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特許7392569フォーカス調節ツールおよびフォーカス調節セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】フォーカス調節ツールおよびフォーカス調節セット
(51)【国際特許分類】
   G02C 13/00 20060101AFI20231129BHJP
   G02C 7/06 20060101ALI20231129BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20231129BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20231129BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20231129BHJP
【FI】
G02C13/00
G02C7/06
G02B7/04
G03B13/36
G02B7/28 N
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020087391
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021182074
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 義和
(72)【発明者】
【氏名】植村 昂紀
(72)【発明者】
【氏名】横田 壮太郎
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-128225(JP,A)
【文献】国際公開第2016/002296(WO,A1)
【文献】特開2008-178526(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101819331(CN,A)
【文献】特表2016-510430(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0285062(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0041406(US,A1)
【文献】特開2021-196379(JP,A)
【文献】特開2022-123612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 13/00
G02C 7/06
G02B 7/04
G03B 13/36
G02B 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目視対象からの反射光を屈折させるための調節用レンズと、
前記調節用レンズが平行移動するための内部空間を含む筐体と、
前記調節用レンズの前記筐体内の位置を調節するための調節部と、
前記調節用レンズの移動方向における第1の端部および第2の端部とを備え、
前記第1の端部には、オートフォーカス眼鏡の度数可変レンズを介して前記目視対象を目視するための穴が設けられ、
前記調節用レンズは、前記筐体内の位置に応じて、前記第2の端部の側に配置された前記目視対象の前記反射光の前記度数可変レンズへの入射角を調節する、フォーカス調節ツール。
【請求項2】
前記第2の端部には、壁が設けられており、
当該壁の筐体内側の面には前記目視対象が描かれ、または設置されている、請求項1に記載のフォーカス調節ツール。
【請求項3】
前記第2の端部には、前記目視対象の映像または画像の表示面を重ね合わせるための穴が設けられている、請求項1に記載のフォーカス調節ツール。
【請求項4】
前記筐体は、前記第2の端部の位置に光を取り込むための入光部を含む、請求項2に記載のフォーカス調節ツール。
【請求項5】
前記度数可変レンズの度数調節のための情報を表示するための表示部をさらに備え、
前記表示部は、前記調節用レンズの前記筐体内の位置に基づいて、表示する情報を変更する、請求項1~4のいずれかに記載のフォーカス調節ツール。
【請求項6】
前記度数可変レンズの度数調節のための情報は、前記度数可変レンズに対する前記目視対象の位置情報である、請求項5に記載のフォーカス調節ツール。
【請求項7】
前記オートフォーカス眼鏡に前記度数可変レンズの度数調節のための情報を送信するための通信部をさらに備え、
前記度数可変レンズの度数調節のための情報は、前記調節用レンズの前記筐体内の位置に基づいて変化する、請求項1~6のいずれかに記載のフォーカス調節ツール。
【請求項8】
オートフォーカス眼鏡と、
フォーカス調節ツールとを備え、
前記オートフォーカス眼鏡は、
度数可変レンズと、
前記度数可変レンズの度数調節部と、
前記度数可変レンズの度数情報を格納するための記憶部と、
前記オートフォーカス眼鏡を制御する制御部とを含み、
前記フォーカス調節ツールは、
目視対象からの反射光を屈折させるための調節用レンズと、
前記調節用レンズが平行移動するための内部空間を含む筐体と、
前記調節用レンズの前記筐体内の位置を調節するための調節部と、
前記度数可変レンズに対する前記目視対象の位置情報を表示するための表示部と、
前記調節用レンズの移動方向における第1の端部および第2の端部とを含み、
前記第1の端部には、前記度数可変レンズを介して前記目視対象を目視するための穴が設けられ、
前記調節用レンズは前記筐体内の位置に応じて、前記第2の端部の側に配置された前記目視対象の前記反射光の前記度数可変レンズへの入射角を調節し、
前記制御部は、
前記度数調節部から、前記表示部により表示された第1の位置情報と、前記第1の位置情報に対応する第1の度数情報とを取得し、
