IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タダノの特許一覧

<>
  • 特許-クレーン 図1
  • 特許-クレーン 図2
  • 特許-クレーン 図3
  • 特許-クレーン 図4
  • 特許-クレーン 図5
  • 特許-クレーン 図6
  • 特許-クレーン 図7
  • 特許-クレーン 図8
  • 特許-クレーン 図9
  • 特許-クレーン 図10
  • 特許-クレーン 図11
  • 特許-クレーン 図12
  • 特許-クレーン 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】クレーン
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/88 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
B66C23/88 N
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020055555
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021155153
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(72)【発明者】
【氏名】中塚 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】梶川 洋岳
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 晃
(72)【発明者】
【氏名】辛島 大貴
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】実開平4-26990(JP,U)
【文献】実開平7-28187(JP,U)
【文献】特開2019-112166(JP,A)
【文献】特開2019-38660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、
当該走行体に旋回フレームを介して旋回、起伏及び伸縮可能に搭載されたブームと、
ドラムに繰出可能に巻き取られ、当該ドラムから延び出て上記ブームの先端部に巻きかけられたワイヤロープと、
当該ワイヤロープの先端に設けられて上記ブームの先端部から垂下する吊下フックと、
当該吊下フックの側面に突設された係止部材と、
当該係止部材が係合する係合具と、を備え、
上記係合具は、
上部に開口を有する収容室が区画されたケーシングと、
所定の回転軸を中心に回転可能な状態で上記収容室に収容され、所定の回転位置で上記開口と連通し且つ上記係止部材が進入可能な溝が形成される回転体と、を有するクレーン。
【請求項2】
上記係止部材は、上記吊下フックの側面に2つ突設されており、
上記溝に進入した2つの上記係止部材の一方は、上記回転軸より上方に位置しており、
上記溝に進入した2つの上記係止部材の他方は、上記回転軸より下方に位置している請求項1に記載のクレーン。
【請求項3】
上記溝に進入した上記係止部材の外形形状は、上記回転軸を挟んで上下に延びている請求項1に記載のクレーン。
【請求項4】
上記係止部材は、上記吊下フックの両側面に対称に配置されており、
上記係合具は、上記各係止部材に対応して設けられている請求項1から3のいずれかに記載のクレーン。
【請求項5】
上記ケーシングは、降下する上記係止部材を上記開口に案内する案内部材を備えている請求項1から4のいずれかに記載のクレーン。
【請求項6】
上記吊下フックが上記ブームの先端部から垂下した状態で、上記係止部材は上記吊下フックの重心より下方に位置する請求項1から5のいずれかに記載のクレーン。
【請求項7】
上記溝は、上記回転軸から外れた位置に形成されている請求項1から6のいずれかに記載のクレーン。
【請求項8】
上記吊下フックが上記ブームの先端部から垂下した状態で、上記係止部材は、上下方向と直交し且つ上記吊下フックの側面に沿った方向において、上記吊下フックの重心から外れた位置に形成されている請求項1から7のいずれかに記載のクレーン。
【請求項9】
上記係合具は、
上記回転体を上記所定の回転位置へ向けて付勢する付勢部と、
上記所定の回転位置に位置する上記回転体の上記付勢部による付勢向きへの回転を規制するストッパと、を備える請求項1から8のいずれかに記載のクレーン。
【請求項10】
上記係合具は、上記旋回フレームに設けられている請求項1から9のいずれかに記載のクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吊荷に係合する吊下フックを有するクレーンの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にクレーンは、ワイヤロープを巻き取りあるいは繰り出すウインチを備えており、ウインチドラムから延び出たワイヤロープがブームの先端部に掛け回され、当該ワイヤロープの先端に吊下フックが設けられる。吊下フックは、非作業時(例えばクレーンの走行時)に格納される。例えば、特許文献1に開示されているように、吊下フックは、クレーンの走行体に設けられた格納係止装置に掛止されることによって、保持格納される。
【0003】
