(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/056 20060101AFI20231129BHJP
F16C 27/02 20060101ALI20231129BHJP
F16C 35/10 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
F04D29/056 B
F16C27/02 A
F16C35/10
(21)【出願番号】P 2020165338
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岡野 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 博
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 佑樹
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-183568(JP,A)
【文献】実公平02-011613(JP,Y2)
【文献】実開昭61-038323(JP,U)
【文献】特開2007-270650(JP,A)
【文献】国際公開第2013/024674(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/056
F16C 27/02
F16C 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸と一体的に回転することによって流体を圧縮するインペラと、
前記回転軸及び前記インペラが収容されたハウジングと、
前記ハウジング内に配置されるとともに前記回転軸を回転可能に支持するフォイル軸受と、を備え、
前記フォイル軸受は、
筒状の軸受ハウジングと、
前記軸受ハウジングの内周面と前記回転軸との間に配置されるトップフォイルと、
前記軸受ハウジングの内周面と前記トップフォイルとの間に配置され、前記トップフォイルを弾性的に支持するバンプフォイルと、を有する遠心圧縮機であって、
前記軸受ハウジングは、前記軸受ハウジングの内周面から径方向内側に突出した突起を備え、
前記突起は、前記軸受ハウジングの径方向外側への前記トップフォイルの変位時に、前記トップフォイルの外
面に当接することにより、前記バンプフォイルの弾性域から塑性域への変形を規制する当接面を有することを特徴とする遠心圧縮機。
【請求項2】
前記トップフォイルは、前記バンプフォイルよりも前記軸受ハウジングの軸方向に延在して、前記バンプフォイルと前記軸受ハウジングの径方向で重ならない非重畳部を備え、
前記突起は、前記バンプフォイルに対して前記軸方向に隣り合って設けられるとともに、前記非重畳部の外面と前記軸受ハウジングの内周面との間に設けられることを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記突起は、前記軸受ハウジングの開口部に配置されており、
前記突起の一部分が、前記トップフォイルの一部、及び前記バンプフォイルの一部と前記軸受ハウジングの軸方向で重なっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遠心圧縮機。
【請求項4】
前記軸受ハウジングの内周面には、保持溝が形成されており、
前記トップフォイルの一部、及び前記バンプフォイルの一部は、前記保持溝に挿入されており、
前記突起に一体的に設けられるとともに、前記保持溝に挿入されて、前記トップフォイルの一部、及び前記バンプフォイルの一部を前記保持溝の側面と協働して挟み込む回り止め部をさらに備えていることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
【請求項5】
前記回転軸を回転させる電動モータを備え、
前記突起は、前記軸受ハウジングの内周面における前記電動モータとは反対側に位置する部位から突出していることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
【請求項6】
前記フォイル軸受は、前記回転軸の軸方向で前記電動モータを挟む位置にそれぞれ配置される第1フォイル軸受及び第2フォイル軸受を含み、
前記突起は、前記第1フォイル軸受及び前記第2フォイル軸受それぞれの前記軸受ハウジングの内周面における前記電動モータとは反対側に位置する部位から突出していることを特徴とする請求項5に記載の遠心圧縮機。
【請求項7】
前記バンプフォイルは、筒状であり、
前記バンプフォイルは、
前記軸受ハウジングの内周面に接する谷部と、
前記トップフォイルの外周面に接して、前記軸受ハウジングの径方向外側への前記トップフォイルの変位に伴い弾性変形する山部と、を有し、
前記突起は、前記軸受ハウジングの内周面において、前記山部に対応する位置に設けられていることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
【請求項8】
前記バンプフォイルは、
前記バンプフォイルにおける周方向の一端部である固定端部と、
前記バンプフォイルにおける周方向の他端部である自由端部と、を有し、
前記谷部と前記山部とは、前記軸受ハウジングの周方向に前記固定端部から前記自由端部に向かって交互に複数配列され、
前記突起は、前記軸受ハウジングの内周面において、前記自由端部側に位置する前記山部に対応する位置に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の遠心圧縮機。
【請求項9】
前記突起は、環状であり、
前記突起は、前記軸受ハウジングの内周面の全周に設けられていることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
【請求項10】
前記谷部と前記山部とは、前記軸受ハウジングの周方向に交互に複数配列され、
前記突起は、前記軸受ハウジングの内周面の一部から周方向に間隔をあけて複数設けられ、
前記突起における前記軸受ハウジングの周方向の幅は、前記山部における前記軸受ハウジングの周方向の幅よりも広いことを特徴とする請求項7に記載の遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心圧縮機は、回転軸と、回転軸と一体的に回転することによって流体を圧縮するインペラと、回転軸及びインペラが収容されたハウジングと、を備えている。また、ハウジング内に配置されるとともに回転軸を回転可能に支持するフォイル軸受が、例えば特許文献1に開示されている。フォイル軸受は、筒状の軸受ハウジングと、トップフォイルと、バンプフォイルと、を有している。トップフォイルは、軸受ハウジングの内周面と回転軸との間に配置されるとともに、回転軸の回転時に回転軸を非接触の状態で回転可能に支持する。バンプフォイルは、軸受ハウジングの内周面とトップフォイルとの間に配置され、トップフォイルを弾性的に支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような遠心圧縮機においては、例えば、回転軸の振動に伴い、バンプフォイルが弾性域を超えて塑性域に至るまで、回転軸によって押し潰されてしまうと、バンプフォイルが塑性変形してしまい、フォイル軸受が回転軸を回転可能に支持することができなくなってしまう虞がある。フォイル軸受によって回転軸を回転可能に支持することができなくなってしまうと、遠心圧縮機の信頼性が悪化してしまう。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、信頼性を向上させることができる遠心圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する遠心圧縮機は、回転軸と、前記回転軸と一体的に回転することによって流体を圧縮するインペラと、前記回転軸及び前記インペラが収容されたハウジングと、前記ハウジング内に配置されるとともに前記回転軸を回転可能に支持するフォイル軸受と、を備え、前記フォイル軸受は、筒状の軸受ハウジングと、前記軸受ハウジングの内周面と前記回転軸との間に配置されるトップフォイルと、前記軸受ハウジングの内周面と前記トップフォイルとの間に配置され、前記トップフォイルを弾性的に支持するバンプフォイルと、を有する遠心圧縮機であって、前記軸受ハウジングは、前記軸受ハウジングの内周面から径方向内側に突出した突起を備え、前記突起は、前記軸受ハウジングの径方向外側への前記トップフォイルの変位時に、前記トップフォイルの外面又は前記バンプフォイルの外面に当接することにより、前記バンプフォイルの弾性域から塑性域への変形を規制する当接面を有する。
