(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
H01H 50/20 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
H01H50/20 B
(21)【出願番号】P 2020176213
(22)【出願日】2020-10-20
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】三宅 彩加
(72)【発明者】
【氏名】山本 信也
(72)【発明者】
【氏名】大坪 大介
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-136102(JP,A)
【文献】特開2019-179694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1固定端子と、
前記第1固定端子に接続された第1固定接点と、
第2固定端子と、
前記第2固定端子に接続された第2固定接点と、
第1可動接触片と、
前記第1可動接触片に接続され、前記第1固定接点と向かい合う第1可動接点と、
前記第1可動接触片に接続され、前記第2固定接点と向かい合う第2可動接点と、
前記第1可動接触片を保持し、前記第1可動接点と前記第2可動接点とが前記第1固定接点と前記第2固定接点とに接触する方向と、前記第1可動接点と前記第2可動接点とが前記第1固定接点と前記第2固定接点から開離する方向とを含む移動方向に移動可能であり、電気絶縁性を有する樹脂製の移動部材と、
前記移動方向に対して垂直な支持方向に、前記移動部材を支持するハウジングと、
コイルと、
前記移動部材に接続され、前記コイルによって発生する磁力によって移動可能な可動鉄心と、
を備え、
前記移動部材は、
前記可動鉄心に接続される第1部材と、
前記第1部材と別体であり、スナップフィットにより前記第1部材に連結される第2部材と、
を含み、
前記第1部材は、前記移動方向において前記第2部材へ向かって突出する凸部を含み、
前記第2部材は、前記移動方向において前記凸部に向かい合い前記移動方向に延びる検査孔を含む、
電磁継電器。
【請求項2】
前記凸部は、前記検査孔を通って延びている、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記移動方向から見て、前記凸部は、前記可動鉄心と重なる、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記第2部材は、
前記第1部材に係止する第1係止部と、
前記第1係止部から前記支持方向に離れて配置され、前記第1部材に係止する第2係止部と、
をさらに含み、
前記凸部は、前記支持方向において、前記第1係止部と第2係止部との間に配置される、
請求項1から3のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記第1可動接触片は、前記移動方向において前記第1部材と前記第2部材との間に保持される、
請求項1から4のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記第1可動接点と前記第2可動接点とは、前記移動方向及び前記支持方向に垂直な横方向に、互いに離れて配置されており、
前記凸部は、前記横方向において前記第1可動接点と前記第2可動接点との間に配置される、
請求項1から5のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記第1固定端子に接続された第3固定接点と、
前記第2固定端子に接続された第4固定接点と、
第2可動接触片と、
前記第2可動接触片に接続され、前記第3固定接点と向かい合う第3可動接点と、
前記第2可動接触片に接続され、前記第4固定接点と向かい合う第4可動接点と、
をさらに備え、
前記移動部材は、前記第2可動接触片を保持し、
前記第2可動接触片は、前記第1可動接触片から前記支持方向に離れて配置され、
前記凸部は、前記支持方向において、前記第1可動接触片と前記第2可動接触片との間に配置される、
請求項1から6のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項8】
前記移動部材は、
前記第1可動接触片が配置される第1支持孔と、
前記第2可動接触片が配置される第2支持孔と、
をさらに含み、
前記第2部材は、前記第1支持孔と前記第2支持孔の間に配置される隔壁を含み、
前記検査孔は、前記隔壁に設けられている、
請求項7に記載の電磁継電器。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記移動方向において前記移動部材と向かい合う壁部を含み、
前記壁部は、切り欠きを含み、
前記凸部は、前記移動方向において前記切り欠きと向かい合う、
請求項1から8のいずれかに記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁継電器には、可動接触片がホルダによって保持されているものがある(特許文献1参照)。ホルダは、シャフトを介して、可動鉄心に接続されている。コイルから生じる磁界によって可動鉄心に電磁力が作用し、可動鉄心が電磁力によって移動する。可動接触片は、可動鉄心の移動に応じて、シャフト及びホルダと共に移動する。それにより、接点が開閉される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、上述したシャフトは金属製であり、シャフトと可動接触片との間の絶縁距離を大きく確保することは困難である。本開示の目的は、電磁継電器において、可動接触片からの絶縁距離を大きく確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る電磁継電器は、第1固定端子と、第1固定接点と、第2固定端子と、第2固定接点と、第1可動接触片と、第1可動接点と、第2可動接点と、移動部材と、ハウジングと、コイルと、可動鉄心とを備える。第1固定接点は、第1固定端子に接続される。第2固定接点は、第2固定端子に接続される。第1可動接点は、第1可動接触片に接続され、第1固定接点と向かい合う。第2可動接点は、第1可動接触片に接続され、第2固定接点と向かい合う。
