(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】蒸発ガス処理システム
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
F17C13/00 302A
(21)【出願番号】P 2020192209
(22)【出願日】2020-11-19
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】浦部 治貴
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 佳樹
(72)【発明者】
【氏名】土居 真
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-036709(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111853536(CN,A)
【文献】特開2006-242350(JP,A)
【文献】特開平08-285194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00-13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温液体が貯留された貯槽から発生する蒸発ガスを処理する蒸発ガス処理システムであって、
前記貯槽から発生する蒸発ガスを抜き出す抜き出しラインと、
前記蒸発ガスを吸着する吸着材が収容された吸着容器と、
前記貯槽から低温液体を送出する送出ポンプと、
該送出ポンプによって送出された低温液体及び該低温液体が気化したガスが流れる低温液体・ガス送出ラインと、
該低温液体・ガス送出ラインに設けられて前記低温液体を気化する気化器と、
前記低温液体・ガス送出ラインにおける前記気化器の上流側に設けられて前記低温液体の冷熱を利用して熱交換する熱交換器と、
前記抜き出しラインから抜き出された蒸発ガスを導入して、前記吸着容器と前記熱交換器との間で循環させる循環ラインと、を備え、
前記抜き出しラインから抜き出された蒸発ガスは、前記循環ラインにおける前記熱交換器に送出される側に導入され、前記熱交換器で冷却されて前記吸着容器に導入されることを特徴とする蒸発ガス処理システム。
【請求項2】
低温液体が貯留された貯槽から発生する蒸発ガスを処理する蒸発ガス処理システムであって、
前記貯槽から発生する蒸発ガスを抜き出す抜き出しラインと、
前記蒸発ガスを吸着する吸着材が収容された吸着容器と、
前記貯槽から低温液体を送出する送出ポンプと、
該送出ポンプによって送出された低温液体及び該低温液体が気化したガスが流れる低温液体・ガス送出ラインと、
該低温液体・ガス送出ラインに設けられて前記低温液体を気化する気化器と、
前記低温液体・ガス送出ラインにおける前記気化器の上流側に設けられて前記低温液体の冷熱を利用して熱交換する熱交換器と、
前記抜き出しラインから抜き出された蒸発ガスを導入して、前記吸着容器と前記熱交換器との間で循環させる循環ラインと、
前記低温液体・ガス送出ラインにおける前記気化器の上流側に設けられた気液混合器と、
前記吸着材から脱着した脱着ガスを前記気液混合器に供給する第1脱着ガス供給ラインと、を備えたことを特徴とする蒸発ガス処理システム。
【請求項3】
前記吸着材に吸着された蒸発ガスを脱着するための熱源として、前記低温液体・ガス送出ラインにおける前記気化器の下流側のガスを前記吸着容器に供給するガス供給ラインを設けたことを特徴とする請求項1
又は2記載の蒸発ガス処理システム。
【請求項4】
前記吸着材から脱着した脱着ガスを前記低温液体・ガス送出ラインにおける前記気化器の下流側に供給する第2脱着ガス供給ラインを設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蒸発ガス処理システム。
【請求項5】
前記第2脱着ガス供給ラインによって前記低温液体・ガス送出ラインに脱着ガスを戻す位置よりも上流側に低温液体・ガス送出ラインを流れるガスの圧力を調整する圧調弁を設けたことを特徴とする請求項4記載の蒸発ガス処理システム。
【請求項6】
前記第2脱着ガス供給ラインに、脱着ガスの圧力を昇圧するための昇圧装置を設けたことを特徴とする請求項4記載の蒸発ガス処理システム。
【請求項7】
前記吸着容器は、第1吸着容器と第2吸着容器の2個からなり、前記循環ラインを前記第1吸着容器と前記第2吸着容器に選択的に接続して、第1吸着容器と第2吸着容器によって前記蒸発ガスの吸着と脱着を交互に行えるようにしたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の蒸発ガス処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガスをはじめとする低温液体が貯留された貯槽内で発生する蒸発ガスを処理するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
