(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】電子装置、電子装置の制御方法及び電子装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/026 20060101AFI20231129BHJP
A45D 44/00 20060101ALI20231129BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A61B5/026 120
A45D44/00 A
A61B5/02 310B
(21)【出願番号】P 2022176826
(22)【出願日】2022-11-04
(62)【分割の表示】P 2020052655の分割
【原出願日】2020-03-24
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大塚 利彦
(72)【発明者】
【氏名】冨田 高弘
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-079239(JP,A)
【文献】特開2008-113876(JP,A)
【文献】特開2016-190022(JP,A)
【文献】特開2019-111317(JP,A)
【文献】広島県禁煙支援ネットワーク たばこの健康障害 禁煙と循環器,2023年06月16日,<URL:http://web.archive.org/web/20150706222400/http://www.menet-hiroshima.jp/kin-en/Illness/jyunkan.html>,2015年7月6日付けウェブアーカイブ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 -5/03
A61B 5/145-5/1455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも身体の一部を撮像したことにより得られる第1映像における前記身体の映像情報に基づいて、前記身体の脈波の所定時間内における振幅を示す第1脈波振幅情報を取得し、前記第1映像を撮像したときよりも後に、少なくとも身体の一部を撮像したことにより得られる第2映像における前記身体の映像情報に基づいて、前記身体の脈波の所定時間内における振幅を示す第2脈波振幅情報を取得する映像処理部と、
前記第1脈波振幅情報と前記第2脈波振幅情報を比較し、血流の変化の程度を示す比較結果を出力する結果処理部と、
前記結果処理部から出力された前記比較結果を記憶する記憶部と、
前記結果処理部によって新たに出力された比較結果と、前記記憶部に記憶された過去の前記比較結果と、に基づいて血流の変化の傾向を取得する評価処理部と、
を備え、
前記第2映像は、前記第1映像を撮像した後のユーザが行ったイベント後に取得されるものであり、
前記イベントは、当該イベント後に血行が促進されるイベントであって、習慣的な当該イベントの実行により、当該イベントの実行前と実行後との間で血流の変化の差が小さくなるイベントであり、
前記評価処理部は、前記記憶部に前記比較結果が1以上記憶されている状態で、前記第
2脈波振幅情報の脈波振幅が前記第
1脈波振幅情報の脈波振幅以下である場合には、前記イベントが長期にわたり行われていると評価する、
ことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記評価処理部は、
前記結果処理部によって新た
に比較結果が出力されると、複数の過去の前記比較結果と現在の前記比較結果とに基づいて血流の変化の傾向を取得する請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
身体を撮像した映像に基づいて血流を計測する電子装置の制御方法であって、
少なくとも身体の一部を撮像したことにより得られる第1映像における前記身体の映像情報に基づいて、前記身体の脈波の所定時間内における振幅を示す第1脈波振幅情報を取得し、前記第1映像を撮像したときよりも後に、少なくとも身体の一部を撮像したことにより得られる第2映像における前記身体の映像情報に基づいて、前記身体の脈波の所定時間内における振幅を示す第2脈波振幅情報を取得する映像処理ステップと、
前記第1脈波振幅情報と前記第2脈波振幅情報を比較し、血流の変化の程度を示す比較結果を出力する結果処理ステップと、
前記結果処理ステップにおいて出力された前記比較結果を記憶部に記憶させる記憶ステップと、
前記結果処理ステップにおいて新たに出力された比較結果と、前記記憶ステップにおいて記憶された過去の前記比較結果と、に基づいて血流の変化の傾向を取得する評価処理ステップを有し、
前記第2映像は、前記第1映像を撮像した後のユーザが行ったイベント後に取得されるものであり、
前記イベントは、当該イベント後に血行が促進されるイベントであって、習慣的な当該イベントの実行により、当該イベントの実行前と実行後との間で血流の変化の差が小さくなるイベントであり、
前記評価処理ステップは、前記記憶ステップにおいて記憶された前記比較結果が1以上記憶されている状態で、前記第
2脈波振幅情報の脈波振幅が前記第
1脈波振幅情報の脈波振幅以下である場合には、前記イベントが長期にわたり行われていると評価する、
ことを特徴とする電子装置の制御方法。
【請求項4】
身体を撮像した映像に基づいて血流を計測する電子装置に、
少なくとも身体の一部を撮像したことにより得られる第1映像における前記身体の映像情報に基づいて、前記身体の脈波の所定時間内における振幅を示す第1脈波振幅情報を取得し、前記第1映像を撮像したときよりも後に、少なくとも身体の一部を撮像したことにより得られる第2映像における前記身体の映像情報に基づいて、前記身体の脈波の所定時間内における振幅を示す第2脈波振幅情報を取得する映像処理機能と、
前記第1脈波振幅情報と前記第2脈波振幅情報を比較し、血流の変化の程度を示す比較結果を出力する結果処理機能と、
前記結果処理機能によって出力された前記比較結果を記憶部に記憶させる記憶機能と、
前記結果処理機能によって新たに出力された比較結果と、前記記憶機能によって記憶された過去の前記比較結果と、に基づいて血流の変化の傾向を取得する評価処理機能と、
を実現させ、
前記第2映像は、前記第1映像を撮像した後のユーザが行ったイベント後に取得されるものであり、
前記イベントは、当該イベント後に血行が促進されるイベントであって、習慣的な当該イベントの実行により、当該イベントの実行前と実行後との間で血流の変化の差が小さくなるイベントであり、
前記評価処理機能は、前記記憶機能によって記憶された前記比較結果が1以上記憶されている状態で、前記第
2脈波振幅情報の脈波振幅が前記第
1脈波振幅情報の脈波振幅以下である場合には、前記イベントが長期にわたり行われていると評価する、
ことを特徴とする電子装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置、電子装置の制御方法及び電子装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映像から対象者の血流等の生体情報を取得する技術が知られている。特許文献1には、映像信号における輝度情報に基づいて対象者の脈波に関する情報を取得し、脈波の変動に基づいて算出された血行情報をヒートマップのように表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マッサージ等の美容施術の前後の映像を取得し、映像から取得した生体情報に基づいて血流の変化の程度に基づいて美容施術の効果測定を行う場合がある。しかし、従来技術では、美容施術の前後から血流の変化の程度を計測し、そのときの効果測定を行うことができるものの、美容施術を継続的に行った場合の効果を測定することが難しかった。
【0005】
本発明は、映像から取得した生体情報に基づいて、継続的に行われた美容施術等の効果を正確に測定できる電子装置、電子装置の制御方法及び電子装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の電子装置は、
