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特許7392744画像形成装置及び画像形成方法、制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成方法、制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20231129BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231129BHJP
   B65H 3/06 20060101ALI20231129BHJP
   B65H 3/12 20060101ALI20231129BHJP
   B65H 3/44 20060101ALI20231129BHJP
   B65H 7/18 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G03G15/00 303
B41J29/38 202
B65H3/06 350A
B65H3/12 310C
B65H3/44 J
B65H7/18
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022011218
(22)【出願日】2022-01-27
(62)【分割の表示】P 2017172778の分割
【原出願日】2017-09-08
(65)【公開番号】P2022062122
(43)【公開日】2022-04-19
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷上 進也
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-327412(JP,A)
【文献】特開2009-208945(JP,A)
【文献】特開2011-140359(JP,A)
【文献】特開2011-013678(JP,A)
【文献】特開2003-084507(JP,A)
【文献】特開2003-212371(JP,A)
【文献】特開2006-027797(JP,A)
【文献】特開2012-181223(JP,A)
【文献】特開平01-187137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
B41J 29/38
B65H 3/06
B65H 3/12
B65H 3/44
B65H 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記用紙を格納する用紙格納部と、
前記用紙格納部に格納された用紙を前記画像形成部へエア給紙する給紙部と、
前記給紙部により給紙された用紙の特性を検知する用紙特性検知部と、
前記用紙特性検知部で検知された用紙の特性に基づいて、前記画像形成部における画像形成を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記用紙格納部に格納された第1の用紙に対しエア給紙の風量を変化させながら給紙処理を行い、前記給紙処理によって給紙された前記第1の用紙に対して前記用紙特性検知部による前記第1の用紙の特性の検知結果に基づいて設定された、給紙条件を含む画像形成条件により前記用紙格納部に格納された第2の用紙を給紙し画像形成を行う、
画像形成装置。
【請求項2】
前記エア給紙は、エア吸引力を用いてトレイに格納された用紙を供給する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記給紙処理は、前記第1の用紙に対して前記エア給紙の風量を上げながら風量を変化させる処理である、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、吸引エアを発生させて用紙を吸着する吸着ファンおよびエアを用紙に送ることで用紙を捌く捌きファンの少なくとも一つの風量を上げながら風量を変化させる、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、風量を段階的に上げながら風量を変化させる、請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記給紙部は、前記用紙格納部に格納された用紙を給紙するエア搬送部を備えており、
前記エア搬送部は、エア吸引量を調節するためのファンを複数備えている
請求項2または4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記用紙特性検知部は、複数の前記用紙格納部から給紙される用紙が搬送される共通の搬送路に設けられている
請求項1~6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
複数の前記用紙格納部の中から、前記用紙特性検知部で特性検知を行うために用いる第1の用紙を給紙する用紙格納部を指定する格納部指定部と、を備えた
請求項1~7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記用紙特性検知部における前記第1の用紙の特性検知が終了した後に、前記画像形成部による画像形成を開始する
請求項1~8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記用紙特性検知部で特性検知を行った前記第1の用紙に対して、前記画像形成部が画像形成を行わないようにする
