(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20231129BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20231129BHJP
G06F 1/26 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B41J29/38 104
H02J9/06 110
G06F1/26 303
G06F1/26 306
(21)【出願番号】P 2020059984
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】石山 哲也
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-056700(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0222434(US,A1)
【文献】特開2019-090882(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0028246(US,A1)
【文献】特開2003-103871(JP,A)
【文献】特開2015-174375(JP,A)
【文献】特開2020-121456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
H02J 9/06
G06F 1/26
B41J 3/36
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電圧値の何れか一つに対応する電源電力を出力する外部電源と接続可能な印刷装置において、
前記外部電源から前記複数の電圧値を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記複数の電圧値に基づき、前記外部電源が出力する前記電源電力の大きさを設定する設定部と、
所定の定格電圧値を有し、前記外部電源、及び前記電源電力により充電されるバッテリの何れか一方を電力供給源として、前記電力供給源から供給される電力により印刷媒体に印刷する印刷ヘッドと、
制御部とを備え、
前記制御部は、
前記設定部が設定した前記電源電力における前記電圧値である電源電圧値を取得し、
前記電源電圧値と、前記定格電圧値とを比較し、
前記電源電圧値が前記定格電圧値を超える場合、前記電力供給源を前記バッテリとし、
前記電源電圧値が前記定格電圧値以下の場合、前記電力供給源を前記外部電源とする
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記バッテリは、前記印刷装置に着脱可能に装着され、
前記制御部は、前記バッテリが装着されているか否かを判断し、
前記バッテリが装着されていないと前記制御部が判断した場合、
前記制御部は、前記電源電圧値が前記定格電圧値を超える場合であっても、前記電力供給源を前記外部電源とし、
前記設定部は、前記電源電圧値を前記定格電圧値以下に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記バッテリの電圧を検出する検出部を更に備え、
前記制御部は、
前記電力供給源が前記バッテリであって、前記印刷ヘッドによる印刷を実行中において、前記検出部の検出結果に基づき前記バッテリに充電が必要であるか否かを判断し、
前記バッテリに充電が必要である場合、前記印刷ヘッドによる印刷を中止し、前記外部電源から供給される電力により前記バッテリを充電する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記バッテリの電圧を検出する検出部と、
前記印刷ヘッドによる印刷を指示する入力部とを更に備え、
前記制御部は、
前記電力供給源が前記バッテリである場合、前記検出部の検出結果に基づき前記バッテリに充電が必要であるか否かを判断し、
前記バッテリに充電が必要である場合、前記外部電源から供給される電力により前記バッテリを充電し、
前記バッテリの充電中に前記入力部から指示がある場合、前記バッテリの充電を中止し、前記印刷ヘッドによる印刷を実行する
ことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の印刷装置。
【請求項5】
USB(Universal Serial Bus)規格に準ずる接続で前記外部電源と接続されるUSBポートを更に備え、
前記印刷ヘッド及び前記バッテリは、前記USBポートを介して前記外部電源から電力が供給される
ことを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の印刷装置。
【請求項6】
複数の電圧値の何れか一つに対応する電源電力を出力する外部電源と接続可能な印刷装置において、
印刷媒体に印刷する印刷ヘッドと、
着脱可能に設けられ、充放電可能なバッテリと、
前記バッテリが放電する電力を前記印刷ヘッドに送電する第一ラインと、
前記第一ラインの送電の開始と停止を切替える第一スイッチと、
USB(Universal Serial Bus)規格に準ずる接続で前記外部電源と接続され、前記外部電源から供給される電力を中継するUSBポートと、
前記USBポートが中継する電力を前記印刷ヘッドに送電する第二ラインと、
前記第二ラインの送電の開始と停止を切替える第二スイッチと、
前記USBポートが中継する電力を前記バッテリに送電する第三ラインと、
前記外部電源が出力する前記電源電力の大きさを設定する設定部と、
前記設定部が設定した前記電源電力の前記電圧値に基づき、前記第一スイッチ及び前記第二スイッチを切替える第一制御部と
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
前記第二ラインは、前記USBポート及び前記印刷ヘッドに直接接続し、前記USBポートが中継する電力を前記印刷ヘッドに直接送電することを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記第三ラインの送電の開始と停止を切替える第三スイッチと、
前記設定部が設定した前記電圧値に基づき、前記第三スイッチを切替える第二制御部とを更に備えることを特徴とする請求項6又は7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記第二ライン及び前記第三ラインに、前記USBポートでの電力の中継の開始と停止を切替える第四スイッチと、
