IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東レ株式会社の特許一覧

特許7392470シート状物の欠点検査用照明およびシート状物の欠点検査装置
<>
  • 特許-シート状物の欠点検査用照明およびシート状物の欠点検査装置 図1
  • 特許-シート状物の欠点検査用照明およびシート状物の欠点検査装置 図2
  • 特許-シート状物の欠点検査用照明およびシート状物の欠点検査装置 図3
  • 特許-シート状物の欠点検査用照明およびシート状物の欠点検査装置 図4
  • 特許-シート状物の欠点検査用照明およびシート状物の欠点検査装置 図5
  • 特許-シート状物の欠点検査用照明およびシート状物の欠点検査装置 図6
  • 特許-シート状物の欠点検査用照明およびシート状物の欠点検査装置 図7
  • 特許-シート状物の欠点検査用照明およびシート状物の欠点検査装置 図8
  • 特許-シート状物の欠点検査用照明およびシート状物の欠点検査装置 図9
  • 特許-シート状物の欠点検査用照明およびシート状物の欠点検査装置 図10
  • 特許-シート状物の欠点検査用照明およびシート状物の欠点検査装置 図11
  • 特許-シート状物の欠点検査用照明およびシート状物の欠点検査装置 図12
  • 特許-シート状物の欠点検査用照明およびシート状物の欠点検査装置 図13
  • 特許-シート状物の欠点検査用照明およびシート状物の欠点検査装置 図14
  • 特許-シート状物の欠点検査用照明およびシート状物の欠点検査装置 図15
  • 特許-シート状物の欠点検査用照明およびシート状物の欠点検査装置 図16
  • 特許-シート状物の欠点検査用照明およびシート状物の欠点検査装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】シート状物の欠点検査用照明およびシート状物の欠点検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20231129BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G01N21/892 A
G01N21/84 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019549594
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(86)【国際出願番号】 JP2019033190
(87)【国際公開番号】W WO2020059426
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2018176918
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉原 洋樹
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特許第6389977(JP,B1)
【文献】米国特許第06490032(US,B1)
【文献】特開2013-253906(JP,A)
【文献】特開2018-124147(JP,A)
【文献】特開2006-98198(JP,A)
【文献】特開平4-270949(JP,A)
【文献】特開2017-125805(JP,A)
【文献】特開2015-68670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物の欠点検査に用いられる照明であって、
シート状物に照明光を照射する、前記シート状物が当該照明に対して移動する第1の方向と前記シート状物の表面上において直交する第2の方向に延びる長尺の光照射手段と、
前記光照射手段から前記シート状物への光路間に位置し、前記第2の方向に平行な方向に、遮光部と開口部とが交互に並んだ第一の遮光手段と、
前記光照射手段から前記シート状物への光路間において、前記第一の遮光手段と前記シート状物との間に位置し、前記第2の方向に平行な方向に、遮光部と開口部とが交互に並んだ第二の遮光手段と、
を有し、
前記第1および第2の方向と直交する第3の方向において前記第二の遮光手段の遮光部と前記光照射手段との間に前記第一の遮光手段の開口部があり、
前記第一の遮光手段の開口部が、前記第二の遮光手段の遮光部よりも、前記第2の方向の長さが短く、
前記第一の遮光手段の遮光部および/または前記第二の遮光手段の遮光部が、前記光照射手段に向いた側に、前記光照射手段の側に凸となる光反射部材を備え、
前記光反射部材は、当該光反射部材に入射した光を、当該光反射部材が備えられている前記遮光部に隣り合う前記開口部を透過させる、
シート状物の欠点検査用照明。
【請求項2】
請求項1に記載のシート状物の欠点検査用照明と、
前記欠点検査用照明から出射され、前記シート状物を透過した光を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段の取得した撮像データに基づいて前記シート状物に発生した欠点を検出する画像処理手段と、
を有するシート状物の欠点検査装置。
【請求項3】
前記光照射手段の長手方向と前記撮像手段の撮像方向とが平行であって、
前記撮像手段が、前記撮像方向の各位置での光軸が互いに平行であり、
前記欠点検査用照明から出射された光が前記シート状物を透過する各位置において、前記シート状物を透過した光の透過方向と前記撮像手段の光軸とのなす角度が、前記撮像手段の開口角度よりも大きい、請求項2に記載のシート状物の欠点検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載のシート状物の欠点検査用照明と、
前記欠点検査用照明から出射され、前記シート状物で反射した光を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段の取得した撮像データに基づいて前記シート状物に発生した欠点を検出する画像処理手段と、
