(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】スライド装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/07 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
B60N2/07
(21)【出願番号】P 2020026548
(22)【出願日】2020-02-19
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲団▼野 和圭
(72)【発明者】
【氏名】谷口 幸佑
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-008602(JP,A)
【文献】特開2002-160554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに取り付けられるように構成された可動レールと、
前記可動レールをスライド可能に支持する固定レールと、
前記可動レールと前記固定レールとの間に配置されると共に、前記可動レールを前記固定レールに対して摺動させる第1転動体、第2転動体、第3転動体
、第4転動体
、第9転動体、第10転動体、第11転動体及び第12転動体と、
前記第1転動体を保持する第1保持部材と、
前記第1保持部材と分離されると共に、前記第1転動体よりも下方又は上方に前記第2転動体を保持する第2保持部材と、
前記可動レールのスライド方向と直交する方向において前記第1転動体と重なる位置に前記第3転動体を保持する第3保持部材と、
前記第3保持部材と分離されると共に、前記スライド方向と直交する方向において前記第2転動体と重なる位置に前記第4転動体を保持する第4保持部材と、
を備え、
前記第1転動体、前記第2転動体、前記第3転動体及び前記第4転動体は、それぞれ、前記第1保持部材、前記第2保持部材、前記第3保持部材及び前記第4保持部材において前記可動レールの第1端部に最も近い位置に保持された転動体であり、
前記第1転動体と前記可動レールとの接触点は、前記スライド方向において、前記第2転動体と前記可動レールとの接触点よりも前記可動レールの前記第1端部から離れ、
前記第3転動体と前記可動レールとの接触点は、前記スライド方向において、前記第4転動体と前記可動レールとの接触点よりも前記可動レールの前記第1端部から離れ
、
前記第1保持部材は、前記スライド方向において前記第1転動体よりも前記可動レールの前記第1端部から離れた位置かつ前記スライド方向において前記第1転動体と重なる位置に前記第9転動体を保持し、
前記第2保持部材は、前記スライド方向において前記第2転動体よりも前記可動レールの前記第1端部から離れた位置かつ前記スライド方向において前記第2転動体と重なる位置に前記第10転動体を保持し、
前記第3保持部材は、前記スライド方向において前記第3転動体よりも前記可動レールの前記第1端部から離れた位置かつ前記スライド方向において前記第3転動体と重なる位置に前記第11転動体を保持し、
前記第4保持部材は、前記スライド方向において前記第4転動体よりも前記可動レールの前記第1端部から離れた位置かつ前記スライド方向において前記第4転動体と重なる位置に前記第12転動体を保持し、
前記第1転動体と前記可動レールとの接触点は、前記スライド方向において、前記第10転動体と前記可動レールとの接触点よりも前記可動レールの前記第1端部から離れ、
前記第3転動体と前記可動レールとの接触点は、前記スライド方向において、前記第12転動体と前記可動レールとの接触点よりも前記可動レールの前記第1端部から離れる、スライド装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスライド装置であって、
前記可動レールと前記固定レールとの間に配置されると共に、前記可動レールを前記固定レールに対して摺動させる第5転動体、第6転動体、第7転動体及び第8転動体と、
前記第1転動体よりも前記可動レールの前記第1端部とは反対側の第2端部に近い位置かつ前記スライド方向において前記第1転動体と重なる位置に前記第5転動体を保持する第5保持部材と、
前記第5保持部材と分離されると共に、前記第2転動体よりも前記可動レールの前記第2端部に近い位置かつ前記スライド方向において前記第2転動体と重なる位置に前記第6転動体を保持する第6保持部材と、
前記スライド方向と直交する方向において前記第5転動体と重なる位置に前記第7転動体を保持する第7保持部材と、
前記第7保持部材と分離されると共に、前記スライド方向と直交する方向において前記第6転動体と重なる位置に前記第8転動体を保持する第8保持部材と、
をさらに備え、
前記第5転動体、前記第6転動体、前記第7転動体及び前記第8転動体は、それぞれ、前記第5保持部材、前記第6保持部材、前記第7保持部材及び前記第8保持部材において前記可動レールの前記第2端部に最も近い位置に保持された転動体であり、