前記第四スイッチを切替える第三制御部と
を更に備えることを特徴とする請求項6~8の何れかに記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の周辺装置(プリンタ)は、USB(Universal Serial Bus)インタフェース、バッテリ、印刷機構、及び電力供給ラインを備える。周辺装置は、USBインタフェースを介してホストコンピュータ(外部電源)と接続できる。バッテリは、充放電可能であって、電力供給ラインを介してUSBインタフェースと接続する。印刷機構は、カットシートに印刷可能であって、電力供給ラインを介してUSBインタフェースと接続する。周辺装置は、外部電源からの給電で、バッテリの充電、及び印刷機構による印刷を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、USB PD(USB Power Delivery)に基づく給電のように、外部電源が供給可能な電圧を複数有し、複数の電圧から何れか一つが設定され、周辺装置に供給される場合がある。この場合、バッテリを充電する為に、印刷機構の定格電圧を超える電圧が設定され、周辺装置に供給される可能性がある。周辺装置は、定格電圧を超える電圧が印刷機構に供給されないように、USBインタフェースと印刷機構との間の電力供給ラインに、外部電源から供給される電圧を降下する降圧回路を設ける必要がある。故に、周辺装置の小型化の実現は困難である。
【0005】
本発明の目的は、供給可能な電圧を複数有する外部電源から複数の電圧の何れか一つが供給される場合でも、小型化の実現が容易な印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る印刷装置は、複数の電圧値の何れか一つに対応する電源電力を出力する外部電源と接続可能な印刷装置において、前記外部電源から前記複数の電圧値を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記複数の電圧値に基づき、前記外部電源が出力する前記電源電力の大きさを設定する設定部と、所定の定格電圧値を有し、前記外部電源、及び前記電源電力により充電されるバッテリの何れか一方を電力供給源として、前記電力供給源から供給される電力により印刷媒体に印刷する印刷ヘッドと、制御部とを備え、前記制御部は、前記設定部が設定した前記電源電力における前記電圧値である電源電圧値を取得し、前記電源電圧値と、前記定格電圧値とを比較し、前記電源電圧値が前記定格電圧値を超える場合、前記電力供給源を前記バッテリとし、前記電源電圧値が前記定格電圧値以下の場合、前記電力供給源を前記外部電源とすることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、印刷装置は、定格電圧値を超える電圧が外部電源から供給される場合、電力供給源をバッテリとするので、外部電源から供給される電圧を降下する降圧回路を設ける必要がない。故に、印刷装置は、供給可能な電圧を複数有する外部電源から複数の電圧の何れか一つが供給される場合でも、小型化を容易に実現できる。
【0008】
本発明において、前記バッテリは、前記印刷装置に着脱可能に装着され、前記制御部は、前記バッテリが装着されているか否かを判断し、前記バッテリが装着されていないと前記制御部が判断した場合、前記制御部は、前記電源電圧値が前記定格電圧値を超える場合であっても、前記電力供給源を前記外部電源とし、前記設定部は、前記電源電圧値を前記定格電圧値以下に設定してもよい。このように、印刷装置は、バッテリが装着されておらず、電力供給源をバッテリとすることができない場合において、電源電圧値が定格電圧値を超える場合であっても、電力供給源を外部電源として印刷することができる。
【0009】
本発明において、印刷装置は、前記バッテリの電圧を検出する検出部を更に備え、前記制御部は、前記電力供給源が前記バッテリであって、前記印刷ヘッドによる印刷を実行中において、前記検出部の検出結果に基づき前記バッテリに充電が必要であるか否かを判断し、前記バッテリに充電が必要である場合、前記印刷ヘッドによる印刷を中止し、前記外部電源から供給される電力により前記バッテリを充電してもよい。このように、印刷装置は、印刷中にバッテリに充電が必要となる場合に、印刷を中止してバッテリを充電するので、印刷中にバッテリからの電力の供給が不足することによる印刷の失敗を抑制できる。
【0010】
本発明において、印刷装置は、前記バッテリの電圧を検出する検出部と、前記印刷ヘッドによる印刷を指示する入力部とを更に備え、前記制御部は、前記電力供給源が前記バッテリである場合、前記検出部の検出結果に基づき前記バッテリに充電が必要であるか否かを判断し、前記バッテリに充電が必要である場合、前記外部電源から供給される電力により前記バッテリを充電し、前記バッテリの充電中に前記入力部から指示がある場合、前記バッテリの充電を中止し、前記印刷ヘッドによる印刷を実行してもよい。このように、印刷装置は、バッテリの充電中に印刷を開始する指示がある場合、バッテリの充電を中止し、印刷を開始する。故に、印刷装置は、使用者の所望の時機に印刷できる。
【0011】
本発明において、印刷装置は、USB(Universal Serial Bus)規格に準ずる接続で前記外部電源と接続されるUSBポートを更に備え、前記印刷ヘッド及び前記バッテリは、前記USBポートを介して前記外部電源から電力が供給されてもよい。この場合、印刷装置は、USBポートを介して種々の外部機器と接続できるので、利便性が向上する。
【0012】
