(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】電子制御装置のデータ更新システム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20231129BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231129BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20231129BHJP
G06F 8/65 20180101ALI20231129BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02J13/00 301A
H02J7/00 P
G06Q50/10
G06F8/65
(21)【出願番号】P 2022504349
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(86)【国際出願番号】 JP2021007693
(87)【国際公開番号】W WO2021177224
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2020038734
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 那央
(72)【発明者】
【氏名】安部 泰司
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/161778(WO,A1)
【文献】特開2018-086894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 7/00
G06Q 10/20
G06Q 50/10
G06F 8/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子制御装置が搭載される電気自動車(3)と、充電機器(10)と、携帯端末(14)と、センター装置(2)と、前記電気自動車の電池(8)に充電を行うための充電スケジュールがユーザにより設定される充電スケジュール設定部(5,12)と、を有するデータ更新システムであって、
前記電気自動車は、前記センター装置と通信を行う通信機器(4)と、OTA制御部(6)と、前記充電機器が接続されると前記充電スケジュールに従って前記電池に充電を行う充電制御部(7)と、前記電子制御装置に格納されるデータの更新に関する操作を受け付けるHMI機器(5)とを備え、
前記充電機器は、前記センター装置と通信を行う通信機器(11)と、自身が前記電気自動車に接続されると前記充電スケジュールに従って前記電池に充電を行う充電制御部(13)と、前記電池(8)の充電に関する操作を受け付けるHMI機器(12)とを備え、
前記携帯端末は、前記センター装置と通信を行う通信部と、前記充電スケジュール設定部であるHMI機器とを備え、
前記携帯端末のHMI機器は、前記データの更新に関する操作を受け付け、
前記電気自動車の通信機器は、前記センター装置から、前記携帯端末のHMI機器による前記データの更新に関する操作及び前記充電スケジュールに関する操作の情報を受信可能であり、
前記OTA制御部は、前記センター装置より送信される前記電子制御装置に格納されるデータの更新がある旨の通知を当該更新に要する時間の情報と共に受信した場合、前記電気自動車の充電制御部が前記充電スケジュールに従って前記電池に充電を行うとしても前記データの更新が可能であると判断すると、データの更新に対するユーザの承諾が得られていることを条件に、前記センター装置より更新用データを取得して、対象となる電子制御装置のデータを更新する電子制御装置のデータ更新システム。
【請求項2】
前記OTA制御部は、前記充電制御部が前記充電スケジュールに従って前記電池に充電を行う際に、前記データの更新が可能であると判断すると、データの更新に対するユーザの承諾を問合せ、ユーザの承諾が得られことを条件に前記センター装置より更新用データを取得して、対象となる電子制御装置のデータを更新する請求項1記載の電子制御装置のデータ更新システム。
【請求項3】
充電スケジュール設定部は、前記充電スケジュールとして、充電の開始時刻,充電の終了時刻, 充電の開始時刻及び終了時刻,並びに現時点からの充電時間のうち、何れか1つ以上を設定可能である請求項1又は2記載の電子制御装置のデータ更新システム。
【請求項4】
前記データの更新には、
前記センター装置より更新データを取得する第1フェーズと、
取得した更新データを対象となる電子制御装置に書き込む第2フェーズと、
前記電子制御装置に書き込んだ更新データを有効化する第3フェーズとがあり、
前記OTA制御部は、ユーザが入力操作を行うユーザインターフェイス部(5)を備え、