【0007】
これによれば、例えば、回転軸の振動に伴い、トップフォイルが軸受ハウジングの径方向外側へ変位しても、突起の当接面が、トップフォイルの外面又はバンプフォイルの外面に当接することにより、バンプフォイルの弾性域から塑性域への変形が規制される。したがって、バンプフォイルが塑性変形してしまうことを抑制することができるため、フォイル軸受によって回転軸を回転可能に支持することができなくなってしまうことを抑制することができる。その結果、遠心圧縮機の信頼性を向上させることができる。
【0008】
上記遠心圧縮機において、前記トップフォイルは、前記バンプフォイルよりも前記軸受ハウジングの軸方向に延在して、前記バンプフォイルと前記軸受ハウジングの径方向で重ならない非重畳部を備え、前記突起は、前記バンプフォイルに対して前記軸方向に隣り合って設けられるとともに、前記非重畳部の外面と前記軸受ハウジングの内周面との間に設けられるとよい。このような構成は、軸受ハウジングの内周面から径方向内側に突出する突起の配置位置として好適である。
【0009】
上記遠心圧縮機において、前記突起は、前記軸受ハウジングの開口部に配置されており、前記突起の一部分が、前記トップフォイルの一部、及び前記バンプフォイルの一部と前記軸受ハウジングの軸方向で重なっているとよい。
【0010】
これによれば、例えば、トップフォイル及びバンプフォイルが軸受ハウジングの開口部に向けて移動しても、トップフォイルの一部、及びバンプフォイルの一部が突起の一部分に当接する。よって、トップフォイル及びバンプフォイルが軸受ハウジングから抜けてしまうことを、突起によって防止することができる。したがって、バンプフォイルの弾性域から塑性域への変形を規制する突起を、トップフォイル及びバンプフォイルが軸受ハウジングから抜けてしまうことを防止するための抜け止めとしても機能させることができる。そして、トップフォイル及びバンプフォイルが軸受ハウジングから抜けてしまうことを、突起によって防止することができるため、フォイル軸受によって回転軸を安定的に回転可能に支持することができ、遠心圧縮機の信頼性をさらに向上させることができる。
【0011】
上記遠心圧縮機において、前記軸受ハウジングの内周面には、保持溝が形成されており、前記トップフォイルの一部、及び前記バンプフォイルの一部は、前記保持溝に挿入されており、前記突起に一体的に設けられるとともに、前記保持溝に挿入されて、前記トップフォイルの一部、及び前記バンプフォイルの一部を前記保持溝の側面と協働して挟み込む回り止め部をさらに備えているとよい。
【0012】
これによれば、例えば、トップフォイル及びバンプフォイルが、軸受ハウジングの周方向へ移動しようとしても、トップフォイルの一部、及びバンプフォイルの一部が、保持溝の側面と回り止め部とによって挟み込まれているため、トップフォイル及びバンプフォイルが、軸受ハウジングの周方向に移動してしまうことを抑えることができる。したがって、突起とは別部材の回り止め部を別途用意する必要が無いため、構成を簡素化することができる。そして、回り止め部によって、トップフォイル及びバンプフォイルが、軸受ハウジングの周方向に移動してしまうことを抑えることができるため、フォイル軸受によって回転軸を安定的に回転可能に支持することができ、遠心圧縮機の信頼性をさらに向上させることができる。
【0013】
上記遠心圧縮機において、前記回転軸を回転させる電動モータを備え、前記突起は、前記軸受ハウジングの内周面における前記電動モータとは反対側に位置する部位から突出しているとよい。
【0014】
例えば、回転軸の振れが生じた場合、回転軸の振れ幅は、軸受ハウジングの内側においては、電動モータから遠い部分ほど大きくなる。したがって、回転軸の振れが生じた場合、バンプフォイルにおける電動モータから遠い部分に位置する部位の変形量が大きくなり易い。このとき、軸受ハウジングの内周面における電動モータとは反対側に位置する部位から突起が突出している。このため、バンプフォイルにおける電動モータから遠い部分に位置する部位の弾性域から塑性域への変形を、突起によって規制し易くなる。したがって、バンプフォイルが塑性変形してしまうことを抑制することができるため、フォイル軸受によって回転軸を回転可能に支持することができなくなってしまうことを抑制することができる。その結果、遠心圧縮機の信頼性を向上させることができる。
【0015】
上記遠心圧縮機において、前記フォイル軸受は、前記回転軸の軸方向で前記電動モータを挟む位置にそれぞれ配置される第1フォイル軸受及び第2フォイル軸受を含み、前記突起は、前記第1フォイル軸受及び前記第2フォイル軸受それぞれの前記軸受ハウジングの内周面における前記電動モータとは反対側に位置する部位から突出しているとよい。
【0016】
これによれば、例えば、回転軸の振れが生じた場合であっても、第1フォイル軸受及び第2フォイル軸受それぞれのバンプフォイルにおける電動モータから遠い部分に位置する部位の弾性域から塑性域への変形を、突起によって規制し易くなる。したがって、第1フォイル軸受及び第2フォイル軸受によって回転軸を安定的に回転可能に支持することができるため、遠心圧縮機の信頼性をさらに向上させることができる。
【0017】
上記遠心圧縮機において、前記バンプフォイルは、筒状であり、前記バンプフォイルは、前記軸受ハウジングの内周面に接する谷部と、前記トップフォイルの外周面に接して、前記軸受ハウジングの径方向外側への前記トップフォイルの変位に伴い弾性変形する山部と、を有し、前記突起は、前記軸受ハウジングの内周面において、前記山部に対応する位置に設けられているとよい。
【0018】
これによれば、例えば、突起が、軸受ハウジングの内周面において、山部に対応する位置に設けられておらず、谷部に対応する位置に設けられている場合に比べると、バンプフォイルの弾性域から塑性域への変形を規制し易くすることができる。
【0019】
上記遠心圧縮機において、前記バンプフォイルは、前記バンプフォイルにおける周方向の一端部である固定端部と、前記バンプフォイルにおける周方向の他端部である自由端部と、を有し、前記谷部と前記山部とは、前記軸受ハウジングの周方向に前記固定端部から前記自由端部に向かって交互に複数配列され、前記突起は、前記軸受ハウジングの内周面において、前記自由端部側に位置する前記山部に対応する位置に設けられているとよい。
【0020】
バンプフォイルは、各山部がトップフォイルによって押圧されると、各山部が変形し、固定端部を始点として軸受ハウジングの周方向へスライドしながら変形していく。したがって、自由端部側に位置する山部ほど、変形が起こり易くなっている。ここで、軸受ハウジングの内周面において、バンプフォイルの自由端部側に位置する山部に対応する位置に突起が設けられている。このため、例えば、回転軸の振動に伴い、トップフォイルが軸受ハウジングの径方向外側へ変位しても、変形が起こり易い自由端部側に位置する山部の弾性域から塑性域への変形を、突起によって規制し易くすることができる。したがって、バンプフォイルが塑性変形してしまうことを抑制することができるため、フォイル軸受によって回転軸を回転可能に支持することができなくなってしまうことを抑制することができる。その結果、遠心圧縮機の信頼性を向上させることができる。
【0021】
上記遠心圧縮機において、前記突起は、環状であり、前記突起は、前記軸受ハウジングの内周面の全周に設けられているとよい。