本発明に係る印刷装置は、複数の電圧値の何れか一つに対応する電源電力を出力する外部電源と接続可能な印刷装置において、印刷媒体に印刷する印刷ヘッドと、着脱可能に設けられ、充放電可能なバッテリと、前記バッテリが放電する電力を前記印刷ヘッドに送電する第一ラインと、前記第一ラインの送電の開始と停止を切替える第一スイッチと、USB(Universal Serial Bus)規格に準ずる接続で前記外部電源と接続され、前記外部電源から供給される電力を中継するUSBポートと、前記USBポートが中継する電力を前記印刷ヘッドに送電する第二ラインと、前記第二ラインの送電の開始と停止を切替える第二スイッチと、前記USBポートが中継する電力を前記バッテリに送電する第三ラインと、前記外部電源が出力する前記電源電力の大きさを設定する設定部と、前記設定部が設定した前記電源電力の前記電圧値に基づき、前記第一スイッチ及び前記第二スイッチを切替える第一制御部とを備えることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、印刷装置は、第一制御部により第一スイッチ及び第二スイッチを切替えることで、印刷ヘッドに電力を供給する電力供給源を変更できる。第一制御部は、設定部が設定した電源電力の電圧値に基づき、第一スイッチ及び第二スイッチを切替える。これにより、印刷装置は、外部電源から供給される電圧が高い場合でも、第二ラインを経由して電力が印刷ヘッドに送電されない。故に、印刷装置は、第二ラインに電圧を降下する回路を設ける必要がない。故に、印刷装置は、供給可能な電圧を複数有する外部電源から複数の電圧の何れか一つが供給される場合でも、小型化を容易に実現できる。
【0014】
本発明において、前記第二ラインは、前記USBポート及び前記印刷ヘッドに直接接続し、前記USBポートが中継する電力を前記印刷ヘッドに直接送電してもよい。このように、第二ラインは、USBポート及び印刷ヘッドに直接接続し、USBポートを経由した電力を印刷ヘッドに直接送電する。故に、印刷装置は、小型化を容易に実現できる。
【0015】
本発明において、印刷装置は、前記第三ラインの送電の開始と停止を切替える第三スイッチと、前記設定部が設定した前記電圧値に基づき、前記第三スイッチを切替える第二制御部とを更に備えてもよい。この場合、印刷装置は、第二制御部により第三スイッチを切替えることで、バッテリの充電の開始と停止を切替える。故に、印刷装置は、例えばバッテリの過電圧等、バッテリに電力が過剰に供給されることによる故障を抑制できる。
【0016】
本発明において、印刷装置は、前記第二ライン及び前記第三ラインに、前記USBポートでの電力の中継の開始と停止を切替える第四スイッチと、前記第四スイッチを切替える第三制御部とを更に備えてもよい。この場合、印刷装置は、USBポートでの電力の中継の開始と停止を切替えることで、電源電力が意図せず印刷ヘッド21、バッテリ71に送電されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】外部電源99の電力プロファイルと、印刷装置1による印刷、バッテリ71の充電の可否との関係を示す図である。
【
図4】CPU51が実行する印刷処理のフローチャートである。
【
図5】CPU51が実行する印刷処理のフローチャートである。
【
図6】CPU81が実行する電源電力決定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。図面に記載されている装置の構成は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0019】
印刷装置1は、外部電源99及びバッテリ71の何れか一方から供給される電力により駆動する熱転写型プリンタである。印刷装置1は、キャラクタ(文字、記号、数字、及び図形等のオブジェクト)を印刷媒体(例えば、感熱ラベル)に印刷できる。
【0020】
図1を参照し、印刷装置1の構成を説明する。印刷装置1は、筐体2を備える。筐体2の表面には、入力部5、USBコネクタ91が設けられる。入力部5はユーザの操作を受け付けることができる。USBコネクタ91は、USB PD(Power Delivery)規格に準ずるケーブル98を介して、外部電源99等のUSBデバイスに接続をするための接続口である。
【0021】
外部電源99は、例えば、汎用のパーソナルコンピュータ、携帯端末、タブレット端末等である。外部電源99は、USB PD規格におけるパワールールに基づく複数の電力プロファイル(
図3参照)を有する。各電力プロファイルは外部電源99が出力可能な所定の電力及び電圧(以下、電源電圧値)と対応する。本実施形態における外部電源99の電力プロファイルに対応する電源電圧値は、5V、9V、15V、20Vである。外部電源99は、複数の電力プロファイルの何れか一つに対応する電力(電圧の大きさ:電源電圧値)を印刷装置1に出力できる。USBコネクタ91は、外部電源99から供給される電力(以下、電源電力という。)を中継する。
【0022】
筐体2の内部には、装着部3、印刷ヘッド21、第一ライン36、第二ライン37、第三ライン38、駆動回路31、33、充電回路61、制御部50、及びUSB PDコントローラ80等が設けられる。装着部3は、バッテリ71を着脱可能に装着できる。バッテリ71は、例えば、リチウムイオン電池、電気二重層コンデンサである。本実施形態におけるバッテリ71の満充電時の電圧は8.4Vである。
【0023】
印刷ヘッド21は、外部電源99及びバッテリ71の何れか一方から供給される電力で発熱し、印刷媒体に印刷できる。印刷ヘッド21は、所定の定格電圧値を有する。本実施形態における印刷ヘッド21の定格電圧値は9Vである。
【0024】
第一ライン36は、装着部3に装着されたバッテリ71及び印刷ヘッド21と接続する。第一ライン36は、バッテリ71が放電する電力(最大電圧8.4V)を印刷ヘッド21に送電する。第一ライン36には、バッテリ71から印刷ヘッド21に送電される電圧を降下するための降圧回路は設けられていない。故に、第一ライン36において、回路保護のための抵抗素子等による微量の電圧降下を除き、電圧は降下しない。以下、電力の供給経路において、送電される電圧を降下するための降圧回路が設けられていないことを直接接続するという。
【0025】
第一ライン36には、駆動回路33が設けられる。駆動回路33は、印刷ヘッド21の駆動を制御するための電子回路である。駆動回路33は、スイッチング素子であるFET34を備える。FET34は、制御部50から出力される指示に応じて、ON状態とOFF状態とに切替わる。FET34がON状態である場合、第一ライン36はバッテリ71から印刷ヘッド21に送電する。FET34がOFF状態である場合、第一ライン36はバッテリ71から印刷ヘッド21への送電を停止する。
【0026】
第三ライン38は、装着部3に装着されたバッテリ71及びUSBコネクタ91と直接接続する。第三ライン38は、USBコネクタ91が中継する電源電力を装着部3に装着されたバッテリ71に送電する。第三ライン38において、回路保護のための抵抗素子等による微量の電圧降下を除き、電圧は降下しない。