請求項1~8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記用紙格納部から給紙された用紙を前記画像形成部へ搬送する搬送路に前記用紙の有無を検知する用紙検知部を備えた
請求項1~10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記給紙部は、
前記画像形成部で画像を形成する前に、前記用紙特性検知部で特性検知を行う第1の用紙を給紙する第1給紙部と、
前記用紙特性検知部による前記第1の用紙の特性検知が終了した後に、前記画像形成部で画像を形成する第2の用紙を給紙する第2給紙部と、を備えた
請求項1~11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
画像形成装置は、前記画像形成部を有する画像形成装置本体および前記給紙部を有する給紙装置を含む請求項1~12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
画像形成装置が備える画像形成部により、用紙に画像を形成する画像形成ステップと、
画像形成装置が備える給紙部により、用紙格納部に格納された用紙を前記画像形成部へエア給紙する給紙ステップと、
画像形成装置が備える用紙特性検知部により、前記給紙部により給紙された用紙の特性を検知する検知ステップと、
画像形成装置が備える制御部により、前記用紙特性検知部で検知された用紙の特性に基づいて、前記画像形成部における画像形成を制御する制御ステップと、を備え、
前記給紙ステップにおいて、前記用紙格納部に格納された第1の用紙に対しエア給紙の風量を変化させながら給紙処理を行い、前記給紙処理によって給紙された前記第1の用紙に対して前記用紙特性検知部による前記第1の用紙の特性の検知結果に基づいて設定された、給紙条件を含む画像形成条件により前記用紙格納部に格納された第2の用紙を給紙し画像形成を行う、
画像形成方法。
【請求項15】
用紙の特性を検知可能な用紙特性検知部を有する画像形成装置のコンピュータにより実行可能な制御プログラムであって、
前記画像形成装置が備える画像形成部により用紙に画像を形成させる画像形成ステップと、
前記画像形成装置が備える給紙部により、用紙格納部に格納された用紙を前記画像形成部へエア給紙させる給紙ステップと、
前記用紙特性検知部により、前記給紙部により給紙された用紙の特性を検知させる検知ステップと、
前記用紙特性検知部で検知された用紙の特性に基づいて、前記画像形成部における画像形成を制御させる制御ステップと、を備え、
前記給紙ステップにおいて、前記用紙格納部に格納された第1の用紙に対しエア給紙の風量を変化させながら給紙処理を行わせ、前記給紙処理によって給紙された前記第1の用紙に対して前記用紙特性検知部による前記第1の用紙の特性の検知結果に基づいて設定された、給紙条件を含む画像形成条件により前記用紙格納部に格納された第2の用紙を給紙させて画像形成を行わせる、
前記コンピュータに実行可能な制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関する。また、本発明は、画像形成装置のコンピュータにより実行可能な制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置では、用紙の種類等に基づいて適切な用紙の搬送条件等を設定し、画像形成が行われている。
そのため、装置の内部に、用紙の種類等を自動的に判別する判別装置を備えた画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-181223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、判別装置で用紙の種類等を判別する前においては、適切な用紙の給紙条件等がわからないため、判別に使用する用紙が判別装置に到達する前に、ノーフィードや重送などの給紙エラーが発生するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、本発明の画像形成装置及び画像形成方法、制御プログラムでは、種類等の判別に使用する用紙における給紙不良の発生を防ぐことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、用紙に画像を形成する画像形成部と、用紙を格納する用紙格納部と、用紙格納部に格納された用紙を画像形成部へエア給紙する給紙部と、給紙部により給紙された用紙の特性を検知する用紙特性検知部と、用紙特性検知部で検知された用紙の特性に基づいて、画像形成部における画像形成を制御する制御部と、を備える。制御部は、用紙格納部に格納された第1の用紙に対しエア給紙の風量を変化させながら給紙処理を行い、給紙処理によって給紙された第1の用紙に対して用紙特性検知部による第1の用紙の特性の検知結果に基づいて設定された、給紙条件を含む画像形成条件により用紙格納部に格納された第2の用紙を給紙し画像形成を行う。
【0007】
本発明の画像形成方法は、画像形成装置が備える画像形成部により、用紙に画像を形成する画像形成ステップと、画像形成装置が備える給紙部により、用紙格納部に格納された用紙を前記画像形成部へエア給紙する給紙ステップと、画像形成装置が備える用紙特性検知部により、給紙部により給紙された用紙の特性を検知する検知ステップと、画像形成装置が備える制御部により、用紙特性検知部で検知された用紙の特性に基づいて、画像形成部における画像形成を制御する制御ステップと、を備え、給紙ステップにおいて、用紙格納部に格納された第1の用紙に対しエア給紙の風量を変化させながら給紙処理を行い、給紙処理によって給紙された第1の用紙に対して用紙特性検知部による第1の用紙の特性の検知結果に基づいて設定された、給紙条件を含む画像形成条件により用紙格納部に格納された第2の用紙を給紙し画像形成を行う。
