(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】超音波デバイス
(51)【国際特許分類】
H04R 17/00 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
H04R17/00 330H
H04R17/00 330J
H04R17/00 330A
(21)【出願番号】P 2020013902
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】細川 祐宏
(72)【発明者】
【氏名】滝 辰哉
(72)【発明者】
【氏名】丸山 俊樹
【審査官】菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-254360(JP,A)
【文献】特開平11-266497(JP,A)
【文献】特開2011-250328(JP,A)
【文献】特開2003-284190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 17/00
B06B 1/06
G10K 9/122,9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の主面を有していると共に一対の電極を有している圧電素子と、
それぞれ対応する前記電極と電気的に接続されている一対の配線部材と、
前記電極と当該電極に対応する前記配線部材とを電気的に接続している少なくとも一つの導電部材と、を備え、
前記導電部材は、前記一対の主面と交差する方向に延在していると共に前記圧電素子から離間した第一部分と、前記第一部分と電気的に接続されていると共に前記電極に物理的に接続されている第二部分とを有しており、
前記配線部材は、前記圧電素子及び前記第二部分から離間して前記第一部分に物理的に接続されて
おり、
前記圧電素子の少なくとも一部及び前記導電部材の少なくとも一部を覆って当該圧電素子の音響インピーダンスを補整する音響整合部材をさらに備え、
前記第一部分は、前記一対の主面の対向方向と交差する方向に突出していると共に前記音響整合部材に当接する当接部を含む、超音波デバイス。
【請求項2】
互いに対向する一対の主面を有していると共に一対の電極を有している圧電素子と、
それぞれ対応する前記電極と電気的に接続されている一対の配線部材と、
前記電極と当該電極に対応する前記配線部材とを電気的に接続している少なくとも一つの導電部材と、を備え、
前記導電部材は、前記一対の主面と交差する方向に延在していると共に前記圧電素子から離間した第一部分と、前記第一部分と電気的に接続されていると共に前記電極に物理的に接続されている第二部分とを有しており、
前記配線部材は、前記圧電素子及び前記第二部分から離間して前記第一部分に物理的に接続されており、
前記一対の主面の縁に沿って延在している枠状の樹脂部材をさらに備え、
前記少なくとも一つの導電部材は、複数の前記導電部材を含み、
前記複数の導電部材は、前記樹脂部材に固定されていると共に前記縁に沿って設けられている、超音波デバイス。
【請求項3】
前記一対の主面の縁に沿って延在している枠状の樹脂部材をさらに備え、
前記少なくとも一つの導電部材は、複数の前記導電部材を含み、
前記複数の導電部材は、前記樹脂部材に固定されていると共に前記縁に沿って設けられている、請求項1に記載の超音波デバイス。
【請求項4】
前記樹脂部材は、一部断絶した枠状を呈していると共に前記一対の主面の対向方向と直交する方向に弾性を有している、請求項2又は3に記載の超音波デバイス。
【請求項5】
前記第一部分及び前記第二部分は、それぞれ板形状を呈する板部を含み、
前記第一部分の前記板部と前記第二部分の前記板部とは、互いに交差する方向に延在し、
前記第一部分の前記板部は、前記配線部材に物理的に接続されており、
前記第二部分の前記板部は、前記電極に物理的に接続されている、請求項
1~4のいずれか一項に記載の超音波デバイス。
【請求項6】
前記第一部分は、前記配線部材を把持する把持部を含む、請求項1
~5のいずれか一項に記載の超音波デバイス。
【請求項7】
前記第一部分は、前記一対の主面の対向方向、又は、前記対向方向から見て前記圧電素子の重心から離れる方向に延在している、請求項1~
6のいずれか一項に記載の超音波デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子を備えた超音波デバイスが知られている(たとえば、特許文献1)。特許文献1に記載の超音波デバイスでは、圧電素子は一対の電極を有している。各電極には、配線部材が電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の超音波デバイスでは、配線部材が圧電素子の電極に物理的に接続されている。この場合、配線部材が物理的に接続されている部分に圧電素子の変位に起因する振動が伝達され、圧電素子の電極から配線部材が剥落するおそれがあった。圧電素子の電極に対する配線部材の強固な接続によって、圧電素子の電極からの配線部材の剥落を抑制することも考えられる。しかし、圧電素子の電極と配線部材とが強固に接続されれば、圧電素子の変位が阻害される。圧電素子の変位が阻害されれば、超音波の発信又は検出に関する品質が低下する。たとえば、圧電素子の変位が阻害されると、超音波デバイスが超音波を発する場合には超音波デバイスから発せられる超音波の音圧が低下し、超音波デバイスが超音波を検出する場合には受けた超音波の検出限界が低下する。
