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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ及びその実装基板
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20231129BHJP
   H01G 2/06 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H01G4/30 201N
H01G4/30 201K
H01G4/30 201C
H01G4/30 201M
H01G4/30 201F
H01G2/06 500
H01G4/30 515
H01G4/30 512
H01G4/30 513
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020107051
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2021034718
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0100294
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン、シム チュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヨン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ウー チュル
(72)【発明者】
【氏名】ホン、キ ピョ
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-102798(JP,A)
【文献】特開2018-182128(JP,A)
【文献】特開2017-147358(JP,A)
【文献】特開2018-150230(JP,A)
【文献】特開2017-120877(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0180936(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層ならびに第1及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面、前記第1及び第2面と連結され、前記第3及び第4面と連結され、互いに対向する第5及び第6面を含み、前記第1内部電極が前記第3、第5、及び第6面に露出し、前記第2内部電極が前記第4、第5、及び第6面に露出するキャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体の第5及び第6面にそれぞれ配置される第1及び第2サイド部と、
前記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置されて前記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2外部電極と、を含み、
前記第1及び第2サイド部が、Al及びSiを含むガラス(Glass)と、Mn及びPを含む針状の二次相(Second phase)と、を含み、前記二次相の体積が前記第1及び第2サイド部の全体に対して30%以上である、積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記第1及び第2サイド部は、Al及びSiの含量が前記キャパシタ本体に対して2倍以上である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記誘電体層の平均厚さが0.4μm以下である、請求項1または2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記第1及び第2内部電極の平均厚さが0.41μm以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記第1及び第2内部電極の総積層数が400層以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記第1及び第2サイド部の平均厚さがそれぞれ10~20μmである、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記キャパシタ本体は、第1及び第2内部電極が重なる活性領域と、前記活性領域の上下面にそれぞれ配置される上部及び下部カバー領域と、を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記上部及び下部カバー領域の厚さがそれぞれ20μm以下である、請求項7に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記第1及び第2外部電極の平均厚さがそれぞれ10μm以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
前記第1及び第2外部電極は、
前記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置されて前記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2接続部と、
前記第1及び第2接続部から前記キャパシタ本体の第1面の一部までそれぞれ延長される第1及び第2バンド部と、をそれぞれ含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
一面に第1及び第2電極パッドを有する基板と、
