IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 王子ホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-卓上衝立 図1
  • 特許-卓上衝立 図2
  • 特許-卓上衝立 図3
  • 特許-卓上衝立 図4
  • 特許-卓上衝立 図5
  • 特許-卓上衝立 図6
  • 特許-卓上衝立 図7
  • 特許-卓上衝立 図8
  • 特許-卓上衝立 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】卓上衝立
(51)【国際特許分類】
   A47B 96/04 20060101AFI20231129BHJP
   A47G 5/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A47B96/04 Z
A47G5/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020138533
(22)【出願日】2020-08-19
(65)【公開番号】P2022034706
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】門田 光史
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3226600(JP,U)
【文献】登録実用新案第3152493(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0055379(US,A1)
【文献】特開2013-052050(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102741903(CN,A)
【文献】登録実用新案第3227556(JP,U)
【文献】登録実用新案第3228555(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 96/04
A47G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
卓上に設置して使用する卓上衝立であって、
卓上に接する第1板状部材と、前記第1板状部材の卓上に接する側と反対側に折り曲げ可能に連設された第2板状部材と、前記第2板状部材に重ね合わされた第3板状部材と、前記第2板状部材及び前記第3板状部材に挟まれた透明な窓部材と、を備え、
前記第2板状部材及び前記第3板状部材には開口が形成され、前記開口は互いに向き合うとともに前記窓部材により塞がれており、
前記第1板状部材、前記第2板状部材及び前記第3板状部材は、正面部と、前記正面部の両側縁に折り曲げ可能に連設された左右一対の側面部と、を含み、
前記第2板状部材の側面部の正面部に対する折り曲げ位置が、前記第3板状部材の側面部の正面部に対する折り曲げ位置と左右方向に位置ずれしており、
前記第2板状部材の側面部及び前記第3板状部材の側面部には、手前側に折り曲げられかつ同方向側にある前記側面部同士を連結する連結手段が設けられている、ことを特徴とする卓上衝立。
【請求項2】
前記第3板状部材は前記第2板状部材の手前側に重ね合わされており、
前記第3板状部材の側面部の正面部に対する折り曲げ位置が、前記第2板状部材の側面部の正面部に対する折り曲げ位置よりも内側にある、ことを特徴とする請求項1に記載の卓上衝立。
【請求項3】
前記連結手段は、前記第2板状部材及び前記第3板状部材の一方における側面部の外側縁から突き出た凸部と、前記第2板状部材及び前記第3板状部材の他方における側面部の外側縁に凹設されるとともに前記凸部と係合可能な凹部と、で構成される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の卓上衝立。
【請求項4】
前記第2板状部材の前記第1板状部材に対する折り曲げ位置には、ハーフカット線が設けられている、ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の卓上衝立。
【請求項5】
前記第3板状部材は、前記第2板状部材の前記第1板状部材側と反対側に連設され、かつ、前記第2板状部材に折り重ねられており、
前記第3板状部材の前記第2板状部材に対する折り曲げ位置には、複数の切込み線が間隔をあけて設けられている、ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の卓上衝立。