前記第5転動体と前記可動レールとの接触点は、前記スライド方向において、前記第6転動体と前記可動レールとの接触点よりも前記可動レールの前記第2端部から離れ、
前記第7転動体と前記可動レールとの接触点は、前記スライド方向において、前記第8転動体と前記可動レールとの接触点よりも前記可動レールの前記第2端部から離れる、スライド装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスライド装置であって、
前記第1保持部材と前記第5保持部材とは、前記スライド方向に連結され、
前記第2保持部材と前記第6保持部材とは、前記スライド方向に連結され、
前記第3保持部材と前記第7保持部材とは、前記スライド方向に連結され、
前記第4保持部材と前記第8保持部材とは、前記スライド方向に連結される、スライド装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のスライド装置であって、
前記第2保持部材は、前記第2転動体を前記第1転動体よりも下方に保持する、スライド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の乗物に設置されるシートのスライド装置は、乗物のフロアに固定される固定レールと、固定レールに対してスライド可能な可動レールとを有する。スライド装置において、可動レールを固定レールに対し摺動させるための複数の転動体を、可動レールと固定レールとの間に配置した構成が公知である(特許文献1参照)。
【0003】
複数の転動体は、レール内において、シート幅方向両側の上部と、シート幅方向両側の下部とに配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のスライド装置では、複数の転動体が1つの保持部材(つまりリテーナプレート)によって保持されている。この保持部材は、上方に配置された転動体を保持する部位と、下方に配置された転動体を保持する部位とが上下方向に連結されている。
【0006】
この保持部材では、例えば、可動レール及び固定レールの高さが変わると、上下方向の長さを変える必要がある。そのため、スライド装置ごとに保持部材の形状を設計する必要がある。
【0007】
本開示の一局面は、転動体の保持部材の汎用性を高められるスライド装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、シート(11)に取り付けられるように構成された可動レール(2)と、可動レール(2)をスライド可能に支持する固定レール(3)と、可動レール(2)と固定レール(3)との間に配置されると共に、可動レール(2)を固定レール(3)に対して摺動させる第1転動体(4A)、第2転動体(4B)、第3転動体(4C)及び第4転動体(4D)と、第1転動体(4A)を保持する第1保持部材(51A)と、第1保持部材(51A)と分離されると共に、第1転動体(4A)よりも下方又は上方に第2転動体(4B)を保持する第2保持部材(51B)と、可動レール(2)のスライド方向と直交する方向において第1転動体(4A)と重なる位置に第3転動体(4C)を保持する第3保持部材(51C)と、第3保持部材(51C)と分離されると共に、スライド方向と直交する方向において第2転動体(4B)と重なる位置に第4転動体(4D)を保持する第4保持部材(51D)と、を備えるスライド装置(1)である。
【0009】
第1転動体(4A)、第2転動体(4B)、第3転動体(4C)及び第4転動体(4D)は、それぞれ、第1保持部材(51A)、第2保持部材(51B)、第3保持部材(51C)及び第4保持部材(51D)において可動レール(2)の第1端部(2A)に最も近い位置に保持された転動体である。
【0010】
第1転動体(4A)と可動レール(2)との接触点は、スライド方向において、第2転動体(4B)と可動レール(2)との接触点よりも可動レール(2)の第1端部(2A)から離れる。第3転動体(4C)と可動レール(2)との接触点は、スライド方向において、第4転動体(4D)と可動レール(2)との接触点よりも可動レール(2)の第1端部(2A)から離れる。
【0011】
このような構成によれば、第1保持部材(51A)が上下方向の異なる位置で転動体を保持する第2保持部材(51B)と分離され、第3保持部材(51C)が上下方向の異なる位置で転動体を保持する第4保持部材(51D)と分離される。そのため、レールの高さが異なるスライド装置(1)において、共通の保持部材(51A,51B,51C,51D)を使用することができる。したがって、保持部材(51A,51B,51C,51D)の汎用性を高められる。
【0012】
また、スライド方向において、第1転動体(4A)及び第3転動体(4C)がそれぞれ第2転動体(4B)及び第4転動体(4D)よりもスライド方向内側に配置されることで、第2転動体(4B)及び第4転動体(4D)によるレールへの反力によって、第1転動体(4A)及び第3転動体(4C)がスライド方向外側へずれることが抑制される。その結果、第1転動体(4A)及び第3転動体(4C)がストッパ等の他の部材に干渉し、シート(11)のスライドが規制されることが抑制される。