クレーン作業が開始される際、吊下フックは格納係止装置から取り外される必要がある。このとき、ブームが起立されつつ、ウインチからワイヤロープが繰り出される。ブームが起立した状態で、吊下フックは格納係止装置から取り外される。一方、作業終了時、フックは格納係止装置に格納される必要がある。このとき、吊下フックが格納係止装置に掛けられた後に、ブームが倒伏されつつワイヤロープがウインチに巻き取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実全昭55-132093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吊下フックの格納係止装置からの取り外しにおいて、作業者は、クレーンのキャビン内で所定の操作を行うことによってウインチを作動させ、ワイヤロープの張りを解消する。その後、作業者は、キャビンから降りて、手動で吊下フックを格納係止装置から取り外す。作業者は、再びキャビンに乗り込み、キャビン内での操作によって、ブームを適切な位置へ起立させ、ワイヤロープが適切な長さとなるようにワイヤロープの繰り出し動作を行う。
【0006】
吊下フックの格納係止装置への格納において、作業者は、クレーンのキャビン内で所定の操作を行うことによってブームやウインチを作動させ、吊下フックを格納係止装置へ格納可能な位置に移動させる。その後、作業者は、キャビンから降りて、手動で吊下フックを格納係止装置に掛止する。作業者は、再びキャビンに乗り込み、キャビン内での操作によって、ブームを適切な位置へ倒伏させ、ワイヤロープが適切な長さとなるようにワイヤロープの巻き取り動作を行う。
【0007】
このように、従来、吊下フックの格納係止装置からの取り外しや、吊下フックの格納係止装置への格納の過程において、作業者は、吊下フックの格納係止装置に対する取り外しや格納を手動で実行するために、キャビンを乗り降りしなければならなかった。そのため、吊下フックの取り出し及び格納作業に手間がかかっていた。
【0008】
本発明はかかる背景のもとになされたものであって、その目的は、吊下フックの格納係止装置に対する取り外しや格納に要する手間を軽減することができるクレーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係るクレーンは、走行体と、当該走行体に旋回フレームを介して旋回、起伏及び伸縮可能に搭載されたブームと、ドラムに繰出可能に巻き取られ、当該ドラムから延び出て上記ブームの先端部に巻きかけられたワイヤロープと、当該ワイヤロープの先端に設けられて上記ブームの先端部から垂下する吊下フックと、当該吊下フックの側面に突設された係止部材と、当該係止部材が係合する係合具と、を備える。上記係合具は、上部に開口を有する収容室が区画されたケーシングと、所定の回転軸を中心に回転可能な状態で上記収容室に収容され、所定の回転位置で上記開口と連通し且つ上記係止部材が進入可能な溝が形成される回転体と、を有する。
【0010】
本構成では、吊下フックと係合具との係合は、以下のようにして実行される。まず、吊下フックがケーシングの開口の真上となるように、ブームが起伏される。次に、ワイヤロープが繰り出される。これにより、吊下フックが降下して、係止部材が上方から開口を介して所定の回転位置に位置する回転体の溝に進入する。次に、ブームが倒伏されることにより、係止部材から回転体へ押圧力が作用して回転体が回転する。これにより、溝の向きが変わって溝と開口とが連通しなくなる。その結果、係止部材が開口を介して溝から抜け出ることが防止された状態となる。つまり、吊下フックが係合具に係合された状態が維持される。その後、ワイヤロープが巻き取られて張られた状態とされる。
【0011】
また、本構成では、吊下フックと係合具との係合の解除は、以下のようにして実行される。まず、ワイヤロープが繰り出されてワイヤロープの張りが解消される。次に、ブームが起立される。これにより、係止部材から回転体へ押圧力が作用して回転体が所定の回転位置へ回転し、溝と開口が連通した状態となる。この状態において、ワイヤロープが巻き取られる。これにより、係止部材が開口を介して溝から抜け出る。つまり、吊下フックと係合具との係合が解除される。
【0012】
以上のような吊下フックと係合具との係合及び当該係合の解除に際して、作業者は、キャビン内からブーム及びウインチを操作するだけでよく、キャビンから降りることなく吊下フックを係合具へ掛止させたり外したりすることができる。
【0013】
(2) 上記係止部材は、上記吊下フックの側面に2つ突設されている。上記溝に進入した2つの上記係止部材の一方は、上記回転軸より上方に位置している。上記溝に進入した2つの上記係止部材の他方は、上記回転軸より下方に位置している。
【0014】
本構成では、回転体の回転方向に応じて、係止部材は、回転軸より上方または下方の位置から回転体に押圧力を作用させることができるため、回転体を容易に回転させることができる。
【0015】
(3) 上記溝に進入した上記係止部材の外形形状は、上記回転軸を挟んで上下に延びている。
【0016】
本構成では、回転体の回転方向に応じて、係止部材は、回転軸より上方または下方の位置から回転体に押圧力を作用させることができるため、回転体を容易に回転させることができる。
【0017】
(4) 上記係止部材は、上記吊下フックの両側面に対称に配置されている。上記係合具は、上記各係止部材に対応して設けられている。
【0018】
係止部材が係合具に係合した状態において、吊下フックの姿勢を安定させることができる。
【0019】
(5) 上記ケーシングは、降下する上記係止部材を上記開口に案内する案内部材を備えている。
【0020】
吊下フックと係合具との係合過程において吊下フックが開口へ向けて降下するときに、係止部材が開口に対して位置ずれしている場合や、係止部材が開口に対して傾いている場合であっても、案内部材が位置ずれや傾きを是正して、係止部材を開口へ導くことができる。
