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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】サーバ、プログラムおよびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/06 20120101AFI20231129BHJP
【FI】
G06Q20/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020056866
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021157477
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 健一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 匡章
(72)【発明者】
【氏名】林田 祐磨
(72)【発明者】
【氏名】石塚 雅敏
(72)【発明者】
【氏名】高木 身佳
(72)【発明者】
【氏名】加賀 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】酒井 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 司
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0249622(US,A1)
【文献】特開2008-269062(JP,A)
【文献】特開2017-191392(JP,A)
【文献】特開2007-148593(JP,A)
【文献】特開2004-102726(JP,A)
【文献】特開平09-203108(JP,A)
【文献】特開2018-028950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードウェアを有するプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
第1の装置から第2の装置への電子マネーの贈与要求であってクーポンの発行要求および前記第2の装置の情報を含む贈与要求と、贈与の価値を伝えるメッセージを取得した場合、該贈与要求に基づいて前記クーポンおよび前記第2の装置の正当性判定する認証を行い
前記贈与要求に基づく認証に成功したときに前記発行要求に応じて前記クーポンを発行し
前記第2の装置へ前記クーポンのデータを含む贈与内容および前記メッセージを出力し、
前記第2の装置から前記電子マネーを用いる決済要求であって前記クーポンのデータおよび決済先として互いに異なる決済方法を実行する複数の第3の装置のうち決済先に指定された第3の装置に関する情報を含む決済要求を取得した場合、該決済要求に基づいて前記第2の装置の正当性、前記クーポンの正当性、前記決済先に指定された第3の装置の正当性、および決済額が決済可能な金額であるか否かを判定する認証を行い、
前記決済要求に基づく認証に成功した場合、前記クーポン分を差し引いた金額による決済要求を生成して前記決済先に指定された第3の装置へ出力し、
前記決済先に指定された第3の装置から決済完了通知を取得した場合、前記第1および第2の装置へ前記決済完了通知を出力するサーバ。
【請求項2】
前記贈与要求は、当該サーバが設置された施設または前記施設までの交通機関の運賃の割引に関する情報を含む請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
ハードウェアを有するプロセッサに、
第1の装置から第2の装置への電子マネーの贈与要求であってクーポンの発行要求および前記第2の装置の情報を含む贈与要求と、贈与の価値を伝えるメッセージとを取得した場合、該贈与要求に基づいて前記クーポンおよび前記第2の装置の正当性を判定する認証を行い、
前記贈与要求に基づく認証に成功したときに前記発行要求に応じて前記クーポンを発行し
前記第2の装置へ前記クーポンのデータを含む贈与内容および前記メッセージを出力し、
前記第2の装置から前記電子マネーを用いる決済要求であって前記クーポンのデータおよび決済先として互いに異なる決済方法を実行する複数の第3の装置のうち決済先に指定された第3の装置に関する情報を含む決済要求を取得した場合、該決済要求に基づいて前記第2の装置の正当性、前記クーポンの正当性、前記決済先に指定された第3の装置の正当性、および決済額が決済可能な金額であるか否かを判定する認証を行い、
前記決済要求に基づく認証に成功した場合、前記クーポン分を差し引いた金額による決済要求を生成して前記決済先に指定された第3の装置へ出力し、
前記決済先に指定された第3の装置から決済完了通知を取得した場合、前記第1および第2の装置へ前記決済完了通知を出力する
ことを実行させるプログラム。
【請求項4】