前記第1及び第2電極パッド上に第1及び第2外部電極がそれぞれ接続されるように実装される請求項1から10のいずれか一項に記載の積層型キャパシタと、を含む、積層型キャパシタの実装基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシタ及びその実装基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型キャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、コンピュータ、PDA、及び携帯電話などのIT部品として広く用いられており、高信頼性及び高強度特性を有するため電装部品にも広く用いられている。
【0003】
最近、電子機器の小型化及び多機能化に伴い、積層型キャパシタにもサイズが小さく容量の大きい製品が求められている。そのため、内部電極がキャパシタ本体の幅方向に露出するようにすることで、内部電極の幅方向の面積を最大化した構造の積層型キャパシタが製造されている。
【0004】
このような構造の積層型キャパシタは、キャパシタ本体を製作した後、焼成前の段階でキャパシタ本体の幅方向の両面にサイド部を別に付着し、サイド部が内部電極の露出した部分をカバーする。
【0005】
しかし、上記のように、内部電極がキャパシタ本体の幅方向に露出するようにしてからサイド部を付着する構造の積層型キャパシタには、焼成後の収縮により、サイド部の耐湿信頼性及び靭性が劣化するという問題が発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5224074号明細書
【文献】特開2017-147358号公報
【文献】韓国登録特許第10-1771742号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、容量を増加させるとともに、耐湿信頼性及び靭性を向上させることができる積層型キャパシタ及びその実装基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面は、誘電体層ならびに第1及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面、上記第1及び第2面と連結され、上記第3及び第4面と連結され、互いに対向する第5及び第6面を含み、上記第1内部電極が上記第3、第5、及び第6面に露出し、上記第2内部電極が上記第4、第5、及び第6面に露出するキャパシタ本体と、上記キャパシタ本体の第5及び第6面にそれぞれ配置される第1及び第2サイド部と、上記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置されて上記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2外部電極と、を含み、上記第1及び第2サイド部がAl及びSiを含むガラス(Glass)、Mn及びPを含む針状の二次相(Second phase)を含み、上記二次相の体積が上記第1及び第2サイド部の全体に対して30%以上である積層型キャパシタを提供する。
【0009】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2サイド部は、Al及びSiの含量が上記キャパシタ本体に対して2倍以上であってもよい。
【0010】
本発明の一実施形態において、上記誘電体層の平均厚さが0.4μm以下であってもよい。
【0011】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2内部電極の平均厚さが0.41μm以下であってもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2内部電極の総積層数が400層以上であってもよい。
【0013】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2サイド部の平均厚さがそれぞれ10~20μmであってもよい。
【0014】
本発明の一実施形態において、上記キャパシタ本体は、第1及び第2内部電極が重なる活性領域と、上記活性領域の上下面にそれぞれ配置される上部及び下部カバー領域と、を含むことができる。
【0015】
本発明の一実施形態において、上記上部及び下部カバー領域の厚さがそれぞれ20μm以下であってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2外部電極の平均厚さがそれぞれ10μm以下であってもよい。
【0017】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2外部電極は、上記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置されて上記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2接続部と、上記第1及び第2接続部から上記キャパシタ本体の第1面の一部までそれぞれ延長される第1及び第2バンド部と、をそれぞれ含むことができる。
【0018】
本発明の他の側面は、一面に第1及び第2電極パッドを有する基板と、上記第1及び第2電極パッド上に第1及び第2外部電極がそれぞれ接続されるように実装される積層型キャパシタと、を含む積層型キャパシタの実装基板を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施形態によると、内部電極がキャパシタ本体の幅方向に露出するようにすることで、積層型キャパシタの容量を増加させることができ、サイド部にAl及びSiを含むガラス(Glass)、Mn及びPを含む針状の二次相(Second phase)がサイド部の全体に対して30%以上含まれるようにすることで、サイド部の二次相の物理的架橋及び化学的低温焼結の作用により積層型キャパシタの耐湿信頼性及び靭性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態による積層型キャパシタを示す斜視図である。
図2図1のI-I'線に沿った断面図である。
図3】(a)及び(b)は図1の積層型キャパシタの第1及び第2内部電極の積層構造を示した平面図である。
図4図1のII-II'線に沿った断面図である。