これによれば、突起によって、全ての山部の弾性域から塑性域への変形を規制することができるため、バンプフォイルが塑性変形してしまうことを抑制し易くすることができる。したがって、フォイル軸受によって回転軸を回転可能に支持することができなくなってしまうことをさらに抑制し易くすることができるため、遠心圧縮機の信頼性をさらに向上させることができる。
【0022】
上記遠心圧縮機において、前記谷部と前記山部とは、前記軸受ハウジングの周方向に交互に複数配列され、前記突起は、前記軸受ハウジングの内周面の一部から周方向に間隔をあけて複数設けられ、前記突起における前記軸受ハウジングの周方向の幅は、前記山部における前記軸受ハウジングの周方向の幅よりも広いとよい。
【0023】
これによれば、例えば、突起における軸受ハウジングの周方向の幅が、山部における軸受ハウジングの周方向の幅よりも狭い場合に比べると、突起の剛性を高くすることができるため、突起によって、山部の弾性域から塑性域への変形を規制し易くすることができる。したがって、フォイル軸受によって回転軸を安定的に回転可能に支持することができるため、遠心圧縮機の信頼性をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態における遠心圧縮機を示す側断面図。
【
図2】第1フォイル軸受及び保持部材の分解斜視図。
【
図4】第1フォイル軸受、保持部材、及び回転軸の縦断面図。
【
図7】第1フォイル軸受の周辺を拡大して示す断面図。
【
図8】第2フォイル軸受の周辺を拡大して示す断面図。
【
図9】別の実施形態における突起を説明するための断面図。
【
図10】別の実施形態における突起を説明するための断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、遠心圧縮機を具体化した一実施形態を
図1~
図8にしたがって説明する。本実施形態の遠心圧縮機は、燃料電池車に搭載されている。燃料電池車には、酸素及び水素を燃料電池に供給して発電させる燃料電池システムが搭載されている。そして、遠心圧縮機は、燃料電池に供給される酸素を含む流体としての空気を圧縮する。
【0027】
図1に示すように、遠心圧縮機10は、筒状のハウジング11を備えている。ハウジング11は、モータハウジング12、第1コンプレッサハウジング13、第2コンプレッサハウジング14、仕切壁15、第1中間ハウジング16、及び第2中間ハウジング17を有している。モータハウジング12、第1コンプレッサハウジング13、第2コンプレッサハウジング14、仕切壁15、第1中間ハウジング16、及び第2中間ハウジング17は、それぞれ金属材料製であり、例えば、アルミニウム製である。
【0028】
モータハウジング12は、板状の端壁12aと、端壁12aの外周部から筒状に延びる周壁12bと、を有する有底筒状である。第2中間ハウジング17は、周壁12bにおける端壁12aとは反対側の開口を閉塞した状態で、モータハウジング12に連結されている。そして、モータハウジング12の端壁12a、周壁12b、及び第2中間ハウジング17によって、モータ室18が区画されている。周壁12bにおける端壁12a寄りの部位には、空気を吸入する吸入孔12hが形成されている。吸入孔12hは、モータ室18に連通している。したがって、モータ室18には、吸入孔12hを介して空気が吸入される。
【0029】
第2中間ハウジング17の中央部には、円孔状のシャフト挿通孔17aが形成されている。また、第2中間ハウジング17は、円筒状の第1軸受保持部19を有している。第1軸受保持部19は、第2中間ハウジング17の中央部に形成されている。第1軸受保持部19の内側は、シャフト挿通孔17aに連通している。第1軸受保持部19の中心軸線とシャフト挿通孔17aの中心軸線とは互いに一致している。第1軸受保持部19には、フォイル軸受としての第1フォイル軸受20が保持されている。
【0030】
また、モータハウジング12の端壁12aは、円筒状の第2軸受保持部21を有している。第2軸受保持部21は、モータハウジング12の端壁12aの中央部に形成されている。第1軸受保持部19の中心軸線と第2軸受保持部21の中心軸線とは一致している。第2軸受保持部21には、フォイル軸受としての第2フォイル軸受22が保持されている。したがって、第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22は、ハウジング11内に配置されている。本実施形態において、フォイル軸受は、第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22を含む。
【0031】
第2中間ハウジング17におけるモータ室18とは反対側の外面には、第1室形成凹部17bが形成されている。第1室形成凹部17bは、シャフト挿通孔17aに連通している。また、第2中間ハウジング17は、連通孔23を複数有している。各連通孔23は、第2中間ハウジング17の外周寄りの部位に位置している。各連通孔23は、第2中間ハウジング17を貫通している。そして、連通孔23は、モータ室18と第1室形成凹部17bとを連通している。
【0032】
第1中間ハウジング16は、第2中間ハウジング17に連結されている。第1中間ハウジング16は、第1室形成凹部17bの開口を閉塞するように第2中間ハウジング17に連結されている。そして、第1中間ハウジング16と第2中間ハウジング17の第1室形成凹部17bとによって、スラスト軸受収容室25が区画されている。第1中間ハウジング16の中央部には、円孔状のシャフト挿通孔16aが形成されている。
【0033】
また、第1中間ハウジング16は、連通孔16bを複数有している。各連通孔16bは、第1中間ハウジング16の外周寄りの部位に位置している。各連通孔16bは、第1中間ハウジング16を貫通している。第1中間ハウジング16におけるスラスト軸受収容室25とは反対側の外面には、第2室形成凹部16cが形成されている。第2室形成凹部16cは、シャフト挿通孔16aに連通している。そして、各連通孔16bは、スラスト軸受収容室25と第2室形成凹部16cとを連通している。
【0034】
第1コンプレッサハウジング13は、空気が吸入される円孔状の第1吸入口24を有する筒状である。第1コンプレッサハウジング13は、第1吸入口24の中心軸線が、シャフト挿通孔16aの中心軸線に一致した状態で、第1中間ハウジング16に連結されている。第1吸入口24は、第2室形成凹部16cに連通している。
【0035】
仕切壁15は、第1コンプレッサハウジング13における第1中間ハウジング16とは反対側の端面に連結されている。仕切壁15は、板状である。仕切壁15の中央部には、円孔状の貫通孔27が形成されている。貫通孔27は、仕切壁15を仕切壁15の厚み方向に貫通している。仕切壁15は、貫通孔27の中心軸線が、第1吸入口24の中心軸線に一致した状態で、第1コンプレッサハウジング13に連結されている。第1吸入口24は、第1吸入口24の中心軸線が延びる方向において仕切壁15に対向している。
【0036】
仕切壁15と第1コンプレッサハウジング13との間には、第1吸入口24に連通するインペラ室としての第1インペラ室28と、第1インペラ室28の周囲で第1吸入口24の中心軸線周りに延びる第1吐出室29と、第1インペラ室28と第1吐出室29とを連通する第1ディフューザ流路30と、が形成されている。
【0037】
第2コンプレッサハウジング14は、空気が吸入される円孔状の第2吸入口32を有する筒状である。第2コンプレッサハウジング14は、第2吸入口32の中心軸線が、第1吸入口24の中心軸線に一致した状態で、仕切壁15における第1コンプレッサハウジング13とは反対側の端面に連結されている。第2吸入口32は、第2吸入口32の中心軸線が延びる方向において仕切壁15に対向している。
【0038】
