常、回動軸16aと支持ガイド部54の内壁との間には隙間があるため、回動軸16aの前後方向の位置がガタつき安定することが難しい。このような状態において、回動軸16aが支持ガイド部54の後方寄りにあるとき、カバー16を前方に押圧する力が弱いと回動ガイド部51とリブ係合面42aとの係合が解除されずに半閉まりとなる恐れがある。これに対して、リフタ43bの上面43b1により回動軸16aを前方に寄せるようにすれば、カバー16を開位置P3から中継位置P2に移動させる際に、リブ42の突起部42cが回動ガイド部51を前方に乗り越え易くなり、カバー16が半閉まりとなる可能性を低減することができる。
【0053】
また、本実施形態では、リフタ43bが傾斜面43b3および垂直面43b4を有するので、ばね43aの取り付けミスを防ぐと共に当該ばね43aの位置決めを行い易くなる。
【0054】
また、本実施形態では、リブ42はカバー16が閉位置P1から中継位置P2に移動する際にカバーストッパ部50に対するカバー係止部26の係合が解除された後に、カバー16を中継位置P2から開位置P3に向けて回動させるべく回動ガイド部51に対する係合が開始されるように構成されている。このような構成によって、カバーストッパ部50に対するカバー係止部26の係合を確実に解除した状態でカバー16を回動させることができる。
【0055】
また、本実施形態では、回動ガイド部51がその少なくとも一部が平面視において付勢部材43と重なるように配置されている。このような構成により、回動ガイド部51を、付勢部材43による付勢力をリブ42を介して受ける荷重受け部材として機能させることができる。
【0056】
また、本実施形態では、リブ42は、勾配が相互に異なる少なくとも2つの面42b1,42b2を有する干渉回避部42bを有する。これにより、カバー16が閉位置P1にあるときに当該カバー16の収容部11への干渉を回避することができる。
【0057】
また、本実施形態では、カバー16は、当該カバー16の外側から内側に向かう方向に傾斜した傾斜部52を有する。このような構成により、カバー16の支持部材53への組み付けが容易になる。
【0058】
また、本実施形態では、付勢部材43は支持ガイド部54の下部に配置されている。このような構成により、付勢部材43の付勢力の受け機能、当該付勢部材43の位置決め機能、およびカバー16(回動軸16a)のガイド機能を、支持ガイド部54という一つの構成要素で達成することが可能となる。
【0059】
また、本実施形態では、カバー16は当該カバー16が閉位置P1にあるときに支持部材53の切り欠き部53cを後方から覆う被覆部16hを有している。これにより、カバー16が閉位置P1にあるときに上記切り欠き部53cから粉塵等が侵入することおよび動作音漏れを抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態では、ばね支持部44と支持ガイド部54とが支持部材53により一体成型されている。これにより、ばね43aとリフタ43bとの相互の位置関係の精度を向上することができ、それによってばね43aの付勢力を狙った向き(鉛直上向き)でリフタ43bに伝えることができる。
【0061】
また、本実施形態では、カバー16に当接して当該カバー16の所定量以上の下降を規制する規制部55が設けられている。これにより、カバー16が閉位置P1から中継位置P2へ向けて下降する際に通紙リブ16rが経路形成部材32に接触するのを回避することができる。
【0062】
また、本実施形態では、規制部55が円弧状に形成されていることで、カバー16が中継位置P2から開位置P3へ回動する際に通紙リブ16rが経路形成部材30,32に対して後方に離間するまでカバー16の下降を規制することができる。
【0063】
また、本実施形態では、規制部55が搬送経路H外の位置に設けられていることで、当該規制部55が搬送経路Hに対して干渉要素になるのを回避することができる。
【0064】
また、本実施形態では、カバー16が、当該カバー16が閉位置P1にある状態におけるガイドフラップ28の少なくとも一部よりも高い位置に位置される上端を備える保護リブ29を有することで、カバー部60aの前端60a1とカバーストッパ部50との隙間から粉塵等の異物が侵入することを防ぐことができると共に動作音漏れを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、保護リブ29の上端が、手差しトレイ60が給紙位置にある状態において当該手差しトレイ60の下端よりも上方に位置するので、保護リブ29と手差しトレイ60との隙間を小さくすることができる。これにより、異物の侵入および動作音漏れをより抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態では、カバー16の上端に緩衝部材56が設けられているので、粉塵等の侵入防止の信頼性および動作音漏れ抑制の信頼性をさらに向上することができる。
【0067】
さらに、本実施形態では、カバー係止部26がカバーストッパ部50に係合する傾斜面26aを有している。これによって、カバー16が中継位置P2から閉位置P1へ向けて上昇する際に、カバー16が後方側に若干傾いた状態にある場合でも、傾斜面26aとカバーストッパ部50との係合によって当該カバー16を前方に引き込んでその位置を修正することができる。
【0068】
(変形例)
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば以下の通りである。
【0069】
上記実施形態では、リブ係合面42aの形状を円弧状としたが、これに限定されるものではなく、弧状であってもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、付勢部材43としてばね43aを採用することとしたが、これに限らず、例えばゴム等の弾性体を付勢部材として用いてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、カバー係止部26の、カバーストッパ部50に係合する面を傾斜面(C面)26aとしたが、これに限定されるものではなく、円弧面(R面)としてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、回動ガイド部51の最下部の前側部分を円弧状に形成し、突起部42cを円弧状に形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、双方傾斜面(C面)に形成することを回避すれば、一方を傾斜面(C面)に形成し、他方を円弧状(R面)に形成してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、カバーストッパ部50を略V字状に形成することとしたが、これに限定されるものではなく、例えば逆三角形状等の他の形状に形成してもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、回動ガイド部51をL字状に形成することとしたが、これに限定されるものではなく、リブ係合面42aが前後方向に摺動し得る形状であればよく、例えば側面視で矩形状に形成してもよい。
【0075】
さらに、上記実施形態では、シートKの搬送経路Hとして、収容部11からシートKをカバー16に向けて送り出し、当該カバー16上を移動した後、前方に向けて搬送する経路を採用したが、シートKがカバー16上を移動する経路(つまり、カバー16により搬送経路Hの一部が区画されているもの)が搬送経路Hに含まれていれば、当該搬送経路Hは上記経路に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0076】
1 搬送装置
10 画像記録装置
11 収容部
16 カバー
16a 回動軸
16h 被覆部
16r 通紙リブ
25 カバー本体
26 カバー係止部
26a 傾斜面
28 ガイドフラップ
29 保護リブ
30,32 経路形成部材
42 リブ
42a リブ係合面
42b 干渉回避部
42b1,42b2 面
42c 突起部
43 付勢部材
43a ばね
43b リフタ
43b1 上面
43b2 当接面
43b3 傾斜面(ばね位置決め部)
43b4 垂直面(ばね位置決め部)
44 ばね支持部
50 カバーストッパ部
51 回動ガイド部
52 傾斜部
53 支持部材
53c 切り欠き部
54 支持ガイド部
55 規制部
56 緩衝部材
60 手差しトレイ(上部収容部)
Df 副走査方向
Ds 主走査方向
H 搬送経路
K シート
P1 閉位置
P2 中継位置
P3 開位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13