(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置用内壁部材及びプラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
(21)【出願番号】P 2020037550
(22)【出願日】2020-03-05
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】野村 聡
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-043250(JP,A)
【文献】国際公開第2011/055673(WO,A1)
【文献】特開2014-198664(JP,A)
【文献】特開平10-163180(JP,A)
【文献】特開2009-051724(JP,A)
【文献】特開2005-303045(JP,A)
【文献】特開2016-181385(JP,A)
【文献】特開2005-159289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理装置のチャンバ内で相互に対向する一対の電極の間の空間を囲む筒状の内壁部材であって、複数の結晶粒が当該内壁部材の軸と略平行に延びてなる柱状晶シリコンにより構成されて
おり、
前記結晶粒の平均粒径が円相当径で14.9mm以上であり、
内周面の算術平均粗さRaが5.0μm以下であることを特徴とするプラズマ処理装置用内壁部材。
【請求項2】
少なくとも内周面が円筒面であることを特徴とする請求項
1に記載のプラズマ処理装置用内壁部材。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載のプラズマ処理装置用内壁部材が、チャンバ内で相互に対向する一対の電極の間の空間を囲むように配置されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理装置用内壁部材及びその内壁部材を用いたプラズマ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造プロセスに使用されるプラズマエッチング装置やプラズマCVD装置等のプラズマ処理装置は、チャンバ内に、高周波電源に接続される上部電極と下部電極とを、例えば、上下方向に対向配置し、下部電極の上にシリコンウエハを配置した状態として、上部電極に形成した貫通孔から処理ガスを被処理基板に向かって流通させながら高周波電圧を印加することによりプラズマを発生させ、被処理基板にエッチング等の処理を行う構成とされている。
【0003】
このようなプラズマ処理装置において、そのチャンバの周壁の内面がプラズマ領域に晒されるため、その周壁内面からのパーティクルの発生を防止する対策が必要である。
例えば、特許文献1では、チャンバの周壁は、アルミニウム材料又はアルマイト加工されたアルミニウム材料が用いられており、パーティクル発生の防止のため、チャンバ内面を定期的にクリーニングすることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2は、チャンバ周壁にアルミニウム系材料として、三酸化アルミニウムが用いられており、この三酸化アルミニウムは、ヘリウムガス、水素ガス、及びネオンガスの浸透に強く、ガスとの反応性が小さい特性を有すると記載されている。
特許文献3では、チャンバの周壁の内側に円筒状のライナを設けて、プラズマがチャンバの周壁と接触することを防いでいる。ライナはステンレス鋼、シリコン等の本体を、酸化エルビウム等でコーティングしたものが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-152539号公報
【文献】特開2013-98172号公報
