(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】エレベータ運行制御装置およびエレベータ運行制御装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/18 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
B66B1/18 N
(21)【出願番号】P 2022189489
(22)【出願日】2022-11-28
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】濱口 萌子
(72)【発明者】
【氏名】物部 愛
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-210356(JP,A)
【文献】特開2013-234050(JP,A)
【文献】特開2005-089098(JP,A)
【文献】特許第7187634(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗りかごの運行制御を行うエレベータ運行制御装置であって、
前記乗りかご、および、前記乗りかごが停止する乗場における利用者のストレス値の少なくともいずれか一方を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記ストレス値に応じて、前記乗りかごの運行制御を行う運行制御部と、を備
え、
前記ストレス値は、前記利用者からストレス値計測装置により計測され、利用者ごとに算出される値であり、
前記運行制御部は、前記乗りかご内の利用者のストレス値の代表値である乗りかごストレス代表値、および、前記乗場の利用者のストレス値の代表値である乗場ストレス代表値の少なくともいずれか一方に応じて、前記乗りかごの運行制御を行う、
エレベータ運行制御装置。
【請求項2】
エレベータの乗りかごの運行制御を行うエレベータ運行制御装置であって、
前記乗りかご、および、前記乗りかごが停止する乗場における利用者のストレス値の少なくともいずれか一方を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記ストレス値に応じて、前記乗りかごの運行制御を行う運行制御部と、を備え、
前記運行制御部は、前記乗りかご内の少なくとも一人の利用者のストレス値の代表値である乗りかごストレス代表値、および、前記乗場の少なくとも一人の利用者のストレス値の代表値である乗場ストレス代表値の少なくともいずれか一方に応じて、前記乗りかごの運行制御を行い、
前記乗りかごが前記乗場に停止して戸開している場合、
前記運行制御部は、前記乗場ストレス代表値の方が、前記乗りかごストレス代表値よりも大きい場合、戸開期間を延長する
、エレベータ運行制御装置。
【請求項3】
エレベータの乗りかごの運行制御を行うエレベータ運行制御装置であって、
前記乗りかご、および、前記乗りかごが停止する乗場における利用者のストレス値の少なくともいずれか一方を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記ストレス値に応じて、前記乗りかごの運行制御を行う運行制御部と、を備え、
前記運行制御部は、前記乗りかご内の少なくとも一人の利用者のストレス値の代表値である乗りかごストレス代表値、および、前記乗場の少なくとも一人の利用者のストレス値の代表値である乗場ストレス代表値の少なくともいずれか一方に応じて、前記乗りかごの運行制御を行い、
複数の乗場で呼び登録が行われた場合、
前記運行制御部は、
前記呼び登録が行われた各前記乗場に向かう、前記乗りかごの運行順序を複数作成し、
前記情報取得部が取得したストレス値情報に基づき、前記運行順序ごとに、前記呼び登録が行われた各前記乗場の利用者の運行完了後の予測乗場ストレス代表値を算出し、
前記予測乗場ストレス代表値が最小となる運行順序で、前記乗りかごの運行制御を行う
、エレベータ運行制御装置。
【請求項4】
エレベータの乗りかごの運行制御を行うエレベータ運行制御装置であって、
前記乗りかご、および、前記乗りかごが停止する乗場における利用者のストレス値の少なくともいずれか一方を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記ストレス値に応じて、前記乗りかごの運行制御を行う運行制御部と、を備え、
前記運行制御部は、前記乗りかご内の少なくとも一人の利用者のストレス値の代表値である乗りかごストレス代表値、および、前記乗場の少なくとも一人の利用者のストレス値の代表値である乗場ストレス代表値の少なくともいずれか一方に応じて、前記乗りかごの運行制御を行い、
呼び登録が行われた前記乗場に向かう前記乗りかごが複数ある場合、
前記運行制御部は、前記乗りかごストレス代表値が最小となる前記乗りかごを、前記呼び登録が行われた前記乗場に停止させ
る、エレベータ運行制御装置。
【請求項5】
エレベータの乗りかごの運行制御を行うエレベータ運行制御装置であって、
前記乗りかご、および、前記乗りかごが停止する乗場における利用者のストレス値の少なくともいずれか一方を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記ストレス値に応じて、前記乗りかごの運行制御を行う運行制御部と、を備え、
前記運行制御部は、前記乗りかご内の少なくとも一人の利用者のストレス値の代表値である乗りかごストレス代表値、および、前記乗場の少なくとも一人の利用者のストレス値の代表値である乗場ストレス代表値の少なくともいずれか一方に応じて、前記乗りかごの運行制御を行い、
前記運行制御部は、呼び登録が行われた前記乗場の前記乗場ストレス代表値よりも、前記乗場に向かっている前記乗りかごの前記乗りかごストレス代表値の方が大きい場合、当該乗りかごを呼び登録が行われた前記乗場で通過させる
、エレベータ運行制御装置。
【請求項6】
エレベータの乗りかごの運行制御を行うエレベータ運行制御装置であって、
前記乗りかご、および、前記乗りかごが停止する乗場における利用者のストレス値の少なくともいずれか一方を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記ストレス値に応じて、前記乗りかごの運行制御を行う運行制御部と、を備え、
前記情報取得部は、前記乗りかご、または、前記乗場における利用者の属性を取得し、
前記運行制御部は、前記情報取得部が取得した前記ストレス値と前記属性とに基づき補正ストレス値を算出し、前記補正ストレス値に応じて、前記乗りかごの運行制御を行う
、エレベータ運行制御装置。
【請求項7】
前記情報取得部は、前記利用者が所持している携帯端末から前記ストレス値を取得する、請求項1
から6のいずれか1項に記載のエレベータ運行制御装置。
【請求項8】
前記情報取得部は、前記利用者を撮像した画像に基づいて前記ストレス値を算出する画像処理装置から前記ストレス値を取得する、請求項1
から6のいずれか1項に記載のエレベータ運行制御装置。
【請求項9】
前記ストレス値は、前記利用者の生体計測値および活動値の少なくともいずれか一方に基づいて算出される値である、請求項1
から6のいずれか1項に記載のエレベータ運行制御装置。
【請求項10】
前記運行制御部は、前記乗りかご内の少なくとも一人の利用者のストレス値の代表値である乗りかごストレス代表値、および、前記乗場の少なくとも一人の利用者のストレス値の代表値である乗場ストレス代表値の少なくともいずれか一方に応じて、前記乗りかごの運行制御を行う、請求項1