【0006】
移動部材は、第1可動接触片を保持する。移動部材は、移動方向に移動可能である。移動方向は、第1可動接点と第2可動接点とが第1固定接点と第2固定接点とに接触する方向と、第1可動接点と第2可動接点とが第1固定接点と第2固定接点から開離する方向とを含む。移動部材は、電気絶縁性を有する樹脂製である。ハウジングは、移動方向に対して垂直な支持方向に、移動部材を支持する。可動鉄心は、移動部材に接続され、コイルによって発生する磁力によって移動可能である。
【0007】
移動部材は、第1部材と第2部材とを含む。第1部材は、可動鉄心に接続される。第2部材は、第1部材と別体である。第2部材は、スナップフィットにより第1部材に連結される。第1部材は、凸部を含む。凸部は、移動方向において第2部材へ向かって突出する。第2部材は、検査孔を含む。検査孔は、移動方向において凸部に向かい合い、移動方向に延びる。
【0008】
本態様に係る電磁継電器では、第1可動接触片は、移動部材を介して、可動鉄心に接続されている。移動部材は、電気絶縁性を有する樹脂製である。そのため、第1可動接触片と可動鉄心との間の絶縁距離が大きく確保される。また、移動部材の第1部材と第2部材とは、スナップフィットによって互いに連結される。そのため、移動部材の構造が簡易化される。さらに、第2部材の検査孔は、移動方向において、第1部材の凸部と向かい合う。そのため、バネ負荷特性の検査時に、検査用のプローブによって、第1部材の凸部を押すことができる。それにより、移動部材の撓みの影響を含めて、精度よくバネ負荷特性を測定することができる。
【0009】
凸部は、検査孔を通って延びていてもよい。この場合、検査用のプローブで凸部を押すことがさらに容易である。
【0010】
移動方向から見て、凸部は、可動鉄心と重なってもよい。この場合、さらに精度よく、バネ負荷特性を測定することができる。
【0011】
第2部材は、第1係止部と第2係止部とをさらに含んでもよい。第1係止部は、第1部材に係止してもよい。第2係止部は、第1係止部から支持方向に離れて配置されてもよい。第2係止部は、第1部材に係止してもよい。凸部は、支持方向において、第1係止部と第2係止部との間に配置されてもよい。この場合、第1係止部と第2係止部とのスナップフィットによる撓みの影響を含めて、精度よくバネ負荷特性を測定することができる。
【0012】
第1可動接触片は、移動方向において第1部材と第2部材との間に保持されてもよい。
この場合、第1部材と第2部材との撓みの影響を含めて、精度よくバネ負荷特性を測定することができる。
【0013】
第1可動接点と第2可動接点とは、移動方向及び支持方向に垂直な横方向に、互いに離れて配置されてもよい。凸部は、横方向において第1可動接点と第2可動接点との間に配置されてもよい。この場合、さらに精度よくバネ負荷特性を測定することができる。
【0014】
電磁継電器は、第3固定接点と、第4固定接点と、第2可動接触片と、第3可動接点と、第4可動接点とをさらに備えてもよい。第3固定接点は、第1固定端子に接続されてもよい。第4固定接点は、第2固定端子に接続されてもよい。第3可動接点は、第2可動接触片に接続されてもよい。第3可動接点は、第3固定接点と向かい合っていてもよい。第4可動接点は、第2可動接触片に接続されてもよい。第4可動接点は、第4固定接点と向かい合っていてもよい。移動部材は、第2可動接触片を保持していてもよい。第2可動接触片は、第1可動接触片から支持方向に離れて配置されてもよい。凸部は、支持方向において、第1可動接触片と第2可動接触片との間に配置されてもよい。この場合、さらに精度よくバネ負荷特性を測定することができる。
【0015】
移動部材は、第1支持孔と第2支持孔とをさらに含んでもよい。第1支持孔には、第1可動接触片が配置されてもよい。第2支持孔には、第2可動接触片が配置されてもよい。第2部材は、第1支持孔と第2支持孔の間に配置される隔壁を含んでもよい。検査孔は、隔壁に設けられていてもよい。この場合、さらに精度よくバネ負荷特性を測定することができる。
【0016】
ハウジングは、移動方向において移動部材と向かい合う壁部を含んでもよい。壁部は、切り欠きを含んでもよい。凸部は、移動方向において切り欠きと向かい合っていてもよい。この場合、壁部に妨げられずに、切り欠きを通して、凸部を検査用のプローブで押すことができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示に係る電磁継電器では、第1可動接触片と可動鉄心との間の絶縁距離が大きく確保される。また、移動部材の構造が簡易化される。さらに、バネ負荷特性の検査時に、検査用のプローブで第1部材の凸部を押すことができる。それにより、移動部材の撓みの影響を含めて、精度よくバネ負荷特性を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図5】移動部材が開位置のときの電磁継電器の上面図である。
【
図6】移動部材が閉位置のときの電磁継電器の上面図である。
【
図11】第1移動方向から見た電磁継電器の断面図である。
【
図14】第1移動方向から見た電磁継電器を示す図である。
【
図15】第1移動方向から見た移動部材の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して実施形態に係る電磁継電器1について説明する。
図1は、実施形態に係る電磁継電器1の斜視図である。
図2及び
図3は、電磁継電器1の分解斜視図である。
図4は、電磁継電器1の縦断面図である。
図5及び
図6は、電磁継電器1の上面図である。
【0020】