【0013】
本開示の一態様は、可動レール(2)と固定レール(3)との間に配置されると共に、可動レール(2)を固定レール(3)に対して摺動させる第5転動体(4E)、第6転動体(4F)、第7転動体(4G)及び第8転動体(4H)と、第1転動体(4A)よりも可動レール(2)の第1端部(2A)とは反対側の第2端部(2B)に近い位置かつスライド方向において第1転動体(4A)と重なる位置に第5転動体(4E)を保持する第5保持部材(51E)と、第5保持部材(51E)と分離されると共に、第2転動体(4B)よりも可動レール(2)の第2端部(2B)に近い位置かつスライド方向において第2転動体(4B)と重なる位置に第6転動体(4F)を保持する第6保持部材(51F)と、スライド方向と直交する方向において第5転動体(4E)と重なる位置に第7転動体(4G)を保持する第7保持部材(51G)と、第7保持部材(51G)と分離されると共に、スライド方向と直交する方向において第6転動体(4F)と重なる位置に第8転動体(4H)を保持する第8保持部材(51H)と、をさらに備えてもよい。
【0014】
第5転動体(4E)、第6転動体(4F)、第7転動体(4G)及び第8転動体(4H)は、それぞれ、第5保持部材(51E)、第6保持部材(51F)、第7保持部材(51G)及び第8保持部材(51H)において可動レール(2)の第2端部(2B)に最も近い位置に保持された転動体であってもよい。
【0015】
第5転動体(4E)と可動レール(2)との接触点は、スライド方向において、第6転動体(4F)と可動レール(2)との接触点よりも可動レール(2)の第2端部(2B)から離れてもよい。第7転動体(4G)と可動レール(2)との接触点は、スライド方向において、第8転動体(4H)と可動レール(2)との接触点よりも可動レール(2)の第2端部(2B)から離れてもよい。
【0016】
このような構成によれば、可動レール(2)の第1端部(2A)側と第2端部(2B)側との双方において、転動体のスライド方向外側へのずれを抑制できる。
【0017】
本開示の一態様では、第1保持部材(51A)と第5保持部材(51E)とは、スライド方向に連結されてもよい。第2保持部材(51B)と第6保持部材(51F)とは、スライド方向に連結されてもよい。第3保持部材(51C)と第7保持部材(51G)とは、スライド方向に連結されてもよい。第4保持部材(51D)と第8保持部材(51H)とは、スライド方向に連結されてもよい。
【0018】
このような構成によれば、第2転動体(4B)が第1転動体(4A)によるレールへの反力によってスライド方向内側へずれることが抑制されることで、第2転動体(4B)を保持する第2保持部材(51B)と第2保持部材(51B)に連結された第6保持部材(51F)との移動が規制される。その結果、第6保持部材(51F)に保持された第6転動体(4F)のスライド方向外側へのずれが抑制される。同様の理由で、第2転動体(4B)、第4転動体(4D)及び第8転動体(4H)のスライド方向外側へのずれも抑制される。
【0019】
また、第1転動体(4A)が第2転動体(4B)によるレールへの反力によってスライド方向外側へずれることが抑制されることで、第1転動体(4A)を保持する第1保持部材(51A)と第1保持部材(51A)に連結された第5保持部材(51E)との移動が規制される。その結果、第5保持部材(51E)に保持された第5転動体(4E)のスライド方向内側へのずれが抑制される。同様の理由で、第1転動体(4A)、第3転動体(4C)及び第7転動体(4G)のスライド方向内側へのずれも抑制される。
【0020】
本開示の一態様では、第2保持部材(51B)は、第2転動体(4B)を第1転動体(4A)よりも下方に保持してもよい。このような構成によれば、下側に配置される複数の転動体のスライド方向の距離を大きくできるため、可動レール(2)の剛性が向上する。
【0021】
本開示の一態様は、可動レール(2)と固定レール(3)との間に配置されると共に、可動レール(2)を固定レール(3)に対して摺動させる第9転動体(4I)、第10転動体(4J)、第11転動体(4K)及び第12転動体(4L)をさらに備えてもよい。
【0022】
第1保持部材(51A)は、スライド方向において第1転動体(4A)よりも可動レール(2)の第1端部(2A)から離れた位置かつスライド方向において第1転動体(4A)と重なる位置に第9転動体(4I)を保持してもよい。第2保持部材(51B)は、スライド方向において第2転動体(4B)よりも可動レール(2)の第1端部(2A)から離れた位置かつスライド方向において第2転動体(4B)と重なる位置に第10転動体(4J)を保持してもよい。第3保持部材(51C)は、スライド方向において第3転動体(4C)よりも可動レール(2)の第1端部(2A)から離れた位置かつスライド方向において第3転動体(4C)と重なる位置に第11転動体(4K)を保持してもよい。第4保持部材(51D)は、スライド方向において第4転動体(4D)よりも可動レール(2)の第1端部(2A)から離れた位置かつスライド方向において第4転動体(4D)と重なる位置に第12転動体(4L)を保持してもよい。