少なくとも身体の一部を撮像したことにより得られる第1映像における前記身体の映像情報に基づいて、前記身体の脈波の所定時間内における振幅を示す第1脈波振幅情報を取得し、前記第1映像を撮像したときよりも後に、少なくとも身体の一部を撮像したことにより得られる第2映像における前記身体の映像情報に基づいて、前記身体の脈波の所定時間内における振幅を示す第2脈波振幅情報を取得する映像処理部と、
前記第1脈波振幅情報と前記第2脈波振幅情報を比較し、血流の変化の程度を示す比較結果を出力する結果処理部と、
前記結果処理部から出力された前記比較結果を記憶する記憶部と、
前記結果処理部によって新たに出力された比較結果と、前記記憶部に記憶された過去の前記比較結果と、に基づいて血流の変化の傾向を取得する評価処理部と、
を備え、
前記第2映像は、前記第1映像を撮像した後のユーザが行ったイベント後に取得されるものであり、
前記イベントは、当該イベント後に血行が促進されるイベントであって、習慣的な当該イベントの実行により、当該イベントの実行前と実行後との間で血流の変化の差が小さくなるイベントであり、
前記評価処理部は、前記記憶部に前記比較結果が1以上記憶されている状態で、前記第2脈波振幅情報の脈波振幅が前記第1脈波振幅情報の脈波振幅以下である場合には、前記イベントが長期にわたり行われていると評価する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電子装置、電子装置の制御方法及び電子装置の制御プログラムによれば、継続的に行われた美容施術等の効果を正確に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る計測システムの構成を示す構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る計測システムで用いられる計測専用カメラの構成を示す構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る電子装置の前面の外観構成を示す構成図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る電子装置の側面の外観構成を示す構成図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る電子装置のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る電子装置で用いられる計測専用カメラのハードウェアの構成を示すブロック図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る電子装置の機能的構成のうち、測定処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る電子装置によって計測されるマッサージ前後のRGB輝度値の時間変化の変遷を示すグラフである。
【
図9】本発明の一実施形態に係る電子装置によって計測されるマッサージ前後のG輝度値の時間変化の変遷を示すグラフである。
【
図10】本発明の一実施形態に係る電子装置によって計測されるマッサージ前後のG―R値の時間変化の変遷を示すグラフである。
【
図11】本発明の一実施形態に係る電子装置によって計測されるマッサージ前の脈波振幅を示すグラフである。
【
図12】本発明の一実施形態に係る電子装置によって計測されるマッサージ前後のPAレベル値の時間変化の変遷を示すグラフである。
【
図13】本発明の一実施形態に係る電子装置によって計測されるPAレベル値と血流のベースラインの実測値の変化率の推移を示すグラフである。
【
図14A】本発明の一実施形態に係る電子装置が実行する処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図14B】本発明の一実施形態に係る電子装置が実行する処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図14C】本発明の一実施形態に係る電子装置が実行する処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図14D】本発明の一実施形態に係る電子装置が実行する処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図14E】本発明の一実施形態に係る電子装置が実行する処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図14F】本発明の一実施形態に係る電子装置が実行する処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
[実施形態の概略]
本発明の実施形態に係る電子装置1は、ユーザが携帯可能な自立式の鏡として構成されるスマートミラーである。電子装置1は、鏡を視認する対象者としてのユーザを撮像する。電子装置1は、ユーザを撮像した映像に基づいて生体情報を取得する。
【0010】
[システム構成]
図1は、本実施形態に係る電子装置1が含まれる計測システムSの全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、計測システムSは、複数の電子装置1、ネットワーク2及びサーバ群3を含む。電子装置1の台数には、特に制限はなく、n台(nは、任意の自然数)の電子装置1が計測システムSに含まれていてもよい。なお、以下の説明において、n台の電子装置1を特に区別することなく説明する場合には、符号の末尾のアルファベットを省略し、単に「電子装置1」と称する。
【0011】
電子装置1は、映像からユーザの血流変動を計測し、計測結果を表示する計測装置である。電子装置1は、ネットワーク2を介して、サーバ群3に含まれる各サーバと、相互に通信可能に接続されている。
【0012】
ネットワーク2は、例えば、インターネットや、LAN(Local Area Network)や、携帯電話網の何れか又はこれらを組み合わせたネットワークにより実現される。
【0013】
サーバ群3には、電子装置1と協働する各種のサーバが含まれる。例えば、サーバ群3には、電子装置1のユーザを認証するための認証サーバが含まれる。また、例えば、サーバ群3には、電子装置1の機能を実現するためのアプリケーションソフトウェアを配信するアプリケーション配信サーバが含まれる。更に、例えば、サーバ群3には、ユーザに関する設定情報やユーザによる電子装置1の利用履歴等を含んだ情報である、ユーザのプロファイル情報を格納する測定データ格納サーバが含まれる。
【0014】
また、電子装置1には計測専用カメラ25が有線通信又は無線通信により、電気的に接続される。
図2は、計測専用カメラ25の構成を示す。計測専用カメラ25は、撮像部256と、撮像部256を外部から隔離する専用のカバー252と、カバー252内で計測対象に光を照射する照明部257と、を備える。計測対象にカバー252の先端を当てた状態で撮像することにより、カバー内の明るさを一定に維持し、外乱の影響を抑制した状態で映像を取得できる。
【0015】
なお、
図1に示した計測システムSは一例に過ぎず、他の機能を有するサーバがサーバ群3に含まれていてもよい。また、サーバ群3に含まれる複数のサーバを、それぞれ別個のサーバ装置で実現してもよく、単一のサーバ装置にて実現するようにしてもよい。
【0016】
[外観構成]
図3は、本発明の一実施形態に係る電子装置1の前面の外観構成を示す構成図である。また、
図4は、電子装置1の側面の外観構成を示す構成図である。電子装置1の前面の大きさは、例えば、国際規格であるISO(International Organization for Standardization)216で規定されるA4サイズに形成される。
【0017】
図3及び
図4に示すように、電子装置1は、本体部30と、脚部31と、ヒンジ部32と、を含んで構成される。本体部30は、表示部18や、
図5を参照して後述するその他のハードウェアを含む部分である。また、脚部31とヒンジ部32は、電子装置1を自立させるための部材である。脚部31は、ヒンジ部32によって本体部30に対して回動可能に支持される。
【0018】
図4(A)に示すように、ユーザは、電子装置1を携帯する際に、本体部30の側面と、脚部31の側面とを揃えて、嵩張らない形状として持ち運ぶことができる。一方で、