図5図1のIII-III'線に沿った断面図である。
図6図1の積層型キャパシタが実装された基板を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0022】
また、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0023】
なお、本発明の実施形態を明確に説明するために、方向を定義すると、図面に示されるX、Y、及びZはそれぞれ積層型キャパシタの長さ方向、幅方向、及び厚さ方向を示す。
【0024】
ここで、Z方向は、本実施形態において、誘電体層が積層される積層方向と同一の概念で用いられることができる。
【0025】
図1は本発明の一実施形態による積層型キャパシタを示す斜視図であり、図2図1のI-I'線に沿った断面図であり、図3(a)及び(b)は図1の積層型キャパシタの第1及び第2内部電極の積層構造を示した平面図であり、図4図1のII-II'線に沿った断面図であり、図5図1のIII-III'線に沿った断面図である。
【0026】
以下、図1図5を参照して、本実施形態の積層型キャパシタについて説明する。
【0027】
図1図5を参照すると、本実施形態の積層型キャパシタ100は、キャパシタ本体110と、第1及び第2サイド部141、142と、第1及び第2外部電極131、132と、を含む。
【0028】
キャパシタ本体110は、複数の誘電体層111をZ方向に積層してから焼成したものであって、キャパシタ本体110の互いに隣接する誘電体層111の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0029】
また、キャパシタ本体110は、複数の誘電体層111と、誘電体層111を間に挟んでZ方向に交互に配置される互いに異なる極性を有する第1及び第2内部電極121、122と、を含む。
【0030】
また、キャパシタ本体110は、キャパシタの容量形成に寄与する部分として誘電体層111を間に挟んで第1及び第2内部電極がZ方向に交互に配置される活性領域と、マージン部としてZ方向に上記活性領域の上下面にそれぞれ設けられる上部及び下部カバー領域112、113と、を含むことができる。
【0031】
この際、上部及び下部カバー領域112、113の厚さはそれぞれ20μm以下であってもよい。
【0032】
また、キャパシタ本体110は、その形状に特に制限はないが、六面体状であってもよく、Z方向に互いに対向する第1及び第2面1、2と、第1及び第2面1、2と互いに連結され、X方向に互いに対向する第3及び第4面3、4と、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、互いに対向する第5及び第6面5、6と、を含むことができる。この際、本実施形態では、第1面1が積層型キャパシタ100の実装面であってもよい。
【0033】
誘電体層111は、セラミック粉末、例えば、BaTiO系セラミック粉末などを含むことができる。
【0034】
また、上記BaTiO系セラミック粉末としては、BaTiO(BT)にCa又はZrなどが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O又はBa(Ti1-yZr)Oなどが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】
また、誘電体層111には、上記セラミック粉末とともに、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、及び分散剤などがさらに添加されることができる。
【0036】
上記セラミック添加剤には、例えば、遷移金属酸化物又は遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)又はアルミニウム(Al)などが含まれることができる。
【0037】
第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる極性が印加される電極であって、それぞれの誘電体層111上に形成されてZ方向に交互に積層されることができ、一つの誘電体層111を間に挟んでキャパシタ本体110の内部にZ方向に沿って互いに対向するように交互に配置されることができる。
【0038】
この際、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁されることができる。
【0039】
また、第1内部電極121は、誘電体層111の第3、第5、及び第6面3、5、6に露出する。
【0040】
この際、第1内部電極121は、キャパシタ本体110の第3面3と第5面5を連結するコーナー、及びキャパシタ本体110の第3面3と第6面6を連結するコーナーにも露出することができる。
【0041】
第2内部電極122は、誘電体層111の第4、第5、及び第6面4、5、6に露出する。
【0042】
この際、第2内部電極122は、キャパシタ本体110の第4面4と第5面5を連結するコーナー、及びキャパシタ本体110の第4面4と第6面6を連結するコーナーにも露出することができる。
【0043】
この際、キャパシタ本体110の第3及び第4面3、4に交互に露出する第1及び第2内部電極121、122の端部は、後述するキャパシタ本体110のX方向の両端部に配置される第1及び第2外部電極131、132とそれぞれ接続されて電気的に連結されることができる。
【0044】
上記のような構成により、第1及び第2外部電極131、132に所定の電圧を印加すると、第1及び第2内部電極121、122の間に電荷が蓄積される。
【0045】
この際、積層型キャパシタ100の静電容量は、活性領域においてZ方向に沿って互いに重なる第1及び第2内部電極121、122の重なり面積と比例するようになる。
【0046】
本実施形態のように、第1及び第2内部電極121、122を構成すると、第1及び第2内部電極121、122の基本面積が増加するだけでなく、上下に重なる面積も増加するため、積層型キャパシタ100の容量を増加させることができる。
【0047】
