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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】車両のバッテリ保護構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20231129BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20231129BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20231129BHJP
【FI】
B62D25/20 N
B60K1/04 Z
H01M50/242
B62D25/20 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020104035
(22)【出願日】2020-06-16
(65)【公開番号】P2021195058
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼市 皓太
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-271878(JP,A)
【文献】特開2016-7904(JP,A)
【文献】特開平9-123950(JP,A)
【文献】特開2019-188976(JP,A)
【文献】特開2020-32930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20
B60K 1/04
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のフロアパネルの下側にバッテリパックが取り付けられた車両のバッテリ保護構造であって、
前記バッテリパックを前記フロアパネルに取り付けるための左右で一対の取付部が、前記バッテリパックの車両前後方向の一端部に車両前後方向に延びるように設けられ、
前記取付部は、車両下方に突出し、かつ、車両前後方向の前記バッテリパック側に延びる膨出部を有し、
前記膨出部は、車両上方へ凹む凹部を有し、
車両幅方向に延びるバー部材が前記凹部に取り付けられ、
前記取付部は、前記膨出部よりも車両下方に突出し、かつ、車両前後方向に延びる第1ビードを有し、
前記第1ビードの端部は前記凹部に接続されていることを特徴とする車両のバッテリ保護構造。
【請求項2】
前記バー部材は、前記凹部に取り付けられるブラケットを有し、
前記ブラケットは、前記凹部に締結される締結部と、前記締結部から車両下方に延びて前記バー部材に固定される脚部と、を有し、
前記バー部材の少なくとも一部が、前記バッテリパックの下面よりも車両下方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両のバッテリ保護構造。
【請求項3】
前記第1ビードは、前記バッテリパックの下面における車両幅方向端部に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の車両のバッテリ保護構造。
【請求項4】
前記バッテリパックの車両前後方向で前記取付部が設けられる側の側面に、車両幅方向に延びる側壁が設けられ、
前記取付部は、車両前後方向で側壁よりも前記バッテリパックの中央に向けて延長された延長部を有し、
前記延長部は、前記膨出部よりも車両下方に突出し、かつ、車両幅方向に延びる第2ビードを有し、
前記第2ビードが前記第1ビードに接続され、
前記バッテリパックの下面に、前記側壁に平行に第1補強部材が設けられ、
前記第1補強部材は、一対の前記延長部の前記第2ビード同士を連結していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両のバッテリ保護構造。
【請求項5】
前記取付部は、前記膨出部が設けられる第1パネルと、前記第1パネルに車両上方から重ねて接続される第2パネルと、を有し、
前記第2パネルは、車両上方への突出量が車両幅方向で異なる上側膨出部を有し、
前記上側膨出部は、前記凹部の上方に対向する位置に、車両上方への突出量が最も大きい対向部を有していることを特徴とする請求項2から請求項4の何れか1項に記載の車両のバッテリ保護構造。
【請求項6】
前記車体は、前記車体の車両幅方向中央で車両前後方向に延びるフロアトンネルと、前記フロアトンネルよりも車両幅方向外側で車両前後方向に延びるサイドメンバと、を備え、
一対の前記取付部は、車両幅方向で前記取付部の内側端部と前記サイドメンバとの中央位置よりも外側に位置する外側取付部と、車両幅方向で前記取付部の内側端部と前記サイドメンバとの中央位置よりも内側に位置する内側取付部と、を有し、
前記膨出部は、前記取付部における、車両幅方向で前記外側取付部から前記内側取付部にかけて設けられ、
一対の前記取付部の前記凹部同士が、前記バー部材によって互いに連結され、