【文献】特開2017-11265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のようにチャンバ内面を定期的にクリーニングするだけでは、パーティクルの発生防止には不十分である。また、特許文献2記載のチャンバ周壁を三酸化アルミニウムとし、あるいは、特許文献3記載のライナを設けたとしても、これらがエッチングされると、パーティクルの発生を完全には防止できない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、パーティクルが発生しにくいプラズマ処理装置用内壁部材を提供し、プラズマ処理品質を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題解決のため、プラズマ処理の対象であるシリコンウエハに対する不純物付着をなくすため、チャンバの周壁をシリコン(Si)で形成することが考えられる。しかしながら、単結晶のシリコンは直径500mm程度までしか製造できず、大きなチャンバの周壁としては利用できない。一方、大きさに制約なく製造可能な多結晶のシリコンを周壁とした場合、結晶粒ごとにエッチングのされやすさが異なるため、長時間エッチングされると、粒界に対応する不規則な凹凸が生じる。この凹凸の段差が、エッチングガス等の処理ガスの流れに対して抵抗となるため、結晶粒の欠損や粒界に存在する不純物の流出等によりパーティクルが発生しやすい。したがって、エッチングされてもパーティクルが発生しにくいものである必要がある。このような知見の下、本発明を以下の解決手段とした。
【0009】
すなわち、本発明のプラズマ処理装置用内壁部材は、プラズマ処理装置のチャンバ内で相互に対向する一対の電極の間の空間を囲む筒状の内壁部材であって、複数の結晶粒が当該内壁部材の軸と略平行に延びてなる柱状晶シリコンにより構成されている。
【0010】
柱状晶シリコンは、一方向凝固等の手法により、複数の結晶粒を一方向に成長させた、異方性を有する柱状の結晶組織を有するシリコンである。この柱状晶シリコンを軸と略平行な方向に成長させて構成した内壁部材は、多くの粒界が軸と略平行な方向に沿って配置されている。この内壁部材の軸方向は、両電極の対向方向と平行になり、処理ガスの流れ方向と平行である。このため、プラズマ発生領域に長時間晒されてエッチングされた場合に凹凸が生じるとしても、処理ガスの流れに沿う形状となる。したがって、処理ガスの流れに対する抵抗が小さく、パーティクルが生じにくい。
なお、それぞれの結晶粒において、内壁部材の長さ方向に沿う径が周方向に沿う径より長ければ、その結晶粒は、軸と略平行な方向に延びていると判断する。
【0011】
プラズマ処理装置用内壁部材の一つの実施態様として、前記結晶粒は、軸と平行な方向の長さをX、該軸に直交する方向の長さをYとしたときに、これらの長さの比X/Yの平均値が1.5以上であるとよい。
これらの長さの比X/Yの平均値(平均アスペクト比)が1.5未満では、軸と略平行な方向に延びる粒界の比率が少なくなり、上記した効果が得られにくい。
【0012】
プラズマ処理装置用内壁部材の他の一つの実施態様は、前記結晶粒の平均粒径が円相当径で5.0mm以上であるとよい。
結晶粒の平均粒径が5.0mm未満であると、粒界が多くなることから、処理ガスの流れに対する抵抗が増大し、パーティクルの発生を防止する効果が乏しくなる。
【0013】
また、内壁部材の内周面の算術平均粗さRaは5.0μm以下であるとよい。算術平均粗さRaが5.0μmを超えると、稼働初期の段階でパーティクルが若干多くなる傾向にある。
【0014】
プラズマ処理装置用内壁部材のさらに他の一つの実施態様は、少なくとも内周面が円筒面である。
プラズマ発生領域に晒される内周面に角部がない円筒面であると、処理ガスの流れに対する抵抗が生じにくく、パーティクルの発生をより確実に防止できる。
【0015】
本発明のプラズマ処理装置は、前記内壁部材が、チャンバ内の電極の間の空間を囲むように配置されている。この場合、チャンバの周壁自体を内壁部材により構成してもよいし、チャンバの周壁の内周面を覆うライナ部材として、あるいはチャンバの周壁の内側に同心的に配置される筒状壁として、内壁部材を配置してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のプラズマ処理装置用内壁部材はエッチングされてもパーティクルが発生しにくく、これを用いることにより、プラズマ処理品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態のプラズマ処理装置の概略構成図である。
【