仕切壁15と第2コンプレッサハウジング14との間には、第2吸入口32に連通するインペラ室としての第2インペラ室33と、第2インペラ室33の周囲で第2吸入口32の中心軸線周りに延びる第2吐出室34と、第2インペラ室33と第2吐出室34とを連通する第2ディフューザ流路35と、が形成されている。したがって、ハウジング11は、第1インペラ室28及び第2インペラ室33を有している。仕切壁15は、第1インペラ室28と第2インペラ室33とを仕切っている。第1吐出室29と第2吸入口32とは、図示しない通路を介して連通している。
【0039】
遠心圧縮機10は、回転軸40と、回転軸40を回転させる電動モータ41と、を備えている。電動モータ41は、モータ室18に収容されている。回転軸40は、第2軸受保持部21の内側からモータ室18、第1軸受保持部19の内側、シャフト挿通孔17a、スラスト軸受収容室25、シャフト挿通孔16a、第1吸入口24、第1インペラ室28、貫通孔27、第2インペラ室33、及び第2吸入口32の順に通過しながら、ハウジング11の軸方向に延びている。したがって、回転軸40は、貫通孔27に挿通された状態で、第1インペラ室28及び第2インペラ室33に跨って配置されている。回転軸40の軸線Lは、第1軸受保持部19、第2軸受保持部21、シャフト挿通孔17a、シャフト挿通孔16a、第1吸入口24、貫通孔27、及び第2吸入口32それぞれの中心軸線に一致している。このように、回転軸40は、ハウジング11に収容されている。なお、以下の説明では、回転軸40の軸線Lが延びる方向である「回転軸40の軸方向」を「スラスト方向」と記載し、「回転軸40の径方向」を「ラジアル方向」と記載することもある。
【0040】
電動モータ41は、ステータ42及びロータ43を備えている。ステータ42は、円筒状のステータコア44と、ステータコア44に巻回されるコイル45と、を有している。ステータコア44は、モータハウジング12の周壁12bの内周面に固定されている。ロータ43は、モータ室18において、ステータコア44の内側に配置されている。ロータ43は、回転軸40と一体的に回転する。ロータ43は、回転軸40に止着されたロータコア43aと、ロータコア43aに設けられた図示しない複数の永久磁石と、を有している。そして、図示しないインバータ装置によって制御された電力がコイル45に供給されることによりロータ43が回転し、回転軸40がロータ43と一体的に回転する。
【0041】
遠心圧縮機10は、インペラとしての第1インペラ51及び第2インペラ52を備えている。第1インペラ51及び第2インペラ52は、例えば、アルミニウム製である。なお、第1インペラ51及び第2インペラ52を形成するアルミニウム材料の剛性は、仕切壁15を形成するアルミニウム材料の剛性よりも低い。第1インペラ51及び第2インペラ52は、回転軸40の第1端部に連結されている。第2インペラ52は、第1インペラ51よりも回転軸40の第1端部寄りに配置されている。第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22は、第1インペラ51及び第2インペラ52よりも回転軸40の第2端部寄りに配置されている。
【0042】
第1インペラ51は、第1インペラ室28に収容されている。第1インペラ51は、円錐台形状である。第1インペラ51は、回転軸40の第1端部に連結されている。第2インペラ52は、第2インペラ室33に収容されている。第2インペラ52は、円錐台形状である。第2インペラ52は、回転軸40の第1端部に連結されている。このように、回転軸40、第1インペラ51、及び第2インペラ52は、ハウジング11に収容されている。
【0043】
第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22は、回転軸40を回転可能に支持している。第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22は、回転軸40の回転数が第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22により回転軸40が浮上する浮上回転数に達するまでは、回転軸40と接触した状態で回転軸40を支持する。そして、回転軸40の回転数が浮上回転数に達すると、回転軸40と第1フォイル軸受20との間、及び回転軸40と第2フォイル軸受22との間に生じる動圧によって、回転軸40は、第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22に対して浮上し、第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22に対して非接触の状態で回転可能に支持される。したがって、第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22は、回転軸40をラジアル方向で回転可能に支持する空気動圧軸受である。
【0044】
次に、第1フォイル軸受20の具体的な構成について説明する。なお、第2フォイル軸受22の構成は、第1フォイル軸受20の構成と同じであるため、第2フォイル軸受22の構成の詳細な説明を省略する。
【0045】
図2及び
図3に示すように、第1フォイル軸受20は、軸受ハウジング71、トップフォイル72、及びバンプフォイル73を有している。軸受ハウジング71は、円筒状である。軸受ハウジング71の内周面には、保持溝71aが形成されている。保持溝71aは、軸受ハウジング71の軸方向に延びている。
【0046】
保持溝71aは、軸受ハウジング71の軸方向に延びる一対の側面71bを有している。一対の側面71bは、軸受ハウジング71の内周面に連続している。一対の側面71bは、互いに平行に延びている。保持溝71aは、軸受ハウジング71の軸方向に延びる外側面71cを有している。外側面71cは、一対の側面71bにおける軸受ハウジング71の内周面とは反対側の縁部同士を接続している。
【0047】
保持溝71aの軸方向の一端は、軸受ハウジング71の軸方向の一端面に開口している。したがって、一対の側面71b及び外側面71cは、軸受ハウジング71の軸方向の一端面に連続している。保持溝71aの軸方向の他端は、軸受ハウジング71の軸方向の他端面に開口しておらず、閉塞している。したがって、保持溝71aの軸方向の他端は、軸受ハウジング71の径方向に延びて、軸受ハウジング71の内周面に連続する段差面71eになっている。一対の側面71b及び外側面71cは、段差面71eに連続している。
【0048】
トップフォイル72は、略円筒状である。トップフォイル72は、例えば、ステンレス鋼製などの可撓性を有する帯状の金属板材を、長辺方向を周方向とし、短辺方向を軸方向として筒状に湾曲させることで形成されている。トップフォイル72における周方向の一端部である固定端部72aは、トップフォイル72の径方向外側へ折り曲げられている。トップフォイル72における周方向の他端部である自由端部72bは、固定端部72aの基端部に対して周方向で離間した状態で対向している。したがって、トップフォイル72は、一部が切り欠かれた非環状である。
【0049】
トップフォイル72は、固定端部72aが保持溝71aに挿入された状態で、軸受ハウジング71の内側に配置されている。したがって、トップフォイル72の一部は、保持溝71aに挿入されている。トップフォイル72は、固定端部72aが保持溝71aに挿入されることにより、固定端部72aが保持溝71aに保持された状態で、軸受ハウジング71の内側に配置されている。固定端部72aの一部は、段差面71eと軸受ハウジング71の軸方向で重なっている。トップフォイル72は、回転軸40よりも径方向外側に配置されている。トップフォイル72は、回転軸40の回転時に回転軸40を非接触の状態で回転可能に支持する。
【0050】
バンプフォイル73は、略円筒状である。バンプフォイル73は、例えば、ステンレス鋼製などの可撓性を有する帯状の金属波板材を、長辺方向を周方向とし、短辺方向を軸方向として筒状に湾曲させることで形成されている。トップフォイル72の厚みとバンプフォイル73の厚みとは略同じである。バンプフォイル73における周方向の一端部である固定端部73aは、バンプフォイル73の径方向外側へ折り曲げられている。バンプフォイル73における周方向の他端部である自由端部73bは、固定端部73aの基端部に対して周方向で離間した状態で対向している。したがって、バンプフォイル73は、固定端部73aと、自由端部73bと、を有し、一部が切り欠かれた非環状である。