前記度数調節部から、前記表示部により表示された第2の位置情報と、前記第2の位置情報に対応する第2の度数情報とを取得し、
前記度数可変レンズの度数調節のための前記第1および第2の度数情報と、前記第1および第2の位置情報とを前記記憶部に保存する、フォーカス調節セット。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第1および第2の度数情報と、前記第1および第2の位置情報とに基づいて、前記度数可変レンズのフォーカスの補間計算を実行し、
前記補間計算の結果に基づいて、前記度数可変レンズの度数を調節する、請求項8に記載のフォーカス調節セット。
【請求項10】
前記オートフォーカス眼鏡は、第1の通信部をさらに含み、
前記フォーカス調節ツールは、第2の通信部をさらに含み、
前記第1の通信部は、前記第2の通信部と通信することで、前記度数可変レンズに対する前記目視対象の位置情報を受信する、請求項8または9に記載のフォーカス調節セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してオートフォーカス眼鏡のレンズの度数調節に関し、より特定的には、オートフォーカス眼鏡のレンズの度数調節ツール、または、オートフォーカス眼鏡およびそのレンズの度数調節ツールのセットに関する。
【背景技術】
【0002】
オートフォーカス眼鏡は、度数可変レンズを備えており、ユーザーの目の状態、またはオートフォーカス眼鏡から目視対象までの距離に合わせて度数可変レンズの度数を調節する。そのため、ユーザーは視力に関係なく同じオートフォーカス眼鏡を使用することができる。
【0003】
ただし、オートフォーカス眼鏡から目視対象までの距離が同一であっても、ユーザーの視力によって、度数可変レンズの最適な度数は異なる。そのため、ユーザーは、予め、初期設定として、オートフォーカス眼鏡から目視対象までの距離ごとに、度数可変レンズの度数を設定しておく必要がある。
【0004】
オートフォーカス眼鏡のレンズの度数の調節に関し、例えば、特開2015-052772号公報(特許文献1)は、「固体レンズ、可変焦点レンズの両レンズが設けられた第1の光学系または第2の光学系において、眼に屈折異常がある使用者が固体レンズ、可変焦点レンズを介して所定の目視対象物を視認した際に、使用者が所定の目視対象物を明瞭に視認できるように、固体レンズ、可変焦点レンズを構成する、あるいは、可変焦点レンズを備え、可変焦点レンズを駆動する電極に印加電圧が印加されない状態において、使用者が可変焦点レンズを介して所定の目視対象物を視認した際に、使用者が所定の目視対象物を明瞭に視認できるように、使用者の視力に応じて、可変焦点レンズを構成する」視力矯正装置を開示している([要約]参照)。
【0005】
また、オートフォーカス眼鏡のレンズの度数の調節に関する他の技術が、例えば、特許文献2~特許文献8に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-052772号公報
【文献】特開2014-157197号公報
【文献】特開2014-134782号公報
【文献】特開2014-038302号公報
【文献】特表2018-525672号公報
【文献】特表2017-523445号公報
【文献】国際公開第2018/168644号
【文献】国際公開第2018/168570号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~8に開示された技術によると、度数可変レンズの度数の初期設定時に、ユーザーが目視対象を複数回設置し直す必要がある。その結果、目視対象の設置時の位置ずれ等により度数可変レンズの度数調節が正確にできない可能性がある。したがって、ユーザーが目視対象を設置し直すことなく度数可変レンズの度数の初期設定を完了するための技術が必要とされている。
【0008】
本開示は、上記のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面における目的は、ユーザーが目視対象を設置し直すことなく度数可変レンズの度数の初期設定を完了するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある実施の形態に従うフォーカス調節ツールは、目視対象からの反射光を屈折させるための調節用レンズと、調節用レンズが平行移動するための内部空間を含む筐体と、調節用レンズの筐体内の位置を調節するための調節部と、調節用レンズの移動方向における第1の端部および第2の端部とを備える。第1の端部には、オートフォーカス眼鏡の度数可変レンズを介して目視対象を目視するための穴が設けられている。調節用レンズは、筐体内の位置に応じて、第2の端部の側に配置された目視対象の反射光の度数可変レンズへの入射角を調節する。
【0010】
ある局面において、第2の端部には、壁が設けられている。当該壁の筐体内側の面には目視対象が描かれ、または設置されている。
【0011】
ある局面において、第2の端部には、目視対象の映像または画像の表示面を重ね合わせるための穴が設けられている。
【0012】
ある局面において、筐体は、第2の端部の位置に光を取り込むための入光部を含む。
ある局面において、フォーカス調節ツールは、度数可変レンズの度数調節のための情報を表示するための表示部をさらに備える。表示部は、調節用レンズの筐体内の位置に基づいて、表示する情報を変更する。
【0013】
ある局面において、度数可変レンズの度数調節のための情報は、度数可変レンズに対する目視対象の位置情報である。
【0014】
ある局面において、フォーカス調節ツールは、オートフォーカス眼鏡に度数可変レンズの度数調節のための情報を送信するための通信部をさらに備える。度数可変レンズの度数調節のための情報は、調節用レンズの筐体内の位置に基づいて変化する。