電磁継電器1は、接点ブロック2と、ハウジング3と、コイルブロック4と、第1固定端子13と、第2固定端子14とを備える。接点ブロック2とコイルブロック4とは、ハウジング3内に配置されている。ハウジング3は、ベース11と、ケース12とを含む。ベース11及びケース12は、例えば樹脂製である。なお、
図1では、ケース12は省略されている。ベース11は、第1固定端子13と、第2固定端子14と、接点ブロック2と、コイルブロック4とを支持する。
【0021】
本実施形態において、移動方向(Y1,Y2)と、支持方向(Z1,Z2)と、横方向(X1,X2)とは、以下のように定義される。移動方向(Y1,Y2)は、接点ブロック2とコイルブロック4とが互いに並ぶ方向である。移動方向(Y1,Y2)は、第1移動方向(Y1)と第2移動方向(Y2)とを含む。第1移動方向(Y1)は、接点ブロック2からコイルブロック4に向かう方向である。第2移動方向(Y2)は、第1移動方向(Y1)と反対の方向である。第2移動方向(Y2)は、コイルブロック4から接点ブロック2に向かう方向である。
【0022】
支持方向(Z1,Z2)は、移動方向(Y1,Y2)に垂直な方向である。支持方向(Z1,Z2)は、ベース11と接点ブロック2とが互いに並ぶ方向である。支持方向(Z1,Z2)は、第1支持方向(Z1)と第2支持方向(Z2)とを含む。第1支持方向(Z1)は、接点ブロック2からベース11に向かう方向である。第2支持方向(Z2)は、第1支持方向(Z1)と反対の方向である。第2支持方向(Z2)は、ベース11から接点ブロック2に向かう方向である。或いは、支持方向(Z1,Z2)は、ベース11とコイルブロック4とが互いに並ぶ方向であってもよい。
【0023】
横方向(X1,X2)は、移動方向(Y1,Y2)と支持方向(Z1,Z2)とに垂直な方向である。横方向(X1,X2)は、第1横方向(X1)と第2横方向(X2)とを含む。第2横方向(X2)は、第1横方向(X1)と反対の方向である。
【0024】
第1固定端子13と第2固定端子14とは、例えば銅などの導電性を有する材料で形成されている。第1固定端子13と第2固定端子14とは、それぞれ支持方向(Z1,Z2)に延びている。第1固定端子13と第2固定端子14とは、横方向(X1,X2)に互いに離れて配置されている。第1固定端子13は、ベース11に固定される。第1固定端子13の先端は、ベース11から外方へ突出している。第2固定端子14は、ベース11に固定される。第2固定端子14の先端は、ベース11から外方へ突出している。
【0025】
第1固定端子13には、第1固定接点21と第3固定接点23とが接続されている。第1固定接点21と第3固定接点23とは、第1固定端子13において支持方向(Z1,Z2)に互いに離れて配置されている。第2固定端子14には、第2固定接点22と第4固定接点24とが接続されている。第2固定接点22と第4固定接点24とは、第2固定端子14において支持方向(Z1,Z2)に互いに離れて配置されている。第1~第4固定接点21-24は、例えば銀、或いは銅などの導電性を有する材料で形成されている。
【0026】
接点ブロック2は、第1可動接触片15と、第2可動接触片16と、移動部材17とを含む。第1可動接触片15と第2可動接触片16とは、横方向(X1,X2)に延びている。第1可動接触片15と第2可動接触片16とは、互いに別体である。第1可動接触片15と第2可動接触片16とは、支持方向(Z1,Z2)に互いに離れて配置されている。第1可動接触片15は、支持方向(Z1,Z2)において、第2可動接触片16とベース11との間に配置されている。第1可動接触片15と第2可動接触片16とは、例えば銅などの導電性を有する材料で形成されている。
【0027】
第1可動接触片15には、第1可動接点31と第2可動接点32とが接続されている。第1可動接点31と第2可動接点32とは、横方向(X1,X2)に互いに離れて配置されている。第1可動接点31は、第1固定接点21と向かい合って配置されている。第2可動接点32は、第2固定接点22と向かい合って配置されている。
【0028】
第2可動接触片16には、第3可動接点33と第4可動接点34とが接続されている。第3可動接点33と第4可動接点34とは、横方向(X1,X2)に互いに離れて配置されている。第3可動接点33は、第3固定接点23と向かい合って配置されている。第4可動接点34は、第4固定接点24と向かい合って配置されている。第1~第4可動接点31-34は、例えば銀、或いは銅などの導電性を有する材料で形成されている。
【0029】
移動部材17は、第1可動接触片15と第2可動接触片16とを保持している。移動部材17は、電気絶縁性を有する樹脂製である。移動部材17は、例えばナイロン製である。ただし、移動部材17は、ナイロン以外の材料製であってもよい。移動部材17は、支持方向(Z1,Z2)に、ハウジング3に支持されている。移動部材17は、ハウジング3に対して移動方向(Y1,Y2)に摺動可能である。移動部材17は、閉位置と開位置とに移動可能である。
図5では、移動部材17は、開位置に位置している。移動部材17が開位置で、可動接点31-34が、それぞれ固定接点21-24から開離する。
図6では、移動部材17は、閉位置に位置している。移動部材17が閉位置で、可動接点31-34が、それぞれ固定接点21-24に接触する。
【0030】
コイルブロック4は、電磁力によって第1可動接触片15と第2可動接触片16とを移動させる。コイルブロック4は、第1移動方向(Y1)及び第2移動方向(Y2)に第1可動接触片15と第2可動接触片16とを移動させる。第1移動方向(Y1)は、移動方向(Y1,Y2)において、可動接点31-34が固定接点21-24に接触する方向である。第2移動方向(Y2)は、移動方向(Y1,Y2)において、可動接点31-34が固定接点21-24から離れる方向である。コイルブロック4は、コイル61と、スプール62と、可動鉄心63と、固定鉄心64と、ヨーク65とを含む。
【0031】
コイル61は、スプール62に巻回されている。コイル61の軸線は、移動方向(Y1,Y2)に延びている。コイル61は、コイル端子66,67に接続されている。
