(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ゲーブルトップ型容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/42 20060101AFI20231129BHJP
B65D 5/06 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B65D5/42 F
B65D5/06 300
(21)【出願番号】P 2022071426
(22)【出願日】2022-04-25
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】初田 千秋
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 信行
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06182888(US,B1)
【文献】特開2014-205519(JP,A)
【文献】特開2007-112492(JP,A)
【文献】特開2011-073748(JP,A)
【文献】特開2000-326957(JP,A)
【文献】登録実用新案第3012018(JP,U)
【文献】特表平11-505792(JP,A)
【文献】特開2019-059492(JP,A)
【文献】特開2011-246160(JP,A)
【文献】米国特許第05871144(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/42
B65D 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一側面パネル、第二側面パネル、第三側面パネル及び第四側面パネルの4枚の側面パネルがこの順に連接された筒状の胴部と、
前記胴部の下端に連接し、四角形状を有する底部と、
前記胴部の上端に連接する切妻屋根部と、を有し、
前記切妻屋根部は、
互いに対向する、前記第一側面パネルに連接した第一屋根パネルおよび前記第三側面パネルに連接した第二屋根パネルと、
前記第一屋根パネルと前記第二屋根パネルとの対向方向に交差する方向で互いに対向し、前記第一屋根パネルと前記第二屋根パネルとの間に折り込まれる、前記第二側面パネルに連接した第一妻壁パネルおよび前記第四側面パネルに連接した第二妻壁パネルと、
前記第一屋根パネルの上端部および前記第二屋根パネルの上端部、ならびに、前記第一妻壁パネルの上端部および前記第二妻壁パネルの上端部が接合されて形成されたトップシール部と、を備える、容量500ml以下のゲーブルトップ型容器であって、
前記ゲーブルトップ型容器は、シーラント層、紙基材、およびシーラント層がこの順で積層された積層体と、印刷層とのみから構成され、前記印刷層は、前記シーラント層の前記紙基材とは反対側の面、または前記シーラント層と前記紙基材との間に配置されており、
前記第一屋根パネルおよび前記第二屋根パネルは、それぞれ、前記トップシール部を構成する前記上端部である外側貼着片の下端中央から、前記第一屋根パネルおよび前記第二屋根パネルの下端中央に延びる縦折り曲げ線を有し、かつ、
前記第一妻壁パネルおよび前記第二妻壁パネルは、それぞれ、上端中央から下端中央に延びる縦折り曲げ線を有し、
記第一屋根パネル、前記第二屋根パネル、前記第一妻壁パネルおよび前記第二妻壁パネルは、それぞれ、横折り曲げ線を介して、前記第一側面パネル、前記第三側面パネル、前記第二側面パネル、および前記第四側面パネルに連接されており、
前記第一屋根パネル、前記第二屋根パネル、前記第一妻壁パネルおよび前記第二妻壁パネルが有する前記縦折り曲げ線は、それぞれ、前記横折り曲げ線を越えて、前記第一側面パネル、前記第三側面パネル、前記第二側面パネル、および前記第四側面パネルにも形成されており、
前記第一側面パネル、前記第三側面パネル、前記第二側面パネル、および前記第四側面パネルにおける前記縦折り曲げ線の長さは、前記各側面パネルの縦方向長さの3/5以下であり、
前記第一屋根パネル、前記第二屋根パネル、前記第一妻壁パネル、および前記第二妻壁パネルにそれぞれ配置された前記4本の縦折り曲げ線は、前記トップシール部の接合を全て剥がして全面開口した際に、前記4本の縦折り曲げ線のそれぞれを山折りとすることにより、開口部の形状が八角形形状のコップ状の器として変形するように機能する、ゲーブルトップ型容器。
【請求項2】
前記4本の縦折り曲げ線は、それぞれが交差する横折り曲げ線との交点には形成されていない、
請求項1に記載
ゲーブルトップ型容器。
【請求項3】
前記第一妻壁パネルと前記第二妻壁パネルに、飲み口であることを示す飲み口表示部が設けられている、請求項1または請求項2に記載のゲーブルトップ型容器。
【請求項4】
前記第一側面パネル、前記第二側面パネル、前記第三側面パネルおよび前記第四側面パネルの上端左右の角部近傍と、
前記第一屋根パネルおよび前記第二屋根パネルの下端左右の角部近傍と、
前記第一妻壁パネルおよび前記第二妻壁パネルの下端左右の角部近傍と、に、
開封後に押し込むための押し込み部が設けられている、請求項1または請求項2に記載のゲーブルトップ型容器。
【請求項5】