前記の1つ以上のフェーズについて、ユーザより実行を承諾する旨の入力操作があったことを確認してから対応するフェーズを実行する請求項1から3の何れか一項に記載の電子制御装置のデータ更新システム。
【請求項5】
前記OTA制御部は、全てのフェーズについて、ユーザに対し、実行を承諾するか否かの問い合わせを1回行う請求項4記載の電子制御装置のデータ更新システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年3月6日に出願された日本出願番号2020-38734号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、電気自動車に搭載される複数の電子制御装置に格納されるデータを更新するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、運転支援機能や自動運転機能等の車両制御の多様化に伴い、車両の電子制御装置であるECU(Electronic Control Unit)に搭載される車両制御や診断等のアプリプログラムの規模が増大している。また、機能改善等によるバージョンアップに伴い、ECUのアプリプログラムを書換える,つまりリプログする機会も増えつつある。一方、通信ネットワークの進展等に伴い、コネクッテッドカーの技術も普及している。このような事情から、例えば特許文献1には、センターよりECUの更新プログラムをOTA(Over The Air)により車載装置に配信し、車両側で更新プログラムを書換える技術が開示されている。
【0004】
プログラムの書換えにはある程度の時間を要するため、センター側が一方的に書換えを実行しようとすると、その時の車両の状況によってはユーザが車両を使用できなくなる、といった不都合が生じるおそれがある。特に、車両が電気自動車である場合は、電池の充電に比較的長い時間を要するため、制約がより多くなる。そして、特許文献1には、プログラムの更新可能な空き時間帯を予測してユーザに報知し、ユーザにより指定された空き時間帯でプログラムの更新を行うソフトウェア更新装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、ユーザにより指定された空き時間帯であっても、必ずしも実際にプログラムを書き換える時点で空き時間帯となっている保証はなく、センター側が書換えを実行するとユーザに不都合が生じる可能性は残されている。
【0007】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザに不都合が生じることをより確実に回避した上で、電気自動車に搭載されている装置のデータを更新できる電子制御装置のデータ更新システムを提供することにある。
【0008】
請求項1記載の電子制御装置のデータ更新システムによれば、ユーザは、充電スケジュール設定部を介して、電気自動車の電池に充電を行うための充電スケジュールを設定する。充電制御部は、電気自動車に充電機器が接続されると、充電スケジュールに従って電池に充電を行う。OTA制御部は、センター装置より、電子制御装置に格納されるデータの更新がある旨の通知を当該更新に要する時間の情報と共に受信した際に、充電制御部が充電スケジュールに従って電池に充電を行うとしてもデータの更新が可能であると判断すると、データの更新に対するユーザの承諾が得られていることを条件にセンター装置より更新用データを取得して、対象となる電子制御装置のデータを更新する。
【0009】
このように構成すれば、OTA制御部は、ユーザの承諾を得た上で電子制御装置のデータを更新するので、その更新が行われる時点でユーザに不都合が生じる可能性をより低下させることができる。
【0010】
請求項2記載の電子制御装置のデータ更新システムによれば、OTA制御部は、充電制御部が充電スケジュールに従って電気自動車の電池に充電を行う際に、データの更新が可能であると判断すると、ユーザに承諾を問合せて承諾が得られことを条件に、センター装置より更新用データを取得して電子制御装置のデータを更新する。このように構成すれば、電子制御装置のデータを更新する前に、ユーザに対する承諾の問い合わせが行われるので、ユーザの承諾をより確実に得ることができる。
【0011】
請求項3記載の電子制御装置のデータ更新システムによれば、充電スケジュール設定部は、充電スケジュールとして、充電の開始時刻,終了時刻, 充電の開始及び終了時刻,並びに現時点からの充電時間のうち、何れか1つ以上を設定可能とする。これにより、ユーザの都合に応じて充電スケジュールを柔軟に設定できる。
【0012】