前記フロアトンネルは前記フロアパネルに接合される境界部を有し、前記内側取付部の車両幅方向内側の端部は車両幅方向で前記境界部と同じ位置に配置され、
車両幅方向に延びる第2補強部材が前記フロアトンネルに接続され、
一対の前記取付部の前記内側取付部同士が、前記第2補強部材によって互いに連結されていることを特徴とする請求項2から請求項5の何れか1項に記載の車両のバッテリ保護構造。
【請求項7】
前記バッテリパックの車両幅方向の端部の下面に、車両下方に突出し、かつ、車両前後方向に延びる第3ビードが設けられ、
前記第1ビードと前記第3ビードとが接続されていることを特徴とする請求項2から請求項6の何れか1項に記載の車両のバッテリ保護構造。
【請求項8】
前記膨出部は前記凹部の車両幅方向内側に配置され、
前記バー部材は、車両前後方向で前記バッテリパックから離れる側に凸状に湾曲していることを特徴とする請求項2から請求項7の何れか1項に記載の車両のバッテリ保護構造。
【請求項9】
前記脚部は、車両幅方向内側に配置された内側脚部と、前記内側脚部よりも車両幅方向外側に配置された外側脚部と、を有し、
前記バー部材は、車両幅方向中央部から前記内側脚部および前記外側脚部と接続される部位まで湾曲し、
前記内側脚部および前記外側脚部は、車両前後方向に延伸していることを特徴とする請求項8に記載の車両のバッテリ保護構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のバッテリ保護構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車またはハイブリッド車等の自動車として、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載のものは、モータに給電するバッテリがフロアパネルの下側に取り付けられている。また、特許文献1に記載のものは、熱輸送流体循環用の少なくとも2つのダクトとバッテリとに接続するための開口部を含むことによって少なくとも2つのダクトをバッテリの内部循環回路に連結するマルチ接続プレートを備えている。
【0003】
これにより、特許文献1に記載のものは、バッテリの十分な冷却を保証しつつ、エネルギを最適な様式で車両に送達することができ、バッテリの据え付けおよび取り外し操作に適合したバッテリ接続システムを提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2014-513858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載の従来の技術にあっては、車両のフロアパネルの下側にバッテリが取り付けられているため、路面上の障害物によりバッテリが損傷しないようにバッテリを保護する必要がある。しかしながら、特許文献1に記載の従来の技術にあっては、路面上の障害物からのバッテリの保護について検討されておらず、改善の余地があった。また、飛び石等からバッテリを保護するための保護部材をバッテリに取り付けることが考えられる。この場合、障害物から受けた衝撃によってバッテリの保護部材の取付部位が変形することを抑制することが好ましい。
【0006】
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、路面上の障害物からバッテリパックを保護でき、バッテリパックの変形を抑制できる車両のバッテリ保護構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車体のフロアパネルの下側にバッテリパックが取り付けられた車両のバッテリ保護構造であって、前記バッテリパックを前記フロアパネルに取り付けるための左右で一対の取付部が、前記バッテリパックの車両前後方向の一端部に車両前後方向に延びるように設けられ、前記取付部は、車両下方に突出し、かつ、車両前後方向の前記バッテリパック側に延びる膨出部を有し、前記膨出部は、車両上方へ凹む凹部を有し、車両幅方向に延びるバー部材が前記凹部に取り付けられ、前記取付部は、前記膨出部よりも車両下方に突出し、かつ、車両前後方向に延びる第1ビードを有し、前記第1ビードの端部は前記凹部に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように上記の本発明によれば、路面上の障害物からバッテリパックを保護でき、バッテリパックの変形を抑制できる車両のバッテリ保護構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施例に係る車両のバッテリ保護構造を備える車両の底面図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係る車両のバッテリ保護構造を備える車両の前部の底面図である。
図3図3は、本発明の一実施例に係る車両のバッテリ保護構造を備える車両のバッテリパックの底面図である。
図4図4は、本発明の一実施例に係る車両のバッテリ保護構造を備える車両のバッテリパックの斜視図である。
図5図5は、図3に示すバッテリ保護構造を備える車両のV-V方向の矢視断面図である。