【0023】
第1転動体(4A)と可動レール(2)との接触点は、スライド方向において、第10転動体(4J)と可動レール(2)との接触点よりも可動レール(2)の第1端部(2A)から離れてもよい。第3転動体(4C)と可動レール(2)との接触点は、スライド方向において、第12転動体(4L)と可動レール(2)との接触点よりも可動レール(2)の第1端部(2A)から離れてもよい。
【0024】
このような構成によれば、可動レール(2)と固定レール(3)との摺動面積を増加させつつ、第1転動体(4A)及び第3転動体(4C)がスライド方向外側へずれることをより的確に抑制できる。
【0025】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、実施形態における乗物用シートの模式的な側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態におけるスライド装置を示す模式的な斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2のスライド装置の模式的な分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2のIV-IV線での模式的な切断部端面図である。
【
図5】
図5Aは、
図2のスライド装置の第1摺動部材及び第3摺動部材を示す模式的な斜視図であり、
図5Bは、
図2のスライド装置の第2摺動部材及び第4摺動部材を示す模式的な斜視図である。
【
図6】
図6Aは、
図2のスライド装置における第1摺動部材及び第3摺動部材の位置を示す模式的な部分平面図であり、
図6Bは、
図2のスライド装置における第2摺動部材及び第4摺動部材の位置を示す模式的な部分底面図である。
【
図7】
図7Aは、
図4のVIIA-VIIA線での模式的な切断部端面図であり、
図7Bは、
図4のVIIB-VIIB線での模式的な切断部端面図である。
【
図8】
図8Aは、
図4のVIIIA-VIIIA線での模式的な切断部端面図であり、
図8Bは、
図4のVIIIB-VIIIB線での模式的な切断部端面図である。
【
図9】
図9は、
図2のスライド装置における転動体の位置関係を示す模式図である。
【
図10】
図10は、
図2とは異なる実施形態のスライド装置における転動体の位置関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す乗物用シート10は、シート11と、スライド装置1とを備える。
【0028】
本実施形態のシート11は、乗用車の座席シートとして使用される。なお、以下の説明及び各図面における方向は、シート11を乗物(つまり乗用車)に組み付けた状態における方向を意味する。また、本実施形態では、シート幅方向は、乗物の左右方向に一致し、シート前方は、乗物の前方に一致する。
【0029】
スライド装置1は、シート11と乗物のフロアFとの間に配置されている。スライド装置1は、
図2及び
図3に示すように、可動レール2と、固定レール3と、複数の転動体4A-4Pと、4つの摺動部材5A,5B,5C,5Dと、ロックスプリング6と、解除部材7とを備える。
【0030】
<可動レール>
可動レール2は、いわゆるアッパレールであり、シート11に取り付けられている。可動レール2は、シート前後方向に延伸し、固定レール3に対しシート前後方向にスライド可能に構成されている。
【0031】
可動レール2は、スライド方向(つまりシート前後方向)における第1端部2Aと、第1端部2Aとは反対側の第2端部2Bとを有する。本実施形態では、第1端部2Aは、前端部であり、第2端部2Bは、後端部である。
【0032】
図4に示すように、可動レール2は、上壁21と、第1内側壁22Aと、第2内側壁22Bと、第1折返壁23Aと、第2折返壁23Bとを有する。可動レール2は、シート幅方向の中心を通りシート幅方向と直交する面に対して対称形状である。
【0033】
上壁21は、上下方向と直交する方向に延伸し、シート11と対向している。第1内側壁22Aは、上壁21の右端部から下方に延伸している。第2内側壁22Bは、上壁21の左端部から下方に延伸している。第1内側壁22Aと第2内側壁22Bとは、レール幅方向に対向している。
【0034】
ここで、「レール幅方向」とは、シート上下方向と可動レール2のスライド方向とに直交する方向を意味する。なお、本実施形態では、レール幅方向はシート幅方向に一致している。
【0035】
第1折返壁23Aは、第1内側壁22Aの下端部からレール幅方向外側(つまり右側)かつ上方に向かって折り返すように延伸している。第1折返壁23Aは、上下方向の中間部に、レール幅方向内側(つまり左側)に向けて突出した第1凸部24Aを有する。
【0036】
第2折返壁23Bは、第2内側壁22Bの下端部からレール幅方向内側(つまり左側)かつ上方に向かって折り返すように延伸している。第2折返壁23Bは、上下方向の中間部に、レール幅方向内側(つまり右側)に向けて突出した第2凸部24Bを有する。