を有するシート状物の欠点検査装置。
【請求項5】
前記光照射手段の長手方向と前記撮像手段の撮像方向とが平行であって、
前記撮像手段が、前記撮像方向の各位置での光軸がお互いに平行であり、
前記欠点検査用照明から照射された光が前記シート状物に反射する各位置において、前記シート状物で正反射した光の反射方向と前記撮像手段の光軸とのなす角度が、前記撮像手段の開口角度よりも大きい、請求項4に記載のシート状物の欠点検査装置。
【請求項6】
前記撮像手段がテレセントリックレンズを備えた、請求項3または5に記載のシート状物の欠点検査装置。
【請求項7】
前記撮像手段が撮像方向の長さと同じ長さの一次元受光手段を備えた、請求項3または5に記載のシート状物の欠点検査装置。
【請求項8】
前記一次元受光手段が密着イメージセンサである、請求項7に記載のシート状物の欠点検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状物の欠点検査用照明、シート状物の欠点検査装置、およびシート状物の欠点検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面が平滑なシート状物に存在するキズ等の欠点の有無を検査することを目的として、シート状物に光を照射し、キズ等の欠点が存在した場合、そのキズによる散乱光を読み取り、シート状物上のキズ等の欠点を検出する検査装置および検査方法がある。このような検査装置においては、シート状物の幅方向に対して平行またはそれに近い方向に、蛍光灯などのライン状光照射手段および撮像手段を配置して欠点による散乱光を受光し検出することが一般的である。
【0003】
そして、得られた散乱光の受光量の強弱(光量値の大小)で欠点(例えばキズ)の強弱を判断し、品質上問題となる強い欠点を有する製品の流出防止や品質管理を行うことが一般的である。
【0004】
上記の方法で透明なシート状物上に存在するキズ等の欠点検査は、シート状物に光を反射させて検査する場合と光を透過させて検査する場合がある。上記の方法で連続的に搬送される透明なシート状物上に存在するキズ等の欠点検出原理を図13図16を用いて以下に説明する。図13図14は、検査対象物に光を反射させて検査する場合の欠点検出原理の説明図、図15図16は、検査対象物に光を透過させて検査する場合の欠点検出原理の説明図である。図13図14内においては、ライン状照射光源12は図の紙面に垂直な方向に延びて配置されており、シート状物5上の欠点100(図14、16参照)も同様に紙面に垂直な方向に延びて存在しているとする。また一般的に、シート状物5の幅方向とライン状照射光源12の長手方向が一致することが多いため図の紙面垂直方向(Y方向)をシート幅方向(光源長手方向)、紙面左右方向(X方向)をシート状物5が連続的に搬送される搬送方向であり、シート長手方向(光源短手方向)、紙面上下方向(Z方向)をシート鉛直方向(撮像手段光軸方向)とする。
【0005】
まず図13および図14に、シート状物5に対して同一面側にライン状照射光源12と撮像手段6を配置し、シート状物5の表面に存在する幅方向(Y方向)に平行な欠点100による反射散乱光を検出することによって欠点を検出する場合を示す。ここで、撮像手段6の光学中心線8は、ライン状照射光源12から出射されシート状物で正反射した光の光軸10(正反射光軸)に対してずらして配置されている。そのためシート状物5の表面に欠点がない場合には、図13のようにシート状物5の表面の法線(ここではZ方向)に対して入射光と線対称な方向にのみ光が反射して、撮像手段6には光は入光しない。しかし、シート状物5の表面に幅方向(Y方向)に平行な欠点100が存在する場合には、図14に示すように幅方向(Y方向)に平行な欠点100によって反射散乱光14が発生する。反射散乱光14のうち、撮像手段6に向かう成分15が撮像手段6に入光して、その欠点を検出することができる。
【0006】
次に図15および図16に、シート状物5を挟んでライン状照射光源12と撮像手段6とを配置し、シート状物5の表面に存在する幅方向(Y方向)に平行な欠点100による透過散乱光を検出することによって欠点を検出する場合を示す。ここで撮像手段6の光学中心線8は、ライン状照射光源12の光軸に対してずれて配置されている。そのためシート状物5の表面に欠点がない場合には、図15のようにシートにおいて光が何ら散乱されることなく直線状に透過するため、撮像手段6には光は入光しない。しかし、シート状物5の表面に幅方向(Y方向)に平行な欠点100が存在する場合には、図16に示すように幅方向(Y方向)に平行な欠点100によって透過散乱光16が発生する。透過散乱光16のうち、撮像手段6に向かう成分17が撮像手段6に入光して、その欠点を検出することができる。
【0007】
しかしながら上記の方法においては、キズの方向に対して垂直な入射面をもつ光を照射した場合は散乱光が強く感度は高いが、キズの方向に対して平行な入射面をもつ光を照射した場合は散乱光が弱く感度が低い。したがって上記の方法で、一般的なライン状照射光源である蛍光灯や平行束の光ファイバライトといった光源を用いた場合、シート幅方向(Y方向)に平行なキズの検出感度は高いが、シート長手方向(X方向)に平行なキズの検出感度は低いという問題があった。
【0008】