図4(B)に示すように、ユーザは、電子装置1を机等に設置して利用する際には、ヒンジ部32を中心点として脚部31を回動させることにより、電子装置1を自立して設置することができる。なお、電子装置1を自立可能とするために、ヒンジ部32は、脚部31が所定の角度を保った状態で保持するための機構を有する。
【0019】
本体部30は、上述したように表示部18を含む。表示部18は、各種の情報を表示することにより、これら各種の情報をユーザに対して表示する部分である。表示部18は、例えば、撮像部16が被写体として撮像したユーザの実像であるユーザ画像(図中のユーザ画像51に相当)や、ユーザの代替となる代替画像であるアバター画像(図中のアバター画像52に相当)や、ガイダンスを行うための補助情報であるガイド画像(図中のガイド画像53に相当)を表示する。また、この場合に、表示部18では、アバター画像にガイド画像が合成され、重畳して表示される。
【0020】
ユーザは、表示部18を視認することにより、これらの多様な情報を一度に把握することができる。なお、このような表示部18の表示が、見た目上のギャップがない、ユーザが視認するのに適した一体感のあるものである点については、上述した通りである。
【0021】
図3に示すように、電子装置1は、外観構成として、更に、撮像部16、入力部17及び表示部18を備えている。
【0022】
撮像部16は、電子装置1の利用時に、表示部18に正対するユーザを被写体として撮像するカメラである。撮像部16は、表示部18に正対するユーザの顔を含むユーザ画像51を撮像可能な位置に配置される。例えば、撮像部16は、図中に示すように、本体部30の前面であって、表示部18の上部に配置される。
【0023】
なお、電子装置1は、ユーザ画像51を撮像するため、撮像部16を用いることも、上記の計測専用カメラ25を用いることも可能である。より詳細には、電子装置1は、撮像部16と計測専用カメラ25のうちいずれか一方を選択的に用いることも可能であり、使用用途に応じて双方を用いることも可能である。
【0024】
入力部17は、ユーザによる操作入力を受け付ける部分である。入力部17は、例えば複数のボタンにより実現される。図中では、一例として、小顔エステ、笑顔トレーニング、及び生体情報の記録等の各種のモードへの切り換えボタンや、電子装置1の電源のオン/オフの切り替えを行うためのボタンを図示する。
【0025】
以上、電子装置1の外観構造について説明をした。ただし、この構造は一例に過ぎず、電子装置1の外観構造は、この例に限定されない。
【0026】
例えば、電子装置1は、表示部18に正対するユーザを照らすために発光する発光部を更に備えていてもよい。発光部が、照度や色成分を調整してユーザを照らすことにより、電子装置1は、照明付きの鏡として機能する。発光部の数は複数であってもよい。また、発光部は、表示部18の上部や下部に配置されてもよく、表示部18の周辺全体に配置されてもよい。
【0027】
また、例えば、入力部17の数や配置が変更されてもよい。また、例えば、表示部18の一部がタッチパネルとして構成され、入力部17と表示部18とが一体に構成されてもよい。
【0028】
[ハードウェア構成]
図5は、電子装置1のハードウェアの構成を示すブロック図である。
図5に示すように、電子装置1は、プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、撮像部16と、入力部17と、表示部18と、記憶部19と、通信部20と、ドライブ21と、バッテリ22と、を備えている。
【0029】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部19からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
【0030】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0031】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、撮像部16と、入力部17と、表示部18と、記憶部19と、通信部20と、ドライブ21と、バッテリ22と、が接続されている。
【0032】
撮像部16は、図示はしないが、光学レンズ部と、イメージセンサと、を備えている。光学レンズ部は、被写体を撮像するために、光を集光するレンズ、例えばフォーカスレンズやズームレンズ等で構成される。フォーカスレンズは、イメージセンサの受光面に被写体像を結像させるレンズである。ズームレンズは、焦点距離を一定の範囲で自在に変化させるレンズである。撮像部16にはまた、必要に応じて、焦点、露出、ホワイトバランス等の設定パラメータを調整する周辺回路が設けられる。
【0033】
イメージセンサは、光電変換素子や、AFE(Analog Front End)等から構成される。光電変換素子は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の光電変換素子等から構成される。光電変換素子には、光学レンズ部から被写体像が入射される。そこで、光電変換素子は、被写体像を光電変換(撮像)して画像信号を一定時間蓄積し、蓄積した画像信号をアナログ信号としてAFEに順次供給する。AFEは、このアナログの画像信号に対して、A/D(Analog/Digital)変換処理等の各種信号処理を実行する。各種信号処理によって、デジタル信号が生成され、撮像部16の出力信号として出力される。このような撮像部16の出力信号は、CPU11等に適宜供給される。
【0034】
入力部17は、各種ボタンやマイク等で構成され、ユーザの指示操作や指示音声に応じて各種情報を入力する。
【0035】
表示部18は、液晶ディスプレイ等で構成され、CPU11が出力する画像データに対応する画像を表示する。
【0036】
記憶部19は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリで構成され、各種データを記憶する。
【0037】
通信部20は、CPU11が、ネットワーク2を介して他の装置(例えば、サーバ群3に含まれる各サーバ)との間で通信を行うための通信制御を行う。
【0038】
ドライブ21は、リムーバブルメディア100を装着可能なインターフェースにより構成される。ドライブ21には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア100が適宜装着される。リムーバブルメディア100には、後述の合成表示処理を実行するためのプログラムや、画像データ等の各種データが格納される。ドライブ21によってリムーバブルメディア100から読み出されたプログラムや、画像データ等の各種のデータは、必要に応じて記憶部19にインストールされる。
【0039】
バッテリ22は、各部に電力を供給するとともに外部電源に接続されることにより、充電可能に構成される。電子装置1が外部電源に接続されていない状態ではバッテリ22の電力によって電子装置1が動作する。
【0040】
なお、電子装置1は、上述したハードウェアに加えて、他のハードウェアを更に備えていてもよい。例えば、電子装置1は、ランプやスピーカあるいは振動用モータ等で構成され、光や音声あるいはバイブレーション信号を出力する出力部等を更に備えてもよい。
【0041】
図6は、計測専用カメラ25のハードウェアの構成を示すブロック図である。
図6に示すように、計測専用カメラ25は、処理部251と、撮像部256と、照明部257と、通信部260と、ドライブ261と、バッテリ262と、を備えている。
【0042】
処理部251は、計測専用カメラ25全体の制御を行っている。とりわけ、処理部251は、後述の通信部260を介して、電子装置1のCPU11と通信し、電子装置1からの指令信号を取得することにより、計測専用カメラ25全体の制御を行っている。なお、計測専用カメラ25全体の制御には、後述の撮像部256で撮像した映像の処理が含まれる。
【0043】
撮像部256は、図示はしないが、光学レンズ部、及び/又はイメージセンサを備えている。光学レンズ部は、被写体を撮像するために、光を集光するレンズ、例えばフォーカスレンズやズームレンズ等で構成される。フォーカスレンズは、イメージセンサの受光面に被写体像を結像させるレンズである。ズームレンズは、焦点距離を一定の範囲で自在に変化させるレンズである。撮像部256にはまた、必要に応じて、焦点、露出、ホワイトバランス等の設定パラメータを調整する周辺回路が設けられる。