【0027】
第三ライン38には、充電回路61が設けられる。充電回路61は、バッテリ71への充電を制御するための電子回路である。充電回路61は、スイッチング素子であるFET62を備える。FET62は、制御部50から出力される指示に応じて、ON状態とOFF状態とに切替わる。FET62がON状態である場合、第三ライン38はUSBコネクタ91からバッテリ71に送電する。FET62がOFF状態である場合、第三ライン38はUSBコネクタ91からバッテリ71への送電を停止する。
【0028】
第二ライン37は、印刷ヘッド21及びUSBコネクタ91と直接接続する。第二ライン37は、USBコネクタ91が中継する電源電力を印刷ヘッド21に送電する。第二ライン37において、回路保護のための抵抗素子等による微量の電圧降下を除き、電圧は降下しない。
【0029】
第二ライン37には、駆動回路31が設けられる。駆動回路31は、駆動回路33と同様に、印刷ヘッド21の駆動を制御するための電子回路である。駆動回路31は、スイッチング素子であるFET32を備える。FET32は、制御部50から出力される指示に応じて、ON状態とOFF状態とに切替わる。FET32がON状態である場合、第二ライン37はUSBコネクタ91から印刷ヘッド21に送電する。FET32がOFF状態である場合、第二ライン37はUSBコネクタ91から印刷ヘッド21への送電を停止する。
【0030】
第二ライン37、第三ライン38には、スイッチ35が設けられている。スイッチ35は、USB PDコントローラ80から出力される指示に応じて、ON状態とOFF状態とに切替わる。スイッチ35がON状態である場合、USBコネクタ91が中継する電源電力は駆動回路31、充電回路61に送電される。スイッチ35がOFF状態である場合、USBコネクタ91が中継する電源電力の駆動回路31、充電回路61への送電が停止される。
【0031】
制御部50は印刷装置1を統括制御する。制御部50はUSB PDコントローラ80と通信して、USB PDコントローラ80を制御する。USB PDコントローラ80は制御の結果を制御部50に送信する。制御部50は受信したUSB PDコントローラ80の制御の結果をフィードバックしてFET32、34、62等を制御する。
【0032】
図2を参照し、印刷装置1の電気的構成を説明する。制御部50は、CPU51、ROM52、RAM53、フラッシュメモリ54、及び入出力インタフェース(以下、入出力I/Fという。)59を備える。ROM52、RAM53、フラッシュメモリ54、及び入出力I/F59は、夫々、CPU51と電気的に接続する。
【0033】
CPU51は、印刷装置1を制御するための各種プログラムを実行する。ROM52は、各種プログラム等を記憶する。RAM53は、フラグ、カウンタ、演算結果等を一時的に記憶する。フラッシュメモリ54は、印刷装置1の各種設定等を記憶する。
【0034】
印刷装置1は、電圧検出部73を更に備える。電圧検出部73は、バッテリ71の電圧を検出する。電圧検出部73は、入出力I/F59を介してCPU51と電気的に接続する。バッテリ71には、バッテリ71の温度を検出するサーミスタ72が設けられる。サーミスタ72は、入出力I/F59を介してCPU51と電気的に接続する。入力部5は、ユーザの操作に応じて制御部50に各種指示を入力する。
【0035】
CPU51は、充電回路61を制御することでバッテリ71への充電を制御する。印刷装置1は、バッテリ71への充電と印刷ヘッド21による印刷とを同時に行わない。バッテリ71を充電する場合、CPU51はFET62をON状態に、FET32、34をOFF状態にする。
【0036】
CPU51は、FET32、34を制御することで、第一ライン36及び第二ライン37の何れか一方が印刷ヘッド21に向けて送電するように制御する。第一ライン36が印刷ヘッド21に向けて送電する場合、印刷ヘッド21の電力供給源はバッテリ71である。この場合において、CPU51はFET34をON状態に、FET32、62をOFF状態にする。第二ライン37が印刷ヘッド21に向けて送電する場合、印刷ヘッド21の電力供給源は外部電源99である。この場合において、CPU51はFET32をON状態に、FET34、62をOFF状態にする。
【0037】
USB PDコントローラ80は、入出力I/F59を介してCPU51と、USBコネクタ91介して外部電源99と、電気的に接続する。USB PDコントローラ80は、CPU51が出力する指示に応じて、スイッチ35の制御及び外部電源99との通信を行う。USB PDコントローラ80は、CPU81、ROM82を備える。CPU81は、ROM82が記憶する各種プログラムを実行する。
【0038】
図3を参照し、印刷装置1の制御の概略を説明する。USBコネクタ91に外部電源99が接続された場合、CPU81は外部電源99と通信を行い、外部電源99から複数の電力プロファイルを取得する。CPU81は、取得した複数の電力プロファイルから何れか一つを選択し、選択した結果をCPU51及び外部電源99に出力する。外部電源99は選択された電力プロファイルに対応する電源電力を出力する。
【0039】
例えば、外部電源99が
図3に示すプロファイルNo.1~No.5の電力プロファイルを有する場合、CPU81がプロファイルNo.3の電力プロファイルを選択する。CPU51は、CPU81からプロファイルNo.3の電源電圧値(15V)を取得する。プロファイルNo.3の電源電圧値は印刷ヘッド21の定格電圧値(9V)より大きい。CPU51は、第二ライン37での送電を行わず、第三ライン38でバッテリ71に電源電力を送電する。バッテリ71は電源電力により充電される。CPU51は、印刷ヘッド21の電力供給源をバッテリ71とする。印刷時において、CPU51はFET34をON状態に、FET32、62をOFF状態にする。バッテリ71の充電が停止され、印刷ヘッド21による印刷が行われる。
【0040】
印刷ヘッド21によるバッテリ71の電圧が低下し、バッテリ71の充電が必要になる場合がある。この場合、CPU51はFET62をON状態に、FET32、34をOFF状態にする。印刷ヘッド21による印刷中である場合、印刷が休止され、バッテリ71が充電される。
【0041】
例えば、外部電源99が