すなわち、第1及び第2内部電極121、122の互いに重なる領域の面積が最大化すると、同一のサイズのキャパシタでも静電容量が最大化することができる。
【0048】
また、内部電極の積層による段差を減少させることで絶縁抵抗の加速寿命を向上させることができるため、容量特性に優れながらも、信頼性の向上した積層型キャパシタ100を提供することができる。
【0049】
この際、第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は、特に制限されないが、貴金属材料又はニッケル(Ni)及び銅(Cu)のうち少なくとも一つ以上の物質からなる導電性ペーストを用いて形成されることができる。
【0050】
上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0051】
第1及び第2内部電極121、122の平均厚さは、用途に応じて決定されることができるが、例えば、それぞれ0.41μm以下であってもよい。
【0052】
また、第1及び第2内部電極121、122の総積層数は400層以上であってもよい。
【0053】
これにより、本発明の一実施形態による積層型キャパシタ100は、IT部品のように小型化及び高容量が大きく求められる部品として用いられることができる。
【0054】
第1サイド部141は、キャパシタ本体110の第5面5に配置され、第2サイド部142は、キャパシタ本体110の第6面6に配置される。
【0055】
第1及び第2サイド部141、142は、第1及び第2内部電極121、122においてキャパシタ本体110の第5及び第6面5、6に露出する部分の先端をそれぞれカバーするように接するようになる。
【0056】
第1及び第2サイド部141、142は、キャパシタ本体110ならびに第1及び第2内部電極121、122を外部衝撃などから保護し、キャパシタ本体110の周囲の絶縁性及び耐湿信頼性を確保する役割を果たすことができる。
【0057】
第1及び第2サイド部141、142は、Al及びSiを含むガラス(Glass)と、Mn及びPを含む針状のムライト(Mullite)二次相(Second phase)と、を含む。
【0058】
この際、二次相の体積が第1及び第2サイド部141、142の全体に対して30%以上であってもよい。
【0059】
また、第1及び第2サイド部141、142は、Al及びSiの含量がキャパシタ本体110に対して2倍以上であってもよい。
【0060】
第1及び第2サイド部141、142のアルミナ含量が高く、低融点物質により緻密化し、ムライト二次相の生成量が高いほど、第1及び第2サイド部141、142の強度が比例して増加することができる。
【0061】
このような本実施形態のムライト二次相は、隣接したムライト二次相に対して物理的架橋作用をすることで、隣接したムライト二次相に物理的に連鎖することができる。
【0062】
これにより、第1及び第2サイド部141、142がより一層、外部からの物理的衝撃に耐えることができるようにするとともに、キャパシタ本体110の内部への水分浸透経路を遮断することができる。
【0063】
また、本実施形態の二次相は、化学的低温焼結作用により、第1及び第2サイド部141、142の粒子(grain)緻密度を向上させることができる。
【0064】
これにより、第1及び第2サイド部141、142はより一層、外部からの物理的衝撃に耐えることができるようになり、キャパシタ本体110の水分浸透経路は遮断されることができる。
【0065】
本実施形態のムライト二次相は、キャパシタ本体110の耐湿信頼性及び硬度を他の二次相、例えば、リン酸系二次相よりも相対的に大きく向上させることができる。
【0066】
また、第1及び第2サイド部141、142のY方向の平均厚さはそれぞれ10~20μmであってもよい。
【0067】
第1及び第2サイド部141、142のY方向の平均厚さが小さい場合、同一規格の積層型キャパシタにおいてキャパシタ本体110の割合が大きくなることができるため、積層型キャパシタ100の静電容量もさらに大きくなることができる。
【0068】
一般に、サイド部の平均厚さが小さいと、サイド部の耐湿信頼性及び靭性が劣化することがあるが、本実施形態による積層型キャパシタ100は、二次相を含む第1及び第2サイド部141、142を含むことにより、第1及び第2サイド部141、142の平均厚さが薄い場合であっても積層型キャパシタ100の信頼性及び靭性の劣化を防止することができる。
【0069】
本実施形態のように、第1及び第2サイド部141、142のY方向の平均厚さがそれぞれ10~20μmであるとき、静電容量、信頼性及び靭性の劣化防止効果を最適化することができる。
【0070】
また、第1及び第2サイド部141、142は、長軸と短軸を有する針状型であってもよい。
【0071】
従来のリン酸系ガラスは、焼成後に針状型二次相を形成する。本実施形態によるムライト(mullite)組成の二次相の場合には、針状でありながら、一般のP成分のみを含むリン酸系二次相よりも長軸のサイズが大きく、太い形状を有することができる。これにより、第1及び第2サイド部141、142の耐湿信頼性及び硬度をさらに向上させることができる。
【0072】
第1及び第2外部電極131、132には、互いに異なる極性の電圧が提供され、本体110のX方向の両端部に配置され、第1及び第2内部電極121、122においてキャパシタ本体110の第3及び第4面3、4に露出する部分とそれぞれ接続されて電気的に連結されることができる。
【0073】
この際、第1及び第2外部電極131、132の平均厚さはそれぞれ10μm以下であってもよい。
【0074】
これにより、積層型キャパシタ100が小型化することができ、積層型キャパシタ100の製造コストも減少することができる。
【0075】
第1及び第2外部電極131、132の厚さが薄い場合、一般にキャパシタ本体110の耐湿信頼性及び硬度が劣化することがある。
【0076】