【0005】
本発明の一つの態様は、超音波の発信又は検出に関する品質が確保されていると共に圧電素子の電極からの配線部材の剥落が抑制される超音波デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に係る超音波デバイスは、圧電素子と、一対の配線部材と、少なくとも一つの導電部材とを備える。圧電素子は、互いに対向する一対の主面を有していると共に一対の電極を有している。一対の配線部材は、それぞれ対応する電極と電気的に接続されている。少なくとも一つの導電部材は、電極と当該電極に対応する配線部材とを電気的に接続する。導電部材は、第一部分と第二部分とを有している。第一部分は、一対の主面と交差する方向に延在していると共に圧電素子から離間している。第二部分は、第一部分と電気的に接続されていると共に電極に物理的に接続されている。配線部材は、圧電素子及び第二部分から離間して第一部分に物理的に接続されている。
【0007】
この超音波デバイスにおいて、配線部材は、圧電素子の電極に物理的に接続されておらず、導電部材を介して圧電素子の電極に接続されている。導電部材の第一部分は圧電素子から離間し、導電部材の第二部分は圧電素子の電極に物理的に接続されている。配線部材は、導電部材の第二部分及び圧電素子から離間して導電部材の第一部分に物理的に接続されている。このため、配線部材が物理的に接続されている部分に伝達される振動が抑制され得る。配線部材の物理的な接続構成が圧電素子の変位に与える影響も低減されるため、配線部材が第一部分に強固に接続されたとしても、圧電素子の変位が阻害され難い。したがって、この超音波デバイスでは、超音波の発信又は検出に関する品質が確保されていると共に圧電素子の電極からの配線部材の剥落が抑制され得る。
【0008】
上記一つの態様では、第一部分及び第二部分は、それぞれ板形状を呈する板部を含んでもよい。第一部分の板部と第二部分の板部とは、互いに交差する方向に延在してもよい。第一部分の板部は、配線部材に物理的に接続されていてもよい。第二部分の板部は、電極に接続されていてもよい。この場合、第二部分の板部が圧電素子の電極に物理的に接続されているため、超音波デバイスの製品間における圧電素子の電極と導電部材との接続状態のばらつきがさらに抑制される。
【0009】
上記一つの態様では、第一部分は、配線部材を把持する把持部を含んでもよい。この場合、ハンダ付けなしで配線部材が物理的に接続され得る。このため、圧電素子の変位の阻害がさらに抑制され得る。
【0010】
上記一つの態様では、第一部分は、一対の主面の対向方向、又は、対向方向から見て圧電素子の重心から離れる方向に延在していてもよい。この場合、導電部材の第一部分における振動波の反射が抑制される。
【0011】
上記一つの態様では、超音波デバイスは、圧電素子の少なくとも一部及び導電部材の少なくとも一部を覆って当該圧電素子の音響インピーダンスを補整する音響整合部材をさらに備えてもよい。第一部分は、当接部を含んでもよい。当接部は、一対の主面の対向方向と交差する方向に突出していると共に音響整合部材に当接してもよい。この場合、当接部分によって、圧電素子が音響整合部材に対して位置決めされる。
【0012】
上記一つの態様では、超音波デバイスは、一対の主面の縁に沿って延在している枠状の樹脂部材をさらに備えてもよい。少なくとも一つの導電部材は、複数の導電部材を含んでもよい。複数の導電部材は、樹脂部材に固定されていると共に上記縁に沿って設けられていてもよい。この場合、複数の導電部材が樹脂部材を介して接続されているため、圧電素子からの各導電部材の剥落が抑制されている。
【0013】
上記一つの態様では、樹脂部材は、一部断絶した枠状を呈していると共に一対の主面の対向方向と直交する方向に弾性を有していてもよい。この場合、樹脂部材及び導電部材を介して圧電素子が位置決めされ得る。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一つの態様は、超音波の発信又は検出に関する品質が確保されていると共に圧電素子の電極からの配線部材の剥落が抑制される超音波デバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る超音波デバイスを示す斜視図である。
【
図7】(a)は圧電素子の底面図であり、(b)は圧電素子の側面図であり、(c)は圧電素子の平面図である。
【
図9】本実施形態の変形例に係る超音波デバイスの樹脂部材の斜視図である。
【
図10】超音波デバイスの製造方法のフローチャートである。
【
図11】超音波デバイスの製造工程を示す図である。
【
図12】本実施形態の変形例における導電部材を説明するための図である。
【
図13】本実施形態の変形例における導電部材を説明するための図である。
【
図14】本実施形態の変形例における導電部材を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0017】
図1~
図8を参照して、本実施形態に係る超音波デバイスの構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る超音波デバイスの斜視図である。
図2は、超音波デバイスの分解斜視図である。