【0015】
ある実施の形態に従うフォーカス調節セットは、オートフォーカス眼鏡と、フォーカス調節ツールとを備える。オートフォーカス眼鏡は、度数可変レンズと、度数可変レンズの度数調節部と、度数可変レンズの度数情報を格納するための記憶部と、オートフォーカス眼鏡を制御する制御部とを含む。フォーカス調節ツールは、目視対象からの反射光を屈折させるための調節用レンズと、調節用レンズが平行移動するための内部空間を含む筐体と、調節用レンズの筐体内の位置を調節するための調節部と、度数可変レンズに対する目視対象の位置情報を表示するための表示部と、調節用レンズの移動方向における第1の端部および第2の端部とを含む。第1の端部には、度数可変レンズを介して目視対象を目視するための穴が設けられている。調節用レンズは筐体内の位置に応じて、第2の端部の側に配置された目視対象の反射光の度数可変レンズへの入射角を調節する。制御部は、度数調節部から、表示部により表示された第1の位置情報と、第1の位置情報に対応する第1の度数情報とを取得し、度数調節部から、表示部により表示された第2の位置情報と、第2の位置情報に対応する第2の度数情報とを取得し、度数可変レンズの度数調節のための第1および第2の度数情報と、第1および第2の位置情報とを記憶部に保存する。
【0016】
ある局面において、制御部は、第1および第2の度数情報と、第1および第2の位置情報とに基づいて、度数可変レンズのフォーカスの補間計算を実行し、補間計算の結果に基づいて、度数可変レンズの度数を調節する。
【0017】
ある局面において、オートフォーカス眼鏡は、第1の通信部をさらに含む。フォーカス調節ツールは、第2の通信部をさらに含む。第1の通信部は、第2の通信部と通信することで、度数可変レンズに対する目視対象の位置情報を受信する。
【発明の効果】
【0018】
ある実施の形態に従うと、ユーザーが目視対象を設置し直すことなく度数可変レンズの度数の初期設定を完了することが可能である。
【0019】
この開示内容の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの本開示に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ある実施の形態に従うオートフォーカス眼鏡100の構成の一例を示す図である。
図2】ある実施の形態に従うオートフォーカス眼鏡の度数可変レンズ101の一例を示す図である。
図3】ある実施の形態に従うフォーカス調節ツール300の一例を示す図である。
図4】フォーカス調節ツール300の使用手順の概要の一例を示す図である。
図5】オートフォーカス眼鏡100およびフォーカス調節ツール300の回路構成の一例を示す図である。
図6】オートフォーカス眼鏡100の度数可変レンズ101の度数の調節手順の第1の例を示す図である。
図7】オートフォーカス眼鏡100の度数可変レンズ101の度数の調節手順の第2の例を示す図である。
図8】オートフォーカス眼鏡100の度数可変レンズ101の度数の調節手順の第3の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0022】
<A.基本構成>
まず、図1図3を参照して、本実施の形態に従うオートフォーカス眼鏡と、当該オートフォーカス眼鏡の初期設定のためのフォーカス調節ツールとについて説明する。
【0023】
図1は、本実施の形態に従うオートフォーカス眼鏡100の構成の一例を示す図である。オートフォーカス眼鏡100は、備え付けられたレンズの度数を変更可能な眼鏡である。そのため、視力の異なる複数のユーザーが同一のオートフォーカス眼鏡100を使用することができる。また、オートフォーカス眼鏡100は、レンズの度数を変更する機能を備える。当該機能により、ユーザーは、自分から目視対象までの距離に応じて、適宜、レンズの度数を調節し得る。
【0024】
オートフォーカス眼鏡100は、度数可変レンズ101と、フレーム102と、制御部103と、入力部104と、記憶部105と、電源部106と、通信部107と、距離センサー108とを備える。
【0025】
度数可変レンズ101は、度数、すなわち光の屈折率を変更可能なレンズである。また、左右の度数可変レンズ101の各々の度数は、互いに異なっていてもよい。ある局面において、度数可変レンズ101は、液晶レンズであってもよい。液晶レンズは、入力された電圧に基づいて液晶を変化させることで、液晶レンズ自体の度数調節を可能にする。他の局面において、度数可変レンズ101は、液体レンズであってもよい。液体レンズの度数調節は、例えば、ポンプ等によりレンズ内に含まれる液体の量を調節することで可能にされ得る。
【0026】
フレーム102は、度数可変レンズ101および他の構成を内蔵する。ある局面において、度数可変レンズ101、制御部103~距離センサー108の一部または全ては、フレーム102から脱着可能であってもよい。その場合、ユーザーは、必要に応じて各パーツをフレーム102に装着し得る。他の局面において、フレーム102は、樹脂、金属、木材およびその他の任意の素材またはこれらの組み合わせによって実現されてもよい。
【0027】
制御部103は、オートフォーカス眼鏡100の全体の動作を制御する。制御部103は、左右の度数可変レンズ101の度数を調節する。ここでの度数可変レンズ101の度数の調節は、一例として、度数可変レンズ101に対する電圧の調節、または度数可変レンズ101内の液体の量の調節を含み得る。制御部103は、後述する入力部104または通信部107から取得した度数可変レンズ101の設定情報に基づいて、度数可変レンズ101の度数を調節し得る。
【0028】