図6図6は、図3に示すバッテリ保護構造を備える車両のVI-VI方向の矢視断面図である。
図7図7は、図3に示すバッテリ保護構造を備える車両のVII-VII方向の矢視断面図である。
図8図8は、図3に示すバッテリ保護構造を備える車両のVIII-VIII方向の矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態に係る車両のバッテリ保護構造は、車体のフロアパネルの下側にバッテリパックが取り付けられた車両のバッテリ保護構造であって、バッテリパックをフロアパネルに取り付けるための左右で一対の取付部が、バッテリパックの車両前後方向の一端部に車両前後方向に延びるように設けられ、取付部は、車両下方に突出し、かつ、車両前後方向のバッテリパック側に延びる膨出部を有し、膨出部は、車両上方へ凹む凹部を有し、車両幅方向に延びるバー部材が凹部に取り付けられ、取付部は、膨出部よりも車両下方に突出し、かつ、車両前後方向に延びる第1ビードを有し、第1ビードの端部は凹部に接続されていることを特徴とする。これにより、本発明の一実施の形態に係る車両のバッテリ保護構造は、路面上の障害物からバッテリパックを保護でき、バッテリパックの変形を抑制できる。
【実施例
【0011】
以下、本発明の実施例に係る車両のバッテリ保護構造について、図面を用いて説明する。図1から図8において、上下前後左右方向は、車両に設置された状態の車両のバッテリ保護構造の上下前後左右方向とし、車両の前後方向に対して直交する方向が左右方向、車両のバッテリ保護構造の高さ方向が上下方向である。
【0012】
図1から図8は、本発明の一実施例に係る車両のバッテリ保護構造を示す図である。
【0013】
まず、構成を説明する。図1において、車両1は、車体2を備えている。車体2は、車室の床面を形成するフロアパネル2Aを有している。フロアパネル2Aの下面側にはバッテリパック20が配置されている。このように、バッテリパック20は、フロアパネル2Aの上側(車室内側)ではなく、フロアパネル2Aの下側(車室外側)に設けられている。
【0014】
図8において、バッテリパック20の内部には、複数のバッテリモジュール22が収容されている。
【0015】
図1において、フロアパネル2Aの車両幅方向の中央部には、車両前後方向に延びるフロアトンネル2Bが形成されている。バッテリパック20の前端部におけるフロアトンネル2Bの下方の位置には、コネクタ部12が設けられている。コネクタ部12には、ハーネス13Aの端子13が連結されている。バッテリパック20は、ハーネス13Aを介して図示しないモータ等に給電している。バッテリパック20は、全体として四角形に形成されている。
【0016】
バッテリパック20の前端部には左右で一対の取付部31が設けられている。バッテリパック20は、取付部31を含む複数の部位で車体2に取り付けられている。バッテリパック20の前端部は、本発明におけるバッテリパック20の車両前後方向の一端部を構成している。なお、左右で一対の取付部31をバッテリパック20の後端部に設けるようにしてもよく、この場合は、バッテリパック20の後端部が車両前後方向の一端部となる。
【0017】
車体2はサイドメンバ11を備えており、サイドメンバ11は、フロアトンネル2Bよりも車両幅方向外側で車両前後方向に延びている。
【0018】
図2において、バッテリパック20は、ハーネス13Aの端子13が接続されるコネクタ部12を備えている。コネクタ部12は、バッテリパック20における車両前後方向の一端部の一対の取付部31に挟まれる部位に設けられている。
【0019】
バッテリパック20には、断面が円形の車両幅方向に延びるバー部材40が設けられており、このバー部材40により一対の取付部31同士が連結されている。バー部材40は、コネクタ部12よりも車両前後方向でバッテリパック20から離れる側に配置されている。
【0020】
図2図3において、バー部材40は車両幅方向中央側ほどバッテリパック20から離れるように湾曲している。バー部材40は、車両前後方向でバッテリパック20から離れる側に凸状に湾曲している。
【0021】
図4において、バー部材40は、一対の取付部31に取り付けられるブラケット41を有している。ブラケット41は、取付部31にボルトで締結される締結部44と、締結部44から車両下方に延びてバー部材40に固定される脚部42、43と、を有している。脚部42、43は、締結部44よりもバッテリパック20から車両前後方向に離れて配置されている。
【0022】
図2において、一対の取付部31は、外側取付部31Aと内側取付部31Bとに区分される。外側取付部31Aは、車両幅方向で取付部31の内側端部とサイドメンバ11との中央位置Cよりも外側に位置する部位である。内側取付部31Bは、車両幅方向で取付部31の内側端部とサイドメンバ11との中央位置Cよりも内側に位置する部位である。ここで、中央位置Cは、AとBの中間位置である。取付部31の前端部を通り車両幅方向に延びる仮想線を想定した場合に、その仮想線とサイドメンバ11との交点を通って車両前後方向に延びる線をAとし、取付部31の内側端部であって車両前後方向に延びる線をBとしている。一対の取付部31の外側取付部31A同士は、バー部材40によって互いに連結されている。