【請求項6】
前記第1板状部材の側面部の内側縁は、卓上に接する側の一部分において、前記第1板状部材の正面部が切り欠かれることで支持片が突き出ており、前記支持片を形成するための切断線は前記正面部側に凸の曲線状をなす、ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の卓上衝立。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば机、テーブル、カウンター、台等の卓上に設置して使用する、折り畳み可能かつ自立可能な卓上衝立に関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの人が滞在・接触する環境では衛生面を意識した対策が必要となっている。例えば複数人が対面で会話を行う際には、唾液等の飛沫による感染リスクが高まるとされている。そのため、天井から透明なビニールシートを吊り下げたり、机等の上に透明なアクリル板等を設置することで、飛沫の拡散を防止する対策が行われている。しかし、この種のビニールシートやアクリル板は、基本的には常設されるものであり、持ち運ぶには不便である。
【0003】
一方で、持ち運びできるよう折り畳み可能であり、かつ机等の卓上に設置できるよう自立可能な卓上衝立が従来より知られている。この種の卓上衝立は、例えば段ボール製であり、複数の壁部が左右方向に屈曲部を間に挟んで連設された構造である。使用時には、隣り合う壁部を平面視でV字をなすように広げて卓上衝立を自立させることで、卓上の使用者の前方や側方の空間を周囲空間と仕切ることができる。不使用時には、複数の壁部を互いに重ねて卓上衝立を折り畳むことで、持ち運びが容易である(例えば特許文献1~3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-198840号公報
【文献】特開2017-213265号公報
【文献】特開平9-98867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の卓上衝立は、卓上に周囲空間と隔絶した空間を形成して、該空間を周囲空間から視覚的に遮蔽することを目的としている。そのため、例えば会議等で複数人が対面で会話をする際に、飛沫の拡散防止のために従来の卓上衝立を用いた場合には、使用者が会話相手の顔を確認することができない。よって、従来の卓上衝立は、複数人が対面で会話をする際の使用には不向きである。
【0006】
本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、持ち運びできるよう折り畳み可能であり、かつ机等の卓上に設置できるよう自立可能な卓上衝立であって、複数人が対面で会話をした際に飛沫の拡散防止が可能であるとともに会話相手の顔を確認可能な卓上衝立を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、卓上に設置して使用する卓上衝立に関する。本発明の卓上衝立は、卓上に接する第1板状部材と、前記第1板状部材の卓上に接する側と反対側に折り曲げ可能に連設された第2板状部材と、前記第2板状部材に重ね合わされた第3板状部材と、前記第2板状部材及び前記第3板状部材に挟まれた透明な窓部材と、を備え、前記第2板状部材及び前記第3板状部材には開口が形成され、前記開口は互いに向き合うとともに前記窓部材により塞がれており、前記第1板状部材、前記第2板状部材及び前記第3板状部材は、正面部と、前記正面部の両側縁に折り曲げ可能に連設された左右一対の側面部と、を含み、前記第2板状部材の側面部の正面部に対する折り曲げ位置が、前記第3板状部材の側面部の正面部に対する折り曲げ位置と左右方向に位置ずれしており、前記第2板状部材の側面部及び前記第3板状部材の側面部には、手前側に折り曲げられかつ同方向側にある前記側面部同士を連結する連結手段が設けられている、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の卓上衝立において好ましくは、前記第3板状部材は前記第2板状部材の手前側に重ね合わされており、前記第3板状部材の側面部の正面部に対する折り曲げ位置が、前記第2板状部材の側面部の正面部に対する折り曲げ位置よりも内側にある、ことを特徴とするように構成することができる。
【0009】
