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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】門扉用施錠装置
(51)【国際特許分類】
   E05C 1/04 20060101AFI20231129BHJP
   E06B 11/06 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
E05C1/04 F
E06B11/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020025867
(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公開番号】P2021130938
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】弁理士法人小竹アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】中原 史雄
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-52393(JP,A)
【文献】実公昭30-16400(JP,Y1)
【文献】実開昭58-33675(JP,U)
【文献】実開昭52-159897(JP,U)
【文献】実開昭56-20844(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 1/04
E06B 11/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対をなす扉を備えた門扉に用いられ、双方の扉を閉位置に移動させた場合に、それぞれの扉の相対峙する縦枠の一方又は双方に設けられている門扉用施錠装置であって、
地面に形成した受け孔内に下端部が落とし込まれる落とし棒と、前記縦枠に固定されて前記落とし棒を上下動可能に支持するガイド部とを備え、
前記ガイド部は、前記落とし棒を挿通させる開口と、この開口よりも先端側において該開口と連通する切り欠きと、を設けることで前記落とし棒の側面を支持する対をなすガイド片を備え、
前記落とし棒には、径方向に延設されるとともに前記ガイド部に形成された前記切り欠きを移動可能な操作レバーが固定され、
前記操作レバーには、前記切り欠きに位置させた状態で前記落とし棒の軸芯を中心として回動させることで、前記ガイド片を挿通可能とするスリットが形成されている構成において、
前記操作レバーを前記ガイド部の切り欠きに位置させた状態で、隣接する扉側への回動を阻止する回動方向規制手段を設けた
ことを特徴とする門扉用施錠装置。
【請求項2】
前記回動方向規制手段は、前記対をなすガイド片のうち、前記隣接する扉側のガイド片に、前記操作レバーの隣接する扉側への回動を阻止する回動阻止部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の門扉用施錠装置。
【請求項3】
前記回動方向規制手段は、前記対をなすガイド片のうち、前記隣接する扉側のガイド片に、前記操作レバーのスリットへの挿通を阻止する回動阻止部を一体に形成したことを特徴とする請求項1記載の門扉用施錠装置。
【請求項4】
前記回動方向規制手段は、前記ガイド部の開口に挿通させて固定されるとともに、前記落とし棒をスライド可能に挿通させる筒状部材を備え、
この筒状部材の周壁に、前記操作レバーを移動可能に挿通させるガイド溝を形成し、
このガイド溝を、前記操作レバーを前記落とし棒の軸方向に移動可能とする縦溝と、前記操作レバーを前記ガイド部の切り欠きに位置させた状態において隣接する扉側とは反対方向にのみ前記操作レバーの回動を許容する横溝とにより構成したことを特徴とする請求項1記載の門扉用施錠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落とし棒を備えた施錠装置を、対をなす扉の相対峙する縦枠の一方又は双方に設けた門扉用施錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
