(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 20/16 20160101AFI20231129BHJP
B60K 6/445 20071001ALI20231129BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20231129BHJP
B60W 10/06 20060101ALI20231129BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20231129BHJP
B60W 20/00 20160101ALI20231129BHJP
【FI】
B60W20/16 ZHV
B60K6/445
B60L3/00 J
B60W10/06 900
B60W10/08 900
B60W20/00 900
(21)【出願番号】P 2021113569
(22)【出願日】2021-07-08
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】熊沢 卓
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-150649(JP,A)
【文献】特開2001-207886(JP,A)
【文献】特開2008-157243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 20/16
B60W 20/00
B60K 6/445
B60W 10/08
B60W 10/06
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の動力および多相回転電機の動力が駆動輪に伝達可能なハイブリッド車両に適用され、
トルク減少処理、停止処理、変動トルク付与処理、および禁止処理を実行し、
前記トルク減少処理は、前記多相回転電機の特定の相の電流の大きさが規定値以上となる状態が継続する場合、前記多相回転電機のトルクを減少させる処理であり、
前記停止処理は、一部の気筒における燃焼制御を停止して且つ残りの気筒における燃焼制御を継続する処理であり、
前記変動トルク付与処理は、前記停止処理が実行されている場合、前記多相回転電機のトルクを、前記内燃機関において圧縮上死点が出現する周期の整数倍の周期で周期的に変動させる処理であり、
前記禁止処理は、前記多相回転電機の回転軸の回転速度が規定速度以下となる所定の状況において、前記停止処理の実行を禁止する処理であるハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
前記トルク減少処理の実行条件が成立するか否かを判定する判定処理を実行し、
前記禁止処理は、前記判定処理によって前記実行条件が成立すると判定される場合に前記所定の状況であるとして前記停止処理の実行を禁止する処理を含む請求項1記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
前記禁止処理は、車速が閾値以下である場合に前記所定の状況であるとして前記停止処理の実行を禁止する処理を含む請求項1記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項4】
前記禁止処理は、前記多相回転電機の回転軸の回転速度が所定値以下である場合に前記所定の状況であるとして前記停止処理の実行を禁止する処理を含む請求項1記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項5】
前記禁止処理は、前記停止処理が実行されているときに前記所定の状況となる場合、前記停止処理を中断する処理を含む請求項1~4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば下記特許文献1には、多相回転電機を備えるハイブリッド車両の制御装置が記載されている。この制御装置は、多相回転電機の特定の1つの相に流れる電流が他の相よりも大きい状態が継続する場合、多相回転電機のトルクを減少させる。これは、車両の微小なずり下がりによって駆動輪を回転させ、ひいては多相回転電機を回転させることを狙ったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者は、内燃機関の軸トルクがゼロではないときにおいて、排気の後処理装置の再生処理を実行することを検討した。詳しくは、再生処理として、一部の気筒のみ燃焼制御を停止し、残りの気筒の空燃比を理論空燃比よりもリッチとして、排気中に未燃燃料および酸素を供給することを検討した。また、発明者は、再生処理時に、内燃機関のトルク変動に起因した振動を抑制すべく、多相回転電機のトルクを脈動させることを検討した。ただし、その場合、トルクを脈動させる処理が、上記のトルクを減少させる処理に干渉し、その制御性が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.