しかし、本実施形態の場合、第1及び第2サイド部141、142がAl及びSiを含むガラス(Glass)、Mn及びPを含む針状のムライト二次相を含むことにより、第1及び第2外部電極131、132の厚さがそれぞれ10μm以下になっても、耐湿信頼性及び硬度の劣化を防止することができ、これにより、積層型キャパシタ100の小型化及び製造コストの削減を期待することができる。
【0077】
第1外部電極131は、第1接続部131aと第1バンド部131bとを含むことができる。
【0078】
第1接続部131aは、キャパシタ本体110の第3面3に配置され、第1内部電極121においてキャパシタ本体110の第3面3に外部に露出する端部と接触して、第1内部電極121と第1外部電極131とを互いに物理的及び電気的に連結する役割を果たす。
【0079】
第1バンド部131bは、第1接続部131aからキャパシタ本体110の第1面1の一部まで延長される部分である。
【0080】
この際、第1バンド部131bは、必要に応じて、固着強度の向上などのためにキャパシタ本体110の第2、第5、及び第6面2、5、6に向かってさらに延長され、第1及び第2サイド部141、142の一端部を覆うように形成されることができる。
【0081】
第2外部電極132は、第2接続部132aと第2バンド部132bとを含むことができる。
【0082】
第2接続部132aは、キャパシタ本体110の第4面4に配置され、第2内部電極122においてキャパシタ本体110の第4面4に外部に露出する端部と接触して、第2内部電極122と第2外部電極132とを互いに物理的及び電気的に連結する役割を果たす。
【0083】
第2バンド部132bは、第2接続部132aからキャパシタ本体110の第1面1の一部まで延長される部分である。
【0084】
この際、第2バンド部132bは、必要に応じて、固着強度の向上などのためにキャパシタ本体110の第2、第5、及び第6面2、5、6に向かってさらに延長され、第1及び第2サイド部141、142の他端部を覆うように形成されることができる。
【0085】
また、第1及び第2外部電極131、132は、構造的信頼性、基板実装の容易性、外部に対する耐久度、耐熱性、等価直列抵抗値(Equivalent Series Resistance、ESR)のうち少なくとも一部のためにめっき層をそれぞれ含むことができる。
【0086】
例えば、上記めっき層は、スパッタ又は電解めっき(Electric Deposition)により形成されることができるが、これに限定されない。
【0087】
また、上記めっき層は、ニッケルを最も多く含有することができるが、これに限定されず、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)又は鉛(Pb)などの単独又はこれらのうち少なくとも一つ以上の合金で実現することができる。
【0088】
本実施形態によると、第1及び第2サイド部141、142がAl及びSiを含むガラス(Glass)と、Mn及びPを含む針状のムライト二次相(Second phase)と、を第1及び第2サイド部141、142の全体に対して30%以上含むことにより、二次相を含まないサイド部に比べて第1及び第2サイド部141、142の強度を30%以上向上させることができる。
【0089】
従来のサイド部を含む積層型キャパシタの場合、サイド部の耐クラック性が弱いため、実装後にクラックが発生し、このクラック部分に湿気が浸透して積層型キャパシタの信頼性が劣化する。
【0090】
本実施形態では、第1及び第2サイド部141、142の耐クラック性を向上させることにより、積層型キャパシタ100の耐湿信頼性を改善することができる。
【0091】
本実施形態において、誘電体層111の平均厚さは0.4μm以下であってもよい。誘電体層111の厚さは、第1及び第2内部電極121、122の間隔に対応するため、誘電体層111の厚さが薄いと積層型キャパシタ100の静電容量が向上することができる。
【0092】
そして、第1及び第2内部電極121、122の平均厚さは0.41μm以下であってもよい。
【0093】
本実施形態の積層型キャパシタ100は、第1及び第2内部電極121、122がキャパシタ本体110の第5及び第6面5、6に露出する構造であることから、Y方向に第1及び第2内部電極121、122の端部で発生するキャパシタ本体110の段差を改善させることができる。
【0094】
したがって、誘電体層111ならびに第1及び第2内部電極121、122の厚さを上記のように薄くして多層薄膜化しても、積層型キャパシタ100の信頼性に大きな問題が発生しないため、積層型キャパシタ100の容量を増加させるとともに信頼性も確保することができる。
【0095】
また、上記のように第1及び第2内部電極121、122の平均厚さが薄くなると、焼成後に収縮率が減少するようになるため、キャパシタ本体110の端部におけるボイドの直径をさらに減少させることができる。したがって、積層型キャパシタ100の信頼性をより向上させることができる。
【0096】
図6を参照すると、本実施形態による積層型キャパシタの実装基板は、一面に第1及び第2電極パッド221、222を有する基板210と、基板210の上面において第1及び第2外部電極131、141が第1及び第2電極パッド221、222上にそれぞれ接続されるように実装される積層型キャパシタ100と、を含む。
【0097】
本実施形態において、積層型キャパシタ100は、はんだ231、232によって基板210に実装されることを図示且つ説明しているが、必要に応じて、はんだの代わりに導電性ペーストを用いることもできる。
【0098】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0099】
100 積層型キャパシタ
110 キャパシタ本体
111 誘電体層
121、122 第1及び第2内部電極
131、132 第1及び第2外部電極
131a、132a 第1及び第2接続部
131b、132b 第1及び第2バンド部
141、142 第1及び第2サイド部
210 基板
221、222 第1及び第2電極パッド
231、232 はんだ
図1
図2
図3
図4
図5
図6