または6に記載のエレベータ運行制御装置。
【請求項11】
エレベータの乗りかごの運行制御を行うエレベータ運行制御装置の制御方法であって、
前記乗りかご、および、前記乗りかごが停止する乗場における利用者のストレス値の少なくともいずれか一方を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップにて取得した前記ストレス値に応じて、前記乗りかごの運行制御を行う運行制御ステップと、を含
み、
前記ストレス値は、前記利用者からストレス値計測装置により計測され、利用者ごとに算出される値であり、
前記運行制御ステップでは、前記乗りかご内の利用者のストレス値の代表値である乗りかごストレス代表値、および、前記乗場の利用者のストレス値の代表値である乗場ストレス代表値の少なくともいずれか一方に応じて、前記乗りかごの運行制御を行う、
エレベータ運行制御装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレベータ運行制御装置およびエレベータ運行制御装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者が快適にエレベータを利用するために様々な技術が用いられている。例えば、特許文献1には、人が存在する空間の雰囲気の険悪さを検知し、険悪な雰囲気を清浄化する技術が開示されている。この技術では、音から人の感情を識別し、識別結果に基づいて音の発生源周辺の雰囲気の度合いを推定し、推定した雰囲気の度合いに応じて雰囲気を浄化させる刺激を該音の発生源周辺に出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、利用者が快適にエレベータを利用するためには、利用者が感じるストレスを軽減することも求められる。エレベータの利用者が感じるストレスは、例えば、乗りかごの到着が遅いことや、乗りかごの出発が遅いことなど、エレベータの運行に対する不満に付随して生じる場合がある。特許文献1に記載されている技術では、そのようなストレスを軽減することはできていなかった。
【0005】
本発明の一態様は、エレベータの運行に対する不満に付随して生じるエレベータの利用者のストレスを軽減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るエレベータ運行制御装置は、エレベータの乗りかごの運行制御を行うエレベータ運行制御装置であって、前記乗りかご、および、前記乗りかごが停止する乗場における利用者のストレス値の少なくともいずれか一方を取得する情報取得部と、前記情報取得部が取得した前記ストレス値に応じて、前記乗りかごの運行制御を行う運行制御部と、を備えている。
【0007】
上記構成によれば、運行制御部により、乗りかご、および、乗りかごが停止する乗場における利用者のストレス値の少なくともいずれか一方に応じて乗りかごの運行制御が行われる。そのため、例えば、利用者のストレス値が小さくなるように乗りかごを運行させることができるので、エレベータの運行に対する不満に付随して生じるエレベータの利用者のストレスを軽減させることができる。
【0008】
本発明の他の態様に係るエレベータ運行制御装置では、前記情報取得部は、前記利用者が所持している携帯端末から前記ストレス値を取得してもよい。
【0009】
上記構成によれば、利用者が所持している携帯端末から取得されたストレス値を利用して、ストレス値に応じた乗りかごの運行制御を行うことができる。そのため、エレベータ運行制御装置にストレス値を判断するための新たな機能を備えることなく、ストレス値に応じた乗りかごの運行制御を行うことができる。
【0010】
本発明の他の態様に係るエレベータ運行制御装置では、前記情報取得部は、前記利用者を撮像した画像に基づいて前記ストレス値を算出する画像処理装置から前記ストレス値を取得してもよい。
【0011】
上記構成によれば、利用者を撮像した画像に基づいてストレス値を算出する画像処理装置から取得されたストレス値を利用して、ストレス値に応じた乗りかごの運行制御を行うことができる。そのため、利用者が何らかのストレス値を計測する装置を所持していなくても、ストレス値に応じた乗りかごの運行制御を行うことができる。
【0012】
本発明の他の態様に係るエレベータ運行制御装置では、前記ストレス値は、前記利用者の生体計測値および活動値の少なくともいずれか一方に基づいて算出される値であってもよい。
【0013】
上記構成によれば、利用者の生体計測値および活動値の少なくともいずれか一方に基づいてストレス値が算出される。そのため、ストレスの大きさに応じて変化する値に基づきストレス値が算出されるため、実際のストレスの大きさに応じてストレス値を決定することができる。これにより、利用者が実際に感じているストレスに応じた乗りかごの運行制御を行うことができる。
【0014】
本発明の他の態様に係るエレベータ運行制御装置では、前記運行制御部は、前記乗りかご内の少なくとも一人の利用者のストレス値の代表値である乗りかごストレス代表値、および、前記乗場の少なくとも一人の利用者のストレス値の代表値である乗場ストレス代表値の少なくともいずれか一方に応じて、前記乗りかごの運行制御を行ってもよい。
【0015】
上記構成によれば、乗りかご内の少なくとも一人の利用者のストレス値の代表値、および、乗場の少なくとも一人の利用者のストレス値の代表値の少なくともいずれか一方に応じて、乗りかごの運行制御が行われる。これにより、乗りかご内の利用者のストレス値の状態、および、乗場の利用者のストレス値の状態の少なくともいずれか一方を、効率的かつ的確に把握することができる。
【0016】
本発明の他の態様に係るエレベータ運行制御装置では、前記乗りかごが前記乗場に停止して戸開している場合、前記運行制御部は、前記乗場ストレス代表値の方が、前記乗りかごストレス代表値よりも大きい場合、戸開期間を延長してもよい。
【0017】
上記構成によれば、乗りかごが乗場に停止している場合において、乗場の利用者のストレス値の方が、乗りかごの利用者のストレス値よりも大きい場合、運行制御部は戸閉して出発せずに、戸開期間を延長するように乗りかごの運行制御を行う。これにより、利用者のストレスを軽減する戸開閉に係る制御を行うことができる。
【0018】
本発明の他の態様に係るエレベータ運行制御装置では、複数の乗場で呼び登録が行われた場合、前記運行制御部は、前記呼び登録が行われた各前記乗場に向かう、前記乗りかごの運行順序を複数作成し、前記情報取得部が取得したストレス値情報に基づき、前記運行順序ごとに、前記呼び登録が行われた各前記乗場の利用者の運行完了後の予測乗場ストレス代表値を算出し、前記予測乗場ストレス代表値が最小となる運行順序で、前記乗りかごの運行制御を行ってもよい。
【0019】
上記構成によれば、呼び登録が行われた各乗場の利用者の、運行完了後の予測乗場ストレス値が最小となるように、呼び登録が行われた乗場に乗りかごを停止させる運行制御を行うことができる。そのため、各乗場のストレス値が可能な限り小さくなるように乗りかごを運行することができるので、利用者の不満を和らげることができる。
【0020】
本発明の他の態様に係るエレベータ運行制御装置では、呼び登録が行われた前記乗場に向かう前記乗りかごが複数ある場合、前記運行制御部は、前記乗りかごストレス代表値が最小となる前記乗りかごを、前記呼び登録が行われた前記乗場に停止させてもよい。
【0021】