図2及び
図3に示すように、コイル端子66,67は、コイルブロック4から第1支持方向(Z1)に突出している。コイル端子66,67は、ベース11から外方へ突出している。
【0032】
図4に示すように、スプール62は、移動方向(Y1,Y2)に延びる孔621を含む。可動鉄心63の少なくとも一部は、スプール62の孔621内に配置されている。可動鉄心63は、第1移動方向(Y1)及び第2移動方向(Y2)に移動可能に設けられている。固定鉄心64は、スプール62の孔621内に配置されている。固定鉄心64は、移動方向(Y1,Y2)において、可動鉄心63と向かい合って配置されている。コイル61は、通電されることで可動鉄心63を第1移動方向(Y1)に移動させる電磁力を発生させる。
【0033】
可動鉄心63は、移動部材17に接続されている。第1可動接触片15と可動鉄心63とは、移動部材17によって電気的に絶縁されている。第2可動接触片16と可動鉄心63とは、移動部材17によって電気的に絶縁されている。可動鉄心63は、移動部材17と移動方向(Y1,Y2)に一体的に移動する。可動鉄心63は、コイル61から発生する磁力に応じて第1移動方向(Y1)に移動する。この可動鉄心63の移動に伴い、移動部材17が閉位置に移動する。移動部材17の移動に伴い、第1可動接触片15と第2可動接触片16とが第1移動方向(Y1)又は第2移動方向(Y2)に移動する。
【0034】
ヨーク65は、コイル61を囲むように配置されている。ヨーク65は、コイル61によって構成される磁気回路上に配置されている。ヨーク65は、第1ヨーク73と、第2ヨーク74と、第3ヨーク75と、第4ヨーク76とを含む。第1ヨーク73と第2ヨーク74とは、横方向(X1,X2)及び支持方向(Z1,Z2)に延びている。第1ヨーク73と第2ヨーク74とは、移動方向(Y1,Y2)において、コイル61と向かい合っている。コイル61は、移動方向(Y1,Y2)において、第1ヨーク73と第2ヨーク74との間に位置する。第1ヨーク73は、移動方向(Y1,Y2)において、移動部材17と向かい合っている。第2ヨーク74は、固定鉄心64に接続されている。
【0035】
第3ヨーク75と第4ヨーク76とは、移動方向(Y1,Y2)及び支持方向(Z1,Z2)に延びている。第3ヨーク75と第4ヨーク76とは、横方向(X1,X2)において、コイル61と向かい合っている。コイル61は、横方向(X1,X2)において、第3ヨーク75と第4ヨーク76との間に位置する。
【0036】
図7は、移動部材17及びその周辺の斜視図である。移動部材17は、支持部25と、接続部26と、連結部27とを含む。支持部25は、第1可動接触片15と第2可動接触片16とを支持している。接続部26は、可動鉄心63に接続される。連結部27は、支持部25と接続部26との間に位置する。連結部27は、支持部25と接続部26とを接続している。連結部27は、支持方向(Z1,Z2)において支持部25の中央部に接続される。連結部27は、支持方向(Z1,Z2)において、第1可動接触片15と第2可動接触片16との間の位置において、支持部25に接続される。連結部27は、移動方向(Y1,Y2)に延びている。
【0037】
支持部25は、支持方向(Z1,Z2)に延びている。支持部25は、第1可動接触片15からベース11に向かって、第1支持方向(Z1)に延びている。
図4に示すように、支持部25は、第2可動接触片16からケース12の天面123に向かって、第2支持方向(Z2)に延びている。支持部25は、第1支持孔28と、第2支持孔29と、隔壁30とを含む。第1可動接触片15は、第1支持孔28内に配置されている。第1可動接触片15は、第1可動接点31と第2可動接点32との間において、支持部25に支持されている。第1可動接触片15は、支持部25から、第1横方向(X1)と第2横方向(X2)とに延びている。
【0038】
第2可動接触片16は、第2支持孔29内に配置されている。第2可動接触片16は、第3可動接点33と第4可動接点34との間において、支持部25に支持されている。第2可動接触片16は、支持部25から、第1横方向(X1)と第2横方向(X2)とに延びている。隔壁30は、第1支持孔28と第2支持孔29とを区画する。隔壁30は、第1可動接触片15と第2可動接触片16との間に配置される。
【0039】
図2及び
図4に示すように、ベース11は、底面55と、第1壁部56と、第2壁部57と、第3壁部58と、第4壁部59とを含む。底面55は、支持方向(Z1,Z2)において、接点ブロック2とコイルブロック4とを支持している。底面55は、接点ブロック2とコイルブロック4とに対して第1支持方向(Z1)に位置している。第1壁部56と、第2壁部57と、第3壁部58と、第4壁部59とは、底面55から第2支持方向(Z2)に延びている。
【0040】
第1壁部56と第2壁部57とは、移動方向(Y1,Y2)に互いに離れて配置されている。第1壁部56と第2壁部57とは、移動方向(Y1,Y2)に移動部材17の支持部25と向かい合っている。支持部25は、移動方向(Y1,Y2)において、第1壁部56と第2壁部57との間に位置する。第1壁部56と第2壁部57とは、横方向(X1,X2)に延びている。第3壁部58と第4壁部59とは、横方向(X1,X2)に支持部25と向かい合っている。支持部25は、横方向(X1,X2)において、第1壁部56と第2壁部57との間に位置する。第3壁部58と第4壁部59とは、移動方向(Y1,Y2)に延びている。
【0041】
移動部材17は、第1部材17aと第2部材17bとを含む。第1部材17aと第2部材17bとは、互いに別体である。第2部材17bは、スナップフィットにより第1部材17aに連結される。第1支持孔28と第2支持孔29とは、第1部材17aと第2部材17bとの間に設けられる。第1可動接触片15と第2可動接触片16とは、移動方向(Y1,Y2)において第1部材17aと第2部材17bとの間に保持される。第1部材17aは、連結部27に接続されている。第1部材17aは、連結部27及び接続部26と一体的に形成されている。