本発明の制御プログラムは、用紙の特性を検知可能な用紙特性検知部を有する画像形成装置のコンピュータにより実行可能な制御プログラムであって、画像形成装置が備える画像形成部により用紙に画像を形成させる画像形成ステップと、画像形成装置が備える給紙部により、用紙格納部に格納された用紙を画像形成部へエア給紙させる給紙ステップと、用紙特性検知部により、給紙部により給紙された用紙の特性を検知させる検知ステップと、用紙特性検知部で検知された用紙の特性に基づいて、画像形成部における画像形成を制御させる制御ステップと、を備え、給紙ステップにおいて、用紙格納部に格納された第1の用紙に対しエア給紙の風量を変化させながら給紙処理を行わせ、給紙処理によって給紙された第1の用紙に対して用紙特性検知部による第1の用紙の特性の検知結果に基づいて設定された、給紙条件を含む画像形成条件により用紙格納部に格納された第2の用紙を給紙させて画像形成を行わせる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像形成装置及び画像形成方法、制御プログラムによれば、種類等の判別に使用する用紙における給紙不良の発生を減らし、ダウンタイムを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置で用いる給紙トレイの概略構成図である。
図3】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置で用いる他の給紙トレイの概略構成図である。
図4】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の機能的構成を示すブロック図である。
図5】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置で用いる用紙特性検知センサの概略構成を示す側面図である。
図6】本実施の形態で使用する用紙特性検知センサで検知した用紙Sの坪量と受光電圧との関係を示すグラフである。
図7】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置において実行されるプリントジョブ実行処理を示すフローチャートである。
図8】プリントジョブで指定されたトレイがエア給紙機構を備えている場合の給紙処理のフローチャートである。
図9】画像形成装置内のトレイがローラ給紙機構を備えている場合の給紙処理のフローチャートである。
図10】第1の用紙を給紙する給紙トレイの選択画面の一例である。
図11】第1の用紙を給紙する給紙トレイを選択する処理を示すフローチャートである。
図12】第1の用紙を給紙する給紙トレイの選択画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例(以下、本例という。)を、図面を参照しながら説明する。
なお、本発明は、以下の例に限定されるものではない。
【0011】
図1は、本例の画像形成装置100の概略構成図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成装置本体10、給紙装置20、排紙装置30等を備える。
【0012】
画像形成装置本体10は、操作部11,表示部12,画像読取部13,画像形成部40、用紙格納部50等を備える。本例の用紙格納部50は、複数の給紙トレイT1~T6を備え、給紙トレイT1~T6のうちいずれかの給紙トレイから用紙を給紙する。また、給紙トレイT1~T5には、給紙トレイ毎に予め定められた種類(サイズ、紙種、坪量等)の用紙が収納されており、給紙トレイ(手差しトレイ)T6には、必要に応じて用紙がセットされる。
【0013】
操作部11は、表示部12の表示画面上を覆うように形成されたタッチパネルや、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備え、ユーザーの操作に基づく操作信号を制御部71(図4参照)に出力する。
【0014】
表示部12は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、制御部71から入力される表示信号の指示に従って各種画面を表示する。
【0015】
画像読取部13は、ADF(自動原稿給紙装置)、スキャナー等を備え、原稿の画像を読み取って得られた画像データを制御部71に出力する。
【0016】
画像形成部40は、画像読取部13により読み取られた画像データ、又は、外部装置から受信した画像データに基づいて、用紙格納部50から給紙された用紙に対して画像形成を行う。
【0017】
画像形成部40は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する感光体ドラム41Y,41M,41C,41K、中間転写ベルト42、2次転写ローラ43、定着部44等を備え、画像形成を行う。
【0018】
感光体ドラム41Yは、一様に帯電された後、イエロー色の画像データに基づいてレーザービームにより走査露光され、静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム41Y上の静電潜像にイエロー色のトナーが付着され、現像が行われる。
感光体ドラム41M,41C,41Kについても、扱う色が異なることを除いて、感光体ドラム41Yと同様であるため、説明を省略する。
【0019】