上記構成によれば、複数の乗りかごの中で、乗りかご内のストレス値が最小となる乗りかごを、呼び登録された乗場に停止させることができる。そのため、乗りかご内の利用者のストレス値が可能な限り小さくなるように乗りかごを運行することができるので、利用者の不満を和らげることができる。
【0022】
本発明の他の態様に係るエレベータ運行制御装置では、前記運行制御部は、呼び登録が行われた前記乗場の前記乗場ストレス代表値よりも、前記乗場に向かっている前記乗りかごの前記乗りかごストレス代表値の方が大きい場合、当該乗りかごを呼び登録が行われた前記乗場で通過させてもよい。
【0023】
上記構成によれば、乗りかごおよび呼び登録が行われた乗場のストレス値に基づいて、呼び登録が行われた乗場に乗りかごを停止させるか、または該乗場で乗りかごを通過させるかの判定を行うことができる。そのため、乗りかごおよび呼び登録が行われた乗場のストレス値が可能な限り小さくなるように乗りかごを運行することができるので、利用者の不満を和らげることができる。
【0024】
本発明の他の態様に係るエレベータ運行制御装置では、前記情報取得部は、前記乗りかご、または、前記乗場における利用者の属性を取得し、前記運行制御部は、前記情報取得部が取得した前記ストレス値と前記属性とに基づき補正ストレス値を算出し、前記補正ストレス値に応じて、前記乗りかごの運行制御を行ってもよい。
【0025】
上記構成によれば、例えば、車椅子等、優先させるべき属性を有する利用者について、ストレス値が大きくなるように補正ストレス値を算出することで、上記属性を有する利用者について、優先されるように乗りかごの運行制御を行うことができる。
【0026】
本発明の一態様に係るエレベータ運行制御装置の制御方法は、エレベータの乗りかごの運行制御を行うエレベータ運行制御装置の制御方法であって、前記乗りかご、および、前記乗りかごが停止する乗場における利用者のストレス値の少なくともいずれか一方を取得する情報取得ステップと、前記情報取得ステップにて取得した前記ストレス値に応じて、前記乗りかごの運行制御を行う運行制御ステップと、を含む。
【0027】
本発明の各態様に係るエレベータ運行制御装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記エレベータ運行制御装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記エレベータ運行制御装置をコンピュータにて実現させるエレベータ運行制御装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、エレベータの運行に対する不満に付随して生じるエレベータの利用者のストレスを軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態1に係るエレベータ運行制御システムの機能ブロック図の一例を示す図である。
【
図2】上記エレベータ運行制御システムの機能ブロック図の他の例を示す図である。
【
図3】上記エレベータ運行制御システムの動作の一例を示すフロー図である。
【
図4】本発明の実施形態2に係るエレベータ運行制御システムの動作の一例を示すフロー図である。
【
図5】本発明の実施形態3に係るエレベータ運行制御システムの動作の一例を示すフロー図である。
【
図6】本発明の実施形態4に係るエレベータ運行制御システムの動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔実施形態1〕
<エレベータ運行制御システムの概要>
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係るエレベータ運行制御システム100の機能ブロック図の一例を示す図である。エレベータ運行制御システム100は、エレベータの運行に対する不満に付随して生じるエレベータの利用者のストレスを可能な限り少なくなるようにエレベータの運行を行うシステムである。
【0031】
図1に示すように、エレベータ運行制御システム100は、エレベータ運行制御装置10と、乗場60と、乗りかご20と、制御盤22と、通信装置30・50と、ストレス値計測装置40と、を備えている。
【0032】
図1では、乗りかご20として乗りかご20Xおよび乗りかご20Yを図示し、乗りかご20が停止する乗場60として乗場60Aおよび乗場60Bを図示しているが上記に限らない。乗りかご20は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。また乗場60は2つ以上であってもよい。
【0033】
<ストレス値計測装置>
ストレス値計測装置40は、乗りかご20および乗りかご20が停止する乗場60における利用者のストレス値を計測する。
【0034】
計測したストレス値を含むストレス値情報は、ストレス値計測装置40から通信装置30または通信装置50を介して後述する情報取得部111に送信される。ストレス値情報には、利用者を識別する情報、利用者の属性情報、ストレス値の履歴等が含まれる。利用者の属性情報は、例えば、身体障害者、高齢者、妊婦、ベビーカー、VIP(Very Important Person)等である。利用者を識別する情報および利用者の属性情報は、利用者により予めストレス値計測装置40に登録されているものであってもよい。また、ストレス値情報は、通信装置30または通信装置50等を介さずに、例えばキャリア回線を用いたインターネット通信などにより、直接、情報取得部111に送信されてもよい。
【0035】
また、ストレス値計測装置40は、ストレス値計測装置40で計測した計測値そのもの(例えば、心拍変動値等)を、通信装置30および通信装置50を介して後述する情報取得部111に送信してもよい。
【0036】
ストレス値計測装置40は、利用者のストレス値を例えば所定期間毎に計測する。上記所定期間は、例えば、3分間であってもよい。また、ストレス値計測装置40で計測されたストレス値は、例えば、ストレス値計測装置40に蓄積される。
【0037】
ストレス値計測装置40が情報取得部111に送信するストレス値は、例えば、任意の期間の平均値、最大値または変動値であってもよい。また、ストレス値計測装置40は、直近のストレス値を情報取得部111に送信してもよい。
【0038】
ストレス値の計測方法については特に限定されず、種々の方法を用いることができる。計測方法として、例えば、利用者が所持している携帯端末によるストレス値の計測、利用者を撮像した画像によるストレス値の計測等がある。ストレス値の計測方法の例について以下に説明する。
【0039】
(携帯端末によるストレス値の計測の一例)
図1は、ストレス値計測装置40として携帯端末41を用いた場合を示す。このように、ストレス値計測装置40として利用者が所持している携帯端末41を用いてストレス値を計測してもよい。
【0040】
具体的には、例えば、乗場60Aではストレス値計測装置40として携帯端末41Aが用いられ、乗場60Bではストレス値計測装置40として携帯端末41Bが用いられる。また、乗りかご20Xではストレス値計測装置40として携帯端末41Xが用いられ、乗りかご20Yではストレス値計測装置40として携帯端末41Yが用いられる。なお、各乗場60および各乗りかご20に複数の利用者がいる場合、携帯端末41は各乗場60および各乗りかご20の利用者の人数分、存在することになる。例えば、乗場60Aに利用者が3人いる場合は、乗場60Aには合計3台の携帯端末41が存在することになる。
【0041】