【0042】
図8及び
図9は、移動部材17の分解斜視図である。
図8及び
図9に示すように、第1部材17aは、第1本体部40と、第1突起41と、第2突起42とを含む。第1本体部40は、第1可動接触片15を保持する。第1本体部40は、第1板部47と、一対の第1端部48a,48bと、第2板部49と、一対の第2端部50a,50bとを含む。第1板部47は、移動方向(Y1,Y2)に延びている。一対の第1端部48a,48bは、第1支持方向(Z1)における第1部材17aの端部である。一対の第1端部48a,48bは、横方向(X1,X2)に互いに離れて配置されている。一対の第1端部48a,48bは、第1板部47から、第1支持方向(Z1)に突出している。第1突起41は、第1板部47から第1支持方向(Z1)に突出している。
【0043】
第2板部49は、移動方向(Y1,Y2)に延びている。一対の第2端部50a,50bは、第2支持方向(Z2)における第1部材17aの端部である。一対の第2端部50a,50bは、横方向(X1,X2)に互いに離れて配置されている。一対の第2端部50a,50bは、第2板部49から、第2支持方向(Z2)に突出している。第2突起42は、第2板部49から第2支持方向(Z2)に突出している。
【0044】
図10は、移動部材17の縦断面図である。
図10に示すように、第1突起41は、第1係止面410と第1テーパ面411とを含む。第1係止面410は、第1本体部40から第1支持方向(Z1)に延びている。第1テーパ面411は、第1支持方向(Z1)に対して傾斜している。第2突起42は、第2係止面420と第2テーパ面421とを含む。第2係止面420は、第1本体部40から第2支持方向(Z2)に延びている。第2テーパ面421は、第2支持方向(Z2)に対して傾斜している。
【0045】
第1部材17aは、第1摺動部68a,68bと、一対の第2摺動部69a,69bとを含む。第1摺動部68a,68bは、第1端部48a,48bから第1支持方向(Z1)に突出しており、ベース11に対して摺動可能である。第1摺動部68a,68bは、それぞれ移動方向(Y1,Y2)に延びている。第1摺動部68a,68bは、横方向(X1,X2)に互いに離れて配置されている。一対の第2摺動部69a,69bは、第2端部50a,50bから第2支持方向(Z2)に突出しており、ケース12に対して摺動可能である。一対の第2摺動部69a,69bは、それぞれ移動方向(Y1,Y2)に延びている。一対の第2摺動部69a,69bは、横方向(X1,X2)に互いに離れて配置されている。
【0046】
図11は、第1移動方向(Y1)から見た電磁継電器1の断面図である。
図11に示すように、ハウジング3は、第1受け面110と第2受け面120とを含む。第1受け面110は、ベース11に設けられている。第1受け面110は、第3壁部58と第4壁部59との間に位置している。第1受け面110は、第1摺動部68a,68bと向かい合っている。第1受け面110は、第1摺動部68a,68bと向かい合う部分が、湾曲して凹んだ形状を有している。第1摺動部68a,68bは、第1受け面110上を摺動可能である。
【0047】
第2受け面120は、ケース12に設けられている。ケース12は、第1ガイド壁121と第2ガイド壁122とを含む。第1ガイド壁121と第2ガイド壁122とは、ケース12の天面123から第1支持方向(Z1)に延びている。第1ガイド壁121と第2ガイド壁122とは、移動方向(Y1,Y2)に延びている。第2受け面120は、第1ガイド壁121と第2ガイド壁122との間に位置している。第2受け面120は、第2摺動部69a,69bと向かい合っている。第2受け面120は、第2摺動部69a,69bと向かい合う部分が、湾曲して凹んだ形状を有している。第2摺動部69a,69bは、第2受け面120上を摺動可能である。
【0048】
図8及び
図9に示すように、第2部材17bは、第2本体部80と、第1係止部81と、一対の第1アーム部82a,82bと、第2係止部83と、一対の第2アーム部84a,84bとを含む。第2本体部80は、第1可動接触片15を保持する。第2本体部80は、上述した隔壁30を含む。第2本体部80は、第1本体部40と共に、第1支持孔28と第2支持孔29とを形成する。第2本体部80は、第1面85と第2面86とを含む。第1面85は、第1支持方向(Z1)における第2本体部80の端面である。第2面86は、第2支持方向(Z2)における第2本体部80の端面である。
【0049】
第1係止部81は、横方向(X1,X2)に延びている。第1係止部81は、一対の第1アーム部82a,82bに接続される。一対の第1アーム部82a,82bは、第2本体部80と第1係止部81とを接続する。一対の第1アーム部82a,82bは、横方向(X1,X2)に互いに離れて配置されている。第1アーム部82a,82bは、第2本体部80から第1支持方向(Z1)に突出している。詳細には、第1アーム部82a,82bは、第1面85から第1支持方向(Z1)に突出している。第1アーム部82a,82bは、第1移動方向(Y1)に向かって屈曲した形状を有する。第1アーム部82a,82bは、第1係止部81の横方向(X1,X2)における端部に、それぞれ接続される。第1係止部81と第1アーム部82a,82bとの間には、第1段部87a,87bが設けられている。第1アーム部82a,82bは、第1角部88a,88bを含む。第1角部88a,88bにはアールが設けられている。
図9に示すように、第1面85は、第1アーム部82a,82bの間に位置する面85aと、第1アーム部82aの第1横方向(X1)に位置する面85bと、第1アーム部82bの第2横方向(X2)に位置する面85cとを含む。面85aは、支持方向(Z1,Z2)において、面85b,85cと同じ高さに位置している。それにより、第1アーム部82a,82bの可撓性が向上する。
【0050】