【0044】
イメージセンサは、光電変換素子や、AFE(Analog Front End)等から構成される。光電変換素子は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の光電変換素子等から構成される。光電変換素子には、光学レンズ部から被写体像が入射される。そこで、光電変換素子は、被写体像を光電変換(撮像)して画像信号を一定時間蓄積し、蓄積した画像信号をアナログ信号としてAFEに順次供給する。AFEは、このアナログの画像信号に対して、A/D(Analog/Digital)変換処理等の各種信号処理を実行する。各種信号処理によって、デジタル信号が生成され、撮像部256の出力信号として出力される。このような撮像部256の出力信号は、処理部251等に適宜供給される。
【0045】
照明部257は、撮像部256による撮像時に、処理部251からの制御信号に従って、撮像部256の視野に投光する。照明部257は、例えばLEDと調光回路によって実現されることが可能である。
【0046】
通信部260は、処理部251が、電子装置1との間で通信を行うための通信制御を行う。
【0047】
ドライブ261は、リムーバブルメディア200を装着可能なインターフェースにより構成される。ドライブ261には、例として、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア200が適宜装着される。リムーバブルメディア200には、画像データ等の各種データや、処理部251での処理に用いられるプログラムが格納される。
【0048】
バッテリ262は、各部に電力を供給するとともに外部電源に接続されることにより、充電可能に構成される。計測専用カメラ25が外部電源に接続されていない状態ではバッテリ262の電力によって電子装置1が動作する。
【0049】
なお、計測専用カメラ25は、上述したハードウェアに加えて、他のハードウェアを更に備えていてもよい。
【0050】
[機能的構成]
図7は、電子装置1の機能的構成のうち、測定処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。測定処理とは、電子装置1が、ユーザから取得した生体情報値の変化に基づいて計測結果を表示する一連の処理である。
【0051】
まず、各種情報を記憶する記憶部19について説明する。記憶部19には、表示処理におけるガイダンスに関する各種のデータや、ユーザの実像の代替となるアバターに関する各種のデータや、計測を行なうための情報や計測結果を表示するための情報や計測結果を示す情報等が格納される。なお、上述した各種のデータは、記憶部19にのみ格納されていてもよいが、ドライブ21によってリムーバブルメディア100に適宜格納されるようにしてもよい。更に、各情報は、サーバ群3に含まれる測定データ格納サーバ等に適宜格納されるようにしてもよい。
【0052】
次に、測定処理を実行する各機能ブロックについて説明する。
図7に示すように、制御部としてのCPU11において、映像処理部111と、表示処理部112と、結果処理部113と、評価処理部114と、情報処理部115と、通信処理部116と、が機能する。
【0053】
映像処理部111は、撮像部16が撮像した被写体としてのユーザを含む映像を解析することにより、ユーザに関する情報(以下、「被写体情報」と称する。)を取得する。被写体情報は、例えば、ユーザ画像51の顔等における各部位の位置を示す座標や、ユーザ画像51の顔等における各部位の色や、ユーザの状態を示す生体情報(バイタルデータと呼ばれることもある。)等である。撮像部16が取得する情報(映像)に基づいて計測が行われるので、ユーザに接触することなく生体情報を逐次取得できる。
【0054】
測定処理を行う前提としての座標情報について説明する。座標情報は、例えば、撮像部16において撮像された画像についての座標系である撮像座標系、表示部18の表示面についての座標系である表示部座標系といった各座標系を定義するための情報、及び各座標系における座標を他の座標系における座標に変換するための対応関係を示す情報が含まれる。各機能ブロックは、これらの各座標系における座標の対応関係に基づいて、各座標系における座標を変換することにより表示処理を行うことができる。これら各座標系の対応関係は、例えば、電子装置1の製造時に、撮像部16における撮像レンズの方向調整や、ズーム率の調整等による、対応関係の補正を伴うキャリブレーションを行うことにより設定される。例えば、ズーム率の調整は、撮像部16のレンズ位置の調整によって行われる所謂光学ズーム、及び、画像処理における所謂デジタルズーム、の双方又は何れかを用いて行われる。
【0055】
また、映像処理部111は、少なくとも身体の一部を撮像したことにより得られる第1映像における身体の映像情報に基づいて、身体の脈波の所定時間内における平均振幅を示す第1脈波振幅情報を取得し、前記第1映像を撮像したときよりも後に、少なくとも身体の一部を撮像したことにより得られる第2映像における前記身体の映像情報に基づいて、前記身体の脈波の所定時間内における平均振幅を示す第2脈波振幅情報を取得する。
なお、映像処理部111は、身体の脈波の所定時間内における平均振幅を示す第1脈波振幅情報と第2脈波振幅情報を取得するとしたが、これには限定されない。例えば、映像処理部111は、第1脈波振幅情報及び第2脈波振幅情報として、所定期間における振幅の最頻値、中央値、平均値等の種々の方式により算出された振幅情報を取得してもよい。
【0056】
例えば、映像処理部111は、ユーザがユーザ自身の顔等に対してマッサージを行う際、マッサージを行う前の顔等を撮像した画像から、当該顔等における脈波の所定時間における平均振幅を示す第1脈波振幅情報を取得するとともに、マッサージを行った後の顔等を撮像した画像から、当該顔等における脈波の所定時間における平均振幅を示す第2脈波振幅情報を取得する。なお、「脈波」の定義については後述する。
【0057】
表示処理部112は、表示映像として動画像を表示する制御を行う。これにより、血流変動を動的に視覚化でき、特定の行動前後の違いを分かり易く表示できる。本実施形態の動画像は測定結果を色合いで表現する色相動画像である。色相動画像は、特定の部位(第1部位)がマス目状の小領域に分割され、小領域ごとに血流変動が色相の変化によって表現されている様子が示される。特定の部位は、例えば、顔の一部分である。
【0058】
また、表示処理部112は、ガイド画像やアバター画像を合成する合成処理等も行う。例えば、表示処理部112は、表示部18にユーザの鏡像又はユーザに対応する画像(例えば、アバター等)を表示する制御を行う。例えば、表示処理部112は、ユーザ画像をメインとして表示するとともにアバター画像とガイド画像とを合成した合成画像をサブとして表示する第1の表示モードと、ユーザ画像をサブとして表示するとともにアバター画像とガイド画像とを合成した合成画像をメインとして表示する第2の表示モードとを切り替える処理を実行する。
図3に示すように、合成画像であるアバター画像とガイド画像をメインとして画面中央に大きなサイズで表示し、ユーザ画像をサブとして画面下部等にメインよりも小さなサイズで表示することができる。逆に、ユーザ画像をメインとして画面中央に大きなサイズで表示し、合成画像であるアバター画像とガイド画像をサブとして画面下部等にメインよりも小さなサイズで表示することもできる。
【0059】
結果処理部113は、上記の第1脈波振幅情報と第2脈波振幅情報とを比較し、血流の変化の程度を示す比較結果を出力する。
【0060】
例えば、結果処理部113は、ユーザがユーザ自身の顔等に対してマッサージを行う際、マッサージを行う前の顔等を撮像した画像から取得した第1脈波振幅情報と、マッサージを行った後の顔等を撮像した画像から取得した第2脈波振幅情報とを比較し、ユーザの顔等における血流の変化の程度を示す比較結果を出力する。
【0061】
また、結果処理部113は、上記の比較結果を出力する際、少なくとも記憶部19に当該比較結果を出力する。これにより、記憶部19には、第1脈波振幅情報と第2脈波振幅情報との比較結果の履歴が格納される。
【0062】
評価処理部114は、結果処理部113によって新たに出力された比較結果と、記憶部19に記憶された過去の比較結果とに基づいて血流の変化の傾向を取得する。