「設定情報」は、一例として、左右の度数可変レンズ101の「度数情報」を含んでいてもよい。その場合、制御部103は、設定情報に含まれる度数情報に基づいて、液晶レンズである度数可変レンズ101に対する電圧、または液体レンズである度数可変レンズ101の液量を調節し得る。
【0029】
ある局面において、設定情報は、度数情報に加えて、位置情報(距離情報)を含んでいてもよい。「位置情報(距離情報)」は、一例として、度数可変レンズ101またはユーザーの目に対する目視対象の位置、または、度数可変レンズ101またはユーザーの目に対する目視対象までの距離を示す。例えば、ある目視対象が度数可変レンズ101から10メートル離れている場合、位置情報は、10メートルになる。
【0030】
制御部103は、これらの度数情報と、位置情報とを使用し得る。例えば、制御部103は、位置情報(A)のときの度数情報(X)と、位置情報(B)のときの度数情報(Y)とを取得したとする。この場合、制御部103は、目視対象の位置が(A)であるとき、度数可変レンズ101の度数を度数情報(X)に合せて調節し得る。また、制御部103は、目視対象の位置が(B)である場合、度数可変レンズ101の度数を度数情報(Y)に合せて調節し得る。ある局面において、制御部103は、距離センサー108から取得した値に基づいて、度数可変レンズ101から目視対象までの距離に応じた度数の調節を自動で実行してもよい。他の局面において、制御部103は、入力部104からユーザーによる調節の指示を入力されたことに基づいて、度数可変レンズ101から目視対象までの距離に応じた度数の調節を実行してもよい。
【0031】
入力部104は、度数可変レンズ101の設定情報の入力を受け付ける。ある局面において、入力部104は、ダイヤル、タッチパネルまたはボタン等の任意の入力手段を備えていてもよく、当該入力手段からユーザーの入力を受け付ける。入力部104は、ユーザーから、度数情報および位置情報の入力を受け付け得る。
【0032】
記憶部105は、制御部103が度数可変レンズ101の度数を調節するときに使用する設定情報を保存する。制御部103は、入力部104または通信部107から取得した設定情報を記憶部105に保存する。制御部103は、記憶部105に保存された設定情報に基づいて、適宜、度数可変レンズ101の度数を変更し得る。また、記憶部105は、制御部103によって実行されるプログラムを格納する。
【0033】
電源部106は、度数可変レンズ101と、制御部103と,入力部104と、記憶部105と、通信部107と、距離センサー108とに電力を提供する。ある局面において、電源部106は、バッテリー(図示せず)と、変圧装置(図示せず)と、給電部(図示せず)とを含んでいてもよい。給電部は、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子を含む任意の端子を含んでいてもよく、当該端子を介して外部から給電を受け、バッテリーを充電し得る。電源部106は当業者に容易に理解できるものである。したがって、電源部106の詳細な説明は繰り返さない。
【0034】
通信部107は、後述するフォーカス調節ツール300と通信する。通信部107は、フォーカス調節ツール300から、制御部103が度数可変レンズ101の度数を調節するときに使用する設定情報または設定情報を生成するための情報を受信し得る。ある局面において、通信部107は、有線LAN(Local Area Network)ポートおよびWi-Fi(登録商標)モジュール等によって実現されてもよい。他の局面において、通信部107は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)等の通信プロトコルを用いてデータを送受信してもよい。
【0035】
距離センサー108は、度数可変レンズ101またはユーザーの目から目視対象までの距離を測定し得る。距離センサー108は、レーザー、赤外線、画像または超音波等の任意の手段またはこれらの組み合わせにより、度数可変レンズ101またはユーザーの目から目視対象までの距離(位置情報)を測定する。距離センサー108は、取得した距離を示す信号を制御部103に出力する。
【0036】
図2は、本実施の形態に従うオートフォーカス眼鏡の度数可変レンズ101の一例を示す図である。図2の例では、度数可変レンズ101に対して遠距離の場所(A)、中距離の場所(B)および近距離の場所(C)の各々にある目視対象からの反射光が、度数可変レンズ101に届く様子を示している。このように、度数可変レンズ101から目視対象までの距離が異なる場合、度数可変レンズ101に入る光の入射角も変化する。度数可変レンズ101を経由した光は、ユーザーの目の水晶体201を経由して、網膜202に到達する。
【0037】
そこで、制御部103は、取得した設定情報(度数情報、位置情報)を参照することにより、適宜、現在のユーザーの目または度数可変レンズ101から目視対象までの距離に応じて、度数可変レンズ101の屈折率を調節する。
【0038】
これ以降の説明では、度数可変レンズ101に対して遠距離、中距離および近距離の位置にある各目視対象を「遠距離の目視対象」、「中距離の目視対象」、「近距離の目視対象」と表す。また、ユーザーがオートフォーカス眼鏡100をかけて遠距離、中距離および近距離の目視対象の各々を見るときの度数可変レンズ101の度数を「遠距離の度数」、「中距離の度数」、「近距離の度数」と呼ぶ。また、度数可変レンズ101に対して遠距離、中距離および近距離の各位置を単に「近距離の位置」、「中距離の位置」、「遠距離の位置」と呼ぶ。
【0039】
