(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】着雪軽減装置、制御装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02G 1/02 20060101AFI20231129BHJP
H02G 7/16 20060101ALI20231129BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H02G1/02
H02G7/16
B64C39/02
(21)【出願番号】P 2020074606
(22)【出願日】2020-04-20
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】石橋 徳保
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/194445(US,A1)
【文献】特開2019-97314(JP,A)
【文献】特開2019-89361(JP,A)
【文献】特開2018-156491(JP,A)
【文献】特表2012-516785(JP,A)
【文献】特開昭61-210818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
H02G 7/16
B64C 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛翔体を用いて電線の着雪を軽減する着雪軽減装置であって、
飛翔体と、
前記電線を挿通する環状体と、
前記環状体と前記飛翔体とを接続する線条体と、
前記飛翔体の動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記飛翔体の周囲の環境を環境情報として取得する環境情報取得部と、
取得された環境情報に基づいて、前記飛翔体の飛行開始を判断する判断部と、
判断結果に基づいて、前記飛翔体を前記電線に沿って飛翔する動作を実行する実行部と、
を備える着雪軽減装置。
【請求項2】
前記環境情報取得部は、温度及び湿度を環境情報として取得し、
前記判断部は、前記環境情報によって示される温度及び湿度の少なくとも一方が所定の閾値を超えたことに応じて、前記飛翔体の飛行開始を判断する請求項1に記載の着雪軽減装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記飛翔体の動作日時を実績情報として取得する実績情報取得部をさらに備える請求項1又は2に記載の着雪軽減装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記電線を撮像する撮像部をさらに備え、
前記実績情報取得部は、前記実績情報とともに、撮像された撮像画像を取得する請求項3に記載の着雪軽減装置。
【請求項5】
前記環境情報取得部は、風速を環境情報として取得し、
前記判断部は、前記環境情報によって示される風速が所定の第1の閾値を超えたことに応じて、前記飛翔体の飛行を停止する請求項1から4のいずれかに記載の着雪軽減装置。
【請求項6】
前記判断部は、前記環境情報によって示される風速が所定の第2の閾値を超えたことに応じて、前記飛翔体による前記環状体の凍結防止の実行を判断し、
前記実行部は、前記飛翔体に前記環状体の凍結防止を実行させる請求項5に記載の着雪軽減装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記飛翔体に搭載される請求項1から6のいずれかに記載の着雪軽減装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の制御装置としてコンピュータを動作させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記飛翔体の周囲の環境を環境情報として取得する環境情報取得部、
取得された環境情報に基づいて、前記飛翔体の飛行開始を判断する判断部、
判断結果に基づいて、前記飛翔体を前記電線に沿って飛翔する動作を実行する実行部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着雪軽減装置、制御装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
降雪量の多い地域においては、送電線などの架空線への着雪が、断線やギャロッピング現象の発生原因となる。架空線の断線やギャロッピング現象は、架空線における着雪が多くなるほど発生しやすくなる。この対策として、架空線にスパイラルロッドと称される螺旋状の電線を取り付けることが実施されている。スパイラルロッドは、架空線に吹き付ける風を用いて架空線周りに回転することによって、架空線における着雪を抑制する。
【0003】
