(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
B62D 1/06 20060101AFI20231129BHJP
H05B 3/20 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B62D1/06
H05B3/20 345
(21)【出願番号】P 2021083475
(22)【出願日】2021-05-17
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】冨田 彰
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-006750(JP,A)
【文献】特開2015-027840(JP,A)
【文献】特開2016-016790(JP,A)
【文献】特表平10-507990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00 - 1/28
H05B 3/20 - 3/38
H05B 3/84 - 3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵中心軸を中心として回転操作可能な環状の把持部を備え、
該把持部が、芯材を被覆する被覆層と外表面側の表皮層との間に、前記操舵中心軸回りの周方向に沿う帯状のシート体からなるヒータエレメント、を配設させて構成され、
前記ヒータエレメントが、可撓性を有したシート状とした前記被覆層側の裏側基材と前記表皮層側の表側基材とを、ヒータ線を間にして相互に接着させて、形成されるとともに、前記被覆層の外周面側に貼着されて配設される構成のステアリングホイールであって、
前記ヒータエレメントの前記シート体が、短手方向の両縁を、前記裏側基材若しくは前記表側基材の一方の単層として、形成されていることを特徴とするステアリングホイール。
【請求項2】
前記ヒータエレメントの前記シート体における短手方向の両縁が、それぞれ、前記表側基材の単層として、形成されていることを特徴とする請求項1に記載のステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者が操舵時に把持する環状の把持部に、把持部を昇温可能なヒータエレメントを設けて構成されるステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のステアリングホイールでは、操舵中心軸を中心として回転操作可能な環状の把持部を備え、把持部は、芯材を被覆する被覆層と外表面側の表皮層との間に、操舵中心軸回りの周方向に沿う帯状のシート体からなるヒータエレメント、を配設させて構成されていた(例えば、特許文献1参照)。ヒータエレメントは、可撓性を有したシート状とした被覆層側の裏側基材と表皮層側の表側基材とを、ヒータ線を間にして相互に接着させて、形成されるとともに、被覆層の外周面側に貼着されて配設される構成としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のステアリングホイールにおいて、ヒータエレメントを構成する帯状のシート体が、伸び難ければ、被覆層の表面側に貼着し難く、把持部における操舵中心軸側となる内周側に、シワが発生する等して、表皮層の感触を悪くする事態を招いてしまう。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、ヒータエレメントの周囲に表皮層が設けられても、感触の低下を抑制できるステアリングホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るステアリングホイールでは、操舵中心軸を中心として回転操作可能な環状の把持部を備え、
該把持部が、芯材を被覆する被覆層と外表面側の表皮層との間に、前記操舵中心軸回りの周方向に沿う帯状のシート体からなるヒータエレメント、を配設させて構成され、
前記ヒータエレメントが、可撓性を有したシート状とした前記被覆層側の裏側基材と前記表皮層側の表側基材とを、ヒータ線を間にして相互に接着させて、形成されるとともに、前記被覆層の外周面側に貼着されて配設される構成のステアリングホイールであって、
前記ヒータエレメントの前記シート体が、短手方向の両縁を、前記裏側基材若しくは前記表側基材の一方の単層として、形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るステアリングホイールでは、ヒータエレメントの帯状のシート体を、被覆層の外周面側に貼着させるように、短手方向に伸ばす際、短手方向の両縁が、被覆層側の裏側基材と表皮層側の表側基材との2層を配設させておらず、一方側の単層から構成されており、相互に接着された裏側基材と表側基材との2層構造でないことから、容易に、短手方向に伸ばすことができて、把持部における操舵中心軸側となる内周側にシワを生じさせずに、ヒータエレメントを被覆層の外周面側に貼着させることができる。そのため、その後に表皮層を配設させても、シワ無く、円滑に、表皮層が配設される。
【0008】