門扉の施錠装置として、従来から落とし棒装置が多用されている。この施錠装置(落とし棒装置)は、例えば図6に示されるように、対をなす扉110,120で門扉100が構成されている場合において、双方の扉110,120を閉位置に移動させた場合に、双方の扉の相対峙する縦枠111,121の下部に設けられている。
この例において門扉100は、観音開き式の一対の扉110,120で構成され、それぞれの扉110,120は、閉鎖時に互いに対峙する縦枠111,121とは反対側の縦枠112,122を支柱113,123に対して蝶番114,124介して回動可能に固定し、閉鎖時に互いに対峙する縦枠111,121の下方に移動用のローラ115,125が取り付けられている。そして、扉110,120の閉鎖状態を維持するために、それぞれの扉の互いに対峙する縦枠111,121の下部に施錠装置(落とし棒装置)1が取り付けられている。
【0003】
施錠装置(落とし棒装置)1は、各種構成が知られているが、例えば、下記する特許文献1(特に図11)に示されるように、下端部が受け孔内に落とし込まれる落とし棒と、前記縦枠に固定されて落とし棒を上下動可能に支持するガイド部(ガイド金具)とを備え、落とし棒に固定された操作レバーをこのガイド部に係止させることで落とし棒の軸方向への移動を規制するようにしている。
【0004】
同種の施錠装置(落とし棒装置)を、図7を用いて具体的に説明すると、この図において施錠装置(落とし棒装置)1は、双方の扉110,120の相対峙する縦枠111,121の下部に、地面に設けられた受け孔2に下端部が落とし込まれる落とし棒3と、縦枠111,121に固定されて落とし棒3を上下動可能に支持する落とし棒ホルダ4と、落とし棒3から径方向に突設された操作レバー8とを備えている。
【0005】
落とし棒ホルダ4は、断面コ字状のホルダ金具を縦枠111,121にねじ止め又は溶接などで固定されているもので、落とし棒3が挿通する上部ガイド部5及び下部ガイド部6を備え、この上部ガイド部5及び下部ガイド部6は、落とし棒3を挿通させる開口5a,6aと、この開口5a,6aよりも先端側において該開口と連通する切り欠き5b,6bと、を設けることで落とし棒3の側面を支持する対をなすガイド片5c,5d,6c,6dを備えている。
【0006】
操作レバー8は、落とし棒3の軸方向に幅広に形成されたプレート状のもので、落とし棒3との接合部分から先端近傍にかけて、ガイド片5c,5d,6c,6dを挿通可能なスリット8aが形成され、上部ガイド部5又は下部ガイド部6の切り欠き5b,6bに位置させた状態で落とし棒3の軸芯を中心として回動させることで、ガイド片5c,5d,6c,6dを挿通させ、落とし棒3の上下方向の動きを規制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2011-52393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、この種の落とし棒装置に用いられる操作レバーは、回動させながらガイド部のガイド片のほぼ全体を挿通させると共に、先端部を指で摘まめるように、落とし棒から径方向に大きく突出した形状となっている。
このため、扉の閉鎖時には、以下のような事態が生じる不都合がある。すなわち、一対の扉を閉鎖する作業においては、通常、一方の扉を先に閉位置へ移動させ(回転式の扉であれば、閉位置となるまで回動させ)、閉位置に至った段階で、操作レバー8を指で摘まんで落とし棒3を下方へ移動させ、落とし棒3の下端部を受け孔2内に落とし込むと共に、操作レバー8を下部ガイド部6の切り欠き6bに位置させた状態で落とし棒の軸芯を中心として回動させ、ガイド片6c又は6dをスリット8aに挿通させるようにするが、操作レバー8は、切り欠き6bの位置から、右側にも左側にも回動可能となっているので、図8に示されるように、操作レバー8を隣接する扉側へ誤って回動させてしまうと、隣接する扉110を閉位置に向かって移動させた際に(回転式の扉であれば、閉位置に向かって回動させると)、隣接する扉110の縦枠111が先に閉位置にある扉120の操作レバー8と干渉し、その操作レバー8を変形または破損させてしまう不都合がある。このような操作レバー8の変形または破損に伴い、落とし棒3や落とし棒ホルダ4にもダメージを与え、また操作レバー8が切り欠き6bを通過できなくなり、落とし棒の上下動操作ができなくなる等の不都合も懸念される。