一方、スパイラルロッドは、無風状態では回転しない。そのため、無風状態において、スパイラルロッドは、着雪を抑制できない場合がある。架空線に付着した雪は、氷の塊となって落下する可能性がある。そこで、架空線を挿通した可動体を架空線に沿って移動させることで、着雪を抑制する着雪軽減装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、可動体を移動させることで、能動的に着雪を抑制することができる点で有用である。また、作業員にかかる負担を抑えつつ、容易に架空線における着雪の軽減を図ることができる点で有用である。そこで、他の手法で容易に着雪の軽減を図ることができれば、これもまた有用である。
【0006】
本発明は、容易に着雪の軽減を図ることができる着雪軽減装置、制御装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、飛翔体を用いて電線の着雪を軽減する着雪軽減装置であって、飛翔体と、前記電線を挿通する環状体と、前記環状体と前記飛翔体とを接続する線条体と、前記飛翔体の動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記飛翔体の周囲の環境を環境情報として取得する環境情報取得部と、取得された環境情報に基づいて、前記飛翔体の飛行開始を判断する判断部と、判断結果に基づいて、前記飛翔体を前記電線に沿って飛翔する動作を実行する実行部と、を備える着雪軽減装置に関する。
【0008】
また、前記環境情報取得部は、温度及び湿度を環境情報として取得し、前記判断部は、前記環境情報によって示される温度及び湿度の少なくとも一方が所定の閾値を超えたことに応じて、前記飛翔体の飛行開始を判断するのが好ましい。
【0009】
また、前記制御装置は、前記飛翔体の動作日時を実績情報として取得する実績情報取得部をさらに備えるのが好ましい。
【0010】
また、前記制御装置は、前記電線を撮像する撮像部をさらに備え、前記実績情報取得部は、前記実績情報とともに、撮像された撮像画像を取得するのが好ましい。
【0011】
また、前記環境情報取得部は、風速を環境情報として取得し、前記判断部は、前記環境情報によって示される風速が所定の第1の閾値を超えたことに応じて、前記飛翔体の飛行を停止するのが好ましい。
【0012】
また、前記判断部は、前記環境情報によって示される風速が所定の第2の閾値を超えたことに応じて、前記飛翔体による前記環状体の凍結防止の実行を判断し、前記実行部は、前記飛翔体に前記環状体の凍結防止を実行させるのが好ましい。
【0013】
また、前記制御装置は、前記飛翔体に搭載されるのが好ましい。
【0014】
また、本発明は、上記の制御装置に関する。
【0015】
また、本発明は、上記の制御装置としてコンピュータを動作させるプログラムであって、前記コンピュータを、前記飛翔体の周囲の環境を環境情報として取得する環境情報取得部、取得された環境情報に基づいて、前記飛翔体の飛行開始を判断する判断部、判断結果に基づいて、前記飛翔体を前記電線に沿って飛翔する動作を実行する実行部、として機能させるプログラムに関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、容易に着雪の軽減を図ることができる着雪軽減装置、制御装置、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る着雪軽減装置を含むシステムの概略図である。
【
図2】一実施形態の制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態の着雪軽減装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る着雪軽減装置1、制御装置、及びプログラムについて、
図1から
図3を参照して説明する。
まず、本実施形態に係る着雪軽減装置1が用いられる電線L(架空線)について、
図1を参照して説明する。
【0019】
電線Lは、例えば
図1に示すように、送電線である。寒冷地において風雨にさらされる電線Lには、一定の条件下で着雪が発生する。着雪は、時間の経過により氷の塊となって落下することがある。そこで、着雪が氷の塊となる前に、適切に軽減(除去)されることが好ましい。本実施形態に係る着雪軽減装置1は、着雪の発生する環境下であるか否かを判断する。また、本実施形態に係る着雪軽減装置1は、着雪の発生する環境下において、電線Lの着雪を軽減する。
【0020】
次に、本実施形態の着雪軽減装置1の構成について説明する。
着雪軽減装置1は、例えば、
図1に示すように、鉄塔P(又は電柱)に架設された電線Lへの着雪を軽減(除去)する装置である。具体的には、着雪軽減装置1は、飛翔体10を用いて、鉄塔Pに架設された電線L(架空線)の着雪を軽減する装置である。鉄塔Pにおいて、飛翔体10の発着する発着ターミナル100が電線L架設位置よりも高い位置に設けられる。着雪軽減装置1は、飛翔体10と、環状体20と、線条体30と、制御装置40と、を備える。
【0021】