したがって、本発明に係るステアリングホイールでは、ヒータエレメントの周囲に表皮層が設けられても、ヒータエレメントにシワが生じ難いことから、シワ無く配設できて、感触の低下を抑制できる。
【0009】
そして、本発明に係るステアリングホイールでは、前記ヒータエレメントの前記シート体における短手方向の両縁が、それぞれ、前記表側基材の単層として、形成されていることが望ましい。
【0010】
このような構成では、表皮層に近い側の表側基材が、短手方向の全域を構成することから、被覆層に貼着させたヒータエレメントの外表面側を、段差を抑制した面一状とすることができて、その後に表皮層を配設させる際、一層、シワ無く、表皮層を配設させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態のヒータエレメントを配設したステアリングホイールを示す概略平面図である。
【
図2】実施形態のヒータエレメントを配設したステアリングホイールの把持部の断面図であり、
図1のII-II部位に対応する。
【
図3】実施形態のヒータエレメントの平面図である。
【
図4】実施形態のヒータエレメントの断面図であり、
図3のIV-IV部位に対応する。
【
図5】実施形態のヒータエレメントにおけるヒータ線を挟持する前の裏側基材と表側基材とを説明する図である。
【
図6】実施形態のヒータエレメントを被覆層に貼着する状態を説明する図である。
【
図7】実施形態の変形例のヒータエレメントを被覆層に貼着する状態を説明する図である。
【
図8】実施形態の他の変形例のヒータエレメントの平面図である。
【
図9】
図8に示すヒータエレメントの断面図であり、
図8のIX-IX部位に対応する。
【
図10】
図8に示すヒータエレメントを被覆層の外周面側に貼着する状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のステアリングホイールWは、
図1に示すように、操舵時に操舵中心軸COを中心として回転操舵可能な略円環状の把持部Rと、把持部Rの略中央に位置する操舵中心軸CO側のボス部Bと、把持部Rとボス部Bとを連結するスポーク部S(L,R,B)と、を備えて構成されている。スポーク部Sは、ボス部Bから左右両側に延びるスポーク部SL,SRと、ボス部Bから後側に延びるスポーク部SBと、を備えている。また、ステアリングホイールWは、ボス部Bの上部側に配設される二点鎖線で示したエアバッグ装置45と、ステアリングホイール本体1と、ボス部Bの下部側を覆う図示しないロアカバーと、を備えて構成されている。
【0013】
さらに、ステアリングホイール本体1は、把持部R、ボス部B、及び、スポーク部Sを連結するアルミニウム合金等の金属材からなる芯材3、を備えて構成されている。芯材3は、把持部Rに配設される把持芯材部4と、ボス部Bに配設されるボス芯材部5と、把持芯材部4とボス芯材部5とを連結するように、スポーク部S(L,R,B)に配設されるスポーク芯材部6(L,R),7と、を備えて構成されている。ボス芯材部5は、操舵中心軸COを形成する車両の図示しないステアリングシャフトと結合される鋼製のボス5aを配設させている。また、スポーク芯材部6は、左右のスポーク部SL,SRに配設されるスポーク芯材部6L,6Rと、後部側のスポーク部SBに配設されて、ボス芯材部5側で左右に分岐し、そして、把持芯材部4側で結合されるような2本のスポーク芯材部7,7と、から構成されている。
【0014】
把持部Rに配設される把持芯材部4の周囲には、
図2に示すように、発泡ポリウレタンからなる被覆層10が配設されるとともに、把持部Rの表面側に、皮革41からなる表皮層40が配設され、さらに、被覆層10と表皮層40との間には、把持部Rを昇温可能なヒータエレメント14が配設されている。
【0015】
ヒータエレメント14は、
図3,4に示すように、可撓性を有したシート状の基材19にヒータ線35を保持させて、形成されるもので、把持部Rにおける操舵中心軸CO回りの周方向に沿う帯状のシート体16から構成されている。実施形態の場合、ヒータエレメント14は、把持部Rの左右の片側ずつに配設され、ステアリングホイールW全体では、2枚、使用される。実施形態の場合、
図1に示す右方側のヒータエレメント14Rと左方側のヒータエレメント14Lとは、左右対称形としている点が異なるだけであることから、
図3に示す右方側のヒータエレメント14(R)について説明して、左方側のヒータエレメント14(L)については説明を省略する。
【0016】
そして、ヒータエレメント14を形成するシート体16の基材19は、被覆層10側の裏側基材20と表皮層40側の表側基材23との2層から構成されるとともに、裏側基材20と表側基材23とは、ヒータ線35を間にして相互に接着されることにより、ヒータ線35を挟持するように保持する構成としている(
図4参照)。
【0017】
また、実施形態のシート体16では、短手方向WDの両縁(側縁)16c,16dが、裏側基材20若しくは表側基材23の一方の単層として、形成されている。実施形態の場合、側縁16c,16dは、表側基材23の単層とした単層部25から形成されている。実施形態の場合、シート体16(ヒータエレメント14)の幅寸法WL0が90~110mm程度の範囲内の100mmとしており、単層部25の幅寸法WL1は、5~25mm程度の範囲内の12mmとしている。換言すれば、単層部25の幅寸法WL1は、シート体16(ヒータエレメント14)の幅寸法WL0の4~27%程度としている。