内燃機関の動力および多相回転電機の動力が駆動輪に伝達可能なハイブリッド車両に適用され、トルク減少処理、停止処理、変動トルク付与処理、および禁止処理を実行し、前記トルク減少処理は、前記多相回転電機の特定の相の電流の大きさが規定値以上となる状態が継続する場合、前記多相回転電機のトルクを減少させる処理であり、前記停止処理は、一部の気筒における燃焼制御を停止して且つ残りの気筒における燃焼制御を継続する処理であり、前記変動トルク付与処理は、前記停止処理が実行されている場合、前記多相回転電機のトルクを、前記内燃機関において圧縮上死点が出現する周期の整数倍の周期で周期的に変動させる処理であり、前記禁止処理は、前記多相回転電機の回転軸の回転速度が規定速度以下となる所定の状況において、前記停止処理の実行を禁止する処理であるハイブリッド車両の制御装置である。
【0006】
停止処理がなされていない場合であっても、内燃機関のトルクは、圧縮上死点が出現する周期で変動する。また、停止処理によって、内燃機関のトルクは、一部の気筒の圧縮上死点が出現する周期で変動する。そのため、停止処理の有無にかかわらず、内燃機関のトルクの変動は、圧縮上死点が出現する周期の整数倍となる傾向がある。特に、停止処理を実行する場合には、実行しない場合と比較して、内燃機関のトルク変動が大きくなる。そこで、上記構成では、変動トルク付与処理によって、圧縮上死点が出現する周期の整数倍の周期で回転電機のトルクを周期的に変動させることによって、停止処理に起因して生じる振動を抑制する。
【0007】
ところで、多相回転電機の回転軸の回転速度が規定速度以下となる所定の状況においては、トルク減少処理が実行される可能性がある。そして、トルク減少処理が実行される場合に変動トルク付与処理を実行する場合、変動トルク付与処理がトルク減少処理に干渉するおそれがある。そこで上記構成では、所定の状況において停止処理を禁止する。これにより、トルク減少処理が実行される場合に変動トルク付与処理が実行されることを抑制できる。
【0008】
2.前記トルク減少処理の実行条件が成立するか否かを判定する判定処理を実行し、前記禁止処理は、前記判定処理によって前記実行条件が成立すると判定される場合に前記所定の状況であるとして前記停止処理の実行を禁止する処理を含む上記1記載のハイブリッド車両の制御装置である。
【0009】
上記構成では、実行条件が成立すると判定される場合に所定の状況であるとして停止処理を禁止することにより、実際にはトルク減少処理が実行されないにもかかわらず、停止処理が禁止されることを抑制できる。
【0010】
3.前記禁止処理は、車速が閾値以下である場合に前記所定の状況であるとして前記停止処理の実行を禁止する処理を含む上記1記載のハイブリッド車両の制御装置である。
トルク減少処理は、回転電機のトルクが駆動輪に加わる外力等とほぼ釣り合うことによって停車状態またはそれに準じた状態となる場合に実行される。そのため、上記構成では、車速が閾値以下である場合に所定の状況であるとして停止処理を禁止する。これにより、トルク減少処理が実行される場合に停止処理が実行されることを抑制でき、ひいては変動トルク付与処理が実行されることを抑制できる。
【0011】
4.前記禁止処理は、前記多相回転電機の回転軸の回転速度が所定値以下である場合に前記所定の状況であるとして前記停止処理の実行を禁止する処理を含む上記1記載のハイブリッド車両の制御装置である。
【0012】
トルク減少処理は、多相回転電機のトルクが外力等とほぼ釣り合うことで多相回転電機がほぼ静止状態となる場合に実行される。そのため、上記構成では、多相回転電機の回転速度が所定値以下である場合に所定の状況であるとして停止処理を禁止する。これにより、トルク減少処理が実行される場合に停止処理が実行されることを抑制でき、ひいては変動トルク付与処理が実行されることを抑制できる。
【0013】
5.前記禁止処理は、前記停止処理が実行されているときに前記所定の状況となる場合、前記停止処理を中断する処理を含む上記1~4のいずれか1つに記載のハイブリッド車両の制御装置である。
【0014】
上記構成では、停止処理が実行されているときに所定の状況とは異なる状況から所定の状況に遷移する場合、停止処理を中断する。これにより、トルク減少処理が実行される場合に変動トルク付与処理が実行されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】同実施形態にかかる制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図。
【
図3】同実施形態にかかる制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図。
【
図4】同実施形態にかかる制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図。
【
図5】同実施形態にかかる制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図。
【