図3は、超音波デバイスの断面図である。超音波デバイス1は、音響整合部材2と、フレーム部材3と、圧電素子4と、一対の配線部材5と、少なくとも1つの導電部材6と、樹脂部材7と、充填部材8とを備える。
図4は、超音波デバイス1からフレーム部材3及び充填部材8を除いた状態を示している。
図5は、
図4に示した状態から音響整合部材2をさらに除いた状態を示している。
図6は、
図5に示した状態から樹脂部材7をさらに除いた状態を示している。
図7(a)~
図7(c)は、圧電素子4を示している。
図8は、樹脂部材7を示している。
【0018】
超音波デバイス1は、圧電素子4によって、超音波を発する、又は、受けた超音波を検出する超音波送受装置である。超音波デバイス1が超音波を発する場合には、たとえば、圧電素子4に交流電圧が印加され、当該交流電圧によって圧電素子4が連続的に変位する。圧電素子4の変位に応じて、超音波デバイス1から超音波が発せられる。超音波デバイス1が超音波を検出する場合には、たとえば、受けた超音波に起因する圧電素子4の変位によって圧電素子4に起電力が発生する。起電力の発生によって超音波を受けたか否かが検出され、発生した起電力の大きさによって超音波の音圧又は音圧レベルなどが検出される。
【0019】
音響整合部材2は、圧電素子4を収容している収容空間Sを形成している。音響整合部材2は、少なくとも圧電素子4の一部及び導電部材6の少なくとも一部を覆って当該圧電素子4の音響インピーダンスを補整する。音響整合部材2は、その形状、構造、及び材料によって、圧電素子4の音響インピーダンスと、空気やガス等の媒質の音響インピーダンスとの整合を図る。音響整合部材2は、たとえば、エポキシ樹脂で形成されている。音響整合部材2は、たとえば、エポキシ樹脂にガラスビーズを混入した複合材料の発泡成形によって形成されている。音響整合部材2は、有底筒状を呈している。音響整合部材2は、底部22と、側部23と、を有している。底部22及び側部23は、一体に形成されている。
【0020】
底部22は、円板形状を呈している。底部22は、圧電素子4の変位に応じて超音波を発する、又は、外部からの超音波を受けて圧電素子4に振動を伝達する部分である。底部22は、互いに対向している第一主面22a及び第二主面22bを有している。第一主面22a及び第二主面22bは、第一主面22aと第二主面22bとの対向方向から見て、たとえば、円形状を呈している。第一主面22aは、音響整合部材2の収容空間Sを形成している。第二主面22bは、超音波デバイス1における超音波の発信面及び受信面を構成している。底部22には、テーパー部22cが設けられている。テーパー部22cは、第一主面22a側から第二主面22b側に向かって先細りになっている。底部22の厚さは、たとえば、2.3mm~2.6mmである。底部22の厚さは、第一主面22aと第二主面22bとの間の最短距離である。
【0021】
側部23は、有底円筒形状を呈している。側部23は、底部22の第一主面22aから、第一主面22aと第二主面22bとの対向方向に沿って延在している。側部23の内面23aは、底部22の第一主面22aと共に収容空間Sを形成している。
【0022】
フレーム部材3は、音響整合部材2に取り付けられている。フレーム部材3は、たとえば、ゴムで形成されている。フレーム部材3は、音響整合部材2と共に収容空間Sを形成している。フレーム部材3は、本体部31と、フランジ部32と、を有している。本体部31及びフランジ部32は、一体に形成されている。
【0023】
本体部31は、略円筒形状を呈している。本体部31は、音響整合部材2の側部23に取り付けられている。本体部31は、側部23の上部の外周面を取り囲むと共に、側部23の上部に配置されている。本体部31は、収容空間Sに連通する開口部Kを形成している。本体部31の内径は、音響整合部材2の側部23の内径よりも小さい。フランジ部32は、本体部31の上端部に設けられている。フランジ部32は、円枠状を呈している。フランジ部32は、本体部31の外周面から径方向の外側に張り出している。
【0024】
図7(a)、
図7(b)及び
図7(c)に示されるように、圧電素子4は、圧電素体40と、一対の電極41,42と、を有している。圧電素体40は、円板形状を呈している。圧電素体40は、互いに対向している一対の主面40a,40bと、主面40aと主面40bとを連結している側面40cと、を有している。主面40a,40bは、円形状を呈している。
【0025】
圧電素体40は、複数の圧電体層(不図示)が積層されて構成されている。各圧電体層は、圧電材料からなる。本実施形態では、各圧電体層は、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料には、たとえば、PZT[Pb(Zr、Ti)O3]、PT(PbTiO3)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O3]、又はチタン酸バリウム(BaTiO3)が用いられる。各圧電体層は、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の圧電素体40では、各圧電体層は、各圧電体層の間の境界が認識できない程度に一体化されている。圧電素体40内には、複数の内部電極(不図示)が配置されている。各内部電極は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg-Pd合金が用いられる。
【0026】