【0023】
フロアトンネル2Bはフロアパネル2Aに接合される境界部2Cを有している。内側取付部31Bの車両幅方向内側の端部は、車両幅方向で境界部2Cと同じ位置に配置されている。
【0024】
フロアトンネル2Bには、車両幅方向に延びる前側補強部材14が接続されており、この前側補強部材14によって一対の取付部31の内側取付部31B同士が互いに連結されている。前側補強部材14は本発明における第2補強部材を構成している。
【0025】
図2図7において、バッテリパック20の車両前後方向で取付部31が設けられる側の側面には、車両幅方向に延びる側壁21が設けられている。
【0026】
図2において、取付部31は、車両前後方向で側壁21よりもバッテリパック20の中央に向けて延長された延長部34を有している。バッテリパック20の下面には、側壁21に平行に後側補強部材15が設けられており、後側補強部材15は一対の延長部34同士を連結している。
【0027】
図4において、脚部42、43は、車両前後方向で後側補強部材15よりも前方に配置されている。また、脚部42、43は、車両前後方向で前側補強部材14(図2参照)よりも後方に配置されている。したがって、脚部42、43は、車両前後方向で前側補強部材14と後側補強部材15との間に配置されている。
【0028】
脚部42、43のうち、車両幅方向内側に配置された脚部43は内側脚部を構成し、脚部43よりも車両幅方向外側に配置された脚部42は外側脚部を構成している。
【0029】
バー部材40は、車両幅方向中央部から脚部42、43と接続される部位まで湾曲している。脚部42、43は、全体として車両前後方向に延伸している。本実施例では、脚部42、43は、バー部材40の湾曲に沿って、僅かに車両外側を向くように傾斜して配置されている。
【0030】
図2において、一対の取付部31は前側ビード35を有している。前側ビード35は、車両下方に突出し、かつ、車両前後方向に延びている。前側ビード35は、バッテリパック20の下面における車両幅方向前端部に配置されている。後側補強部材15は前側ビード35に接続されている。
【0031】
図2図4において、バッテリパック20の下面には後側ビード25が設けられている。後側ビード25は、車両下方に突出し、かつ、車両下面視でバッテリパック20の縁に沿って車両前後方向に延びている。前側ビード35は後側ビード25に接続されている。後側ビード25は本発明における第3ビードを構成している。
【0032】
前側ビード35は延長ビード部35Aを有している。延長ビード部35Aは、前側ビード35の前端部を構成している。延長ビード部35Aは、後側補強部材15との接する部位よりも車両前後方向でバッテリパック20の中央よりも離れるように延びている。延長ビード部35Aの前端部には、車両上方に凹む凹部33が設けられている。延長ビード部35Aは凹部33に接続されている。したがって、前側ビード35の前端部は凹部33に接続されている。凹部33には、バー部材40のブラケット41の締結部44が固定されている。このように、バー部材40はブラケット41を介して凹部33に取り付けられている。一対の取付部31の凹部33同士は、バー部材40によって互いに連結されている。
【0033】
図2において、取付部31は膨出部32を有している。膨出部32は、車両下方に突出し、かつ、車両前後方向のバッテリパック20側に延びている。凹部33はこの膨出部32に設けられている。膨出部32は凹部33の車両幅方向内側に配置されている。前側ビード35は膨出部32よりも車両下方に突出している。
【0034】
図1において、バッテリパック20の前端部の車両幅方向の寸法は、バッテリパック20の車両前後方向の中央部の車両幅方向の寸法よりも小さくなっている。詳しくは、バッテリパック20の車両幅方向の寸法は、前端部において狭く、その他の部分において前端部よりも広くなっている。
【0035】
図6において、バー部材40の上端40Uはバッテリパック20の下面20Lよりも車両下方に配置されている。また、コネクタ部12は、バッテリパック20の下面よりも車両高さ方向で上方に設けられている。このため、バー部材40が衝突で後方に移動した場合にバー部材40がバッテリパック20のコネクタ部12に衝突することを防止できる。なお、バー部材40の少なくとも一部が、バッテリパック20の下面20Lよりも車両下方に配置されるようにしてもよい。
【0036】
図2において、延長部34は側方ビード37を有している。側方ビード37は、膨出部32よりも車両下方に突出し、かつ、車両幅方向に延びている。側方ビード37は前側ビード35に接続されている。側方ビード37は本発明における第2ビードを構成している。後側補強部材15は、一対の延長部34の側方ビード37同士を連結している。後側補強部材15は本発明における第1補強部材を構成している。
【0037】