図6】同実施形態にかかる制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、内燃機関10は、4つの気筒#1~#4を備える。内燃機関10の吸気通路12には、スロットルバルブ14が設けられている。吸気通路12の下流部分である吸気ポート12aには、吸気ポート12aに燃料を噴射するポート噴射弁16が設けられている。吸気通路12に吸入された空気やポート噴射弁16から噴射された燃料は、吸気バルブ18の開弁に伴って、燃焼室20に流入する。燃焼室20には、筒内噴射弁22から燃料が噴射される。また、燃焼室20内の空気と燃料との混合気は、点火プラグ24の火花放電に伴って燃焼に供される。そのときに生成される燃焼エネルギは、クランク軸26の回転エネルギに変換される。
【0017】
燃焼室20において燃焼に供された混合気は、排気バルブ28の開弁に伴って、排気として排気通路30に排出される。排気通路30には、酸素吸蔵能力を有した三元触媒32と、ガソリンパティキュレートフィルタ(GPF34)とが設けられている。なお、GPF34は、PMを捕集するフィルタに三元触媒が担持されたものである。
【0018】
クランク軸26は、動力分割装置を構成する遊星歯車機構50のキャリアCに機械的に連結されている。遊星歯車機構50のサンギアSには、第1モータジェネレータ52の回転軸52aが機械的に連結されている。また、遊星歯車機構50のリングギアRには、第2モータジェネレータ54の回転軸54aと駆動輪60とが機械的に連結されている。第1モータジェネレータ52の端子には、第1インバータ56によって交流電圧が印加される。また、第2モータジェネレータ54の端子には、第2インバータ58によって交流電圧が印加される。
【0019】
制御装置70は、内燃機関10を制御対象とし、その制御量としてのトルクや排気成分比率等を制御するために、スロットルバルブ14、ポート噴射弁16、筒内噴射弁22、および点火プラグ24等の内燃機関10の操作部を操作する。また、制御装置70は、第1モータジェネレータ52を制御対象とし、その制御量であるトルクを制御すべく、第1インバータ56を操作する。また、制御装置70は、第2モータジェネレータ54を制御対象とし、その制御量であるトルクを制御すべく第2インバータ58を操作する。
図1には、スロットルバルブ14、ポート噴射弁16、筒内噴射弁22、点火プラグ24、第1インバータ56および第2インバータ58のそれぞれの操作信号MS1~MS6を記載している。制御装置70は、内燃機関10の制御量を制御するために、エアフローメータ80によって検出される吸入空気量Ga、およびクランク角センサ82の出力信号Scrを参照する。また制御装置70は、水温センサ84によって検出される水温THW、および電流センサ86によって検出される第2インバータ58の出力線電流である電流iu,iv,iwを参照する。また、制御装置70は、第1モータジェネレータ52の制御量を制御するために、第1モータジェネレータ52の回転角を検知する第1回転角センサ90の出力信号Sm1を参照する。また、制御装置70は、第2モータジェネレータ54の制御量を制御するために、第2モータジェネレータ54の回転角を検知する第2回転角センサ92の出力信号Sm2を参照する。また、制御装置70は、リングギアRの回転角を検知する出力側回転角センサ94の出力信号Spと、アクセルセンサ96によって検出されるアクセルペダルの踏み込み量であるアクセル操作量ACCPと、を参照する。
【0020】
制御装置70は、CPU72、ROM74、および周辺回路76を備えており、それらが通信線78によって通信可能とされている。ここで、周辺回路76は、内部の動作を規定するクロック信号を生成する回路、電源回路、およびリセット回路等を含む。制御装置70は、ROM74に記憶されたプログラムをCPU72が実行することにより制御量を制御する。
【0021】
以下では、制御装置70が実行する処理のうち、GPF34の再生処理、再生処理に伴う振動抑制処理、および第2モータジェネレータ54を保護する処理について説明する。
「GPF34の再生処理について」
図2に、再生処理の手順を示す。
図2に示す処理は、ROM74に記憶されたプログラムをCPU72がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって、各処理のステップ番号を表現する。
【0022】
図2に示す一連の処理において、CPU72は、まず、機関回転速度NE、充填効率ηおよび水温THWを取得する(S10)。機関回転速度NEは、クランク軸26の回転速度である。機関回転速度NEは、CPU72により、出力信号Scrに基づき算出される。また、充填効率ηは、CPU72により、機関回転速度NEおよび吸入空気量Gaに基づき算出される。
【0023】
次にCPU72は、機関回転速度NE、充填効率ηおよび水温THWに基づき、堆積量DPMの更新量ΔDPMを算出する(S12)。ここで、堆積量DPMは、GPF34に捕集されているPMの量である。詳しくは、CPU72は、機関回転速度NE、充填効率ηおよび水温THWに基づき排気通路30に排出される排気中のPMの量を算出する。また、CPU72は、機関回転速度NEおよび充填効率ηに基づきGPF34の温度を算出する。そしてCPU72は、排気中のPMの量やGPF34の温度に基づき更新量ΔDPMを算出する。なお、後述のS22の処理の実行時には、増量係数Kに基づき、GPF34の温度および更新量ΔDPMを算出すればよい。