また、本発明の卓上衝立において好ましくは、前記連結手段は、前記第2板状部材及び前記第3板状部材の一方における側面部の外側縁から突き出た凸部と、前記第2板状部材及び前記第3板状部材の他方における側面部の外側縁に凹設されるとともに前記凸部と係合可能な凹部と、で構成される、ことを特徴とするように構成することができる。
【0010】
また、本発明の卓上衝立において好ましくは、前記第2板状部材の前記第1板状部材に対する折り曲げ位置には、ハーフカット線が設けられている、ことを特徴とするように構成することができる。
【0011】
また、本発明の卓上衝立において好ましくは、前記第3板状部材は、前記第2板状部材の前記第1板状部材側と反対側に連設され、かつ、前記第2板状部材に折り重ねられており、前記第3板状部材の前記第2板状部材に対する折り曲げ位置には、複数の切込み線が間隔をあけて設けられている、ことを特徴とするように構成することができる。
【0012】
また、本発明の卓上衝立において好ましくは、前記第1板状部材の側面部の内側縁は、卓上に接する側の一部分において、前記第1板状部材の正面部が切り欠かれることで支持部が突き出ており、前記支持部を形成するための切断線は前記正面部側に凸の曲線状をなす、ことを特徴とするように構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の卓上衝立によれば、持ち運びできるよう折り畳み可能であり、かつ机等の卓上に設置できるよう自立可能である。そのうえ、複数人が対面で会話をした際に飛沫の拡散を防止できるとともに会話相手の顔を確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る卓上衝立の斜視図である。
図2図1に示す卓上衝立の使用状態の斜視図である。
図3図1に示す卓上衝立の折り畳んだ状態の斜視図である。
図4図1に示す卓上衝立を組み立てるための基材の正面図である。
図5図1に示す卓上衝立を組み立てるための基材の背面側から見た斜視図である。
図6図5に示す基材から図1に示す卓上衝立の組立手順を示す斜視図である。
図7図6に続き、図5に示す基材から図1に示す卓上衝立の組立手順を示す斜視図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る卓上衝立の斜視図である。
図9図8に示す卓上衝立を組み立てるための基材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る卓上衝立1の外観を示し、図2図1の卓上衝立1の使用状態を示す。卓上衝立1は、例えば机、テーブル、カウンター、台等の卓上に設置して使用するものであり、複数人が対面で会話をする際に使用者が自身の目前に卓上衝立1を置くことで、使用者は飛沫の拡散を防止しながらかつ相手の顔を確認しながら会話することができる。加えて卓上衝立1は、図3に示すように偏平な状態に折り畳み可能であるため、例えば会社の会議室やフリースペース等に容易に持ち運ぶことができる。
【0016】
なお、本開示では、卓上衝立1について、卓上に設置した際の使用者側を手前側とし、その反対側を奥側とし、手前から奥に向かう方向と直交する方向のうち水平方向に沿う方向を左右方向、鉛直方向に沿う方向を上下方向とする。また、左右方向及び上下方向の中心側に向かう方向を内側、その反対側を外側とする。
【0017】
図1及び図2に示すように、卓上衝立1は、最も下側に位置して卓上に接する第1板状部材2と、第1板状部材2の卓上に接する側と反対側、つまりは第1板状部材2の上側に連設された第2板状部材3と、第2板状部材3に重ね合わされた第3板状部材4と、第2板状部材3及び第3板状部材4に挟まれた透明な窓部材5とを備える。第3板状部材4は、本実施形態では、第2板状部材3の手前側の面に重ねられている。
【0018】
第2板状部材3及び第3板状部材4には開口6,7が形成され、2つの開口6,7は互いに向き合っている。窓部材5は、2つの開口6,7を塞ぐようにして第2板状部材3及び第3板状部材4の間に差し込まれている。
【0019】
第1板状部材2、第2板状部材3及び第3板状部材4は、正面部20,30,40と、正面部20,30,40の両側縁に連設された左右一対の側面部21,31,41とを含む。第1板状部材2、第2板状部材3及び第3板状部材4の両側面部21,31,41は正面部20,30,40に対して折り曲げ可能であり、両側面部21,31,41を手前側に折り曲げて、平面視で両側面部21,31,41が正面部20,30,40とV字を形成することにより、使用時に卓上衝立1を卓上に自立させることができる。また、第1板状部材2は第2板状部材3に対して折り曲げ可能である。第1板状部材2、第2板状部材3及び第3板状部材4を両側面部21,31,41が正面部20,30,40と面一となる平らな状態とし、第1板状部材2を奥側に折り返して第2板状部材3の第3板状部材4が重ねられている面と反対側の面に重ねることにより、図3に示すように不使用時に卓上衝立1を折り畳んでコンパクトにすることができる。