請求項4記載の電子制御装置のデータ更新システムによれば、データの更新には、センター装置より更新データを取得する第1フェーズと、取得した更新データを対象となる電子制御装置に書き込む第2フェーズと、電子制御装置に書き込んだ更新データを有効化する第3フェーズとがある。そして、OTA制御部は、1つ以上のフェーズについて、ユーザより実行を承諾する旨の入力操作があったことを確認してから対応するフェーズを実行する。これにより、ユーザの都合に応じて、更新データの取得,書込み,有効化のフェーズを、ユーザの承諾を得た後に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示についての上記目的およびその他の目的、特徴や利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な記述により、より明確になる。その図面は、
【
図1】
図1は、第1実施形態において、データ更新システムの構成を要旨に係る部分について示す機能ブロック図であり、
【
図2】
図2は、充電スケジュールの設定例を示す図であり、
【
図3】
図3は、電気自動車に充電ケーブルが接続されてから、ECUのプログラム更新が開始されるまでの処理の概略を示す図であり、
【
図4】
図4は、ユーザ,電気自動車,センター装置及び充電機器間で行われる処理を示すシーケンス図であり、
【
図5】
図5は、第2実施形態において、ユーザ,電気自動車,センター装置,充電機器及びスマホ間で行われる処理を示すシーケンス図であり、
【
図6】
図6は、第3実施形態において、OTAの実行によりECUのアプリプログラムを書き換える際の各フェーズを示す図であり、
【
図7】
図7は、HMI機器における通常時の画面を示す図であり、
【
図8】
図8は、キャンペーン通知発生時の画面を示す図であり、
【
図9】
図9は、キャンペーン通知時の画面を示す図であり、
【
図10】
図10は、ダウンロード承諾時の画面を示す図であり、
【
図11】
図11は、ダウンロード承諾時の画面を示す図であり、
【
図12】
図12は、ダウンロード実行中の画面を示す図であり、
【
図13】
図13は、ダウンロード実行中の画面を示す図であり、
【
図14】
図14は、ダウンロード完了時の画面を示す図であり、
【
図15】
図15は、インストール承諾時の画面を示す図であり、
【
図16】
図16は、インストール承諾時の画面を示す図であり、
【
図17】
図17は、インストール実行中の画面を示す図であり、
【
図18】
図18は、 インストール実行中の画面を示す図であり、
【
図19】
図19は、 アクティベート承諾時の画面を示す図であり、
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について説明する。
図1に示すように、データ更新システム1においては、センター装置2と電気自動車3との間で通信を行い、各種の情報を相互にやり取りする。尚、以下で「OTA」とは、センター装置2と電気自動車3との間で無線通信を行い、電気自動車3に搭載されているECUのデータ更新の処理に関するものを示す。電気自動車3は、外部通信機器4を介してセンター装置2との間で無線通信を行う。HMI機器5は、ユーザが操作入力を行うためのインターフェイスであり、ユーザは、HMI機器5を介してOTAに関する例えば「承諾」等や、電池を充電する際のスケジュール設定等の入力操作を行う。また、HMI機器5は、ユーザに対するメッセージ等を図示しないディスプレイに表示させる。
【0015】
OTA制御部6は、外部通信機器4,HMI機器5及び充電制御部7に接続されている。充電制御部7は、電気自動車3の図示しない走行用モータに駆動電源を供給する電池8の充電を制御する。OTA制御部6は、センター装置2より受信したOTA,充電に関する情報及びHMI機器5を介して入力されるユーザの操作情報に基づいて、バスを介して接続されている図示しない複数のECUに対するデータ更新処理を実行したり、充電制御部7に対して電池8の充電に関する指示を与える。HMI機器5は充電スケジュール設定部の一例であり、OTA制御部6はデータ更新制御部の一例である。
【0016】
充電機器10は、例えばユーザの自宅や街中等に設置されている設備であり、外部通信機器11,HMI機器12及び充電制御部13を備えている。外部通信機器11は、外部通信機器4と同様にセンター装置2との間で無線通信を行う。HMI機器13は、HMI機器5と同様にユーザが操作入力等を行うためのインターフェイスである。充電制御部13は、電気自動車3の充電制御部7と通信を行い、電池8の充電に関する指示を与える。
【0017】
スマホ14は、ユーザが携帯するスマートホンであり、このスマホ14もセンター装置2との間で無線通信を行う。ユーザは、スマホ14を操作することによっても、HMI機器5及び13と同様の情報等を入力することができる。スマホ14も充電スケジュール設定部の一例である。
【0018】
センター装置2は、OTA情報通信部15及び充電情報通信部16を備える。OTA情報通信部15は、電気自動車3の外部通信機器4と無線通信を行い、電気自動車3に複数搭載されている電子制御装置であるECUのデータ更新に関する情報であるOTA情報や、電池8の充電に関する情報を電気自動車3との間で送受信する。充電情報通信部16は、充電機器10の外部通信機器11と無線通信を行い、電池8の充電に関する情報を電気自動車3との間で送受信する。