【0009】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、落とし棒に設けられた操作レバーを回動させて落とし棒の上限動の動きを規制する門扉施錠装置において、操作レバーが隣接する扉の縦枠と干渉することを回避させることを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するために、本発明は、対をなす扉を備えた門扉に用いられ、双方の扉を閉位置に移動させた場合に、それぞれの扉の相対峙する縦枠の一方又は双方に設けられている門扉用施錠装置であって、地面に形成した受け孔内に下端部が落とし込まれる落とし棒と、前記縦枠に固定されて前記落とし棒を上下動可能に支持するガイド部とを備え、前記ガイド部は、前記落とし棒を挿通させる開口と、この開口よりも先端側において該開口と連通する切り欠きと、を設けることで前記落とし棒の側面を支持する対をなすガイド片を備え、前記落とし棒には、径方向に延設されるとともに前記ガイド部に形成された前記切り欠きを移動可能な操作レバーが固定され、前記操作レバーには、前記切り欠きに位置させた状態で前記落とし棒の軸芯を中心として回動させることで、前記ガイド片を挿通可能とするスリットが形成されている構成において、
前記操作レバーを前記ガイド部の切り欠きに位置させた状態で、隣接する扉側への回動を阻止する回動方向規制手段を設けたことを特徴としている。
【0011】
したがって、操作レバーは、ガイド部の切り欠きに位置している状態において、回動方向規制手段により、隣接する扉側への回動が阻止されるので、操作レバーを必ず隣接する扉とは反対側へ回動させることになり、操作レバーが隣接する扉の縦枠と干渉する虞を無くすことが可能となる。
【0012】
なお、縦枠に固定されるガイド部は、縦枠に直接固定されるものであっても、縦枠に固定された落とし棒ホルダに形成されるものであってもよい。
また、回動方向規制手段としては、対をなすガイド片のうち、隣接する扉側のガイド片に、操作レバーの隣接する扉側への回動を阻止する回動阻止部材を設けるようにしてもよい。
ここで、回動阻止部材としては、対をなす把持片を連結部で連結させたクリップ状の留め金具をガイド片に固定するようにしても、ガイド片に通孔を形成し、或いは、もともと南京錠を取り付けるために設けられた通孔を利用し、この通孔にボルトを挿通させてナット締めするようにしてもよい。
【0013】
また、回転方向規制手段としては、対をなすガイド片のうち、隣接する扉側のガイド片に、操作レバーのスリットへの挿通を阻止する回動阻止部を一体に形成するようにしてもよい。
ここで、回動阻止部としては、ガイド片の切り欠きに臨む側縁を曲げ起こして形成することによって、又は、ガイド片に突起を形成することによって操作レバーのスリットにガイド片を挿通させないようにしてもよい。
【0014】
さらに、回動方向規制手段としては、ガイド部の開口に挿通させて固定されるとともに、落とし棒をスライド可能に挿通させる筒状部材を備え、この筒状部材の周壁に、前記操作レバーを移動可能に挿通させるガイド溝を形成し、このガイド溝を、前記操作レバーを前記落とし棒の軸方向に移動可能とする縦溝と、前記操作レバーを前記ガイド部の切り欠きに位置させた状態において隣接する扉側とは反対方向にのみ前記操作レバーの回動を許容する横溝とにより構成してもよい。
このような構成においては、ガイド片の表面に回動阻止部材を設けたり、ガイド片の形状を変更したりすることなく対応することが可能となり、また落とし棒を筒状部材によって保護することも可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上述べたように、本発明によれば、落とし棒に固定された操作レバーを、落とし棒を上下動可能に支持するガイド部の切り欠きに位置させた状態で、操作レバーが隣接する扉側へ回動することを阻止する手段を設けたので、操作レバーが隣接する扉側へ回動されることがなくなり、隣接する扉の縦枠と干渉することを回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明に係る施錠装置の第1実施例を示す図であり、(a)は、その斜視図、(b)は、ガイド部のガイド片に取り付けられる回動阻止部材の例を示す側面図、(c)は、(b)の回動阻止部材を示す斜視図である。
