(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】水中遠隔制御装置
(51)【国際特許分類】
B63C 11/00 20060101AFI20231129BHJP
B63C 11/49 20060101ALI20231129BHJP
B63C 11/48 20060101ALI20231129BHJP
H04B 11/00 20060101ALI20231129BHJP
H04B 7/155 20060101ALI20231129BHJP
B25J 11/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B63C11/00 C
B63C11/00 B
B63C11/49
B63C11/48 D
H04B11/00 D
H04B11/00 C
H04B7/155
B25J11/00 Z
(21)【出願番号】P 2020036988
(22)【出願日】2020-03-04
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】澤田 信一
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-070125(JP,A)
【文献】特開2017-225272(JP,A)
【文献】実開昭64-035199(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1803430(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63C 11/00-11/52
H04B 7/14- 7/22,11/00
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航行位置を検出しつつ航行する水中航走体を遠隔操作装置から遠隔制御する水中遠隔制御装置であって、
前記水中航走体が予め設定された特定航行位置に到着するまでの間は、前記遠隔操作装置と前記水中航走体との間で音響通信を行い、前記水中航走体が前記特定航行位置に到着すると、当該特定航行位置に設けられると共に前記遠隔操作装置と接続されたアンテナを介して前記遠隔操作装置と前記水中航走体との間で電磁波通信を行
い、
前記水中航走体は、一対のマニピュレータを備え、一方の前記マニピュレータで前記アンテナを把持することによって前記遠隔操作装置と電磁波通信を行うことを特徴とする水中遠隔制御装置。
【請求項2】
前記水中航走体は、他方の前記マニピュレータを用いて現場作業を行うことを特徴とする請求項1に記載の水中遠隔制御装置。
【請求項3】
前記アンテナは、位置あるいは/及び姿勢を維持するために前記水中航走体が係合する保持部材であることを特徴とする請求項1
または2に記載の水中遠隔制御装置。
【請求項4】
前記水中航走体は、前記特定航行位置の映像を取得するカメラを備え、該カメラから出力される映像信号を前記遠隔操作装置に送信することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の水中遠隔制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中遠隔制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、可搬式無人航走体が開示されている。この可搬式無人航走体械は、水中で作業を行う涙滴型船体を水上の母船から無線及び有線を用いて遠隔制御するものである。すなわち、この可搬式無人航走体では、水上に浮かぶと共に涙滴型船体とアンビリカルケーブルで接続された浮体を設け、当該浮体と母船との間で無線通信し、浮体と涙滴型船体との間で有線通信することにより、作業現場の状況を確認しつつ涙滴型船体を遠隔制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記背景技術は、有線通信のためにアンビリカルケーブルを採用するものであり、深度が比較的深い水域の作業に適用することができない。すなわち、深度が深くなってアンビリカルケーブルが長くなると、アンビリカルケーブルが潮流等の影響を受けて涙滴型船体(水中航走体)の姿勢制御に悪影響を与える。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、有線通信を用いることなく水中航走体を的確に遠隔制御することが可能な水中遠隔制御装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、水中遠隔制御装置に係る第1の解決手段として、航行位置を検出しつつ航行する水中航走体を遠隔操作装置から遠隔制御する水中遠隔制御装置であって、前記水中航走体が予め設定された特定航行位置に到着するまでの間は、前記遠隔操作装置と前記水中航走体との間で音響通信を行い、前記水中航走体が前記特定航行位置に到着すると、当該特定航行位置に設けられると共に前記遠隔操作装置と接続されたアンテナを介して前記遠隔操作装置と前記水中航走体との間で電磁波通信を行う、という手段を採用する。
【0007】