【0019】
次に、本実施形態の作用について説明する。ユーザは、電気自動車3の電池8を充電するスケジュールを予め設定しておく。充電スケジュールの設定は、例えば
図2に示すように、
(1)開始時刻を「月曜日/00:00」や「火曜日/02:30」に設定
(2)開始時刻から終了時刻を「月曜日/00:00~02:00」や
「火曜日/02:30~04:30」に設定
(3)終了時刻を「月曜日/07:00」や「火曜日/07:00」に設定
(4)充電時間を「02:00(2時間)」,「10:00(10時間)」に設定
等する。
【0020】
図3に示す「キャンペーン」とは、ECUについて新たなプログラムが用意されており、更新を行う必要があることを示す情報である。キャンペーン情報はセンター装置2側において用意され、プログラムの更新対象となるECUが搭載されている車両に送信される。「キャンペーンが発動中」とは、電気自動車3がキャンペーン情報を受信済みであることを示す。センター装置2がキャンペーン情報を車両に送信することは、「電子制御装置に格納されるデータの更新がある旨の通知」に相当する。
【0021】
電気自動車3に充電ケーブルが接続されると、充電制御部7において充電時間を管理するためのタイマが、
図2に示す(1)~(4)の充電スケジュールの設定に応じてセットされる。キャンペーン情報には、プログラムの更新に要する時間であるアップデート必要時間も含まれている。OTA制御部6は、充電スケジュールの設定に応じて電池8に充電が行われる時刻,時間とアップデート必要時間とを比較して、今からプログラムの更新,すなわちアップデートを行うことが可能か否かを判断する。アップデートの実行が可能であれば、HMI機器5を介してユーザにその旨を通知し、ユーザがアップデートの実行を承諾すればアップデートを開始する。
【0022】
次に、上述した処理の流れのより詳細な一例について
図4を参照して説明する。尚、処理タイミングの前後関係については、
図3と一致しない部分がある。ユーザは、電気自動車3の車内において、HMI機器5を介して充電スケジュールを設定する(S1)。すると、充電制御部7は、設定されたスケジュールに応じて充電のスケジューリングを行う(S2)。ここでスケジューリングされた情報は、OTA制御部6にも共有される。また、充電の開始から停止までの時間,すなわち充電時間を時間(1)とする。
【0023】
センター装置2が電気自動車3に対してキャンペーン情報を送信すると(S3)、OTA制御部6は、その情報を取得する(S4)。このとき、OTA制御部6は、上記情報に含まれているキャンペーン実行に必要な時間(2)を把握する。時間(2)は、更新プログラムのダウンロード,更新プログラムのECUに対するインストール,及びインストールした更新プログラムを有効化するアクティベートまでを実行する総時間である。
【0024】
そして、OTA制御部6は、時間(1)が時間(2)よりも長いことを,つまり電池8を充電している間にキャンペーンの実行が可能であることを確認すると(S5)、HMI機器5を介してユーザのOTAに対する承諾があるか否かを確認する(S6)。尚、「OTAに対する承諾」とは、電気自動車3に対するキャンペーンの実行をセンター装置2からOTAにより行うことを意味する。
【0025】
ユーザがOTAについて承諾し(S7)、電気自動車3の充電プラグを充電機器10に接続すると、その接続確認がOTA制御部6及び充電制御部7に送信される(S8)。それから、充電機器10は、充電制御部7を介して電池8の充電を開始し(S9)、それに続いてOTA制御部6は、OTAの実行を開始する(S10)。
【0026】
以上のように本実施形態によれば、ユーザは、HMI機器5を介して、電気自動車3の電池8に充電を行うための充電スケジュールを設定する。充電制御部7は、電気自動車3に充電機器10が接続されると、充電スケジュールに従って電池8に充電を行う。OTA制御部6は、センター装置2より、キャンペーン情報をそのキャンペーンの実行に要する時間と共に受信した際に、充電制御部7が充電スケジュールに従って電池8に充電を行うとしてもプログラム更新が可能であると判断すると、その更新に対するユーザの承諾が得られていることを条件にセンター装置2より更新用のプログラムを取得して、対象となるECUのプログラムを更新する。
【0027】
このように構成すれば、OTA制御部6は、ユーザの承諾を得た上でECUのプログラムを更新するので、その更新が行われる時点でユーザに不都合が生じる可能性をより低下させることができる。
【0028】
また、OTA制御部6は、その際に、ユーザに承諾を問合せて承諾が得られことを条件に、センター装置2より更新用のプログラムを取得して、対象となるECUのプログラムを更新する。すなわち、ECUのデータを更新する前にユーザに対する承諾の問い合わせが行われるので、ユーザの承諾をより確実に得ることができる。