【0063】
例えば、評価処理部114は、ユーザがユーザ自身の顔等に対してマッサージを行う際、新たに出力された比較結果と過去の比較結果とに基づいて、マッサージの前後における血流の変化の傾向を取得し、この血流の変化の傾向に基づいて、マッサージが継続的に行われているか否かを評価することが可能である。より詳細には、ユーザが、既に一度以上電子装置1を用いたマッサージを実施したことにより、マッサージの前後での第1脈波振幅情報と第2脈波振幅情報との比較結果が、記憶部19に記憶された状態で、改めてマッサージを実施した際、マッサージ前における第1脈波振幅情報の脈波振幅に対して、マッサージ後における第2脈波振幅情報の脈波振幅が同じ又はそれ未満の場合には、評価処理部114は、マッサージが継続的に行われていると判断することが可能である。
【0064】
また、この際、評価処理部114は、結果処理部113によって新たに出力された比較結果と、記憶部19に記憶された直近かつ単一の比較結果とに基づいて、血流の変化の傾向を取得してもよい。あるいは、評価処理部114は、結果処理部113によって新たに出力された比較結果と、記憶部19に記憶された複数の比較結果とに基づいて、血流の変化の傾向を取得してもよい。記憶部19に記憶された複数の比較結果を用いる場合、複数の比較結果として、例えば、第1脈波振幅情報の脈波振幅と、第2脈波振幅情報の脈波振幅との差分や変化率の最大値、及び/又は最小値、及び/又は平均値を算出し、この算出結果を用いてもよい。
【0065】
情報処理部115は、測定処理や表示処理に関する設定等の制御を行う。情報処理部115は、映像処理部111、結果処理部113、及び評価処理部114のデータ解析に基づいて血流の変化を示す測定結果を取得する。
【0066】
また、情報処理部115は、例えば、サーバ群3に含まれるアプリケーション配信サーバから、表示処理を行うためのアプリケーションソフトウェアを取得して、このアプリケーションソフトウェアを動作させる。また、情報処理部115は、表示部18に表示されたメニューを参照したユーザから、入力部17等を介して、何れかのガイダンス内容の選択を受け付ける。例えば、情報処理部115は、「小顔エステ」の選択を受け付ける。これにより、小顔エステに関するガイダンスのために、表示処理が行われる。なお、小顔エステとは、例えば、リンパを流すマッサージにより顔のむくみを減少させるリンパマッサージ等を、ユーザがユーザ自身の顔等に対して行うことをいう。
【0067】
通信処理部116は、例えば、サーバ群3に含まれる認証サーバと通信を行う。これにより、表示処理を行うユーザが認証される。更に通信処理部116は、例えば、サーバ群3に含まれる測定データ格納サーバと通信を行うことにより、表示処理におけるユーザのプロファイル情報を更新する。
【0068】
[映像データの解析]
まず、映像処理部111によって解析される映像データの取得について説明する。
【0069】
映像処理部111は、輪郭や部位のパターンマッチングや肌色識別等のフェーストラッキングに関する処理を行うことで、顔の輪郭や眼の位置や肌の領域を認識し、額、頬、顎、及び首等の所定の部位領域の検出を行う。例えば、映像中の、ユーザ画像51から顔の輪郭と眼の位置を検出して、それらとの相対位置に基づき、額、瞼、頬、鼻周辺、唇周り、顎、首、デコルテ等の複数の領域が自動的に認識される。そして、映像処理部111は、この検出した部位領域それぞれの、座標やユーザの肌の色や、ユーザ画像51の顔の角度(即ち、ユーザの顔の向き)といった状態を検出する。
【0070】
映像処理部111は、映像からの脈波抽出は、血中のヘモグロビンが緑色の光を良く吸収する性質を利用し、脈拍、脈波等の血流に関する生体情報を取得する。緑信号の波長は一般的に495-570nmといわれており、ヘモグロビンは500~600nmの辺りで吸収係数が高くなっている。血流の上昇時は皮膚表面に血液の量が多くなって単位時間あたりのヘモグロビン量が増加するため、血流が上昇する前に比べ多くの緑信号がヘモグロビンによって吸収される。そのため、血流の上昇時に検出される緑信号の輝度は低下することになる。なお、撮像部16の撮像素子が光を輝度に変換する場合は、撮像素子の手前にRGBのフィルタを配置し、RGBそれぞれの画素の輝度値を算出する。この場合、緑色のフィルタを通った光が輝度値となる。撮像素子の感度が波長に対してフラットであっても、上述のフィルタによってある程度、波長帯域を絞り込めるので精度よく、緑信号を検出できる。
【0071】
映像処理部111は、映像における身体の映像情報に含まれる輝度情報に基づいて脈波情報を取得する。より具体的には、映像処理部111は、緑信号の輝度の取得を単位時間ごとに行って緑信号の輝度の時間変化から脈波情報を取得する。なお、単位時間は、例えば、動画像のフレームレートであり、映像を構成する時間的に連続する画像ごとに緑信号の輝度を取得することができる。
【0072】
本実施形態では、血流の上昇を感覚的に把握し易くするため、血流が上昇すると輝度値が高くなるような換算処理を行う。より具体的には、RGB各色8ビットの出力のイメージセンサを用いて緑信号の輝度を検出する場合、輝度値の最大値255から検出した緑信号の輝度値を減算した数値を「換算輝度」として比較処理に用いる。以下、単純に換算輝度として説明するものは、このような換算処理を行った輝度に関する情報である。
【0073】
ユーザのイベントの前後の血流の状態を比較するために、電子装置1は、イベント前のユーザを撮像して第1映像を取得するとともに、イベント後のユーザを撮像して第2映像を取得する。
【0074】
イベントは、例えば、血流を促すためのマッサージや、血行促進する作用のあるスキンクリームの塗布等の美容に関する各種施術や、スポーツやリラクゼーション等の運動等の血流の変化が予測される各種の行動である。
【0075】
図8は、イベントとしてのマッサージ前及びマッサージ後の、第1映像中のRGB輝度値の時間変化、及びマッサージ前及びマッサージ後の、第2映像中のRGB輝度値の時間変化を示す。
【0076】
より詳細には、
図8(A)は、例として、マッサージを始めた10月3日における、マッサージ前のRGB輝度値の時間変化を示す。また、
図8(B)は、同日である10月3日における、マッサージ後のRGB輝度値の時間変化を示す。また、
図8(C)は、
図8(A)及び
図8(B)の時点から約2か月後である11月28日における、マッサージ前のRGB輝度値の時間変化を示す。また、
図8(D)は、同日である11月28日における、マッサージ後のRGB輝度値の時間変化を示す。
【0077】
なお、肌に当たった光が表皮の毛細血管の血液中のヘモグロビンで吸収されるため、反射光が低くなる。本実施形態では換算輝度値であるため、輝度値は、数値が大きい方が輝度は低く、血流が多いものとしている。また、グラフ中のRGB輝度値は、測定される部位における複数個所のRGB信号の輝度を反映したものであり、最頻値、中央値、平均値等の種々の方式により算出される。本実施形態では、測定される部位の全画素のRGB信号の輝度の平均値の時間変化を示している。
【0078】
また、
図9は、
図8に記載のRGB輝度値の時間変化から、G信号の輝度値のみ抽出するとともに、縦軸を拡大したものである。
図9(A)、
図9(B)、
図9(C)、及び
図9(D)の各々が、
図8(A)、
図8(B)、
図8(C)、及び
図8(D)に対応する。なお、グラフ中の換算輝度は、測定される部位における複数個所の緑信号の輝度を反映したものであり、最頻値、中央値、平均値等の種々の方式により算出される。本実施形態では、測定される部位の全画素のG信号の輝度の平均値の時間変化が代表脈波情報として取得される。
【0079】
【0080】
ところで、脈波は、振幅を有している。
図11は、本発明の一実施形態に係る電子装置1によって計測される脈波の振幅PA(Pulse Amplitude)を模式的に示したグラフである。
図11に示すように、映像から解析される脈波は、一定の振幅PAの範囲内に波形を示す周期的な波形を示している。この脈波の振幅PAは、脈波信号の隣合う最大値と最小値の差を意味している。なお、振幅PAを取得するための範囲は、異常値がなく振幅が安定している領域であることが好ましい。例えば、予め設定される閾値を超えた異常値が検出された場合等は、異常値が外れるように脈波情報を取得する。あるいは、撮像時に映像が適切に取得できなかった旨を表示し、再撮像を行って適切な脈波情報を取得してもよい。あるいは、撮像開始から所定時間を経過した後の脈波を振幅の算出に用いてもよい。あるいは、所定時間内に取得された脈波から異常値を除いて振幅を算出してもよい。このように、振幅の算出は、種々の方法を適用できる。