都市ガス製造の原料である天然ガス(NG)は、日本国内においては液化天然ガス(LNG)として輸入、貯蔵される。LNGを始めとする低温液体の貯蔵には断熱材等で断熱されたタンクが用いられるが、タンクへの入熱により低温液体の一部が蒸発し、タンク内に蒸発ガス(BOG)が発生する。この蒸発ガスによってタンクの内圧が上昇すると、タンクの破損、及び、それに伴うガス漏れや爆発事故の危険性がある。これを防ぐため、蒸発ガスを何らかの方法によりタンク内から除去する必要がある。
【0003】
蒸発ガスをタンク内から除去する方法として、もっとも簡単な方法はタンク外への放出であるが、天然ガスのように蒸発ガスが可燃性や有毒性を有する場合、大気中に放出することは好ましくない。そのため、蒸発ガスをガスコンプレッサーにより昇圧してガス送出パイプラインへ導入する、あるいは、都市ガス製造工場内を流れるLNG中に導入して再液化させるといった処理が一般的に行われている。
【0004】
特許文献1には、蒸発ガスを効率よく処理する方法として、コンプレッサーにより蒸発ガスを大気圧と都市ガス運用圧力(4MPa~7MPa)の間の圧力まで圧縮し、その圧縮ガスをタンクから送出された低温液体に混合して再液化するという技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される方法では、蒸発ガスが混合できるように低温液体を昇圧して過冷度を与える必要があり、その昇圧された低温液体に蒸発ガスを混合するため、蒸発ガスを圧縮するための圧縮機(コンプレッサー)が必須であり、圧縮機の動力消費が大きいという課題があった。
また、タンクから送出される低温液体の流量は供給先の需要によって増減するものであるので、低温液体の流量が少ない場合には、蒸発ガスの全量を低温液体に混合することができず、蒸発ガスを処理しきれないという課題もあった。
【0007】
本発明は、係る課題を解決するためになされたものであり、圧縮機等の動力を必要とすることなく、かつ、低温液体の流量に関わらず蒸発ガスを処理することができる蒸発ガス処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る蒸発ガス処理システムは、低温液体が貯留された貯槽から発生する蒸発ガスを処理するものであって、前記貯槽から発生する蒸発ガスを抜き出す抜き出しラインと、前記蒸発ガスを吸着する吸着材が収容された吸着容器と、前記貯槽から低温液体を送出する送出ポンプと、該送出ポンプによって送出された低温液体及び該低温液体が気化したガスが流れる低温液体・ガス送出ラインと、該低温液体・ガス送出ラインに設けられて前記低温液体を気化する気化器と、前記低温液体・ガス送出ラインにおける前記気化器の上流側に設けられて前記低温液体の冷熱を利用して熱交換する熱交換器と、前記抜き出しラインから抜き出された蒸発ガスを導入して、前記吸着容器と前記熱交換器との間で循環させる循環ラインと、を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記吸着材に吸着された蒸発ガスを脱着するための熱源として、前記低温液体・ガス送出ラインにおける前記気化器の下流側のガスを前記吸着容器に供給するガス供給ラインを設けたことを特徴とするものである。
【0010】
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記低温液体・ガス送出ラインにおける前記気化器の上流側に設けられた気液混合器と、前記吸着材から脱着した脱着ガスを前記気液混合器に供給する第1脱着ガス供給ラインと、を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記吸着材から脱着した脱着ガスを前記低温液体・ガス送出ラインにおける前記気化器の下流側に供給する第2脱着ガス供給ラインを設けたことを特徴とするものである。
【0012】
(5)また、上記(4)に記載のものにおいて、前記第2脱着ガス供給ラインによって前記低温液体・ガス送出ラインに脱着ガスを戻す位置よりも上流側に低温液体・ガス送出ラインを流れるガスの圧力を調整する圧調弁を設けたことを特徴とするものである。
【0013】
(6)また、上記(4)に記載のものにおいて、前記第2脱着ガス供給ラインに、脱着ガスの圧力を昇圧するための昇圧装置を設けたことを特徴とするものである。
【0014】
(7)また、上記(1)乃至(6)のいずれかに記載のものにおいて、前記吸着容器は、第1吸着容器と第2吸着容器の2個からなり、前記循環ラインを前記第1吸着容器と前記第2吸着容器に選択的に接続して、第1吸着容器と第2吸着容器によって前記蒸発ガスの吸着と脱着を交互に行えるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、蒸発ガスを抜き出す抜き出しラインと、蒸発ガスを吸着する吸着材が収容された吸着容器と、低温液体・ガス送出ラインにおける気化器の上流側に設けられて低温液体の冷熱を利用して熱交換する熱交換器と、貯槽から抜き出された蒸発ガスを抜き出しラインから導入して、吸着容器と熱交換器との間で循環させる循環ラインとを備えたことにより、脱着の際に高圧のガスを得ることができるので圧縮機等を必要とすることがなく、貯槽から発生する蒸発ガスを低い消費電力で処理できる。