図3は、本実施の形態に従うフォーカス調節ツール300の一例を示す図である。フォーカス調節ツール300は、オートフォーカス眼鏡100の初期設定に使用される。通常、ユーザーは、オートフォーカス眼鏡の度数を調節するときに、目視対象を予め定められた位置(近距離の位置、中距離の位置、遠距離の位置等)に手動で設置し、各位置に設置された目視対象を見ながら度数可変レンズの度数を調節する必要がある。しかし、目測で度数可変レンズから目視対象までの距離を正確に計るのは困難であり、ユーザーは目視対象の設置箇所を誤る可能性がある。このような目視対象の設置箇所の間違いは、度数可変レンズの度数調節の誤差の原因となり得る。
【0040】
ユーザーは、オートフォーカス眼鏡100の初期設定に使用する目視対象の位置を目測で測って設置する代わりに、フォーカス調節ツール300を使用することで、より容易に度数可変レンズ101の度数の調節を実現し得る。
【0041】
ユーザーは、一例として、フォーカス調節ツール300を使用することで、オートフォーカス眼鏡100に、度数可変レンズ101の遠距離の度数、中距離の度数、および近距離の度数を容易に設定し得る。
【0042】
フォーカス調節ツール300は、フォーカスレンズ301と、第1の端部302と、第2の端部303と、調節部304と、表示部305と、通信部306と、入光部310とを備える。
【0043】
フォーカスレンズ301は、フォーカス調節ツール300の筐体の内部の空間を平行移動する。調節部304は、フォーカスレンズ301の筐体内部での位置を調節するための入力を受け付ける。ある局面において、調節部304は、ダイヤル、ボタン、スライダーまたはタッチパネル等の任意の入力手段であってもよい。
【0044】
フォーカス調節ツール300は、調節部304からの入力に応じて、フォーカスレンズ301の位置を調節する。ある局面において、フォーカス調節ツール300は、調節部304の入力に基づいてフォーカスレンズ301を移動させるための動力伝達部(図示せず)または駆動部(図示せず)を備えていてもよい。
【0045】
第1の端部302には、オートフォーカス眼鏡100の度数可変レンズ101を密着させるための穴が設けられている。ユーザーは、オートフォーカス眼鏡100をかけた状態で、左右どちらかの度数可変レンズ101に第1の端部302を密着させて、第1の端部302をのぞき込む様にしてフォーカス調節ツール300を使用する。
【0046】
第2の端部303には、初期設定時に使用する目視対象が設置される。ある局面において、第2の端部303は壁または蓋であり、当該第2の端部303の筐体内部側の面に目視対象が描かれていてもよい。他の局面において、第2の端部303の筐体内部側の面に立体的な目視対象が設けられていてもよい。また、他の局面において、当該第2の端部303には、目視対象の映像または画像を表示したスマートフォン等の画面を密着させるための穴が設けられていてもよい。さらに、他の局面において、ユーザーは、スマートフォン等の画面の代わりに、目視対象の画像の描かれた紙等を第2の端部303の穴に密着させてもよい。
【0047】
いずれにしても、ユーザーは、オートフォーカス眼鏡100をかけた状態で、第1の端部302から第2の端部303に位置する目視対象を見ることになる。フォーカスレンズ301の位置が変わることにより、目視対象からの反射光の度数可変レンズ101に対する入射角は変化する。すなわち、フォーカスレンズ301の位置が変わることにより、ユーザーには、目視対象が近づいたり遠のいたりするように見える。言い換えれば、フォーカス調節ツール300は、オートフォーカス眼鏡100をかけたユーザーが、近距離、中距離または遠距離等の任意の距離にある目視対象を疑似的に見るためのツールであり、調節部304は目視対象の位置を調節している。
【0048】
これ以降の説明では、オートフォーカス眼鏡100をかけたユーザーが、第2の端部303側の目視対象を疑似的に近距離の目視対象として見ているときのフォーカスレンズ301の位置を「近距離の位置」と呼ぶ。同様に、オートフォーカス眼鏡100をかけたユーザーが、第2の端部303側の目視対象を疑似的に中距離の目視対象として見ているときのフォーカスレンズ301の位置を「中距離の位置」と呼ぶ。また、オートフォーカス眼鏡100をかけたユーザーが、第2の端部303側の目視対象を疑似的に遠距離の目視対象として見ているときのフォーカスレンズ301の位置を「遠距離の位置」と呼ぶ。
【0049】
ある局面において、調節部304は、調節部304に含まれるボタン等が押されることにより、フォーカスレンズ301を自動的に、近距離の位置、中距離の位置または遠距離の位置等の予め定められた位置に移動させてもよい。
【0050】
他の局面において、フォーカス調節ツール300の筐体に、オートフォーカス眼鏡100の初期調節に使用する位置の印が付けられていており、かつ、フォーカス調節ツール300の筐体の外側から内部のフォーカスレンズ301の位置が確認できるようになっていてもよい。その場合、ユーザーはその印に合わせてフォーカスレンズ301を移動させ得る。
【0051】
表示部305は、ユーザーに対して、現在のフォーカスレンズの位置、すなわち目視対象の位置情報を表示する。例えば、表示部305が、位置情報(A)を示すとき、ユーザーは、疑似的に、自身の目または度数可変レンズ101から距離(A)だけ離れた目視対象を見ていることになる。ある局面において、表示部305は、ダイヤル、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の任意の表示手段を含んでいてもよい。ユーザーは、表示部305に表示された情報(度数可変レンズ101に対する目視対象の位置情報)を参照しながら、オートフォーカス眼鏡100の入力部104から度数情報を入力して、度数可変レンズ101の度数を調節し得る。
【0052】
通信部306は、オートフォーカス眼鏡100の通信部107と通信する。通信部306は、オートフォーカス眼鏡100に、調節部304によって設定された(調節部304からの入力により変化する)目視対象の位置情報を送信する。