【0081】
図12は、イベントとしてのマッサージ前及びマッサージ後の、第1映像中のPAレベル値の時間変化、及びマッサージ前及びマッサージ後の、第2映像中のPAレベル値の時間変化を示す。より詳細には、
図12(A)は
図10(A)に対応し、
図12(B)は
図10(B)に対応し、
図12(C)は
図10(C)に対応し、
図12(D)は
図10(D)に対応する。
【0082】
図8~
図10、及び
図12から分かるように、マッサージを始めた時期である10月3日のデータでみると、G輝度値及びG-R値に関しては、マッサージ前後の輝度値の変化は無い。具体的には、G輝度値に関しては、マッサージ前の値に比較してのマッサージ後の値の変化割合は100.2%である。また、G-R値に関しては、マッサージ前に比較してのマッサージ後の値の変化割合は、95.8%である。一方で、PAレベル値を比較すると振幅が大きく増えていることが分かる。具体的には、マッサージ前の値に比較してのマッサージ後の値の変化割合は、136.2%である。
また、マッサージを始めて約2ヶ月経過後の11月28日のデータで見ると、G輝度値及びG-R値に関しては、マッサージ前後での変化は無く、PAレベル値を比較しても変化が無い。具体的には、G輝度値に関しては、マッサージ前の値に比較してのマッサージ後の値の変化割合は97.9%である。また、G-R値に関しては、マッサージ前に比較してのマッサージ後の値の変化割合は、96.2%である。また、PAレベル値に関しては、マッサージ前の値に比較してのマッサージ後の値の変化割合は、97.3%である。
【0083】
図13は、長期マッサージを行なった時のPAレベル値と血流のベースラインのオフセット値を、計測専用カメラ25で測定した実測値の変化率の推移を表すグラフである。
【0084】
上記のように、マッサージを始めた当初は、マッサージ前のPAレベル値に比較して、マッサージ後のPAレベル値は振幅が大きく増える一方で、マッサージを始めてから日が経つに従い、マッサージ前のPAレベル値に比較して、マッサージ後のPAレベル値の変化割合は小さくなる。これにより、
図13に示されるように、PAレベル値の変化を見ることで、長期にわたるマッサージのような施術の効果が分かり、正しくマッサージを行った場合には、肌の毛細血管の拡張が持続していることが示される。
【0085】
より詳細には、施術において長期にマッサージを行なった場合、映像脈波によるPAレベル値の施術前と後の変化率を測定すると徐々に減少する。これは毛細血管がマッサージによる外圧で拡張し更に継続することで拡張が維持され変化率が減少するためである。電子装置1は、正確にマッサージを実施しているかどうか、この変化率(減少値)に基づいて判断し、最適なマッサージが続いているか判定する。また、電子装置1は、それらの値に応じて適切な通知やガイダンス指示を行なうことで適切なマッサージが行えているかをユーザに通知する。もし、PAレベル値の減少が無い場合は、電子装置1は、適切なマッサージが行なわれていないことを通知し、適切なマッサージの指導を行なう。
【0086】
よって、
図13に示される推移をもとに効果を判定し、適切にユーザに効果を通知することで、セルフケアとして必要なモチベーションを保つと同時に、ユーザは、効果を実感しながら施術を行なうことが出来るため、施術を長期にわたり継続して実行できるようになり肌のターンオーバーが滞ることなく行われるようになる。
【0087】
なお、判定精度を上げるために、施術開始からの時間、回数を同時に記録しておくことで、基準となる変化の割合を、1ヶ月目(例として120%以上)、2ヶ月目(例として110%以上)、3ヶ月以降(例として90%以上)と変化させることで、判定精度を上げることができる。
【0088】
また、年齢別に効果度合いを変更することも考えられる。例えば20代であれば変化割合の基準範囲を90%~140%とする一方で、60歳以上であれば90%~110%の基準範囲で判定する方法がある。
【0089】
また、上記年齢とともに男女の違いにより判定を変えることも考えられる。男性の場合は変化割合を10%減らしたり、女性の場合は変化割合を10%増やすなどの切り分けしたりすることが考えられる。
【0090】
更に、事前に肌質を検査するような機能と組合わせることで、肌質に合わせた判定基準を設定することも可能である。例えば肌質が若い(肌年齢が若い)場合には、基準範囲(例として、90%~130%)に対して10%増やし、肌質が老化している(肌年齢が高い)場合には、基準範囲に対して10%減らすことが考えられる。
【0091】
また、クラウドにデータを蓄積することで、実年齢、性別のタグが付されて保存されたデータをもとに、データを似たものの集合に分類するクラスタリング処理によって機械学習させることで識別器を生成し、判定基準を作ることも考えられる。
【0092】
【0093】
図14A~
図14Fに示すように、ステップS1において、情報処理部115は、サーバ群3から、電子装置1の端末ID、及び電子装置1のユーザのユーザIDごとに、個人データをダウンロードする。
【0094】
ステップS2において、表示処理部112がメニュー画面を起動する。
【0095】
ステップS3において、映像処理部111が、内蔵カメラである撮像部16を用いてフェーストラッキングをするとともに、筒型センサである計測専用カメラ25を用いて施術前バイタルスキャンをする。
【0096】
ステップS4において、スキャンが終了した場合(S4:YES)には、処理はステップS5に移行する。一方で、まだスキャンが終了してない場合(S4:NO)には、処理はステップS4に移行する。
【0097】
ステップS5において、映像処理部111が、表示処理部112に対し、マッサージ等の施術のガイドの表示を指示する。
【0098】
ステップS6において、表示処理部112が、ユーザに対し施術のスタートを指示する表示を行う。
【0099】
ステップS7において、施術のガイドが終了した場合(S7:YES)には、処理はステップS8に移行する。施術のガイドがまだ終了していない場合(S7:NO)には、処理はステップS7に移行する。
【0100】
ステップS8において、映像処理部111が、筒型センサである計測専用カメラ25を用いて、施術後バイタルスキャンをする。
【0101】
ステップS9において、施術後バイタルスキャンが終了した場合(S9:YES)には、処理はステップS10に移行する。施術後バイタルスキャンがまだ終了していない場合(S9:NO)には、処理はステップS9に移行する。
【0102】
ステップS10において、結果処理部113が、施術前と施術後のPAレベル値の前後の変化割合、すなわち、マッサージ前のPAレベル値に対する、マッサージ直後のPAレベル値の割合を算出する。
【0103】
ステップS11において、前回のPAレベル値の変化割合のデータがあった場合(S11:YES)には、処理はステップS12に移行する。今回が初回のマッサージである等により、前回のPAレベル値の変化割合のデータがない場合(S11:NO)には、処理はステップS31に移行する。
【0104】
ステップS12において、PAレベル値のマッサージ前後での変化割合が100%以下だった場合(S12:YES)には、処理はステップS13に移行する。PAレベル値のマッサージ前後での変化割合が100%を超えた場合(S12:NO)には、処理はステップS16に移行する。
【0105】
ステップS13において、評価処理部114は、長期にわたり適正にマッサージされていると判断する。また、ステップS12で用いたマッサージ前後でのPAレベル値の変化割合と100%との差分を、判定値S2とする。
【0106】
ステップS14において、表示処理部112は、「長期にわたりマッサージ効果が持続しています」とメッセージを通知する。
【0107】
ステップS15において、表示処理部112は、判定値S2に合わせた画面表示をしたり、音声や効果音を通知したりするなどの処理を実行する。その後、処理はステップS31に移行する。
【0108】