図2】一実施形態の内壁部材を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図2の内壁部材における結晶粒を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
まず、プラズマ処理装置の例としてプラズマエッチング装置1について説明する。
このプラズマエッチング装置1は、
図1の概略断面図に示されるように、チャンバ2内の上部に平板状の上部電極3が設けられるとともに、下部に上下動可能な下部電極4が上部電極3と相互間隔をおいて平行に設けられている。この場合、上部電極3は絶縁体5によりチャンバ2の壁に対して絶縁状態に支持されているとともに、下部電極4の上には、静電チャック6と、その周りを囲むフォーカスリング7とが設けられており、静電チャック6の上に、フォーカスリング7により周縁部を支持した状態でシリコンウエハ(被処理基板)8を載置するようになっている。
【0019】
また、チャンバ2の上部にはエッチングガス供給管9が設けられ、このエッチングガス供給管9から送られてきたエッチングガスは拡散室10を経由した後、上部電極3に設けられたガス通過孔11を通してウエハ8に向かって流され、チャンバ2の側部の排出口12から外部に排出される構成とされている。一方、上部電極3と下部電極4との間には高周波電源13により高周波電圧が印加されるようになっている。
【0020】
また、上部電極3は、シリコンによって円板状に形成されており、その背面には熱伝導性に優れるアルミニウム等からなる冷却板14が固定され、この冷却板14にも電極板3のガス通過孔11に連通するように、このガス通過孔11と同じピッチで貫通孔15が形成されている。そして、電極板3は、背面が冷却板に接触した状態でねじ止め等によってプラズマ処理装置1内に固定される。
【0021】
また、チャンバ2の内側には、上部電極3と下部電極4との間の空間を囲むように円筒形状の内壁部材21が設けられている。
図1に示す例では、内壁部材21の上端部が、上部電極3が固定されている部材に取付け固定されており、チャンバ2の周壁2aから離間し、該周壁2aと同心状に配置されている。
この内壁部材21は、
図2に模式的に示したように、複数の結晶粒21aが円筒の軸Cと略平行に延びる柱状晶シリコンにより構成されている。この内壁部材21を構成する柱状晶シリコンは、一方向凝固等の手法により、複数の結晶粒21aを軸Cと略平行な方向に成長させた、異方性を有する柱状の結晶組織を有するシリコンである。
図1に示すように、内壁部材21は、プラズマエッチング装置1において、電極3,4の対向方向、つまり上下方向に軸Cを配置させた状態で取り付けられる。したがって、その軸Cの方向は、上部電極3のガス通過孔11から矢印で示すように流出するエッチングガスの流れ方向と略平行になる。
【0022】
この内壁部材21のシリコンの純度は、99.999質量%以上が好ましい。不純物が結晶の粒界に存在する場合もあるが、10質量ppm(0.001質量%)以下であれば、シリコンウエハへの影響は小さい。また、内壁部材21の結晶粒21aは、円筒の軸Cと平行な方向の長さをX、該軸Cに直交する方向の長さをYとしたときに、これらの長さの比の平均(平均アスペクト比)X/Yが1.5以上である。その比X/Yが1.5未満では、軸Cと平行な方向に沿う粒界の比率が少なくなり、パーティクル発生防止の効果が乏しくなる。この比X/Yは1.8以上が好ましい。上限は特に制限ないが、製造上の限界としては、例えばX/Yが1000である。
【0023】
結晶粒21aの平均粒径は、その面積から割り出した円相当直径((4×面積/π)の平方根)で5.0mm以上である。結晶粒21aの平均粒径が5.0mm未満であると、粒界が多くなることから、エッチングガスの流れに対する抵抗が増大し、パーティクルの発生を防止する効果が乏しくなる。結晶粒21aの平均粒径は10mm以上が好ましい。上限は特に制限ないが、通常の条件で製造できる範囲として、例えば1000mmである。
この内壁部材21は、円筒面に形成された外周面によりチャンバ2の内周面を緊密に覆い、円筒面に形成された内周面を上部電極3と下部電極4との間の空間に臨ませて配置され、その内周面でプラズマ発生領域Pを囲んだ状態としている。
【0024】