そこで、シート長手方向(X方向)に平行なキズを高感度に検出する技術が特許文献1に開示されている。図17は、特許文献1に開示されている実施形態を模式的に示す斜視図である。図17に示すように、特許文献1には光ファイバからなるライン状光照射手段18、撮像手段6などからなる検査装置が開示されている。撮像手段6は、光を検知する固体撮像装置として、ラインCCDカメラ等のモニターカメラで読み取ることが開示されている。光ファイバからなるライン状光照射手段18は、少なくとも2系列の光ファイバ束18aと18bで構成され、各系列は光ファイバ出射端から出射する光の光軸方向が、Z方向に対してそれぞれθ7aおよびθ7bの角度をなすように配置されている。図17において、光ファイバ束18a、18bは、光の出射端が互いに異なる方向に向いている。この検査装置は、シート状物5の長手方向Xに平行な欠点101に対して垂直な入射面をもつ光を照射して検出する技術である。角度θ7a、θ7bは、どの系列ともにX方向に亘って一定であり、このような照明を斜光照明といい、角度θ7a,θ7bをクロスさせた斜光照明はクロス斜光照明という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2008-216148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の検査方法には次のような問題点がある。この問題点を、図17を用いて説明する。長手方向(X方向)に平行な欠点101を検出する場合、特許文献1の検査方法ではある程度の指向性と強度分布を有する透過散乱光16が生じる。この透過散乱光16の分布と強度とは、照射光13の強度、照射光13がX方向においてZ方向の軸となす角度θ7a、θ7b、およびキズの強度、形状、サイズ等に依存するが、キズの位置には依存しないため、長手方向(X方向)に平行な欠点101によって生じる透過散乱光16は、キズの強度が強いものほど強く、キズの強度が弱いものほど弱くなる。一般的に検査機におけるキズの強弱判定は受光量に依るが、上記の場合、キズの強度が弱いものは、十分な受光量が得られず欠点の見逃しが発生してしまう。
【0011】
このような見逃しを避けるために、一般的には照射光13がX方向においてZ方向の軸となす角度θ7aおよびθ7bを、撮像手段6に対して直接入射光が入り込んで検査に支障が出ない程度まで角度を小さくすることが行われる。これにより、キズによって生じる透過散乱光16がキズの強度に対して相対的に強くなり、十分な受光量が得られ欠点検出できるようになる。
【0012】
しかし、特許文献1の検査方法ではライン状光照射手段18から照射する光の角度θ7a、θ7bを制御する機構として、光ファイバを用いている。光ファイバは、一般的にはその材質によって光の開口角度φ(光ファイバ出射端からの光の広がり角度)が決まるため、例えば一般的によく用いられる多成分ガラスファイバの場合、光の開口角度φは70度、安価なプラスチックファイバの場合、光の開口角度φは60度、高価な石英ファイバの場合、光の開口角度φは25度である。またその光出射方向に対しての光強度の分布は、ファイバ端に垂直な中心方向が最も強く、そこから周囲方向に広がる成分は暫時弱くなる。そのため、光ファイバの開口角度が一定の広がりを持ち、かつ周辺角度部分では光強度の低下が避けられないため、キズの強度が弱いものを検出するには限界がある。
【0013】
また、上記の通り光ファイバから出射される光は、光出射方向に対しての光強度の分布が、ファイバ端に垂直な中心方向が最も強く、そこから周囲方向に広がる成分は暫時弱くなる。しかし、周囲方向に広がる成分は弱いとはいえ、光ファイバの光出射端面や側面などから拡散光として漏れ出る一定量の光成分が存在する。そのため、撮像手段6の光軸中心の直下に光ファイバからなるライン状光照射手段18を設置すると、光ファイバから漏れ出る光成分が撮像手段6に直接入射することが避けられない。そのため、漏れ出る光成分が撮像手段6で画像化される際に輝度値が飽和してキズを検出する妨げとならないように、光量を十分に弱く設定するがある。この場合、キズによって生じる透過散乱光16を相対的に強くすることができないため、十分な受光量が得られないことから、キズの強度が弱いものを検出するには限界がある。
【0014】
また、光ファイバからなるライン状光照射手段18を撮像手段6の光軸中心の直下からシート長手方向(X方向)に傾けた状態として設置することで、上記の光ファイバから漏れ出る光成分が撮像手段6に直接入射しないようにし、撮像手段6で画像化される際に輝度値が飽和しないようにして光量を強く設定することもできる。しかし、この構成では光の照射方向は長手方向(X方向)と幅方向(Y方向)の合成方向からとなり、長手方向(X方向)に平行な欠点101に対して垂直な方向からの光を照射できず、長手方向(X方向)に平行な欠点101の検出感度を十分に確保することができない。
【0015】
以上の理由から、シート長手方向(X方向)に平行なキズを高感度に検出することは非常に意義のあるものである。
【0016】
本発明は、上記を鑑みてなされたものであって、シート状物の搬送方向に平行なキズを高感度に検出するシート状物の欠点検査用照明、シート状物の欠点検査装置ならびにシート状物の欠点検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決する本発明のシート状物の欠点検査用照明は、シート状物の欠点検査に用いられる照明であって、
シート状物に照明光を照射する、前記シート状物が当該照明に対して移動する第1の方向と前記シート状物の表面上において直交する第2の方向に延びる長尺の光照射手段と、
前記光照射手段から前記シート状物への光路間に位置し、前記第2の方向に平行な方向に、遮光部と開口部とが交互に並んだ第一の遮光手段と、
前記光照射手段から前記シート状物への光路間において、前記第一の遮光手段と前記シート状物との間に位置し、前記第2の方向に平行な方向に、遮光部と開口部とが交互に並んだ第二の遮光手段と、
を有し、
前記第1および第2の方向と直交する第3の方向において前記第二の遮光手段の遮光部と前記光照射手段との間に前記第一の遮光手段の開口部があり、
前記第一の遮光手段の開口部が、前記第二の遮光手段の遮光部よりも、前記第2の方向の長さが短い。
【0018】
本発明のシート状物の欠点検査用照明は、上記第一の遮光手段の遮光部および/または上記第二の遮光手段の遮光部が、上記光照射手段に向いた側に、上記光照射手段の側に凸となる光反射部材を備えることが好ましい。
【0019】