【0051】
バンプフォイル73は、固定端部73aが保持溝71aに挿入された状態で、軸受ハウジング71の内側に配置されている。したがって、バンプフォイル73の一部は、保持溝71aに挿入されている。バンプフォイル73は、固定端部73aが保持溝71aに挿入されることにより、固定端部73aが保持溝71aに保持された状態で、軸受ハウジング71の内側に配置されている。固定端部73aの一部は、段差面71eと軸受ハウジング71の軸方向で重なっている。バンプフォイル73は、軸受ハウジング71の内周面とトップフォイル72との間に配置されている。したがって、バンプフォイル73は、トップフォイル72よりも径方向外側に配置されている。そして、バンプフォイル73は、トップフォイル72を弾性的に支持する。
【0052】
バンプフォイル73は、軸受ハウジング71の内周面に接する谷部73cを複数有している。各谷部73cは、軸受ハウジング71の内周面に沿って延びている。また、バンプフォイル73は、トップフォイル72の外面である外周面に接する山部73fを複数有している。各山部73fは、軸受ハウジング71の内周面に対して離間する方向へ突出するとともにトップフォイル72の外周面に向けて膨出するように弧状に湾曲している。バンプフォイル73は、バンプフォイル73の周方向に谷部73c及び山部73fが交互に配列された波形状である。バンプフォイル73の周方向は、軸受ハウジング71の周方向に一致している。したがって、バンプフォイル73は、谷部73cと山部73fとが、軸受ハウジング71の周方向に固定端部73aから自由端部73bに向かって交互に複数配列された構成である。
【0053】
トップフォイル72の軸方向の長さは、軸受ハウジング71の軸方向の長さよりも短い。バンプフォイル73の軸方向の長さは、トップフォイル72の軸方向の長さよりも短い。トップフォイル72における軸方向の一方側の端部は、バンプフォイル73における軸方向の一方側の端部からはみ出している。したがって、トップフォイル72における軸方向の一方側の端部は、バンプフォイル73における軸方向の一方側の端部よりも軸受ハウジング71の軸方向に延在して、バンプフォイル73と軸受ハウジング71の径方向で重ならない非重畳部72dを備えている。
【0054】
トップフォイル72の固定端部72aにおけるトップフォイル72の軸方向の一方の端縁には、切欠部72cが形成されている。切欠部72cは、トップフォイル72の固定端部72aにおけるトップフォイル72の軸方向の一方の端縁からトップフォイル72の軸方向に延びる第1切欠縁721cと、第1切欠縁721cに連続するとともに第1切欠縁721cからトップフォイル72の径方向外方へ延びる第2切欠縁722cと、を有している。第2切欠縁722cにおける第1切欠縁721cとは反対側の縁部は、固定端部72aにおけるトップフォイル72の径方向外側の端縁に連続している。
【0055】
トップフォイル72の固定端部72aにおける第2切欠縁722cからトップフォイル72の軸方向の他方側の端縁までの長さは、バンプフォイル73の軸方向の長さと同じである。トップフォイル72の固定端部72aにおける第2切欠縁722cからトップフォイル72の軸方向の他方側の端縁までの長さは、バンプフォイル73の固定端部73aにおけるバンプフォイル73の軸方向の長さと同じである。
【0056】
回転軸40が回転していないとき、バンプフォイル73の各谷部73cは、軸受ハウジング71の内周面に接触し、バンプフォイル73の各山部73fは、トップフォイル72の外周面に接触している。そして、回転軸40が回転すると、トップフォイル72が径方向外側に向けて弾性変形して、回転軸40とトップフォイル72との間に空気が侵入して空気膜が形成され、動圧が生じる。これにより、回転軸40は、空気膜を介してトップフォイル72に対して非接触の状態で回転可能に支持される。
【0057】
回転軸40とトップフォイル72との間の空気膜によって、トップフォイル72が径方向外側に向けて弾性変形すると、トップフォイル72の外周面に接触しているバンプフォイル73の各山部73fがトップフォイル72によって押圧され、バンプフォイル73がトップフォイル72と共に径方向外側に弾性変形する。これにより、トップフォイル72は、バンプフォイル73によって弾性的に支持される。したがって、各山部73fは、軸受ハウジング71の径方向外側へのトップフォイル72の変位に伴い弾性変形する。
【0058】
図2及び
図4に示すように、遠心圧縮機10は、保持部材74を備えている。保持部材74は、本体部74a、固定部74b、及び回り止め部74cを有している。本体部74aは、円環状である。本体部74aの外径は、軸受ハウジング71の内径よりも僅かに小さい。本体部74aの内径は、トップフォイル72の外径よりも大きい。本体部74aの厚みは、トップフォイル72の厚み、及びバンプフォイル73の厚みよりも厚い。
【0059】
図5に示すように、固定部74bは、本体部74aの外周面から外方へ突出している。固定部74bは、保持溝71a内に配置されている。固定部74bは、本体部74aの周方向の両側に位置する一対の接触面741bを有している。各接触面741bは、保持溝71aの各側面71bにそれぞれ沿って延びている。固定部74bは、各接触面741bが保持溝71aの各側面71bに接触しており、保持溝71aに圧入された状態で、保持溝71aに固定されている。保持部材74は、固定部74bが保持溝71aに圧入されて固定されることにより、軸受ハウジング71の内側に配置されている。
【0060】
図2及び
図4に示すように、保持部材74が軸受ハウジング71の内側に配置されている状態において、本体部74aの外周面は、軸受ハウジング71の内周面における軸受ハウジング71の軸方向の一方側の開口端部に接触している。本体部74aは、軸受ハウジング71における軸方向の一方側の開口部に配置されている。そして、本体部74aの一部は、軸受ハウジング71の軸方向から見たときに、軸受ハウジング71の内周面において、全ての山部73fに対応する位置に設けられている。したがって、本体部74aは、軸受ハウジング71の内周面から径方向内側に突出した突起である。突起は環状であり、軸受ハウジング71の内周面の全周に設けられている。本体部74aの一部は、軸受ハウジング71の軸方向から見たときに、軸受ハウジング71の内周面において、バンプフォイル73の自由端部73b側に位置する山部73fに対応する位置に設けられている。
【0061】
本体部74aの内周面は、軸受ハウジング71の径方向外側へのトップフォイル72の変位時に、トップフォイル72の外周面に当接することにより、バンプフォイル73の弾性域から塑性域への変形を規制する当接面74dになっている。したがって、本体部74aは、当接面74dを有している。当接面74dは、トップフォイル72の変位時の形状に沿うように円弧状になっている。
【0062】
図5に示すように、本体部74aの一部分は、切欠部72cの第1切欠縁721cに対して、トップフォイル72の径方向外側を通過している。また、本体部74aの大部分は、トップフォイル72の外周面におけるトップフォイル72の軸方向の一方側の端部に対して、トップフォイル72の径方向外側を通過している。また、本体部74aの一部分は、軸受ハウジング71の軸方向から見たときに、切欠部72cの第2切欠縁722c、及びバンプフォイル73の固定端部73aと軸受ハウジング71の軸方向で重なっている。したがって、本体部74aの一部分は、トップフォイル72の一部、及びバンプフォイル73の一部と軸受ハウジング71の軸方向で重なっている。本体部74aは、バンプフォイル73に対して軸方向に隣り合って設けられている。本体部74aは、トップフォイル72の非重畳部72dの外面である外周面と軸受ハウジング71の内周面との間に設けられている。