前記贈与要求は、前記プロセッサを備えるサーバが設置された施設または前記施設までの交通機関の運賃の割引に関する情報を含む請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
ハードウェアを有する第1のプロセッサを備える第1の装置と、
ハードウェアを有する第2のプロセッサを備える第2の装置と、
ハードウェアを有する第3のプロセッサを備えるサーバと、
各々がハードウェアを有する第4のプロセッサを備え、互いに異なる決済方法を実行する複数の第3の装置と、
を備え、
前記第1のプロセッサは、
前記第2の装置への電子マネーの贈与要求であってクーポンの発行要求および前記第2の装置の情報を含む贈与要求と、贈与の価値を伝えるメッセージとを前記サーバへ出力し、
前記第3のプロセッサは、
前記贈与要求および前記メッセージを取得した場合、該贈与要求に基づいて前記クーポンおよび前記第2の装置の正当性を判定する認証を行い、
前記贈与要求に基づく認証に成功したときに前記発行要求に応じて前記クーポンを発行し
前記第2の装置へ前記クーポンのデータを含む贈与内容および前記メッセージを出力し、
前記第2のプロセッサは、
前記第2の装置の入力部が電子マネーを用いる決済要求であって前記クーポンのデータおよび前記複数の第3の装置のうち決済先に指定された第3の装置に関する情報を含む決済要求の入力を受け付けた場合、前記サーバへ前記決済要求を出力し、
前記第3のプロセッサは、
前記第2の装置から前記決済要求を取得した場合、該決済要求に基づいて前記第2の装置の正当性、前記クーポンの正当性、前記決済先に指定された第3の装置の正当性、および決済額が決済可能な金額であるか否かを判定する認証を行い、
前記決済要求に基づく認証に成功した場合、前記クーポン分を差し引いた金額による決済要求を生成して前記決済先に指定された第3の装置へ出力し、
前記決済先に指定された第3の装置が備える第4のプロセッサは、
前記サーバから取得した前記決済要求に基づいて前記サーバの正当性、および前記クーポン分を差し引いた決済額が決済可能な金額であるか否かを判定する認証を行い、
該認証に成功した場合、前記決済要求に応じた決済処理を行い、
前記サーバへ決済完了通知を出力し、
前記第3のプロセッサは、
前記決済要求で指定された前記第3の装置から決済完了通知を取得した場合、前記第1および第2の装置へ前記決済完了通知を出力するシステム。
【請求項6】
前記贈与要求は、前記サーバが設置された施設または前記施設までの交通機関の運賃の割引に関する情報を含む請求項5に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーバ、プログラムおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理端末を用いて電子マネーを送金するシステムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-94061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子マネーであっても送金者が送金に込めた思いや価値を伝えることができる技術が求められていた。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、電子マネーであっても送金者が送金に込めた思いや価値を伝えることができるサーバ、プログラムおよびシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るサーバは、ハードウェアを有するプロセッサを備え、前記プロセッサは、第1の装置から第2の装置への電子マネーの贈与要求およびメッセージを取得した場合、該贈与要求を認証し、認証に成功したときに贈与処理を行い、前記第2の装置へ贈与内容および前記メッセージを出力する。
【0007】
本開示に係るプログラムは、ハードウェアを有するプロセッサに、第1の装置から第2の装置への電子マネーの贈与要求およびメッセージを取得した場合、該贈与要求を認証し、認証に成功したときに贈与処理を行い、前記第2の装置へ贈与内容および前記メッセージを出力することを実行させる。
【0008】
本開示に係るシステムは、ハードウェアを有する第1のプロセッサを備える第1の装置と、ハードウェアを有する第2のプロセッサを備える第2の装置と、ハードウェアを有する第3のプロセッサを備えるサーバと、を備え、前記第1のプロセッサは、前記第2の装置への電子マネーの贈与要求およびメッセージを前記サーバへ出力し、前記第3のプロセッサは、前記電子マネーの贈与要求及びメッセージを取得した場合、該贈与要求を認証し、認証に成功したときに贈与処理を行い、前記第2の装置へ贈与内容および前記メッセージを出力する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、電子マネーであっても送金者が送金に込めた気持ちや価値を伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施の形態1に係るシステムの機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、本開示の実施の形態1に係るシステムが行う処理の概要を示すシーケンス図である。