前記第一屋根パネルの上端中央近傍および前記第二屋根パネルの上端中央近傍に、開封後に外側に引っ張るための引張部が設けられている、請求項1または請求項2に記載のゲーブルトップ型容器。
【請求項6】
前記第一屋根パネルの上端中央および前記第二屋根パネルの上端中央に摘み部を有する、請求項1または請求項2に記載のゲーブルトップ型容器。
【請求項7】
前記第一側面パネルまたは前記第三側面パネルに、取ってが設けられている、請求項1または請求項2に記載のゲーブルトップ型容器。
【請求項8】
前記第一側面パネルまたは前記第三側面パネルに、落下防止帯が設けられている、請求項1または請求項2に記載のゲーブルトップ型容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゲーブルトップ型容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料用等の紙容器として、表裏面に熱可塑性樹脂を積層した板紙素材で構成されるゲーブルトップ型容器が汎用されており、様々な形態が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
一般的に、飲み切りサイズ(例えば500ml以下)のゲーブルトップ型容器には、ストローが添付されている場合が多く、そのストローの消費量は膨大となっていた。飲料用ストローは、典型的にはプラスチック製ストローであり、使用後に廃棄されたストローは自然環境では分解が困難であり、そのため環境に優しくない。特に、学校給食等で提供される牛乳は数が膨大であり、ストロー廃棄量も膨大となっている。従来のゲーブルトップ型容器の注ぎ口に直接口を付けて飲むことも可能ではあるが、その注ぎ口の尖った嘴型形状からして極めて飲みにくかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の出願人は、上記問題に対し、ストローを必要としない、飲み易い飲み口形状を得ることができるゲーブルトップ型容器を提案した。このゲーブルトップ型容器は、トップシール部の接合を全て剥がして全面開口した際に、コップ状の器としての機能を有するものとして有用である。
【0006】
しかしながら、上述したようにゲーブルトップ型容器は、だれもが容易にコップ状の器に変形させて用いることができることが好ましく、特に、例えば、学校給食等に用いる場合は、子供であっても容易に器に変形できることが望まれる。
【0007】
本開示は、上記事情に鑑みてなされた発明であり、ストローを必要としない、飲み易い飲み口形状を得ることができ、かつ、だれもが比較的容易にコップの器に変形させて内容物を飲むことが可能なゲーブルトップ型容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示は、第一側面パネル、第二側面パネル、第三側面パネル及び第四側面パネルの4枚の側面パネルがこの順に連接された筒状の胴部と、上記胴部の下端に連接し、四角形状を有する底部と、上記胴部の上端に連接する切妻屋根部と、を有し、上記切妻屋根部は、互いに対向する、上記第一側面パネルに連接した第一屋根パネルおよび上記第三側面パネルに連接した第二屋根パネルと、上記第一屋根パネルと上記第二屋根パネルとの対向方向に交差する方向で互いに対向し、上記第一屋根パネルと上記第二屋根パネルとの間に折り込まれる、上記第二側面パネルに連接した第一妻壁パネルおよび上記第四側面パネルに連接した第二妻壁パネルと、上記第一屋根パネルの上端部および上記第二屋根パネルの上端部、ならびに、上記第一妻壁パネルの上端部および上記第二妻壁パネルの上端部が接合されて形成されたトップシール部と、を備える、容量500ml以下のゲーブルトップ型容器であって、上記ケーブルトップ型容器は、シーラント層、紙基材、およびシーラント層がこの順で積層された積層体と、印刷層とのみから構成され、上記印刷層は、上記シーラント層の上記紙基材とは反対側の面、または上記シーラント層と上記紙基材との間に配置されており、上記第一屋根パネルおよび上記第二屋根パネルは、それぞれ、上記トップシール部を構成する上記上端部である外側貼着片の下端中央から、上記第一屋根パネルおよび上記第二屋根パネルの下端中央に延びる縦折り曲げ線を有し、かつ、上記第一妻壁パネルおよび上記第二妻壁パネルは、それぞれ、上端中央から下端中央に延びる縦折り曲げ線を有し、上記第一屋根パネル、上記第二屋根パネル、上記第一妻壁パネル、および上記第二妻壁パネルにそれぞれ配置された上記4本の縦折り曲げ線は、上記トップシール部の接合を全て剥がして全面開口した際に、上記4本の縦折り曲げ線のそれぞれを山折りとすることにより、開口部の形状が八角形形状のコップ状の器として変形するように機能する、ゲーブルトップ型容器を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示のゲーブルトップ型容器によれば、ケーブルトップ型容器が、シーラント層、紙基材、およびシーラント層がこの順で積層された積層体と、印刷層とのみから構成されるものであるので、比較的容易にトップシール部の接合を全て剥がして全面開口して、内容物を飲むための器とすることが可能とすることができる。したがって、ストローを必要としない、飲み易い飲み口形状を有する器を容易に得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示のゲーブルトップ型容器を例示する斜視図ならびに開封後の斜視図および上面図である。