【0063】
図2に示すように、回り止め部74cは、固定部74bから保持部材74の軸方向に延在する細長四角柱状である。したがって、回り止め部74cは、固定部74bを介して本体部74aに一体的に設けられている。回り止め部74cは、本体部74aの周方向の両側に位置する一対の挟持面741cを有している。一対の挟持面741c同士の間の幅は、一対の接触面741b同士の間の幅よりも小さい。一対の挟持面741cの一方と一対の接触面741bの一方とは、同一面上に位置している。
【0064】
図6に示すように、各挟持面741cは、保持溝71aの各側面71bにそれぞれ沿って延びている。回り止め部74cは、一対の挟持面741cの一方が保持溝71aの一対の側面71bの一方に接触しており、一対の挟持面741cの他方がトップフォイル72の固定端部72aに接触した状態で、保持溝71aに挿入されている。そして、回り止め部74cは、保持溝71aに挿入されて、トップフォイル72の固定端部72a、及びバンプフォイル73の固定端部73aを、保持溝71aの一対の側面71bの他方と協働して挟み込んでいる。したがって、回り止め部74cは、保持溝71aに挿入されて、トップフォイル72の一部、及びバンプフォイル73の一部を保持溝71aの側面71bと協働して挟み込む。よって、遠心圧縮機10は、本体部74aに一体的に設けられる回り止め部74cをさらに備えている。
【0065】
図7に示すように、第1フォイル軸受20の軸受ハウジング71の内側に配置される保持部材74は、軸受ハウジング71の内側において、電動モータ41とは反対側に位置している。したがって、第1フォイル軸受20の軸受ハウジング71の内周面から突出する保持部材74の本体部74aは、軸受ハウジング71の内周面における電動モータ41とは反対側に位置する部位から突出している。
【0066】
図8に示すように、第2フォイル軸受22の軸受ハウジング71の内側に配置される保持部材74は、軸受ハウジング71の内側において、電動モータ41とは反対側に位置している。したがって、第2フォイル軸受22の軸受ハウジング71の内周面から突出する保持部材74の本体部74aは、軸受ハウジング71の内周面における電動モータ41とは反対側に位置する部位から突出している。
【0067】
よって、保持部材74の本体部74aは、第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22それぞれの軸受ハウジング71の内周面における電動モータ41とは反対側に位置する部位から突出している。
【0068】
保持部材74の本体部74aにおける軸受ハウジング71の内周面からの突出量は、各山部73fの弾性域から塑性域への変形が規制可能な突出量に設定されている。したがって、保持部材74の本体部74aは、各山部73fの弾性域から塑性域への変形を規制する。保持部材74の本体部74aにおける軸受ハウジング71の内周面からの突出量は、バンプフォイル73の板厚T1よりも大きくなっている。バンプフォイル73は、例えば、本体部74aが無い場合、弾性域から塑性域まで変形可能なばね定数に設定されている。
【0069】
図1に示すように、遠心圧縮機10は、回転軸40に設けられた円板状の支持プレート75を備えている。支持プレート75は、回転軸40の外周面から突出している。支持プレート75は、回転軸40の外周面に圧入されている。支持プレート75は、回転軸40と一体的に回転する。支持プレート75は、スラスト軸受収容室25に配置されている。
【0070】
第1中間ハウジング16と支持プレート75との間、及び第2中間ハウジング17と支持プレート75との間には、スラスト軸受80がそれぞれ配置されている。両スラスト軸受80は、回転軸40の回転に伴って支持プレート75が回転すると、支持プレート75と両スラスト軸受80との間に動圧が生じる。これにより、両スラスト軸受80によって、支持プレート75が両スラスト軸受80に対して浮上し、両スラスト軸受80に対して非接触の状態で回転可能に支持される。したがって、両スラスト軸受80は、回転軸40をスラスト方向で回転可能に支持する空気動圧軸受である。
【0071】
遠心圧縮機10において、空気は吸入孔12hからモータ室18に吸入される。モータ室18に吸入された空気は、各連通孔23、スラスト軸受収容室25、各連通孔16b、及び第2室形成凹部16cの内側を通過して、第1吸入口24に吸入される。第1吸入口24に吸入された空気は、第1インペラ51の遠心作用によって昇圧され、第1インペラ室28から第1ディフューザ流路30に送り込まれて、第1ディフューザ流路30にてさらに昇圧される。そして、第1ディフューザ流路30を通過した空気は、第1吐出室29に吐出される。
【0072】
第1吐出室29に吐出された空気は、第1吐出室29から図示しない通路を介して第2吸入口32に吸入される。第2吸入口32に吸入された空気は、第2インペラ52の遠心作用によって昇圧され、第2インペラ室33から第2ディフューザ流路35に送り込まれて、第2ディフューザ流路35にてさらに昇圧される。そして、第2ディフューザ流路35を通過した空気は、第2吐出室34に吐出される。
【0073】
次に、本実施形態の作用について説明する。
例えば、回転軸40の振動に伴い、トップフォイル72が軸受ハウジング71の径方向外側へ変位して、トップフォイル72の外周面に接触しているバンプフォイル73の各山部73fがトップフォイル72によって過剰に押圧される場合がある。このとき、保持部材74の本体部74aの当接面74dが、トップフォイル72の外周面に当接することにより、バンプフォイル73の各山部73fの弾性域から塑性域への変形が規制される。このように、例えば、回転軸40の振動に伴い、トップフォイル72が軸受ハウジング71の径方向外側へ変位しても、保持部材74の本体部74aの当接面74dが、トップフォイル72の外周面に当接することにより、バンプフォイル73の各山部73fの弾性域から塑性域への変形が規制される。
【0074】
また、例えば、トップフォイル72及びバンプフォイル73が軸受ハウジング71の軸方向の一方側の開口部に向けて移動しても、トップフォイル72の第2切欠縁722c、及びバンプフォイル73の固定端部73aが本体部74aの一部分に当接する。これにより、トップフォイル72及びバンプフォイル73が軸受ハウジング71の軸方向の一方側の開口部から抜けてしまうことが防止されている。
【0075】
さらに、例えば、トップフォイル72及びバンプフォイル73が軸受ハウジング71の軸方向の他方側の開口部に向けて移動しても、トップフォイル72の固定端部72a、及びバンプフォイル73の固定端部73aが段差面71eに当接する。これにより、トップフォイル72及びバンプフォイル73が軸受ハウジング71の軸方向の他方側の開口部から抜けてしまうことが防止されている。
【0076】
例えば、トップフォイル72及びバンプフォイル73が、軸受ハウジング71の周方向へ移動しようとする場合がある。この場合であっても、トップフォイル72の固定端部72a、及びバンプフォイル73の固定端部73aが、保持溝71aの側面71bと回り止め部74cとによって挟み込まれているため、トップフォイル72及びバンプフォイル73が、軸受ハウジング71の周方向に移動してしまうことが抑えられている。
【0077】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)例えば、回転軸40の振動に伴い、トップフォイル72が軸受ハウジング71の径方向外側へ変位しても、保持部材74の本体部74aの当接面74dが、トップフォイル72の外周面に当接することにより、バンプフォイル73の弾性域から塑性域への変形が規制される。したがって、バンプフォイル73が塑性変形してしまうことを抑制することができるため、第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22によって回転軸40を回転可能に支持することができなくなってしまうことを抑制することができる。その結果、遠心圧縮機10の信頼性を向上させることができる。