感光体ドラム41Y,41M,41C,41K上に形成された各色のトナー像は、回転する中間転写ベルト42上に逐次転写される(1次転写)。すなわち、中間転写ベルト42上には、4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト42上のカラートナー像は、2次転写ローラ43により、共通搬送路80を通って搬送されてきた用紙上に一括して転写される(2次転写)。
【0020】
定着部44は、カラートナー像が転写された用紙を加熱する加熱ローラ、当該用紙を加圧する加圧ローラを備え、加熱・加圧によりカラートナー像を用紙に定着させる。
【0021】
搬送路80の2次転写ローラ43の上流側には、一対のローラ部材からなるレジストローラー65が配置されている。さらに、レジストローラー65の上流側には、用紙特性検知部としての用紙特性検知センサ70が設けられている。
【0022】
画像形成装置本体10の用紙格納部50は、トレイT1とトレイT2を備えている。トレイT1、トレイT2は、格納した用紙を給紙するための給紙部60をそれぞれ備えている。トレイT1、トレイT2の給紙部60は、給紙ローラ111を有しており、給紙ローラ111と用紙との間に生じる摩擦力によって、トレイに格納された用紙を給紙する。トレイT1、トレイT2は、給紙された用紙を搬送する個別搬送路81を備えている。
【0023】
給紙装置20は、用紙格納部50、手差しトレイT6を備える。
給紙装置20の用紙格納部50は、トレイT3、トレイT4、トレイT5を備えている。トレイT3、トレイT4、トレイT5は、格納した用紙を給紙するための給紙部61をそれぞれ備えている。トレイT3、トレイT4、トレイT5の給紙部61は、エア吸引部123等を有しており、エア吸引力を利用して、トレイに格納された用紙を給紙する。トレイT3,トレイT4、トレイT5は、用紙を搬送するための搬送路82,83,84を備えている。
【0024】
手差しトレイT6は、給紙装置20の上部に形成されており、セットされた用紙を給紙するための給紙部60を備えている。トレイT6の給紙部60は、給紙ローラ111を有しており、給紙ローラ111と用紙との間に生じる摩擦力によって、トレイにセットされた用紙を給紙する。トレイT6は、給紙された用紙を搬送するための個別搬送路85を備えている。
【0025】
給紙装置20内の各トレイの個別搬送路82~85は、画像形成装置本体10内のトレイT1、T2の個別搬送路81と合体して、画像形成装置本体10内で共通搬送路80を構成する。
【0026】
排紙装置30は、画像形成部40により画像形成が行われた用紙に対して、必要に応じてソート処理、ステープル処理、パンチ穴開け処理、折り処理、製本処理等の用紙処理を行う。また、排紙装置30は、メイン排紙トレイ87とサブ排紙トレイ88を備え、用紙をいずれかの排紙トレイ87,88に排出する。
【0027】
図2は、図1に示した画像形成装置本体10のトレイT1の概略構成図である。
図2に示すように、トレイT1の内部には、上方に付勢された載置板115が設けられ、その上に複数の用紙Sが載置されている。
用紙Sの上方には、ローラ方式のローラ給紙部15が設けられている。第1給紙部としてのローラ給紙部15は、最上部の用紙Sに接触する給紙ローラ111と、給紙ローラ111に隣接する搬送路81に沿って設けられた搬送ローラ112を有している。また、給紙ローラ111と搬送ローラ112との間には、給紙される用紙Sの存在を検知する用紙有無検知センサ113が設けられている。なお、給紙装置20のトレイT6も、載置板115が付勢されていない点以外は略同じ構成を有している。
【0028】
図3は、図1に示した給紙装置20のトレイT3の拡大正面図である。
図3に示すように、トレイT3の内部には、上方に付勢された載置板125が設けられ、その上に複数の用紙Sが載置される。
用紙Sの上方には、第2給紙部としてのエア吸引方式のエア給紙部16が設けられている。エア給紙部16は、用紙Sに対向配置された搬送ベルト122と、搬送ベルト122を駆動する2本の駆動ローラ121と、搬送ベルト122内に設けられた吸引ダクト120と、吸引ダクト120内に設けられた吸引エアを発生させる吸着ファン123を備えている。また、エアを用紙に送ることで用紙先端部と用紙側部を捌くための捌きファン(図示せず)も設けられている。吸引ファン123の回転数を制御する他に、複数の吸引ファンを設け、駆動する吸引ファンの数を変えることで、吸引エアの量を調節することができる。
【0029】
吸引ダクト120の下部には、載置板125に載置された用紙Sに対向するように用紙吸着センサ126が設けられている。また、搬送路82に沿って複数の搬送ローラ124が設けられており、最上流側の搬送ローラ124と駆動ローラ121との間には、用紙有無検知センサ127が設けられ、用紙有無検知センサ127の下流側には、出口センサ128が設けられている。なお、トレイT4及びトレイT5も、同じ構成のエア給紙部16を備えている。
【0030】
エア給紙部16によるエア給紙は、吸着ファン123による搬送ベルト122への用紙吸着、及び用紙先端側または用紙横からの捌きファンにより、一般的にローラ給紙部15によるローラ給紙よりも搬送能力に優れている。このため、エア給紙部16を用いることで多様な紙種や坪量の用紙の搬送が可能となる。一方、吸着ファン等の風量が適切でない場合は、用紙Sが搬送ベルト122に完全に吸着していない状態で給紙が行われる送り出し不良や、複数枚の用紙Sが搬送ベルト122に吸着することによる重送などの不具合を引き起こすおそれがある。
【0031】
図4は、画像形成装置100の機能的構成を示すブロック図である。