【
図2】本開示のゲーブルトップ型容器の展開図である。
【
図3】本開示のゲーブルトップ型容器の展開図である。
【
図4】本開示のゲーブルトップ型容器を例示する斜視図である。
【
図5】本開示のゲーブルトップ型容器の展開図である。
【
図6】本開示のゲーブルトップ型容器の展開図である。
【
図7】本開示のゲーブルトップ型容器の展開図である。
【
図8】従来のゲーブルトップ型容器を例示する斜視図および開封後の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示における実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚み、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示における解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
【0012】
また、本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
【0013】
上述したように、本願の出願人は、第一屋根パネル、第二屋根パネル、第一妻壁パネル、および第二妻壁パネルに、それぞれ、縦折り曲げ線を設けたゲーブルトップ型容器とすることにより、ストローを必要としない、飲み易い飲み口形状を得ることができるゲーブルトップ型容器を提案した。このようなゲーブルトップ型容器は、上述したような利点をだれもが享受できることが好ましいため、上記トップシール部の接合を全て剥がして行う全面開口が容易であることが好ましい。
本願の発明者らは、随意検討したところ、従来用いられている所定の材料を用いることにより、全面開口を容易に行うことができることを見出した。
【0014】
すなわち、本実施形態のゲーブルトップ型容器は、第一側面パネル、第二側面パネル、第三側面パネル及び第四側面パネルの4枚の側面パネルがこの順に連接された筒状の胴部と、上記胴部の下端に連接し、四角形状を有する底部と、上記胴部の上端に連接する切妻屋根部と、を有し、上記切妻屋根部は、互いに対向する、上記第一側面パネルに連接した第一屋根パネルおよび上記第三側面パネルに連接した第二屋根パネルと、上記第一屋根パネルと上記第二屋根パネルとの対向方向に交差する方向で互いに対向し、上記第一屋根パネルと上記第二屋根パネルとの間に折り込まれる、上記第二側面パネルに連接した第一妻壁パネルおよび上記第四側面パネルに連接した第二妻壁パネルと、上記第一屋根パネルの上端部および上記第二屋根パネルの上端部、ならびに、上記第一妻壁パネルの上端部および上記第二妻壁パネルの上端部が接合されて形成されたトップシール部と、を備える、容量500ml以下のゲーブルトップ型容器であって、上記ケーブルトップ型容器は、シーラント層、紙基材、およびシーラント層がこの順で積層された積層体と、印刷層とのみから構成され、上記印刷層は、上記シーラント層の上記紙基材とは反対側の面、または上記シーラント層と上記紙基材との間に配置されており、上記第一屋根パネルおよび上記第二屋根パネルは、それぞれ、上記トップシール部を構成する上記上端部である外側貼着片の下端中央から、上記第一屋根パネルおよび上記第二屋根パネルの下端中央に延びる縦折り曲げ線を有し、かつ、上記第一妻壁パネルおよび上記第二妻壁パネルは、それぞれ、上端中央から下端中央に延びる縦折り曲げ線を有するものである。
【0015】
本実施形態のゲーブルトップ型容器は、さらに、上記第一屋根パネル、上記第二屋根パネル、上記第一妻壁パネル、および上記第二妻壁パネルにそれぞれ配置された上記4本の縦折り曲げ線は、上記トップシール部の接合を全て剥がして全面開口した際に、上記4本の縦折り曲げ線のそれぞれを山折りとすることにより、開口部の形状が八角形形状のコップ状の器として変形するように機能するものであることが好ましい。
【0016】
以下、本実施形態のゲーブルトップ型容器について詳細に説明する。
図1(a)は、本実施形態のゲーブルトップ型容器を例示する斜視図である。
図1(b)、(c)は、それぞれ、
図1(a)のゲーブルトップ型容器の開封後の斜視図および上面図である。
図2は、本実施形態のゲーブルトップ型容器の展開図である。
図1および
図2に示す本実施形態のゲーブルトップ型容器1Aは、容量500ml以下のゲーブルトップ型容器であり、第一側面パネルS1、第二側面パネルS2、第三側面パネルS3及び第四側面パネルS4の4枚の側面パネルが連接された筒状の胴部2と、胴部2の下端に連接し、四角形状を有する底部3と、胴部の上端に連接する切妻屋根部4とを有する。切妻屋根部4は、互いに対向する、第一側面パネルS1に連接した第一屋根パネルR1および第三側面パネルS3に連接した第二屋根パネルR2と、第一屋根パネルR1と第二屋根パネルR2との対向方向に交差する方向で互いに対向し、第一屋根パネルR1と第二屋根パネルR2との間に折り込まれる、第二側面パネルS2に連接した第一妻壁パネルW1および第四側面パネルS4に連接した第二妻壁パネルW2と、第一屋根パネルR1および第二屋根パネルR2の上端部ならびに第一妻壁パネルW1および第二妻壁パネルW2の上端部が接合されて形成されたトップシール部Tと、を備える。