【0053】
ある局面において、通信部306は、オートフォーカス眼鏡100に、制御部307が目視対象の位置情報に基づいて算出した度数情報も送信してもよい。当該度数情報は、例えば、調節部304によって設定された位置情報に対するデフォルトの度数情報であってもよい。オートフォーカス眼鏡100は、受信した度数情報に基づいて度数可変レンズ101の度数を調節し得る。
【0054】
オートフォーカス眼鏡100が受信した度数情報に基づいて度数可変レンズ101の度数を調節した場合、ユーザーは入力部104を介して度数情報を入力することで、度数可変レンズ101の度数を自分に合わせてさらに微調節し得る。その結果、ユーザーはフォーカスレンズ301の度数を自分に合わせて微調節するだけで済む。
【0055】
入光部310は、フォーカス調節ツール300の内部、特に第2の端部303付近に光を取り込むための窓口である。入光部310は、第2の端部303の壁面に目視対象が描かれている場合等に、目視対象に反射させるための光を外部から取り込む。ある局面において、入光部310は、光を取り込む代わりに、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子を備えていてもよい。他の局面において、フォーカス調節ツール300がスマートフォン等の画面に表示する目視対象の画像を使用することを前提にしている場合、フォーカス調節ツール300は、入光部310を備えていなくてもよい。
【0056】
上記のように、フォーカス調節ツール300は、従来のオートフォーカス眼鏡の初期設定方法と異なり、ユーザーが目測で目視対象の設置位置を変更する必要はない。ユーザーは、フォーカスレンズ301の位置を調節するだけで、正確に目視対象の設置を変更し得る。当該機能により、ユーザーは、より正確におよび容易に度数可変レンズ101の度数の調節を実行し得る。
【0057】
<B.度数可変レンズ101のフォーカス調節の概要>
次に、図4を参照して、フォーカス調節ツール300を使用した度数可変レンズ101の度数の調節方法の具体的な流れを説明する。図4の例では、第2の端部303は、目視対象の描かれた壁または蓋であるとして説明するが、これは一例であり、実施の形態はこれに限られるものではない。上述した通り、第2の端部303には、スマートフォン等の画面または紙等を密着させるための穴が設けられていてもよい。
【0058】
図4は、フォーカス調節ツール300の使用手順の概要の一例を示す図である。図4を参照して、ユーザーが、フォーカス調節ツール300を用いて、度数可変レンズ101の遠距離の度数、中距離の度数および近距離の度数を設定する手順について説明する。以下の度数可変レンズ101の度数の調節は、左右の度数可変レンズ101の各々に対して実行される。
【0059】
ステップS1において、ユーザーは、オートフォーカス眼鏡100のフレーム102をフォーカス調節ツール300の第1の端部302に密着させる。このときフォーカス調節ツール300の一部はフレーム102に接触する。ユーザーは、この状態で、左右の度数可変レンズ101のいずれかを介して、第2の端部303の表面に描かれた目視対象を目視する。
【0060】
ステップS2において、ユーザーは、調節部304を用いて、フォーカスレンズ301を位置401A(遠距離の位置)に移動させる。フォーカスレンズ301が位置401Aにあるとき、ユーザーには目視対象が遠距離にあるように見える。
【0061】
ステップS3において、ユーザーは、表示部305に表示された目視対象の位置情報を参照しながら、入力部104を介して度数可変レンズ101の遠距離の度数を調節する。
【0062】
制御部103は、入力された度数可変レンズ101の度数を記憶部105に格納する。制御部103は、次回以降、ユーザーが遠距離の目視対象を目視しているとき、入力部104から入力された指示、または距離センサー108からの信号に基づいて、度数可変レンズ101の度数を本ステップにて調節された度数に変更し得る。
【0063】
ステップS4において、ユーザーは、調節部304を用いて、フォーカスレンズ301を位置401B(中距離の位置)に移動させる。フォーカスレンズ301が位置401Bにあるとき、ユーザーには目視対象が中距離にあるように見える。
【0064】
ステップS5において、ユーザーは、表示部305に表示された目視対象の位置情報を参照しながら、入力部104を介して度数可変レンズ101の中距離の度数を調節する。
【0065】
制御部103は、入力された度数可変レンズ101の度数を記憶部105に格納する。制御部103は、次回以降、ユーザーが中距離にある目視対象を目視しているとき、入力部104から入力された指示、または距離センサー108からの信号に基づいて、度数可変レンズ101の度数を本ステップにて調節された度数に変更し得る。
【0066】
ステップS6において、ユーザーは、調節部304を用いて、フォーカスレンズ301を位置401C(近距離の位置)に移動させる。フォーカスレンズ301が位置401Cにあるとき、ユーザーには目視対象が近距離にあるように見える。
【0067】
ステップS7において、ユーザーは、表示部305に表示された目視対象の位置情報を参照しながら、入力部104を介して度数可変レンズ101の近距離の度数を調節する。
【0068】
制御部103は、入力された度数可変レンズ101の度数を記憶部105に格納する。制御部103は、次回以降、ユーザーが近距離にある目視対象を目視しているとき、入力部104から入力された指示、または距離センサー108からの信号に基づいて、度数可変レンズ101の度数を本ステップにて調節された度数に変更し得る。
【0069】