また、低温液体・ガス送出ラインの流量が少ないときには蒸発ガスを吸着容器内に保持し、流量が多くなった際に吸着容器から放出することで蒸発ガスを処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る蒸発ガス処理システムの説明図である。
【
図2】本発明の実施の形態2に係る蒸発ガス処理システムの説明図である。
【
図3】本発明の実施の形態3に係る蒸発ガス処理システムの説明図である。
【
図4】本発明の実施の形態4に係る蒸発ガス処理システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施の形態1]
本実施の形態に係る蒸発ガス処理システム1は、LNG等の低温液体3が貯留された貯槽5から発生する蒸発ガスを処理するものであって、
図1に示すように、貯槽5から発生する蒸発ガスを抜き出す抜き出しライン7と、蒸発ガスを吸着する吸着材が収容された吸着容器9と、貯槽5から送出される低温液体3及び低温液体3が気化したガスが流れる低温液体・ガス送出ライン11と、抜き出しライン7から抜き出された蒸発ガスを導入して、吸着容器9と低温液体・ガス送出ライン11に設けられた熱交換器13との間で循環させる循環ライン15とを備えている。
【0018】
<抜き出しライン>
抜き出しライン7は、貯槽5に貯留された低温液体3が蒸発して発生する蒸発ガス(「ボイルオフガス」、「BOG」ともいう)を、貯槽5から抜き出すラインであり、一端が貯槽5、他端が循環ライン15に接続されている。抜き出しライン7に設けられた第1開閉弁17を開放することで、貯槽5から抜き出された蒸発ガスが循環ライン15に導入される。
【0019】
<吸着容器>
吸着容器9は、抜き出しライン7から抜き出された蒸発ガスを吸着するための吸着材が収容されたものである。
吸着容器9に収容される吸着材(例えば活性炭など)の吸着能力は、低温ほど大きくなるので、吸着材を低温状態に保つことで、吸着材の吸着量が増大し、大量の蒸発ガスを吸着することができる。また、大量の蒸発ガスを保持した吸着材に熱源を与えて温度を上げることで、吸着材の吸着能力が低下し、吸着していた蒸発ガスを放出(脱着)させることができる。
【0020】
<低温液体・ガス送出ライン>
低温液体・ガス送出ライン11は、貯槽5から送出される低温液体3を気化してガス幹線へ送出するラインであり、貯槽5内に設けられた送出ポンプ19と、気液混合器21と、昇圧ポンプ23と、熱交換器13と、気化器25が設けられている。
送出ポンプ19によって貯槽5から払い出された低温液体3は、昇圧ポンプ23によって昇圧された後、気化器25によって加熱気化されて、ガス幹線に送出される。気化器25の熱源としては、例えば海水があげられる。
【0021】
本実施の形態では、気化器25の上流側(
図1における送出ポンプ19と昇圧ポンプ23の間)に気液混合器21が設けられており、気液混合器21には、後述する第1脱着ガス供給ライン37が接続されている。気液混合器21によって、貯槽5から払い出された低温液体3に第1脱着ガス供給ライン37から供給されるガス(脱着ガス)が気液混合されて、昇圧ポンプ23に導入される。
【0022】
また、昇圧ポンプ23の下流側、かつ、気化器25の上流側には、低温液体3の冷熱を利用して熱交換する熱交換器13が設けられており、さらに熱交換器13には、循環ライン15が接続されている。昇圧ポンプ23で昇圧されて過冷度の上がった低温液体3は、熱交換器13に導入され、低温液体3の冷熱によって、循環ライン15を流れる蒸発ガスを冷却する。
【0023】
<循環ライン>
循環ライン15は、抜き出しライン7から導入される蒸発ガスを、吸着容器9と熱交換器13との間で循環させるラインであり、循環ブロワ27と、第2開閉弁29と、第3開閉弁31が設けられている。
抜き出しライン7から抜き出された蒸発ガスは、循環ライン15における循環ブロワ27の上流に導入され、循環ブロワ27によって熱交換器13へ供給される。蒸発ガスは熱交換器13で低温液体・ガス送出ライン11を流れる低温液体3の冷熱によって冷却され、吸着容器9に導入される。
【0024】
吸着容器9に導入された蒸発ガスは、吸着容器9に収容された吸着材に吸着される。蒸発ガスは吸着容器9に導入される前に熱交換器13によって冷却されているので、蒸発ガスの冷熱によって吸着材が冷却され、蒸発ガスの吸着が促進される。
【0025】
吸着材が蒸発ガスを吸着すると、吸着熱が発生する。吸着熱とは、空間中を飛び回っていた気体の分子が吸着材表面に固定化される際に、気体の持っていた運動エネルギーが熱となって発現されるものである。吸着が進むと、この吸着熱によって、容器内の温度が上昇し、吸着量が低下する。
【0026】