図3に示すプロファイルNo.1、No.2の電力プロファイルを有する場合、CPU81がプロファイルNo.2の電力プロファイルを選択する。CPU51は、CPU81からプロファイルNo.2の電源電圧値(9V)を取得する。プロファイルNo.2の電源電圧値は印刷ヘッド21の定格電圧値以下である。CPU51は、印刷ヘッド21の電力供給源を外部電源99とする。CPU51は、第三ライン38での送電を行わず、第二ライン37で電源電力を印刷ヘッド21に送電する。バッテリ71の充電は行われない。印刷時において、CPU51はFET32をON状態に、FET34、62をOFF状態にする。
【0042】
印刷装置1において、バッテリ71が装着されていない場合がある。CPU51はサーミスタ72との電気的な接続に基づきバッテリ71が装着されているか否かを判断する。例えば、外部電源99が
図3に示すプロファイルNo.1~No.5の電力プロファイルを有する場合、外部電源99からNo.3~No.5の電力プロファイルに対応する電源電力が供給されると、印刷ヘッド21は故障する可能性がある。
【0043】
バッテリ71が装着されていないと判断した場合、CPU51はCPU81に指示を出力する。CPU81は、CPU51からの指示に応じて、プロファイルNo.2の電力プロファイルを選択する。CPU51は、印刷ヘッド21の電力供給源を外部電源99とする。CPU51は、第三ライン38での送電を行わず、第二ライン37で電源電力を印刷ヘッド21に送電する。印刷時において、CPU51はFET32をON状態に、FET34、62をOFF状態にする。
【0044】
図4、
図5を参照し、CPU51が実行する印刷処理について説明する。印刷処理は、印刷ヘッド21の電力供給源を決定し、印刷ヘッド21による印刷を実行するための処理である。印刷処理の開始時、FET32、34、62、スイッチ35は何れもOFF状態である。
【0045】
USBコネクタ91に外部電源99が接続された場合、CPU51はROM52に記憶されたプログラムを読み出し、印刷処理を実行する。CPU81は、CPU51が実行する印刷処理と並行して、ROM82に記憶されたプログラムを読み出し、後述の電源電力決定処理(
図6参照)を実行する。
【0046】
図4に示すように、印刷処理が開始されると、CPU51は電力選択指示をCPU81に出力する(S11)。電力選択指示を受信したCPU81は、電源電力決定処理(
図6参照)において、外部電源99と通信し、電力プロファイルを選択して決定する。電力プロファイルが決定した場合、CPU81は電力決定指示をCPU51に出力する。電力決定指示はCPU81が決定した電力プロファイルに対応する電源電圧値の情報を含む。
【0047】
CPU51はCPU81から電力決定指示を受信したか否かを判断する(S12)。CPU81から電力決定指示を受信していないと判断した場合(S12:NO)、CPU51は処理を待機する。CPU81から電力決定指示を受信したと判断した場合(S12:YES)、CPU51は電力決定指示に基づき、決定した電力プロファイルの電源電圧値が印刷ヘッド21の定格電圧値を超えるか否かを判断する(S13)。決定した電力プロファイルの電源電圧値が印刷ヘッド21の定格電圧値以下であると判断した場合(S13:NO)、CPU51は処理をS21に移行する。
【0048】
決定した電力プロファイルの電源電圧値が印刷ヘッド21の定格電圧値を超えると判断した場合(S13:YES)、CPU51は装着部3がバッテリ71を装着しているか否かを判断する(S14)。S14において、CPU51はサーミスタ72との電気的な接続があるか否かに基づき判断する。サーミスタ72との電気的な接続があり、装着部3がバッテリ71を装着していると判断した場合(S14:YES)、CPU51は電力供給源をバッテリ71に決定する(S41)。
【0049】
サーミスタ72との電気的な接続がなく、装着部3がバッテリ71を装着していないと判断した場合(S14:NO)、CPU51は電力変更指示をCPU81に出力する(S15)。電力選択指示を受信したCPU81は、電源電力決定処理において、決定した電力プロファイルから電源電圧値が印刷ヘッド21の定格電圧値以下の電力プロファイルに変更する。CPU51は処理をS21に移行する。
【0050】
決定した電力プロファイルの電源電圧値が印刷ヘッド21の定格電圧値以下である場合(S13:NO)、又は装着部3がバッテリ71を装着していない場合(S14:NO)、CPU51は印刷ヘッド21の電力供給源を外部電源99に決定する(S21)。この場合、決定した電力プロファイルの電源電圧値は印刷ヘッド21の定格電圧値以下である。CPU51は、受電開始指示をCPU81に出力する(S22)。受電開始指示を受信したCPU81は、電源電力決定処理において、スイッチ35をON状態に切替える。印刷装置1は、外部電源99から受電を開始する。
【0051】
CPU51は、入力部5から印刷指示を受信したか否かを判断する(S31)。印刷ヘッド21による印刷を行う場合、ユーザは入力部5を操作する。入力部5はCPU51に印刷指示を出力する。印刷指示を受信していないと判断した場合(S31:NO)、CPU51は処理を待機する。
【0052】
印刷指示を受信したと判断した場合(S31:YES)、CPU51は電源駆動印刷を実行する(S32)。電源駆動印刷の実行時、CPU51はFET32をON状態にする。第二ライン37による送電が開始され、印刷ヘッド21に外部電源99から電力が供給される。CPU51は、駆動回路31を介して印刷ヘッド21の駆動を制御し、印刷する。電源駆動印刷の実行後、CPU51は処理をS31に戻す。CPU51は、印刷指示を受信するまで処理を待機し、印刷指示の受信に応じて電源駆動印刷を実行する(S31、S32)。
【0053】
電力供給源をバッテリ71に決定した後(S41)、CPU51は受電開始指示をCPU81に出力する(S42)。S42はS22と同様の処理である。CPU81は、スイッチ35をON状態に切替える。印刷装置1は、外部電源99から受電を開始する。CPU51は処理をS43(
図5参照)に移行する。
【0054】
図5に示すように、CPU51は電圧検出部73の検出結果に基づきバッテリ71の電圧が満充電電圧(8.4V)未満であるか否かを判断する(S43)。バッテリ71の電圧が満充電電圧未満であると判断した場合(S43:YES)、CPU51はFET62をON状態に切替え、バッテリ71の充電を開始する(S51)。CPU51は、入力部5から印刷指示を受信したか否かを判断する(S52)。S52はS31と同様の処理である。印刷指示を受信していないと判断した場合(S52:NO)、CPU51は処理をS43に戻す。