電極41は、主面40a、主面40b、及び側面40cに配置されている。電極41は、主面40a、側面40c及び主面40bにわたって配置されている。電極41のうち主面40aに配置されている部分は、略円形状を呈している。電極42は、主面40bに配置されている。電極42は、円形が一部切り欠かれた形状を呈している。
【0027】
電極41と電極42とは、互いに離間している。主面40a,40bの対向方向から見て、電極41のうち主面40bに配置されている部分の面積は、電極42のうち主面40bに配置されている部分の面積よりも小さい。電極41及び電極42は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg-Pd合金が用いられる。電極41及び電極42は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
【0028】
圧電素子4は、音響整合部材2の底部22に配置されている。圧電素子4は、圧電素体40の主面40aが底部22の第一主面22aと対向するように配置されている。すなわち、圧電素子4は、電極41が第一主面22aと対向するように配置されている。本実施形態では、圧電素子4の主面40aが底部22の第一主面22aに直接接している。
【0029】
一対の配線部材5は、それぞれ対応する圧電素子4の電極41,42に電気的に間接的に接続されている。一対の配線部材5のそれぞれは、リード線51,52を含む。リード線51,52は、音響整合部材2及びフレーム部材3によって形成される収容空間Sからフレーム部材3の開口部Kを介して収容空間Sの外部に延在している。リード線51は、電極41に電気的に間接的に接続されている。リード線52は、電極42に電気的に間接的に接続されている。
【0030】
導電部材6は、圧電素子4に接合されている。本実施形態では、導電部材6は、2つの導電部材61,62を含む。導電部材61,62は、圧電素子4の主面40bに主面40bの縁に沿って設けられている。導電部材61及び導電部材62の各々は、第一部分63及び第二部分64を有している。第一部分63及び第二部分64は、互いに電気的に接続されている。本実施形態では、第一部分63及び第二部分64は、一体的に接続されている。導電部材61,62の材料は、たとえば、金属である。導電部材61,62を構成する金属は、たとえば、リン青銅、無酸素銅、又は銅合金などである。
【0031】
第一部分63は、配線部材5に物理的に接続され、圧電素子4から離間している。第一部分63は、主面40a,40bと交差する方向に延在している。第一部分63は、主面40a,40bの対向方向、又は、当該対向方向から見て圧電素子4の重心から離れる方向に延在している。本実施形態では、第一部分63は、主面40a,40bの対向方向に延在している。
【0032】
配線部材5は、圧電素子4及び第二部分64から離間して第一部分63に物理的に接続されている。本実施形態では、導電部材61の第一部分63がリード線51の導線部分に物理的に接続されており、導電部材62の第一部分63がリード線52の導線部分に物理的に接続されている。導電部材61の第二部分64は電極41に物理的に接続されており、導電部材62の第二部分64は電極42に物理的に接続されている。本明細書において、「物理的に接続されている」とは、直接的に当接している場合に加えてハンダ又は導電性樹脂などの導電性接着材料を介して接続されている場合を含むが、導電性接着材料以外の他の部材を介する場合を含まない。
【0033】
第一部分63及び第二部分64は、それぞれ板形状を呈する板部65,66を含む。第一部分63は板部65を含み、第二部分64は板部66を含む。板部65と板部66とは、互いに交差する方向に延在している。板部65は、電極41,42から離れる方向に延在している。本実施形態において、板部65と板部66とは、互いに直交する方向に延在している。換言すれば、本実施形態において、導電部材61,62は、L字形状を呈している。板部65は、主面40a,40bの対向方向に延在している。板部66は、主面40bに沿って延在している。第二部分64の板部66は、平面視で矩形状である。主面40a,40bの対向方向から見て、板部66の面積は、電極41のうち主面40bに配置された部分の面積よりも小さい。導電部材61の板部66は電極41にハンダによって物理的に接続されており、導電部材62の板部66は電極42にハンダによって物理的に接続されている。
【0034】
第一部分63は、板部65に接続された把持部67と、係合部68と、チェック端子部69と、当接部70とをさらに含む。把持部67、係合部68、チェック端子部69、及び、当接部70は、板部65に対して一体に接続されており、板部65に対して折れ曲がっている。換言すれば、把持部67、係合部68、チェック端子部69、及び、当接部70は、板部65から突出している。
【0035】
把持部67は、配線部材5を把持する。導電部材61の把持部67はリード線51の先端部分を把持し、導電部材62の把持部67はリード線52の先端部分を把持する。本実施形態では、把持部67は、カシメ加工によって、配線部材5を把持する。把持部67は、複数のピン部分を含み、各ピン部分が折れ曲がることで配線部材5を把持する。配線部材5のリード線51の導線部分は、把持部67によって導電部材61の板部65に物理的に接続される。配線部材5のリード線52の導線部分は、把持部67によって導電部材62の板部65に接続されている。本実施形態では、把持部67は、少なくとも一つのピン部分によって配線部材5の導線部分を把持し、当該導線部分が少なくとも一つのピン部分にも接続されている。