本発明では、水中遠隔制御装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記水中航走体は、一対のマニピュレータを備え、一方の前記マニピュレータで前記アンテナを把持することによって前記遠隔操作装置と電磁波通信を行う、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、水中遠隔制御装置に係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、前記水中航走体は、他方の前記マニピュレータを用いて現場作業を行う、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、水中遠隔制御装置に係る第4の解決手段として、上記第1~第3のいずれかの解決手段において、前記アンテナは、位置あるいは/及び姿勢を維持するために前記水中航走体が係合する保持部材である、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、水中遠隔制御装置に係る第5の解決手段として、上記第1~第4のいずれかの解決手段において、前記水中航走体は、前記特定航行位置の映像を取得するカメラを備え、該カメラから出力される映像信号を前記遠隔操作装置に送信する、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、有線通信を用いることなく対象物を的確に遠隔制御することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態における水中作業システムの全体構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る水中遠隔制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態における水中航走体2及び現場設備3の構成を示す模式図である。
【
図4】本発明の一実施形態における通信形態の切替を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
最初に、本実施形態における水中作業システムについて、
図1~
図3を参照して説明する。この水中作業システムは、
図1に示すように母船1、水中航走体2、現場設備3及び浮体設備4を備えている。
【0014】
母船1は、海上(水上)における水中航走体2の収容設備であり、出航した水中航走体2に対して海上(水上)から作業指示を与える。この母船1は、
図2に示すように、水中航走体2を遠隔操作する操作機器として遠隔操作装置1aを備えている。
【0015】
遠隔操作装置1aは、2つの通信チャネルを用いて水中航走体2と無線通信を行うことにより、水中航走体2に操作指令を伝達する。上記2つの通信チャネルは、例えば音波を通信媒体とする音響通信T1及び電波を通信媒体とする電磁波通信T2である。詳細については後述するが、遠隔操作装置1aは、水中航走体2から受信する切替要求信号に基づいて音響通信T1と電磁波通信T2とを切替える。
【0016】
水中航走体2は、航行位置を検出しつつ航行する自立航行型の無人航走体であり、
図3に示すようにスラスタ2a、一対のマニピュレータ2b、2c、照明ライト2d及びカメラ2eを備え、また
図2に示すように航走体通信装置2f及び航走体制御装置2gを備えている。
【0017】
スラスタ2aは、推進力を発生させるプロペラであり、図示するように水中航走体2の後部に設けらている。水中航走体2は、スラスタ2aが正回転することによって前進し、またスラスタ2aが逆回転することによって後進する。このようなスラスタ2aは、航走体制御装置2gによって動作が制御される。
【0018】
まお、
図3には舵が記載されていないが、水中航走体2にはスラスタ2aに加えて、水中航走体2の針路を設定する舵が備えられている。この舵もスラスタ2aと同様に航走体制御装置2gによって動作が制御される。すなわち、この水中航走体2は、スラスタ2a及び舵が航走体制御装置2gによって制御されて作動することによって、水中における前後方向、左右方向及び上下方向に移動自在である。
【0019】
一対のマニピュレータ2b、2cは、現場設備3に対して所定の作業を行う作業機器である。これら一対のマニピュレータ2b、2cも、航走体制御装置2gによって動作が制御される。また、これら一対のマニピュレータ2b、2cのうち、一方のマニピュレータ2bは、自らの位置あるいは/及び姿勢を保持するために現場設備3に係合する保持アームである。
【0020】
なお、上記保持アーム2bは、鋼材等の構造材かつ導電性材料によって形成されており、航走体通信装置2fが電波を通信媒体とした電磁波通信を現場通信装置3cと行うための通信アンテナとしても機能する。すなわち、この保持アーム2bは、航走体通信装置2fが有する通信機能の一部を担う構成要素である。
【0021】
また、一対のマニピュレータ2b、2cのうち、他方のマニピュレータ2cは、現場作業を行う作業アームである。すなわち、水中航走体2は、現場設備3に対して所定の現場作業を行うために、母船1から現場設備3に向かって航行する。そして、水中航走体2は、作業現場である現場設備3に到着すると、作業アーム2cを航走体制御装置2gで制御することによって所定の現場作業を行う。
【0022】
照明ライト2dは、現場設備3(作業現場)に照明光を照射する発光体である。現場設備3(作業現場)の深度が比較的深い場合、太陽光が現場設備3(作業現場)に届かない。また、現場設備3(作業現場)の深度が比較的浅い場合であっても夜間における現場作業では太陽光による照明が期待できない。この照明ライト2dは、太陽光の有無に拘わらず現場設備3(作業現場)の状態を映像として確認するために設けられている。