ある局面において、制御部103は、通信部107を介して、フォーカス調節ツール300から目視対象の位置情報(フォーカスレンズ301による度数可変レンズ101から目視対象までの疑似的な距離)を受信してもよい。その場合、制御部103は、当該位置情報に基づいて度数可変レンズ101の度数を自動で調節してもよい。自動調節の後、制御部103は、入力部104を介して、ユーザーから微調節のための度数情報の入力を受け付け、当該度数情報に基づいて度数可変レンズ101の度数を調節し得る。
【0070】
上記のように、ユーザーは、フォーカス調節ツール300をオートフォーカス眼鏡100に密着させた後、目視対象を物理的に動かすことなく、複数距離(近距離、中距離および遠距離等)における度数可変レンズ101の度数の調節を容易に完了することができる。
【0071】
<C.回路構成>
図5は、オートフォーカス眼鏡100およびフォーカス調節ツール300の回路構成の一例を示す図である。図5を参照して、オートフォーカス眼鏡100およびフォーカス調節ツール300の回路構成について説明する。
【0072】
オートフォーカス眼鏡100は、回路構成として、度数可変レンズ101と、上述の制御部103と、入力部104と、記憶部105と、電源部106と、通信部107と、距離センサー108とを備える。
【0073】
度数可変レンズ101が液晶レンズである場合、度数可変レンズ101は、電圧を加える端子および電圧を調節する周辺回路と併せて使用される。また、度数可変レンズ101が液体レンズである場合、度数可変レンズ101は、ポンプおよびその制御回路等と併せて使用され得る。
【0074】
通信部107は、フォーカス調節ツール300の通信部306と通信し、目視対象の位置情報を取得する。目視対象の位置情報(度数可変レンズ101からの距離)は、フォーカスレンズ301の位置に基づいて決定される。そのため、ある局面において、通信部107は、フォーカスレンズ301の位置情報を受信してもよい。その場合、制御部103は、フォーカスレンズ301の位置情報に基づいて、目視対象の位置情報を算出し得る。
【0075】
フォーカス調節ツール300は、図3を参照して説明した調節部304と、表示部305と、通信部306とに加えて、制御部307と、記憶部308と、電源部309とを備える。
【0076】
制御部307は、フォーカス調節ツール300に設けられた回路、電子部品の動作を制御する。例えば、制御部307は、フォーカスレンズ301を駆動させるアクチュエーター、表示部305および通信部306等を制御し得る。
【0077】
記憶部308は、調節部304によって調節されたフォーカスレンズ301の位置情報等を一時的に格納する。また、記憶部308は、制御部307によって実行されるプログラムを格納する。
【0078】
電源部309は、フォーカス調節ツール300が備える回路、電子部品に電力を供給する。ある局面において、電源部309は、バッテリーを備えていてもよいし、外部から電力供給を受けるための端子を備えていてもよい。
【0079】
ある局面において、フォーカス調節ツール300が一切の電子機器を備えていない場合、フォーカス調節ツール300は、制御部307および電源部309を備えていなくてもよい。他の局面において、オートフォーカス眼鏡100がユーザーからの入力機能だけを備え、通信機能を備えない場合、フォーカス調節ツール300は、通信部306を備えていなくてもよい。また、他の局面において、フォーカス調節ツール300は、通信部306を備えている場合、表示部305を備えていなくてもよい。
【0080】
<D.フローチャート>
次に、図6図8を参照して、オートフォーカス眼鏡100およびフォーカス調節ツール300を含むフォーカス調節セットの処理手順について説明する。ある局面において、制御部103は、図6図8におけるオートフォーカス眼鏡100による処理を実行するためのプログラムを記憶部105から読み出して、当該プログラムを実行してもよい。他の局面において、当該処理の一部または全部は、当該処理を実行するように構成された回路素子の組み合わせとしても実現され得る。
【0081】
ある局面において、制御部307は、図6図8におけるフォーカス調節ツール300による処理を実行するためのプログラムを記憶部308から読み出して、当該プログラムを実行してもよい。他の局面において、当該処理の一部または全部は、当該処理を実行するように構成された回路素子の組み合わせとしても実現され得る。
【0082】
図6は、オートフォーカス眼鏡100の度数可変レンズ101の度数の調節手順の第1の例を示す図である。ステップS610において、制御部307は、調節部304を介して、ユーザーからフォーカスレンズ301の位置を調節するための入力を受け付ける。表示部305は、目視対象の位置情報を表示する。ここでの位置情報とは、フォーカスレンズ301による度数可変レンズ101から目視対象までの疑似的な距離である。
【0083】
ステップS620において、制御部103は、入力部104を介して、ユーザーから設定情報(位置情報、度数情報)の入力を受け付ける。ユーザーは、ステップS610にて表示部305に表示された位置情報と、度数情報とを入力部104に入力する。制御部103は、度数可変レンズ101の度数情報と、目視対象の位置情報とを取得する。
【0084】
ステップS630において、制御部103は、取得した度数情報に基づいて、度数可変レンズ101の度数を調節する。ある局面において、制御部103は、液晶レンズである度数可変レンズ101に加える電圧を変化させてもよい。他の局面において、制御部103は、ポンプ等を用いて、液体レンズである度数可変レンズ101の液体の量を調節してもよい。
【0085】