ストレス値計測装置40として携帯端末41を用いてストレス値を計測する場合、例えば、携帯端末41としてスマートウォッチを用いてもよい。その場合、スマートウォッチにより利用者の心臓の1拍ごとの拍動の長さの変化を示す心拍変動値を計測し、計測した心拍変動に基づいて、スマートウォッチによりストレス値を算出してもよい。スマートウォッチは、心拍以外にも、血流、SpO2値、血圧、体温、発汗量などを計測し、これらの少なくともいずれか1つに基づいてストレス値を算出してもよい。このように、ユーザが装着しているスマートウォッチを利用することにより、ストレス値を判断するための新たな機能を備える機器を導入することなく、利用者のストレス値を取得することができる。
【0042】
各携帯端末41は各乗場60に設置された通信装置30、または各乗りかご20に設置された各通信装置50に計測したストレス値を送信する。
【0043】
具体的には、例えば、乗場60Aでは、乗場60Aに設置された通信装置30Aに、携帯端末41Aが計測したストレス値を送信する。乗場60Bでは、乗場60Bに設置された通信装置30Bに、携帯端末41Bが計測したストレス値を送信する。乗りかご20Xでは、乗りかご20Xに設置された通信装置50Xに、携帯端末41Xが計測したストレス値を送信する。乗りかご20Yでは、乗りかご20Yに設置された通信装置50Yに、携帯端末41Yが計測したストレス値を送信する。
【0044】
なお、携帯端末41としてスマートウォッチを用いる場合、スマートウォッチはスマートフォンを経由して通信装置30・50にストレス値を送信してもよい。
【0045】
(携帯端末によるストレス値の計測の他の例)
ストレス値は心拍に基づいて算出されるものに限定されず、利用者の生体計測値および活動値の少なくともいずれか一方に基づいて算出される値であってもよい。ここで、生体計測値は身体の内部の動きに伴い変化する値であり、活動値は身体そのものの動きに伴い変化する値である。
【0046】
この場合、例えば、ストレス値計測装置40として
図1で示すように携帯端末41が用いられる。具体的には、携帯端末41としてスマートフォンを用い、スマートフォンのログから、生体計測値として心拍数、血圧、体温等を取得し、活動値としてスマートフォンの「加速度」「アプリの利用履歴」「ユーザの活動状態の認識結果情報」等を取得して、スマートフォンがストレス値を算出してもよい。
【0047】
(画像によるストレス値の計測)
図2は、本発明の実施形態1に係るエレベータ運行制御システム100の機能ブロック図の他の例を示す図であり、ストレス値計測装置40として画像処理装置42を用いた場合を示す。このように、ストレス値計測装置40として画像処理装置42を用い、利用者を撮像した画像に基づいてストレス値を算出してもよい。
【0048】
ストレス値計測装置40として画像処理装置42を用いる場合、各乗場60および各乗りかご20に画像処理装置42およびカメラ43が設置される。カメラ43は、設置された各乗場60または各乗りかご20で利用者の顔を撮影し、画像処理装置42に撮影画像を送信する。
【0049】
具体的には、例えば、乗場60Aではストレス値計測装置40として画像処理装置42Aが用いられ、乗場60Aにはカメラ43Aが設置される。乗場60Bではストレス値計測装置40として画像処理装置42Bが用いられ、乗場60Bにはカメラ43Bが設置される。乗りかご20Xではストレス値計測装置40として画像処理装置42Xが用いられ、乗りかご20X内にはカメラ43Xが設置される。乗りかご20Yではストレス値計測装置40として画像処理装置42Yが用いられ、乗りかご20Y内にはカメラ43Yが設置される。
【0050】
なお、ストレス値計測装置40として画像処理装置42を用いる場合、各乗場60および各乗りかご20に複数の利用者がいても、画像処理装置42およびカメラ43を人数毎に増やして設置する必要はなく、少なくとも1台設置していればよい。また、画像処理装置42は各乗場60および各乗りかご20に設置されていなくてよく、エレベータ運行制御装置10が画像処理装置42の機能を備えていてもよい。
【0051】
画像処理装置42は、例えば、カメラ43による撮影画像を解析して利用者の肌色の変化を検出し、これによって認識される脈拍間隔から自律神経の状態を認識してストレス値を算出することが可能である。これにより、利用者が何らかのストレス値を計測する装置を所持していなくても、利用者のストレス値を取得することができる。
【0052】
また、利用者が所持している携帯端末41で利用者の顔を撮影して該撮影画像を画像処理装置42に送信し、画像処理装置42によりストレス値を算出してもよい。
【0053】
<通信装置>
通信装置30は、各乗場60に配置され、各乗場60においてストレス値計測装置40から送信されたストレス値を情報取得部111に送信する。これにより、情報取得部111が受信するストレス値には、いずれの乗場60の通信装置30を介したかの情報が付与されるため、情報取得部111が受信したストレス値を計測した利用者がいる乗場60を特定することができる。
【0054】
通信装置50は、各乗りかご20に配置され、ストレス値計測装置40から送信されたストレス値を情報取得部111に送信する。これにより、情報取得部111が受信するストレス値には、いずれの乗りかご20の通信装置50を介したのかの情報が付与されるため、情報取得部111が受信したストレス値を計測した利用者がいる乗りかご20を特定することができる。なお、通信装置50は、制御盤22を介して、ストレス値計測装置40から送信されたストレス値を情報取得部111に送信してもよい。
【0055】
通信装置30および通信装置50の通信方法は特に限定されない。例えば、ストレス値計測装置40と通信装置30および通信装置50との通信は、ブルートゥース(登録商標)等の無線通信で行われてもよい。また、例えば、通信装置30・50と情報取得部111を備えるエレベータ運行制御装置10との通信は、有線通信または無線通信で行われてもよい。
【0056】
また、乗場60の利用者のストレス値は通信装置30を介して送信されなくてもよい。例えば、呼び登録アプリで呼び登録を行うと共に計測したストレス値を送信する場合、ストレス値は携帯端末41から情報取得部111にキャリア回線経由で直接送信されてもよい。呼び登録アプリでの呼び登録は現在階も登録するため、呼び登録アプリによる呼び登録において、ストレス値を計測した利用者の現在階の情報を含めてストレス値を送信するようにしてもよい。
【0057】
<乗りかごおよび制御盤>
乗りかご20は、エレベータ運行制御システム100において例えば、利用者を乗せて塔内を昇降する筐体である。
【0058】
制御盤22は、各乗りかご20に設けられ、エレベータ運行制御装置10と通信を行い、乗りかご20を含むエレベータ全体の動作を制御する。例えば、乗りかご20Xには制御盤22Xが設けられ、乗りかご20Yには制御盤22Yが設けられる。各制御盤22は、それぞれ、制御部23と、メモリ24と、を備えている。メモリ24は、制御盤22が実行する各種のプログラム、およびプログラムによって使用されるデータを格納する。
【0059】
制御部23は乗りかご20を含むエレベータの各部を統括的に制御する。制御部23の機能は、メモリ24に記憶されたプログラムを、CPUが実行することで実現されてよい。具体的には、制御部23は、エレベータ運行制御装置10の指示により、運行制御に応じて乗りかご20の戸開閉動作などを制御する。
【0060】