図3図3は、本開示の実施の形態2に係るシステムの全体構成を模式的に示す図である。
図4図4は、本開示の実施の形態2に係るシステムの機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、本開示の実施の形態2に係るシステムが行う処理の概要を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本開示を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1に係るシステムの機能構成を示すブロック図である。同図に示すシステム1は、サーバ2と、第1の装置3と、第2の装置4とを備える。
【0013】
サーバ2、第1の装置3および第2の装置4は、ネットワークNWを通じて相互に通信可能に構成されている。このネットワークNWは、例えば有線と無線が適宜組み合わされたインターネット回線網、携帯電話回線網等から構成されている。
【0014】
サーバ2は、金融機関(例えば銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫等)またはクレジットカード会社に設けられ、金融機関の口座またはクレジットカードを管理するためのサーバである。サーバ2は、制御部(第3のプロセッサ)21と、通信部22と、記憶部23と、を備える。
【0015】
制御部21は、サーバ2の動作を統括して制御する。制御部21は、認証部211と、贈与処理部212と、決済処理部213とを有する。認証部211は、第1の装置3から第2の装置4への電子マネーの贈与要求およびメッセージを受信して取得(以下、単に「受信」という)した場合、その贈与要求を認証する。また、認証部211は、第2の装置4から決済要求を受信した場合、その決済要求を認証する。贈与処理部212は、認証部211が贈与要求に対する認証に成功した場合に贈与処理を行う。決済処理部213は、認証部211が決済要求に対する認証に成功した場合、その決済要求に応じた決済処理を行う。
【0016】
制御部21は、具体的には、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等からなるプロセッサと、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等からなるメモリ(主記憶部)と、を備える。
【0017】
制御部21は、記憶部23に格納されたプログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行し、各種プログラムの実行を通じてサーバ2の各構成部等を制御する。
【0018】
通信部22は、例えばLAN(Local Area Network)インターフェースボード、無線通信のための無線通信回路等から構成される。通信部22は、ネットワークNWに接続されている。通信部22は、制御部21の制御のもと、ネットワークNWに接続することにより、第1の装置3および第2の装置4との間で通信を行う。
【0019】
記憶部23は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)およびリムーバブルメディア等の記録媒体から構成される。リムーバブルメディアとしては、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)のようなディスク記録媒体が挙げられる。記憶部23は、オペレーティングシステム(Operating System:OS)、各種プログラム、各種テーブル、各種データベース等を記憶する。
【0020】
記憶部23は、登録されたユーザごとのユーザ情報231、および決済情報232を記憶する。ユーザ情報231には、ユーザの口座情報およびクレジットカード情報が含まれる。口座情報としては、例えばユーザの氏名、口座番号、口座残高、入出金履歴等が挙げられる。また、クレジットカード情報としては、例えばユーザの氏名、クレジットカード番号、クレジットカードの有効期限、利用限度額、カード利用履歴等が挙げられる。決済情報232には、ユーザID、決済で利用した決済手段(例えば電子マネー支払い(非接触決済)、スキャン支払い、コード支払い等)、決済履歴等が含まれる。
【0021】
以上の機能構成を有するサーバ2は、ワークステーションやパソコン等のコンピュータによって実現される。
【0022】