上記課題を解決する本発明のシート状物の欠点検査装置は、
本発明のシート状物の欠点検査用照明と、
上記欠点検査用照明から出射され、上記シート状物を透過した光を撮像する撮像手段と、
上記撮像手段の取得した撮像データに基づいて上記シート状物に発生した欠点を検出する画像処理手段と、を有する。
【0020】
本発明のシート状物の欠点検査装置は、上記光照射手段の長手方向と上記撮像手段の撮像方向とが平行であって、
上記撮像手段が、上記撮像方向の各位置での光軸がお互いに平行であり、
上記欠点検査用照明から照射された光が上記シート状物を透過する各位置において、上記シート状物を透過した光の透過方向と上記撮像手段の光軸とのなす角度が、上記撮像手段の開口角度よりも大きいことが好ましい。
【0021】
上記課題を解決する本発明のシート状物の欠点検査装置は、
本発明のシート状物の欠点検査用照明と、
上記欠点検査用照明から出射され、上記シート状物で反射した光を撮像する撮像手段と、
上記撮像手段の取得した撮像データに基づいて上記シート状物に発生した欠点を検出する画像処理手段と、を備える。
【0022】
本発明のシート状物の欠点検査装置は、上記光照射手段の長手方向と上記撮像手段の撮像方向とが平行であって、
上記撮像手段が、上記撮像方向の各位置での光軸がお互いに平行であり、
上記欠点検査用照明から出射された光が上記シート状物に反射する各位置において、上記シート状物で正反射した光の反射方向と上記撮像手段の光軸とのなす角度が、上記撮像手段の開口角度よりも大きいことが好ましい。
【0023】
本発明のシート状物の欠点検査装置は、上記撮像手段がテレセントリックレンズを備えることが好ましい。
【0024】
本発明のシート状物の欠点検査装置は、上記撮像手段が撮像方向の長さと同じ長さの一次元受光手段を備えることが好ましい。
【0025】
本発明のシート状物の欠点検査装置は、上記一次元受光手段が密着イメージセンサであることが好ましい。
【0026】
上記課題を解決する本発明のシート状物の欠点検査方法は、照明手段と撮像手段とを用い、照明手段から出射されてシート状物を透過した光を撮像手段で撮像することで、シート状物の欠点の有無を検査する方法であって、
前記照明手段によって、前記シート状物を透過する各位置において、前記シート状物を透過した光の透過方向と前記撮像手段の光軸とのなす角度が、前記撮像手段の開口角度よりも大きい光を、シート状物が当該照明手段に対して移動する第1の方向と前記シート状物の表面上において直交する第2の方向に沿って出射し、
撮像方向がシート状物の第2の方向に平行であり、前記撮像方向の各位置での光軸が互いに平行である前記撮像手段によって撮像し、
前記撮像手段によって撮像された画像データを用いて、前記シート状物の欠点の有無を判定する。
【0027】
上記課題を解決する本発明のシート状物の欠点検査方法は、照明手段と撮像手段とを用い、照明手段から出射されてシート状物を反射した光を撮像手段で撮像することで、シート状物の欠点の有無を検査する方法であって、
前記照明手段によって、前記シート状物に反射する各位置において、前記シート状物で反射した正反射光の反射方向と前記撮像手段の光軸とのなす角度が、前記撮像手段の開口角度よりも大きい光を、シート状物が当該照明手段に対して移動する第1の方向と前記シート状物の表面上において直交する第2の方向に沿って出射し、
撮像方向がシート状物の第2の方向に平行であり、前記撮像方向の各位置での光軸が互いに平行である前記撮像手段によって撮像し、
前記撮像手段によって撮像された画像データを用いて、前記シート状物の欠点の有無を判定する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、シート状物の搬送方向に平行なキズを検出する際に、高い感度の欠点検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明の実施の形態にかかるシート状物の欠点検査装置の一実施形態の模式図である。
図2図2は、本発明の実施の形態にかかるシート状物の欠点検査用照明の一実施形態の模式図である。
図3図3は、変形例1にかかる撮像手段であって、本発明のシート状物の欠点検査装置の別の一実施形態であって、撮像手段のレンズにテレセントリックレンズを設けた構成の模式図である。
図4図4は、変形例2にかかる撮像手段であって、本発明のシート状物の欠点検査装置の別の一実施形態であって、撮像手段に近接イメージセンサを設けた構成の模式図である。
図5図5は、変形例3にかかる欠点検査照明であって、図2のシート状物の欠点検査用照明において、第一の遮光手段に光反射部材を設けた構成の模式図である。
図6図6は、変形例4にかかる欠点検査照明であって、図2のシート状物の欠点検査用照明において、第二の遮光手段に光反射部材を設けた構成の模式図である。
図7図7は、本発明のシート状物の欠点検査用照明の別の一実施形態(変形例5)であって、第一の遮光手段と第二の遮光手段との間に透明な板状体を設けた構成の模式図である。
図8図8は、本発明のシート状物の欠点検査用照明の一実施形態(変形例6)であって、第一の遮光手段に光反射部材を設けた構成の模式図である。
図9図9は、本発明のシート状物の欠点検査用照明の一実施形態(変形例7)であって、第二の遮光手段に光反射部材を設けた構成の模式図である。
図10図10は、本発明のシート状物の欠点検査装置の別の一実施形態(変形例8)であって、欠点検査用照明と撮像手段とが反射構成で配置された模式図である。
図11図11は、本発明のシート状物の欠点検査装置の別の一実施形態(変形例9)であって、欠点検査用照明と撮像手段とが反射構成で配置された模式図である。
図12図12は、本発明のシート状物の欠点検査装置の別の一実施形態(変形例10)であって、ライン状照射光源を設けた構成の模式図である。
図13図13は、検査対象物に光を反射させて検査する場合の欠点検出原理の説明図である。
図14図14は、検査対象物に光を反射させて検査する場合の欠点検出原理の説明図である。