【0021】
(6) 上記吊下フックが上記ブームの先端部から垂下した状態において、上記係止部材は上記吊下フックの重心より下方に位置する。
【0022】
本構成では、吊下フックがブームの先端部から垂下した状態において、吊下フックは、その重心が下方へ向かうように傾きやすい。吊下フックが傾くことにより、吊下フックの自重が係止部材を介して回転体に作用し、回転体が回転する。本構成では、このようにして、回転体を容易に回転させることができる。
【0023】
(7) 上記溝は、上記回転軸から外れた位置に形成されている。
【0024】
本構成によれば、係止部材が溝に進入した状態において、ワイヤロープに作用する張力が低下すると、吊下フックの自重を受けて回転体が吊下フックと一体に回転する。この場合、吊下フックの傾きに応じて、ワイヤロープに作用している張力を判断することができる。
【0025】
(8) 上記吊下フックが上記ブームの先端部から垂下した状態で、上記係止部材は、上下方向と直交し且つ上記吊下フックの側面に沿った方向において、上記吊下フックの重心から外れた位置に形成されている
【0026】
本構成によれば、係止部材が溝に進入した状態において、ワイヤロープに作用する張力が低下すると、吊下フックの自重を受けて回転体が吊下フックと一体に回転する。この場合、吊下フックの傾きに応じて、ワイヤロープに作用している張力を判断することができる。
【0027】
(9) 上記係合具は、上記回転体を上記所定の回転位置へ向けて付勢する付勢部と、上記所定の回転位置に位置する上記回転体の上記付勢部による付勢向きへの回転を規制するストッパと、を備える。
【0028】
本構成によれば、回転体を所定の回転位置に維持することができる。これにより、降下する吊下フックを溝へ確実に進入させることができる。
【0029】
(10) 上記係合具は、上記旋回フレームに設けられている。
【0030】
ブームと係合具とが共に旋回フレームに支持されているため、旋回フレームの旋回位置にかかわらず、ブームと係合具との相対的な位置関係を一定にすることができる。
【発明の効果】
【0031】
この発明によれば、吊下フックの係合具に対する取り外しや係合に要する手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るクレーン10の斜視図である。
図2図2は、クレーン10の左側面図である。
図3図3は、フックブロック40の斜視図である。
図4図4は、係合具80の斜視図である。
図5図5は、左側のケーシング81の斜視図である。
図6図6は、左側の回転体82の斜視図である。
図7図7は、左側の回転体82の右側面図である。
図8図8は、ブーム32が起立位置に位置し且つフックブロック60が係合具80と係合していない状態のクレーン10の左側面図である。
図9図9は、ブーム32が起立位置に位置し且つフックブロック60が係合具80と係合した状態のクレーン10の左側面図である。
図10図10は、フックブロック40が係合具80に係合した状態のフックブロック40及び係合具80の斜視図である。
図11図11は、ブーム32が起立位置と倒伏位置の間に位置するクレーン10の左側面図である。
図12図12は、ブーム32が倒伏位置に位置するクレーン10の左側面図である。
図13図13は、変形例におけるフックブロック40の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されつつ説明される。なお、本実施形態は、本発明の一態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更されてもよいことは言うまでもない。
【0034】
図1及び図2が示すように、クレーン10は、走行体11と、ブーム装置12と、キャビン13と、ウインチ39と、係合具80とを備える。
【0035】
以下では、クレーン10の進行方向に沿う方向を前後方向101として、クレーン10の幅方向を左右方向102として、前後方向101及び左右方向102と直交する方向を上下方向103として説明する。また、以下では、前後方向101のうち、クレーン10が進行する側が前であり、左右方向102のうち、キャビン13が位置する側が右であるとする。また、以下では、前後方向101及び左右方向102は水平方向であり、上下方向103は鉛直方向であるとする。
【0036】
走行体11は、車体20と、車輪21とを備える。車体20は、不図示の車軸を回転可能に支持している。車軸は、車体20の前部及び後部に位置している。車輪21が、車軸の両端に保持されている。車軸及び車輪21は、エンジン(不図示)によって回転駆動される。これにより、走行体11は走行する。
【0037】
ブーム装置12は、旋回フレーム31と、ブーム32とを備える。旋回フレーム31は、車体20によって上下方向103に延びた旋回軸周りに旋回可能に支持されている。旋回フレーム31は、旋回モータ(不図示)によって旋回される。ブーム32は、旋回フレーム31に支持されている。ブーム32は、旋回フレーム31と一体に旋回可能である。
【0038】
ブーム32は、テレスコピック構造を備えており、伸縮シリンダ(不図示)によって伸縮される。また、ブーム32は、起伏シリンダ36(図2参照)の伸縮によって、左右方向102(図2における紙面と直交する方向)に延びる軸30(図2参照)周りに起伏される。図1及び図2にブーム32が倒伏位置にある状態が示されており、図8にブーム32が起立位置にある状態が示されている。
【0039】