第1の装置3は、制御部(第1のプロセッサ)31と、通信部32と、記憶部33と、入力部34と、表示部35と、を備える。制御部31、通信部32および記憶部33は、物理的には制御部21、通信部22および記憶部23とそれぞれ同様のハードウェアを用いて構成される。入力部34は、タッチパネルを用いて構成される。なお、入力部34が音声入力用のマイクロフォンを有してもよい。表示部35は、表面に液晶または有機EL(Electro Luminescence)等からなるディスプレイを有する。ディスプレイの表面には、入力部34を構成するタッチパネルが設けられている。第1の装置3としては、例えばスマートフォン、携帯電話、タブレット端末等が挙げられる。第1の装置3に実行させるためのプログラムは、ネットワークNWを介してダウンロード可能なアプリとして提供してもよい。
【0023】
第2の装置4は、制御部(第2のプロセッサ)41と、通信部42と、記憶部43と、入力部44と、表示部45と、を備える。第2の装置4の構成は、第1の装置3の構成と同様である。
【0024】
以上の機能構成を有するシステム1の利用シーンとしては、第1の装置3を利用するユーザと第2の装置3を利用するユーザの一方から他方へ電子マネーの贈与が行われる場合が想定される。この贈与を行う際、贈与元のユーザは贈与先のユーザに対してメッセージを出力して送信(以下、単に「送信」という)する。以下、第1の装置3を利用するユーザを第1のユーザ、第2の装置4を利用するユーザを第2のユーザという。
【0025】
図2は、システム1が行う処理の概要を示すシーケンス図である。まず、第1の装置3の入力部34が第2の装置4への贈与要求とメッセージの入力を受け付けると、制御部21が通信部32を介してサーバ2へ贈与要求およびメッセージを送信する(ステップS1)。例えば、第1のユーザと第2のユーザが親子である場合、親である第1のユーザは、電子マネーの入金額、贈与先および使用を制限する情報を贈与要求として入力するとともに、子である第2のユーザへ向けて「お誕生日おめでとう。」等のメッセージを入力する。ここで、電子マネーの使用を制限する情報とは、例えば電子マネーにより購入する物(本、衣料品等)を限定する情報でもよいし、電子マネーを使用する店舗または期間を限定する情報でもよい。
【0026】
電子マネーの贈与要求およびメッセージを受信したサーバ2の認証部211は、贈与要求に基づいて認証を行う(ステップS2)。ここで認証部211は、ユーザ情報231を参照して、贈与先の第2の装置4の正当性や、入金額が入金可能な金額であるか否かを判定する。
【0027】
認証部211による認証が成功すると、贈与処理部212は、贈与要求に応じた贈与処理を行う(ステップS3)。具体的には、贈与処理部212は、第2の装置4の口座に贈与要求に応じた額の電子マネーを入金することによってユーザ情報231を更新する。なお、認証部211が認証を失敗した場合、制御部21は、通信部22を介して第1の装置3へ認証失敗を伝えるメッセージを送信する。
【0028】
ステップS3の後、制御部21は、通信部22を介して第2の装置4へ贈与内容とステップS2で受信したメッセージを送信する(ステップS4)。贈与内容には、例えば電子マネーの入金額や贈与元の情報が含まれる。
【0029】
続いて、制御部21は、通信部22を介して第1の装置3へ贈与処理の完了通知を送信する(ステップS5)。なお、ステップS4とステップS5の処理順序は任意であり、2つのステップを並行して行ってもよい。
【0030】
以上のステップS1~S5によれば、サーバ2は第2の装置4に対して贈与内容とともに第1のユーザのメッセージを送信するため、第2のユーザは、贈与された電子マネーに対する第1のユーザの思いも受け取ることができる。
【0031】
引き続き図2を参照して、第2のユーザが、第2の装置4を用いて、贈与された電子マネーを使用する際の処理の概要を説明する。図2において、ステップS5とステップS11との間に破線を引いているのは、この前後の処理は、時間的に離れた処理であることを意味している。
【0032】
まず、第2の装置4の入力部44が贈与された電子マネーによる決済要求の入力を受け付けると、制御部41が通信部42を介してサーバ2へ決済要求を送信する(ステップS11)。
【0033】
決済要求を受信したサーバ2の認証部211は、決済要求に基づいて認証を行う(ステップS12)。ここで認証部211は、ユーザ情報231を参照して、第2の装置4の正当性や、決済額が決済可能な金額であるか否かを判定する。
【0034】
認証部211による認証が成功すると、決済処理部213は、決済要求に応じた決済処理を行い、ユーザ情報231を更新する(ステップS13)。ここでいう決済処理とは、例えば物品の購入である場合、その物品の販売元が管理するサーバに対して物品の価格に相当する電子マネーを入金する処理を含む。なお、認証部211が認証に失敗した場合、制御部21は第2の装置4へ認証失敗を伝えるメッセージを送信する。例えば、贈与された電子マネーが本の購入に限定されたものである場合において、第2の装置4から衣料品に対する決済要求を受信した場合、認証部211は認証に失敗したと判定する。