図15図15は、検査対象物に光を透過させて検査する場合の欠点検出原理の説明図である。
図16図16は、検査対象物に光を透過させて検査する場合の欠点検出原理の説明図である。
図17図17は、特許文献1に開示されている実施形態を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、シートの欠点検査用照明、シートの欠点検査装置、およびシート状物の欠点検査方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0031】
本発明において「シート状物」とは、例えばフィルムなどのシートもしくは板状の物体であるが、これに限られたものではない。ただし、透過光学系で検査する場合は、透明または半透明である必要がある。「欠点」とはシート状物の表面または内部に存在するキズ、異物、汚れ、凹凸などを示している。また、「撮像手段」とは、光を電気信号に変換できるものを指し、例えば受光素子が1次元に配置されたラインセンサカメラが好適に用いられる。ただし、ラインセンサカメラに限らず、2次元に配置されたエリアセンサカメラや光電子増倍管などを用いてもよい。「光軸」とは検査面から撮像手段の光受光素子へ向かう線を指す。
【0032】
(実施の形態)
<シート状物の欠点検査装置>
本発明の実施の形態にかかるシート状物の欠点検査装置について詳細に説明する。なお、本発明のシート状物の欠点検査装置は、本発明のシート状物の欠点検査用照明、撮像手段および画像処理手段を備えていればよく、他の手段をさらに備えているかどうかは特に限定されない。そのため、以下に示される他の手段は例示であり、適宜設計変更され得る。
【0033】
図1を参照して、本実施の形態にかかるシート状物の欠点検査装置について説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかるシート状物の欠点検査装置の一実施形態の模式図である。以下、シート状物5が連続的に搬送される搬送方向であり、シート状物5の長手方向(光源短手方向)をX方向、シート状物の幅方向をY方向、長手方向および幅方向と直交する鉛直方向(撮像手段光軸方向)をZ方向とする。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する。また、シート状物の幅方向は、シート状物の表面上においてシート状物の長手方向(搬送方向)と直交する。図1の(a)は、X方向からみた欠点検査装置の構成を示す平面図である。図1の(b)は、Y方向からみた欠点検査装置の構成を示す平面図である。X方向は第1の方向、Y方向は第2の方向、Z方向は第3の方向に相当する。この欠点検査装置は、本発明のシート状物の欠点検査用照明、欠点検査用照明から出射されシート状物5を透過した光を撮像する撮像手段6、および撮像手段6の取得した撮像データに基づいてシート状物5に発生した欠点を検出する画像処理手段7で構成されている。この欠点検査装置は、欠点検査用照明と撮像手段6とが透過構成で配置された一例である。
【0034】
<シート状物の欠点検査用照明>
続いて、図1および図2を参照して、本実施の形態にかかるシート状物の欠点検査用照明について説明する。図2は、本発明の実施の形態にかかるシート状物の欠点検査用照明の一実施形態の模式図である。光照射手段1は発光部1aから出射される光をシート状物5に照射する。光照射手段1は、その長手方向がシート状物5の幅方向(Y方向)と平行になるよう配置されている。発光部1aは光照射手段1のシート状物を向いた方向の一面に備えられ、拡散光を出射する発光面を有する。光照射手段1は、シート状物5の幅方向(Y方向)に沿って光を出射する。拡散光は完全拡散光であることが好ましいため、発光部1aは蛍光管や拡散板付LED照明などで構成される。発光部1aはLEDや光ファイバなどの多数の点状発光体を一様に並べた構成であってもよい。発光色は特に指定はなく、分光波長特性が平坦な白色光、赤色、緑色、青色などの単色光、紫外光や赤外光などの可視光線以外の波長帯域の光を用いることができ、またはこれらいずれかの波長帯域の光を組み合わせてもよい。
【0035】
発光部1aの直上には、第一の遮光手段2が備えられている。第一の遮光手段2は、遮光部2aと開口部2bとを備えている。遮光部2aと開口部2bとは、交互に幅方向(Y方向)に平行な方向に連続的に配置されている。第一の遮光手段2の遮光部2aは、光照射手段から照射される光を遮光できる材質であればどのような材質で構成されてもよい。例えば帯状の金属板の開口部2bに相当する部分を打ち抜いて製作された、遮光部2aと開口部2bとが連続的に配置された金属板が好適に使用される。遮光性が確保できるのであれば樹脂板を用いてもよい。また、遮光性のない透明性の高い帯状の板を使用して、その板の遮光部2aに相当する部分に遮光性の塗料を塗布したり、遮光性の板を張り合わせたりした構成であってもよい。いずれにしても遮光部2aには遮光性を確保出来る部材が用いられることが重要である。
【0036】
第一の遮光手段2とシート状物5との間には、第二の遮光手段3が備えられている。第二の遮光手段3も、第一の遮光手段2と同じく遮光部3aと開口部3bとを備えており、遮光部3aと開口部3bとは、交互に幅方向(Y方向)に平行な方向に連続的に配置されている。遮光部3aで、光照射手段1から出射される光のうち、第一の遮光手段2の開口部2bを透過した光の一部を遮光する。遮光部3aに遮光性を確保出来る部材が用いられていれば、第二の遮光手段3も第一の遮光手段2と同様な構成でよい。
【0037】