【0037】
<固定レール>
固定レール3は、いわゆるロアレールである。固定レール3は、シート前後方向に延伸し、可動レール2を上下方向と直交する方向にスライド可能に支持している。
【0038】
固定レール3は、底壁31と、第1外側壁32Aと、第2外側壁32Bと、第1天壁33Aと、第2天壁33Bと、第1中間側壁34Aと、第2中間側壁34Bとを有する。固定レール3は、シート幅方向の中心を通りシート幅方向と直交する面に対して対称形状である。
【0039】
底壁31は、可動レール2のスライド方向に延伸している。底壁31は、可動レール2の上壁21と対向している。第1外側壁32Aは、底壁31のレール幅方向の右端部から上方に延伸している。第2外側壁32Bは、底壁31のレール幅方向の左端部から上方に延伸している。
【0040】
第1天壁33Aは、第1外側壁32Aの上端部からシート幅方向内側(つまり左側)に延伸している。第1天壁33Aは、可動レール2の第1折返壁23Aを上方から覆っている。
【0041】
第2天壁33Bは、第2外側壁32Bの上端部からシート幅方向内側(つまり右側)に延伸している。第2天壁33Bは、可動レール2の第2折返壁23Bを上方から覆っている。
【0042】
第1中間側壁34Aは、第1天壁33Aの左端部から下方に延伸している。第1中間側壁34Aは、レール幅方向において可動レール2の第1内側壁22Aと第1折返壁23Aとの間に配置されている。
【0043】
第2中間側壁34Bは、第2天壁33Bの右端部から下方に延伸している。第2中間側壁34Bは、レール幅方向において可動レール2の第2内側壁22Bと第2折返壁23Bとの間に配置されている。
【0044】
外側壁32A,32Bと中間側壁34A,34Bとにより、下側が開放され、かつスライド方向に延伸する溝状の2つの空間が形成されている。可動レール2における折返壁23A,23Bの上端部は、固定レール3に形成された上記溝状の空間に挿入されている。
【0045】
固定レール3は乗物のフロアFに固定されていてもよい。また、シート11の折り畳みが可能なように、固定レール3は例えばシート後方の端部が乗物のフロアFに着脱可能に構成されていてもよい。
【0046】
<転動体>
図3に示すように、スライド装置1は、第1転動体4A、第2転動体4B、第3転動体4C、第4転動体4D、第5転動体4E、第6転動体4F、第7転動体4G、第8転動体4H、第9転動体4I、第10転動体4J、第11転動体4K、第12転動体4L、第13転動体4M、第14転動体4N、第15転動体4O、及び第16転動体4Pを備える。
【0047】
転動体4A-4Pは、それぞれ、可動レール2と固定レール3との間に配置されると共に、可動レール2を固定レール3に対して摺動させる。本実施形態の転動体4A-4Pは、それぞれ、可動レール2と固定レール3とに当接するように配置された球体である。
【0048】
第1転動体4A、第5転動体4E、第9転動体4I、及び第13転動体4Mは、それぞれ、可動レール2の第1折返壁23Aと固定レール3の第1中間側壁34Aとによってレール幅方向に挟まれている。具体的には、これらの転動体は、第1折返壁23Aの第1凸部24Aよりも上方の部位と、第1天壁33Aと第1中間側壁34Aとの連結部とに当接している(
図4参照)。
【0049】
第3転動体4C、第7転動体4G、第11転動体4K、及び第15転動体4Oは、それぞれ、可動レール2の第2折返壁23Bと固定レール3の第2中間側壁34Bとによってレール幅方向に挟まれている。具体的には、これらの転動体は、第2折返壁23Bの第2凸部24Bよりも上方の部位と、第2天壁33Bと第2中間側壁34Bとの連結部とに当接している。
【0050】
第2転動体4B、第6転動体4F、第10転動体4J、及び第14転動体4Nは、それぞれ、可動レール2の第1折返壁23Aと固定レール3の第1外側壁32Aとによって上下方向に挟まれている。
【0051】
第4転動体4D、第8転動体4H、第12転動体4L、及び第16転動体4Pは、それぞれ、可動レール2の第2折返壁23Bと固定レール3の第2外側壁32Bとによって上下方向に挟まれている。
【0052】
<摺動部材>
図5Aに示すように、第1摺動部材5Aは、第1保持部材51Aと、第5保持部材51Eと、第1連結部52Aとを有する。
【0053】
第1保持部材51Aは、第1転動体4Aを保持している。また、第1保持部材51Aは、スライド方向において第1転動体4Aよりも可動レール2の第1端部2Aから離れた位置(つまりシート後方)かつスライド方向において第1転動体4Aと重なる位置(つまり同じ高さ)に第9転動体4Iを保持している。したがって、第1転動体4Aは、第1保持部材51Aにおいて第1端部2Aに最も近い位置に保持されている。
【0054】
第5保持部材51Eは、第1保持部材51Aよりもシート後方に配置されている。第5保持部材51Eは、第1連結部52Aによって、第1保持部材51Aとスライド方向に連結されている。
【0055】