ステップS16において、PAレベル値のマッサージ前後での変化割合が、前回の変化割合以下であった場合(S16:YES)には、処理はステップS17に移行する。PAレベル値のマッサージ前後での変化割合が、前回の変化割合を超えた場合(S16:NO)には、処理はステップS20に移行する。
【0109】
ステップS17において、評価処理部114は、継続して適正にマッサージされていると判断する。また、ステップS16で用いたマッサージ前後でのPAレベル値の変化割合と前回の変化割合との差分を、判定値S1とする。
【0110】
ステップS18において、表示処理部112は、「マッサージ効果が持続しています」とメッセージを通知する。
【0111】
ステップS19において、表示処理部112は、判定値S1に合わせた画面表示をしたり、音声や効果音を通知したりするなどの処理を実行する。その後、処理はステップS31に移行する。
【0112】
ステップS20において、PAレベル値のマッサージ前後での変化割合が、前回の変化割合を超えた度合いが15%以内であった場合(S20:YES)には、処理はステップS21に移行する。PAレベル値のマッサージ前後での変化割合が、前回の変化割合を超えた度合いが15%を超えた場合(S20:NO)には、処理はステップS25に移行する。なお、この15%は、個人個人で異なる値が設定される誤差範囲のことである。
【0113】
ステップS21において、前回の処理時に、「S0判定」がされていなかった場合、すなわち後述の判定値S0に値が代入されていない場合(S21:YES)には、処理はステップS22に移行する。前回の処理時に、「S0判定」がされている場合、すなわち後述の判定値S0に値が代入されている場合(S21:NO)には、処理はステップS25に移行する。
【0114】
ステップS22において、評価処理部114は、PAレベル値のマッサージ前後での変化割合は、誤差範囲として判断する。また、ステップS16で用いたマッサージ前後でのPAレベル値の変化割合と15%との差分を、判定値S0とする。
【0115】
ステップS23において、表示処理部112は、「マッサージを継続しましょう」とメッセージを通知する。
【0116】
ステップS24において、表示処理部112は、判定値S0に合わせた画面表示をしたり、音声や効果音を通知したりするなどの処理を実行する。その後、処理はステップS31に移行する。
【0117】
ステップS25において、評価処理部114は、適切にマッサージがされていないと判断する。また、ステップS16で用いたマッサージ前後でのPAレベル値の変化割合と15%との差分を、判定値E0とする。
【0118】
ステップS26において、表示処理部112は、「マッサージの効果が出ていません。正しいマッサージを実施しましょう」とメッセージを通知する。
【0119】
ステップS27において、表示処理部112は、判定値E0に合わせた画面表示をしたり、音声や効果音を通知したりするなどの処理を実行する。
【0120】
ステップS28において、マッサージガイダンスを実行する場合(S28:YES)には、処理はステップS29に移行する。マッサージガイダンスを実行しない場合(S28:NO)には、処理はステップS31に移行する。
【0121】
ステップS29において、表示処理部112は、マッサージガイダンスとマッサージ判定を実行する。ここで、「マッサージ判定」として、例えば、撮像部16や計測専用カメラ25によって撮像された顔等の画像に対して、顔認識による目や鼻、口の座標値を用いた画像処理を用いることにより、効果的にマッサージがされているか否かを判定してもよい。
【0122】
ステップS30において、マッサージガイダンスを終了する場合(S30:YES)には、処理はステップS31に移行する。マッサージガイダンスを終了しない場合(S30:NO)には、処理はステップS30に移行する。
【0123】
ステップS31において、情報処理部115は、マッサージ前後でのPAレベル値の変化割合は、判定値等のデータに日付を付した上で、サーバ群3に保存する。
【0124】
ステップS32において、サーバ群3へのデータの保存が完了した場合(S32:YES)には、処理はステップS33に移行する。サーバ群3へのデータの保存が完了していない場合(S32:NO)には、処理はステップS32に移行する。
【0125】
ステップS33において、情報処理部115は、クラウド上に上記のデータを保存する。その後、処理はステップS2に移行する。
【0126】
本実施形態の電子装置1による効果について説明する。
【0127】
本実施形態の電子装置1は、映像処理部111と、結果処理部113と、記憶部19と、評価処理部114とを備える。映像処理部111は、少なくとも身体の一部を撮像したことにより得られる第1映像における身体の映像情報に基づいて、身体の脈波の所定時間内における振幅を示す第1脈波振幅情報を取得し、第1映像を撮像したときよりも後に、少なくとも身体の一部を撮像したことにより得られる第2映像における身体の映像情報に基づいて、身体の脈波の所定時間内における振幅を示す第2脈波振幅情報を取得する。結果処理部113は、第1脈波振幅情報と第2脈波振幅情報を比較し、血流の変化の程度を示す比較結果を出力する。記憶部19は、結果処理部113から出力された比較結果を記憶する。評価処理部114は、結果処理部113によって新たに出力された比較結果と、記憶部に記憶された過去の比較結果と、に基づいて血流の変化の傾向を取得する。
【0128】
これにより、継続的に行われた美容施術等の効果を正確に測定できる。とりわけ、肌のスキンケア等において、長期にマッサージ等の施術を行うと、PA(脈波振幅)が徐々に減少する。電子装置1がこの変化率を基に効果的な施術が行われているかどうかを電子装置1のユーザに通知し、アドバイスしながら、ユーザの側が継続した施術を行うことで、肌のターンオーバーが滞ることなく効果的な施術を実施することができるようになる。
【0129】
また、第2映像は、第1映像を撮像した後のユーザが行ったイベント後に取得されるものであり、評価処理部114は、血流の変化の傾向に基づいてイベントが継続的に行われているか否かを評価する。
【0130】
これにより、電子装置1は、長期にわたって継続的に、マッサージ等の施術が実施されているか否かを判断し、例えば、当該判断に基づいて電子装置1のユーザにメッセージを通知することにより、ユーザに対して長期的な施術の継続を促すことが可能となる。
【0131】
評価処理部114は、記憶部19に比較結果が1以上記憶されている状態で、第1脈波振幅情報の脈波振幅に対して第2脈波振幅情報の脈波振幅が同じ又はそれ以下の場合には、イベントが継続的に行われていると評価する。
【0132】
これにより、例えば脈波振幅としてPAレベル値の変化割合を用いる際、正しくマッサージ等の施術を行った場合には、肌の毛細血管の拡張が持続していることに基づいて、ユーザが長期にわたるマッサージ等の施術の効果を知悉することが可能となる。
【0133】
また、評価処理部114は、記憶部19に記憶された過去の比較結果に対する結果処理部113によって新たに出力された比較結果の割合が所定の範囲内である場合には、イベントが継続的に行われていると評価する。
【0134】
これにより、ノイズのような特異的なデータを排除することにより、より正確にマッサージの効果を踏まえた上で、マッサージが適切に継続されているか否かについて判断することが可能となる。
【0135】
また、評価処理部114は、結果処理部113によって新たに判定比較結果が出力されると、複数の過去の比較結果と現在の比較結果とに基づいて血流の変化の傾向を取得する。
【0136】
これにより、過去一回分の比較結果に基づいて取得される血流の変化に含まれる誤差の影響を排除し、より一層正確に、血流の変化の程度を把握することができる。
【0137】
[変形例]
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。例えば、上述の実施形態を以下の変形例のように変形してもよい。
【0138】
上記実施形態では、検出した輝度に対して換算する処理を行った換算輝度値を用いて比較処理を行った構成を説明したが、この構成に限定されない。換算輝度値は輝度のレベルを示す一態様であり、上記実施形態から換算処理を省略し、換算処理を行うことなく検出した輝度値を用いて処理を行ってもよい。
【0139】