キャビン13は、旋回フレーム31に搭載されている。キャビン13は、操作者が着座するシートと、走行体11の運転に用いる運転装置と、ブーム装置12の操縦に用いる操縦装置とを有する。クレーン10は、いわゆるラフテレーンクレーンであって、走行体11の運転及びブーム装置12の操縦が1つのキャビン13で行われるクレーンである。但し、クレーン10は、ラフテレーンクレーン以外、例えば、運転装置を有するキャビンと、操縦装置を有するキャビンとの2つのキャビンを備えたオールテレーンクレーンであってもよい。運転装置は、車軸を操舵するステアリングや、アクセルペダルや、ブレーキペダルや、シフトレバー等を有する。操作者は、運転装置を用いて、走行体11を走行させる。操縦装置は、旋回モータや、伸縮シリンダや、起伏シリンダ36(図2参照)や、ウインチモータ(不図示)等を駆動させるための複数のレバー等を有する。操作者は、操縦装置を用いて、ブーム装置12を操作する。
【0040】
ウインチ39は、ワイヤロープ42が巻回された回転自在のドラム41(図2参照)と、ワイヤロープ42に繋がれたフックブロック40(特許請求の範囲に記載された吊下フックの一例)とを有する。
【0041】
ドラム41は、旋回フレーム31に回転可能に支持されている。なお、ドラム41は、旋回フレーム31以外、例えばブーム32に支持されていてもよい。ドラム41は、ウインチモータ(不図示)によって回転される。回転するドラム41は、ワイヤロープ42を繰り出し、或いはワイヤロープ42を巻き取る。ワイヤロープ42は、ドラム41からブーム32に沿って架け渡されており、ブーム32の先端部43に設けられたワイヤシーブ(不図示)に巻き掛けられ、垂下している。なお、各図において、ドラム41からフックブロック40へのワイヤロープ42の架け渡しについては、ブーム32の先端部43からフックブロック40への垂下部分のみが模式的に示されており、他の部分についての図示は省略されている。
【0042】
フックブロック40は、ワイヤロープ42の先端に繋がれている。フックブロック40は、ブーム32の先端部43からワイヤロープ42によって垂下される。フックブロック40は、ドラム41が回転することによって昇降する。
【0043】
図3が示すように、フックブロック40は、一対の板状部材51と、連結部材52、53と、4つのシーブ54と、フック55と、ローラ56(特許請求の範囲に記載された係止部材の一例)とを備えている。なお、以下のフックブロック40の説明において、クレーン10が図1に示される姿勢であるとして、各方向(前後方向101、左右方向102、上下方向103、及び水平方向)が規定される。
【0044】
一対の板状部材51は、水平方向に沿った所定方向に対向している。所定方向は、水平方向のうち、ブーム32の長手方向(ブーム32が延びる方向であり、図1では前後方向101)と直交する方向である。つまり、図1において、所定方向は左右方向102である。図3が示すように、左側の板状部材51の一方の上端部に、環状部材57が取り付けられている。連結部材52は、一対の板状部材51の下部を繋いでいる。連結部材53は、一対の板状部材51の上部を繋いでいる。
【0045】
4つのシーブ54(シーブ541、542、543、544)が、一対の板状部材51の間において、所定方向に並んで配置されている。4つのシーブ54は、一対の板状部材51によって所定方向に沿った軸周りに回転可能に支持されている。ブーム32の先端部43(図1参照)から垂下されたワイヤロープ42は、環状部材57を挿通されて、シーブ541に掛け回される。シーブ541から延び出たワイヤロープ42は、シーブ542、543、544に順次掛け回される。シーブ544から延び出たワイヤロープ42は、ブーム32の先端部43へ向けて上方へ延び、先端部43の所定箇所(不図示)に接続される。なお、シーブ54の数は4つに限らない。
【0046】
フック55は、連結部材52によって、上下方向103に沿った軸周りに回転可能に支持されている。フック55は、連結部材52から下方へ延びている。フック55には、吊荷が掛けられる。
【0047】
ローラ56は、一対の板状部材51の外側面511(特許請求の範囲に記載された側面の一例)に突設されている。ローラ56は、一対の板状部材51によって、所定方向に沿った軸周りに回転可能に支持されている。
【0048】
ローラ56は、各板状部材51に2本ずつ突設されている。つまり、フックブロック40は、4本のローラ56を備えている。板状部材51の一方に設けられた2本のローラ56と、板状部材51の他方に設けられた2本のローラ56とは、所定方向に対称である。つまり、各々が2本のローラ56よりなる一対のローラ56が、フックブロック40の両外側面511に対称に配置されている。各板状部材51に設けられた2本のローラ56は、上下方向103に間隔を空けて並んでいる。
【0049】
フックブロック40の重心の前後方向101の位置は、前後方向101の中央である。そして、本実施形態において、ローラ56は、フックブロック40における前後方向101の中央に位置している。つまり、本実施形態において、ローラ56は、前後方向101においてフックブロック40の重心と同位置に位置している。
【0050】
ローラ56は、フックブロック40の下部に設けられている。本実施形態において、ローラ56は、上下方向103においてフックブロック40の重心よりも下方に位置している。なお、ローラ56の位置は、フックブロック40の重心より下方に限らない。
【0051】