【0078】
(2)本体部74aは、トップフォイル72の非重畳部72dの外周面と軸受ハウジング71の内周面との間に設けられている。このような構成は、軸受ハウジング71の内周面から径方向内側に突出する突起である本体部74aの配置位置として好適である。
【0079】
(3)保持部材74の本体部74aは、軸受ハウジング71の開口部に配置されており、本体部74aの一部分が、トップフォイル72の一部、及びバンプフォイル73の一部と軸受ハウジング71の軸方向で重なっている。これによれば、例えば、トップフォイル72及びバンプフォイル73が軸受ハウジング71の開口部に向けて移動しても、トップフォイル72の一部、及びバンプフォイル73の一部が本体部74aの一部分に当接する。よって、トップフォイル72及びバンプフォイル73が軸受ハウジング71から抜けてしまうことを、本体部74aによって防止することができる。したがって、バンプフォイル73の弾性域から塑性域への変形を規制する保持部材74の本体部74aを、トップフォイル72及びバンプフォイル73が軸受ハウジング71から抜けてしまうことを防止するための抜け止めとしても機能させることができる。そして、トップフォイル72及びバンプフォイル73が軸受ハウジング71から抜けてしまうことを、保持部材74の本体部74aによって防止することができるため、第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22によって回転軸40を安定的に回転可能に支持することができ、遠心圧縮機10の信頼性をさらに向上させることができる。
【0080】
(4)遠心圧縮機10は、保持部材74の本体部74aに一体的に設けられるとともに、保持溝71aに挿入されて、トップフォイル72の一部、及びバンプフォイル73の一部を保持溝71aの側面71bと協働して挟み込む回り止め部74cをさらに備えている。これによれば、例えば、トップフォイル72及びバンプフォイル73が、軸受ハウジング71の周方向へ移動しようとしても、トップフォイル72の一部、及びバンプフォイル73の一部が、保持溝71aの側面71bと回り止め部74cとによって挟み込まれている。このため、トップフォイル72及びバンプフォイル73が、軸受ハウジング71の周方向に移動してしまうことを抑えることができる。したがって、保持部材74の本体部74aとは別部材の回り止め部を別途用意する必要が無いため、構成を簡素化することができる。そして、回り止め部74cによって、トップフォイル72及びバンプフォイル73が、軸受ハウジング71の周方向に移動してしまうことを抑えることができるため、第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22によって回転軸40を安定的に回転可能に支持することができ、遠心圧縮機10の信頼性をさらに向上させることができる。
【0081】
(5)例えば、回転軸40の振れが生じた場合、回転軸40の振れ幅は、軸受ハウジング71の内側においては、電動モータ41から遠い部分ほど大きくなる。したがって、回転軸40の振れが生じた場合、バンプフォイル73における電動モータ41から遠い部分に位置する部位の変形量が大きくなり易い。このとき、軸受ハウジング71の内周面における電動モータ41とは反対側に位置する部位から保持部材74の本体部74aが突出している。このため、バンプフォイル73における電動モータ41から遠い部分に位置する部位の弾性域から塑性域への変形を、保持部材74の本体部74aによって規制し易くなる。したがって、バンプフォイル73が塑性変形してしまうことを抑制することができるため、第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22によって回転軸40を回転可能に支持することができなくなってしまうことを抑制することができる。その結果、遠心圧縮機10の信頼性を向上させることができる。
【0082】
(6)保持部材74の本体部74aは、第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22それぞれの軸受ハウジング71の内周面における電動モータ41とは反対側に位置する部位から突出している。これによれば、例えば、回転軸40の振れが生じた場合であっても、第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22それぞれのバンプフォイル73における電動モータ41から遠い部分に位置する部位の弾性域から塑性域への変形を、保持部材74の本体部74aによって規制し易くなる。したがって、第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22によって回転軸40を安定的に回転可能に支持することができるため、遠心圧縮機10の信頼性をさらに向上させることができる。
【0083】
(7)保持部材74の本体部74aの一部が、軸受ハウジング71の内周面において、各山部73fに対応する位置に設けられている。これによれば、例えば、本体部74aが、軸受ハウジング71の内周面において、各山部73fに対応する位置に設けられておらず、各谷部73cに対応する位置に設けられている場合に比べると、バンプフォイル73の弾性域から塑性域への変形を規制し易くすることができる。
【0084】
(8)バンプフォイル73は、各山部73fがトップフォイル72によって押圧されると、各山部73fが変形し、固定端部73aを始点として軸受ハウジング71の周方向へスライドしながら変形していく。したがって、自由端部73b側に位置する山部73fほど、変形が起こり易くなっている。ここで、軸受ハウジング71の内周面において、バンプフォイル73の自由端部73b側に位置する山部73fに対応する位置に保持部材74の本体部74aの一部が設けられている。このため、例えば、回転軸40の振動に伴い、トップフォイル72が軸受ハウジング71の径方向外側へ変位しても、変形が起こり易い自由端部73b側に位置する山部73fの弾性域から塑性域への変形を、保持部材74の本体部74aによって規制し易くすることができる。したがって、バンプフォイル73が塑性変形してしまうことを抑制することができるため、第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22によって回転軸40を回転可能に支持することができなくなってしまうことを抑制することができる。その結果、遠心圧縮機10の信頼性を向上させることができる。
【0085】
(9)保持部材74の本体部74aは、環状であり、本体部74aは、軸受ハウジング71の内周面の全周に設けられている。これによれば、保持部材74の本体部74aによって、全ての山部73fの弾性域から塑性域への変形を規制することができるため、バンプフォイル73が塑性変形してしまうことを抑制し易くすることができる。したがって、第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22によって回転軸40を回転可能に支持することができなくなってしまうことをさらに抑制し易くすることができるため、遠心圧縮機10の信頼性をさらに向上させることができる。
【0086】
(10)保持部材74の本体部74aによって、バンプフォイル73の塑性変形を抑制することができるため、例えば、回転軸40の振れが生じたり、遠心圧縮機10自体が振動したりしても、第1インペラ51及び第2インペラ52の移動量を抑えることができる。したがって、第1インペラ51の外周がハウジング11に衝突したり、第2インペラ52の外周がハウジング11に衝突したりすることを回避するために、第1インペラ51とハウジング11との間のチップクリアランス、及び第2インペラ52とハウジング11との間のチップクリアランスを、ある程度確保しておく必要が無い。よって、遠心圧縮機10の圧縮効率の低下を抑えることができる。