第二の遮光手段3の開口部3bと発光部1aとの間には、第一の遮光手段2の遮光部2aが、垂直方向(Z方向)において、開口部3bの中心位置と揃うように配置される。また、第二の遮光手段3の遮光部3aと発光部1aの間には、第一の遮光手段2の開口部2bが、垂直方向(Z方向)において、遮光部3aの中心位置と揃うように配置されている。さらに、第一の遮光手段2の開口部2bは、第二の遮光手段3の遮光部3aよりも幅方向(Y方向)の長さが短くなっている。このような構成とすることで、光照射手段1からの垂直方向(Z方向)の光出射成分のうち第一の遮光手段2の開口部2bを透過した光は、第二の遮光手段3の遮光部3aで遮光され、シート状物5に照射されない。一方、光照射手段1から出射され、垂直方向から幅方向(Y方向)に傾いて進行する光成分のうち、第一の遮光手段2の開口部2bおよび第二の遮光手段3の開口部3bを透過した光が、シート状物5に照射される。
【0038】
第一の遮光手段2の遮光部2aの幅をA1、第一の遮光手段2の開口部2bの幅をB1、第二の遮光手段3の遮光部3aの幅をA2、第二の遮光手段3の開口部3bの幅をB2、第一の遮光手段2と第二の遮光手段3との距離をH、第一の遮光手段2の厚みをT1、第二の遮光手段3の厚みをT2、とすると、第一の遮光手段2からシート状物5に対して出射され、2つの遮光部2a、3aを透過する光の最小出射角度θ1と最大出射角度θ2とは、それぞれ下記式1、2で求めることができる。なお、出射角度は、光(光の進行方向)と、撮像手段6の光軸方向(Z方向)とがなす角度である。
【0039】
(式1)
θ1=arctan((A2-B1)÷(2×H))
(式2)
θ2=arctan((B2+(A2+B1)÷2)
÷(H+T1+T2))
【0040】
(撮像手段)
撮像手段6は、欠点検査用照明からシート状物5に対して出射された光がシート状物5上の欠点100を介して散乱・屈折・反射した光のうち、撮像手段6の光軸(光学中心線8)方向の成分を受光し、画像データとして出力する。これに対し、シート状物5が欠点100を有しない場合、撮像手段6は、光学中心線8方向の成分の光は受光しない。撮像手段6は1次元受光手段を備えるラインセンサカメラと光学レンズを組み合わせた構成が好適に用いられる。撮像手段6が1次元受光手段を備える場合、撮像手段6による走査方向が、シート状物5の長手方向(搬送方向)と平行となるように撮像手段6が配置される。その他にも、2次元受光手段を備えたエリアセンサカメラと光学レンズを組み合わせた構成を用いてもよい。
【0041】
(画像処理手段)
画像処理手段7は、撮像手段6からの画像データを受け取り、画像データに欠点(欠点100の像)が含まれていれば検出する。画像処理手段7は一般的な欠点検査用画像処理を備えていればよい。例えば、輝度ムラ補正を実施する輝度ムラ補正手段、特定の周波数成分欠点候補のみ画像データから抽出を行う空間フィルタ、欠点候補の輝度明暗により欠点候補の絞り込みを行う2値化手段、面積や長さなどの単数もしくは複数の形状情報の組み合わせによって、欠点か否か、もしくは欠点の程度を判別する判別手段、シート状物5の長手方向Xにおいてある一定の長さ周期で発生する欠点の周期性を判断する周期判定手段などを備えていればよい。画像処理手段7による判別結果は、画像処理手段7が備える出力手段によって報知されるか、または、外部装置に出力される。外部装置に出力された判定結果は、外部装置が備える出力手段によって出力されるか、判定情報として格納される。
【0042】
本実施の形態のシート状物の欠点検査装置は、欠点検査用照明を構成する光照射手段1の長手方向と撮像手段6の撮像方向とが平行で、撮像手段6の撮像方向の各位置での光軸がお互いに平行であることが好ましい。これにより、シート状物5の撮像範囲全域において、撮像手段6の光軸と欠点検査用照明から出射される光(例えば、出射角度θ1~θ2の範囲の光)とのなす角度が、撮像範囲のどの位置においても一定となる。その結果、欠点が撮像範囲のどの位置にあったとしても同じ感度で検出することができる。ここでいう「撮像方向」とは、例えば、一次元受光手段の一部を構成する一次元撮像素子の走査方向、すなわち一次元撮像素子の配置方向をさす。さらに、欠点検査用照明から出射された光がシート状物5を透過または反射する各位置において、シート状物5を透過した光の透過方向またはシート状物5を反射した光の正反射方向と撮像手段6の光軸とのなす角度が、撮像手段6の開口角度よりも大きいことが好ましい。これにより、シート状物5に欠点が存在しないときに、欠点検査用照明から出射された光が撮像手段6に受光されることがないので、検査感度が向上する。ここでいう「撮像手段の開口(開口角度)」とは、撮像手段6に入射して受光可能な光のうち、撮像手段6の光軸に対してなす角度の最大角度をさす。撮像手段6の開口(角度)よりも小さい角度の光は、撮像手段6で受光されるが、開口(角度)よりも大きい角度の光は受光されない。
【0043】
以上説明した実施の形態にかかる欠点検査装置が備える欠点検査用照明は、シート状物に照明光を照射する、シート状物の幅方向が長手方向である長尺の光照射手段1と、光照射手段1からシート状物5への光路間に位置し、光照射手段1の長手方向に平行な方向に、遮光部2aと開口部2bとが交互に並んだ第一の遮光手段2と、光照射手段1からシート状物5への光路間で、第一の遮光手段2とシート状物5との間に位置し、光照射手段1の長手方向に平行な方向に、遮光部3aと開口部3bとが交互に並んだ第二の遮光手段3とを有し、第二の遮光手段3の遮光部3aと光照射手段1との間に第一の遮光手段2の開口部2bがあり、第一の遮光手段2の開口部2bが第二の遮光手段3の遮光部3aよりも、その光照射手段1の長手方向に平行な方向の長さが短い。本実施の形態によれば、撮像手段6の光軸(光学中心線8)方向の成分を遮光して、欠点由来の拡散光を確実に検出できるため、シート状物の長手方向およびこの長手方向と直交する方向に平行なキズをそれぞれ検出する際に、高い感度の欠点検出を行うことが可能となる。
【0044】