【0036】
係合部68は、一対のピン部分を含み樹脂部材7に係合している。樹脂部材7と係合部68との係合によって、導電部材61,62は樹脂部材7に固定されている。本明細書において、「固定」とは、ガタを有するように係合されている状態を含む。
【0037】
チェック端子部69は、配線部材5の通電をチェックするための端子である。導電部材61,62が圧電素子4に配置された後にチェック端子部69にテスターなどの端子を接触させることで、導電部材61,62が電極41,42に接続されているか否かが確認され得る。
【0038】
当接部70は、主面40a,40bの対向方向と交差する方向に突出している。当接部70は、音響整合部材2に向かって突出し、音響整合部材2に弾性的に当接する。本実施形態では、当接部70と音響整合部材2の内面23aとの当接によって、音響整合部材2に対して圧電素子4が導電部材61,62を介して位置決めされる。
【0039】
樹脂部材7は、音響整合部材2及びフレーム部材3によって形成された収容空間Sに収容されている。
図8に示されているように、樹脂部材7は、枠状を呈している。樹脂部材7の厚さ方向は、主面40a,40bの対向方向と一致する。樹脂部材7は、主面40a,40bの対向方向に延在する軸周りに形成されている。樹脂部材7は、当該樹脂部材7の外周を音響整合部材2に囲まれている。樹脂部材7は、圧電素子4の外周に沿って設けられている。樹脂部材7は、圧電素子4の主面40bの縁に沿って延在している。樹脂部材7は、主面40a,40bの対向方向から見て主面40bの重心を囲うように延在している。
【0040】
樹脂部材7は、欠落部7a,7bを有している。導電部材61の係合部68が欠落部7aの縁に係合する。導電部材62の係合部68が欠落部7bの縁に係合する。これによって、複数の導電部材61,62は、樹脂部材7に固定される。本実施形態では、樹脂部材7は、係合部68と板部66とに挟まれている。係合部68によって導電部材6に対する樹脂部材7の外周方向における動きが制限されると共に、係合部68と板部66とによって樹脂部材7の厚さ方向における動きが制限される。樹脂部材7の材料は、たとえば、PBT、LCPなどの熱可塑性成形材料を含む。
【0041】
本実施形態の変形例として、樹脂部材7は、
図9に示されているように、一部断絶した枠状を呈していてもよい。樹脂部材7は、圧電素子4の主面40a,40bの縁に沿って枠状に延在している。樹脂部材7は、主面40a,40bの対向方向から見て主面40bの重心を囲うように延在している。樹脂部材7は、互いに離間し、かつ、互いに対向している両端7c,7dを有している。両端7c,7dは、主面40a,40bの対向方向と直交する方向に離間している。本変形例において、樹脂部材7は、C字形状を呈している。この場合も、樹脂部材7は、収容空間Sに収容され、外周を音響整合部材2に囲まれている。この場合、樹脂部材7は、その形状によって圧電素子4の主面40a,40bの対向方向と直交する方向に弾性を有している。樹脂部材7は、外周を囲む音響整合部材2の内面23aに弾性的に当接する。上述した実施形態と同様に樹脂部材7には、導電部材6が固定されている。本変形例では、樹脂部材7が音響整合部材2に当接することで、音響整合部材2に対して圧電素子4が樹脂部材7及び導電部材6を介して位置決めされる。本変形例における樹脂部材7が超音波デバイス1に用いられる場合、導電部材6は当接部70を含んでいなくてもよい。
【0042】
充填部材8は、音響整合部材2及びフレーム部材3によって形成された収容空間Sに充填されている。したがって、収容空間Sには、圧電素子4、配線部材5の一部、導電部材6、樹脂部材7、充填部材8が収容されている。充填部材8は、音響整合部材2、フレーム部材3、圧電素子4、配線部材5の一部、導電部材6、及び樹脂部材7に接する。充填部材8は、収容空間Sに圧電素子4、配線部材5の一部、導電部材6、及び樹脂部材7が収容された後に充填される。充填部材8は、圧電素子4、配線部材5の一部、導電部材6、樹脂部材7を覆っている。充填部材8は、例えば、エポキシ樹脂及びウレタン樹脂の少なくとも一つを含む。
【0043】
次に、本実施形態及び変形例に係る超音波デバイス1の作用効果について説明する。
【0044】
超音波デバイス1において、配線部材5は、圧電素子4の電極41,42に物理的に接続されておらず、導電部材6を介して圧電素子4の電極41,42に接続されている。導電部材6の第一部分63は圧電素子4から離間し、導電部材6の第二部分64は圧電素子4の電極41,42に物理的に接続されている。配線部材5は、導電部材6の第二部分64及び圧電素子4から離間して導電部材6の第一部分63に物理的に接続されている。このため、配線部材5が物理的に接続されている部分に伝達される振動が抑制され得る。配線部材5の物理的な接続構成が圧電素子4の変位に与える影響も低減されるため、配線部材5が第一部分63に強固に接続されたとしても、圧電素子4の変位が阻害され難い。したがって、この超音波デバイス1では、超音波の発信又は検出に関する品質が確保されていると共に圧電素子4の電極41,42からの配線部材5の剥落が抑制され得る。
【0045】