【0024】
次にCPU72は、堆積量DPMを、更新量ΔDPMに応じて更新する(S14)。次に、CPU72は、実行フラグFcが「1」であるか否かを判定する(S16)。実行フラグFcは、「1」である場合に、GPF34のPMを燃焼除去するための昇温処理を実行している旨を示し、「0」である場合にそうではないことを示す。CPU72は、「0」であると判定する場合(S16:NO)、堆積量DPMが再生実行値DPMH以上であることと、後述のS22の処理が中断されている期間であることとの論理和が真であるか否かを判定する(S18)。再生実行値DPMHは、GPF34が捕集したPM量が多くなっており、PMを除去することが望まれる値に設定されている。
【0025】
CPU72は、論理和が真であると判定する場合(S18:YES)、GPF34の実行要求があると判定して、後述の減少フラグFlが「0」であるか否かを判定する(S20)。CPU72は、「0」であると判定する場合(S20:YES)、昇温処理を実行し、実行フラグFcに「1」を代入する(S22)。本実施形態にかかる昇温処理として、CPU72は、気筒#1のポート噴射弁16および筒内噴射弁22からの燃料の噴射を停止し、気筒#2,#3,#4の燃焼室20内の混合気の空燃比を理論空燃比よりもリッチとする。この処理は、第1に三元触媒32の温度を上昇させるための処理である。すなわち、排気通路30に酸素と未燃燃料とを排出することによって、三元触媒32において未燃燃料を酸化させて三元触媒32の温度を上昇させる。第2に、GPF34の温度を上昇させ、高温となったGPF34に酸素を供給してGPF34が捕集したPMを酸化除去するための処理である。すなわち、三元触媒32の温度が高温となると、高温の排気がGPF34に流入することによってGPF34の温度が上昇する。そして、高温となったGPF34に酸素が流入することによって、GPF34が捕集したPMが酸化除去される。
【0026】
詳しくは、CPU72は、気筒#1のポート噴射弁16および筒内噴射弁22に対する要求噴射量Qdに「0」を代入する。一方、CPU72は、気筒#2,#3,#4の要求噴射量Qdに、ベース噴射量Qbに増量係数Kを乗算した値を代入する。
【0027】
CPU72は、増量係数Kを、気筒#2,#3,#4から排気通路30に排出される排気中の未燃燃料が、気筒#1から排出される酸素と過不足なく反応する量以下となるように設定する。詳しくは、CPU72は、GPF34の再生処理の初期には、三元触媒32の温度を早期に上昇させるべく、気筒#2,#3,#4内の混合気の空燃比を、上記過不足なく反応する量に極力近い値とする。
【0028】
一方、CPU72は、実行フラグFcが「1」であると判定する場合(S16:YES)、堆積量DPMが停止用下限ガード値DPML以下であるか否かを判定する(S24)。停止用下限ガード値DPMLは、GPF34に捕集されているPMの量が十分に小さくなり、再生処理を停止させてもよい値に設定されている。CPU72は、停止用下限ガード値DPMLよりも大きいと判定する場合(S24:NO)、S20の処理に移行する。
【0029】
一方、CPU72は、停止用下限ガード値DPML以下となる場合(S24:YES)と、S20の処理において否定判定する場合と、には、S22の処理を停止または中断し、実行フラグFcに「0」を代入する(S26)。ここで、S24の処理において肯定判定される場合には、S22の処理が完了したとして停止され、S20の処理において否定判定された場合には、S22の処理が未だ完了していない段階で中断される。
【0030】
なお、CPU72は、S22,S26の処理を完了する場合や、S18の処理において否定判定する場合には、
図2に示す一連の処理を一旦終了する。
(再生処理に伴う振動抑制処理)
図3に、再生処理に伴う振動抑制処理の手順を示す。
図3に示す処理は、ROM74に記憶されたプログラムをCPU72がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。
【0031】
図3に示す一連の処理において、CPU72は、まず、機関回転速度NE、第1回転速度Nmg1、第2回転速度Nmg2、機関要求トルクTe*、第1要求出力Pmg1*、および第2要求出力Pmg2*を取得する(S30)。第1回転速度Nmg1は、第1モータジェネレータ52の回転軸52aの回転速度である。第1回転速度Nmg1は、CPU72により、出力信号Sm1に基づき算出される。第2回転速度Nmg2は、第2モータジェネレータ54の回転軸54aの回転速度である。第2回転速度Nmg2は、CPU72により、出力信号Sm2に基づき算出される。また、機関要求トルクTe*は、内燃機関10に対する要求トルクである。また、第1要求出力Pmg1*は、第1モータジェネレータ52に対する要求出力である。また、第2要求出力Pmg2*は、第2モータジェネレータ54に対する要求出力である。これら要求トルクおよび要求出力は、CPU72によって算出される。CPU72は、機関回転速度NEと機関要求トルクTe*との積である機関要求出力Pe*と、上記2つの要求出力との和が、要求出力Pd*となるようにする。要求出力Pd*は、要求駆動トルクTrq*および出力側回転速度Npの積と、第1モータジェネレータ52に対する要求発電量Pg*との和である。要求駆動トルクTrq*は、駆動輪60に要求されるトルクであり、CPU72によりアクセル操作量ACCPに基づき算出される。出力側回転速度Npは、リングギアRの回転速度であり、CPU72により、出力信号Spに基づき算出される。