上記実施形態の電子装置1の表示部18に反射面を有する鏡部を組み合わせた構成とすることもできる。この場合、鏡部は、光学的特性として、透過特性と反射特性の双方を有するハーフミラーにより実現する。そして、鏡部は、表示部18よりも前面のユーザが視認する方向に重畳した配置する。このような配置により、ユーザは、例えば、撮像部16により撮像されたユーザ画像ではなく、鏡部により反射された自身の顔と、表示部18に表示されるとともに鏡部を透過した各種の情報(例えば、合成画像)とを同時に視認することができる。つまり、上述の実施形態では、ユーザの実像として撮像部16が被写体として撮像したユーザ画像を視認させることとしていたが、本変形例では、ユーザの実像として鏡部により反射されたユーザの鏡像を視認させこととする。このようにしても、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0140】
<その他の変形例>
例えば、上述の実施形態において、電子装置1と、サーバ群3に含まれる各サーバとが協働することを想定していたが、各サーバの機能を電子装置1に追加して、電子装置1のみで全ての処理を行うようにしてもよい。
【0141】
また、上述の実施形態では、本発明が適用される電子装置1は、携帯可能な自立式の鏡に組み込まれた電子機器を例として説明したが、特にこれに限定されない。例えば、本発明は、姿見等の大型の鏡に組み込まれた電子装置や、据え置き型の洗面化粧台に組み込まれた電子装置や、浴室に設置される鏡形状の電子装置に適用可能である。
【0142】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、
図7の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が電子装置1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図7の例に限定されない。
【0143】
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。本実施形態における機能的構成は、演算処理を実行するプロセッサによって実現され、本実施形態に用いることが可能なプロセッサには、シングルプロセッサ、マルチプロセッサ及びマルチコアプロセッサ等の各種処理装置単体によって構成されるものの他、これら各種処理装置と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field‐Programmable Gate Array)等の処理回路とが組み合わせられたものを含む。
【0144】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0145】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される
図5のリムーバブルメディア100により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディア100は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD,Blu-ray(登録商標) Disc(ブルーレイディスク)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている
図4のROM12や、
図4、5の記憶部19に含まれるハードディスク等で構成される。
【0146】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0147】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0148】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
少なくとも身体の一部を撮像したことにより得られる第1映像における前記身体の映像情報に基づいて、前記身体の脈波の所定時間内における振幅を示す第1脈波振幅情報を取得し、前記第1映像を撮像したときよりも後に、少なくとも身体の一部を撮像したことにより得られる第2映像における前記身体の映像情報に基づいて、前記身体の脈波の所定時間内における振幅を示す第2脈波振幅情報を取得する映像処理部と、
前記第1脈波振幅情報と前記第2脈波振幅情報を比較し、血流の変化の程度を示す比較結果を出力する結果処理部と、
前記結果処理部から出力された前記比較結果を記憶する記憶部と、
前記結果処理部によって新たに出力された比較結果と、前記記憶部に記憶された過去の前記比較結果と、に基づいて血流の変化の傾向を取得する評価処理部と、
を備える電子装置。
[付記2]
前記第2映像は、前記第1映像を撮像した後のユーザが行ったイベント後に取得されるものであり、
前記評価処理部は、血流の変化の傾向に基づいて前記イベントが継続的に行われているか否かを評価する付記1に記載の電子装置。
[付記3]
前記評価処理部は、
前記記憶部に前記比較結果が1以上記憶されている状態で、前記第1脈波振幅情報の脈波振幅に対して前記第2脈波振幅情報の脈波振幅が等しい又はそれ未満の場合には、前記イベントが継続的に行われていると評価する付記2に記載の電子装置。
[付記4]
前記評価処理部は、
前記記憶部に記憶された過去の前記比較結果に対する前記結果処理部によって新たに出力された比較結果の割合が所定の範囲内である場合には、前記イベントが継続的に行われていると評価する請求項2又は3に記載の電子装置。
[付記5]
前記評価処理部は、
前記結果処理部によって新たに判定比較結果が出力されると、複数の過去の前記比較結果と現在の前記比較結果とに基づいて血流の変化の傾向を取得する付記1から4の何れかに記載の電子装置。
[付記6]
身体を撮像した映像に基づいて血流を計測する電子装置の制御方法であって、
少なくとも身体の一部を撮像したことにより得られる第1映像における前記身体の映像情報に基づいて、前記身体の脈波の所定時間内における振幅を示す第1脈波振幅情報を取得し、前記第1映像を撮像したときよりも後に、少なくとも身体の一部を撮像したことにより得られる第2映像における前記身体の映像情報に基づいて、前記身体の脈波の所定時間内における振幅を示す第2脈波振幅情報を取得する映像処理ステップと、
前記第1脈波振幅情報と前記第2脈波振幅情報を比較し、血流の変化の程度を示す比較結果を出力する結果処理ステップと、
前記結果処理ステップにおいて出力された前記比較結果を記憶する記憶ステップと、
前記結果処理ステップにおいて新たに出力された比較結果と、前記記憶ステップにおいて記憶された過去の前記比較結果と、に基づいて血流の変化の傾向を取得する評価処理ステップを含むことを特徴とする電子装置の制御方法。
[付記7]
身体を撮像した映像に基づいて血流を計測する電子装置に、
少なくとも身体の一部を撮像したことにより得られる第1映像における前記身体の映像情報に基づいて、前記身体の脈波の所定時間内における振幅を示す第1脈波振幅情報を取得し、前記第1映像を撮像したときよりも後に、少なくとも身体の一部を撮像したことにより得られる第2映像における前記身体の映像情報に基づいて、前記身体の脈波の所定時間内における振幅を示す第2脈波振幅情報を取得する映像処理機能と、
前記第1脈波振幅情報と前記第2脈波振幅情報を比較し、血流の変化の程度を示す比較結果を出力する結果処理機能と、
前記結果処理機能によって出力された前記比較結果を記憶する記憶機能と、
前記結果処理機能によって新たに出力された比較結果と、前記記憶機能によって記憶された過去の前記比較結果と、に基づいて血流の変化の傾向を取得する評価処理機能と、
を実現することを特徴とする電子装置の制御プログラム。
【符号の説明】
【0149】
1・・・電子装置,2・・・ネットワーク,3・・・サーバ群,11・・・CPU,12・・・ROM,13・・・RAM,14・・・バス,15・・・入出力インターフェース,16・・・撮像部,17・・・入力部,18・・・表示部,19・・・記憶部,20・・・通信部,21・・・ドライブ,25・・・計測専用カメラ,30・・・本体部,31・・・脚部,32・・・ヒンジ部,100・・・リムーバブルメディア,111・・・映像処理部,112・・・表示処理部,113・・・結果処理部,114・・・評価処理部,115・・・情報処理部,116・・・通信処理部,S・・・計測システム