【0055】
印刷指示を受信したと判断した場合(S52:YES)、CPU51はFET62をOFF状態に切替え、バッテリ71の充電を停止する(S53)。CPU51は、電池駆動印刷の実行を開始する(S61)。電池駆動印刷の開始時、CPU51はFET34をON状態にする。第一ライン36による送電が開始され、印刷ヘッド21にバッテリ71から電力が供給される。CPU51は、駆動回路33を介して印刷ヘッド21の駆動を制御し、印刷を開始する。
【0056】
CPU51は、電圧検出部73の検出結果に基づき、印刷中にバッテリ71の電圧が所定の限界電圧未満であるか否かを判断する(S62)。限界電圧は、印刷ヘッド21を駆動するために必要な電圧の下限値である。バッテリ71の電圧が限界電圧以上であると判断した場合(S62:NO)、CPU51は印刷媒体への印刷が完了したか否かを判断する(S63)。印刷が完了していないと判断した場合(S63:NO)、CPU51は処理をS62に戻す。CPU51は、印刷媒体への印刷が完了するまで、S62、S63を繰り返し実行する。
【0057】
印刷が完了したと判断した場合(S63:YES)、CPU51は電池駆動印刷の実行を終了する(S64)。電池駆動印刷の終了時、CPU51はFET34をOFF状態にする。第一ライン36による印刷ヘッド21への送電が終了される。CPU51は、処理をS43に戻す。
【0058】
印刷中にバッテリ71の電圧が限界電圧未満となったと判断した場合(S62:YES)、CPU51は電池駆動印刷の実行を休止する(S91)。電池駆動印刷の休止時、CPU51はFET34をOFF状態にする。第一ライン36による印刷ヘッド21への送電が終了される。CPU51は、S51と同様に、FET62をON状態に切替え、バッテリ71の充電を開始する(S92)。
【0059】
CPU51は、電圧検出部73の検出結果に基づき、バッテリ71の電圧が限界電圧の定数n倍以上か否かを判断する(S93)。定数nは、1より大きく、限界電圧をn倍した大きさが満充電電圧以下となるように設定された所定の数である。バッテリ71の電圧が限界電圧のn倍より小さいと判断した場合(S93:NO)、CPU51は処理を待機して、バッテリ71の充電を継続する。バッテリ71の電圧が限界電圧のn倍以上であると判断した場合(S93:YES)、CPU51は処理をS53に移行する。CPU51は、FET62をOFF状態に切替え、バッテリ71の充電を停止し(S53)、休止した電池駆動印刷の実行を再開する(S61)。
【0060】
バッテリ71の電圧が満充電電圧であると判断した場合(S43:NO)、CPU51はFET62をOFF状態に切替える(S71)。バッテリ71が充電されていた場合、充電が終了される。CPU51は印刷処理の開始時にバッテリ71の電圧が満充電電圧である場合もS71を実行する。CPU51は入力部5から印刷指示を受信したか否かを判断する(S72)。S72はS31と同様の処理である。印刷指示を受信していないと判断した場合(S72:NO)、CPU51は処理をS43に戻す。
【0061】
印刷指示を受信したと判断した場合(S72:YES)、CPU51は電池駆動印刷の実行を開始する(S81)。S81はS61と同様の処理である。電池駆動印刷の開始時、CPU51はFET34をON状態にする。第一ライン36による送電が開始され、印刷ヘッド21にバッテリ71から電力が供給される。CPU51は、駆動回路33を介して印刷ヘッド21の駆動を制御し、印刷媒体への印刷を開始する。
【0062】
S82~S84はS62~S64と同様の処理であり、簡潔に説明する。CPU51は、印刷中にバッテリ71の電圧が限界電圧未満であるか否かを判断する(S82)。バッテリ71の電圧が限界電圧未満であると判断した場合(S82:YES)、CPU51は処理をS91に移行する。バッテリ71の電圧が限界電圧以上であると判断した場合(S82:NO)、CPU51は印刷媒体への印刷が完了したか否かを判断する(S83)。印刷が完了していないと判断した場合(S83:NO)、CPU51は処理をS82に戻す。印刷が完了したと判断した場合(S83:YES)、CPU51は電池駆動印刷の実行を終了する(S84)。CPU51はFET34をOFF状態にする。第一ライン36による印刷ヘッド21への送電が終了される。CPU51は、処理をS43に戻す。
【0063】
図6を参照し、CPU81が実行する電源電力決定処理について説明する。電源電力決定処理は、電源電力を決定し、外部電源99から受電するための処理である。電源電力決定処理は、CPU51が実行する印刷処理(
図4参照)と並行して実行される。USBコネクタ91に外部電源99が接続された場合、CPU81はROM82に記憶されたプログラムを読み出し、電源電力決定処理を実行する。
【0064】
電源電力決定処理が開始されると、CPU81はCPU51がS11(
図4参照)で出力する電力選択指示を受信したか否かを判断する(S101)。CPU51から電力選択指示を受信していないと判断した場合(S101:NO)、CPU81は処理を待機する。CPU51から電力選択指示を受信したと判断した場合(S101:YES)、CPU81は外部電源99と通信し、外部電源99が有する複数の電力プロファイルを取得する(S102)。
【0065】
CPU81は、取得した複数の電力プロファイルから何れか一つを選択して決定する(S103)。S103において、取得した複数の電力プロファイルの電源電圧値が何れも9V以下である場合、CPU81は複数の電力プロファイルの内で電源電圧値が最も大きい電力プロファイルを選択して決定する。取得した複数の電力プロファイルの電源電圧値の何れかが9Vより大きい場合、CPU81は電源電圧値が9Vより大きい電力プロファイルの内で電源電圧値が最も小さい電力プロファイルを選択して決定する。CPU81は決定した電力プロファイルの電源電圧値の情報を含んだ電力決定指示をCPU51に出力する(S104)。
【0066】
CPU81は、CPU51がS15(
図4参照)で出力する電力変更指示を受信したか否かを判断する(S111)。CPU51から電力変更指示を受信していないと判断した場合(S111:NO)、CPU81は処理をS121に移行する。CPU51から電力変更指示を受信したと判断した場合(S111:YES)、CPU81は電力変更処理を実行する(S112)。電力変更処理において、CPU81はS102で取得した電力プロファイルの内で、電源電圧値が9V以下であり且つ最も大きい電力プロファイルを選択して決定する。CPU81は、処理をS121に移行する。