ある程度吸着量が低下すると、吸着容器9に導入した蒸発ガスの全量を吸着することができなくなるので、吸着されない蒸発ガスは再度循環ライン15に払い出される。吸着容器9から循環ライン15に払い出された蒸発ガスは、抜き出しライン7から導入される蒸発ガスと混合されて、熱交換器13で再冷却されてから吸着容器9に戻される。再冷却された蒸発ガスの冷熱により、吸着材が冷却されて、再び蒸発ガスの吸着が促進される。
【0027】
このように、循環ライン15があることで吸着容器9内を冷却し続けることができるので、高い吸着量を保つことができ、大量の蒸発ガスを吸着することができる。
また、蒸発ガスを低温液体3の冷熱を用いて吸着材の冷却をするための冷媒として用いているので、吸着材との直接接触により熱輸送が行われるため、温度変化の応答性が良い。したがって、吸着工程の処理時間を短く抑えることができる。
【0028】
吸着材によって所定の量まで蒸発ガスを吸着すると、吸着処理を停止して、脱着処理に切り替える。前述したように、吸着材に吸着された蒸発ガスの脱着は吸着材を加熱することで行う。加熱のための熱源として、本実施の形態の蒸発ガス処理システム1では、
図1に示すようなガス供給ライン33を設けて、低温液体3が気化したガス(気化ガス)を吸着容器9に導入するようにしている。
【0029】
<ガス供給ライン>
ガス供給ライン33は、低温液体3が気化したガスを吸着容器9に供給するラインであり、一端が低温液体・ガス送出ライン11における気化器25の下流側、他端が吸着容器9に接続されている。ガス供給ライン33に設けられた第4開閉弁35を開放することで、気化器25の下流側の気化ガスを吸着容器9に導入することができる。
【0030】
気化器25の下流側の気化ガスは、高温のガス(例えば5℃)であるので、ガス供給ライン33から気化ガスが吸着容器9に導入されることで、容器内の温度が上がり、吸着材に吸着された蒸発ガスの脱着が行われる。吸着容器9内は、蒸発ガスを冷却しながら循環させたことで、大量の蒸発ガスを保持した状態であり、そこに、高温高圧の気化ガスを導入することで、吸着されていた大量の蒸発ガスが脱着され、高い圧力の脱着ガスを得ることができる。
また、熱源である気化ガスを直接吸着容器9内に導入しているので、吸着材と直接接触して熱輸送が行われるため温度変化の応答性が良く、脱着工程の処理時間を短く抑えることができる。
【0031】
吸着材を加熱することによって得られた脱着ガスを効率的に処理するため、本実施の形態の蒸発ガス処理システム1では、
図1に示すような第1脱着ガス供給ライン37を設けて、脱着ガスを低温液体3に気液混合して再液化するようにしている。
【0032】
<第1脱着ガス供給ライン>
第1脱着ガス供給ライン37は、吸着材から脱着した脱着ガスを低温液体・ガス送出ライン11に設けられた気液混合器21に供給するものであり、一端が吸着容器9、他端が気液混合器21に接続されている。第1脱着ガス供給ライン37に設けられた第5開閉弁39を開放することで、脱着ガスを気液混合器21に導入することができる。
【0033】
上記のように構成された本実施の形態の蒸発ガス処理システム1の動作について、
図1を用いて説明する。なお、下記の説明における、温度及び圧力は一例を示すものであり、実際の運用時にはこの限りではない。
【0034】
<吸着工程>
貯槽5内のLNG等の低温液体(例えば-163℃)は、送出ポンプ19によって例えば1MPa程度の圧力で低温液体・ガス送出ライン11に送出されて気液混合器21に導入される。吸着工程時には気液混合器21に脱着ガスは供給されないので、低温液体3は気液混合器21を通過し、昇圧ポンプ23で4MPa~7MPaに昇圧されて、熱交換器13に導入される。
また、貯槽5内の蒸発ガス(-120℃~-150℃)は、第1開閉弁17を開放することで、抜き出しライン7から抜き出されて、循環ライン15に導入される。循環ライン15に導入された蒸発ガスは、循環ブロワ27によって熱交換器13に送出され、低温液体3と熱交換して、例えば-160℃に冷却される。
蒸発ガスと熱交換した低温液体3は、気化器25によって気化してガスとなり、ガス幹線に送出される。
【0035】
冷却された蒸発ガスは、吸着容器9に導入され(この時、第2開閉弁29を開状態とする)、吸着容器9に収容された吸着材と直接接触することで、蒸発ガスが吸着材に吸着すると共に吸着材が冷却される。冷却によって吸着能力が向上するが、一定量吸着が進むと吸着熱によって吸着容器9内の温度が上昇するとともに容器内の蒸発ガスの温度も上昇し、冷却効率が低下する。
吸着材が吸着しきれなかった蒸発ガスは、第3開閉弁31を開放することで、再度循環ライン15に送出され、抜き出しライン7から導入される蒸発ガスと合流して再び熱交換器13で冷却される。冷却された蒸発ガスは再度吸着容器9に導入され、吸着材を冷却し吸着が再び促進される。
【0036】
上記のように、発生した吸着熱を熱交換器13で除去しながら吸着材を冷却し続けることにより、吸着容器9内の吸着量が増えていく。吸着量が所定の値に達したら、第1開閉弁17を閉止して蒸発ガスの導入を停止する。なお、吸着量は、吸着容器9内の圧力および温度の初期状態からの変化量、または、吸着容器9の導入側および払出側に設けた積算流量計値の差から計算することができる。