【0017】
この例においては、第一屋根パネルR1および第二屋根パネルR2は、それぞれ、トップシール部Tを構成する上端部である外側貼着片12の下端中央Caから、第一屋根パネルおよび第二屋根パネルの下端中央C2に延びる縦折り曲げ線X1、およびX3を有し、外側貼着片12には縦折り曲げ線を有さないものであるが、本開示は特にこれに限定されることはなく、上記外側貼着部12に、上記縦折り曲げ線X1、およびX3を延長した縦折り曲げ線が形成されたものであってもよい。
また、第一妻壁パネルW1および第二妻壁パネルW2は、それぞれ、上端中央C3から下端中央C4に延びる縦折り曲げ線X2、X4を有する。
【0018】
図8(a)に従来のゲーブルトップ型容器の斜視図を示す。
図8(a)に示すようなゲーブルトップ型容器100は、開封後に、注ぎ口が嘴型形状となる。このような注ぎ口に直接口を付けて飲むことも可能ではあるが、その注ぎ口の尖った形状からして、極めて飲みにくかった。また、トップシール部T’の接合を全て剥がして全面開口し、直接口を付けて飲むことも可能ではあるが、開口部形状が、
図8(b)に示すような略四角形状となる。また、屋根パネルR11、R12は、開封時に一度谷折りされるために内側にへこみやすく、開口部の形状は保持されず不安定となる。従って、飲みにくく、飲む際にこぼしてしまう問題がある。
【0019】
一方、本実施形態のゲーブルトップ型容器であれば、第一屋根パネルR1および第二屋根パネルR2のそれぞれが、トップシール部Tを構成する上端部である外側貼着片の下端中央から、第一屋根パネルおよび第二屋根パネルの下端中央に延びる縦折り曲げ線X1、X3を有し、さらに、第一妻壁パネルW1および第二妻壁パネルW2のそれぞれが、上端中央から下端中央に延びる縦折り曲げ線X2、X4を有することにより、これらの縦折り曲げ線を、トップシール部の接合を全て剥がして全面開口した後に山折りすることによって、開口部形状を、四角形よりも円形に近い多角系、例えば、八角形とすることができ、さらにその開口部形状を保持することができる(
図1(b)、(c))。従って、コップ状の器として変形することができ、直接口を付けて飲み易い飲み口形状となる。
【0020】
本実施形態のゲーブルトップ型容器であれば、ストローを必要としないため、脱プラスチックや海洋ゴミの削減に貢献できる。また、ストローを付属しないことで、段ボール等に詰めやすく、店頭における商品陳列でも省スペース化を図ることができる。更に、飲み終わった後には、容器を平面状に展開しやすく、リサイクルしやすいし、平面状に展開しない場合にも、折り曲げ線が従来のゲーブルトップ型容器よりも多く設けられているため、折り畳みやすく、薄くして捨てることができ、ごみ容量の低減にも繋がる。また、従来型の充填機を用いて製造可能であり、コスト面でも有利である。
【0021】
また、従来のゲーブルトップ型容器の注ぎ口に口を付けて飲む場合と比較し、残量が見えるため、飲む際に傾け方を調整しやすい。そのため、口からのこぼれを抑制することができ、最後まで飲み切ることができる。これにより、平面状に展開する際や、つぶして折り畳む際に、内容物が飛び散ることを抑制することができる。
【0022】
I.構成
(1)切妻屋根部
(a)屋根パネルおよび妻壁パネル
切妻屋根部は、互いに対向する、第一屋根パネルR1および第二屋根パネルR2と、第一屋根パネルR1と第二屋根パネルR2との対向方向に交差する方向で互いに対向し、第一屋根パネルR1と第二屋根パネルR2との間に折り込まれる、第一妻壁パネルW1および第二妻壁パネルW2とを有する。第一屋根パネルR1および第二屋根パネルR2は、それぞれ、第一側面パネルS1および第三側面パネルS3に横折り曲げ線yを介して連設されている。第一妻壁パネルW1および第二妻壁パネルW2は、それぞれ、第二側面パネルS2および第四側面パネルS4に横折り曲げ線yを介して連設されている。第一屋根パネルR1、第一妻壁パネルW1、第二屋根パネルR2、第二妻壁パネルW2は、この順に環状に連設されている。
【0023】
対向する一組の屋根パネル(第一屋根パネルR1と第二屋根パネルR2)は、それぞれ、四角形状の傾斜片11と、ゲーブルトップ型容器1のトップシール部Tにおいて内側貼着片15より外側に位置する外側貼着片12とで形成される。なお、トップシール部Tにおいて外側貼着片12は容器内側の面が接合面となり、内側貼着片15は容器外側の面および容器内側の面が接合面となる。
【0024】
相対向する一組の妻壁パネル(第一妻壁パネルW1と第二妻壁パネルW2)は、それぞれ、側面パネルS2、S4に連設された折り込み片13と、この折り込み片13に連設されると共に傾斜片11に連設された一対の折り返し片14と、この一対の折り返し片14に連設された一対の内側貼着片15とで形成される。
【0025】
(b)トップシール部
本開示における切妻屋根部は第一屋根パネルR1および第二屋根パネルR2の上端部ならびに第一妻壁パネルW1および第二妻壁パネルW2の上端部が接合されて形成されたトップシール部Tを備える。
【0026】