【0020】
卓上衝立1の構成部材のうち、第1板状部材2、第2板状部材3及び第3板状部材4は、図4及び図5に示す1枚の基材10により構成される。なお、基材10の形状は、図4及び図5に示す形状に限定されない。基材10は、卓上に設置した卓上衝立1の形を維持できる程度の強度や厚みを有しており、例えば段ボールや厚紙等の各種公知の紙材料からなるシート材を用いて形成することができる。基材10は、その他に例えばプラスチック段ボール、プラスチックボード、発泡プラスチックシート等のプラスチック材料からなるシート材や板材等を用いて形成することもでき、基材10の素材は特に限定されない。本実施形態では、基材10、すなわち第1板状部材2、第2板状部材3及び第3板状部材4は段ボール製である。
【0021】
図4及び図5に示す基材10において、第1板状部材2、第2板状部材3及び第3板状部材4は横長の長方形状であり、この順で直線的に並ぶように連設されている。第1板状部材2及び第2板状部材3の横幅は第3板状部材4の横幅よりも長いが、等しくてもよい。第2板状部材3及び第3板状部材4には、その中央に開口6,7が形成されている。2つの開口6,7は、本実施形態では横長の略長方形状でありかつ同じ大きさであり、折り目L2を対称軸にして線対称の位置関係にある。なお、2つの開口6,7は必ずしも略長方形状である必要はなく、開口6,7を通して使用者の顔を確認できれば他の形状であってもよい。また、2つの開口6,7は必ずしも同じ大きさ・形状である必要はなく、第2板状部材3及び第3板状部材4を重ね合わせた際に互いに向き合うのであれば大きさや形状が異なっていてもよい。
【0022】
第1板状部材2及び第2板状部材3の境目、ならびに、第2板状部材3及び第3板状部材4の境目には、折り目L1,L2が設けられている。第1板状部材2は折り目L1により第2板状部材3の一方面側に折り曲げ可能(図4では谷折り可能)であり、第3板状部材4は折り目L2により第2板状部材3の他方面側に折り曲げ可能(図4では山折り可能)である。
【0023】
折り目L1,L2の種類は特に限定されないが、折り目L1としては、卓上衝立1の不使用時(図3を参照)に第1板状部材2を第2板状部材3に折り重ねる必要があり、第1板状部材2が元に戻ろうとするのを抑制して第1板状部材2を折り返すために、通常の罫線(逆折り罫線)よりも半切れ線(ハーフカット線)で構成することが好ましい。なお、第1板状部材2及び第2板状部材3は、正面部20,30同士だけでなく、一対の側面部21,31同士もつなぎ合わされている。
【0024】
折り目L2は、卓上衝立1の使用時(図1及び図2を参照)ならびに卓上衝立1の不使用時(図3を参照)において第3板状部材4が第2板状部材3に折り重ねられてその状態に固定されることから、第3板状部材4を綺麗に折り返すために、通常の罫線よりも一定間隔をあけた複数の切込み線で構成することが好ましい。隣り合う切込み線の間には通常の罫線を設けてもよい。なお、第2板状部材3及び第3板状部材4は、正面部30,40同士は切込み線のない部分でつなぎ合わされているが、一対の側面部31,41同士は互いに独立している。
【0025】
第1板状部材2及び第2板状部材3には、折り目L1と直交する左右一対の折り目L3が設けられている。一対の折り目L3は、第2板状部材3の開口6の左右の側方に位置しており、一対の折り目L3により、第1板状部材2及び第2板状部材3は、正面部20,30と、一対の側面部21,31とに分けられている。開口6は第2板状部材3の正面部30に配置されている。一対の側面部21,31は折り目L3により正面部20,30に対して折り曲げ可能(図4では山折り可能)であり、第2板状部材3の第3板状部材4が重ねられる面側に折り曲げ可能である(図6を参照)。なお、本実施形態では、一対の折り目L3は、その上端は第2板状部材3の正面部30の上側縁まで延びているが、その下端は第1板状部材2の正面部20の下側縁まで延びておらず、後述する切断線Cと接続されている。一対の折り目L3及び一対の切断線Cの位置は、第1板状部材2及び第2板状部材3の一対の側面部21,31の内側縁にあたる。
【0026】