蒸発ガスの導入を停止した後は、循環ブロワ27をすぐに停止してもよいし、しばらく循環させることで吸着容器9内の温度を更に低下させてから停止してもよい。
循環ブロワ27を停止した後、第2開閉弁29、第3開閉弁31を閉止して吸着工程を終了する。
【0037】
<脱着工程>
吸着工程終了後、任意のタイミング(工場の需給バランス等による)で第4開閉弁35を開放し、ガス供給ライン33より、気化ガス(5℃、4MPa~7MPa)を吸着容器9に導入する。温度が高い気化ガスを導入することで、蒸発ガスを吸着した吸着材と気化ガスが直接接触して吸着材が加熱される。加熱によって、吸着材に吸着されていた蒸発ガスが脱着し、容器内で脱着を進行させることで容器内の脱着ガスの圧力が昇圧される。脱着ガスの昇圧は、必要に応じて任意の値に調整可能であるが、例えば7MPa程度まで昇圧することができる。
【0038】
吸着容器9内の脱着ガスの圧力が所定の圧力まで上昇したら、第1脱着ガス供給ライン37の第5開閉弁39を開放して、脱着ガスを低温液体・ガス送出ライン11に設けられた気液混合器21へ導入する。脱着ガスは、気液混合器21を通流する低温液体3の圧力(1MPa)より高い圧力を有しているので、圧縮機等を必要とすることなく、低温液体3に気液混合して再液化することができる。
【0039】
脱着ガスの量(脱着量)が所定の値に達したら、第4開閉弁35を閉止して気化ガスの導入を停止する。その後ライン内あるいは吸着容器9内の圧が減圧したら、第5開閉弁39を閉止して脱着ガスの払い出しを停止し、脱着工程を終了する。脱着量は、吸着容器9内の圧力および温度の脱着操作開始時からの変化量、または、吸着容器9の気化ガス導入側(ガス供給ライン33)および脱着ガス払出側(第1脱着ガス供給ライン37)に設けた積算流量計値の差から計算することができる。
【0040】
吸着と脱着を繰り返して行う場合は、脱着工程終了後の任意のタイミング(工場の需給バランス等による)で前述した吸着工程を実施する。
【0041】
上述したように、従来、蒸発ガスを低温液体3に混合して再液化する場合には圧縮機(コンプレッサー)が必要であったのに対し、本実施の形態では、吸着材から蒸発ガスを脱着することで高圧の脱着ガスを得ることができるので、低消費電力で蒸発ガスを処理することができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、吸着材を加熱するための熱源として、気化ガスを用いる例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、海水やヒーターなどを用いて、吸着容器9を外部から加熱するようにしてもよく、その場合にも高い圧力の脱着ガスを得ることができる。
もっとも、前述したように、気化ガスを熱源として吸着容器9に導入することで、吸着材と直接接触して加熱することができるので、脱着工程の処理時間を短く抑えることができて好ましい。
【0043】
また、本実施の形態では、循環ライン15における循環ブロワ27の上流に抜き出しライン7を接続して蒸発ガスを導入する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、抜き出しライン7を吸着容器9に接続して、吸着容器9に直接蒸発ガスを導入してもよい。
もっとも、
図1のように、吸着容器9に導入する前に蒸発ガスを熱交換器13に通流させて冷却することで、より効率的に吸着材を冷却することができるので好ましい。
【0044】
[実施の形態2]
実施の形態1では、吸着材から脱着した脱着ガスを貯槽5から払い出された低温液体3に気液混合して再液化する例を説明したが、本実施の形態では、脱着ガスを気化ガスに混合させて処理する例を説明する。
【0045】
本実施の形態に係る蒸発ガス処理システム41は、
図1に示した蒸発ガス処理システム1の第1脱着ガス供給ライン37に代えて、
図2に示すように、第2脱着ガス供給ライン43を設けている。
また、本実施の形態における低温液体・ガス送出ライン11には、第2脱着ガス供給ライン43によって脱着ガスを戻す位置よりも上流側に、圧調弁45が設けられている。
第2脱着ガス供給ライン43と圧調弁45について以下に説明する。
なお、
図2において、
図1と同一部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0046】
<第2脱着ガス供給ライン>
第2脱着ガス供給ライン43は、脱着ガスを低温液体・ガス送出ライン11における気化器25の下流側に供給するラインであり、一端が吸着容器9、他端が低温液体・ガス送出ライン11における気化器25の下流側に接続されている。第2脱着ガス供給ライン43に設けられた第6開閉弁47を開放することで、脱着ガスを気化器25の下流側に導入することができる。
【0047】
<圧調弁>
圧調弁45は、低温液体・ガス送出ライン11を流れるガスの圧力を調整するものである。