【0087】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0088】
○
図9に示すように、軸受ハウジング71の内周面の一部から径方向内側に突起81が突出していてもよい。軸受ハウジング71の内周面には、突起81が複数突出している。各突起81は、軸受ハウジング71における軸方向の一方側の開口部に配置されている。各突起81は、軸受ハウジング71の軸方向から見たときに、軸受ハウジング71の内周面における山部73fに対応する位置に設けられている。各突起81は、バンプフォイル73に対して軸方向に隣り合って設けられている。本体部74aは、トップフォイル72の非重畳部72dの外周面と軸受ハウジング71の内周面との間に設けられている。
【0089】
図9に示す実施形態では、軸受ハウジング71の内周面から突起81が3つ突出している。したがって、
図9に示す実施形態では、突起81は、軸受ハウジング71の内周面の一部から周方向に間隔をあけて複数設けられている。各突起81の突出方向の端面は、軸受ハウジング71の径方向外側へのトップフォイル72の変位時に、トップフォイル72の外周面に当接することにより、バンプフォイル73の弾性域から塑性域への変形を規制する当接面81dになっている。したがって、各突起81は、当接面81dを有している。各突起81の当接面81dは、トップフォイル72の変位時の形状に沿うように円弧状になっている。各突起81における軸受ハウジング71の周方向の幅H1は、各山部73fにおける軸受ハウジング71の周方向の幅H2よりも広い。
【0090】
これによれば、例えば、各突起81における軸受ハウジング71の周方向の幅H1が、各山部73fにおける軸受ハウジング71の周方向の幅H2よりも狭い場合に比べると、各突起81の剛性を高くすることができるため、各突起81によって、各山部73fの弾性域から塑性域への変形を規制し易くすることができる。したがって、第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22によって回転軸40を安定的に回転可能に支持することができるため、遠心圧縮機10の信頼性をさらに向上させることができる。
【0091】
○
図10に示すように、突起81Aが、軸受ハウジング71の開口部に配置されておらず、突起81Aが、トップフォイル72の一部、及びバンプフォイル73の一部と軸受ハウジング71の軸方向で重なっていなくてもよい。そして、例えば、軸受ハウジング71の内周面と山部73fとの間に突起81Aが設けられていてもよい。この場合、突起81Aは、バンプフォイル73に対して軸方向に隣り合っていない。このように、突起81Aが、バンプフォイル73に対して軸方向に隣り合って設けられておらず、突起81Aが、トップフォイル72の非重畳部72dの外周面と軸受ハウジング71の内周面との間に設けられていなくてもよい。各突起81Aの突出方向の端面は、軸受ハウジング71の径方向外側へのトップフォイル72の変位時に、バンプフォイル73の外面である外周面に当接することにより、バンプフォイル73の弾性域から塑性域への変形を規制する当接面81Dになっている。したがって、突起81Aは、当接面81Dを有している。
【0092】
例えば、回転軸40の振動に伴い、トップフォイル72が軸受ハウジング71の径方向外側へ変位して、トップフォイル72の外周面に接触しているバンプフォイル73の各山部73fがトップフォイル72によって過剰に押圧される場合がある。このとき、突起81Aの当接面81Dが、バンプフォイル73の外周面に当接することにより、バンプフォイル73の弾性域から塑性域への変形が規制される。
【0093】
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、回り止め部74cを備えていない構成であってもよい。
○ 実施形態において、保持部材74の本体部74aが、軸受ハウジング71の内周面における電動モータ41とは反対側に位置する部位から突出しておらず、軸受ハウジング71の内周面における電動モータ41側に位置する部位から突出していてもよい。
【0094】
○ 実施形態において、保持部材74の本体部74aが、軸受ハウジング71の内周面における電動モータ41とは反対側に位置する部位から突出しており、さらに加えて、軸受ハウジング71の内周面における電動モータ41側に位置する部位からも保持部材74の本体部74aが突出していてもよい。
【0095】
○ 実施形態において、例えば、第1フォイル軸受20及び第2フォイル軸受22の一方の軸受ハウジング71の内周面から突出する保持部材74の本体部74aについては、軸受ハウジング71の内周面における電動モータ41側に位置する部位から突出していてもよい。
【0096】
○ 実施形態において、軸受ハウジング71の軸方向から見たときに、軸受ハウジング71の内周面において、バンプフォイル73の自由端部73b側に位置する山部73fに対応する位置から保持部材74の本体部74aが突出していなくてもよい。
【0097】
○ 実施形態において、軸受ハウジング71の内周面から、保持部材74の本体部74aに相当する環状の突起が一体形成されていてもよい。要は、遠心圧縮機10は、軸受ハウジング71とは別部材である保持部材74の本体部74aを、環状の突起として機能させるために、別途備える構成でなくてもよい。
【0098】
○ 実施形態において、バンプフォイル73は、円筒状でなくてもよく、例えば、弧状に湾曲する板状であってもよい。そして、遠心圧縮機10は、弧状に湾曲する板状のバンプフォイル73が、軸受ハウジング71の内周面に対して、軸受ハウジング71の周方向に複数並んで配置されている構成であってもよい。
【0099】
○ 実施形態において、軸受ハウジング71の内周面とトップフォイル72との間に、バンプフォイル73が、軸受ハウジング71の軸方向に、例えば、2つ並んで配置されていてもよい。そして、軸受ハウジング71の軸方向で隣り合うバンプフォイル73同士が軸受ハウジング71の軸方向で離間していてもよい。この場合、トップフォイル72における2つのバンプフォイル73の間と軸受ハウジング71の径方向で重なる部位は、バンプフォイル73よりも軸受ハウジング71の軸方向に延在して、バンプフォイル73と軸受ハウジング71の径方向で重ならない非重畳部である。そして、軸受ハウジング71の内周面から径方向内側に突出する突起が、非重畳部の外周面と軸受ハウジング71の内周面との間に設けられていてもよい。
【0100】
○ 実施形態において、軸受ハウジング71の内周面から径方向内側に突出する突起が、軸受ハウジング71の内周面において、各山部73fに対応する位置に設けられておらず、各谷部73cに対応する位置に設けられていてもよい。
【0101】
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、例えば、第2インペラ52を備えていない構成であってもよい。
○ 実施形態において、第1インペラ51及び第2インペラ52が圧縮する流体としては、空気に限らない。したがって、遠心圧縮機10の適用対象及び圧縮対象の流体は任意である。例えば、遠心圧縮機10は空調装置に用いられていてもよく、圧縮対象の流体は冷媒であってもよい。また、遠心圧縮機10の搭載対象は、車両に限られず任意である。
【符号の説明】
【0102】
10…遠心圧縮機、11…ハウジング、20…フォイル軸受としての第1フォイル軸受、22…フォイル軸受としての第2フォイル軸受、28…インペラ室としての第1インペラ室、33…インペラ室としての第2インペラ室、40…回転軸、41…電動モータ、51…インペラとしての第1インペラ、52…インペラとしての第2インペラ、71…軸受ハウジング、71a…保持溝、71b…側面、72…トップフォイル、72d…非重畳部、73…バンプフォイル、73a…固定端部、73b…自由端部、73c…谷部、73f…山部、74a…突起である本体部、74c…回り止め部、74d,81d,81D…当接面、81,81A…突起。