図2図2は、本発明に係る施錠装置の第2実施例を示す図であり、(a)は、その斜視図、(b)は、(a)の回動阻止部材と操作レバーとの関係を示す斜め上方から見た斜視図、(c)は、回動阻止部材と操作レバーとの関係を示す側面図である。
図3図3は、本発明に係る施錠装置の第3実施例を示す図であり、(a)は、その斜視図、(b)は、落とし棒ホルダのガイド部に回動阻止部を設けた例を示す側面図である。
図4図4は、本発明に係る施錠装置の第4実施例を示す図であり、(a)は、その斜視図、(b)は、落とし棒ホルダのガイド部に回動阻止部を設けた例を示す側面図である。
図5図5は、本発明に係る施錠装置の第5実施例を示す図であり、(a)は、その側面図、(b)は、(a)の施錠装置に用いられる筒状部材を示す側面図、(c)は、(a)の施錠装置の斜視図である。
図6図6は、対をなす扉を備えた門扉の例を示す正面図である。
図7図7は、扉の縦枠に取り付けられた従来の施錠装置を示す斜視図である。
図8図8は、従来の施錠装置において、操作レバーが隣接する扉の縦枠と干渉する状態を示す斜視図であり、(a)は前面側から見た図、(b)は背面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳述する。
【0018】
施錠装置1は、従来と同様、対をなす扉110,120を備えた例えば前記図6で示す観音開き式の門扉100の場合であれば、双方の扉110,120を閉位置に移動させた場合に、それぞれの扉の相対峙する縦枠111,121の下部に設けられている。
以下においては、一方の扉120の施錠装置のみについて説明するが、他方の扉110施錠装置においても、同様の構成である。
施錠装置1は、その全体が金属製であり、地面に形成した受け孔2内に下端部が落とし込まれる落とし棒3と、扉120の縦枠121に固定されて落とし棒3を上下動可能に支持する落とし棒ホルダ4と、を有している。
【0019】
落とし棒ホルダ4は、縦枠121に固定された断面コ字状のホルダ金具によって構成されているもので、落とし棒が挿通する上部ガイド部5及び下部ガイド部6を両端部に備え、これらガイド部5,6を所定の間隔で対峙させるように連接された背面部7をねじ止めや溶接などの手段で縦枠121に固定されている。
【0020】
それぞれのガイド部5,6は、落とし棒3を挿通させる開口5a,6aと、この開口よりも先端側において該開口と連通する切り欠き5b,6bと、を設けることで、落とし棒3の側面を支持する対をなすガイド片5c,5d,6c,6dが形成されている。切り欠き5b,6bは、開口5a,6aの内径よりも小さく、且つ、後述する操作レバー8の厚みよりも大きい巾に形成されている。
【0021】
落とし棒3は、その頂部に上部ガイド部5の開口5aの内径よりも大きい径を有する円板状のフランジ3aが設けられ、また、フランジ3aが上部ガイド部5の上面に当接した状態において下端部が受け孔2に落とし込まれた状態となる程度の長さを有している。また、落とし棒3には、径方向に延設されるとともに上部ガイド部5及び下部ガイド部6に形成された前記切り欠き5b,6bを移動可能とする操作レバー8が固定されている。
【0022】
この操作レバー8は、鉛直方向の端面を有する板状に形成されているもので、切り欠き5b,6bの幅よりも小さい厚みに形成され、また、ガイド部5,6よりも径方向外側へ十分に突き出す大きさに形成され、隣接する扉側へ回動させると、隣接する扉の縦枠(図7の111)と干渉する程度に突設されている。そして、操作レバー8には、ガイド部5,6の切り欠き5b,6bに位置させた状態で落とし棒3の軸芯を中心として回動させることで、前記ガイド片5c,5d,6c,6dを挿通可能とするスリット8aが形成されている。このスリット8aは、落とし棒との接合部分から先端部近傍にかけて形成され、ガイド片5c,5d,6c,6dの厚みよりも大きいスリット巾に形成されている。
なお、操作レバー8のスリット8aが下部ガイド部6のガイド片6c,6dと同じ高さとなる状態においては、落とし棒3の頂端に設けられたフランジ3aが上部ガイド部5の上面に当接するようになっている。