吸着容器9から払い出される脱着ガスは、吸着容器9や配管の圧力損失により、気化器25の下流側の気化ガスよりも低圧になり、脱着ガスを低温液体・ガス送出ライン11に導入できない場合がある。
そのため、低温液体・ガス送出ライン11における第2脱着ガス供給ライン43によって脱着ガスを戻す位置よりも上流側に圧調弁45を設けて気化ガスを減圧することで、脱着ガスを低温液体・ガス送出ライン11に導入できるようにしている。
【0048】
また、上記は気化ガスを減圧することで、脱着ガスを導入しやすくするものであるが、他の態様として、第2脱着ガス供給ライン43に昇圧装置(図示なし)を設けて、脱着ガスを昇圧するようにしてもよい。気化ガスを減圧する圧調弁45に代えて、脱着ガスを昇圧する昇圧装置を用いる場合であっても同様の効果を得ることができる。
【0049】
上記のように構成された本実施の形態の蒸発ガス処理システム41の動作について、
図2を用いて説明する。なお、吸着工程については実施の形態1と同様であるので、説明を省略し、脱着工程についてのみ説明する。
【0050】
<脱着工程>
吸着工程終了後、任意のタイミング(工場の需給バランス等による)で第4開閉弁35を開放し、ガス供給ライン33より、気化ガス(5℃、4MPa~7MPa)を吸着容器9に導入する。気化ガスを導入し、容器内で脱着を進行させることで容器内の脱着ガスの圧力が昇圧される(例えば7MPa程度まで昇圧可能)のは実施の形態1で説明した通りである。
【0051】
吸着容器9内の脱着ガスの圧力が所定の圧力(例えばガス幹線の要求圧力以上)まで上昇したら、第2脱着ガス供給ライン43の第6開閉弁47を開放して、脱着ガスを低温液体・ガス送出ライン11における気化器25の下流側へ導入する。脱着ガスは、吸着容器9内で昇圧されているが、吸着容器9や配管の圧力損失により、低温液体・ガス送出ライン11を通流する気化ガスの圧力(4MPa~7MPa)より低圧になった場合には、低温液体・ガス送出ライン11に設けられた圧調弁45によって気化ガスを減圧してから脱着ガスを低温液体・ガス送出ライン11に導入する。
【0052】
もっとも、ガス幹線には所定の要求圧力があるので、それを下回るような減圧を行うことは難しい。そこで、上記圧力損失を考慮して、ガス幹線の要求圧力より高めに低温液体3を昇圧ポンプ23で昇圧し、圧調弁45で減圧してもガス幹線の要求圧力を満たすようにすればよい。
具体的には、ガス幹線の要求圧力が5.0MPaの場合、昇圧ポンプ23で低温液体3を例えば5.1MPaまで昇圧する。
5.1MPaの低温液体3を気化させると5.1MPaの気化ガスとなるので、その一部を吸着容器9に導入する。5.1MPaの気化ガスによって吸着容器9内の脱着ガスは5.1MPaまで昇圧可能だが、その後の圧力損失により、脱着ガスの圧力は5.0MPaまで低下する。一方、低温液体・ガス送出ライン11においては圧調弁45で気化ガスを5.0MPaに減圧し、減圧した気化ガスに5.0MPaの脱着ガスを導入する。これによって、要求圧力を満たすガスをガス幹線に送ることができる。
【0053】
脱着ガスの量(脱着量)が所定の値に達したら、第4開閉弁35を閉止して気化ガスの導入を停止する。その後ライン内あるいは吸着容器9内の圧が減圧したら、第6開閉弁47を閉止して脱着ガスの払い出しを停止し、脱着工程を終了する。脱着量は、吸着容器9内の圧力および温度の脱着操作開始時からの変化量、または、吸着容器9の気化ガス導入側(ガス供給ライン33)および脱着ガス払出側(第2脱着ガス供給ライン43)に設けた積算流量計値の差から計算することができる。
【0054】
実施の形態1と同様に、吸着と脱着を繰り返して行う場合は、脱着工程終了後の任意のタイミング(工場の需給バランス等による)で前述した吸着工程を実施する。
【0055】
実施の形態1で説明した蒸発ガス処理システム1(
図1参照)の場合には、脱着ガスを低温液体3に混合して再液化するため、脱着ガスの量が多いと低温液体3が沸騰してしまうので混合できる脱着ガスの量に上限があるが、本実施の形態では、気化ガスに脱着ガスを混合するので、低温液体3が沸騰することに起因する問題は生じない。したがって、低温液体・ガス送出ラインの流量が少ない場合でも問題なく脱着ガスを処理できる。
【0056】
[実施の形態3]
実施の形態1、2では、脱着ガスを貯槽5から払い出された低温液体3に気液混合する例と、気化器25の下流の気化ガスに混合する例を説明したが、本実施の形態では、脱着ガスの圧力に応じて脱着ガスの混合先を低温液体3または気化ガスに切替可能とした例を説明する。
【0057】
本実施の形態に係る蒸発ガス処理システム49は、
図3に示すように、第1脱着ガス供給ライン37から分岐させて第2脱着ガス供給ライン43を設けており、低温液体・ガス送出ライン11には、実施の形態2と同様に圧調弁45が設けられている。
図3における各構成は実施の形態1、2で説明したものと同様であるので、
図1、
図2と同一部分には同一の符号を付し、各構成の説明を省略する。
【0058】