図1及び図2が示すように、係合具80は、旋回フレーム31に設けられている。係合具80は、旋回フレーム31の旋回方向(上下方向103周りの方向)の外縁であってブーム32の真下の位置に設けられている。クレーン10が図1に示される姿勢であるとき、係合具80は、旋回フレーム31の前端部に位置している。係合具80は、所定方向(クレーン10が図1に示される姿勢のときの左右方向102)に対向して一対に配置されている。一対の係合具80の各々は、一対のローラ56の各々(1つの板状部材51に設けられた2本のローラ56)に対応して設けられている。
【0052】
図4が示すように、係合具80は、ケーシング81と、回転体82と、ベアリング83と、錘84(特許請求の範囲に記載された付勢部の一例)と、ストッパ85とを備えている。なお、以下の係合具80の構成の説明では、クレーン10が図1に示される姿勢であるとして、各方向(前後方向101、左右方向102、上下方向103)が規定される。
【0053】
図4及び図5が示すように、ケーシング81は、基板61と、円弧板62と、案内部材63、64、65とを備えている。
【0054】
基板61は、前後方向101及び上下方向103に拡がる板である。基板61は、円形の開口60を有している。
【0055】
円弧板62は、環状の板の一部に開口66が形成された板である。円弧板62は、基板61の内面に突設されている。つまり、円弧板62は、一対の係合具80の一方の基板61における一対の係合具80の他方の基板61を向く面から、他方の基板61へ向けて突設されている。円弧板62の中心は、基板61の円形の開口60の中心と同位置である。また、円弧板62の内径は、開口60の直径より長い。つまり、左右方向102に見て、円弧板62は、開口60を囲んでいる。また、円弧板62の開口66は、円弧板62の上部に位置している。
【0056】
円弧板62の内周面によって収容室67が区画されている。収容室67は、上部に開口66を有する空間である。
【0057】
案内部材63は、開口66の前端の縁から前方へ向かうにしたがって上方へ向けて延びた板である。案内部材64は、開口66の後端の縁から後方へ向かうにしたがって上方へ向けて延びた板である。案内部材65は、基板61の上端から左右方向102の外方へ向かうにしたがって上方へ向けて延びた板である。案内部材65の下端は、開口66に面している。左右方向102の外方は、左右方向102のうち、案内部材65が設けられた係合具80と対向する相手方の係合具80から左右方向102に離れる向きである。案内部材65の前部は、案内部材63の左右方向102の外方の端と連続している。案内部材65の後部は、案内部材64の左右方向102の外方の端と連続している。なお、案内部材65及び案内部材63は連続していなくてもよいし、案内部材65及び案内部材64は連続していなくてもよい。また、ケーシング81は、案内部材63、64、65を備えていなくてもよい。
【0058】
図4及び図6が示すように、回転体82は、円柱形状の第1部分45と、第1部分45の底面451(左右方向102の外方の面)から突出した円柱形状の第2部分46とを備えている。第1部分45の直径は、第2部分46の直径より長い。第1部分45は、ケーシング81の収容室67に収容されている。第2部分46は、ケーシング81の基板61の開口60に挿通されている。ベアリング83が、第2部分46の外周面と基板61の開口60の外縁との間に配置されている。これにより、回転体82は、ケーシング81によって図4に一点鎖線で示されており所定方向(左右方向102)に沿った軸68(特許請求の範囲に記載された所定の回転軸の一例)周りに回転可能に支持されている。つまり、回転体82は、軸68を中心に回転可能な状態で収容室67に収容されている。なお、ベアリング83は、ボールベアリングなどの公知のものが採用される。
【0059】
図4及び図6が示すように、回転体82の第1部分45には、溝69が形成されている。図7が示すように、溝69は、第1部分45の底面452(左右方向102の内方の面であって底面451の反対側の面)に形成されている。溝69の幅方向(前後方向101)の中心位置104(図7に一点鎖線で示されている。)は、軸68より前方に位置している。つまり、溝69は、軸68から前方に外れた位置に形成されている。回転体82が図4に示される所定の回転位置に位置しているときに、溝69は、上下方向103に沿って延びている。また、回転体82が所定の回転位置に位置しているときに、溝69の上端は、ケーシング81の円弧板62の開口66と連通している。
【0060】
図6が示すように、錘84は、回転体82の第2部分46の底面461に取り付けられている。錘84は、底面461の軸68の位置から回転体82の径方向に延びている。回転体82が所定の回転位置に位置しているとき、錘84は、後方へ向かうにしたがって下方へ向けて延びている。錘84の先端部は、第2部分46の外周面よりも上記径方向の外方に位置している。
【0061】
図5が示すように、ストッパ85は、ケーシング81の基板61の外面(基板61の内面の裏面)から左右方向102に突設された突起である。ストッパ85は、基板61の外面の後下部に設けられている。
【0062】
錘84は、底面461(図6参照)の軸68の位置から後向きの成分を有する向きへ延びている状態において、自重によって下方へ移動しようとする。錘84が下方へ移動しようとする力が回転体82に作用して、回転体82は、図4に示される矢印105の向きに移動しようとする。つまり、回転体82は、所定の回転位置へ向けて移動しようとする。すなわち、錘84は、回転体82を所定の回転位置へ向けて付勢している。矢印105の向きは、特許請求の範囲に記載された付勢向きの一例である。