また、制御部23は、乗りかご20の現在地情報、戸開閉情報、移動方向等を含む乗りかご運行情報をエレベータ運行制御装置10に送信する。
【0061】
<エレベータ運行制御装置>
エレベータ運行制御装置10は、エレベータの乗りかご20の運行制御を行う。エレベータ運行制御装置10は、制御部11と、メモリ12と、を備えている。
【0062】
制御部11は、エレベータ運行制御装置10の各部を統括的に制御する。制御部11の機能は、メモリ12に記憶されたプログラムを、CPUが実行することで実現されてよい。制御部11の詳細については後述する。メモリ12は、制御部11が実行する各種のプログラム、およびプログラムによって使用されるデータを格納する。制御部11は、情報取得部111と、運行制御部112と、を備えている。
【0063】
なお、乗りかご20が複数存在する場合は、エレベータ運行制御装置10の機能を群管理制御盤で実現してもよい。
【0064】
(情報取得部)
情報取得部111は、乗りかご20、および、乗りかご20が停止する乗場60における利用者のストレス値の少なくともいずれか一方を取得する。情報取得部111は、例えば、任意の期間毎または所定のタイミングで通信装置30および通信装置50からストレス値情報を取得することで、乗りかご20および乗場60における利用者のストレス値を取得してもよい。
【0065】
情報取得部111は、例えば、乗りかご20または乗場60にそれぞれ複数の利用者がいる場合、各利用者のストレス値情報をそれぞれ取得する。
【0066】
なお、情報取得部111は、指定された乗場60のみにおける利用者のストレス値情報を取得してもよい。例えば、エントランス付近の乗場60は利用者が多いことが想定されるため、エレベータ運行制御システム100の管理者が、予めストレス値情報を取得する乗場60としてエントランス付近の乗場60以外の乗場60を指定し、情報取得部111は、指定された乗場60のみにおいて利用者のストレス値情報を取得してもよい。
【0067】
その場合、例えば、乗場60がエントランス付近の乗場60および他の階の乗場60の2つのみであれば、情報取得部111がストレス値情報を取得する乗場60の数は1つとなる。また、上記のように、エントランス付近の乗場60についてストレス値情報を取得しない場合は、その乗場60において、ストレス値情報を取得するために必要な通信装置30等の機器の設置は不要となる。
【0068】
情報取得部111は、通信装置30・50を介して種々のストレス値計測装置40からストレス値を取得してもよい。情報取得部111は、例えば、乗場60からはストレス値計測装置40として機能する携帯端末41からストレス値を取得し、乗りかご20からは、ストレス値計測装置40として機能する画像処理装置42からストレス値を取得してもよい。その場合、情報取得部111が取得した各ストレス値は、例えば、運行制御部112において同一の基準のストレス値に変換して利用される。これにより、ストレス値を取得できない利用者を少なくすることができる。なお、具体的な変換方法については後述する。
【0069】
また、情報取得部111は、乗りかご運行情報および呼び登録情報を取得する。呼び登録情報とは、利用者が登録した、乗りかご20の停止を希望する乗車階および降車階を含む情報である。
【0070】
本実施形態において、例えば、乗りかご20Xが乗場60Aに停止している場合、情報取得部111は、乗りかご20X内の利用者のストレス値および乗場60Aの利用者のストレス値を取得する。情報取得部111は、取得したストレス値を運行制御部112に出力する。
【0071】
(運行制御部)
運行制御部112は、情報取得部111が取得したストレス値に応じて、乗りかご20の運行制御を行う。具体的には、運行制御部112は、乗りかご20内の利用者のストレス値の代表値である乗りかごストレス代表値、および、乗場60の利用者のストレス値の代表値である乗場ストレス代表値を算出する。運行制御部112は、乗りかごストレス代表値および乗場ストレス代表値に応じて、乗りかご20の運行制御を行う。
【0072】
ここで、ストレス値の代表値とは、例えば、複数のストレス値の合計値、最大値、平均値または中央値であってもよい。また、携帯端末41を所持していない等、ストレス値を取得できない利用者がいる場合は、例えば、ストレス値を取得した利用者のストレス値の平均値を代表値として用いてもよい。
【0073】
すなわち、運行制御部112は、乗りかご20内の少なくとも一人の利用者のストレス値の代表値である乗りかごストレス代表値、および、乗場60の少なくとも一人の利用者のストレス値の代表値である乗場ストレス代表値の少なくともいずれか一方に応じて、乗りかご20の運行制御を行ってもよい。
【0074】
乗りかごストレス代表値および乗場ストレス代表値を算出することで、乗りかご20内の利用者のストレス値の状態、および、乗場60の利用者のストレス値の状態を、効率的かつ的確に把握することができる。また、例えば、利用者のストレス値が小さくなるように乗りかご20を運行させることができるので、エレベータの運行に対する不満に付随して生じるエレベータの利用者のストレスを軽減させることができる。
【0075】
さらに、ストレス値が情報取得部111により種々のストレス値計測装置40から取得された場合、運行制御部112は、例えば、同一の基準のストレス値に変換してストレス代表値を算出してもよい。運行制御部112は、例えば、種々のストレス値計測装置40から取得したストレス値を同一の基準のストレス値に変換するテーブルを用いてストレス代表値を算出してもよい。
【0076】
また、情報取得部111によりストレス値計測装置40からストレス値計測装置40が計測した計測値そのもの(例えば、心拍変動値等)が取得された場合、運行制御部112は、例えば、各計測値を同一の基準のストレス値に変換してもよい。
【0077】
本実施形態では、運行制御部112は、乗りかご20Xが乗場60Aに停止して戸開している場合であり、乗場60Aの乗場ストレス代表値の方が、乗りかご20Xの乗りかごストレス代表値よりも大きい場合、戸開期間を延長する。これにより、利用者のストレスを軽減する戸開閉に係る制御を行うことができる。ここで、乗りかご20Xが乗場60Aに停止して戸開している場合とは、乗場60Aに停止している乗りかご20Xの戸開状態を示し、戸開が完了している状態および戸閉動作中の状態も含む。
【0078】
なお、携帯端末41を所持していない等、ストレス値が取得できない利用者がいる場合、運行制御部112は、ストレス値を取得した利用者のストレス値の平均値を、ストレス値が取得できなかった利用者のストレス値として用いてもよい。
【0079】
また、乗りかご20または乗場60のいずれか一方において一人の利用者からもストレス値を取得できない場合は、運行制御部112は、他方のストレス代表値が閾値を超えたか否かによって乗りかご20の運行制御を行ってもよい。例えば、乗りかご20において一人の利用者からもストレス値が取得できなかった場合、運行制御部112は、乗場60の乗場ストレス代表値が閾値を超えた場合に戸開期間を延長してもよい。
【0080】
さらに、運行制御部112は、情報取得部111が取得したストレス値と利用者の属性に基づき補正ストレス値を算出し、補正ストレス値に応じて、乗りかご20の運行制御を行ってもよい。例えば、運行制御部112は、利用者の属性情報に応じて、取得したストレス値に所定の重みづけ係数をかけて補正ストレス値を算出し、該補正ストレス値に応じて乗りかごストレス代表値および乗場ストレス代表値を算出し、乗りかご20の運行制御を行ってもよい。これにより、属性を有する利用者について、優先されるように乗りかご20の運行制御を行うことができる。