第2係止部83は、横方向(X1,X2)に延びている。第2係止部83は、一対の第2アーム部84a,84bに接続される。一対の第2アーム部84a,84bは、第2本体部80と第2係止部83とを接続する。一対の第2アーム部84a,84bは、横方向(X1,X2)に互いに離れて配置されている。第2アーム部84a,84bは、第2本体部80から第2支持方向(Z2)に突出している。詳細には、第2アーム部84a,84bは、第2面86から第2支持方向(Z2)に突出している。第2アーム部84a,84bは、第1移動方向(Y1)に向かって屈曲した形状を有する。第2アーム部84a,84bは、第2係止部83の横方向(X1,X2)における端部に、それぞれ接続される。第2係止部83と第2アーム部84a,84bとの間には、第2段部89a,89bが設けられている。第2アーム部84a,84bは、第2角部90a,90bを含む。第2角部90a,90bにはアールが設けられている。
図8に示すように、第2面86は、第2アーム部84a,84bの間に位置する面86aと、第2アーム部84aの第1横方向(X1)に位置する面86bと、第2アーム部84bの第2横方向(X2)に位置する面86cとを含む。面86aは、支持方向(Z1,Z2)において、面86b,86cと同じ高さに位置している。それにより、第2アーム部84a,84bの可撓性が向上する。
【0051】
図10に示すように、支持方向(Z1,Z2)における第1アーム部82a,82bの厚さA1は、支持方向(Z1,Z2)における第1係止部81の厚さA2よりも小さい。第1角部88a,88bのアールの径R1は、支持方向(Z1,Z2)における第1アーム部82a,82bの厚さA1よりも大きい。支持方向(Z1,Z2)における第2アーム部84a,84bの厚さA3は、支持方向(Z1,Z2)における第2係止部83の厚さA4よりも小さい。第2角部90a,90bのアールの径R2は、支持方向(Z1,Z2)における第2アーム部84a,84bの厚さA3よりも大きい。
【0052】
第1係止部81は、移動方向において第1突起41に係止する。詳細には、第1係止部81は、移動方向(Y1,Y2)において第1突起41の第1係止面410に係止する。第2係止部83は、移動方向(Y1,Y2)において第2突起42に係止する。詳細には、第2係止部83は、移動方向(Y1,Y2)において第2突起42の第2係止面420に係止する。すなわち、スナップフィットの係止方向は、移動部材17の移動方向(Y1,Y2)と一致している。
【0053】
図4に示すように、接点ブロック2は、第1接点バネ51と第2接点バネ52とを含む。第1接点バネ51は、第1可動接触片15と支持部25との間に配置されている。第1接点バネ51は、第1支持孔28内に配置されている。第1可動接点31が第1固定接点21に接触し、且つ、第2可動接点32が第2固定接点22に接触している状態で、第1接点バネ51は、第1可動接触片15を第1固定端子13及び第2固定端子14に向けて押圧する。第1接点バネ51は、コイルバネであり、移動部材17が開位置のとき、自然長の状態にある。第1可動接触片15は、第1接点バネ51を介して、移動部材17に接続されている。
【0054】
第2接点バネ52は、第2可動接触片16と支持部25との間に配置されている。第2接点バネ52は、第2支持孔29内に配置されている。第3可動接点33が第3固定接点23に接触し、且つ、第4可動接点34が第4固定接点24に接触している状態で、第2接点バネ52は、第2可動接触片16を第1固定端子13及び第2固定端子14に向けて押圧する。第2接点バネ52は、コイル61バネであり、移動部材17が開位置のとき、自然長の状態にある。第2可動接触片16は、第2接点バネ52を介して、移動部材17に接続されている。
【0055】
接続部26は、横方向(X1,X2)に延びている。
図7に示すように、接続部26は、コア接続部37と、第1取付部38と、第2取付部39とを含む。コア接続部37は、第1取付部38と第2取付部39との間に位置する。コア接続部37は、連結部27に接続されている。
図4及び
図7に示すように、コア接続部37は、孔43と係止溝44とを含む。孔43は、支持方向(Z1,Z2)に延びている。孔43は、第1支持方向(Z1)に向かって開かれている。係止溝44は、孔43に連通しており、第2支持方向(Z2)に向かって延びている。係止溝44の幅は、孔43の幅よりも狭い。
【0056】
可動鉄心63は、軸部77とヘッド部78とを含む。軸部77とヘッド部78とは、コイルブロック4から第2移動方向(Y2)へ突出している。ヘッド部78の幅は、軸部77の幅よりも大きい。ヘッド部78の幅は、係止溝44の幅よりも大きい。軸部77は、係止溝44内に配置される。ヘッド部78は、孔43内に配置される。
【0057】
図12は、第1部材17aの部分断面図である。
図13は、
図4における第1部材17a及び可動鉄心のXIII-XIII断面図である。
図12及び
図13に示すように、孔43の内面には、係止突起91が設けられている。係止突起91は、孔43の内面から第1移動方向(Y1)に突出している。係止突起91は、支持方向(Z1,Z2)に延びた形状を有する。
図4に示すように、支持方向(Z1,Z2)において、係止突起91は、係止溝44よりも長い。支持方向(Z1,Z2)において、係止突起91は、可動鉄心63のヘッド部78よりも長い。係止突起91は、支持方向(Z1,Z2)に垂直な断面において、曲面状の形状を有する。係止突起91は、係止溝44内において可動鉄心63のヘッド部78を押圧する。それにより、可動鉄心63のヘッド部78が、接続部26に圧入により固定される。
【0058】
図7に示すように、第1取付部38は、コア接続部37から第1横方向(X1)に延びている。第1取付部38は、第1突起45を含む。第1突起45は、第1取付部38からコイルブロック4に向かって突出している。第2取付部39は、コア接続部37から第2横方向(X2)に延びている。第2取付部39は、第2突起46を含む。第2突起46は、第2取付部39からコイルブロック4に向かって突出している。