配線部材5が圧電素子4の電極41,42に物理的に接続されている場合、圧電素子4の電極41,42に対する配線部材の物理的な接続構成によって、圧電素子4の変位が変わる。たとえば、配線部材5が圧電素子4の電極41,42にハンダ付けによって物理的に接続されている場合、圧電素子4の電極41,42に接するハンダの量又は形状が変われば、圧電素子4の変位も変わる。圧電素子4の変位が変わると、超音波デバイス1が超音波を発する場合には超音波デバイス1から発せられる超音波の波形が変わり、超音波デバイス1が超音波を検出する場合には受けた超音波の検出結果が変わる。圧電素子4の電極41,42に対する接続構成の製造精度が向上すれば、超音波デバイス1の製品間における圧電素子の変位のばらつきが解決される。
【0046】
超音波デバイス1において、導電部材6の第二部分64が圧電素子4の電極41,42に物理的に接続されている。この場合、配線部材5が電極41,42に物理的に接続されている場合よりも、電極41,42に対する接続構成の製造精度が向上する。したがって、超音波デバイス1の製品間における圧電素子の変位のばらつきも低減される。
【0047】
第一部分63及び第二部分64は、それぞれ板形状を呈する板部65,66を含んでいる。第一部分63の板部65と第二部分64の板部66とは、互いに交差する方向に延在している。第一部分63の板部65は、配線部材5に物理的に接続されている。第二部分64の板部66は、電極41,42に物理的に接続されている。この場合、第二部分64の板部66が圧電素子4の電極41,42に物理的に接続されているため、超音波デバイス1の製品間における圧電素子4の電極41,42と導電部材61,62との接続状態のばらつきがさらに抑制される。
【0048】
第一部分63は、配線部材5を把持する把持部67を含んでいる。この場合、ハンダ付けなしで配線部材5が物理的に接続され得る。このため、圧電素子4の変位の阻害がさらに抑制され得る。
【0049】
第一部分63は、一対の主面40a,40bの対向方向、又は、対向方向から見て圧電素子4の重心から離れる方向に延在している。この場合、導電部材6の第一部分63における振動波の反射が抑制される。
【0050】
超音波デバイス1は、圧電素子4の少なくとも一部及び導電部材6の少なくとも一部を覆って当該圧電素子4の音響インピーダンスを補整する音響整合部材2を備えている。第一部分63は、当接部70を含んでいる。当接部70は、一対の主面40a,40bの対向方向と交差する方向に突出していると共に音響整合部材2に当接している。この場合、当接部70によって、圧電素子4が音響整合部材2に対して位置決めされる。
【0051】
超音波デバイス1は、一対の主面40a,40bの縁に沿って延在している枠状の樹脂部材7を備える。導電部材6は、複数の導電部材61,62を含んでいる。複数の導電部材61,62は、樹脂部材7に固定されていると共に、主面40a,40bの縁に沿って設けられている。この場合、複数の導電部材61,62が樹脂部材7を介して接続されているため、圧電素子4からの各導電部材61,62の剥落が抑制されている。
【0052】
樹脂部材7は、一部断絶した枠状を呈していると共に一対の主面40a,40bの対向方向と直交する方向に弾性を有している。この場合、樹脂部材7及び導電部材6を介して圧電素子4が位置決めされ得る。
【0053】
次に、
図10を参照して、超音波デバイス1の製造方法について説明する。
図10は、超音波デバイス1の製造方法のフローチャートである。
【0054】
まず、音響整合部材2に圧電素子4を配置する(工程S1)。圧電素子4は、音響整合部材2の収容空間Sに配置される。
【0055】
続いて、導電部材61,62に配線部材5を配置する(工程S2)。リード線51は導電部材61にカシメ加工によって固定され、リード線51の導線部分は導電部材61の板部65に物理的に接続される。リード線52は導電部材62にカシメ加工によって固定され、リード線52の導線部分は導電部材62の板部65に物理的に接続される。
【0056】
続いて、樹脂部材7に導電部材61,62を配置する(工程S3)。樹脂部材7の欠落部7aに導電部材61の係合部68が係合し、樹脂部材7の欠落部7bに導電部材62の係合部68が係合する。これによって、導電部材61,62が、樹脂部材7に固定される。
【0057】
続いて、圧電素子4に導電部材61,62を配置する(工程S4)。導電部材61,62は、樹脂部材7に固定された状態で樹脂部材7と共に収容空間Sに挿入され、圧電素子4の電極41及び電極42に物理的に接続されている。これによって、圧電素子4に対して、導電部材61,62が同時に位置決めされる。本実施形態では、導電部材61の板部66が電極41にハンダ付けされ、導電部材62の板部66が電極42にハンダ付けされる。
【0058】
樹脂部材7と共に導電部材61,62が挿入されると、導電部材61,62の当接部70が音響整合部材2の内面23aに弾性的に当接する。このため、導電部材61,62が圧電素子4に物理的に接続されれば、音響整合部材2に対して圧電素子4が導電部材61,62を介して位置決めされる。
図9に示した変形例の場合、樹脂部材7が音響整合部材2の内面23aに弾性的に当接する。このため、導電部材6が圧電素子4に物理的に接続されれば、音響整合部材2に対して圧電素子4が樹脂部材7及び導電部材6を介して位置決めされる。
【0059】
続いて、フレーム部材3を配置する(工程S5)。フレーム部材3の開口部Kに配線部材5を通した状態において、フレーム部材3が音響整合部材2に取り付けられる。
【0060】