この内壁部材21を製造するには、垂直に配置した円筒形状の鋳型にシリコンの溶融液を注入し、軸方向の下方から冷却することで、シリコンを鋳型の中で下方から上方に向けて一方向に凝固させ、得られた円柱状のシリコンインゴットの中心部をコアリングによって抜き取ることにより、結晶を円筒の軸Cと略平行な方向に成長させた柱状晶の内壁部材21を得ることができる。鋳型のキャビティを円筒形状に形成してシリコンの溶融液を注入し、下方から一方向凝固させることにより、円筒状の内壁部材を得ることも可能である。最後に、表面を機械加工により研削、研磨して、所望のサイズの内壁部材21に仕上げられる。
【0025】
この内壁部材21の諸寸法は、必ずしも限定されるものではないが、例えば、厚さTが5mm~20mm、高さHが50mm~100mm、直径(内径)Dが300mm~600mmとされる。また、プラズマ発生領域Pに晒される内周面は、パーティクルが極力発生しないように平滑であるのが好ましく、その算術平均粗さRaは5.0μm以下であるとよい。Raが5.0μm以下であれば、エッチング開始の初期においても、パーティクルの発生を有効に防止することができる。この内周面の算術平均粗さRaは3.0μm以下がより好ましい。下限は特に制限ないが、通常の条件で製造できる範囲として、例えば0.01μmである。
【0026】
このように構成されたプラズマエッチング装置1において、上部電極3と下部電極4との間に高周波電源13から高周波電圧を印加した状態でガス供給管9からエッチングガスを供給すると、このエッチングガスは、ガス供給管9の先端に形成されているガス拡散室10内に送られ、上部電極3の通気孔11を通過して上部電極3と下部電極4との間の空間に放出され、この空間内でプラズマとなってシリコンウエハ8に当り、このプラズマのスパッタリングによる物理反応と、エッチングガスによる化学反応とにより、シリコンウエハ8の表面がエッチングされる。
【0027】
このプラズマ処理中に、エッチングガスは、チャンバ2の内周面に設けられている内壁部材21の内周面にも衝突するが、この内壁部材21は内周面が平滑面であるため、エッチングガスの流れに対する抵抗が小さく、パーティクルが発生しにくい。また、この内壁部材21は、結晶粒が軸Cと略平行な方向に沿う柱状晶シリコンにより構成されているため、多くの粒界が軸Cと平行方向、つまりエッチングガスの流れ方向に沿って配置されているため、プラズマ発生領域Pでエッチングされた場合に凹凸が生じるとしても、その凹凸はエッチングガスの流れに沿う形状となる。したがって、エッチングガスの流れに対する抵抗が小さく、パーティクルが生じにくい。
このプラズマエッチング装置1を用いることにより、パーティクルの発生が少なく、したがって汚染が少なく、高品質のエッチング処理を行うことができる。
【0028】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上記実施形態では、内壁部材21をチャンバ2の周壁2aの内側にチャンバ2の周壁2aから間隔をあけて同心的に配置したが、チャンバ2の周壁2aの内周面を覆うライナ部材として内壁部材を配置してもよい。あるいは、チャンバ2の周壁2a自体を内壁部材により構成してもよい。これらチャンバ2の周壁2a自体あるいは周壁2aを覆うライナ部材として内壁部材を設ける場合でも、一方向凝固により形成された柱状晶シリコンからなるので、単結晶シリコンの場合とは異なり、大径のものにも適用することが容易である。
【0029】
また、この内壁部材21の内周面は、平滑な円筒面であることが望ましいが、柱状晶シリコンからなることによってパーティクルの発生が抑えられているので、厳密な円筒面でなくても、断面が円形に近い多角形状とすることを除外するものではない。
また、本発明は実施形態のプラズマエッチング装置1の他、プラズマCVD装置等のプラズマ処理装置一般に適用できる。
【実施例】
【0030】
柱状晶シリコンと多結晶シリコンとにより、厚さ15mm、高さ100mm、内径410mmの円筒状の内壁部材を作製した。これらの作製方法は以下の通りである。
【0031】
(柱状晶シリコン製内壁部材)
円筒形状の鋳型により円柱状のキャビティを形成し、そのキャビティ内にシリコン溶湯を注湯し、下方から冷却することで一方向凝固させ、結晶粒を軸方向と略平行に成長させた柱状晶のシリコンインゴットを得た。ここで、冷却スピードを変化させることで、結晶粒の平均アスペクト比と平均粒径を調整した。次に、シリコンインゴットの中心部をコアリングで抜き取った後、機械加工を施し、厚さ15mm、高さ100mm、径410mmの円筒形状の内壁部材を得た。最後に、内壁部材の内周面を研磨した。