図4に示すように、画像形成装置100は、操作部11、表示部12、画像読取部13、画像形成部40、用紙格納部50、用紙処理部60、用紙特性検知部70、制御部71、記憶部72、通信部73、搬送部74、用紙有無検知部78、用紙サイズ検知部79等を備える。なお、既に説明した機能部については、説明を省略する。
【0032】
制御部71は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。CPUは、操作部11から入力される操作信号又は通信部73により受信される指示信号に応じて、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って、画像形成装置100の各部の動作を集中制御する。
【0033】
記憶部72は、ハードディスクやフラッシュメモリー等により構成され、各種データを記憶する。記憶部72には、例えば、複数の給紙トレイT1~T6のそれぞれについて、給紙トレイに収納されている用紙の種類を示す用紙特性が格納されている。
【0034】
通信部73は、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部装置との間でデータの送受信を行う。
【0035】
搬送部74は、用紙を搬送するための搬送ローラ等を備え、画像形成装置100内において用紙を搬送する。
【0036】
用紙有無検知部78は、用紙格納部50の各給紙トレイT1~T6に設けられ、各給紙トレイT1~T6に収納されている用紙の有無や搬送路上の用紙の有無を検知し、検知結果を制御部71に出力する。
【0037】
用紙サイズ検知部79は、用紙格納部50の各給紙トレイT1~T6に設けられ、各給紙トレイT1~T6に収納されている用紙のサイズを検知し、検知結果を制御部71に出力する。
【0038】
用紙特性検知部70は、共通搬送路80のレジストローラー65の上流側に設けられ、レジストローラー65に当接させた状態で搬送路80上にある用紙の特性を検知し、検知結果を用紙特性情報として制御部71に出力する。
【0039】
図5は、本実施形態で使用する用紙特性検知センサ70の概略構成を示す側面図である。
図5に示すように、用紙特性検知センサ70は、LED(発光素子)からなる発光部101と、フォトトランジスタ(受光素子)からなる複数の受光部102~105とで構成されている。
【0040】
受光部102は、用紙Sに対して、発光部101が設けられている側と反対側であって、発光部101と対向する位置に設けられている。発光部102で発光された光は、用紙Sを通過して受光部102に入力し、受光部102に入力された光は受光電圧に変換される。
【0041】
図6は、用紙Sの坪量と受光電圧との関係を示すグラフである。
図6のグラフの縦軸は用紙の坪量を表し、グラフの横軸は受光電圧の大きさを表す。 用紙の坪量とは、用紙の単位面積当たりの重さであり、用紙の厚みと同じ意味で扱うことができる。すなわち、用紙の坪量が大きければ用紙は厚くなり、用紙の坪量が小さければ用紙は薄くなる。
【0042】
本例では、受光部102の受光電圧から用紙Sの厚み(種別)を算出することができる。図6に示すように、例えば用紙が薄紙(坪量が小さい紙)の場合は、発光部101で発光された光の透過量が多くなるため、受光部102での受光電圧が高くなる。一方、用紙が厚紙(坪量が大きい紙)の場合は、発光部101で発光された光の透過量が少なくなるため、受光部102での受光電圧が低くなる。
【0043】
受光部103~105は、用紙Sに対して、発光部101が設けられている側と同じ側であって、且つ、用紙Sに対する取付角度が異なるように配置されている。受光部104は、発光部101の用紙Sに対する取付角度と略同じ角度(用紙Sの垂線に対して対称位置)で設置されている。また、受光部103は受光部104よりも大きい角度で設置され、受光部105は受光部104よりも小さい角度で設置されている。発光部101で発光された光は、用紙Sを反射して各受光部103~105に入力し、受光電圧に変換される。
【0044】
本例では、受光部103~105の受光電圧から用紙Sの平滑度及び光沢度を算出することができる。
用紙Sの表面で反射した光は、基本的には用紙Sに対する入光角度と同じ角度で反射する。このためコート紙のように用紙表面の平滑度が高い場合には、発光部101と同じ角度で設置された受光部104に多く反射光が入り、受光電圧が大きくなる。さらに、用紙Sの光沢度が高い場合は反射量が強くなるためさらに、受光部104への受光量が増えて受光電圧が大きくなる。
逆に、用紙表面が粗く凹凸が多い用紙の場合は、用紙の凹凸面に当たった入射光が様々な角度に反射することになり、コート紙と比較すると受光部104に入射する光量が減って受光電圧が低くなるが、受光部103、105に入射する光は増えて受光電圧が大きくなる。
【0045】
本例では、以下の表1に示す紙種決定テーブルに基づいて、用紙特性検知部70の検出結果から、用紙Sの紙種や厚さ等の用紙特性情報を決定する。
なお、紙種決定テーブルは記憶部72に記憶されているが、紙種決定テーブルの内容はあくまでも一例であって、画像形成装置の設置環境等に応じて適宜数値等が設定される。
【0046】
【表1】
【0047】
次に、制御部71は、用紙特性検出部70で決定された用紙特性の情報(用紙特性情報)に基づいて、画像形成部40におけるプリント速度等の画像形成条件を決定し、ドラムモータ、現像モータ、中間転写ベルトモータ、定着モータをオンして、用紙特性の紙種や坪量に応じた1次転写や2次転写の電圧/電流制御、定着温度制御を行う。各モータの起動が完了し、定着部44の定着温度が目標温度に到達したら、画像を形成するための用紙の給紙を開始する。
【0048】