【0081】
<エレベータ運行制御システムの動作の一例>
エレベータの乗りかご20の運行制御を行うエレベータ運行制御装置10の制御方法としては、乗りかご20、および、乗りかご20が停止する乗場60における利用者のストレス値の少なくともいずれか一方を取得する情報取得ステップと、情報取得ステップにて取得したストレス値に応じて、乗りかご20の運行制御を行う運行制御ステップと、が含まれる。
【0082】
図3は、本願の実施形態1のエレベータ運行制御システム100の動作の一例を示すフロー図である。
図3に基づき、本願の実施形態1のエレベータ運行制御システム100の動作の一例について説明する。以下では、乗りかご20Xが乗場60Aに停止した際のエレベータ運行制御システム100の動作の一例について説明する。
【0083】
図3に示すように、乗りかご20Xが乗場60Aに停止して戸開が完了した場合(ステップS1でYES)、情報取得部111は、乗場60Aおよび乗りかご20Xの利用者のストレス値情報を取得し(ステップS2、情報取得ステップ)、運行制御部112は乗場ストレス代表値および乗りかごストレス代表値を算出する(ステップS3)。
【0084】
運行制御部112は、乗りかご20Xが戸閉する時間か否かを判定する(ステップS4)。乗りかご20Xが戸閉する時間である場合(ステップS4でYES)、運行制御部112は、乗場ストレス代表値と乗りかごストレス代表値とを比較して、乗場ストレス代表値の方が乗りかごストレス代表値よりも大きいか否かを判断する(ステップS5)。乗りかごストレス代表値の方が乗場ストレス代表値よりも大きい場合(ステップS5でNO)、運行制御部112は、乗りかご20Xを戸閉して乗場60Aを出発させる(ステップS6、運行制御部ステップ)。
【0085】
一方、乗場ストレス代表値の方が乗りかごストレス代表値よりも大きい場合(ステップS5でYES)、運行制御部112は、乗りかご20Xの戸開時間を延長し(ステップS7)、ステップS4の動作に戻る。
【0086】
なお、乗りかご20Xが乗場60Aに停止して戸開が完了していない場合(ステップS1でNO)、戸開が完了するまで待機する。
【0087】
また、乗りかご20Xが戸閉する時間となった場合(ステップS4でYES)、ステップS5の判断は戸開状態で行われてもよく、戸閉動作中に行われてもよい。ステップS5の判断が戸閉動作中に行われる場合において、ステップS5で乗場ストレス代表値の方が乗りかごストレス代表値よりも大きいと判断された場合、運行制御部112は、乗りかご20Xの戸閉動作を戸開動作に切り替える。
【0088】
また、ステップS7において乗りかご20Xの戸開が延長された場合でも、例えば、下記の(I)から(III)のいずれかを満たす場合、運行制御部112は、乗りかご20Xを戸閉して乗場60Aを出発させてもよい。(I)戸開時間の延長時間が所定時間以上になった場合、(II)戸開時間を所定回数以上、延長した場合、(III)(I)および(II)を満たし、かつ乗場60Aと乗りかご20Xとのストレス代表値の差が所定値以下になった場合。
【0089】
戸開延長によっても乗場60Aのストレス値が下がらないような場合には、乗場ストレス代表値の方が乗りかごストレス代表値よりも大きい状態が継続し、乗りかご20Xが乗場60Aから出発できなくなる可能性がある。
【0090】
これに対し、上記(I)から(III)のいずれかを満たした場合に乗りかご20Xを戸閉して乗場60Aを出発させることで、乗場ストレス代表値の方が乗りかごストレス代表値よりも大きい場合であっても、乗りかご20Xを戸閉して乗場60Aを出発させることができる。例えば、乗りかご20Xの乗場60Aでの戸開時間を所定回数以上、延長した場合は、乗りかご20Xを戸閉して乗場60Aを出発させることができる。
【0091】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係るエレベータ運行制御システム100について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0092】
実施形態2は、複数の乗場60で呼び登録が行われた場合にエレベータ運行制御システム100が行う乗りかご20の運行制御である点において実施形態1と異なり、その他の構成は実施形態1と同様である。
【0093】
情報取得部111は、複数の乗場60で呼び登録が行われた場合、呼び登録が行われた各乗場60の利用者のストレス値情報を取得する。
【0094】
運行制御部112は、複数の乗場60で呼び登録が行われた場合、呼び登録が行われた各乗場60に向かう、乗りかご20の運行順序を複数作成する。生成される複数の運行順序は、例えば、運行完了までの時間が短い順に所定個数だけ作成されてもよい。
【0095】
運行制御部112は、情報取得部111が取得したストレス値情報に基づき、運行順序ごとに、呼び登録が行われた各乗場60の利用者の運行完了後の予測乗場ストレス代表値を算出する。
【0096】
予測乗場ストレス代表値は、例えば、ストレス値情報に含まれる、利用者のストレス値の履歴からストレス値の変化の割合を求め、該変化の割合に基づき算出してもよい。
【0097】
また、運行制御部112は、予測乗場ストレス代表値が最小となる運行順序で、乗りかご20の運行制御を行う。これにより、各乗場60のストレス値が可能な限り小さくなるように乗りかご20を運行することができるので、利用者の不満を和らげることができる。
【0098】
<エレベータ運行制御システムの動作の一例>
図4は、本願の実施形態2に係るエレベータ運行制御システム100の動作の一例を示すフロー図である。
図4に基づき、本願の実施形態2に係るエレベータ運行制御システム100の動作の一例について説明する。本動作の一例では、乗りかご20Xが乗場60Aおよび乗場60Bで呼び登録された場合について説明するが上記に限らず、乗場60は2つ以上あってもよく、乗りかご20は複数あってもよい。
【0099】
図4に示すように、複数の乗場60Aおよび乗場60Bにおいて乗りかご20Xの呼び登録がされた場合(ステップS11でYES)、情報取得部111は乗場60Aおよび乗場60Bの利用者のストレス値情報を取得する(ステップS12)。運行制御部112は、乗場60Aおよび乗場60Bに向かう、乗りかご20Xの運行順序を複数作成する(ステップS13)。また、運行制御部112は、作成した各運行順序において、乗場60Aおよび乗場60Bの利用者の運行完了後の予測乗場ストレス代表値を算出し(ステップS14)、予測乗場ストレス代表値が最小となる運行順序で、乗りかご20Xを運行する(ステップS15)。
【0100】
また、複数の乗場60において乗りかご20Xの呼び登録がされていない場合(ステップS11でNO)、乗りかご20Xが1つの乗場60から呼び登録されて運行している状態で、さらに他の乗場60から呼び登録されるまで待機する。
【0101】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係るエレベータ運行制御システム100について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0102】
実施形態3は、呼び登録が行われた乗場60に向かう乗りかご20が複数ある場合にエレベータ運行制御システム100が行う乗りかご20の運行制御である点において実施形態1と異なり、その他の構成は実施形態1と同様である。