【0023】
したがって、操作レバー8を指で摘まんでガイド部5,6の切り欠き5b,6bと一致するように回動させると、操作レバー8は、切り欠き5b,6bを介して落とし棒3の軸心に沿って上下動させることができ、また、操作レバー8を指でつまんで、フランジ3aが上部ガイド部5に当接するまで落とし棒3を下げると、操作レバー8のスリット8aが下部ガイド部6のガイド片6c,6dと同じ高さになり、落とし棒3の軸心を中心として操作レバー8を回動させることが可能となる。したがって、操作レバー8をスリット8aの正面から見て右側に回転させれば、右側のガイド片6dがスリット8aに挿通され、左側に回転させれば、左側のガイド片6cがスリット8aに挿通される。
【0024】
(実施例1)
このような構成において、操作レバー8を隣接する扉側に回転させると(図1において左側に回転させると)、操作レバー8は、隣接する扉の縦枠と干渉するおそれがあるため、この例では、それぞれのガイド部(上部ガイド部5、下部ガイド部6)のガイド片5c,5d,6c,6dのうち、隣接する扉側のガイド片5c,6cの先端部に、回動阻止部材10としてのクリップ状の留め金具11が装着されている。
【0025】
この留め金具11は、ガイド片5c,6cを挟持する一対の挟持片11a,11bと、これらの挟持片11a,11bを連結させる連結部11cと、を有して構成され、対をなす挟持片11a,11bの互いの先端部の間隔をガイド片5c,6cの厚みよりも小さくし、対をなす挟持片11a,11bの間にガイド片5c,6cを押し込むことで、挟持片11a,11bを弾性変形させてガイド片5c,6cを強く挟持するようになっている。なお、留め金具11がガイド片5c,6cから外れないように、溶接等で固定するようにしてもよい。
【0026】
したがって、このような留め金具11を隣接する扉側のガイド片5c,6cに取り付けることにより、操作レバー8をガイド部5,6の切込み5b,6bに位置させた状態で隣接する扉側へ回動させようとしても、操作レバー8は、留め金具11によって隣接する扉側への回動が阻止され、隣接する扉側とは反対側へのみ回動可能となる。よって、操作レバー8が隣接する扉の縦枠側へ回動されることがなくなり、隣接する扉の縦枠と干渉することを確実に回避することが可能となる。
【0027】
図2において、回動阻止部材10の他の例が示されている。この例において、回動阻止部材10は、ガイド片に形成された通孔12にボルト13を挿入し、このボルト13の通孔12から突出した部分にナット14を螺合させて構成されている。
【0028】
したがって、このような回動阻止部材10(ボルト13、ナット14)を隣接する扉側のガイド片6cに取り付けることにより、操作レバー8をガイド部5,6の切込み5b,6bに位置させた状態で隣接する扉側へ回動させようとしても、操作レバー8は、ボルト13及びナット14によって隣接する扉側への回動が阻止され、隣接する扉側とは反対側へのみ回動可能となる。よって、操作レバー8が隣接する扉の縦枠側へ回動されることがなくなり、隣接する扉の縦枠と干渉することを確実に回避することが可能となる。
【0029】
図3において、各ガイド部(上部ガイド部5、下部ガイド部6)のガイド片5c,5d,6c,6dのうち、隣接する扉側のガイド片5c,6cの先端部に、スリット8aの巾よりも大きい軸方向巾を有する回動阻止部20が一体に形成されている。
この例において、回動阻止部20は、ガイド片5c,6cの切り欠き5b,6bに臨む側縁を上方または下方へ曲げ起こして屈曲部21を形成しているもので、屈曲部21はスリット巾よりも大きい上下巾(軸方向巾)を有している。
【0030】
したがって、このような回動阻止部20を隣接する扉側のガイド片5c,6cに設けることにより、操作レバー8をガイド部5,6の切込み5b,6bに位置させた後に隣接する扉側へ回動させようとしても、操作レバー8は、ガイド片の曲げ起こされた回動阻止部(屈曲部21)によって隣接する扉側への回動が阻止され、隣接する扉側とは反対側へのみ回動可能となる。よって、操作レバー8が隣接する扉の縦枠側へ回動されることがなくなり、隣接する扉の縦枠と干渉することを確実に回避することが可能となる。
【0031】