【0059】
電磁継電器1は、第1復帰バネ53と第2復帰バネ54とを含む。第1復帰バネ53と第2復帰バネ54とは、移動部材17とコイルブロック4との間に配置されている。第1復帰バネ53は、コア接続部37に対して、第1横方向(X1)に位置する。第2復帰バネ54は、コア接続部37に対して、第2横方向(X2)に位置する。言い換えれば、コア接続部37は、横方向(X1,X2)において第1復帰バネ53と第2復帰バネ54との間に位置する。第1復帰バネ53と第2復帰バネ54とは、移動部材17を第2移動方向(Y2)に付勢する。第1突起45には、第1復帰バネ53が取り付けられる。第2突起46には、第2復帰バネ54が取り付けられる。
【0060】
図8及び
図9に示すように、第1部材17aは、凸部92を含む。凸部92は、移動方向(Y1,Y2)へ延びている。凸部92は、筒状の形状を有する。凸部92は、移動方向(Y1,Y2)において、第2部材17bへ向かって突出している。凸部92は、第1本体部40から第2移動方向(Y2)へ突出している。凸部92は、第1部材17aにおいて、支持方向(Z1,Z2)における中央に位置している。
【0061】
凸部92は、支持方向(Z1,Z2)において、第1係止部81と第2係止部83との間に配置される。凸部92は、支持方向(Z1,Z2)において、第1可動接触片15と第2可動接触片16との間に配置される。凸部92は、横方向(X1,X2)において第1可動接点31と第2可動接点32との間に配置される。凸部92は、横方向(X1,X2)において、第1復帰バネ53と第2復帰バネ54との間に配置される。第1部材17aは、突起93を含む。突起93は、凸部92に接続されている。突起93は、移動方向(Y1,Y2)へ延びている。突起93は、凸部92から横方向(X1,X2)に突出している。突起93は、移動方向(Y1,Y2)において、凸部92よりも短い。突起93により、第1部材17aと第2部材17bとの組立方向の間違いが防止される。
【0062】
図14は、第1移動方向(Y1)から見た電磁継電器1を示す図である。なお、
図14では、ケース12が省略されている。
図14に示すように、移動方向(Y1,Y2)から見て、凸部92は、可動鉄心63と重なる。第1壁部56は、切り欠き560を含む。凸部92は、移動方向(Y1,Y2)において切り欠き560と向かい合っている。移動方向(Y1,Y2)から見て、凸部92の少なくとも一部は、切り欠き560内に配置される。凸部92の全体が、切り欠き560内に配置されてもよい。
【0063】
図8及び
図9に示すように、第2部材17bは、検査孔94を含む。検査孔94は、移動方向(Y1,Y2)に延びており、第2部材17bを貫通している。検査孔94は、隔壁30に設けられている、検査孔94は、移動方向(Y1,Y2)において凸部92に向かい合っている。凸部92は、検査孔94内に配置されている。凸部92は、検査孔94を通って延びている。凸部92は、検査孔94から第2移動方向(Y2)へ突出している。
【0064】
図15は、第1移動方向(Y1)から見た移動部材17の拡大図である。
図15に示すように、検査孔94は、丸穴95と凹溝96とを含む。丸穴95は、略円形の形状を有する。凸部92は、丸穴95内に配置される。凹溝96は、丸穴95の内面から凹んだ形状を有する。凹溝96は、丸穴95の内面から横方向(X1,X2)に凹んでいる。凹溝96内には、突起93が配置される。
【0065】
次に、電磁継電器1の動作について説明する。コイル61に通電されていないときには、コイルブロック4は励磁されていない。この場合、移動部材17は、可動鉄心63と共に、復帰バネ53,54の弾性力によって第2移動方向(Y2)に押圧されており、移動部材17が
図5に示す開位置に位置している。この状態では、移動部材17を介して、第1可動接触片15及び第2可動接触片16も第2移動方向(Y2)に押圧されている。従って、移動部材17が開位置で、第1可動接点31及び第2可動接点32は、第1固定接点21及び第2固定接点22から開離している。同様に、移動部材17が開位置で、第3可動接点33及び第4可動接点34は、第3固定接点23及び第4固定接点24から開離している。
【0066】
コイル61に通電されると、コイルブロック4が励磁される。この場合、コイル61の電磁力により、可動鉄心63が、復帰バネ53,54の弾性力に抗して、第1移動方向(Y1)に移動する。それにより、移動部材17と第1可動接触片15と第2可動接触片16とが共に第1移動方向(Y1)に移動する。従って、
図6に示すように、移動部材17は、閉位置へ移動する。その結果、移動部材17が閉位置で、第1可動接点31及び第2可動接点32は、第1固定接点21及び第2固定接点22にそれぞれ接触する。同様に、移動部材17が閉位置で、第3可動接点33及び第4可動接点34は、第3固定接点23及び第4固定接点24にそれぞれ接触する。それにより、第1可動接触片15及び第2可動接触片16とは、第1固定端子13と第2固定端子14に対して、電気的に接続される。
【0067】
コイル61への電流が停止され消磁されると、可動鉄心63は、復帰バネ53,54の弾性力によって第2移動方向(Y2)に押圧される。それにより、移動部材17と第1可動接触片15と第2可動接触片16とが共に第2移動方向(Y2)に移動する。従って、
図5に示すように、移動部材17は、開位置へ移動する。その結果、移動部材17が開位置で、第1可動接点31及び第2可動接点32は、第1固定接点21及び第2固定接点22から開離する。同様に、移動部材17が開位置で、第3可動接点33及び第4可動接点34は、第3固定接点23及び第4固定接点24から開離する。
【0068】
以上説明した本実施形態に係る電磁継電器1では、第1可動接触片15は、移動部材17を介して、可動鉄心63に接続されている。移動部材17は、電気絶縁性を有する樹脂製であり、直接的に可動鉄心63に接続されている。そのため、第1可動接触片15と可動鉄心63との間の絶縁距離が大きく確保される。また、移動部材17は、第1部材17aと第2部材17bとを含み、第1部材17aと第2部材17bとはスナップフィットによって互いに連結される。そのため、移動部材17の構造が簡易化される。