【0035】
ステップS13の後、制御部21は、通信部22を介して第1の装置3および第2の装置4へ決済完了通知を送信する(ステップS14)。
【0036】
なお、第2のユーザが第2の装置4を用いて決済要求を送信する際、第2のユーザが第1のユーザに対するメッセージ(例えば、「ありがとう。」等のメッセージ)を入力できるようにしてもよい。この場合、制御部21は、ステップS14で第1の装置3へ決済完了通知とともにメッセージを送信すればよい。
【0037】
以上説明した本開示の実施の形態1によれば、第1の装置から第2の装置への電子マネーの贈与要求およびメッセージを受信した場合、認証後に贈与処理を行い、第2の装置へ贈与内容およびメッセージを送信するため、第2のユーザは、第1のユーザ(送金者)のメッセージも受け取ることが出きるため、電子マネーであっても送金者が送金に込めた思いや価値を伝えることができる。
【0038】
また、本実施の形態1によれば、第2の装置から前記電子マネーの決済要求を受信した場合、該決済要求を認証した後に決済処理を行い、第1および第2の装置へ決済完了通知を送信するため、確実に決済することができる。
【0039】
また、本実施の形態1によれば、贈与要求には、電子マネーの使用を制限する情報が含まれており、第2の装置からの決済要求における電子マネーの用途がその情報と合致するか否かを判定することによって決済要求の認証を行うため、贈与した電子マネーを第1のユーザの意図に沿って第2のユーザに使用させることができる。
【0040】
(実施の形態2)
図3は、本開示の実施の形態2に係るシステムの全体構成を模式的に示す図である。図3に示すウォレットシステム(システム)5は、施設サーバ(第1の装置)6と、第2の装置(第2の装置)4と、ウォレットサーバ(サーバ)7と、複数の決済サーバ(第3の装置)8とを備える。施設サーバ6、第2の装置4、ウォレットサーバ7、および複数の決済サーバ8は、ネットワークNWを通じて相互に通信可能に構成されている。複数の決済サーバ8は、異なる決済事業者(金融機関またはクレジットカード会社)がそれぞれ管理するサーバであり、ウォレットサーバ7を介してユーザからの決済要求を受け付ける。換言すれば、ウォレットシステム5は、ユーザが電子マネーによる決済を行う際の決済方法を選択することができるシステムである。
【0041】
図4は、本実施の形態2に係るシステムの機能構成を示すブロック図である。以下、実施の形態1で説明した構成要素と同様の機能を有する構成要素には同じ符号を付して説明する。また、図4では、1つの決済サーバ8のみを代表的に記載している。
【0042】
施設サーバ6は、例えば医療機関等の施設に設けられ、施設を管理運営するためのサーバである。施設サーバ6は、制御部(第1のプロセッサ)61と、通信部62と、記憶部63とを有する。制御部61、通信部62および記憶部63は、物理的には実施の形態1で説明した制御部21、通信部22および記憶部23とそれぞれ同様のハードウェアを用いて構成される。施設サーバ6は、ワークステーションやパソコン等の汎用コンピュータによって実現される。
【0043】
制御部61は、施設サーバ6の動作を統括して制御する。制御部61は、記憶部63が記憶する施設ユーザ情報631を参照して、対象となる施設ユーザに対する電子マネーの贈与要求を、通信部62を介してウォレットサーバ7へ送信する。本実施の形態2においては、贈与要求の一例として、制御部61がウォレットサーバ7に所定金額のクーポンの発行を要求する場合を説明するが、贈与要求は補助金の入金要求等でもよい。
【0044】
記憶部63は、登録された施設ユーザに関する施設ユーザ情報631と、電子マネーの贈与先に送信するメッセージ情報632とを有する。施設ユーザ情報631はユーザの氏名や住所等の個人情報に加えて、ネットワークNWを介したアクセス先の情報として、ユーザのメールアドレスや、ユーザが所有する端末(第2の装置4)の情報を含む。メッセージ情報632は、クーポンの種類に応じて施設ユーザに送るメッセージを記憶する。
【0045】
第2の装置4は、施設のユーザに対応付けられる。例えば施設が医療機関である場合には、その医療機関を利用する患者等がユーザである。
【0046】
ウォレットサーバ7は、制御部(第3のプロセッサ)71と、通信部72と、記憶部73と、を備える。制御部71、通信部72および記憶部73は、物理的には制御部21、通信部22および記憶部23とそれぞれ同様のハードウェアを用いて構成される。
【0047】
制御部71は、ウォレットサーバ7の動作を統括して制御する。制御部71は、認証部711と、贈与処理部712とを有する。認証部711は、施設サーバ6から第2の装置4への電子マネーの贈与要求およびメッセージを受信した場合、その贈与要求を認証する。また、認証部711は、第2の装置4から決済要求を受信した場合、その決済要求を認証する。贈与処理部712は、認証部711が贈与要求に対する認証に成功した場合に贈与処理を行う。具体的な贈与要求はクーポン発行要求であり、贈与処理部712は、贈与処理として、贈与要求に適合するクーポンを発行する。この場合のクーポンには、使用を制限する情報を付加してもよい。