図4において、回動阻止部20の他の例が示されている。この例において、回動阻止部20は、ガイド片5c,6cの表面に形成された突起22により構成されている。この突起22が形成されたガイド片5c,6cの部位は、スリット巾よりも大きい上下巾(軸方向巾)を有している。
したがって、このような回動阻止部20を隣接する扉側のガイド片5c,6cに設けることにより、操作レバー8をガイド部5,6の切込み5b,6bに位置させた後に隣接する扉側へ回動させようとしても、操作レバー8は、ガイド片5c,6cの表面に形成された回動阻止部(突起22)によって隣接する扉側への回動が阻止され、隣接する扉側とは反対側へのみ回動可能となる。よって、操作レバー8が隣接する扉の縦枠側へ回動されることがなくなり、隣接する扉の縦枠と干渉することを確実に回避することが可能となる。
【0032】
図5において、回動方向規制手段の他の例が示されている。この回動方向規制手段は、落とし棒3とガイド部(上部ガイド部5、下部ガイド部6)との間に筒状部材30を固定して構成されている。この筒状部材30は、落とし棒3をスライド可能に挿通させもので、操作レバー8の可動範囲を画定するガイド溝31が形成されている。ガイド溝31は、軸方向に移動可能とする縦溝31aと、上部ガイド部5及び前記下部ガイド部6の位置において操作レバー8を隣接する扉側とは反対方向にのみ回動を許容する横溝31b,31cとを有して構成されている。
【0033】
縦溝31aは、各ガイド部5,6の切り欠き5b,6bと同程度の巾に形成されていればよく、筒状部材30の外周面のうち、上部ガイド部5と下部ガイド部6との間であってガイド部の切り欠き側の周面に向けられ、落とし棒3の軸線を通り、且つ、上部ガイド部5の切り欠き5bと下部ガイド部6の切り欠き6bとを含む仮想平面上に形成されている。
【0034】
また、横溝31bは、操作レバー8の上下方向の幅(落とし棒3の軸方向に沿った幅)より大きく形成されているもので、操作レバー8のスリット8aを上部ガイド部5又は下部ガイド部6と同じ高さ位置とした場合において、操作レバー8を落とし棒3の軸心を中心として回動できる上下巾(軸方向巾)に形成されている。
したがって、ガイド溝31は、全体がコ字状となるように筒状部材30に開口形成され、それ自体で操作レバー8の可動範囲を規制するようにしている。
【0035】
このような回転方向規制手段を設けることにより、操作レバー8をガイド部5,6の切込み5b,6bに位置させた後に隣接する扉側へ回動させようとしても、操作レバー8は、筒状部材30によって隣接する扉側への回動が阻止され、隣接する扉側とは反対側へのみ回動可能となる。よって、操作レバー8が隣接する扉の縦枠側へ回動されることがなくなり、隣接する扉の縦枠と干渉することを確実に回避することが可能となる。
【0036】
特に、この例では、筒状部材30のガイド溝31の形状のみで操作レバー8の動きを規制できるので、
ガイド片5c,5d,6c,6dの表面に回動阻止部材を設けることなく、また、ガイド片5c,5d,6c,6dの形状を変更することなく対応することが可能となり、さらには落とし棒3を筒状部材30によって保護することも可能となる。
【0037】
なお、以上の構成においては、ガイド部5,6を縦枠111,121に固定された落とし棒ホルダ4に形成することで縦枠111,121に固定するようにしているが、ガイド部5,6を構成するガイド金具を縦枠111,121に溶接等により直接接合させるようにしてもよい。
また、上述した各種構成は、適宜組み合わせて用いるようにしてもよい。
さらに、上述の構成においては、観音開き式門扉を例にして説明したが、スライド式門扉においても同様の構成を採用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 施錠装置
2 受け孔
3 落とし棒
4 落とし棒ホルダ
5 上部ガイド部
5a 開口
5b 切り欠き
5c,5d ガイド片
6 下部ガイド部
6a 開口
6b 切り欠き
6c,6d ガイド片
8 操作レバー
8a スリット
10 回動阻止部材
20 回動阻止部
30 筒状部材
31 ガイド溝
31a 縦溝
31b,31c 横溝
100 門扉
110,120 扉
111,121 縦枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8