なお、長尺のシート状物5が、ロール・トゥ・ロール搬送プロセスにより長手方向Xに対して搬送されてもよく、枚葉状態のシート状物5が、一軸もしくは二軸の直線搬送装置に把持させて搬送されてもよい。また、シート状物5を動かないように固定もしくは一時停止させて、撮像手段6および欠点検査用照明を一軸もしくは二軸の直線搬送装置に把持した状態で搬送して、シート状物5の全面を撮像してもよい。シート状物5、または撮像手段6および欠点検査用照明の搬送に際しては、ロータリーエンコーダやリニアエンコーダを用いて搬送の速度と撮像手段6の撮像タイミングとを同期させてもよい。
【0045】
(変形例1)
撮像手段6は、光学レンズにテレセントリックレンズを備えてもよい。詳細を図3により説明する。図3は、変形例1にかかる撮像手段であって、本発明のシート状物の欠点検査装置の一実施形態であって、撮像手段のレンズにテレセントリックレンズを設けた構成の模式図である。テレセントリックレンズ6aは、一般的な光学レンズと異なり、開口絞りがレンズの焦点位置にあるレンズのことで、主光線がレンズ光軸に対しレンズの物体側(シート状物5側)、像側(撮像手段側)、もしくは両側で平行(画角が0度)となる。そのためテレセントリックレンズ6aの有効視野内では、撮像手段6は光軸が一定の向きとなるため、上記したシート状物の欠点検査用照明から出射された光がシート状物5を透過もしくは反射する各位置において、シート状物5を透過または反射した光の方向と撮像手段6の光軸とのなす角度を、撮像手段6の開口角度よりも大きくすることを容易に実現できる。
【0046】
(変形例2)
また、撮像手段は、シート状物5の幅方向(Y方向)の撮像領域の長さ(撮像方向の長さ)と同じ長さの一次元受光手段を備えてもよい。より具体的には、一次元受光手段には密着イメージセンサを用いてもよい。詳細を図4により説明する。図4は、変形例2にかかる撮像手段であって、撮像手段に近接イメージセンサを設けた構成の模式図である。近接イメージセンサ11は、密着イメージセンサもしくはCIS(Contact Image Sensor)とも呼称されるもので、撮像視野と同じ幅の一次元受光センサアレイ11aと、その前面に設けられ、等倍結像系レンズのロッド状レンズアレイ11bとを備える。一般的な光学レンズとカメラを組み合わせた構成の光学系が、撮像視野とイメージセンサの大小関係により縮小もしくは拡大倍率を有するためその倍率に応じて光学系に画角が生じるのに対して、近接イメージセンサ11は等倍光学系となるため、画角が平行(0度)となる。そのため近接イメージセンサ11の有効視野内では撮像手段6の光軸が概ね一定となる。
【0047】
本変形例2によれば、撮像方向の長さと一次元受光手段の幅とを揃えることで、上記したシート状物の欠点検査用照明から照射された光がシート状物5を透過もしくは反射する各位置において、シート状物5を透過または反射した光の方向と前記撮像手段6の光軸とのなす角度を、撮像手段6の開口角度よりも大きくすることを容易に実現できる。
【0048】
(変形例3)
本発明のシート状物の欠点検査用照明は、図2に図示した以外の構成をさらに備えていてもよい。図5を参照する。図5は、変形例3にかかる欠点検査照明であって、図2のシート状物の欠点検査用照明において、第一の遮光手段2に光反射部材2cを設けた構成の模式図である。第一の遮光手段2の遮光部2aの光照射手段1側に、発光部1aからの光を反射や散乱させることが可能な光反射部材2cが設置されている。光反射部材2cは光照射手段1の側に凸となる形状である。本変形例3によれば、第一の遮光手段2の遮光部2aで遮られてシート状物5まで照射されない光出射成分を、光反射部材2cで反射や散乱させて光路を変えることで、開口部2bおよび開口部3bを透過させてシート状物5に照射できるようになる。このようにして光反射部材2cを経てシート状物5に照射される光は、最小出射角度θ3から最大出射角度θ4までの角度範囲の光となる。光反射部材2cは、幅方向Yを左右方向として、左右同程度の光量および傾きの光を照射することが好ましいので、左右対称な三角形状が好ましいが、必要な出射角度範囲に応じた形状であればよい。
【0049】
(変形例4)
図6を参照する。図6は、変形例4にかかる欠点検査照明であって、図2のシート状物の欠点検査用照明において、第二の遮光手段3に光反射部材3cを設けた構成の模式図である。第二の遮光手段3の遮光部3aの光照射手段1側に、第一の遮光手段2の開口部2bを透過した光を反射や散乱させることが可能な光反射部材3cが設置されている。第一の遮光手段2の開口部2bは透過したが、第二の遮光手段3の遮光部3aで遮られてシート状物5まで照射されない光出射成分を、光反射部材3cで反射や散乱させて光路を変えることで、開口部3bを透過させてシート状物5に照射できるようになる。このようにして光反射部材3cを経てシート状物5に照射される光は、最小出射角度θ5から最大出射角度θ6までの角度範囲の光となる。光反射部材3cも、上記の光反射部材2cと同じく、幅方向Yを左右方向として、左右同程度の光量および傾きの光を照射することが好ましいので、左右対称な三角形状が好ましいが、必要な出射角度範囲に応じた形状であればよい。
【0050】
本変形例3、4によれば、光反射部材2cまたは光反射部材3cを備えることで、実施の形態において光照射手段1から出射され、遮光部2aまたは遮光部2bに遮られてシート状物5へ照射されなかった光出射成分の一部を、シート状物5へ照射させることができるので、光の利用効率が向上する。
【0051】
(変形例5)
図7を参照する。図7は、本発明のシート状物の欠点検査用照明の別の一実施形態(変形例5)であって、第一の遮光手段2と第二の遮光手段3との間に透明な板状体4を設けた構成の模式図である。透明な板状体としてはガラス板や透明樹脂板などが好適に用いられる。本変形例5によれば、第一の遮光手段2と第二の遮光手段3に空気が介在する場合に比べて光の屈折率が高くなるため、その分だけ第一の遮光手段2と第二の遮光手段3との距離H(図2参照)を短くすることができる。
【0052】
(変形例6)