具体的には、第一屋根パネルR1および第二屋根パネルR2の上端部である各外側貼着片12は、第一妻壁パネルW1および第二妻壁パネルW2の上端部である各内側貼着片15から突出するように各内側貼着片より幅広に形成されている。トップシール部は、各境界を折り曲げ線として、折り込み片13と折り返し片14との折り曲げ線を内側に折り込むようにして、相対向する妻壁パネル(第一妻壁パネルW1と第二妻壁パネルW2)を屋根パネル(第一屋根パネルR1と第二屋根パネルR2)間に折り込み、かつ、相対向する傾斜片11を内側に折り込み、各外側貼着片12により各内側貼着片15を重ね合せ、この重ね合せ部を接着させることにより形成される。
【0027】
(c)縦折り曲げ線
本開示では、第一屋根パネルR1および第二屋根パネルR2のそれぞれは、トップシール部Tを構成する上端部である外側貼着片12の下端中央Caから、第一屋根パネルR1および第二屋根パネルR2の下端中央C2に延びる縦折り曲げ線X1、X3を有し、かつ、第一妻壁パネルW1および第二妻壁パネルW2のそれぞれは、第一妻壁パネルW1および第二妻壁パネルW2の上端中央C3から下端中央C4に延びる縦折り曲げ線X2、X4を有する。このように4本の縦折り曲げ線を設けることで、これらの縦折り曲げ線を、トップシール部の接合を全て剥がして全面開口した後に山折りすることによって、開口部形状を、四角形よりも円形に近い多角形、例えば、八角形とすることができ、さらにその開口部形状を保持することができる。このような縦折り曲げ線は、いずれもが山折りとなるように形成されたものである。
【0028】
第一屋根パネルR1、第二屋根パネルR2、第一妻壁パネルW1および第二妻壁パネルW2が有する縦折り曲げ線X1、X3、X2およびX4は、それぞれ、横折り曲げ線yを越えて、第一側面パネルS1、第三側面パネルS3、第二側面パネルS2、および第四側面パネルS4にも形成されていることが好ましい。
【0029】
横折り曲げ線yを越える縦折り曲げ線の長さ(側面パネルにおける縦折り曲げ線の長さ)は、胴部2の長さ(すなわち、側面パネルの縦方向長さ)の1/5以上であることが好ましく、胴部2の長さの1/4以上であることが更に好ましい。開封後に開口部の形状を八角形に保持しやすくなるためである。一方、胴部2の長さの3/5以下であることが好ましく、胴部2の長さの1/2以下であることが更に好ましい。胴部を手で持って飲んだ際に、胴部の形状の安定性を高めることができるからである。
【0030】
ここで、上記4本の縦折り曲げ線は、それぞれが交差する横折り曲げ線との交点には形成されていないものであってもよい。
図4は、このような縦折り曲げ線を有するゲーブルトップ型容器を例示する斜視図である。
図5は、その展開図である。
【0031】
この例においては、第一屋根パネルR1および第二屋根パネルR2は、それぞれ、トップシール部Tを構成する上端部である外側貼着片12の下端中央Caから、横折り曲げ線yから上側に所定の距離l1離れた位置P1までの間に縦折り曲げ線X1、X3が形成されている。さらに、第一妻壁パネルW1および第二妻壁パネルW2は、それぞれ、上端中央C3から、横折り曲げ線yから上側に所定の距離l2離れた位置P2までの間に縦折り曲げ線X2、X4が形成されている。
【0032】
なお、上記縦折り曲げ線X1、X3は、上記下端中央Caに必ずしも接している必要はなく、例えば、後述する所定の距離l1と同程度の距離をおいて配置されたものであってもよい。
【0033】
この例のゲーブルトップ型容器であれば、縦折り曲げ線が、横折り曲げ線と交差しないため、外観上好ましい。
【0034】
なお、横折り曲げ線yと交差する部分に縦折り曲げ線を有さなくとも、第一屋根パネルR1および第二屋根パネルR2の四角形状の傾斜片11に縦折り曲げ線を有していれば、トップシール部の接合を全て剥がして全面開口した際に、横折り曲げ線yも容易に折り曲げることができる。
【0035】
上記所定の距離l1および上記所定の距離l2は、具体的には、例えば、0.5mm以上であり、1mm以上であってもよく、2mm以上であってもよく、5mm以上であってもよい。一方、例えば、15mm以下であり、10mm以下であってもよい。上記所定の距離l1と上記所定の距離l2とは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0036】
この例では、第一屋根パネルR1、第二屋根パネルR2、第一妻壁パネルW1および第二妻壁パネルW2が有する縦折り曲げ線X1、X3、X2およびX4は、それぞれ、横折り曲げ線yと重ならないように、第一側面パネルS1、第三側面パネルS3、第二側面パネルS2、および第四側面パネルS4にも形成されていることが好ましい。
【0037】
具体的には、縦折り曲げ線は、第一側面パネルS1および第三側面パネルS3のそれぞれに、横折り曲げ線yから下側に所定の距離l3離れた位置P3から下方向に延びるように形成されており、かつ、第二側面パネルS2および第四側面パネルS4のそれぞれに、横折り曲げ線yから下側に所定の距離l4離れた位置から下方向に延びるように形成されていることが好ましい。
【0038】
上記所定の距離l3および上記所定の距離l4は、具体的には、例えば、0.5mm以上であり、1mm以上であってもよく、2mm以上であってもよく、5mm以上であってもよい。一方、例えば、15mm以下であり、10mm以下であってもよい。上記所定の距離l3と上記所定の距離l4とは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0039】