第5保持部材51Eは、第1転動体4Aよりも可動レール2の第2端部2Bに近い位置(つまりシート後方)かつスライド方向において第1転動体4Aと重なる位置(つまり同じ高さ)に第5転動体4Eを保持している。また、第5保持部材51Eは、スライド方向において第5転動体4Eよりも可動レール2の第2端部2Bから離れた位置(つまりシート前方)かつスライド方向において第5転動体4Eと重なる位置に第13転動体4Mを保持している。したがって、第5転動体4Eは、第5保持部材51Eにおいて第2端部2Bに最も近い位置に保持されている。
【0056】
図5Bに示すように、第2摺動部材5Bは、第2保持部材51Bと、第6保持部材51Fと、第2連結部52Bとを有する。
第2保持部材51Bは、第1保持部材51Aと分離されている。第2保持部材51Bは、第1保持部材51Aの下方に配置されている。
【0057】
第2保持部材51Bは、第1転動体4Aよりも下方に第2転動体4Bを保持している。また、第2保持部材51Bは、スライド方向において第2転動体4Bよりも可動レール2の第1端部2Aから離れた位置(つまり、シート後方)かつスライド方向において第2転動体4Bと重なる位置に第10転動体4Jを保持している。したがって、第2転動体4Bは、第2保持部材51Bにおいて第1端部2Aに最も近い位置に保持されている。
【0058】
第6保持部材51Fは、第2保持部材51Bよりもシート後方に配置されている。第6保持部材51Fは、第2連結部52Bによって、第2保持部材51Bとスライド方向に連結されている。第6保持部材51Fは、第5保持部材51Eと分離されている。
【0059】
第6保持部材51Fは、第2転動体4Bよりも可動レール2の第2端部2Bに近い位置かつスライド方向において第2転動体4Bと重なる位置に第6転動体4Fを保持している。また、第6保持部材51Fは、スライド方向において第6転動体4Fよりも可動レール2の第2端部2Bから離れた位置かつスライド方向において第6転動体4Fと重なる位置に第14転動体4Nを保持している。したがって、第6転動体4Fは、第6保持部材51Fにおいて第2端部2Bに最も近い位置に保持されている。
【0060】
図5Aに示すように、第3摺動部材5Cは、第3保持部材51Cと、第7保持部材51Gと、第3連結部52Cとを有する。第3摺動部材5Cは、シート幅方向の中心を通りシート幅方向と直交する面に対して第1摺動部材5Aと対称形状である。
【0061】
第3保持部材51Cは、第1保持部材51Aが保持する第1転動体4A及び第9転動体4Iに代えて、第3転動体4C及び第11転動体4Kを保持している。第3転動体4C及び第11転動体4Kは、それぞれ、レール幅方向において第1転動体4A及び第9転動体4Iと重なっている。第3転動体4Cは、第3保持部材51Cにおいて第1端部2Aに最も近い位置に保持されている。
【0062】
第7保持部材51Gは、第5保持部材51Eが保持する第5転動体4E及び第13転動体4Mに代えて、第7転動体4G及び第15転動体4Oを保持している。第7転動体4G及び第15転動体4Oは、それぞれ、レール幅方向において第5転動体4E及び第13転動体4Mと重なっている。第7転動体4Gは、第7保持部材51Gにおいて第2端部2Bに最も近い位置に保持されている。また、第7保持部材51Gは、第3連結部52Cによって第3保持部材51Cにスライド方向に連結されている。
【0063】
図5Bに示すように、第4摺動部材5Dは、第4保持部材51Dと、第8保持部材51Hと、第4連結部52Dとを有する。第4摺動部材5Dは、シート幅方向の中心を通りシート幅方向と直交する面に対して第2摺動部材5Bと対称形状である。
【0064】
第4保持部材51Dは、第3保持部材51Cと分離されている。第4保持部材51Dは、第2保持部材51Bが保持する第2転動体4B及び第10転動体4Jに代えて、第4転動体4D及び第12転動体4Lを保持している。第4転動体4D及び第12転動体4Lは、それぞれ、レール幅方向において第2転動体4B及び第10転動体4Jと重なっている。第4転動体4Dは、第4保持部材51Dにおいて第1端部2Aに最も近い位置に保持されている。
【0065】
第8保持部材51Hは、第6保持部材51Fが保持する第6転動体4F及び第14転動体4Nに代えて、第8転動体4H及び第16転動体4Pを保持している。第8転動体4H及び第16転動体4Pは、それぞれ、レール幅方向において第6転動体4F及び第14転動体4Nと重なっている。第8転動体4Hは、第8保持部材51Hにおいて第2端部2Bに最も近い位置に保持されている。
【0066】
第8保持部材51Hは、第7保持部材51Gと分離されている。さらに、第8保持部材51Hは、第4連結部52Dによって第4保持部材51Dにスライド方向に連結されている。
【0067】
図6A及び
図6Bに示すように、第1摺動部材5A、第2摺動部材5B、第3摺動部材5C及び第4摺動部材5Dは、可動レール2と固定レール3との間に配置されている。第1摺動部材5A、第2摺動部材5B、第3摺動部材5C及び第4摺動部材5Dは、可動レール2と共にスライドする。
【0068】
<転動体の接触点>