【0018】
さらに、裏側基材20と表側基材23とは、共に、発泡ポリウレタンのシート材から形成されて、裏側基材20と表側基材23の厚さ寸法tA1,tB1は、共に、0.5~0.8mmの範囲内の0.7mmとしている。但し、裏側基材20と表側基材23との密度に関しては、表側基材23側の密度が、裏側基材20の密度より、高くされている。具体的には、裏側基材20の密度は、0.1~0.3g/cm3程度の範囲内の0.2g/cm3としている。表側基材23の密度は、0.3~0.7g/cm3程度の範囲内の0.5g/cm3としている。ちなみに、実施形態では、ヒータエレメント14における表皮層40に近い側の表側基材23が、密度を高くして、熱伝導率を良好にできることから、ヒータ線35の発熱時の熱を表皮層40側に伝導させ易くなり、逆に、裏側基材20が、密度を低くして、断熱性を向上させることとなり、芯材3(把持芯材部4)側への熱伝導を抑制して、通電時の表皮層40側での昇温を効率的に行える。
【0019】
また、実施形態の場合、
図5に示すように、裏側基材20は、厚さ寸法tA0を3~4mm程度の3.5mmとしていたシート状の予備裏側部材21を、1/5程度の厚さ寸法tA1の0.7mm、とするように圧縮し、表側基材23は、厚さ寸法tB0を5~10mm程度の8mmとしていたシート状の予備表側部材24を、1/12程度の厚さ寸法tB1の0.7mmとするように圧縮して、形成されている。
【0020】
そして、ヒータエレメント14は、同等の厚さ寸法tA1,tB1とした裏側基材20と表側基材23とを、所定配線パターンとした状態のヒータ線35を間にして、粘着剤31を利用して、相互に接着させることにより、形成されている。
【0021】
なお、ヒータ線35は、実施形態の場合、外径約0.2mm程度の芳香族ポリアミド繊維束からなるヒータ芯の外周に、素線径0.08mm程度の錫銅合金線からなる導体素線を複数本(7本程度)、引き揃え、ピッチ1.00mm程度で螺旋状に巻装して構成されている。実施形態のヒータ線35は、その線径を0.37mm程度としている。そして、ヒータ線35は、
図3に示すように、一筆書き状の所定のパターンで、基材19の裏側基材20と表側基材23の間に保持されて、図示しない温度制御装置に接続されるリード線36に結線されている。
【0022】
また、製造したヒータエレメント14は、幅方向(短手方向)WDの側縁16c,16d側が、被覆層10に巻き付ける際、把持部Rの内周面側に配置されて、シワを発生し易いことから、予め、側縁16c,16d側に、三角形状の切欠き17を設けておく(
図3参照)。
【0023】
実施形態のステアリングホイールWの製造では、ステアリングホイール本体1における芯金2の把持芯材部4と把持芯材部4近傍のスポーク芯材部6,7との周囲に、被覆層10を設けた後、被覆層10の外周面10a側にヒータエレメント14を貼着させる。その際、左右のヒータエレメント14の端縁16a,16b相互を付き合わせるように、引っ張りつつ、ヒータエレメント14の側縁16c,16d側を、
図6に示すように、引っ張りつつ、被覆層10の外周面10a側に貼着させる。その際、側縁16c,16dが、裏側基材20と表側基材23とを接着させた2層構造でなく、表側基材23だけの単層部25としていることから、伸び易く、把持部Rの内周面側における被覆層10の外周面10aにおける内側面10c側に、シワを生じさせずに、貼着することができる。勿論、側縁16c,16d側には、切欠き17も配設されており、側縁16c,16d側は、外周面10aへの貼着時、切欠き17を狭める状態として、一層、シワを生じさせずに、把持部Rの内周面側における被覆層10の外周面10aに、貼着することができる。なお、被覆層10の外周面10aの外側面10b側では、左右のヒータエレメント14の端縁16a,16b相互を付き合わせるように、引っ張りつつ、貼着させる。
【0024】
ヒータエレメント14を貼着した後には、ヒータエレメント14の外周面側に、粘着剤38を利用して、表皮層40として皮革41を巻き付ければ、ステアリングホイール本体1を製造できる。その後は、ボス部Bの下部側に図示しないロアカバーを取り付けつつ、ボス部Bのボス5aを、車両のステアリングシャフトに締結し、ボス部Bの上部側に、エアバッグ装置45を取り付ければ、ステアリングホイールWを組み立てることができるとともに、ステアリングホイールWを車両に搭載することができる。なお、エアバッグ装置45を取り付ける際には、ヒータエレメント14のリード線36を、運転者の把持を検知可能な図示しない検知回路から伸びるリード線に結線させておく。
【0025】
車両に搭載されたステアリングホイールWでは、図示しない温度制御装置の制御により、ヒータエレメント14のヒータ線35に通電されて、把持部Rが所定温度に昇温されることとなる。
【0026】