第3板状部材4には、折り目L2と直交する左右一対の折り目L4が設けられている。一対の折り目L4は、第3板状部材4の開口7の左右の側方に位置しており、一対の折り目L4により、第3板状部材4は、正面部40と、一対の側面部41とに分けられている。開口7は第3板状部材4の正面部40に配置されている。一対の側面部41は折り目L4により正面部40に対して折り曲げ可能(図4では谷折り可能)であり、第1板状部材2及び第2板状部材3の一対の側面部21,31の折り曲げ可能方向とは、図4に示す基材10の状態では反対方向に、図1に示す卓上衝立1の状態では同方向に、折り曲げ可能である。一対の折り目L4の位置は、第3板状部材4の一対の側面部41の内側縁にあたる。
【0027】
第3板状部材4の一対の側面部41を折り曲げ可能とする一対の折り目L4の位置は、第1板状部材2及び第2板状部材3の一対の側面部21,31を折り曲げ可能とする一対の折り目L3の位置と左右方向に位置ずれている。本実施形態では、第3板状部材4の正面部40の横幅が第1板状部2及び第2板状部材3の正面部20,30の横幅よりも短い分、一対の折り目L4の位置が一対の折り目L3の位置よりも内側にずれており、一対の側面部41が一対の側面部21,31よりも内側に変位しているので、第3板状部材4の横幅が第1板状部2及び第2板状部材3の横幅よりも短い。
【0028】
折り目L3及び折り目L4の種類は特に限定されないが、図1及び図2に示す卓上衝立1の使用時に第1板状部材2、第2板状部材3及び第3板状部材4の一対の側面部21,31,41が手前側に折り曲げられることから、一対の側面部21,31,41をしっかりと折り曲げるために、通常の罫線よりも、当該罫線と切込み線又は半切れ線(ハーフカット線)とが交互にほぼ等間隔で入れられたリード罫線で構成することが好ましい。
【0029】
第1板状部材2の一対の側面部21の内側縁は、卓上に接する側(図4では下側)の一部分において、支持部22が突き出ている。この支持部22は、基材10において、折り目L3の下端から正面部20が内側に下側縁まで切り欠かれることで、側面部21に一体に設けられている。基材10において、支持部22を形成するための切断線Cは、正面部20側に凸の曲線状、本実施形態では円弧状をなしており、支持部22は四分円状である。第1板状部材2の一対の側面部21に支持部22が設けられることにより、図1及び図2に示す卓上衝立1において、卓上に接する第1板状部材2の一対の側面部21が正面部20の手前側だけでなく奥側にも突き出るので、卓上に設置した卓上衝立1が手前側及び奥側のいずれについても容易に倒れることが抑制されている。また、切断線Cが正面部20側に凸の曲線状をなしていることにより、第1板状部材2の一対の側面部21を正面部20に対して折り曲げた際に、支持部22を正面部20に大きく干渉されずにスムーズに奥側に突き出させることができる。なお、支持部22の形状は必ずしも四分円状である必要はなく、三角形状、矩形状、台形状等であってもよい。
【0030】
第2板状部材3の一対の側面部31の外側縁には、凹状に切り欠かれた凹部32が凹設されている。凹部32は、図1及び図2に示す卓上衝立1において、第2板状部材3及び第3板状部材4の手前側に折り曲げられた同方向側にある側面部31,41同士を連結する連結手段を構成する。凹部32は、本実施形態では縦長の長方形状であるが、横長の長方形状、三角形状、台形状、半円状、縦長ないしは横長の半楕円状等、種々の形状であってよい。
【0031】
第3板状部材4の一対の側面部41の外側縁には、凹部32に係合可能な凸部42が設けられている。凸部42は、凹部32とともに上述の連結手段を構成し、図1及び図2に示す卓上衝立1において、凹部32と同じ高さに位置している。凸部42は、図1に拡大して示すように、側面部41側の一部分42Aが凹部32に嵌まり込みかつ先端側の一部分42Bが凹部32から突き出て側面部41に引っ掛かることにより、凹部32と係合して凹部32から抜け出し難い形状であれば、その形状は特に限定されない。なお、本実施形態では、凸部42は、先端に向かうに連れて幅広となる縦長の台形状である。凸部42及び側面部41の境目には、罫線等の折り目L5が設けられている。凸部42は折り目L5において側面部41に対して折り曲げ可能(図4では山折り可能)である。
【0032】
卓上衝立1の構成部材のうち、窓部材5は、1枚のシート材、フィルム材又は板材等により構成される。窓部材5は、透明、つまりは窓部材5を通して卓上衝立1の奥側を使用者が視認可能であればその素材は特に限定されない。窓部材5は、無色透明であることが好ましいが、有色透明であっても構わない。窓部材5の形状は、本実施形態では横長の長方形状であるが、第2板状部材3及び第3板状部材4の少なくとも開口6,7を覆うことが可能な大きさであれば特に限定されない。