(d)表示部
本開示のゲーブルトップ型容器は、
図3に示すように、第一妻壁パネルW1と第二妻壁パネルW2に、飲み口であることを示す飲み口表示部Q1を設けることが好ましい。第一屋根パネルおよび第二屋根パネルは、搬送時に人の手に触れるが、第一妻壁パネルと第二妻壁パネルは、人の手に触れないため、第一妻壁パネルの上端部または第二妻壁パネルの上端部を飲み口とすることで、衛生的で好ましい。また、第一妻壁パネルW1と第二妻壁パネルW2における内側貼着片15は容器外側の面が接合面(
図3の展開図においては表裏面接着部)であるため、開封後は、表面(容器外側の面)が剥がれる可能性がある。従って、飲み口表示部Q1は、第一妻壁パネルW1と第二妻壁パネルW2における、内側貼着片15より下の折り込み片13と折り返し片14のいずれか一方または両方に印刷されることが好ましい。なお、
図3における展開図においては、ゲーブルトップ型容器を形成する際に接着部となる箇所を、斜線で示している。
【0040】
(e)その他
本実施形態における第一屋根パネルR1および第二屋根パネルR2には、通常、プラスチック製の注出具が設けられない。従来、紙容器において、比較的容量の大きなものでは、紙容器自体に、予め円形の開口を形成しておき、この開口部に内容液の注出用流路を備えたプラスチック製の注出具を設けた紙製包装体が使用されているが、本実施形態におけるゲーブルトップ型容器は、飲み切りサイズであるため、このようなプラスチック製の注出具が設けられない。
【0041】
(2)胴部
筒状胴部2は、当該筒状胴部2の周方向(水平方向)に連なる4つの側面パネルS1、S2、S3、S4を備え、さらに通常、シールパネルS5備えている。
図2に示す展開図のように、例えば、側面パネルS1、S2、S3、S4は、側面パネルS4に連なるシールパネルS5が側面パネルS1に加熱シールされることで、略角筒状の筒状胴部2を形成する。側面パネル同士は、それぞれ上下方向に延びる胴部縦折線aを介して連なっている。なお、
図2に示す展開図においては、側面パネルS1-側面パネルS2-側面パネルS3-側面パネルS4-シールパネルS5の順に配置されているが、例えば、側面パネルS2-側面パネルS3-側面パネルS4-側面パネルS1-シールパネルS5の順に配置されていてもよい。この場合、シールパネルS5が側面パネルS2に加熱シールされることで、略角筒状の筒状胴部2を形成する。
【0042】
上述したように、4つの側面パネルS1、S2、S3、S4のいずれにも、縦折り曲げ線X1~X4が設けられていることが好ましい。
【0043】
第一側面パネルまたは第三側面パネルには、取っ手を設けることが好ましい。取っ手を付けることで持ちやすく、口元に運びやすく、飲みやすくなる。さらに、胴部を手で支えて飲むのに対し、胴部の形状を保持しやすい。取っ手は、折り畳み格納可能であることが好ましい。収納および搬送等の際に取っ手に要するスペースの増大を抑制することができる。折り畳み格納式の取っ手としては、例えば、
図6(a)~(c)に示す取っ手Z1が挙げられる。
図6(a)の展開図に示すように、折り畳み格納式の取っ手Z1は、第一側面パネルまたは第三側面パネルに接着された接着部Z11および接着部Z11から側面パネルに沿って横方向に延設された取っ手部Z12とを有する。使用時には、
図6(b)および
図6(c)に示すように、取っ手部Z12は立てて使用される。
図6(c)は、
図6(b)のゲーブルトップ型容器1を側面パネルS2側から見た平面図である。
【0044】
第一側面パネルまたは第三側面パネルには、側面パネルとの間に手(例えば、掌または指)を挿入できる落下防止帯を設けることが好ましい。落下防止帯を設けることで、確実に容器を掴むことができる。落下防止帯は、折り畳み格納可能であることが好ましい。
図7(a)~(c)に示す折り畳み格納式の落下防止帯Z2は、手を挿入できるような帯状の取っ手であり、第一側面パネルまたは第三側面パネルに縦方向に設けられる。このような落下防止帯Z2は、上端から下方の所定の位置に谷折り線Z21を有し、かつ、更に下方に山折り線Z22を有し、山折りした状態で、上端と下端をゲーブルトップ型容器の第一側面パネルまたは第三側面パネルに接合させて設置される(
図7(a))。使用時には、
図7(b)、(c)に示すように、引き出すことで、容易に手を挿入できる緩みが確保されたものである。
図7(c)は、
図7(b)のゲーブルトップ型容器1を側面パネルS2側から見た平面図である。
【0045】
(3)底部
底部3は、底部縦折線bを介して互いに連なるとともに、底部横折線cを介して側面パネルS1~S4の下端に連なる4つの底部パネルB1~B4と、底部パネルB4に底部縦折線bを介して連なるとともに、シールパネルS5の下端に連なるシールパネルB5とを備えている。底部パネルB2、B4には、一対の谷折線dが形成されている。
【0046】
II.開封後開口部形状