【0067】
CPU81は、CPU51がS22又はS42(
図4参照)で出力する受電開始指示を受信したか否かを判断する(S121)。CPU51から受電開始指示を受信していないと判断した場合(S121:NO)、CPU81は処理をS111に戻す。CPU51から受電開始指示を受信するまで、CPU81はS111~S121を繰り返し実行する。CPU51から受電開始指示を受信したと判断した場合(S121:YES)、CPU81は電源出力指示を外部電源99に出力する(S122)。電源出力指示はCPU81が決定した電力プロファイルの情報を含む。外部電源99は、電力決定指示に基づき、CPU81が決定した電力プロファイルに対応する電源電力を出力する。CPU81は、スイッチ35をON状態に切替え、電源電力の受電を開始する(S123)。CPU81は、処理をS101に戻す。
【0068】
以上説明したように、印刷装置1は、印刷ヘッド21、バッテリ71、USB PDコントローラ80を備える。印刷装置1は、USB PD規格に基づく複数の電力プロファイルを有する外部電源99と接続する。各電力プロファイルは外部電源99が出力可能な所定の電力及び電源電圧値と対応する。外部電源99は複数の電力プロファイルの何れか一つに対応する電力を電源電力として出力する。印刷装置1は、外部電源99及びバッテリ71の何れか一方を印刷ヘッド21の電力供給源として印刷する。USB PDコントローラ80のCPU81は外部電源99から複数の電力プロファイルを取得し(S102)、複数の電力プロファイルから何れか一つを決定する(S103)。制御部50のCPU51は、CPU81が決定した電力プロファイルの電源電圧値と印刷ヘッド21の定格電圧値を比較する。電力プロファイルの電源電圧値が印刷ヘッド21の定格電圧値を超える場合(S13:YES)、印刷装置1はバッテリ71を電力供給源とする(S41)。電力プロファイルの電源電圧値が印刷ヘッド21の定格電圧値以下の場合(S13:NO)、印刷装置1は外部電源99を電力供給源とする(S21)。
【0069】
このように、印刷装置1は、定格電圧値を超える電圧が外部電源99から供給される場合、電力供給源をバッテリ71とする。故に、外部電源99から供給される電圧を降下する降圧回路を印刷装置1に設ける必要がない。故に、印刷装置1は、供給可能な電源電圧値を複数有する外部電源99から電源電力が供給される場合でも、小型化を容易に実現できる。
【0070】
印刷装置1において、装着部3はバッテリ71を着脱可能に装着する。CPU51は、装着部3がバッテリ71を装着しているか否かを判断する(S14)。装着部3がバッテリ71を装着していないと判断した場合(S14:NO)、CPU51は電力変更指示をCPU81に出力する(S15)。電力選択指示を受信したCPU81は、決定した電力プロファイルから電源電圧値が印刷ヘッド21の定格電圧値以下の電力プロファイルに変更する。CPU51は印刷ヘッド21の電力供給源を外部電源99に決定する(S21)。このように、印刷装置1は、装着部3がバッテリ71を装着しておらず、印刷ヘッド21の電力供給源をバッテリ71とすることができない場合がある。この場合、CPU51は、電源電圧値が定格電圧値を超える場合であっても、印刷ヘッド21の電力供給源を外部電源99として、印刷することができる。
【0071】
印刷装置1は、電圧検出部73を備える。CPU51は、印刷ヘッド21の電力供給源がバッテリ71であって、印刷中にバッテリ71の電圧が限界電圧未満であるか否かを判断する(S62、S82)。バッテリ71の電圧が限界電圧未満となったと判断した場合(S62:YES又はS82:YES)、CPU51はバッテリ71の充電が必要であるとして、印刷の実行を休止し(S91)、バッテリ71の充電を開始する(S92)。このように、印刷装置1は、印刷中にバッテリ71の電圧が限界電圧未満となり、バッテリ71の充電が必要となる場合に、印刷を中止してバッテリ71を充電する。故に、印刷装置1は、印刷中にバッテリ71からの電力の供給が不足することによる印刷の失敗を抑制できる。
【0072】
印刷装置1は、入力部5を備える。印刷ヘッド21の電力供給源がバッテリ71である場合、CPU51は電圧検出部73の検出結果に基づきバッテリ71の電圧が満充電電圧未満であるか否かを判断する(S43)。バッテリ71の電圧が満充電電圧未満であると判断した場合(S43:YES)、CPU51はバッテリ71の充電を開始する(S51)。バッテリ71の充電中、CPU51は入力部5から印刷指示を受信したか否かを判断する(S52)。印刷指示を受信したと判断した場合(S52:YES)、CPU51はバッテリ71の充電を停止し(S53)、印刷を行う(S61)。このように、CPU51は、バッテリ71の充電中に、入力部5から印刷を開始する指示を受信した場合、バッテリ71の充電を停止し、印刷を開始する。故に、印刷装置1は、使用者の所望の時機に印刷できる。
【0073】
印刷装置1は、USBコネクタ91を備え、USB規格に準ずるケーブル98を介して外部電源99と接続する。外部電源99は、USBコネクタ91を介して供給電力を印刷装置1に供給する。この場合、印刷装置1は、USBコネクタ91を介して種々の外部機器と接続できるので、利便性が向上する。
【0074】
印刷装置1は、USB PD規格に基づく複数の電力プロファイルを有する外部電源99と接続する。各電力プロファイルは外部電源99が出力可能な所定の電力及び電源電圧値と対応する。外部電源99は複数の電力プロファイルの何れか一つに対応する電力を電源電力として出力する。印刷装置1は、印刷ヘッド21、バッテリ71、第一ライン36、第二ライン37、第三ライン38、FET32、34、USBコネクタ91、USB PDコントローラ80、制御部50を備える。第一ライン36は、バッテリ71が放電する電力を印刷ヘッド21に送電する。FET34は、第一ライン36に設けられ、第一ライン36の送電の開始と停止を切替える。第二ライン37は、USBコネクタ91が中継する電源電力を印刷ヘッド21に送電する。FET32は、第二ライン37に設けられ、第二ライン37の送電の開始と停止を切替える。第三ライン38は、USBコネクタ91が中継する電源電力をバッテリ71に送電する。USB PDコントローラ80は、外部電源99が出力する電源電力の大きさを決定する。制御部50は、決定した電源電力の電源電圧値に基づき、FET32、34を切替える。