【0048】
記憶部73は、ウォレットシステム5に登録されたユーザごとの、ユーザ情報731、ウォレット情報732、決済情報733およびクーポン情報734を記憶する。
【0049】
ユーザ情報731は、ウォレットシステム5を利用するユーザに関する情報である。ユーザ情報731としては、例えば予めウォレットシステム5の利用登録を行ったユーザのユーザID、パスワード、ユーザの氏名、ユーザの連絡先(例えば住所、電話番号、メールアドレス等)等が挙げられる。なお、ユーザ情報731のうちのユーザIDおよびパスワードは、ウォレットサーバ7へのログイン等の認証処理を行う際に用いられる。
【0050】
ウォレット情報732は、ウォレットシステム5のウォレットに関する情報である。ウォレットとは、電子マネーの仮想的な入出金口座を示している。ウォレット情報732には、例えばユーザID、電子マネーの残高、電子マネーの入金履歴、電子マネーの使用履歴等が含まれる。
【0051】
決済情報733は、ウォレットシステム5の決済に関する情報である。決済情報733には、ユーザID、決済で利用した決済事業者や決済手段、決済履歴等が含まれる。
【0052】
クーポン情報734は、施設サーバ6からの電子マネーの贈与要求に応じて発行するクーポンに関する情報である。クーポン情報734には、クーポンの種類、金額、ユーザごとのクーポン発行履歴等の情報が含まれる。
【0053】
決済サーバ8は、決済事業者ごとに設けられ、金融機関の口座またはクレジットカードを管理するためのサーバである。決済サーバ8は、制御部(第4のプロセッサ)81と、通信部82と、記憶部83と、を備える。制御部81、通信部82および記憶部83は、物理的には制御部21、通信部22および記憶部23とそれぞれ同様のハードウェアを用いて構成される。
【0054】
制御部81は、認証部811と、決済処理部812とを有する。認証部811は、ウォレットサーバ7から決済要求を受信した場合、その決済要求を認証する。決済処理部812は、認証部811が決済要求に対する認証に成功した場合、その決済要求に応じた決済処理を行う。
【0055】
記憶部83は、登録されたユーザごとのユーザ情報831、および決済情報832を記憶する。ユーザ情報831には、ウォレットシステム5のユーザごとに、決済サーバ8を管理する決済事業者の口座情報やクレジットカード情報が含まれる。決済情報832には、ユーザID、決済で利用した決済手段、決済履歴等が含まれる。
【0056】
以上の機能構成を有するウォレットシステム5では、施設サーバ6から第2の装置4に対し、クーポンの形式で施設利用費用に関連する電子マネーの贈与を行う。施設サーバ6が電子マネーの贈与を行う際には、第2のユーザに対して施設の利用を促すメッセージをあわせて送信する。
【0057】
図5は、ウォレットシステム5が行う処理の概要を示すシーケンス図である。まず、制御部61は、第2の装置4への電子マネーの贈与要求とメッセージを、通信部62を介してウォレットサーバ7へ送信する(ステップS21)。電子マネーの贈与要求には、クーポンの発行要求および贈与先の第2の装置4の情報が含まれる。例えば、施設が医療機関であって健康診断用のクーポンを贈与する場合、制御部61は、メッセージ情報632を参照し、「健康診断の日が近づいていますので、忘れずに受診して下さい。健康診断に利用できるクーポンを送ります。」というメッセージを送信する。
【0058】
電子マネーの贈与要求およびメッセージを受信したウォレットサーバ7の認証部711は、贈与要求に基づいて認証を行う(ステップS22)。認証部711は、クーポンの正当性や贈与先の第2の装置4の正当性を判定する。
【0059】
認証部711による認証が成功すると、贈与処理部712は、贈与要求に応じた贈与処理を行う(ステップS23)。具体的には、贈与処理部712は、クーポン情報734を参照して第2の装置4へ送信するクーポンを発行する。なお、認証部711が認証を失敗した場合、制御部71は、通信部72を介して施設サーバ6へ認証失敗を伝えるメッセージを送信する。
【0060】
ステップS23の後、制御部71は、通信部72を介して第2の装置4へ贈与内容とステップS22で受信したメッセージを送信する(ステップS24)。贈与内容には、例えば発行済みのクーポンのデータや贈与元である施設の情報が含まれる。
【0061】
続いて、制御部71は、通信部72を介して施設サーバ6へ贈与処理の完了通知を送信する(ステップS25)。なお、ステップS24とステップS25の処理順序は任意であり、2つのステップを並行して行ってもよい。
【0062】
以上のステップS21~S25によれば、ウォレットサーバ7は第2の装置4に対して贈与内容(クーポン)とともに施設からのメッセージを送信するため、第2のユーザは、贈与されたクーポンの価値を理解することができる。