図5において、取付部31は、膨出部32が設けられる第1パネル31Lと、第1パネル31Lに車両上方から重ねて接続される第2パネル31Uと、を有している。第2パネル31Uは、車両上方への突出量が車両幅方向で異なる上側膨出部39を有している。上側膨出部39は、凹部33の上方に対向する位置に、車両上方への突出量が最も大きい対向部39Aを有している。
【0038】
図2において、膨出部32は、取付部31における、車両幅方向で外側取付部31Aから内側取付部31Bにかけて設けられている。
【0039】
図2図7において、取付部31は先端ビード38を有している。先端ビード38は、取付部31の前端に配置されている。先端ビード38は、車両下方に突出し、膨出部32から取付部31の車両前後方向の先端部まで延びている。先端ビード38は本発明における第4ビードを構成している。凹部33は、この先端ビード38の少なくとも一部と車両幅方向で重なっている。また、先端ビード38は、凹部33と膨出部32との境界である第2境界部46と車両幅方向で重なっている。これにより、膨出部32や凹部33の剛性をさらに向上させることができる。
【0040】
図6図7において、車両1の走行時に、バー部材40には、路上の障害物からの衝突による荷重が矢印Fで示す方向に作用する。この荷重は、バー部材40の取付部位である取付部31の凹部33(図7参照)に作用する。
【0041】
以上説明したように、本実施例のバッテリ保護構造において、バッテリパック20をフロアパネル2Aに取り付けるための左右で一対の取付部31が、バッテリパック20の車両前後方向の一端部に車両前後方向に延びるように設けられている。取付部31は、車両下方に突出し、かつ、車両前後方向のバッテリパック20側に延びる膨出部32を有している。膨出部32は、車両上方へ凹む凹部33を有している。車両幅方向に延びるバー部材40が凹部33に取り付けられている。取付部31は、膨出部32よりも車両下方に突出し、かつ、車両前後方向に延びる第1ビードとしての前側ビード35を有している。前側ビード35の端部は凹部33に接続されている。
【0042】
このように、バッテリパック20にバー部材40を設けたことにより、路面上の障害物からバッテリパック20を保護できる。
【0043】
また、膨出部32に凹部33を設けたことにより、凹部33の剛性を向上させることができる。そして、剛性の向上した凹部33にバー部材40を取り付けているので、バー部材40に車両前後方向から衝撃が加わった際に凹部33がバッテリパック20の内部側に窪むように変形することを抑制できる。この結果、路面上の障害物からバッテリパック20を保護でき、バッテリパック20の変形を抑制できる。
【0044】
また、本実施例のバッテリ保護構造において、バー部材40は、凹部33に取り付けられるブラケット41を有している。ブラケット41は、凹部33に締結される締結部44と、締結部44から車両下方に延びてバー部材40に固定される脚部42、43と、を有している。バー部材40の少なくとも一部が、バッテリパック20の下面よりも車両下方に配置されている。
【0045】
ここで、バー部材40によってバッテリパック20を保護するためには、脚部42、43を長くしてバー部材40をなるべく車両下方に配置することが好ましいが、脚部42、43を長くすると剛性が低下して脚部42、43や凹部33が変形しやすくなってしまう。そこで、膨出部32の凹部33に脚部42、43を取り付けたことにより、脚部42、43を短くできるので、脚部42、43や凹部33の変形を抑制できる。
【0046】
また、本実施例のバッテリ保護構造において、前側ビード35は、バッテリパック20の下面における車両幅方向端部に配置されている。
【0047】
これにより、バッテリパック20の車両幅方向端部に前側ビード35を設けたことにより、前側ビード35の剛性を向上させることができ、前側ビード35の変形を抑制できる。また、前側ビード35の端部に凹部33が接続されているので、凹部33の変形を抑制できる。
【0048】
また、本実施例のバッテリ保護構造において、バッテリパック20の車両前後方向で取付部31が設けられる側の側面に、車両幅方向に延びる側壁21が設けられている。取付部31は、車両前後方向で側壁21よりもバッテリパック20の中央に向けて延長された延長部34を有している。延長部34は、膨出部32よりも車両下方に突出し、かつ、車両幅方向に延びる第2ビードとしての側方ビード37を有している。側方ビード37は前側ビード35に接続されている。バッテリパック20の下面に、側壁21に平行に第1補強部材としての後側補強部材15が設けられており、後側補強部材15は、一対の延長部34の側方ビード37同士を連結している。
【0049】
これにより、側方ビード37により取付部31、膨出部32および凹部33をさらに補強できる。また、側方ビード37と後側補強部材15とが車両幅方向で接続されているので、一対の取付部31同士を後側補強部材15によって連結できる。また、凹部33をさらに変形しにくくできる。
【0050】