【0032】
次にCPU72は、第1要求出力Pmg1*を第1回転速度Nmg1で除算した値を、第1要求トルクベース値Tmg1b*に代入する(S32)。また、CPU72は、第2要求出力Pmg2*を第2回転速度Nmg2で除算した値を、第2要求トルクベース値Tmg2b*に代入する(S34)。
【0033】
次に、CPU72は、実行フラグFcが「1」であるか否かを判定する(S36)。CPU72は、実行フラグFcが「1」であると判定する場合(S36:YES)、機関回転速度NE、機関要求トルクTe*および第1回転速度Nmg1を入力とし、第1振幅A1および第1位相φ1を算出する(S38)。それらの変数は、第1要求トルクベース値Tmg1b*に重畳する第1重畳トルクΔTmg1*を定める。第1重畳トルクΔTmg1*は、第1振幅A1を有する正弦波のトルクである。なお、正弦波の位相が、第1位相φ1である。以下に、第1重畳トルクΔTmg1*を示す。
【0034】
ΔTmg1*=A1・sin(2・θe+φ1)
ここで、クランク角θeを用いた。クランク角θeは、CPU72により、出力信号Scrに基づき算出される。上記の式によれば、第1重畳トルクΔTmg1*は、180°CAの周期を有する。換言すれば、内燃機関10において圧縮上死点が出現する周期の「1」倍の周期を有する。
【0035】
CPU72は、第1要求トルクベース値Tmg1b*に第1重畳トルクΔTmg1*を加算した値を、第1要求トルクTmg1*に代入する(S40)。そして、CPU72は、第1モータジェネレータ52のトルクを第1要求トルクTmg1*に制御すべく、第1インバータ56に操作信号MS5を出力する(S42)。
【0036】
また、CPU72は、機関回転速度NE、機関要求トルクTe*および第2回転速度Nmg2を入力として、第2振幅A2および第2位相φ2を算出する(S44)。それらの変数は、第2要求トルクベース値Tmg2b*に重畳する第2重畳トルクΔTmg2*を定める。第2重畳トルクΔTmg2*は、第2振幅A2を有する正弦波のトルクである。なお、正弦波の位相が、第2位相φ2である。以下に、第2重畳トルクΔTmg2*を示す。
【0037】
ΔTmg2*=A2・sin(2・θe+φ2)
上記の式によれば、第2重畳トルクΔTmg2*は、180°CAの周期を有する。換言すれば、内燃機関10において圧縮上死点が出現する周期と同一の周期を有する。
【0038】
CPU72は、第2要求トルクベース値Tmg2b*に第2重畳トルクΔTmg2*を加算した値を、第2要求トルクTmg2*に代入する(S46)。そして、CPU72は、第2モータジェネレータ54のトルクを第2要求トルクTmg2*に制御すべく、第2インバータ58に操作信号MS6を出力する(S48)。
【0039】
一方、CPU72は、実行フラグFcが「0」であると判定する場合(S36:NO)、第1要求トルクTmg1*に第1要求トルクベース値Tmg1b*を代入する(S50)。そして、CPU72は、第1モータジェネレータ52のトルクを第1要求トルクTmg1*に制御すべく、第1インバータ56に操作信号MS5を出力する(S52)。また、CPU72は、第2要求トルクTmg2*に第2要求トルクベース値Tmg2b*を代入する(S54)。そして、CPU72は、第2モータジェネレータ54のトルクを第2要求トルクTmg2*に制御すべく、第2インバータ58に操作信号MS6を出力する(S56)。
【0040】
なお、CPU72は、S48,S56の処理を完了する場合、
図4に示す一連の処理を一旦終了する。
「第2モータジェネレータ54を保護する処理について」
図4に、第2モータジェネレータ54を保護する処理を示す。
図4に示す処理は、ROM74に記憶されたプログラムをCPU72がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。
【0041】
図4に示す一連の処理において、CPU72は、まず、電流iu,iv,iwを取得する(S60)。そしてCPU72は、以下の条件(ア)および条件(イ)の論理積が真であるか否かを判定する(S62)。
【0042】
条件(ア):電流iuの絶対値が規定値ith以上であることと、電流ivの絶対値が規定値ith以上であることと、電流iwの絶対値が規定値ith以上であることと、の論理和が真である旨の条件である。
【0043】
条件(イ):第2回転速度Nmg2が所定値Nth1以下である旨の条件である。