【0063】
図4が示すように、回転体82が所定の回転位置に位置しているとき、錘84の先端部は、上方からストッパ85に当接している。この状態において、錘84は、上述したように、自重によって下方へ移動しようとする。つまり、回転体82は、矢印105の向きに移動しようとする。しかし、当該移動は、ストッパ85によって規制されている。
【0064】
以下、クレーン10が作業状態から走行状態へ移行するときに、フックブロック40が係合具80に係合されてクレーン10に格納される手順が、図8図12が主に参照されつつ説明される。なお、図9図11、及び図12に示されたフックブロック40周辺の拡大図では、フックブロック40のローラ56と、係合具80の円弧板62の開口66及び回転体82の溝69との位置関係を明確に示すため、一対の係合具80のうち左側の係合具80の図示が省略されている。
【0065】
クレーン10が作業状態のとき、フックブロック40は係合具80から外れている。クレーン10の作業状態から走行状態への移行手順において、最初に、ブーム32が最短長さとなるまで収縮されると共に、ブーム32の旋回、起伏や、ドラム41に対するワイヤロープ42の繰り出し、巻き取りなどによって、フックブロック40が係合具80の真上に移動される(図8参照)。なお、このとき、回転体82は、錘84に付勢されることによって所定の回転位置に位置している(図4参照)。
【0066】
次に、ドラム41に対するワイヤロープ42の繰り出しによって、フックブロック40が降下される。これにより、フックブロック40のローラ56が上方から開口66を通過して溝69の内部へ進入する(図9参照)。詳述すると、左側の板状部材51から左方へ突出したローラ56は、左側の係合具80の溝69の内部へ進入し、右側の板状部材51から右方へ突出したローラ56は、右側の係合具80の溝69の内部へ進入する(図10参照)。これにより、フックブロック40は、係合具80に係合される。フックブロック40は、上下方向103に並ぶ2本のローラ56のうちの下側のローラ562が溝69の下端まで到達して上方から円弧板62に当接するまで降下される(図9参照)。
【0067】
なお、降下されるフックブロック40の位置が開口66に対して前方にずれている場合、ローラ562が上方から案内部材63(図4参照)に当接する。そして、ローラ562は案内部材63によって開口66へ案内される。また、降下されるフックブロック40の位置が開口66に対して後方にずれている場合、ローラ562が上方から案内部材64(図4参照)に当接する。そして、ローラ562は案内部材64によって開口66へ案内される。また、降下されるフックブロック40の位置が開口66に対して左右方向102にずれている場合、ローラ562が上方から案内部材65(図4参照)に当接する。そして、ローラ56は案内部材65によって開口66へ案内される。
【0068】
また、フックブロック40が水平方向に対して傾斜している場合、右方及び左方へ突出した2本のローラ562のうちの一方のローラ562が案内部材63、64、または65に当接する一方、他方のローラ562が案内部材63、64、または65から浮いた状態となる。この状態からワイヤロープ42が繰り出されることにより、一方のローラ562の下方への移動が案内部材63、64、または65によって規制されつつ、他方のローラ562が下方へ移動するため、上記の傾きが是正される。
【0069】
ローラ562が溝69の下端まで到達して上方から円弧板62に当接した状態において、下側のローラ562は軸68より下方に位置しており、上側のローラ561は軸68より上方に位置している。つまり、溝69に進入したローラ56は、軸68より上方及び下方の双方に位置している。
【0070】
なお、下側のローラ562が円弧板62に到達した状態で、ワイヤロープ42が僅かに繰り出されると、フックブロック40が降下できないために、ワイヤロープ42が僅かに弛み、ワイヤロープ42に作用する張力が低下する。ここで、上述したように、溝69は、軸68から前方に外れた位置に形成されている。そのため、回転体82はフックブロック40の自重を受けて、矢印106の向き(図4に示される矢印105と逆向き、図9参照)に回転する。当該回転は、ワイヤロープ42が張った状態となるまで実行される。作業者は、回転体82の傾き度合いによって、ワイヤロープ42の弛みの度合い(換言するとワイヤロープ42に作用する張力の低下の度合い)を判断することができる。
【0071】
次に、ブーム32の倒伏と、ドラム41に対するワイヤロープ42の巻き取りとが並行して実行される。ブーム32が倒伏されることにより、フックブロック40がその上端が前方斜め下方へ向かうように倒伏する。これにより、上側のローラ561が溝69の側面に後方から当接して当該側面を前方へ押し、下側のローラ562が溝69の側面に前方から当接して当該側面を後方へ押す。すると、回転体82が矢印106の向き(図9参照)に回転する。これにより、回転体82の溝69が、ケーシング81の円弧板62の開口66と連通しなくなる(図11参照)。そのため、ローラ56が開口66を通過して溝69から抜けることがなくなる。なお、フックブロック40は、一対の係合具80によって左右方向102に挟まれた状態であるため(図10参照)、ローラ56が左右方向102に移動して溝69から抜けることもない。よって、フックブロック40の係合具80との係合が解除されることが防止される。
【0072】
更に、ブーム32の倒伏と、ドラム41に対するワイヤロープ42の巻き取りとが並行して実行されると、ブーム32が前後方向101に延びた状態となる(図12参照)。当該状態において、ドラム41に対するワイヤロープ42の巻き取りが実行されて、ワイヤロープ42が張った状態とされる。これにより、クレーン10が走行状態となる。