【0032】
なお、得られた内壁部材の組成を、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)発光分光分析装置を用いて測定したところ、不純物量は10質量ppm以下であって、純度99.999質量%以上であった。
【0033】
(多結晶シリコン製内壁部材)
円筒形状の鋳型により円柱状のキャビティを形成し、そのキャビティ内にシリコン溶湯を注湯し、鋳型全周から冷却することで結晶粒の成長方向が不規則な多結晶のシリコンインゴットを得た。ここで、冷却スピードを変化させることで、結晶粒の平均アスペクト比と平均粒径を調整した。次に、シリコンインゴットの中心部をコアリングで抜き取った後、機械加工を施し、厚さ15mm、高さ100mm、径410mmの円筒形状の内壁部材を得た。最後に、内壁部材の内周面を研磨した。
なお、得られた内壁部材の組成をICPを用いて測定したところ、不純物量は10質量ppm以下であって、純度99.999質量%以上であった。
【0034】
以上のように作製した内壁部材について、結晶粒の平均アスペクト比、結晶粒の平均粒径、内周面の表面粗さ(算術平均粗さ)Raを測定した。
結晶粒の平均アスペクト比は、SEM(走査型電子顕微鏡:Scanning Electron Microscope)により観察し、内壁部材の軸方向に沿う結晶粒の最大長さX、軸方向に直交する方向の最大長さYを測定し、Y/Xを算出した。1個の内壁部材について100個の結晶粒の平均値を求めた。
結晶粒の平均粒径は、SEM(走査型電子顕微鏡)により観察し、結晶粒の投影面積から円相当直径(結晶粒の投影面積と同じ面積を持つ円の直径)を算出して粒径とした。1個の内壁部材について100個の結晶粒の平均値を求めた。
表面粗さ(算術平均粗さ)Raは、JIS-B0601に即した方法で、内壁部材の内周面を軸方向に走査して測定した。1個の内壁部材について4箇所測定し、その平均値を求めた。
【0035】
(評価方法)
各実施例、比較例の内壁部材をプラズマエッチング装置のプラズマ発生領域を囲むようにセットし、下記の条件で直径300mmのシリコンウエハへのプラズマエッチングを実施した。
チャンバ内圧力:10-1Torr、
エッチングガス組成:CHF3+O2 +Heの混合ガスとし、流量を90sccm(CHF3)+4sccm(O2)+150sccm(He)とした。
高周波電力:2kW
周波数:20kHz
【0036】
エッチング開始から50時間と、300時間が経過したそれぞれの時点でのシリコンウエハ上のパーティクル数を測定し、その結果を表1に示した。パーティクル数の測定は、パーティクルカウンター(株式会社トプコン製WM-3000)を使用し、ウエハ表面をレーザ光により走査し、付着したパーティクルからの光散乱強度を測定することによりパーティクルの位置と大きさを認識することにより行った。
これらの結果を表1に示す。
【0037】
【0038】
表1に示されるように、柱状晶シリコンからなる実施例の内壁部材は、多結晶シリコンからなる比較例の内壁部材に比べて、300時間経過後のパーティクル数が少なかった。実施例の中でも、結晶粒の平均アスペクト比が1.5以上、平均粒径が5.0mm以上、内周面の表面粗さRaが5.0μm以下である実施例1及び2は、長時間経過してもパーティクルの発生が抑えられており、高品質でプラズマエッチングを施すことができる。実施例5も長時間経過後のパーティクル発生数が抑えられているが、表面粗さRaが5.0μmを超えるため、50時間経過時のパーティクル発生数が実施例1や2に比べると若干多くなっている。
これに対して、比較例1は、長時間経過後のパーティクル発生数が実施例に比べて多くなった。
【符号の説明】
【0039】
1 プラズマエッチング装置
2 チャンバ
2a 周壁
3 上部電極
4 下部電極
5 絶縁体
6 静電チャック
8 シリコンウエハ(被処理基板)
9 エッチングガス供給管
10 拡散室
11 ガス通過孔
12 排出口
13 高周波電源
14 冷却板
15 貫通孔
21 内壁部材
21a 結晶粒
P プラズマ発生領域
C 軸