図7Aに示すように、第1転動体4Aと可動レール2(具体的には第1折返壁23A)との接触点T1は、スライド方向(つまりシート前後方向)において、第2転動体4Bと可動レール2との接触点T2よりも可動レール2の第1端部2Aから離れている。つまり、第1転動体4Aの接触点T1は、第2転動体4Bの接触点T2に対しシート後方にずれている。
【0069】
さらに、第1転動体4Aと可動レール2との接触点T1及び第9転動体4Iと可動レール2との接触点T9は、スライド方向において、第10転動体4Jと可動レール2との接触点T10よりも可動レール2の第1端部2Aから離れている。
【0070】
図7Bに示すように、第5転動体4Eと可動レール2との接触点T5は、スライド方向において、第6転動体4Fと可動レール2との接触点T6よりも可動レール2の第2端部2Bから離れている。つまり、第5転動体4Eの接触点T5は、第6転動体4Fの接触点T6に対しシート前方にずれている。
【0071】
さらに、第5転動体4Eと可動レール2との接触点T5及び第13転動体4Mと可動レール2との接触点T13は、スライド方向において、第14転動体4Nと可動レール2との接触点T14よりも可動レール2の第2端部2Bから離れている。
【0072】
図8Aに示すように、第3転動体4Cと可動レール2(具体的には第2折返壁23B)との接触点T3は、スライド方向において、第4転動体4Dと可動レール2との接触点T4よりも可動レール2の第1端部2Aから離れている。つまり、第3転動体4Cの接触点T3は、第4転動体4Dの接触点T4に対しシート後方にずれている。
【0073】
さらに、第3転動体4Cと可動レール2との接触点T3及び第11転動体4Kと可動レール2との接触点T11は、スライド方向において、第12転動体4Lと可動レール2との接触点T12よりも可動レール2の第1端部2Aから離れている。
【0074】
図8Bに示すように、第7転動体4Gと可動レール2との接触点T7は、スライド方向において、第8転動体4Hと可動レール2との接触点T8よりも可動レール2の第2端部2Bから離れている。つまり、第7転動体4Gの接触点T7は、第8転動体4Hの接触点T8に対しシート前方にずれている。
【0075】
さらに、第7転動体4Gと可動レール2との接触点T7及び第15転動体4Oと可動レール2との接触点T15は、スライド方向において、第16転動体4Pと可動レール2との接触点T16よりも可動レール2の第2端部2Bから離れている。
【0076】
図9に示すように、可動レール2は、スライド時に長手方向の中央部が下方に凹むように撓む。可動レール2のシート前方の部分では、第1転動体4A及び第9転動体4Iが可動レール2に下方への反力を与えると共に、第2転動体4B及び第10転動体4Jが第1転動体4A及び第9転動体4Iよりもシート前方の位置で可動レール2に上方への反力を与える。
【0077】
第1転動体4A及び第9転動体4Iは、第2転動体4B及び第10転動体4Jの反力によって、シート前方への移動が抑制される。同時に、第2転動体4B及び第10転動体4Jは、第1転動体4A及び第9転動体4Iの反力によって、シート後方への移動が抑制される。
【0078】
可動レール2のシート後方の部分では、第5転動体4E及び第13転動体4Mが可動レール2に下方への反力を与えると共に、第6転動体4F及び第14転動体4Nが第1転動体4A及び第9転動体4Iよりもシート後方の位置で可動レール2に上方への反力を与える。
【0079】
第5転動体4E及び第13転動体4Mは、第6転動体4F及び第14転動体4Nの反力によって、シート後方への移動が抑制される。同時に、第6転動体4F及び第14転動体4Nは、第5転動体4E及び第13転動体4Mの反力によって、シート前方への移動が抑制される。
【0080】
第1転動体4A及び第9転動体4Iを保持する第1保持部材51Aは、第5転動体4E及び第13転動体4Mを保持する第5保持部材51Eと連結されている。また、第2転動体4B及び第10転動体4Jを保持する第2保持部材51Bは、第6転動体4F及び第14転動体4Nを保持する第6保持部材51Fと連結されている。
【0081】
以上の構成によって、第1転動体4A、第2転動体4B、第5転動体4E、第6転動体4F、第9転動体4I、第10転動体4J、第13転動体4M及び第14転動体4Nの可動レール2に対する移動が抑制される。同様の構成によって、第3転動体4C、第4転動体4D、第7転動体4G、第8転動体4H、第11転動体4K、第12転動体4L、第15転動体4O及び第16転動体4Pについても可動レール2に対する移動が抑制される。
【0082】
<ロックスプリング>
図3に示すロックスプリング6は、可動レール2の固定レール3に対するスライドを規制する規制位置と、規制を解除する解除位置とに変位可能な部材である。ロックスプリング6は、可動レール2内に配設されている。
【0083】
<解除部材>
解除部材7は、ロックスプリング6をロック位置から解除位置に変位させる部材である。解除部材7は、ロックスプリング6と共に可動レール2内に配置されている。