上記条件(イ)によれば、第2モータジェネレータ54の回転軸54aの回転速度が小さいために、U相、V相、およびW相のそれぞれの電流の位相の時間変化が非常に遅い状況を特定できる。そして、条件(ア)によれば、いずれか1相の電流の絶対値が規定値ith以上となる状態を特定できることから、条件(ア)および条件(イ)によれば、いずれか1相の電流の絶対値が規定値ith以上となる状態が継続することを特定できる。
【0044】
CPU72は、論理積が真であると判定する場合(S62:YES)、減少フラグFlに「1」を代入する(S64)。減少フラグFlは、「1」である場合に、後述のトルク減少処理を実行していることを示し、「0」である場合には、実行していないことを示す。
【0045】
そして、CPU72は、トルク減少処理を実行する(S66)。すなわち、CPU72は、S54の処理において設定した第2要求トルクTmg2*を減少補正する。その場合、S56の処理は、第2モータジェネレータ54のトルクを、減少補正された値に制御するための操作信号MS6を出力する処理となる。
【0046】
一方、CPU72は、S62の処理において否定判定する場合、減少フラグFlにゼロを代入する(S68)。
なお、CPU72は、S66,S68の処理が完了する場合、
図4に示す一連の処理を一旦終了する。
【0047】
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
登坂路等において、アクセル操作量ACCPに応じた要求駆動トルクTrq*が車両の走行に抗する力と釣り合う場合などにおいては、第2モータジェネレータ54の特定の相の電流が大きい状態が継続する。そのため、CPU72は、そうした状態を監視する。そして、CPU72は、上記状態が継続すると判定する場合、第2要求トルクTmg2*を強制的に減少補正する。これにより、駆動輪60に付与されるトルクが、アクセル操作量ACCPに応じた要求駆動トルクTrq*に対して減少することから、駆動輪60が微小に反転する。これにより、第2モータジェネレータ54の回転軸54aが回転することから、電流iu,iv,iwの位相が変化し、特定の相の電流が大きい状態が解消する。そしてこれにより、CPU72は、第2要求トルクTmg2*を、要求駆動トルクTrq*を実現するための値に戻す。
【0048】
一方、CPU72は、GPF34が捕集したPMの量が多くなる場合、再生処理を実行する。そして、再生処理による内燃機関10のトルク変動の増大に起因した車両の振動を抑制すべく、CPU72は、第2要求トルクベース値Tmg2b*に第2重畳トルクΔTmg2*を重畳する。
【0049】
CPU72は、トルク減少処理を実行する場合、再生処理を禁止する。すなわち、トルク減少処理の実行中に堆積量DPMが再生実行値DPMH以上となったとしても、再生処理の実行を禁止する。また、再生処理の実行中に、トルク減少処理が実行される場合、再生処理を中断する。これにより、トルク減少処理の実行中に第2モータジェネレータ54が第2重畳トルクΔTmg2*を出力することを抑制できる。そのため、トルク減少処理の制御性の低下を抑制ができる。
【0050】
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0051】
本実施形態では、再生処理の実行条件を第1の実施形態に対して変更する。
図5に、再生処理の手順を示す。
図5に示す処理は、ROM74に記憶されたプログラムをCPU72がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、
図5において、
図2に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付与する。
【0052】
図5に示す一連の処理において、CPU72は、S18の処理において肯定判定する場合、車速SPDが閾値Sthよりも大きいか否かを判定する(S20a)。そして、CPU72は、車速SPDが閾値Sthよりも大きいと判定する場合(S20a:YES)には、S22の処理に移行する。また、CPU72は、車速SPDが閾値Sth以下であると判定する場合(S20a:NO)、再生処理を禁止すべく、S26の処理に移行する。なお、車速SPDは、たとえば出力側回転速度Npに応じて算出すればよい。もっとも、これに代えて車輪速センサの検出値を用いて算出してもよい。
【0053】
上述のように、本実施形態では、車速SPDが閾値Sthよりも大きい旨の条件が、再生処理の実行条件である。車速SPDが小さい場合、第2回転速度Nmg2が小さくなることから、電流iu,iv,iwの位相の変化が小さくなる。そのため、電流iu,iv,iwのいずれかの大きさが規定値ith以上となる状態が継続する可能性がある。そこで、本実施形態では、車速SPDが閾値Sth以下の場合、再生処理を禁止する。
【0054】
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0055】
本実施形態では、再生処理の実行条件を第1の実施形態に対して変更する。
図6に、再生処理の手順を示す。