【0023】
カメラ2eは、現場設備3(作業現場)の映像(現場映像)を取得する撮影機器である。このカメラ2eは、航走体制御装置2gによって動作が制御される。すなわち、このカメラ2eは、航走体制御装置2gから入力される制御信号に基づいて現場映像の取得を開始し、当該現場映像を示す映像信号を航走体通信装置2fに出力する。
【0024】
航走体通信装置2fは、母船1の遠隔操作装置1aと無線通信を行う通信機器である。すなわち、この航走体通信装置2fは、遠隔操作装置1aから操作指令を受信すると共に、水中航走体2の作動状態を示す状態信号及び上記カメラ2eの映像信号を遠隔操作装置1aに送信する。
【0025】
このような航走体通信装置2fは、遠隔操作装置1aとの間で2つの通信チャネル(音響通信T1及び電磁波通信T2)を用いて無線通信を行う。また、この航走体通信装置2fは、遠隔操作装置1aに対して切替要求信号を送信することにより、2つの通信チャネル(音響通信T1及び電磁波通信T2)を切替える。なお、上記切替要求信号は、後述する航走体制御装置2gによって生成される。
【0026】
航走体制御装置2gは、水中航走体2の全体動作を制御する制御機器である。すなわち、この航走体制御装置2gは、スラスタ2a及び舵(図示略)の動作に加えて、一対のマニピュレータ2b、2c、照明ライト2d及びカメラ2eの動作を制御する。
【0027】
また、この航走体制御装置2gは、水中航走体2の航行位置を検出する慣性航法装置を備えている。航走体制御装置2gは、慣性航法装置の検出結果である航行位置に基づいてスラスタ2a及び舵を制御することにより水中航走体2を自立航行させる。
【0028】
さらに、この航走体制御装置2gは、航行位置が現場設備3の近傍に設定された特定航行位置Pに到達すると、切替要求信号を航走体通信装置2fに出力することにより、母船1の遠隔操作装置1aに送信させる。
【0029】
ここで、上記特定航行位置Pは、海中(水中)において電磁波を通信媒体とした無線中心が可能な現場設備3からの距離として設定された位置である。一般的には、水中における電磁波通信は実用的ではないというのが技術常識であるが、これは一般的に想定される無線伝送距離が数十メートルを超える比較的遠距離を想定しているからである。
【0030】
すなわち、数メートル以下の近距離無線通信では、電磁波通信は十分な通信品質を提供することが可能である。このような知見に基づいて、本実施形態では切替要求信号に基づいて通信形態を音響通信T1から電磁波通信T2に切り替える。
【0031】
現場設備3は、海中(水中)に構築された水中設備であり、
図1に示す被操作部3a及び保持棒3b並びに
図2に示す現場通信装置3cを備えている。被操作部3aは、水中航走体2によって操作される部位であり、保持棒3bは水中航走体2の位置あるいは/及び姿勢を維持するための保持部材である。すなわち、被操作部3aは、作業アーム2cを用いて操作され、また保持棒3bは保持アーム2bを用いて水中航走体2に係合される。
【0032】
現場通信装置3cは、母船1と水中航走体2との通信を中継する中継機器である。この現場通信装置3cは、水中航走体2の航走体通信装置2fと電波を通信媒体とした電磁波通信を行うと共に、浮体設備4と有線通信を行う。
【0033】
なお、上述した保持棒3bは、鋼材等の構造材かつ導電性材料によって形成されており、現場通信装置3cが航走体通信装置2fと電波を通信媒体とした電磁波通信を行うための通信アンテナとしても機能する。すなわち、この保持棒3bは、現場通信装置3cが有する通信機能の一部を担う構成要素である。
【0034】
浮体設備4は、海上(水上)に浮いた状態で現場設備3に係留された浮体機器であり、
図1に示す係留ケーブル4aと
図2に示す浮体信装置4bとを備えている。すなわち、この浮体設備4は、係留ケーブル4aを介して現場設備3に機械的かつ電気的に接続されている。
【0035】
係留ケーブル4aは、浮体設備4を現場設備3に機械的に接続する機能に加え、浮体設備4と現場設備3とを電気的に接続する。すなわち、この係留ケーブル4aは、浮体信装置4bを現場設備3の現場通信装置3cとを通信自在に接続する通信ケーブルとしての機能を備えている。
【0036】
浮体信装置4bは、現場設備3と母船1との通信を中継する中継機器である。すなわち、この浮体信装置4bは、現場設備3の現場通信装置3cと係留ケーブル4aを介した有線通信を行うと共に、母船1の遠隔操作装置1aと電波を無線媒体とした電磁波通信T2を行う。
【0037】
ここで、上述した保持アーム2bは航走体通信装置2fの通信アンテナとしても機能し、また保持棒3bは現場通信装置3cの通信アンテナとしても機能する。すなわち、本実施形態に係る水中遠隔制御装置は、
図2に示すように、遠隔操作装置1a、航走体通信装置2f、航走体制御装置2g、現場通信装置3c及び浮体通信装置4aに加え、保持アーム2b及び保持棒3bをも構成要素とする。
【0038】
次に、本実施形態に係る水中遠隔制御装置の動作について、
図4をも参照して詳しく説明する。
【0039】
この水中遠隔制御装置では、航走体制御装置2gが切替要求信号を出力する前と後とで通信形態が異なる。航走体制御装置2gは、水中航走体2の航行位置が現場設備3の近傍に設定された特定航行位置Pに到達すると、切替要求信号を航走体通信装置2fに母船1に向けて送信させるが、切替要求信号の送信前では音響通信T1を航走体通信装置2fに指示する。