【0063】
引き続き図5を参照して、第2のユーザが、贈与されたクーポンを使用する際の処理の概要を説明する。まず、第2の装置4の入力部44が贈与された電子マネーを用いる決済要求の入力を受け付けると、制御部41が通信部42を介してウォレットサーバ7へ決済要求を送信する(ステップS31)。決済要求には、決済先の決済サーバ8を管理する決済事業者の情報に加えて、クーポンのデータが含まれる。
【0064】
決済要求を受信した認証部711は、決済要求に基づいて認証を行う(ステップS32)。ここで認証部711は、第2の装置4の正当性、クーポンの正当性、決済先に指定された決済サーバ8の正当性および決済額が決済可能な金額であるか否かを判定する。
【0065】
認証部711による認証が成功すると、制御部71は通信部72を介して決済サーバ8へ決済要求を送信する(ステップS33)。制御部71は、クーポン分を差し引いた金額による決済要求を生成する。なお、認証部711が認証を失敗した場合、制御部71は第2の装置4へ認証失敗を伝えるメッセージを送信する。例えば、第2の装置4の口座の残高がクーポン利用分の金額を差し引いても不足している場合、認証部711は認証に失敗したと判定する。
【0066】
決済要求を受信した決済サーバ8の認証部811は、決済要求に基づいて認証を行う(ステップS34)。ここで認証部811は、ウォレットサーバ7の正当性や、決済額が決済可能な金額であるか否かを判定する。
【0067】
認証部811による認証が成功すると、決済処理部812は、決済要求に応じた決済処理を行う(ステップS35)。なお、認証部811が認証に失敗した場合、制御部81はウォレットサーバ7へ認証失敗を伝えるメッセージを送信する。
【0068】
ステップS35の後、制御部81は、通信部82を介してウォレットサーバ7へ決済完了通知を送信する(ステップS36)。
【0069】
決済完了通知を受信したウォレットサーバ7は、施設サーバ6および第2の装置4へ決済完了通知をそれぞれ送信する(ステップS37)。
【0070】
なお、ウォレットサーバ7がクーポン分の金額を割り引いた金額で決済要求を生成する代わりに、割引前の金額とクーポンのデータを決済要求に含めて決済サーバ8へ送信し、決済サーバ8がクーポン分の金額を割り引いてから決済処理を行ってもよい。
【0071】
また、施設サーバ6がクーポンを生成し、そのクーポンのデータを含む贈与要求をメッセージとともにウォレットサーバ7へ送信してもよい。
【0072】
以上説明した本開示の実施の形態2によれば、実施の形態1と同様、電子マネーであっても施設(送金者)が送金に込めた価値を伝えることができる。また本実施の形態2によれば、実施の形態1と同様、確実に決済することができ、かつ贈与した電子マネーを施設の意図に沿って第2のユーザに使用させることができる。
【0073】
また、実施の形態2によれば、第2のユーザは所望の決済事業者を選択して決済を行うことができるので、決済時の自由度が多くなり、利便性が向上する。
【0074】
(その他の実施の形態)
ここまで、本開示を実施するための形態を説明してきたが、本開示は、実施の形態1、2によってのみ限定されるべきものではない。例えば、実施の形態1にウォレットサーバおよび異なる決済事業者の決済サーバを追加してもよい。
【0075】
また、実施の形態2において、施設までの交通機関の運行と連携させ、第2ユーザが同行者を誘って施設を利用する場合には、施設または交通機関の運賃の割引サービスを行うようにしてもよい。これにより、施設の利用を促進させることができる。
【0076】
また、各種サーバの一部の処理を実行可能な端末を地理的に分散して配置し、通信を行う際に近い場所に存在する端末同士で大量のデータを効率よく通信して演算処理時間を短くするエッジコンピューティングの技術を適用してもよい。
【0077】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施の形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 システム
2 サーバ
3 第1の装置
4 第2の装置
5 ウォレットシステム
6 施設サーバ
7 ウォレットサーバ
8 決済サーバ
21、31、41、61、71、81 制御部
22、32、42、62、72、82 通信部
23、33、43、63、73、83 記憶部
34、44 入力部
35、45 表示部
211、711、811 認証部
212、712 贈与処理部
213、812 決済処理部
231、731、831 ユーザ情報
232、733、832 決済情報
631 施設ユーザ情報
632 メッセージ情報
732 ウォレット情報
734 クーポン情報
NW ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5