また、本実施例のバッテリ保護構造において、取付部31は、膨出部32が設けられる第1パネル31Lと、第1パネル31Lに車両上方から重ねて接続される第2パネル31Uと、を有している。第2パネル31Uは、車両上方への突出量が車両幅方向で異なる上側膨出部39を有しており、上側膨出部39は、凹部33の上方に対向する位置に、車両上方への突出量が最も大きい対向部39Aを有している。
【0051】
これにより、凹部33の車両幅方向の断面積を拡大でき、取付部31の剛性を向上させることができるので、凹部33の変形をより抑制できる。
【0052】
また、本実施例のバッテリ保護構造において、車体2は、車体2の車両幅方向中央で車両前後方向に延びるフロアトンネル2Bと、フロアトンネル2Bよりも車両幅方向外側で車両前後方向に延びるサイドメンバ11と、を備えている。一対の取付部31は、車両幅方向で取付部31の内側端部とサイドメンバ11との中央位置Cよりも外側に位置する外側取付部31Aと、車両幅方向で取付部31の内側端部とサイドメンバ11との中央位置Cよりも内側に位置する内側取付部31Bと、を有している。膨出部32は、取付部31における、車両幅方向で外側取付部31Aから内側取付部31Bにかけて設けられている。一対の取付部31の凹部33同士が、バー部材40によって互いに連結されている。フロアトンネル2Bは、フロアパネル2Aに接合される境界部2Cを有し、内側取付部31Bの車両幅方向内側の端部は車両幅方向で境界部2Cと同じ位置に配置されている。車両幅方向に延びる第2補強部材としての前側補強部材14がフロアトンネル2Bに接続されており、一対の取付部31の内側取付部31B同士が、前側補強部材14によって互いに連結されている。
【0053】
これにより、取付部31を広い範囲に配置できるので、取付部31を安定してフロアパネル2Aに取り付けることができ、取付部31の剛性を向上させることができる。このため、膨出部32における凹部33の周囲の部分を拡大でき、凹部33の剛性を向上させることができる。また、取付部31の内側および外側をともに部材で接続することにより、取付部31同士をより強固に連結できる。このため、取付部31の振動および変形を抑制できる。
【0054】
また、本実施例のバッテリ保護構造において、バッテリパック20の車両幅方向の端部の下面には、車両下方に突出し、かつ、車両前後方向に延びる第3ビードとしての後側ビード25が設けられており、前側ビード35と後側ビード25とが接続されている。
【0055】
これにより、取付部31および凹部33の剛性を向上させることができ、取付部31や凹部33の振動および変形を抑制できる。
【0056】
また、本実施例のバッテリ保護構造において、膨出部32は凹部33の車両幅方向内側に配置されている。バー部材40は、車両前後方向でバッテリパック20から離れる側に凸状に湾曲している。
【0057】
これにより、膨出部32を車両前後方向でバッテリパック20から離れる側に拡大でき、凹部33の剛性を向上させることができる。
【0058】
また、本実施例のバッテリ保護構造において、脚部42、43のうち、車両幅方向内側に配置された脚部43は内側脚部を構成し、脚部43よりも車両幅方向外側に配置された脚部42は外側脚部を構成している。バー部材40は、車両幅方向中央部から脚部42、43と接続される部位まで湾曲している。脚部42、43は、車両前後方向に延伸している。
【0059】
ここで、車両前後方向に並ぶように脚部42、43を形成した場合、内側の脚部43が外側の脚部42よりも長くなり、内側の脚部43が外側の脚部42よりも変形しやすくなってしまい、外側の脚部42の局所変形による凹部33の局所変形が起こるおそれがある。
【0060】
一方、本実施例では、脚部42、43が車両前後方向に延伸していることにより、バー部材40に作用した荷重が2つの脚部42、43に均等に伝わるので、荷重の集中により脚部42、43の一方が局所変形して凹部33を変形させてしまうことを抑制できる。
【0061】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0062】
1...車両、2...車体、2A...フロアパネル、2B...フロアトンネル、2C...境界部、11...サイドメンバ、14...前側補強部材(第2補強部材)、15...後側補強部材(第1補強部材)、20...バッテリパック、20L...下面、21...側壁、25...後側ビード(第3ビード)、31...取付部、31A...外側取付部、31B...内側取付部、31L...第1パネル、31U...第2パネル、32...膨出部、33...凹部、34...延長部、35...前側ビード(第1ビード)、37...側方ビード(第2ビード)、38...先端ビード(第4ビード)、39...上側膨出部、39A...対向部、40...バー部材、41...ブラケット、42...脚部(外側脚部)、43...脚部(内側脚部)、44...締結部、C...中央位置
図1
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図8