感光体ドラム上41のトナー画像が中間転写ベルト42に転写され、2次転写ローラ43上で用紙Sの先端と画像が合うようにレジストローラー65をONし、トナー像が用紙Sに転写される。用紙Sのトナー像は定着部44で定着され、排紙装置30に搬送されて、排紙トレイ87に排出される。
【0049】
用紙を給紙するトレイがエア給紙部16を有している場合には、用紙特性検出部70で検知した用紙特性情報により、例えば、記憶部72に記憶されている以下の表2に示す画像条件テーブル基づいて、エア搬送部16における吸着ファン123の回転速度や定着部44の定着温度などのパラメータを決定して、2枚目以降の用紙のエア給紙を開始する。なお、本例の画像条件テーブルの内容はあくまでも一例であって、画像形成装置の設置環境等に応じて適宜数値等が設定される。
【0050】
【表2】
【0051】
次に、本例の画像形成装置100において実行される画像形成方法について説明する。 図7は、本例の画像形成方法において実行されるプリントジョブの処理を示すフローチャートである。以下においては、全てのトレイに同じ用紙が収納されていることを前提として説明する。
【0052】
図7に示すように、プリントジョブが開始されると、まず、プリントジョブで指定されたトレイTに収納されている用紙について、用紙特性情報が取得されているかを確認する(ステップS1)。
【0053】
ステップS1で、既に用紙の用紙特性情報が取得されている場合には(ステップS1のYES)、取得されている用紙特性情報に基づいて、画像形成部40の画像形成系を起動する(ステップS4)。すなわち、ユーザーによる手動設定等により用紙特定情報が取得されている場合には、取得された用紙特性情報を基にして、画像形成に関わる各種の設定、例えば、1次転写/2次転写などの電圧/電流出力や、プリント速度等の搬送条件、給紙条件を決定し、その条件で画像形成系や搬送系のモータや電圧/電流を起動させる。
【0054】
一方、ステップS1で、まだ用紙特性情報が取得されていない場合には(ステップS1のNO)、プリントジョブで指定されたトレイTから用紙特性検知に使用する用紙Sを1枚だけ(第1の用紙)給紙する(ステップS2)。
【0055】
つぎに、ステップS2でトレイTから給紙された第1の用紙を、用紙特性検出部70まで搬送し用紙特性情報を取得する(ステップS3)。すなわち、トレイTから給紙された第1の用紙を、搬送路80等を通じてレジストローラー65まで搬送し、レジストローラー65に対して突き当て停止させた状態で、用紙特性検知センサ70で検知して用紙特性情報を取得する。
【0056】
つぎに、ステップS3で検知した用紙特性情報に基づいて、画像形成部40の画像形成系を起動させ(ステップS4)、ステップS4で起動させた画像形成条件の下で、トレイTから画像形成に使用する2枚目以降の用紙(第2の用紙)の給紙を開始する(ステップS5)。ステップS5で給紙された第2の用紙に対してプリントジョブを実行し(ステップS6)、プリントジョブが終わりしだいプリントを終了する。
【0057】
本例では、プリントジョブで指定されたトレイTがトレイT1またはT2の場合には、トレイT1、T2のローラ給紙部15の給紙ローラ111を回転させて、載置板115の最上部に載置されている用紙(第1の用紙)を給紙し、レジストローラー65まで搬送する。また、プリントジョブで指定されたトレイがT3、T4、T5のいずれかの場合には、トレイT3、T4、T5のエア給紙部16のエア吸引により、載置板125の最上部に載置されている用紙(第1の用紙)を給紙し、レジストローラー65まで搬送する。
【0058】
以上説明したように、本例の画像形成装置及び画像形成方法によれば、先ずトレイに収納されている用紙のうち1枚だけ(第1の用紙)を使って用紙の特性情報を取得し、この取得した用紙特性情報に基づいて、トレイに残された2枚目以降の画像形成に使用する用紙(第2の用紙)の画像形成条件を設定する。なお、本例の画像形成条件には、搬送条件、給紙条件等を含むものとする。このように、用紙特定情報の取得は、1枚の用紙(第1の用紙)のみを用いて行うので、給紙する際の用紙ジャム等の発生を減らすことができる。また、第1の用紙の用紙特性情報に基づいて設定された画像形成条件を用いて2枚目以降の第2の用紙について画像形成を行うので、良質な画像を形成することができるとともに、用紙の搬送不良等の不具合の発生を減らし、生産性を向上させることができる。
【0059】
また、上記の例において、ローラ給紙部15を用いて用紙を給紙する場合には、給紙ローラ111の回転速度を一定ではなく、適宜変更するようにしてもよい。例えば、第1の用紙を給紙する際の給紙ローラ111の回転速度を、画像形成時に第2の用紙を給紙する際の回転速度の約50%に下げてもよい。このように第1の用紙を給紙する際の給紙ローラ111の回転速度と第2の用紙を給紙する際の給紙ローラ111の回転速度を異ならせることにより、用紙Sと給紙ローラ111との間の摩擦力が大きくして給紙ローラ111と用紙S間で生じるスリップを減らし、より確実に第1の用紙を給紙することができるとともに、生産性を維持することができる。
【0060】
また、通常は、給紙ローラ111で用紙Sの送出しの開始後、所定時間経過しても用紙有無検知センサ113に用紙Sが到達しない場合には、紙詰まりが発生したとして送り出しを停止するが、本例では用紙の送り出しをすぐに停止させずに、一旦給紙ローラ111を止めた上で再度用紙Sを送り出すリトライ制御を行うようにしてもよい。そして、所定回数(例えば3回)の送り出しを繰り返しても用紙Sが用紙有無検知センサ113に到達しない場合において、はじめて紙詰まりが発生したものとして送り出しを停止する。このように、すぐに用紙の送り出しを停止させないことで、ダウンタイムを減少させることができる。なお、併せて、給紙ローラの回転速度を変更させるようにしてもよい。