【0073】
以下、クレーン10が走行状態から作業状態へ移行するときに、フックブロック40が係合具80から外される手順が説明される。
【0074】
クレーン10が走行状態のとき、フックブロック40は係合具80に係合されている(図12参照)。クレーン10の走行状態から作業状態への移行手順において、最初に、ドラム41に対するワイヤロープ42の繰り出しが実行される。これにより、ワイヤロープ42の張りが解消される。
【0075】
次に、ブーム32の起立と、ドラム41に対するワイヤロープ42の繰り出しとが並行して実行される。ブーム32が起立されることにより、フックブロック40がその前端が後方斜め上方へ向かうように起立する。これにより、ローラ561が溝69の側面に下方から当接して当該側面を上方へ押し、ローラ562が溝69の側面に上方から当接して当該側面を下方へ押す。すると、回転体82が矢印105の向き(図12参照)に回転して、図11が示す状態となる。更に、ブーム32が起立されて、ブーム32の先端部43からフックブロック40へ向けて延びるワイヤロープ42が上下方向103に沿った状態となると、回転体82の溝69が、上下方向103に沿った状態となり、ケーシング81の円弧板62の開口66と連通するようになる(図9参照)。
【0076】
次に、ドラム41に対するワイヤロープ42の巻き取りが実行される。これにより、フックブロック40が上昇する。このとき、ローラ56が開口66を通過して溝69から抜け出す。その結果、フックブロック40と係合具80との係合が解除され、クレーン10は作業状態となる(図8参照)。
【0077】
[実施形態の作用効果]
【0078】
本実施形態では、フックブロック40と係合具80との係合は、以下のようにして実行される。まず、フックブロック40がケーシング81の開口66の真上となるように、ブーム32が起伏される。次に、ワイヤロープ42が繰り出される。これにより、フックブロック40が降下して、ローラ56が上方から開口66を介して所定の回転位置に位置する回転体82の溝69に進入する。次に、ブーム32が倒伏されることにより、ローラ56から回転体82へ押圧力が作用して回転体82が回転する。これにより、溝69の向きが変わって溝69と開口66とが連通しなくなる。その結果、ローラ56が開口66を介して溝69から抜け出ることが防止された状態となる。つまり、フックブロック40が係合具80に係合された状態が維持される。その後、ワイヤロープ42が巻き取られて張られた状態とされる。
【0079】
また、本実施形態では、フックブロック40と係合具80との係合の解除は、以下のようにして実行される。まず、ワイヤロープ42が繰り出されてワイヤロープ42の張りが解消される。次に、ブーム32が起立される。これにより、ローラ56から回転体82へ押圧力が作用して回転体82が所定の回転位置へ回転し、溝69と開口66が連通した状態となる。この状態において、ワイヤロープ42が巻き取られる。これにより、ローラ56が開口66を介して溝69から抜け出る。つまり、フックブロック40と係合具80との係合が解除される。
【0080】
以上のようなフックブロック40と係合具80との係合及び当該係合の解除に際して、作業者は、キャビン13内からブーム32及びウインチ39を操作するだけでよく、キャビン13から降りることなくフックブロック40を係合具80へ掛止させたり外したりすることができる。
【0081】
本実施形態では、回転体82の回転方向に応じて、ローラ56は、軸68より上方または下方の位置から回転体82に押圧力を作用させることができるため、回転体82を容易に回転させることができる。
【0082】
ローラ56が上下に2本並んだ構成であることにより、溝69に進入したローラ56が軸68より上方及び下方の双方に位置する構成を、簡単な構成で実現できる。
【0083】
ローラ56及び係合具80が一対に設けられているため、ローラ56が係合具80に係合した状態において、フックブロック40の姿勢を安定させることができる。
【0084】
フックブロック40と係合具80との係合過程においてフックブロック40が開口66へ向けて降下するときに、ローラ56が開口66に対して位置ずれしている場合や、ローラ56が開口66に対して傾いている場合であっても、案内部材63、64、65が位置ずれや傾きを是正して、ローラ56を開口66へ導くことができる。
【0085】
本実施形態では、ローラ56がフックブロック40の重心より下方に位置しているため、フックブロック40がブーム32の先端部43から垂下した状態において、フックブロック40は、その重心が下方へ向かうように傾きやすい。フックブロック40が傾くことにより、フックブロック40の自重がローラ56を介して回転体82に作用し、回転体82が回転する。本実施形態では、このようにして、回転体82を容易に回転させることができる。
【0086】
本実施形態によれば、ローラ56が溝69に進入した状態において、ワイヤロープ42に作用する張力が低下すると、フックブロック40の自重を受けて回転体82がフックブロック40と一体に回転する。この場合、フックブロック40の傾きに応じて、ワイヤロープ42に作用している張力を判断することができる。
【0087】
本実施形態によれば、錘84とストッパ85によって、回転体82を所定の回転位置に維持することができる。これにより、降下するフックブロック40を溝69へ確実に進入させることができる。
【0088】