飛翔体10は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System、全球測位衛星システム)、気圧計、赤外線センサ、カメラセンサ、音波センサ等により自律制御され得るドローン(マルチローターヘリコプター)である。飛翔体10には、例えば、
図2に示すように、温度センサ11、湿度センサ12、及び風速センサ13が配置される。飛翔体10は、発着ターミナル100から離着陸可能に構成される。また、飛翔体10は、発着ターミナル100において、充電部(図示せず)から充電可能に構成される。
【0022】
環状体20は、例えば、金属で形成される。環状体20は、電線Lを挿通する。したがって、環状体20は、電線Lの径よりも大きな内径で形成される。また、環状体20は、電線Lに沿って移動自在に構成される。
【0023】
線条体30は、例えば、ロープである。線条体30の一端は、環状体20に取り付けられる。また、線条体30の他端は、飛翔体10に接続される。これにより、線条体30は、環状体20と飛翔体10とを接続する。すなわち、線条体30は、飛行する飛翔体10の移動にともなって環状体20を移動させる。
【0024】
制御装置40は、例えば、コンピュータ(電子計算機)である。制御装置40は、飛翔体10の動作を制御する。制御装置40は、例えば、飛翔体10の飛行動作を制御する。本実施形態において、制御装置40は、飛翔体10に搭載される。制御装置40は、
図2に示すように、環境情報取得部41と、判断部42と、動作内容格納部43と、撮像部44と、計時部45と、実績情報取得部46と、送信部47と、実行部48と、を備える。
【0025】
環境情報取得部41は、例えば、CPUが動作することにより実現される。環境情報取得部41は、飛翔体10の周囲の環境を環境情報として取得する。環境情報取得部41は、例えば、飛翔体10の周囲の環境として、温度、湿度、及び風速を環境情報として取得する。
【0026】
判断部42は、例えば、CPUが動作することにより実現される。判断部42は、取得された環境情報に基づいて、飛翔体10の飛行開始を判断する。判断部42は、例えば、判断部42は、環境情報によって示される温度及び湿度の少なくとも一方が所定の閾値を超えたことに応じて、飛翔体10の飛行開始を判断する。すなわち、判断部42は、電線Lへの着雪が発生する温度及び湿度の閾値を超えたことに応じて飛翔体10の飛行開始を判断する。判断部42は、例えば、温度(地上気温)が1度を低下したことに応じて飛翔体10の飛行開始を判断する。また、判断部42は、例えば、湿度が90%を超えたことに応じて飛翔体10の飛行開始を判断する。
【0027】
また、判断部42は、環境情報によって示される風速が所定の第1の閾値を超えたことに応じて、飛翔体10の飛行を停止する。すなわち、判断部42は、風速が飛翔体10を飛行させるのに適さない速さを超えたことに応じて飛翔体10の飛行を停止する。判断部42は、例えば、風速が17m/sを超えたことに応じて、飛翔体10の飛行を停止する。また、判断部42は、環境情報によって示される風速が所定の第2の閾値を超えたことに応じて、飛翔体10による環状体20の凍結防止の実行を判断する。すなわち、判断部42は、風速が環状体20の凍結に繋がる速さを超えたことに応じて、飛翔体10の凍結防止の実行を判断する。なお、本実施形態において、第2の閾値は、第1の閾値よりも小さい速度として説明される。
【0028】
動作内容格納部43は、例えば、ハードディスク等の記憶装置である。動作内容格納部43は、発着ターミナル100の位置、飛行経路、及び飛行高度等を格納する。
【0029】
撮像部44は、例えば、CPUが動作することにより実現されるである。撮像部44は、電線Lを撮像する。具体的には、撮像部44は、飛翔体10に設けられる撮像装置(図示せず)を制御して電線Lを撮像する。撮像部44は、例えば、環状体20の位置を含む電線Lを撮像する。
【0030】
計時部45は、例えば、タイマーである。計時部45は、飛翔体10の飛行日時を計時する。
【0031】
実績情報取得部46は、例えば、CPUが動作することにより実現される。実績情報取得部46は、飛翔体10の動作日時を実績情報として取得する。また、実績情報取得部46は、実績情報とともに、撮像された撮像画像を取得する。すなわち、実績情報取得部46は、飛翔体10による着雪の除去の実行時刻と、環状体20による電線Lの着雪の除去状況とを取得する。また、実績情報取得部46は、飛翔体10の飛行を停止した日時を実績情報として取得する。
【0032】
送信部47は、例えば、CPUが動作することにより実現される。送信部47は、取得された実績情報を外部に送信する。送信部47は、例えば、外部のサーバ(図示せず)に取得された実績情報を送信する。
【0033】