【0103】
情報取得部111は、呼び登録が行われた乗場60に向かう乗りかご20が複数ある場合、該複数の乗りかご20の利用者のストレス値情報を取得する。呼び登録が行われた乗場60に向かう乗りかご20が複数ある場合であっても、(1)混雑度が所定値以上である乗りかご20、および(2)乗場60から所定距離以上離れている乗りかご20では、ストレス値情報を取得しないものとしてもよい。
【0104】
運行制御部112は、呼び登録が行われた乗場60に向かっている乗りかご20が2台以上あるか否かを判定する。呼び登録が行われた乗場60に向かっている乗りかご20が1台である場合、運行制御部112は、該乗りかご20を呼び登録が行われた乗場60に停止させる。
【0105】
運行制御部112は、混雑度が所定値以下の乗りかご20が2台以上あるか否かを判定する。混雑度は、例えば、乗りかご20に設けられたカメラによる撮像画像に基づき、乗りかご20の床面積に対する乗車者の占有面積率で算出される。また他の例としては、乗りかご20が有する荷重センサーが示す値に基づいて乗りかご20の乗車人数を予測することによって、運行制御部112が混雑度を算出してもよい。混雑度が所定値以下となる乗りかご20が1台である場合、運行制御部112は、該乗りかご20を呼び登録が行われた乗場60に停止させる。
【0106】
運行制御部112は、現在位置が呼び登録された乗場60から所定距離以内の乗りかご20が2台以上あるか否かを判定する。現在位置が呼び登録された乗場60から所定距離以内の乗りかご20が1台である場合、運行制御部112は、当該乗りかご20を呼び登録が行われた乗場60に停止させる。
【0107】
運行制御部112は、呼び登録が行われた乗場60に向かう乗りかご20が複数ある場合、乗りかごストレス代表値が最小となる乗りかご20を、呼び登録が行われた乗場60に停止させる。より詳しくは、運行制御部112は、(A)呼び登録が行われた乗場60に向かっており、(B)混雑度が所定値以下であり、(C)現在位置が呼び登録された乗場60から所定距離以内である、乗りかご20が複数ある場合、乗りかごストレス代表値が最小となる乗りかご20を、呼び登録が行われた乗場60に停止させる。これにより、乗りかご20内の利用者のストレス値が可能な限り小さくなるように乗りかご20を運行することができるので、利用者の不満を和らげることができる。
【0108】
具体的に、乗りかご20Xおよび乗りかご20Yが、呼び登録された乗場60Aに向かっており(上記(A)に対応)、上記(B)および(C)を満たす場合について説明する。上記の場合において、乗りかご20Xの乗りかごストレス代表値の方が乗りかご20Yの乗りかごストレス代表値よりも大きい場合、運行制御部112は、乗りかご20Xを乗場60Aで通過させ、乗りかご20Yを乗場60Aに停止させる。また、乗りかご20Yの乗りかごストレス代表値の方が乗りかご20Xの乗りかごストレス代表値よりも大きい場合、運行制御部112は、乗りかご20Yを乗場60Aで通過させ、乗りかご20Xを乗場60Aに停止させる。
【0109】
また、複数の乗りかご20の内、ストレス値を取得可能な乗りかご20が1台のみの場合、運行制御部112は取得された乗りかご20のストレス値に基づく乗りかごストレス代表値が閾値を超えたか否かによって乗りかご20の運行制御を行ってもよい。
【0110】
例えば、乗りかご20Xにおいて一人の利用者からもストレス値が取得できなかった場合、運行制御部112は、乗りかご20Yの利用者の乗りかごストレス代表値が閾値を超えた場合に、乗りかご20Yを乗場60Aで通過させ、乗りかご20Xを乗場60Aに停止させてもよい。また、運行制御部112は、乗りかご20Yの乗りかごストレス代表値が閾値以下の場合に、乗りかご20Xを乗場60Aで通過させ、乗りかご20Yを乗場60Aに停止させてもよい。
【0111】
<エレベータ運行制御システムの動作の一例>
図5は、本願の実施形態3に係るエレベータ運行制御システム100の動作の一例を示すフロー図である。
図5に基づき、本願の実施形態3に係るエレベータ運行制御システム100の動作の一例について説明する。本動作の一例では、乗場60Aで呼び登録された場合について説明する。
【0112】
図5に示すように、乗場60Aで呼び登録された場合(ステップS21でYES)、運行制御部112は、乗場60Aに向かっている乗りかご20が2台以上あるか否かを判定する(ステップS22)。
【0113】
乗場60Aに向かっている乗りかご20が2台以上ある場合(ステップS22でYES)、運行制御部112は、混雑度が所定値以下の乗りかご20が2台以上あるか否かを判定する(ステップS23)。
【0114】
混雑度が所定値以下の乗りかご20が2台以上ある場合(ステップS23でYES)、運行制御部112は、現在位置が乗場60Aから所定距離以内の乗りかご20が2台以上あるか否かを判定する(ステップS24)。
【0115】
現在位置が乗場60Aから所定距離以内の乗りかご20が2台以上ある場合(ステップS24でYES)、情報取得部111は、該当する各乗りかご20の利用者のストレス値情報を取得し(ステップS25)、運行制御部112は、各乗りかご20の乗りかごストレス代表値を算出する(ステップS26)。そして、運行制御部112は、乗りかごストレス代表値が一番小さい乗りかご20を乗場60Aに停止させ、その他の乗りかご20は乗場60Aを通過させる(ステップS27)。
【0116】
また、ステップS22において、乗場60Aに向かっている乗りかご20が1台である場合(ステップS22でNO)、運行制御部112は、当該乗りかご20を乗場60Aに停止させる。
【0117】
また、ステップS23において、混雑度が所定値以下の乗りかご20が1台である場合(ステップS23でNO)、運行制御部112は、当該乗りかご20を乗場60Aに停止させる。
【0118】
また、ステップS24において、現在位置が乗場60Aから所定距離以内の乗りかご20が1台である場合(ステップS24でNO)、運行制御部112は、当該乗りかご20を乗場60Aに停止させる。
【0119】
また、呼び登録がされていない場合(ステップS21でNO)、呼び登録がされるまで待機する。
【0120】
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4に係るエレベータ運行制御システム100について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0121】
実施形態4は、エレベータ運行制御システム100が、呼び登録が行われた乗場60のストレス値と該乗場60に向かう乗りかご20のストレス値に基づき、該乗りかご20の運行制御を行う点において実施形態1と異なり、その他の構成は実施形態1と同様である。
【0122】
情報取得部111は、呼び登録が乗場60で行われ、乗場60に向かう乗りかご20がある場合、該乗場60の利用者のストレス値情報と、該乗りかご20の利用者のストレス値情報を取得する。また、呼び登録が行われた乗場60に向かう乗りかご20であっても、混雑度が所定値以上であればストレス値情報を取得しないとしてもよい。
【0123】
運行制御部112は、呼び登録された乗場60に向かうことが可能で、該乗場60から所定距離内に存在する、利用者が搭乗していない乗りかご20があるか否かを判定する。ここで、呼び登録された乗場60に向かうことが可能な乗りかご20とは、例えば、他の乗場60への割当がなく、停止している乗りかご20、または、他の乗場60への割当はあるが、呼び登録された乗場60に向かっている(呼び登録された乗場60を通過予定である)乗りかご20である。