【0084】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)第1保持部材51Aが上下方向の異なる位置で転動体を保持する第2保持部材51Bと分離され、第3保持部材51Cが上下方向の異なる位置で転動体を保持する第4保持部材51Dと分離される。そのため、レールの高さが異なるスライド装置1において、共通の保持部材51A,51B,51C,51Dを使用することができる。したがって、保持部材51A,51B,51C,51Dの汎用性を高められる。
【0085】
また、スライド方向において、第1転動体4A及び第3転動体4Cがそれぞれ第2転動体4B及び第4転動体4Dよりもスライド方向内側に配置されることで、第2転動体4B及び第4転動体4Dによるレールへの反力によって、第1転動体4A及び第3転動体4Cがスライド方向外側へずれることが抑制される。その結果、第1転動体4A及び第3転動体4Cがストッパ等の他の部材に干渉し、シート11のスライドが規制されることが抑制される。
【0086】
(1b)第5転動体4E及び第7転動体4Gがそれぞれ第6転動体4F及び第8転動体4Hよりもスライド方向内側に配置されることで、可動レール2の第1端部2A側と第2端部2B側との双方において転動体のスライド方向外側へのずれを抑制できる。
【0087】
(1c)第2転動体4Bが第1転動体4Aによるレールへの反力によってスライド方向内側へずれることが抑制されることで、第2転動体4Bを保持する第2保持部材51Bと第2保持部材51Bに連結された第6保持部材51Fとの移動が規制される。その結果、第6保持部材51Fに保持された第6転動体4Fのスライド方向外側へのずれが抑制される。同様の理由で、第2転動体4B、第4転動体4D及び第8転動体4Hのスライド方向外側へのずれも抑制される。
【0088】
また、第1転動体4Aが第2転動体4Bによるレールへの反力によってスライド方向外側へずれることが抑制されることで、第1転動体4Aを保持する第1保持部材51Aと第1保持部材51Aに連結された第5保持部材51Eとの移動が規制される。その結果、第5保持部材51Eに保持された第5転動体4Eのスライド方向内側へのずれが抑制される。同様の理由で、第1転動体4A、第3転動体4C及び第7転動体4Gのスライド方向内側へのずれも抑制される。
【0089】
(1d)下側に配置される複数の転動体(つまり第2転動体4Bと第6転動体4Fとの組、及び第4転動体4Dと第8転動体4Hとの組)のスライド方向の距離を大きくできるため、可動レール2の剛性が向上する。
【0090】
(1e)第1転動体4Aよりもシート前方に配置された第10転動体4Jと、第3転動体4Cよりもシート前方に配置された第12転動体4Lとによって、可動レール2と固定レール3との摺動面積を増加させつつ、第1転動体4A及び第3転動体4Cがスライド方向外側へずれることをより的確に抑制できる。
【0091】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0092】
(2a)上記実施形態のスライド装置1において、
図10に示すように、第2保持部材51Bは、第2転動体4Bを第1転動体4Aよりも上方に保持してもよい。つまり、転動体4A,4C,4E,4G,4I,4K,4M,4Oは、転動体4B,4D,4F,4H,4J,4L,4N,4Pよりも上方に配置されてもよい。
【0093】
(2b)上記実施形態のスライド装置1において、保持部材51A,51B,51C,51D,51E,51F,51G,51Hは、それぞれ、1つのみの転動体を保持してもよいし、3つ以上の転動体を保持してもよい。
【0094】
(2c)上記実施形態のスライド装置1において、第1保持部材51Aと第5保持部材51Eとは連結されていなくてもよい。第2保持部材51Bと第6保持部材51Fとは連結されていなくてもよい。第3保持部材51Cと第7保持部材51Gとは連結されていなくてもよい。第4保持部材51Dと第8保持部材51Hとは連結されていなくてもよい。
【0095】
(2d)上記実施形態のスライド装置1において、転動体は球体に限定されない。スライド装置1は、転動体として、例えばレール幅方向と平行な回転軸を有するローラを備えてもよい。
【0096】
(2e)上記実施形態のスライド装置1は、乗用車以外の自動車に用いられるシートや、自動車以外の例えば鉄道車両、船舶、航空機等の乗物に用いられるシートにも適用できる。また、上記実施形態のスライド装置1は、乗物以外の建物で使用されるシートにも適用できる。
【0097】
(2f)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0098】
1…スライド装置、2…可動レール、2A…第1端部、2B…第2端部、
3…固定レール、4A-4P…転動体、5A,5B,5C,5D…摺動部材、
6…ロックスプリング、7…解除部材、10…乗物用シート、11…シート、
21…上壁、22A,22B…内側壁、23A,23B…折返壁、
24A,24B…凸部、31…底壁、32A,32B…外側壁、
33A,33B…天壁、34A,34B…中間側壁、51A-51H…保持部材、
52A,52B,52C,52D…連結部。