【0061】
つぎに、エア給紙部16を用いた第1の用紙の給紙方法について説明する。
図8は、プリントジョブで指定されたトレイTがエア給紙部16を備えている場合の給紙処理のフローチャートである。
【0062】
用紙特定情報の取得が開始されると、第1の用紙である用紙Sの搬送ベルト122への吸着処理が行われる(ステップS20)。本例では、エア給紙部16の吸着ファン123の風量を最弱の状態に設定するため、最初は、吸着ファン123の回転出力(風量)を30%に設定する。
【0063】
つぎに、搬送ベルト122に取り付けられた用紙吸着センサ126を監視して、用紙Sが搬送ベルト122に吸着するか否かを確認する(ステップS21)。ステップS21において、所定時間(例えば2秒)経過しても用紙吸着センサ126がオンしない場合(ステップS21のNO)は、用紙Sが搬送ベルト122に吸着していないものとして、ステップS20における吸着ファン123の風量を10%ずつ上げていき、この作業を用紙吸着センサ126がオンになるまで繰り返す。吸着ファン123の風量を100%にしても用紙吸着センサ126がオンしない場合は、なんらかの不具合が生じたものとしてJAM停止処理を行う。
【0064】
ステップS21において用紙吸着センサ126がオンしたところで(ステップS21のYES)、搬送ベルト122による用紙Sのエア搬送処理を開始する(ステップS22)。エア搬送処理は、吸着ファン123をオンにして用紙Sを搬送ベルト122に吸着させた状態で下流側の用紙有無検知センサ127へ送り出す。
【0065】
所定時間内に用紙Sが用紙有無検知センサ127に到達した場合(ステップS23のYES)には、給紙処理が正常に行われたものとしてエア搬送処理を終了する。なお、用紙Sが用紙有無検知センサ127に到達したら、搬送ローラ124を用いて用紙Sを出口センサ128まで搬送し、さらに下流側に配置された搬送ローラ124によって用紙Sを下流側に搬送する。
【0066】
所定時間内に用紙Sが用紙有無検知センサ127に到達しない場合(ステップS23のNO)には、一旦搬送ベルト122の送り出しをオフにして、ステップS22おいて吸着ファン123の風量を段階的に(10%ごと)に上げた状態で、再度搬送ベルト122の送り出しを行う。
【0067】
吸着ファン123の風量を100%にしても用紙吸着センサ126がオンしない場合(ステップS23のNO)は、ステップS22において用紙Sを上昇させる機能を持つ捌きファン(サイドファン及び先端ファン)の風量を段階的(例えば10%ずつ)に上げていく。
【0068】
そして、全てのファンの出力が100%になっても、用紙有無検知センサ127がオンしない場合には、用紙Sの紙詰まりが発生したものとして、JAM停止処理を行う。
【0069】
また、本例では、搬送ベルト122の送り出し速度が一定となるように制御しているが、第1の用紙の送出し不良を起こりにくくさせるために、搬送ベルト122の送り出し速度を通常の画像形成時の50%の速度で搬送するようにしてもよい。このように、第1の用紙を給紙する際のエア吸引量と、第2の用紙を給紙する際のエア吸引量を異ならせることにより、搬送ベルト122に確実に第1の用紙を吸着させてノーフィード等の給紙エラーを減らすことができるとともに、生産量は維持することができる。
【0070】
なお、本例では、用紙特性検知が完了していない場合は、用紙特性情報が分からないため画像形成系の立ち上げを実施しないが、プリント開始時に紙種や坪量を仮決定して画像形成系の動作を開始させて、用紙特性情報が分かったところで、新しい条件に切り替えるようにしてもよい。これにより、取得した用紙特性情報が仮決定したものと同じ場合には、画像形成系を起動した状態で用紙にプリントを行うことができるため、ダウンタイムを減らすことができる。
【0071】
また、本例では、用紙特性情報を取得するために使用した第1の用紙にも画像を形成するが、用紙特性情報を検知する際に用紙に皺等が発生する場合もあり得るので、第1の用紙は用紙特性検知のみに使用するようにしてもよい。この場合には、第1の用紙にはプリントを行わず、例えば排紙装置30のサブトレイ88に排出する。
【0072】
つぎに、プリントジョブで指定された第1の用紙を給紙するトレイTがエア給紙部16を備えている場合において、エア給紙部16を備えたトレイTではなくノーフィード等の給紙エラーが起こりにくいローラ給紙部15を備えた別のトレイTから第1の用紙の給紙を行う実施の形態例について説明する。
【0073】
図9は、プリントジョブで指定されたトレイTがエア給紙部16を備えている場合の給紙処理のフローチャートを示す。
用紙特性情報の取得が開始されると、画像形成装置100内にローラ給紙部15を備えたトレイが存在するか否かを判断する(ステップS30)。
【0074】
画像形成装置100内にローラ給紙部15を備えた別のトレイが存在する場合(ステップS30のYES)は、そのトレイのローラ給紙部15の給紙ローラを回転させて第1の用紙を給紙するローラ給紙処理を行う(ステップS31)。
【0075】
画像形成装置100内にローラ給紙部15を備えたトレイが存在していない場合(ステップS30のNO)には、プリントジョブで指定されたトレイのエア給紙部16により第1の用紙のエア給紙処理を行う(ステップS32)。
【0076】