続いて、収容空間Sに充填材を充填する(工程S6)。収容空間Sに充填された充填材によって、収容空間Sに収容された充填部材8が形成される。
【0061】
以上の工程S1~工程S6によって、超音波デバイス1が製造される。工程S1~工程S6の順序は、上述した説明の順序に限定されない。たとえば、工程S1と工程S2及び工程S3とは同時に行われてもよいし、工程S2又は工程S3の後に工程S1が行われてもよい。工程S3又は工程S4の後に工程S2が行われてもよい。
【0062】
本実施形態の変形例として、
図11に示す順序で、超音波デバイス1が製造されてもよい。この場合、まず、導電部材6に配線部材5を配置する(工程S11)。工程S11は、上述した工程S2と同一である。
【0063】
続いて、樹脂部材7に導電部材61,62を配置する(工程S12)。工程S12は、上述した工程S3と同一である。
【0064】
続いて、圧電素子4に導電部材61,62を配置する(工程S13)。導電部材61,62は、樹脂部材7に固定された状態で圧電素子4の電極41及び電極42に物理的に接続されている。工程S13は上述した工程S4に相当するが、工程S13では収容空間Sの外部で圧電素子4と導電部材6とが物理的に接続されている点において工程S4と異なる。
【0065】
続いて、音響整合部材2に圧電素子4、導電部材6、及び樹脂部材7を配置する(工程S14)。圧電素子4、導電部材6、及び樹脂部材7は、互いに物理的に接続された状態で収容空間Sに挿入され、音響整合部材2に配置される。圧電素子4及び樹脂部材7と共に導電部材61,62が挿入されると、導電部材61,62の当接部70が音響整合部材2の内面23aに弾性的に当接する。この結果、音響整合部材2に対して圧電素子4が導電部材61,62を介して位置決めされる。
【0066】
続いて、フレーム部材3を配置する(工程S15)。工程S15は、上述した工程S5と同一である。続いて、収容空間Sに充填材を充填する(工程S16)。工程S16は、上述した工程S6と同一である。
【0067】
本変形例では、工程S11~工程S16によって、超音波デバイス1が製造される。工程S11~工程S16の順序は、上述した説明の順序に限定されない。たとえば、工程S12、工程S13、又は工程S14の後に工程S11が行われてもよい。
【0068】
上述した実施形態又は変形例における製造方法では、枠状の樹脂部材7に導電部材61,62が配置された後に、導電部材61,62が圧電素子4に配置されている。この場合、圧電素子4に対して複数の導電部材61,62を容易に位置決めすることができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0070】
たとえば、本実施形態及び変形例では、圧電素子4の主面40aが底部22の第一主面22aに直接接しているが、主面40aと第一主面22aとは別部材を介して間接的に接合されていてもよい。
【0071】
本実施形態及び変形例では、超音波デバイス1が2つの導電部材6を備える場合について説明した。しかし、超音波デバイス1が備える導電部材6は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。導電部材6が1つの場合は、リード線51,52の一方の導線部分が導電部材6に物理的に接続され、他方が圧電素子4の電極に物理的に接続されてもよい。
【0072】
本実施形態及び変形例では、導電部材6における把持部67によって、リード線51,52の導線部分が板部65に物理的に接続されている構成について説明した。しかし、リード線51,52の導線部分は、ハンダ付けなどによって板部65に物理的に接続されてもよい。
【0073】
導電部材6の構造は、上述した構成に限定されない。以下、
図12~
図14を参照して、本実施形態の変形例における導電部材6について説明する。
図12~
図14は、圧電素子4と導電部材6とを示している。以下、上述した実施形態との相違点を主として説明する。
【0074】
図12に示した変形例では、導電部材6は、2つの導電部材71,72を含む。導電部材71及び導電部材72の各々は、互いに電気的に接続された第一部分73及び第二部分74を有している。第一部分73及び第二部分74は、一体的に接続されている。導電部材71,72の材料は、導電部材61,62と同様であり、たとえば、金属である。
【0075】
第一部分73は、配線部材5に物理的に接続され、圧電素子4から離間している。導電部材71の第一部分73は、リード線51の導線部分に物理的に接続されている。導電部材72の第一部分73は、リード線52の導線部分に物理的に接続されている。本変形例では、導電部材71の第二部分74が電極41に物理的に接続され、導電部材72の第二部分74が電極42に物理的に接続されている。
【0076】
第一部分73及び第二部分74は、それぞれ板形状を呈する板部75,76を含む。第一部分73は板部75を含み、第二部分74は板部76を含む。板部75と板部76とは、互いに交差する方向に延在している。本変形例では、板部75と板部76とは、互いに直交する方向に延在している。板部75は、主面40a,40bの対向方向に延在している。板部76は、主面40bに沿って延在している。
【0077】