実行部48は、例えば、CPUが動作することにより実現される。実行部48は、判断結果に基づいて、飛翔体10を電線Lに沿って飛翔する動作を実行する。また、実行部48は、飛翔体10に環状体20の凍結防止を実行させる。実行部48は、例えば、動作内容格納部43に格納されている動作内容を読み出す。実行部48は、読み出した動作内容に沿って、飛翔体10の飛行を開始させる。また、逆に、実行部48は、風速が第1の閾値を超えたことに応じて、飛翔体10の飛行を停止させる。そして、実行部48は、風速が第2の閾値を超えたことに応じて、飛翔体10の充電熱を用いて環状体20の凍結を防止する。
【0034】
次に、着雪軽減装置1による着雪除去の動作について説明する。
着雪除去動作が実行される場合、飛翔体10は、制御装置40による制御により、発着ターミナル100から離陸する。飛翔体10は、制御装置40による制御にしたがって、電線Lに沿って飛行する。飛翔体10が電線Lに沿って飛行することにより、環状体20は、線条体30に引っ張られて電線Lに沿って摺動する。これにより、環状体20は、電線Lの着雪を除去する。
【0035】
飛翔体10は、例えば、離陸した鉄塔Pの発着ターミナル100から隣の鉄塔Pの発着ターミナル100まで飛行する。これにより、着雪軽減装置1による、着雪除去動作が完了する。
【0036】
次に、制御装置40の動作の流れについて、
図3のフローチャートを用いて説明する。
まず、環境情報取得部41は、各種センサから、環境情報を取得する(ステップS1)。次いで、判断部42は、環境情報に含まれる温度(地上気温)が所定の閾値以下になったか否かを判断する(ステップS2)。温度が所定の閾値以上である場合(ステップS2:YES)、すなわち、温度が所定の温度以上である場合、処理は、ステップS3に進む。一方、温度が所定の閾値未満である場合(ステップS2:NO)、すなわち、温度が所定の温度未満である場合、処理は、ステップS7に進む。
【0037】
ステップS3において、判断部42は、環境情報に含まれる湿度が所定の閾値以下になったか否かを判断する。湿度が所定の閾値以下である場合(ステップS3:YES)、処理は、ステップS4に進む。一方、湿度が所定の閾値未満である場合(ステップS3:NO)、処理は、ステップS7に進む。
【0038】
ステップS4において、判断部42は、環境情報に含まれる風速が第2の閾値以上になったか否かを判断する。風速が第2の閾値以上である場合(ステップS4:YES)、処理は、ステップS5に進む。一方、風速が第2の閾値未満である場合(ステップS4:NO)、処理は、ステップS6に進む。
【0039】
ステップS5において、実行部48は、環状体20の凍結防止を実行する。実行部48は、例えば、充電熱を発生させるために、飛翔体10の充電を開始する。
【0040】
ステップS6において、実績情報取得部46は、実績情報を取得する。実績情報取得部46は、取得した実績情報を外部に送信する。これにより、本フローによる処理は終了する。
【0041】
ステップS7において、判断部42は、環境情報に含まれる風速が第1の閾値以下になったか否かを判断する。風速が第1の閾値以下である場合、すなわち、風速が飛翔体10を飛行させるのに適する速度である場合(ステップS7:YES)、処理は、ステップS8に進む。一方、風速が第1の閾値未満である場合、すなわち、風速が飛翔体10を飛行させるのに適する速度でない場合(ステップS7:NO)、処理は、ステップS9に進む。
【0042】
ステップS8において、実行部48は、取得した動作内容に基づいて飛翔体10を飛翔させる。すなわち、実行部48は、電線Lの着雪の除去を実行させる。そして、処理は、ステップS6に進む。
【0043】
ステップS9において、実行部48は、飛翔体10の飛行を停止させる。すなわち、実行部48は、飛翔体10に着雪の除去動作を実行させない。そして、処理は、ステップS4に進む。
【0044】
次に、本実施形態のプログラムについて説明する。
制御装置40に含まれる各構成は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせによりそれぞれ実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0045】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、表示プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線L及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0046】
以上、一実施形態の着雪軽減装置1、制御装置40、及びプログラムによれば、以下の効果を奏する。
(1)飛翔体10を用いて電線Lの着雪を軽減する着雪軽減装置1であって、飛翔体10と、電線Lを挿通する環状体20と、環状体20と飛翔体10とを接続する線条体30と、飛翔体10の動作を制御する制御装置40と、を備え、制御装置40は、飛翔体10の周囲の環境を環境情報として取得する環境情報取得部41と、取得された環境情報に基づいて、飛翔体10の飛行開始を判断する判断部42と、判断結果に基づいて、飛翔体10を電線Lに沿って飛翔する動作を実行する実行部48と、を備える。