【0040】
すなわち、航走体通信装置2fは、
図4に示すように、母船位置から特定航行位置Pまでの音響通信領域R1では、音響通信T1を用いて母船1の遠隔操作装置1aと交信する。この音響通信領域R1は、母船1との間で電磁波通信T2ができない航行期間、つまり水中航走体2にとって母船1との間で音響通信T1のみが可能な航行期間である。
【0041】
これに対して、水中航走体2が特定航行位置Pに到達すると、航走体通信装置2fは、切替要求信号を音響通信T1を用いて母船1の遠隔操作装置1aに送信することにより、
図4に示すように、遠隔操作装置1aとの通信形態を音響通信T1から電磁波通信T2に切り替える。この電磁波通信T2は、母船1との間で電磁波通信T2が可能な航行期間である。
【0042】
すなわち、水中航走体2の航走体制御装置2gは、航走体通信装置2fに切替要求信号を送信させ、航走体通信装置2fが当該切替要求信号に対する許可信号を母船1の遠隔操作装置1aから受信すると、航走体通信装置2fの通信形態を音響通信T1から電磁波通信T2に切り替えさせる。
【0043】
そして、航走体制御装置2gは、水中航走体2が現場設備3の位置(現場位置)に到着すると、保持アーム2bに保持棒3bを把持させる。この保持アーム2bと保持棒3bとの係合に行って、水中航走体2の通信アンテナ(保持アーム2b)と現場設備3の通信アンテナ(保持棒3b)との極めて近距離な関係が保持されるので、航走体通信装置2fと現場通信装置3cとは、安定した電磁波通信T2を行うことができる。
【0044】
そして、航走体制御装置2gは、このような保持アーム2bと保持棒3bとの係合状態において、作業アーム2cを用いて被操作部3aを操作する。このような現場作業では、保持アーム2bと保持棒3bとが係合状態にあるので、水中航走体2の位置や姿勢が安定する。したがって、水中航走体2は、現場設備3に対して確実な作業を行うことが可能である。
【0045】
ここで、電磁波通信T2は、音響通信T1に比較して通信周波数が極端に高いので、データ容量が音響通信T1よりも飛躍的に向上する。例えば、音響通信T1では情報量が多い映像信号(映像データ)を伝送することができないが、電磁波通信T2では十分な伝送速度で映像信号(映像データ)を伝送することが可能である。
【0046】
音響通信領域R1において航走体通信装置2fが遠隔操作装置1aと送受信する情報は、操作指令等の制御情報であり、音響通信T1によって十分に伝送できるデータ容量のものである。これに対して、電磁波通信領域R2において航走体通信装置2fが遠隔操作装置1aと送受信する情報は、操作指令に加えてカメラ2eの映像信号(映像データ)が含まれるので、音響通信T1によって実用的な伝送速度できず、電磁波通信T2によって十分な伝送速度で伝送できるものである。
【0047】
このような背景から、本実施形態では、音響通信領域R1では音響通信T1を用い、電磁波通信領域R2つまり現場位置近傍の現場近傍領域では音響通信T1から電磁波通信T2に通信形態を切替える。このような本実施形態によれば、有線通信を用いることなく、遠隔操作装置1aにおいて作業現場の状況を映像信号に基づいて確認しつつ水中航走体2を的確に遠隔制御することが可能である。
【0048】
また、本実施形態によれば、保持アーム2b及び保持棒3bを電磁波通信用の通信アンテナとして流用するので、通信アンテナを別途設ける必要がない。よって本実施形態によれば、水中航走体2及び現場設備3に通信アンテナを設ける必要がなく、よって水中航走体2及び現場設備3の部品点数の増加を防止ることが可能である。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、遠隔操作装置1aを母船1に設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、遠隔操作装置1aを地上設備に設けてもよい。
【0050】
(2)上記実施形態では、浮体設備4を設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、現場設備3を地上設備と通信ケーブルで接続し、地上設備に設けられた遠隔操作装置1aと現場設備3の現場通信装置3cとで有線通信を行ってもよい。この場合、浮体設備4を省略することが可能である。
【0051】
(3)上記実施形態では、保持アーム2b及び保持棒3bを通信アンテナとして流用したが、本発明はこれに限定されない。水中航走体2と現場設備3とに通信アンテナを別途設けてもよい。
【0052】
(4)上記実施形態では、一対のマニピュレータ2b、2cを備える水中航走体2について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、水中航走体2は、一対のマニピュレータ2b、2cを作業具として備えるものに限定されない。例えば、水中航走体2としては、カメラ2eを用いて現場設備3の状態を監視するものであってもよい。なお、この場合には、カメラ2eが作業具である。
【符号の説明】
【0053】
T1 音響通信
T2 電磁波通信
1 母船
1a 遠隔操作装置
2 水中航走体
2a スラスタ
2b マニピュレータ(保持アーム)
2c マニピュレータ(作業アーム)
2d 照明ライト
2e カメラ
2f 航走体通信装置
2g 航走体制御装置
3 現場設備
3a 被操作部
3b 保持棒(保持部材)
3c 現場通信装置
4 浮体設備
4a 係留ケーブル
4b 浮体通信装置