そして、実施形態のステアリングホイールWでは、ヒータエレメント14の帯状のシート体16を、被覆層10の外周面10a側に貼着させるように、短手方向WDに伸ばす際、短手方向WDの両縁16c,16dが、被覆層10側の裏側基材20と表皮層40側の表側基材23との2層を配設させておらず、一方側の単層部25から構成されており、相互に接着された裏側基材20と表側基材23との2層構造でないことから、容易に、短手方向WDに伸ばすことができて、把持部Rにおける操舵中心軸CO側となる内周側(内側面10c側)にシワを生じさせずに、ヒータエレメント14を被覆層10の外周面10a側に貼着させることができる。そのため、その後に表皮層40を配設させても、シワ無く、円滑に、表皮層40が配設される。
【0027】
したがって、実施形態のステアリングホイールWでは、ヒータエレメント14の周囲に表皮層40が設けられても、ヒータエレメント14にシワが生じ難いことから、シワ無く配設できて、感触の低下を抑制できる。
【0028】
そして、実施形態のステアリングホイールWでは、ヒータエレメント14のシート体16における短手方向WDの両縁16c,16dが、それぞれ、表側基材23の単層部25として、形成されている。
【0029】
そのため、実施形態では、表皮層40に近い側の表側基材23が、短手方向WDの全域を構成することから、被覆層10に貼着させたヒータエレメント14の外表面側を、段差を抑制した面一状とすることができて、その後に表皮層40を配設させる際、一層、シワ無く、表皮層40を配設させることができる。
【0030】
勿論、
図7に示すヒータエレメント14Aのシート体16Aのように、短手方向WDの両縁16c,16dを、裏側基材20A側の単層部25Aから、構成してもよい。すなわち、ヒータ線35を挟持するように保持する基材19Aとして裏側基材20Aと表側基材23Aとにおいて、短手方向WDの両縁16c,16dが、裏側基材20Aだけで構成されている。なお、これらの裏側基材20Aと表側基材23Aとは、実施形態の裏側基材20や表側基材23と同じ発泡ポリウレタンから形成されている。
【0031】
この場合のシート体16Aでも、被覆層10の外周面10a側に貼着させるように、短手方向WDに伸ばす際、短手方向WDの両縁16c,16dが、被覆層10側の裏側基材20Aと表皮層40側の表側基材23Aとの2層を配設させておらず、一方側の単層部25Aから構成されており、相互に接着された裏側基材20Aと表側基材23Aとの2層構造でないことから、容易に、短手方向WDに伸ばすことができて、把持部Rにおける操舵中心軸CO側となる内周側(内側面10c側)にシワを生じさせずに、ヒータエレメント14Aを被覆層10の外周面10a側に貼着させることができる。そのため、その後に表皮層40を配設させても、シワ無く、円滑に、表皮層40が配設される。
【0032】
なお、ヒータエレメントの長手方向LDにも伸びやすいように構成する場合には、例えば、
図8~10に示すように、表側基材23Bに、短手方向WDに沿って形成され、かつ、長手方向LDに並設されるように、多数のスリット26を形成したヒータエレメント14Bを使用してもよい。スリット26は、表側基材23Bの表皮層40側となる表面側に形成されている。
【0033】
このヒータエレメント14Bでは、ヒータ線35を挟持するように保持する基材19Bとして裏側基材20Bと表側基材23Bとにおいて、短手方向WDの両縁16c,16dが、表側基材23Bだけで構成されている。なお、これらの裏側基材20Bと表側基材23Bとは、実施形態の裏側基材20や表側基材23と同じ発泡ポリウレタンから形成されている。
【0034】
このヒータエレメント14Bでは、被覆層10の外表面10aに貼着させる際、シート体16Bにおける短手方向WDの両縁16c,16dが単層部25Bから構成されており、内側面10c側(
図6参照)にシワ無く、貼り付けることができる。そしてさらに、ヒータエレメント14Bの帯状のシート体16Bを、被覆層10の外周面10a側に貼着させるように、長手方向LDに伸ばす際、外周面10aの外側面10b側では、
図10に示すように、各スリット26がスリット26内の対向壁26b,26b相互を広げるように開口して、容易に、長手方向LDに伸びて、シワを生じさせずに、被覆層10の外周面10a側に貼着させることができる。そのため、その後に表皮層40を配設させても、シワ無く、円滑に、表皮層40が配設されることとなる。
【0035】
ちなみに、上記のようなスリット26は、発泡ポリウレタン製の裏側基材20Bと表側基材23Bとが相互に接着された2層構造としたヒータエレメント14Bであって、長手方向LDの伸びが抑制されている場合に、好適となる。
【0036】
なお、表側基材23Bにスリットを設ける場合、表面側のスリット26だけでなく、裏面側にもスリットを配設してもよい。
【符号の説明】
【0037】
3…芯材、4…把持芯材部、10…被覆層、10a…外周面、14,14A,14B…ヒータエレメント、16,16A,16B…シート体、16a…側縁、
16b…側縁、20,20A,20B…裏側基材、23,23A,23B…表側基材、25,25A,25B…単層部、35…ヒータ線、40…表皮層、
WD…(シート体の)短手方向、LD…(シート体の)長手方向、R…把持部、CO…操舵中心軸、W…ステアリングホイール。