【0075】
このように、印刷装置1は、制御部50によりFET32、34を切替えることで、印刷ヘッド21の電力供給源を変更できる。制御部50は、USB PDコントローラ80が決定した電源電力の電源電圧値に基づき、FET32、34を切替える。これにより、印刷装置1は、外部電源99から供給される電圧が高い場合でも、第二ライン37を経由して電源電力が印刷ヘッド21に送電されない。故に、印刷装置1は、第二ライン37に電圧を降下する降下回路を設ける必要がない。故に、印刷装置1は、供給可能な電源電圧値を複数有する外部電源99から電源電力が供給される場合でも、小型化を容易に実現できる。
【0076】
第二ライン37は、印刷ヘッド21及びUSBコネクタ91と直接接続する。このように、第二ライン37には、USBコネクタ91から印刷ヘッド21に送電される電圧を降下するための降圧回路は設けられていない。故に、印刷装置1は、小型化を容易に実現できる。
【0077】
印刷装置1は、FET62を備える。FET62は、第三ライン38に設けられ、第三ライン38の送電の開始と停止を切替える。制御部50は、USB PDコントローラ80により決定した電源電力の電源電圧値に基づき、FET62を切替える。この場合、制御部50は、FET62を切替えることで、バッテリ71の充電の開始と停止を切替える。故に、印刷装置1は、例えばバッテリ71の過電圧等、バッテリ71に電力が過剰に供給されることによる故障を抑制できる。
【0078】
印刷装置1は、スイッチ35を備える。スイッチ35は、第二ライン37、第三ライン38に設けられ、第二ライン37、第三ライン38によるUSBコネクタ91が中継する電源電力の送電の開始と停止を切替える。USB PDコントローラ80は、スイッチ35を切替える。この場合、印刷装置1は、スイッチ35を切替えることで、電源電力が意図せず印刷ヘッド21、バッテリ71に送電されることを抑制できる。
【0079】
上記実施形態において、USB PDコントローラ80が本発明の「取得部」「設定部」に相当する。電圧検出部73が本発明の「検出部」に相当する。USBコネクタ91が本発明の「USBポート」に相当する。FET34が本発明の「第一スイッチ」に相当する。FET32が本発明の「第二スイッチ」に相当する。制御部50が本発明の「第一制御部」「第二制御部」に相当する。FET62が本発明の「第三スイッチ」に相当する。USB PDコントローラ80が本発明の「第三制御部」に相当する。スイッチ35が本発明の「第四スイッチ」に相当する。
【0080】
本発明は、本発明の編集装置及び編集方法は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、以下の変形が適宜加えられてもよい。以下の変形は適宜組み合わされてもよい。
【0081】
印刷装置1は、装着部3を備えなくてもよい。この場合、バッテリ71は、筐体2に内蔵され、着脱可能でなくてもよい。印刷装置1は、スイッチ35を備えなくてもよい。第二ライン37、第三ライン38で送電される電力の開始と停止を切替えるスイッチは、例えば、ケーブル98に設けられてもよい。スイッチ35は、制御部50により切替えられてもよい。
【0082】
第一ライン36、第三ライン38に、送電される電圧を降下する降圧回路、又は送電される電圧を上昇する昇圧回路等を設けてもよい。第一ライン36、第二ライン37、第三ライン38に、FET32、34、62と異なるスイッチを設けてもよい。FET32、34、62は、スイッチング素子に限らず、例えばリレースイッチでもよい。
【0083】
装着部3がバッテリ71を装着しているか否かをリミットスイッチにより検出してもよい。この場合、CPU51はリミットスイッチの検出結果に基づきS14の判断を行ってもよい。バッテリ71はサーミスタ72を備えなくてもよい。
【0084】
USB PDコントローラ80は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。USB PDコントローラ80がハード単体である場合、電源電力決定処理は、CPU51がUSB PDコントローラ80を制御することで行われる。この場合、制御部50が本発明の「取得部」「設定部」「第三制御部」に相当する。
【0085】
印刷装置1の各処理のステップは、各装置のCPUによって実行される例に限定されず、一部又は全部が他の電子機器(例えば、ASIC)によって実行されてもよい。印刷装置1の各処理のステップは、複数の電子機器(例えば、複数のCPU)によって分散処理されてもよい。例えば、電源電力決定処理の一部がCPU51により実行されてもよい。
【0086】
上記実施形態では、印刷装置1は、USB PD規格に準ずる接続で外部電源99と接続するが、これに限らない。印刷装置1は、USB BC(USB Battery Charge)に準ずる接続や、USB規格以外の接続により外部電源99と接続してもよい。USB規格以外の接続により外部電源99と接続する場合、印刷装置1はUSBコネクタ91を備えなくてもよい。
【0087】
CPU51、81が処理を実行するための指令を含むプログラムは、印刷装置1の各装置がプログラムを実行するまでに、当該装置の記憶機器に記憶されればよい。従って、プログラムの取得方法、取得経路及びプログラムを記憶する機器の各々は、適宜変更してもよい。印刷装置1で実行されるプログラムは、ケーブル又は無線通信を介して他の装置から受信し、フラッシュメモリ54等の記憶装置に記憶されてもよい。他の装置は、例えば、PC、及びネットワーク網を介して接続されるサーバを含む。
【0088】
印刷装置1の各処理のステップは、必要に応じて順序の変更、ステップの省略、及び追加が可能である。印刷装置1上で稼動しているオペレーティングシステム(OS)等が、印刷装置1が有するCPU51、81からの指令に基づき処理の一部又は全部を行う態様も、本開示の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
1 印刷装置
5 入力部
21 印刷ヘッド
32、34、62 FET
35 スイッチ
36 第一ライン
37 第二ライン
38 第三ライン
50 制御部
51、81 CPU
71 バッテリ
73 電圧検出部
80 USB PDコントローラ
91 USBコネクタ