ステップS640において、制御部103は、入力部104を介して、度数可変レンズ101の度数の調節完了の入力を受け付けたか否かを判定する。一例として、入力部104は、調節完了の入力を受け付けるためのボタン等を備えていてもよい。制御部103は、度数可変レンズ101の度数の調節完了の入力を受け付けたと判定した場合(ステップS640にてYES)、制御をステップS650に移す。そうでない場合(ステップS640にてYES)、制御部103は、制御をステップS630に移す。
【0086】
ステップS650において、制御部103は、取得した設定情報(目視対象の位置情報、度数情報)を記憶部105に保存する。当該設定情報は、ユーザーがオートフォーカス眼鏡100を使用して何かを見るときの度数可変レンズ101の度数の調節に使用される。
【0087】
図7は、オートフォーカス眼鏡100の度数可変レンズ101の度数の調節手順の第2の例を示す図である。図7のフローチャートは、度数可変レンズ101の度数の調節を繰り返し実行して、複数の距離(遠距離、中距離および近距離等)における度数可変レンズ101の度数の調節を完了させる点で図6のフローチャートと異なる。
【0088】
ステップS760において、制御部103は、入力部104を介して、ユーザーから全調節完了の入力を受け付けたか否かを判定する。制御部103は、ユーザーから全調節完了の入力を受け付けたと判定した場合(ステップS760にてYES)、制御部103は、制御を終了する。そうでない場合(ステップS760にてNO)、制御部103は、制御をステップS610に移す。そして、制御部103は、再度、ユーザーから異なる目視対象の位置情報の入力と、度数情報の入力とを受け付けて、度数可変レンズ101の度数を調節する。
【0089】
図8は、オートフォーカス眼鏡100の度数可変レンズ101の度数の調節手順の第3の例を示す図である。図8のフローチャートは、度数可変レンズ101のフォーカスの補間情報を生成する点で図6および図7のフローチャートとは異なる。
【0090】
ステップS870において、制御部103は、ステップS610~S760までの処理で保存した設定情報(位置情報、度数情報)に基づいて、補間情報を生成する。「補間情報」とは、例えば、「目視対象が位置(A)にあるときの度数可変レンズ101の度数」と、「目視対象が位置(B)にあるときの度数可変レンズ101の度数」とに基づいて、補間計算により求めた「目視対象が位置(A),(B)以外の位置にあるときの度数可変レンズ101の度数」である。
【0091】
ある局面において、補間情報は、記憶部105に格納されている複数の設定情報(位置情報、度数情報)に基づいて生成された計算式のデータであってもよい。他の局面において、補間情報は、記憶部105に格納されている複数の設定情報に基づいて生成された他の位置における度数情報であってもよい。ある局面において、制御部103は、予め補間情報を生成しておく必要はなく、必要に応じて記憶部105に格納されている複数の設定情報に基づいて動的に補間情報を生成してもよい。オートフォーカス眼鏡100は、当該補間情報を用いることで、ユーザーが予め度数可変レンズ101の度数を調節していない距離にある目視対象に対しても適切に度数可変レンズ101の度数を調節し得る。
【0092】
ある局面において、オートフォーカス眼鏡100は、入力部104を介して、ユーザーから、度数可変レンズ101の度数または目視対象の位置情報(50センチ、2メートル等)を選択するための入力を受け付けたことに基づいて、記憶部105に格納されている度数情報を選択して、当該度数情報に基づいて、度数可変レンズ101の度数を調節してもよい。
【0093】
他の局面において、オートフォーカス眼鏡100は、距離センサー108からの入力信号(目視対象の位置情報)に基づき記憶部105に格納されている度数情報を選択して、当該度数情報に基づいて、度数可変レンズ101の度数を調節してもよい。
【0094】
また、他の局面において、オートフォーカス眼鏡100は、補間情報に基づいて、初期設定時に度数可変レンズ101の度数を設定した距離以外の距離にある目視対象に対して、度数可変レンズ101の度数を調節し得る。
【0095】
以上説明したように、ユーザーは、本実施の形態に従うフォーカス調節ツール300を使用することで、複数の異なる位置に設置された(度数可変レンズ101からの距離が異なる)目視対象を疑似的に見ることができる。当該機能により、ユーザーは、オートフォーカス眼鏡100が備える度数可変レンズ101の度数の調節時に目視対象を手動で複数の箇所に設置し直す必要がなくなる。その結果、ユーザーは、より簡単に、かつより正確に度数可変レンズ101の度数の調節を完了し得る。
【0096】
また、度数可変レンズ101は、設定された複数の距離における度数情報に基づいて、補間情報を生成し得る。オートフォーカス眼鏡100は、当該補間情報を用いることで、ユーザーが予め度数可変レンズ101の度数を調節していない距離にある目視対象に対しても適切に度数可変レンズ101の度数を調節し得る。
【0097】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された開示内容は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0098】
100 オートフォーカス眼鏡、101 度数可変レンズ、102 フレーム、103,307 制御部、104 入力部、105,308 記憶部、106,309 電源部、107,306 通信部、108 距離センサー、300 フォーカス調節ツール、301 フォーカスレンズ、302 第1の端部、303 第2の端部、304 調節部、305 表示部、310 入光部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8