図6に示す処理は、ROM74に記憶されたプログラムをCPU72がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、
図5において、
図6に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付与する。
【0056】
図6に示す一連の処理において、CPU72は、S18の処理において肯定判定する場合、第2回転速度Nmg2が所定値Nth2よりも大きいか否かを判定する(S20b)。そして、CPU72は、第2回転速度Nmg2が所定値Nth2よりも大きいと判定する場合(S20b:YES)には、S22の処理に移行する。また、CPU72は、第2回転速度Nmg2が所定値Nth2以下である場合(S20b:NO)、再生処理を禁止すべく、S26の処理に移行する。
【0057】
上述のように、本実施形態では、第2回転速度Nmg2が所定値Nth2よりも大きい旨の条件が、再生処理の実行条件である。第2回転速度Nmg2が小さい場合、電流iu,iv,iwの位相の変化が小さくなる。そのため、電流iu,iv,iwのいずれかの大きさが規定値ith以上となる状態が継続する可能性がある。そこで、本実施形態では、第2回転速度Nmg2が所定値Nth2以下の場合、再生処理を禁止する。
【0058】
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]多相回転電機は、第2モータジェネレータ54に対応する。トルク減少処理は、S66の処理に対応する。停止処理は、S22の処理に対応する。変動トルク付与処理は、S44~S48の処理に対応する。禁止処理は、S20,S20a,S20bの処理において否定判定される場合にS26の処理に移行することに対応する。[2]判定処理は、S62の処理に対応する。禁止処理は、S20の処理において否定判定される場合にS26の処理に移行することに対応する。[3]禁止処理は、S20aの処理において否定判定される場合にS26の処理に移行することに対応する。[4]禁止処理は、S20bの処理において否定判定される場合にS26の処理に移行することに対応する。[5]禁止処理は、S24の処理において否定判定されて且つS20,S20a,S02bの処理において否定判定される場合にS26の処理に移行することに対応する。
【0059】
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0060】
「トルク減少処理の実行条件について」
・トルク減少処理の実行条件としては、上記条件(ア)および条件(イ)の論理積が真である旨の条件に限らない。たとえば、上記条件(ア)に代えて、いずれか1相の電流が閾値ith以上である継続時間が所定時間以上である旨の条件を用いてもよい。なお、その場合、上記条件(イ)を省いてもよい。換言すれば、いずれか1相の電流が閾値ith以上である継続時間が所定時間以上である旨の条件を、実行条件としてもよい。
【0061】
・実行条件としては、相電流に関する条件を含む条件に限らない。たとえば、上記条件(イ)と、以下の条件(ウ)および条件(エ)の論理積が真である旨の条件であってもよい。
【0062】
条件(ウ):第2モータジェネレータ54の温度が所定温度以上である旨の条件である。
条件(エ):第2インバータ58の温度が所定温度以上である旨の条件である。
【0063】
また、たとえば上記条件(イ)と、条件(ウ)との論理積が真である旨の条件としてもよい。また、たとえば、上記条件(イ)と、条件(エ)との論理積が真である旨の条件としてもよい。
【0064】
・実行条件に、アクセルホールド状態である旨の条件を含めてもよい。ここで、アクセルホールド状態とは、アクセル操作によって上り坂にて車両がほぼ停止している状態である。アクセルホールド状態であるか否かは、アクセル操作量ACCPおよび車速SPDに基づき判定できる。
【0065】
「禁止処理について」
・
図5の処理では、車速SPDが閾値Sth以下である場合に、再生処理を禁止したが、これに限らない。たとえば、車速SPDが閾値Sth以下であることと、第2モータジェネレータ54のトルクを示す変数の値が所定値以上であることとの論理積が真である場合に、再生処理を禁止してもよい。ここで、トルクを示す変数の値は、電流等から算出されるトルク、第2モータジェネレータ54に対する要求トルク、および第2モータジェネレータ54を流れる電流のいずれかによって構成すればよい。なお、第2モータジェネレータ54に対する要求トルクとしては、第2要求トルクTmg2*または第2要求トルクベース値Tmg2b*を用いることができる。
【0066】
・
図6の処理では、第2回転速度Nmg2が所定値Nth2以下である場合に、再生処理を禁止したが、これに限らない。たとえば、第2回転速度Nmg2が所定値Nth2以下であることと、第2モータジェネレータ54のトルクを示す変数の値が所定値以上であることとの論理積が真である場合に、再生処理を禁止してもよい。ここで、トルクを示す変数の値は、電流等から算出されるトルク、第2モータジェネレータ54に対する要求トルク、および第2モータジェネレータ54を流れる電流のいずれかによって構成すればよい。