また、制御装置40としてコンピュータを動作させるプログラムであって、コンピュータを、飛翔体10の周囲の環境を環境情報として取得する環境情報取得部41、取得された環境情報に基づいて、飛翔体10の飛行開始を判断する判断部42、判断結果に基づいて、飛翔体10を電線Lに沿って飛翔する動作を実行する実行部48、として機能させる。これにより、環境情報に基づいて飛翔体10を飛翔させるだけで着雪を除去できるので、容易に着雪の軽減を図ることができる。また、鉄塔P又は電柱の位置に着雪軽減装置1を纏めて配置することができるので、着雪軽減装置1のメンテナンスを容易にすることができる。
【0047】
(2)環境情報取得部41は、温度及び湿度を環境情報として取得し、判断部42は、環境情報によって示される温度及び湿度の少なくとも一方が所定の閾値を超えたことに応じて、飛翔体10の飛行開始を判断する。これにより、着雪の可能性のあるときに着雪除去を実行することができるので、効率よく着雪を除去することができる。
【0048】
(3)制御装置40は、飛翔体10の動作日時を実績情報として取得する実績情報取得部46をさらに備える。これにより、着雪除去の日時を管理することができるので、着雪軽減装置1を適切に管理しやすくなる。
【0049】
(4)制御装置40は、電線Lを撮像する撮像部44をさらに備え、実績情報取得部46は、実績情報とともに、撮像された撮像画像を取得する。これにより、着雪除去の状況について、画像を用いて確認することができるので、電線Lの着雪状況をより容易に把握することが可能になる。
【0050】
(5)環境情報取得部41は、風速を環境情報として取得し、判断部42は、環境情報によって示される風速が所定の第1の閾値を超えたことに応じて、飛翔体10の飛行を停止する。これにより、飛翔体10を飛行させるのに適さない程の強風の場合、飛翔体10の飛行を停止することができる。これにより、より安全な着雪の除去を期待することができる。
【0051】
(7)判断部42は、環境情報によって示される風速が所定の第2の閾値を超えたことに応じて、飛翔体10による環状体20の凍結防止の実行を判断し、実行部48は、飛翔体10に環状体20の凍結防止を実行させる。これにより、環状体20が凍結してしまうことで、着雪の除去ができない状況を抑制することができる。
【0052】
(8)制御装置40は、飛翔体10に搭載される。これにより、着雪軽減装置1のメンテナンスを容易にすることができる。
【0053】
以上、本発明の着雪軽減装置1、制御装置40、及びプログラムの好ましい一実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0054】
例えば、上記実施形態において、温度及び湿度のすくなくとも一方が着雪除去の条件を満たしている場合に飛翔体10を飛行させるとしたが、これに制限されない。例えば、温度及び湿度の両方が着雪除去の条件を満たしている場合に限り、飛翔体10の飛行を実行してもよい。これにより、効果的な着雪除去を期待することができる。
【0055】
また、上記実施形態において、実行部48は、実績情報に含まれる、実際に飛翔体10が飛行した飛行日時に対して、所定時間経過までは飛翔体10の飛行動作の実行をしないようにしてもよい。すなわち、実行部48は、飛行日時に対して所定のインターバルの経過後までは飛翔体10の飛行を実行させないようにしてもよい。これにより。飛翔体10が飛行し続けることにより充電の不足を抑制することができる。また、着雪軽減装置1の劣化を抑制することができる。
【0056】
また、上記実施形態において、実行部48は、充電熱を用いて環状体20の凍結を防止するとしたが、これに制限されない。実行部48は、飛翔体10の回転翼(図示せず)のモータ(図示せず)を回転させることで発熱させて、環状体20の凍結を防止するようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態において、複数の環状体20が1つの飛翔体10に接続されてもよい。例えば、それぞれに別の電線Lが挿通された複数の環状体20が、1つの飛翔体10に接続されてもよい。また例えば、複数の環状体20は、1つの電線Lが挿通されて、1つの飛翔体10に接続されてもよい。
【0058】
また、上記実施形態において、着雪提言装置は、飛翔体10が飛行する際に報知する報知部(図示せず)をさらに備えてもよい。報知部は、例えば、音声を再生することで、電線Lからの雪の落下を報知してもよい。
【0059】
また、上記実施形態において、判断部42は、さらに天候を加味して飛翔体の飛行について判断してもよい。判断部42は、例えば、雨天又は降雪の際に、飛翔体を飛行するように判断してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 着雪軽減装置
10 飛翔体
20 環状体
30 線条体
40 制御装置
41 環境情報取得部
42 判断部
44 撮像部
46 実績情報取得部
48 実行部
L 電線