【0033】
窓部材5は、第2板状部材3及び第3板状部材4の開口6,7に対して位置ずれすることなく確実に開口6,7を塞ぐようにするために、第2板状部材3及び第3板状部材4の少なくとも一方に対して例えば接着剤等を用いた貼付により固定することが好ましい。本実施形態では、窓部材5は第2板状部材3の手前側の面に貼付されている。
【0034】
次に、図4及び図5に示す基材10を用いて図1に示す卓上衝立1を組み立てる手順について説明する。まず、図5に示すように、第3板状部材4を折り目L2で手前側に折り曲げて第2板状部材3に重ね合わせる。第2板状部材3に重ね合わせた第3板状部材4は、第2板状部材3から離れないようにするために、第2板状部材3に対して例えば接着剤等を用いた貼付により固定することが好ましい。
【0035】
そして、図6に示すように、第1板状部材2、第2板状部材3及び第3板状部材4の一対の側面部21,31,41を折り目L3,L4で手前側に折り曲げて正面部20,30,40とV字をなすようにすることで、卓上に自立可能な形状とする。
【0036】
最後に、図7に示すように、第3板状部材4の一対の凸部42を折り目L5で奥側に折り曲げて第2板状部材3の一対の凹部32に係合させることにより、同方向側にある側面部31,41同士を連結する。これにより、卓上衝立1が組み立てられる。
【0037】
以上、本実施形態の卓上衝立1によれば、図1に示すように、互いに重ねられた第2板状部材3及び第3板状部材4に相対する開口6,7が形成されており、開口6,7が透明な窓部材5により塞がれている。そのため、図2に示すように、複数人が対面で会話をする際に使用者が自身の目前に卓上衝立1を設置することで、使用者は卓上衝立1により飛沫が相手の方に拡散するのを防止したうえで、開口6,7を通して相手の顔を確認しながら会話することができる。
【0038】
加えて本実施形態の卓上衝立1によれば、第2板状部材3と第3板状部材4とでは、一対の側面部31,41の正面部30,40に対する折り曲げ可能位置(折り目L3,L4の位置)が左右方向に位置ずれしており、第2板状部材3及び第3板状部材4の手前側に折り曲げられた同方向側にある側面部31,41同士は連結手段(凹部32及び凸部42)により連結されている。これにより、第2板状部材3の一対の側面部31さらにはこれとつなぎ合わされている第1板状部材2の一対の側面部21は元の状態に戻ろうとして奥側へ広がることが抑制され、その結果、卓上に接する第1板状部材2の一対の側面部21は正面部20とV字をなす状態が保持される。よって、使用時に卓上衝立1を良好に自立させることができ、使用途中に卓上衝立1が自立できなくなって倒れることを抑制できる。
【0039】
加えて本実施形態の卓上衝立1によれば、使用後は、凹部32及び凸部42の係合を解除し、全ての側面部21,31,41を開いて第1板状部材2、第2板状部材3及び第3板状部材4を平らな状態とした後、第1板状部材2を奥側に折り返して第2板状部材3に重ね合わせることにより、図3に示すように卓上衝立1を偏平な状態に折り畳んでコンパクトにすることができる。よって、不使用時における卓上衝立1の保管スペースの無駄を省くことができるとともに、必要に応じて例えば会社の会議室やフリースペース等に容易に持ち運ぶことができる。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0041】
例えば一変形例として、上述した実施形態では、連結手段を構成する凹部32が第2板状部材3の側面部31に、凸部42が第3板状部材4の側面部41に設けられているが、凹部が第3板状部材4の側面部41に、凸部が第2板状部材3の側面部31に設けられていてもよい。
【0042】
その他の変形例として、上述した実施形態では、第3板状部材4は第2板状部材3の手前側の面に重ねられているが、図8に示すように、第2板状部材3の奥側の面に重ねられていてもよい。図8に示す卓上衝立1は、図9に示す基材10により組み立てることができる。
【0043】
この変形例において上述した実施形態と異なる点は、第1板状部材2は折り目L1により第2板状部材3の一方面側に折り曲げ可能(図9では山折り可能)であり、第3板状部材4は折り目L2により第2板状部材3の他方面側に折り曲げ可能(図9では谷折り可能)である。
【0044】