【0067】
「変動トルク付与処理について」
・上記実施形態では、再生処理時においては、気筒#2~#4の燃焼エネルギによって、機関要求トルクTe*と、内燃機関10に対する要求出力とを満たすことを想定したが、これに限らない。たとえば、機関要求トルクTe*に応じて、気筒#1~#4の全てで燃焼制御が実行される場合の開口度にスロットルバルブ14を操作してもよい。その場合、第1重畳トルクΔTmg1*および第2重畳トルクΔTmg2*の少なくとも一方に直流成分を含め、気筒#1の燃焼制御の停止に起因した内燃機関10の出力の低下分を補償すればよい。
【0068】
・
図3においては、第1振幅A1および第1位相φ1を、機関回転速度NE、機関要求トルクTe*および第1回転速度Nmg1に応じて可変設定したが、これに限らない。たとえば、再生処理を実行する機関回転速度NEを狭い範囲に制限するのであれば、機関要求トルクTe*および第1回転速度Nmg1のみに応じて可変設定してもよい。また、そのときの第1回転速度Nmg1についても狭い範囲に制限されている場合には、機関要求トルクTe*のみに応じて可変設定してもよい。
【0069】
また、第1振幅A1および第1位相φ1を、機関回転速度NE、機関要求トルクTe*および第1回転速度Nmg1のうちのいくつかのみに応じて可変設定するものに限らない。たとえば、機関要求出力Pe*と機関回転速度NEと第1回転速度Nmg1とに応じて可変設定してもよい。
【0070】
・第1重畳トルクΔTmg1*のうちの変動成分としては、正弦波状のトルクに限らない。
・第1重畳トルクΔTmg1*を付与することなく、第2重畳トルクΔTmg2*のみで再生処理に起因した振動を抑制する処理を構成してもよい。
【0071】
・
図3においては、第2振幅A2および第2位相φ2を、機関回転速度NE、機関要求トルクTe*および第2回転速度Nmg2に応じて可変設定したが、これに限らない。たとえば、再生処理を実行する機関回転速度NEを狭い範囲に制限するのであれば、機関要求トルクTe*および第2回転速度Nmg2のみに応じて可変設定してもよい。
【0072】
また、第2振幅A2および第2位相φ2を、機関回転速度NE、機関要求トルクTe*および第2回転速度Nmg2のうちのいくつかのみに応じて可変設定するものに限らない。たとえば、機関要求出力Pe*と機関回転速度NEと第2回転速度Nmg2とに応じて可変設定してもよい。
【0073】
・第2重畳トルクΔTmg2*としては、正弦波状のトルクに限らない。たとえば、1燃焼サイクルにおいて、1ストロークに限ってパルス波形を有し、それ以外ではゼロとなるトルクであってもよい。
【0074】
「停止処理について」
・停止処理としては、再生処理に限らない。たとえば、内燃機関10の出力を調整するために一部の気筒における燃料の供給を停止する処理であってもよい。またたとえば、三元触媒32の酸素吸蔵量が規定値以下となる場合に、三元触媒32に酸素を供給すべく一部の気筒のみ燃焼制御を停止し、残りの気筒における混合気の空燃比を理論空燃比とする制御を実行する処理であってもよい。
【0075】
「堆積量の推定について」
・堆積量DPMの推定処理としては、
図3において例示したものに限らない。たとえば、GPF34の上流側と下流側との圧力の差と吸入空気量Gaとに基づき堆積量DPMを推定してもよい。具体的には、圧力の差が大きい場合に小さい場合よりも堆積量DPMを大きい値に推定し、圧力の差が同一であっても、吸入空気量Gaが小さい場合に大きい場合よりも堆積量DPMを大きい値に推定すればよい。
【0076】
「後処理装置について」
・GPF34としては、排気通路30のうちの三元触媒32の下流に設けられるものに限らない。また、後処理装置がGPF34を備えること自体必須ではない。GPF34としては、三元触媒が担持されたフィルタに限らない。たとえば、上流に三元触媒を備える場合には、フィルタのみであってもよい。
【0077】
「制御装置について」
・制御装置としては、CPU72とROM74とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理するたとえばASIC等の専用のハードウェア回路を備えてもよい。すなわち、制御装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
【0078】
「多相回転電機について」
・多相回転電機としては、3相の回転電機に限らず、たとえば5相の回転電機等であってもよい。
【0079】
・ハイブリッド車両が備える多相回転電機としては、第1モータジェネレータ52および第2モータジェネレータ54に限らない。換言すれば、ハイブリッド車両としては、シリーズ・パラレルハイブリッド車両に限らない。たとえば、パラレルハイブリッド車両であってもよい。
【符号の説明】
【0080】
10…内燃機関
26…クランク軸
50…遊星歯車機構
52…第1モータジェネレータ
54…第2モータジェネレータ
56…第1インバータ
58…第2インバータ
60…駆動輪
70…制御装置