ブーム32と係合具80とが共に旋回フレーム31に支持されているため、旋回フレーム31の旋回位置にかかわらず、ブーム32と係合具80との相対的な位置関係を一定にすることができる。
【0089】
[変形例]
【0090】
上記実施形態において、ローラ56は、フックブロック40の前後方向101の中央に位置していた。しかし、ローラ56の位置はこれに限らない。例えば、図13が示すように、ローラ56は、フックブロック40の前後方向101の中央から後方に外れた位置に位置していてもよい。つまり、フックブロック40がブーム32の先端部43から垂下した状態で、ローラ56は、上下方向103と直交し且つ板状部材51の側面に沿った前後方向101において、フックブロック40の重心から外れた位置に形成されていてもよい。なお、この場合、溝69は、軸68から前方に外れた位置でなくてもよい。つまり、溝69の幅方向(前後方向101)の中心位置104(図7参照)は、軸68を通っていてもよいし、軸68から後方に外れていてもよい。
【0091】
この変形例によっても、上記実施形態と同様に、ローラ56が溝69に進入した状態において、ワイヤロープ42に作用する張力が低下すると、フックブロック40の自重を受けて回転体82がフックブロック40と一体に回転する。この場合、フックブロック40の傾きに応じて、ワイヤロープ42に作用している張力を判断することができる。
【0092】
上記実施形態において、ローラ56は、各板状部材51に2本突設されていた。しかし、ローラ56が各板状部材51に突設される数は、2本に限らない。
【0093】
例えば、ローラ56は、各板状部材51に1本のみ突設されていてもよい。
【0094】
この場合、ローラ56は、ローラ562のみ或いはローラ561のみで構成されていてもよい。なお、ローラ56がローラ561のみで構成されている場合、ローラ562が円弧板62に当接することでフックブロック40の降下を規制することができないので、当該規制を実行するために上方から係合具80に当接するストッパがフックブロック40に設けられることが望ましい。
【0095】
また、この場合、1本のローラ56は、円形ではなく楕円などの細長形状であってもよい。当該1本のローラ56の下端が溝69の下端まで到達して上方から円弧板62に当接した状態において、当該1本のローラ56は、軸68より上方から軸68より下方に亘って延びている。つまり、当該状態において、当該1本のローラ56の外形形状は、軸68を挟んで上下に延びた形状である。
【0096】
上記実施形態において、係止部材は、板状部材51によって回転可能なローラ56であったが、これに限らない。例えば、係止部材は、板状部材51から突出され且つ板状部材51と一体である突起であってもよい。
【0097】
上記実施形態において、ローラ56及び係合具80は、それぞれ左右方向102に一対設けられていたが、一対でなくてもよい。例えば、係合具80は、フックブロック40より左方に1つのみ設けられており、ローラ56は、左側の板状部材51から左方へ突出している一方で、右側の板状部材51には設けられていなくてもよい。
【0098】
上記実施形態において、回転体82は、錘84によって所定の回転位置へ付勢されていたが、回転体82を付勢する付勢部は錘84に限らない。例えば、回転体82は、バネによって所定の回転位置へ付勢されていてもよい。
【0099】
上記実施形態において、回転体82が所定の回転位置に位置しているとき、溝69は、上下方向103に沿って延びていた。しかし、回転体82が所定の回転位置に位置しているとき、溝69は、上下方向103に対して傾いていてもよい。
【0100】
上記実施形態において、溝69は、幅が一定であったが、幅が一定でなくてもよい。例えば、回転体82が所定の回転位置に位置しているときの溝69の上端部が、他の部分よりも幅広に構成されていてもよい。これにより、ローラ56の溝69への進入が容易となる。
【0101】
上記実施形態において、係合具80は、旋回フレーム31に設けられていたが、旋回フレーム31以外、例えば走行体11の前端部に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0102】
10・・・クレーン
11・・・走行体
12・・・ブーム装置
13・・・キャビン
20・・・車体
21・・・車輪
30・・・軸
31・・・旋回フレーム
32・・・ブーム
36・・・起伏シリンダ
39・・・ウインチ
40・・・フックブロック(吊下フック)
41・・・ドラム
42・・・ワイヤロープ
43・・・先端部
45・・・第1部分
46・・・第2部分
51・・・板状部材
52・・・連結部材
53・・・連結部材
54・・・シーブ
55・・・フック
56・・・ローラ(係止部材)
57・・・環状部材
60・・・開口
61・・・基板
62・・・円弧板
63・・・案内部材
64・・・案内部材
65・・・案内部材
66・・・開口
67・・・収容室
68・・・軸(回転軸)
69・・・溝
80・・・係合具
81・・・ケーシング
82・・・回転体
83・・・ベアリング
84・・・錘(付勢部)
85・・・ストッパ
101・・・前後方向
102・・・左右方向
103・・・上下方向
104・・・中心位置
105・・・矢印(付勢向き)
106・・・矢印
451・・・底面
452・・・底面
461・・・底面
511・・・外側面
541・・・シーブ
542・・・シーブ
543・・・シーブ
544・・・シーブ
561・・・ローラ
562・・・ローラ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13