【0124】
呼び登録された乗場60に向かうことが可能で、該乗場60から所定距離内に存在する、利用者が搭乗していない乗りかご20がある場合、該乗りかご20を該乗場60に停止させ、他の乗りかご20は該乗場60を通過させる。
【0125】
運行制御部112は、呼び登録された乗場60に向かっている乗りかご20の内、呼び登録された乗場60の最寄りの乗りかご20を選定する。
【0126】
運行制御部112は、呼び登録された乗場60に向かっている乗りかご20の内、最寄りの乗りかご20の混雑度が所定値以下であるか否かを判定する。乗りかご20の混雑度が所定値よりも大きい場合、運行制御部112は、当該乗りかご20を呼び登録された乗場60で通過させ、呼び登録された乗場60に向かっている他の乗りかご20の内、最寄りの乗りかご20を選定する。
【0127】
運行制御部112は、呼び登録が行われた乗場60の乗場ストレス代表値よりも、該乗場60に向かっている乗りかご20の乗りかごストレス代表値の方が大きい場合、当該乗りかご20を呼び登録が行われた乗場60で通過させる。これにより、乗りかご20および呼び登録が行われた乗場60のストレス値が可能な限り小さくなるように乗りかご20を運行することができるので、利用者の不満を和らげることができる。
【0128】
具体的には、乗りかご20Xが、呼び登録された乗場60Aに向かう場合であって、乗りかご20Xの乗りかごストレス代表値の方が、乗場60Aの乗場ストレス代表値よりも大きい場合、運行制御部112は乗りかご20Xを乗場60Aで通過させる。また、乗場60Aの乗場ストレス代表値の方が、乗りかご20Xの乗りかごストレス代表値よりも大きい場合、運行制御部112は乗りかご20Xを乗場60Aに停止させる。
【0129】
また、乗りかご20Xまたは乗場60Aのいずれか一方において一人の利用者からもストレス値を取得できない場合は、運行制御部112は、他方のストレス代表値が閾値を超えたか否かによって乗りかご20Xの運行制御を行ってもよい。例えば、乗りかご20Xにおいて一人の利用者からもストレス値が取得できなかった場合、運行制御部112は、乗場60Aの乗場ストレス代表値が閾値を超えた場合に乗りかご20Xを乗場60Aに停止させてもよく、乗場60Aの乗場ストレス代表値が閾値以下の場合に乗りかご20Xを乗場60Aで通過させてもよい。
【0130】
また、利用者がいない乗りかご20がある場合、該乗りかご20が乗場60Aの最寄りの乗りかご20でなくとも、ストレス値の取得は行わずに、該乗りかご20を乗場60Aに停止させ、他の乗りかご20を乗場60Aで通過させてもよい。
【0131】
<エレベータ運行制御システムの動作の一例>
図6は、本願の実施形態4に係るエレベータ運行制御システム100の動作の一例を示すフロー図である。
図6に基づき、本願の実施形態4に係るエレベータ運行制御システム100の動作の一例について説明する。本動作の一例では、呼び登録された乗場60Aに向かっている乗りかご20である乗りかご20Xおよび乗りかご20Yの内、乗りかご20Xが乗場60Aの最寄りに位置する場合について説明する。また、乗りかご20Xおよび乗りかご20Yには利用者がいるものとする。
【0132】
図6に示すように、乗場60Aで呼び登録された場合(ステップS31でYES)、乗場60Aから所定距離以内に存在する、利用者が搭乗していない乗りかご20があるか否かを判定する(ステップS32)。利用者がいない乗りかご20がない場合(ステップS32でNO)、運行制御部112は、呼び登録された乗場60Aに向かっている乗りかご20Xおよび乗りかご20Yのうち、乗場60の最寄りの乗りかご20である乗りかご20Xを選定する(ステップS33)。
【0133】
次に、運行制御部112は、乗りかご20Xの混雑度が所定値以下か否かを判定する(ステップS34)。乗りかご20Xの混雑度が所定値以下の場合(ステップS34でYES)、情報取得部111は、乗場60Aおよび乗りかご20Xのストレス値情報を取得する(ステップS35)。
【0134】
次に、運行制御部112は、乗場60Aの利用者の乗場ストレス代表値および乗りかご20Xの利用者の乗りかごストレス代表値を算出し(ステップS36)、乗りかごストレス代表値の方が乗場ストレス代表値よりも大きいか否かを判定する(ステップS37)。
【0135】
乗りかご20Xの利用者の乗りかごストレス代表値の方が、乗場60Aの利用者の乗場ストレス代表値よりも大きい場合(ステップS37でYES)、運行制御部112は、乗りかご20Xを乗場60Aで通過させる。さらに、運行制御部112は、呼び登録された乗場60Aに向かっている他の乗りかご20のうち最寄りの乗りかご20、すなわち、乗りかご20Yを選定し(ステップS38)、ステップS34の処理を行う。
【0136】
乗りかご20Xの利用者の乗りかごストレス代表値の方が、乗場60Aの利用者の乗場ストレス代表値よりも小さい場合(ステップS37でNO)、運行制御部112は、乗りかご20Xを乗場60Aに停止させる(ステップS39)。
【0137】
ステップS32において、乗場60Aから所定距離以内に存在する、利用者が搭乗していない乗りかご20がある場合(ステップS32でYES)、運行制御部112は当該乗りかご20を乗場60Aに停止させる(ステップS39)。
【0138】
ステップS34において、乗りかご20Xの混雑度が所定値よりも大きかった場合(ステップS34でNO)は、ステップS38の処理を行う。
【0139】
また、呼び登録がされていない場合(ステップS31でNO)、呼び登録がされるまで待機する。
【0140】
〔ソフトウェアによる実現例〕
エレベータ運行制御装置10(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部11に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0141】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0142】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0143】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0144】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0145】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0146】
10 エレベータ運行制御装置
20、20X、20Y 乗りかご
41、41A、41B、41X、41Y 携帯端末
42、42A、42B、42X、42Y 画像処理装置
60、60A、60B 乗場
111 情報取得部
112 運行制御部
【要約】
【課題】エレベータの運行に対する不満に付随して生じるエレベータの利用者のストレスを軽減させる。
【解決手段】エレベータ運行制御装置(10)は、エレベータの乗りかご(20)の運行制御を行うエレベータ運行制御装置であって、乗りかご(20)および乗場(60)における利用者のストレス値の少なくともいずれか一方を取得する情報取得部(111)と、ストレス値に応じて乗りかご(20)の運行制御を行う運行制御部(112)と、を備えている。
【選択図】
図1