また、図8は、本発明のシート状物の欠点検査用照明の一実施形態(変形例6)であって、第一の遮光手段2と第二の遮光手段3との間に透明な板状体4を設け、さらに第一の遮光手段に光反射部材2cを設けた構成の模式図である。第一の遮光手段2の遮光部2aの光照射手段1側に、発光部1aからの光を反射や散乱させることが可能な光反射部材2cが設置されている。この図8の実施形態での光反射部材2cおよび板状体4の効果、素材、形状は、図5の実施形態での光反射部材2c、図7の実施形態での板状体4と同じである。
【0053】
(変形例7)
また、図9は、本発明のシート状物の欠点検査用照明の一実施形態(変形例7)であって、第一の遮光手段2と第二の遮光手段3との間に透明な板状体4を設け、さらに第二の遮光手段に光反射部材3cを設けた構成の模式図である。第二の遮光手段3の遮光部3aの第一の遮光手段2側に、第一の遮光手段2の開口部2bを透過した光を反射や散乱させることが可能な光反射部材3cが設置されている。この図9の実施形態での光反射部材3cおよび板状体4の効果、素材、形状は、図6の実施形態での光反射部材3c、図7の実施形態での板状体4と同じである。
【0054】
なお、第一の遮光手段2の遮光部2aに光反射部材2cを設ける構成、第二の遮光手段3の遮光部3aに光反射部材3cを設ける構成、および第一の遮光手段2と第二の遮光手段3との間に透明な板状体4を設ける構成は、それぞれ単独でも、複数を組み合わせてもよい。
【0055】
(変形例8)
図10を参照する。図10は、本発明のシート状物の欠点検査装置の別の一実施形態(変形例8)であって、欠点検査用照明と撮像手段6とが反射構成で配置された模式図である。図10の(a)は、X方向からみた欠点検査装置の構成を示す平面図である。図10の(b)は、Y方向からみた欠点検査装置の構成を示す平面図である。図10では、光照射手段1が、X方向と平行に光を出射して、この光の一部が第一の遮光手段2および第二の遮光手段3を通過してビームスプリッタ9に入射する。また、シート状物5からビームスプリッタ9を通過した光が撮像手段6に入射する。ビームスプリッタ9は、X方向から入射した光をZ方向(ここではシート状物5側)に折り曲げるとともに、Z方向から入射した光を通過させる。この欠点検査装置では、欠点検査用照明から出射された光は、撮像手段の光学中心線8上に配置されたビームスプリッタ9に折り曲げられてシート状物5に照射され、シート状物5で反射した光がビームスプリッタ9を通過して撮像手段6により受光される。
【0056】
(変形例9)
図11を参照する。図11は、本発明のシート状物の欠点検査装置のさらに別の一実施形態(変形例9)であって、欠点検査用照明と撮像手段6とが反射構成で配置された模式図である。図11の(a)は、X方向からみた欠点検査装置の構成を示す平面図である。図11の(b)は、Y方向からみた欠点検査装置の構成を示す平面図である。欠点検査用照明は、その光軸が、シート状物5の面に対して垂直方向(Z方向)から傾けられた角度で配置されている。撮像手段6は、欠点検査用照明から出射された光がシート状物5で正反射し、その反射した光を受光する位置に配置されている。
【0057】
(変形例10)
図12を参照する。図12は、本発明のシート状物の欠点検査装置の別の一実施形態(変形例10)であって、本発明のシート状物の欠点検査用照明に加えてライン状照射光源12を設けた構成の模式図である。図12の(a)は、X方向からみた欠点検査装置の構成を示す平面図である。図12の(b)は、Y方向からみた欠点検査装置の構成を示す平面図である。変形例10では、上述した実施の形態の構成に対し、ライン状照射光源12をさらに備える。ライン状照射光源12は、光照射手段1と平行に設置され、フィルム状物の欠点検査用照明がシート状物5に対して照射する位置に光を照射するよう配置してもよい。また、ライン状照射光源12はシート状物5の搬送方向に対して上流側、下流側のどちらに配置してもよいし、両側に配置してもよい。また、ライン状照射光源12は撮像手段6に対してはシート状物5を挟み込んだ光が透過する位置に配置してもよいし、シート状物5に対して照射した光が反射する位置に配置してもよい。ライン状照射光源12を備えることで、例えばシート状物の幅方向Yに長い欠点100の検査感度を併せて有することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、シート状、板状物体上に存在する欠点の検査に限らず、微小凹凸、異物などの欠点検査にも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
【符号の説明】
【0059】
1 光照射手段
1a 発光部
2 第一の遮光手段
2a 遮光部
2b 開口部
2c 光反射部材
3 第二の遮光手段
3a 遮光部
3b 開口部
3c 光反射部材
4 透明な板状体
5 シート状物
6 撮像手段
6a テレセントリックレンズ
7 画像処理手段
8 撮像手段の光学中心線
9 ビームスプリッタ
10 正反射光軸
11 近接イメージセンサ
11a 一次元受光センサアレイ
11b ロッド状レンズアレイ
12 ライン状照射光源
13 照射光
14 反射散乱光
15 反射散乱光のうち撮像手段に向かう成分
16 透過散乱光
17 透過散乱光のうち撮像手段に向かう成分
18 光ファイバからなるライン状光照射手段
18a、18b 光ファイバ束
100 欠点
101 長手方向Yに平行な欠点
θ1 2つの遮光手段を透過する光の最小出射角度
θ2 2つの遮光手段を透過する光の最大出射角度
θ3 第一の遮光手段の遮光部に存在する反射部を介して透過する光の最小出射角度
θ4 第一の遮光手段の遮光部に存在する反射部を介して透過する光の最大出射角度
θ5 第二の遮光手段の遮光部に存在する反射部を介して透過する光の最小出射角度
θ6 第二の遮光手段の遮光部に存在する反射部を介して透過する光の最大出射角度
θ7a、θ7b 光ファイバ束から出射する光の光軸角度
φ 光ファイバから出射する光の開口角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17