【0069】
詳細には、第1部材17aと第2部材17bとの組み立て時には、第1部材17aの第1板部47が、第1係止部81と第1面85との間の隙間に挿入される。そして、第1アーム部82a,82bが弾性変形して、第1係止部81が第1突起41を乗り越えることで、第1係止部81が第1突起41に係止する。また、第2部材17bの第2板部49が、第2係止部83と第2面86との間の隙間に挿入される。そして、第2アーム部84a,84bが弾性変形して、第2係止部83が第2突起42を乗り越えることで、第2係止部83が第2突起42に係止する。
【0070】
本態様に係る電磁継電器1では、第2部材17bの検査孔94は、移動方向(Y1,Y2)において、第1部材の凸部92と向かい合う。そのため、バネ負荷特性の検査時に、検査用のプローブで第1部材17aの凸部92を押すことができる。それにより、移動部材17の撓みの影響を含めて、精度よくバネ負荷特性を測定することができる。
【0071】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0072】
上記の実施形態では、コイルブロック4が、移動部材17を第2移動方向(Y2)に押し出すことで、可動接点31-34が固定接点21-24から開離する。また、コイルブロック4が移動部材17を第1移動方向(Y1)に引き込むことで、可動接点31-34が固定接点21-24に接触する。しかし、接点を開閉するための移動部材17の動作方向は、上記の実施形態と逆であってもよい。すなわち、コイルブロック4が移動部材17を第2移動方向(Y2)に押し出すことで、可動接点31-34が固定接点21-24に接触してもよい。コイルブロック4が移動部材17を第1移動方向(Y1)に引き込むことで、可動接点31-34が固定接点21-24から開離してもよい。
【0073】
第1固定端子13、第2固定端子14、第1可動接触片15、及び第2可動接触片16の形状、或いは配置が変更されてもよい。例えば、第1固定端子13と第2固定端子14とは、上記の実施形態と異なる方向にベース11から突出してもよい。第1可動接触片15と第2可動接触片16とは、一体であってもよい。すなわち、一体の可動接触片に、第1~第4可動接点31-34が接続されてもよい。或いは、第2可動接触片16と第3、第4可動接点33,34と、第3、第4固定接点23,24とは、省略されてもよい。
【0074】
コイル61、スプール62、可動鉄心63、固定鉄心64、或いはヨーク65の形状、或いは配置が変更されてもよい。第1~第4固定接点21-24の形状、或いは配置が変更されてもよい。第1~第4可動接点31-34の形状、或いは配置が変更されてもよい。ベース11の形状は、変更されてもよい。
【0075】
第1固定接点21、及び/又は、第3固定接点23は、第1固定端子13と一体であってもよい。第1固定接点21、及び/又は、第3固定接点23は、第1固定端子13の一部であって、第1固定端子13の他の部分と面一であってもよい。第2固定接点22、及び/又は、第4固定接点24は、第2固定端子14と一体であってもよい。第2固定接点22、及び/又は、第4固定接点24は、第2固定端子14の一部であって、第2固定端子14の他の部分と面一であってもよい。
【0076】
第1可動接点31、及び/又は、第2可動接点32は、第1可動接触片15と一体であってもよい。第1可動接点31、及び/又は、第2可動接点32は、第1可動接触片15の一部であって、第1可動接触片15の他の部分と面一であってもよい。第3可動接点33、及び/又は、第4可動接点34は、第2可動接触片16と一体であってもよい。第3可動接点33、及び/又は、第4可動接点34は、第2可動接触片16の一部であって、第2可動接触片16の他の部分と面一であってもよい。
【0077】
移動部材17の形状は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。第1部材17aの形状が変更されてもよい。例えば、第1部材17aは、連結部27及び接続部26と別体であってもよい。凸部92の形状は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。突起93は、省略されてもよい。第2部材17bの形状が変更されてもよい。例えば、検査孔94の形状は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。連結部27の形状が変更されてもよい。接続部26の形状が変更されてもよい。スナップフィットの構造は、上記の実施形態の突起41,42と第1、第2係止部81,83に限らず、変更されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本開示に係る電磁継電器では、第1可動接触片と可動鉄心との間の絶縁距離が大きく確保される。また、移動部材の構造が簡易化される。さらに、バネ負荷特性の検査時に、検査用のプローブで第1部材の凸部92を押すことができる。それにより、移動部材の撓みの影響を含めて、精度よくバネ負荷特性を測定することができる。
【符号の説明】
【0079】
3:ハウジング, 13:第1固定端子, 14:第2固定端子, 15:第1可動接触片, 16:第2可動接触片, 17:移動部材, 17a:第1部材, 17b:第2部材, 21:第1固定接点, 22:第2固定接点, 23:第3固定接点, 24:第4固定接点, 26:接続部, 27:連結部, 28:第1支持孔, 29:第2支持孔, 30:隔壁, 31:第1可動接点, 32:第2可動接点, 33:第3可動接点, 34:第4可動接点, 56:第1壁部, 61:コイル, 63:可動鉄心, 81:第1係止部, 83:第2係止部, 94:検査孔, 92:凸部, 560:切り欠き