本変形例に係る超音波デバイス1は、板部76と圧電素子4との間に配置された絶縁部材77をさらに備えている。導電部材71の板部76は、絶縁部材77上に配置されていると共に圧電素子4から離間した離間部76aと、電極41に接続された接続部76bとを含む。導電部材72の板部76は、絶縁部材77上に配置されていると共に圧電素子4から離間した離間部76aと、電極42に接続された接続部76bとを含む。導電部材71の接続部76bは電極41にハンダによって物理的に接続され、導電部材72の接続部76bは電極42にハンダによって物理的に接続されている。
【0078】
第一部分73は、板部75に接続された把持部78をさらに含む。把持部78は、板部75に対して一体に接続されており、板部75に対して折れ曲がっている。換言すれば、把持部78は、板部75から突出している。把持部78は、配線部材5を把持する。導電部材71の把持部78はリード線51の先端部分を把持し、導電部材72の把持部78はリード線52の先端部分を把持する。把持部78もまた、把持部67と同様に、カシメ加工によって、配線部材5を把持する。
【0079】
図13に示した変形例では、導電部材6は、2つの導電部材81,82を含む。導電部材81及び導電部材82の各々は、互いに電気的に接続された第一部分83及び第二部分84を有している。第一部分83及び第二部分84は、一体的に接続されている。導電部材81,82の材料は、導電部材61,62と同様であり、たとえば、金属である。
【0080】
第一部分83は、配線部材5に物理的に接続され、圧電素子4から離間している。導電部材81の第一部分83は、リード線51の導線部分に物理的に接続されている。導電部材82の第一部分83は、リード線52の導線部分に物理的に接続されている。
【0081】
本変形例では、圧電素子4の主面40aに電極41のみが配置されている。圧電素子4の主面40bに電極42のみが配置されている。本変形例では、導電部材81の第二部分84が電極41に物理的に接続され、導電部材82の第二部分84が電極42に物理的に接続されている。
【0082】
第一部分83及び第二部分84は、それぞれ板形状を呈する板部85,86を含む。第一部分83は板部85を含み、第二部分84は板部86を含む。板部85と板部86とは、互いに交差する方向に延在している。本変形例では、板部85と板部86とは、互いに直交する方向に延在している。板部85は、主面40a,40bの対向方向に延在している。板部86は、主面40bに沿って延在している。導電部材81の板部86は、電極41にハンダによって物理的に接続されている。導電部材81の板部86は、円形状であり、主面40a,40bの対向方向から見て、電極41及び主面40aの全体と重なっている。導電部材82の板部86は、電極42にハンダによって物理的に接続されている。導電部材82の板部86は、円形状であり、主面40a,40bの対向方向から見て、電極42及び主面40bの全体と重なっている。
【0083】
第一部分83は、板部85に物理的に接続された把持部88をさらに含む。把持部88は、板部85に対して一体に接続されており、板部85に対して折れ曲がっている。換言すれば、把持部88は、板部85から突出している。把持部88は、配線部材5を把持する。導電部材81の把持部88はリード線51の先端部分を把持し、導電部材82の把持部88はリード線52の先端部分を把持する。把持部88もまた、把持部67と同様に、カシメ加工によって、配線部材5を把持する。
【0084】
図14に示した変形例では、導電部材6は、2つの導電部材91,92を含む。導電部材91及び導電部材92の各々は、互いに電気的に接続された第一部分93及び第二部分94を有している。第一部分93及び第二部分94は、一体的に接続されている。導電部材91,92の材料は、導電部材61,62と同様であり、たとえば、金属である。
【0085】
第一部分93は、配線部材5に物理的に接続され、圧電素子4から離間している。導電部材91の第一部分93は、リード線51の導線部分にハンダによって物理的に接続されている。導電部材92の第一部分93は、リード線52の導線部分にハンダによって物理的に接続されている。
【0086】
本変形例では、圧電素子4の側面40cに電極41が配置されている。圧電素子4の主面40bに電極42が配置されている。本変形例では、導電部材91の第二部分94が電極41に物理的に接続され、導電部材92の第二部分94が電極42に物理的に接続されている。
【0087】
第一部分93及び第二部分94は、それぞれ板形状を呈する板部95,96を含む。第一部分93は板部95を含み、第二部分94は板部96を含む。板部95と板部96とは、互いに交差する方向に延在している。本変形例では、導電部材91の板部96は、圧電素子4の側面40cに沿って延在しており、電極41にハンダによって物理的に接続されている。導電部材91の板部95は、主面40a,40bの対向方向に、導電部材91の板部96から延在している。導電部材92の板部95と板部96は、互いに直交する方向に延在している。導電部材92の板部95は、主面40a,40bの対向方向に延在している。導電部材92の板部96は、主面40bに沿って延在している。導電部材92の板部96は、電極42にハンダによって物理的に接続されている。
【符号の説明】
【0088】
1…超音波デバイス、2…音響整合部材、4…圧電素子、5…配線部材、6,61,62,71,72,81,82,91,92…導電部材、7…樹脂部材、70…当接部、40a,40b…主面、63,73,83,93…第一部分、64,74,84,94…第二部分、65,66,75,76,85,86,95,96…板部、67,78,88…把持部。