つぎに、ローラ給紙部15又はエア給紙部16から給紙された第1の用紙を用いて、用紙特性検知部70により用紙特性情報を取得する(ステップS33)。ステップS33で用紙特定情報が取得された後は、プリントジョブで指定されたトレイTのエア給紙部16により第2の用紙を給紙して画像形成処理を行い(ステップS34)、その後プリントジョブを終了する。
【0077】
本例によれば、用紙特性情報が取得される前の状態においては、エア給紙部16よりも給紙ミスの起こる可能性が少ない第1給紙部としてのローラ給紙部15を備えたトレイから第1の用紙を確実に給紙して用紙特性情報の取得を行う。また、用紙特性情報の取得が終了した後は、ローラ給紙部15よりも用紙搬送性能の高い第2給紙部としてのエア給紙部16を備えたトレイから第2の用紙の給紙を行うことで、プリントの生産性を向上させることができる。
【0078】
なお、上記の例では、ローラ給紙部15とエア給紙部16が別々のトレイに備えられている場合について説明したが、同じトレイにローラ給紙部とエア給紙部が設けられている場合にも適用することができる。この場合には、ローラ給紙部15により第1の用紙を給紙して、エア給紙部16により第2の用紙を給紙する。なお、本例においても、給紙ローラの速度を変更するようにしてもよいし、リトライ制御を行ってもよい。また、、両方を組み合わせてもよい。
【0079】
つぎに、ユーザーが任意に第1の用紙を給紙するトレイTを指定する場合について説明する。
上述した形態例は、自動トレイ設定により、プリントジョブで第1の用紙を給紙するトレイTが設定されている場合について述べているが、ユーザーが任意に第1の用紙を給紙するトレイTを設定してもよい。以下、図10を用いて、ユーザーが用紙特性情報を取得するための1枚目の用紙を給紙するトレイTを設定する方法について説明する。
【0080】
図10は、格納部指定部としての表示部12に表示される第1の用紙を給紙するトレイTの設定画面の一例である。
ユーザーは、設定画面G1の中から「動作開始前に指定」、「プリントジョブと同じトレイ」、「固定トレイ」、「自動トレイ」のいずれかを選択する。本例では、「動作開始前に指定」が選択されている。なお、表示部12から設定を行う他にプリントジョブを送信するプリンタドライバを用いて設定することもできる。
【0081】
図11は、用紙特性情報が取得されていない状態でプリントジョブが開始された場合におけるフローチャートを示す。
図11に示すように、用紙特性情報を取得するための第1の用紙を給紙するトレイTについて「動作開始前の指定」が選択されているか否か確認する(ステップS10)。ステップS10において、「動作開始前の指定」が選択されている場合には(ステップS10のYES)、第1の用紙を給紙するトレイTをどこにするのかユーザーに問い合わせ、例えば、表示部12に図12に示すような給紙トレイの選択画面G2が表示される(ステップS11)。
【0082】
ユーザーは、選択画面G2に基づいて、第1の用紙を給紙する給紙トレイTを指定する(ステップS12)。ユーザーが手差しトレイT6を選択する場合は、図12に示すように選択画面G2で手差しトレイを選択し、OKボタンを押す。つぎに、ユーザーが指定したトレイT6にプリントジョブで使用するサイズの用紙が収納されているか確認する(ステップS13)。
【0083】
ステップS13において、手差しトレイT6にプリントジョブで使用する用紙がセットされている場合(S13のYES)は、手差しトレイT6から1枚目の用紙の給紙を開始する。手差しトレイT6に同じサイズの用紙がセットされていない場合(ステップS13のNO)は、表示部12等に「手差しトレイに用紙をセットしてください」の表示を行い(ステップS14)、ユーザーに対して用紙のセットを促して、手差しトレイT6に用紙がセットされるまで画像形成系の起動等を開始しない。
【0084】
つぎに、手差しトレイT6にから給紙された第1の用紙を用いて、用紙特性検知部70により用紙特性情報を取得する(ステップS15)。ステップS15で用紙特定情報が取得された後は、プリントジョブで指定されたトレイT(本例ではトレイT3)から第2の用紙を給紙して画像形成処理を行い(ステップS16)、その後プリントジョブを終了する。
【0085】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置及び画像形成方法によれば、種類等の判別に使用する第1の用紙における給紙不良の発生を減らし、ダウンタイムを削減することができる。また、第1の用紙の検知に基づいた画像形成条件で、2枚目以降の第2の用紙の画像を形成するので、高品質な画像を形成することができる。
【0086】
上述した実施形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成について他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0087】
本例では、カラー画像形成装置を例として説明したが、モノクロ画像形成装置にも本発明を適用することもできる。また、画像形成装置としては複写機に限らず、プリンタやファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であってもよい。
【符号の説明】
【0088】
10・・・画像形成装置本体、15・・・ローラ給紙部、16・・・エア給紙部、20・・・給紙装置、30・・・排紙装置、40・・・画像形成部、50・・・用紙格
納部、60・・・給紙部、65・・・レジストローラー、70・・・用紙特性検知センサ、71・・・制御部、80・・・共通搬送路、100・・・画像形成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12