本開示のゲーブルトップ型容器の開口方法は、容器の切妻屋根部の双方の屋根パネル(R1、R2)(傾斜片と折り返し片の重なり部分)を、第一妻壁パネルW1の折り返しや折り込みにより形成された空洞部に親指を入れて親指と人差し指で握持し、外側に押し広げるように、トップシール部Tから双方の傾斜片と折り返し片の重なり部分を剥がして完全に押し広げる。今度は、剥がした双方の傾斜片と折り返し片の重なり部分の両端縁を親指と残りの指で挟むようにして押しつぶすような力を加えると、内側貼着片15が外側貼着片12から剥がれて、妻壁パネルの折り込み片や折り返し片が反り返って、開口する。次いで、反対側も同様に開口することで、トップシール部の接合が全て剥がれ、全面開口する。この際、第一屋根パネルと第一妻壁パネルと間の角部および第二屋根パネルと第二妻壁パネルとの間の角部を握持し、対角方向外側に引っ張り、その後、第一屋根パネルと第二妻壁パネルと間の角部および第二屋根パネルと第一妻壁パネルとの間の角部を握持し対角方向外側に引っ張ることで、全面開口しやすくなる。なお、引っ張る順序は、逆であってもよい。その後、各屋根パネルおよび各妻壁パネルに設けた4本の縦折り曲げ線で山折りすることで、開口部が、四角形よりも円形に近い多角形、例えば、八角形となる。
【0047】
III.容量
本開示のゲーブルトップ型容器の容量は、飲み切りサイズであれば、特に限定されるものではない。具体的には、500ml以下であり、250ml以下であってもよいし、200ml以下であってもよい。
【0048】
IV.材料
本開示のゲーブルトップ型容器は、シーラント層、紙基材、およびシーラント層がこの順で積層された積層体と、印刷層とのみから構成され、上記印刷層は、上記シーラント層の上記紙基材とは反対側の面、または上記シーラント層と上記紙基材との間に配置されている。
【0049】
上記シーラント層は、ヒートシール性を有する樹脂であれば用いる樹脂は特に限定されるものではないが、ポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。
【0050】
このようなポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー等を用いることができる。
【0051】
また、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の樹脂も使用することができる。
【0052】
上記紙基材としては、液体紙容器を保持する基材層としての機能を果たすものであり、積層体に包装製品としての強度を付与できるものであれば、特に限定されるものではない。このような紙基材に用いられる紙としは、100g/m2以上700g/m2以下、好ましくは130g/m2以上500g/m2以下のものが用いられる。また、紙基材としては、白板紙全般であればよいが、特に安全性の観点から天然パルプを用いたアイボリー紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙等が好適に用いられる。
【0053】
本開示におけるシーラント層、紙基材、およびシーラント層がこの順で積層された積層体は、上述した樹脂の1種ないし2種以上を使用し、これを押出機等を用いて溶融押出して、アンカーコート層等を介して、紙基材上に溶融押出積層することにより、あるいは、上記のような樹脂の1種ないし2種以上を使用し、予め、これから樹脂のフィルムないしシートを製造し、その樹脂のフィルムないしシートを、ラミネート用接着剤層等を介して、紙基材上にドライラミネート積層することにより、形成することができる。
【0054】
本開示に用いられる上記印刷層は、上記シーラント層の上記紙基材とは反対側の面、または上記シーラント層と上記紙基材との間に配置される。
上記印刷層は、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者などの表示や美感の付与のために、文字、数字、絵柄、図形、記号、模様などの所望の任意の印刷模様を形成する層である。
【0055】
このような印刷層は、全面に設けてもよく、あるいは一部に設けてもよい。印刷層は、従来公知の顔料や染料を用いて形成することができ、その形成方法は特に限定されない。
本開示においては、上述した積層体および印刷層以外に、
【0056】
上記印刷層および積層体の厚み(シーラント層、紙基材、およびシーラント層がこの順で積層された積層体、および印刷層の総厚み)は、容量によって適宜設定することができる。例えば、容量200mlの場合には、350μm以上が好ましく、370μm以上がより好ましく、400μm以上が特に好ましい。また、容量500mlの場合には、400μm以上が好ましく、430μm以上がより好ましく、450μm以上が特に好ましい。一方、厚すぎると成形性が悪くなることから、1000μm以下が好ましく、800μm以下がより好ましく、600μm以下が更に好ましい。
【0057】
上記印刷層および積層体の厚みは、ゲーブルトップ型容器を切断し、断面をマイクロスコープで観察し、計測することができる。ゲーブルトップ型容器の切断には、汎用断面カッターCSC5(日本電子株式会社製)や滑走式ミクロトーム等、断面をつぶさずに切断できる道具を用いることが好ましい。
【0058】
本開示のケーブルトップ型容器は、上述した積層体および印刷層のみから構成されるものであるが、上記トップシール部の一部に、剥離ニスが塗布されたものを含む場合がある。