上記のように構成された本実施の形態の蒸発ガス処理システム49の動作について、
図3を用いて説明する。なお、吸着工程については実施の形態1、2と同様であるので、説明を省略し、脱着工程についてのみ説明する。
【0059】
<脱着工程>
吸着工程終了後、任意のタイミング(工場の需給バランス等による)で第4開閉弁35を開放し、ガス供給ライン33より、気化ガス(5℃、4MPa~7MPa)を吸着容器9に導入する。気化ガスを導入し、容器内で脱着を進行させることで容器内の脱着ガスの圧力が昇圧される(例えば7MPa程度まで昇圧可能)のは実施の形態1で説明した通りである。
【0060】
吸着容器9内の脱着ガスの圧力が所定の圧力(例えばガス幹線の要求圧力以上)まで上昇したら、第2脱着ガス供給ライン43の第6開閉弁47を開放して、脱着ガスを低温液体・ガス送出ライン11における気化器25の下流側へ導入する。脱着ガスは、吸着容器9内で昇圧されているが、吸着容器9や配管の圧力損失により、低温液体・ガス送出ライン11を通流する気化ガスの圧力(4MPa~7MPa)より低圧になった場合には、低温液体・ガス送出ライン11に設けられた圧調弁45によって気化ガスをガス幹線の要求圧力の範囲で減圧してから脱着ガスを低温液体・ガス送出ライン11に導入する。
【0061】
吸着材から脱着した脱着ガスの量(脱着量)が増えるにつれて、吸着容器9内のガスの量が減っていくので、第2脱着ガス供給ライン43を通流する脱着ガスの圧力は徐々に低下していく。脱着量が所定の値(例えば脱着ガスの圧力がガス幹線の要求圧力以下になると判断される値)に達したら、第6開閉弁47を閉止すると共に、第5開閉弁39を開放して、脱着ガスを昇圧ポンプ23の上流に設けられた気液混合器21へ導入する。この時の脱着ガスの圧力は、ガス幹線の要求圧力を下回ってはいるが、気液混合器21を通流する低温液体3の圧力(1MPa)を上回っているので、圧縮機等を必要とすることなく、低温液体3に気液混合することができる。
【0062】
吸着材に吸着していた蒸発ガスの脱着が所定量に達したら(または第6開閉弁47の閉止と同時に)、第4開閉弁35を閉止して気化ガスの導入を停止する。その後ライン内あるいは吸着容器9内の圧が減圧したら、第5開閉弁39を閉止して脱着ガスの払い出しを停止し、脱着工程を終了する。脱着量は、吸着容器9内の圧力および温度の脱着操作開始時からの変化量、または、吸着容器9の気化ガス導入側(ガス供給ライン33)および脱着ガス払出側(第1脱着ガス供給ライン37)に設けた積算流量計値の差から計算することができる。
【0063】
実施の形態1と同様に、吸着と脱着を繰り返して行う場合は、脱着工程終了後の任意のタイミング(工場の需給バランス等による)で前述した吸着工程を実施する。
【0064】
実施の形態2で説明した蒸発ガス処理システム41(
図2参照)の場合には、脱着ガスの圧力がガス幹線の要求圧力(4Mpa~7MPa)以下になると判断される時点で脱着を終了するため、一度の脱着工程で脱着できる量は実施の形態1(
図1参照)よりも少ない。これに対し、本実施の形態では、脱着ガスの圧力がガス幹線の要求圧力以下になったあとも、引き続き低温液体3(1MPa)に気液混合させることができるので、より多くのガスを脱着させることができる。脱着工程でより多くのガスを脱着させることで、続く吸着工程においてより多くの蒸発ガスを吸着することができるので、蒸発ガスの吸着効率が向上する。
【0065】
また、実施の形態1で説明した蒸発ガス処理システム1(
図1参照)は、脱着ガスの全量を低温液体3に気液混合するので、導入した脱着ガスの分流量が増加し、昇圧ポンプ23の消費電力が大きいが、これに対し、本実施の形態は、はじめに脱着ガスを気化ガスへ混合する分、低温液体3への混合量を減らすことができるので、昇圧ポンプ23の消費電力を低く抑えることができて望ましい。
【0066】
なお、実施の形態1~3は脱着ガスの処理方法として、貯槽5から払い出された低温液体3、または、低温液体3が気化した気化ガスに混合させる例を説明したが、本発明は脱着ガスの払い出し先を限定するものではない。例えば、本発明はコンデンサ等を用いることなく高圧の脱着ガスを得られるので、高圧ガスが要求されるガスエンジンなどに脱着ガスを利用することもできる。
【0067】
[実施の形態4]
実施の形態1~3で説明した吸着工程および脱着工程はバッチ式であり、1つの吸着容器9に対し、吸着工程中は脱着処理(吸着材の加熱及び脱着ガスの払い出し)を停止し、脱着工程中は吸着処理(吸着材の冷却及び蒸発ガスの導入)を停止する必要がある。また、
図1~
図3に示した蒸発ガス処理システム1、41、49は吸着容器9を1つしか有していないため、例えば、脱着工程中は貯槽5から蒸発ガスを抜き出すことができない。
そこで、本実施の形態では、吸着容器を2つ備えることで、貯槽5で常時発生する蒸発ガスを連続的に処理可能とする例を説明する。その一例として、
図3に示した実施の形態3の蒸発ガス処理システム49における吸着容器9が2個の吸着容器から構成されるものを
図4に示す。
図4において