また、第1板状部材2及び第2板状部材3の一対の側面部21,31は折り目L3により正面部20,30に対して折り曲げ可能(図9では山折り可能)であり、第2板状部材3の第3板状部材4が重ねられる面と反対側に折り曲げ可能である。第3板状部材4の一対の側面部41は折り目L4により正面部40に対して折り曲げ可能(図9では谷折り可能)であり、第1板状部材2及び第2板状部材3の一対の側面部21,31の折り曲げ可能方向とは、図9に示す基材10の状態では反対方向に、図8に示す卓上衝立1の状態では同方向に、折り曲げ可能である。
【0045】
また、第1板状部材2及び第2板状部材3の正面部20,30の横幅が第3板状部材4の正面部40の横幅よりも短い分、一対の折り目L3の位置が一対の折り目L4の位置よりも内側にずれている。ここで、一対の側面部31は一対の側面部41よりも内側に変位しているので、第2板状部材3の横幅が第3板状部4の横幅よりも短い。なお、第2板状部材3の横幅は第3板状部4の横幅と等しくてもよい。一方、第1板状部材2は、正面部20の横幅が短い分、一対の側面部21の横幅が長くなっているので、その横幅が第3板状部4の横幅と等しい。
【0046】
また、連結手段として、凸部33が第2板状部材3の側面部31の外側縁に設けられており、凸部33と係合可能な凹部43が第3板状部材4の側面部41の外側縁に設けられている。凸部33は折り目L5において側面部31に対して折り曲げ可能(図9では谷折り可能)である。なお、凸部が第3板状部材4の側面部41に、凹部が第2板状部材3の側面部31に設けられていてもよい。
【0047】
また、窓部材5は、第2板状部材3の奥側の面に貼付されている。
【0048】
図8に示す卓上衝立1においても、第2板状部材3と第3板状部材4とでは、一対の側面部31,41の正面部30,40に対する折り曲げ可能位置(折り目L3,L4の位置)が左右方向に位置ずれしており、第2板状部材3及び第3板状部材4の手前側に折り曲げられた同方向側にある側面部31,41同士は連結手段(凹部43及び凸部33)により連結されている。これにより、第2板状部材3の一対の側面部31さらにはこれとつなぎ合わされている第1板状部材2の一対の側面部21は元の状態に戻ろうとして奥側へ広がることが抑制され、その結果、卓上に接する第1板状部材2の一対の側面部21は正面部20とV字をなす状態が保持される。よって、使用時に卓上衝立1を良好に自立させることができ、使用途中に卓上衝立1が自立できなくなって倒れることを抑制できる。
【0049】
加えて、使用後は、凹部43及び凸部44の係合を解除し、全ての側面部21,31,41を開いて第1板状部材2、第2板状部材3及び第3板状部材4を平らな状態とした後、第1板状部材2を手前側に折り返して第2板状部材3に重ね合わせることにより、図示は省略するが、卓上衝立1を偏平な状態に折り畳んでコンパクトにすることができる。よって、不使用時における卓上衝立1の保管スペースの無駄を省くことができるとともに、必要に応じて例えば会社の会議室やフリースペース等に容易に持ち運ぶことができる。
【0050】
その他の変形例として、上述した実施形態及び変形例では、連結手段が凹部及び凸部の係合により実現されているが、第2板状部材3及び第3板状部材4の側面部31,41同士を連結する手段としては係合によるものに限定されない。例えば第2板状部材3及び第3板状部材4の一方における側面部に設けた凸部を、第2板状部材3及び第3板状部材4の他方における側面部に形成したスリットに差し込んで側面31,41同士を連結してもよい。または、第2板状部材3及び第3板状部材4の側面部31,41に例えば面ファスナや紐を取り付け、面ファスナ同士の接着や2本の紐の締結により側面31,41同士を連結してもよい。このように、第2板状部材3及び第3板状部材4の側面部31,41同士を一時的に連結できれば、連結手段としては種々の公知の手段を用いることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 卓上衝立
2 第1板状部材
3 第2板状部材
4 第3板状部材
5 窓部材
6 第2板状部材の開口
7 第3板状部材の開口
20 第1板状部材の正面部
21 第1板状部材の側面部
22 支持部
30 第2板状部材の正面部
31 第2板状部材の側面部
32 凹部(連結手段)
33 凸部(連結手段)
40 第3板状部材の正面部
41 第3板状部材の側面部
42 凸部(連結手段)
43 凹部(連結手段)
C 切断線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9