【0059】
本開示のケーブルトップ型容器は、このように上述した積層体および印刷層のみから構成されるものであることから、上記トップシール部の接合を全て剥がして全面開口する際に、過度な力を要することなく全面開口することができ、開口後、上記4本の縦折り曲げ線のそれぞれを山折りとすることにより、開口部の形状が八角形形状のコップ状の器として用い、内容物を容易に飲めることが可能となるという効果を奏する。
【0060】
V.その他
本開示のゲーブルトップ型容器は、牛乳、乳飲料、ジュース等の飲料液体用の容器である。特に、学校給食等で提供される牛乳(通常、200ml)は、数が膨大であり、ストロー廃棄量も膨大となっていることから、本発明による脱プラスチックや海洋ゴミの削減の効果を顕著に得ることができる。
【0061】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
【0062】
すなわち、本開示においては、以下の発明を提供できる。
[1]第一側面パネル、第二側面パネル、第三側面パネル及び第四側面パネルの4枚の側面パネルがこの順に連接された筒状の胴部と、前記胴部の下端に連接し、四角形状を有する底部と、前記胴部の上端に連接する切妻屋根部と、を有し、前記切妻屋根部は、互いに対向する、前記第一側面パネルに連接した第一屋根パネルおよび前記第三側面パネルに連接した第二屋根パネルと、前記第一屋根パネルと前記第二屋根パネルとの対向方向に交差する方向で互いに対向し、前記第一屋根パネルと前記第二屋根パネルとの間に折り込まれる、前記第二側面パネルに連接した第一妻壁パネルおよび前記第四側面パネルに連接した第二妻壁パネルと、前記第一屋根パネルの上端部および前記第二屋根パネルの上端部、ならびに、前記第一妻壁パネルの上端部および前記第二妻壁パネルの上端部が接合されて形成されたトップシール部と、を備える、容量500ml以下のゲーブルトップ型容器であって、前記ケーブルトップ型容器は、シーラント層、紙基材、およびシーラント層がこの順で積層された積層体と、印刷層とのみから構成され、前記印刷層は、前記シーラント層の前記紙基材とは反対側の面、または前記シーラント層と前記紙基材との間に配置されており、前記第一屋根パネルおよび前記第二屋根パネルは、それぞれ、前記トップシール部を構成する前記上端部である外側貼着片の下端中央から、前記第一屋根パネルおよび前記第二屋根パネルの下端中央に延びる縦折り曲げ線を有し、かつ、前記第一妻壁パネルおよび前記第二妻壁パネルは、それぞれ、上端中央から下端中央に延びる縦折り曲げ線を有し、前記第一屋根パネル、前記第二屋根パネル、前記第一妻壁パネル、および前記第二妻壁パネルにそれぞれ配置された前記4本の縦折り曲げ線は、前記トップシール部の接合を全て剥がして全面開口した際に、前記4本の縦折り曲げ線のそれぞれを山折りとすることにより、開口部の形状が八角形形状のコップ状の器として変形するように機能する、ゲーブルトップ型容器。
[2]前記第一屋根パネル、前記第二屋根パネル、前記第一妻壁パネルおよび前記第二妻壁パネルは、それぞれ、横折り曲げ線を介して、前記第一側面パネル、前記第三側面パネル、前記第二側面パネル、および前記第四側面パネルに連接されており、前記第一屋根パネル、前記第二屋根パネル、前記第一妻壁パネルおよび前記第二妻壁パネルが有する前記縦折り曲げ線は、それぞれ、前記横折り曲げ線を越えて、前記第一側面パネル、前記第三側面パネル、前記第二側面パネル、および前記第四側面パネルにも形成されている、[1]に記載のゲーブルトップ型容器。
[3]前記4本の縦折り曲げ線は、それぞれが交差する横折り曲げ線との交点には形成されていない、[2]に記載のケーブルトップ型容器。
[4]前記第一妻壁パネルと前記第二妻壁パネルに、飲み口であることを示す飲み口表示部が設けられている、[1]から[3]までのいずれかに記載のゲーブルトップ型容器。
[5]前記第一側面パネル、前記第二側面パネル、前記第三側面パネルおよび前記第四側面パネルの上端左右の角部近傍と、前記第一屋根パネルおよび前記第二屋根パネルの下端左右の角部近傍と、前記第一妻壁パネルおよび前記第二妻壁パネルの下端左右の角部近傍と、に、開封後に押し込むための押し込み部が設けられている、[1]から[4]までのいずれかに記載のゲーブルトップ型容器。
[6]前記第一屋根パネルの上端中央近傍および前記第二屋根パネルの上端中央近傍に、開封後に外側に引っ張るための引張部が設けられている、[1]から[5]までのいずれ
かに記載のゲーブルトップ型容器。
[7]前記第一屋根パネルの上端中央および前記第二屋根パネルの上端中央に摘み部を有する、[1]から[6]までのいずれかに記載のゲーブルトップ型容器。
[8]前記第一側面パネルまたは前記第三側面パネルに、取っ手が設けられている、[1]から[7]までのいずれかに記載のゲーブルトップ型容器。
[9]前記第一側面パネルまたは前記第三側面パネルに、落下防止帯が設けられている、[1]から[7]までのいずれかに記載のゲーブルトップ型容器。
【符号の説明】
【0063】
1 … ゲーブルトップ型容器
2 … 胴部
3 … 底部
4 … 切妻屋根部
S1,S2,S3,S4… 側面パネル
R1,R2… 屋根パネル
W1,W2… 妻壁パネル
X1,X2,X3,X4… 縦折り曲げ線