図3と同一部分には同一の符号を付して説明を省略し、以下に本実施の形態の特徴部分について詳しく説明する。
【0068】
本実施の形態に係る蒸発ガス処理システム51は、
図4に示すように、第1吸着容器9aと第2吸着容器9bの2個からなる吸着容器9を備えている。第1吸着容器9a及び第2吸着容器9bは実施の形態1~3で説明した吸着容器9と同様のものであり、それぞれ容器9内に吸着材が収容されている。
【0069】
また、
図4に示すように蒸発ガスを循環させる循環ライン15が分岐して、第1吸着容器9aと第2吸着容器9bにそれぞれ接続されている。第1吸着容器9a側に接続している循環ライン15には第2開閉弁29a、第3開閉弁31aが設けられており、第2吸着容器側9bに接続している循環ラインには第2開閉弁29b、第3開閉弁31bが設けられている。第2開閉弁29a、29b及び第3開閉弁31a、31bは実施の形態1で説明した第2開閉弁29及び第3開閉弁31と同様のものであるので説明を省略する。
【0070】
第2開閉弁29a及び第3開閉弁31aを開放すると共に第2開閉弁29b及び第3開閉弁31bを閉止することで、循環ライン15を第1吸着容器9aに接続し、抜き出しライン7から導入される蒸発ガスを、第1吸着容器9aと熱交換器13との間で循環させることができる。
また、第2開閉弁29b及び第3開閉弁31bを開放すると共に第2開閉弁29a及び第3開閉弁31aを閉止することで、循環ライン15を第2吸着容器9bに接続し、抜き出しライン7から導入される蒸発ガスを、第2吸着容器9bと熱交換器13との間で循環させることができる。
上記のように、本実施の形態においては、循環ライン15を第1吸着容器9aと第2吸着容器9bに選択的に接続可能となっている。
【0071】
同様に、気化ガスを供給するガス供給ライン33及び脱着ガスを払い出す第1脱着ガス供給ライン37も分岐して、第1吸着容器9aと第2吸着容器9bにそれぞれ接続されている。第1吸着容器9a側に接続しているガス供給ライン33、第1脱着ガス供給ライン37には第7開閉弁53a、第8開閉弁55aが設けられており、第2吸着容器9b側に接続しているガス供給ライン33、第1脱着ガス供給ライン37には第7開閉弁53b、第8開閉弁55bが設けられている。
【0072】
第7開閉弁53a及び第8開閉弁55aを開放すると共に第7開閉弁53b及び第8開閉弁55bを閉止することで、ガス供給ライン33及び第1脱着ガス供給ライン37を第1吸着容9a器に接続し、第1吸着容器9aで脱着処理を行うことができる。
また、第7開閉弁53b及び第8開閉弁55bを開放すると共に第7開閉弁53a及び第8開閉弁55aを閉止することで、ガス供給ライン33及び第1脱着ガス供給ライン37を第2吸着容器9bに接続し、第2吸着容器9bで脱着処理を行うことができる。
上記のように、本実施の形態においては、ガス供給ライン33及び第1脱着ガス供給ライン37を第1吸着容器9aと第2吸着容器9bに選択的に接続可能となっている。
【0073】
上記のように構成された本実施の形態の蒸発ガス処理システム51においては、第1吸着容器9aと第2吸着容器9bによって蒸発ガスの吸着と脱着を交互に行うことができるので、貯槽で常時発生する蒸発ガスを連続的に処理することができる。
【0074】
なお、吸着工程、脱着工程の実施に伴う各開閉弁の開閉操作を自動制御によって行ってもよい。各開閉弁を自動制御する場合には、吸着容器の温度、圧力および各ラインにおける低温液体及びガスの温度、圧力及び流量を検知して制御演算装置に入力し、該入力値に基づいて、吸着量や脱着量等を算出し、算出した吸着量や脱着量及び各入力値に基づいて各開閉弁を自動制御するとよい。
【0075】
また、第6開閉弁47は、例えばガス幹線の要求圧力以上の圧力で開く逆止弁としてもよい。その場合、設定圧力を境に第6開閉弁47が自動開閉するため、開閉制御を不要とすることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 蒸発ガス処理システム(実施の形態1)
3 低温液体
5 貯槽
7 抜き出しライン
9 吸着容器
9a 第1吸着容器
9b 第2吸着容器
11 低温液体・ガス送出ライン
13 熱交換器
15 循環ライン
17 第1開閉弁
19 送出ポンプ
21 気液混合器
23 昇圧ポンプ
25 気化器
27 循環ブロワ
29 第2開閉弁
29a 第2開閉弁(第1吸着容器側)
29b 第2開閉弁(第2吸着容器側)
31 第3開閉弁
31a 第3開閉弁(第1吸着容器側)
31b 第3開閉弁(第2吸着容器側)
33 ガス供給ライン
35 第4開閉弁
37 第1脱着ガス供給ライン
39 第5開閉弁
41 蒸発ガス処理システム(実施の形態2)
43 第2脱着ガス供給ライン
45 圧調弁
47 第6開閉弁
49 蒸発ガス処理システム(実施の形態3)
51 蒸発ガス処理システム(実施の形態4)
53a 第7開閉弁(第1吸着容器側)
53b 第7開閉弁(第2吸着容器側)
55a 第8開閉弁(第1吸着容器側)
55b 第8開閉弁(第2吸着容器側)