【0029】
また、HMI機器5は、充電スケジュールとして、充電の開始時刻,終了時刻, 充電の開始及び終了時刻,並びに現時点からの充電時間のうち、何れか1つ以上を設定可能とするので、ユーザの都合に応じて充電スケジュールを柔軟に設定できる。
【0030】
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
図5に示す第2実施形態では、ユーザが車外の充電機器10に対して充電スケジュールの設定を行い、スマホ14を用いてセンター装置2との通信を行う。ユーザは充電機器10のHMI機器12を用いて充電スケジュールを設定する(S11)。充電機器10は、設定されたスケジュールをセンター装置2に転送すると(S12)、設定されたスケジュールに応じて充電のスケジューリングを行う(S13)。ユーザが電気自動車3の充電プラグを充電機器10に接続すると、その接続確認がOTA制御部6及び充電制御部7に送信される(S14)。
【0031】
センター装置2において、何れかのECUのアプリプログラムが更新されると、それに伴いキャンペーン情報が生成される。この時、ステップS4と同様に、キャンペーンの実行に必要な時間(2)が把握される(S15)。時間(2)は、更新プログラムのダウンロードに要する時間a,更新プログラムのECUに対するインストールに要する時間b,及びインストールした更新プログラムを有効化するアクティベートに要する時間cを累積した総時間である。これらの時間は、更新データのサイズに基づいてセンター装置2が算出しても良いし、センター装置2の操作者が入力しても良い。それから、センター装置2はキャンペーン情報を電気自動車3に送信する(S16)。
【0032】
また、センター装置2は、充電機器10より転送された充電スケジュールから時間(1)も把握できるので、時間(1)が時間(2)よりも長いことを確認すると(S17)、ユーザのスマホ14に、OTAに対する承諾を確認するための通知を行う(S18)。ユーザがスマホ14の画面に表示されたメッセージを視認して、承諾の意思があれば、電気自動車3のHMI機器5より「承諾」を入力する(S20)。その後、充電スケジュールに基づき充電開始時刻が到来すると、充電機器10は電池8の充電を開始する(S21)。それに続いてOTA制御部6は、OTAの実行を開始する(S20)。
以上のように第2実施形態によれば、ユーザは、スマホ14をHMI機器として用い、第1実施形態と同様の処理を行うことができる。
【0033】
(第3実施形態)
第3実施形態は、例えば第1実施形態において、HMI機器5が備える画面の表示例を示す。前述し且つ
図6に示すように、書換え対象ECUのアプリプログラムをOTAにより書換える際に、キャンペーン通知、ダウンロード、インストール、アクティベートの第1~第3フェーズがある。キャンペーン通知とは、プログラム更新のお知らせである。例えばセンター装置2においてアプリプログラムの更新有りと判断されたことを受けて、配信諸元データ等をOTA制御部6がダウンロードすることがキャンペーン通知である。HMI機器5は、アプリプログラムの書換えが進行するにしたがって各フェーズにおいて画面を表示する。尚、ダウンロード、インストール、アクティベートを実行する主体は、OTA制御部6である。
【0034】
HMI機器5は、
図7に示すように、キャンペーン通知前の通常時では、例えばナビゲーション機能の1つである周知の経路案内画面等のナビゲーション画面501を表示させる。この状態からキャンペーン通知が発生すると、HMI機器5は、
図8に示すように、ナビゲーション画面501の右下にキャンペーン通知の発生を示すキャンペーン通知アイコン501aを表示させる。ユーザは、キャンペーン通知アイコン501aの表示を確認することで、アプリプログラムの更新に関するキャンペーン通知の発生を把握できる。
【0035】
この状態からユーザがキャンペーン通知アイコン501aを操作すると、HMI機器5は、
図9に示すように、ナビゲーション画面501上にキャンペーン通知画面502をポップアップ表示させる。尚、HMI機器5は、キャンペーン通知画面502をポップアップ表示させることに限らず、他の表示態様を採用しても良い。HMI機器5は、キャンペーン通知画面502では、例えば「利用できるソフトウェア更新があります」のガイダンスを表示してキャンペーン通知の発生をユーザに知らせると共に、「確認する」ボタン502a、「後で」ボタン502bを表示させ、ユーザの操作を待機する。この場合、ユーザは、「確認する」ボタン502aを操作することで、アプリプログラムの書換えを開始させるための次の画面へ進むことができる。尚、HMI機器5は、ユーザが「後で」ボタン502bを操作した場合には、キャンペーン通知画面502のポップアップ表示を消去させ、
図8に示すキャンペーン通知アイコン501aを表示する画面に戻す。
【0036】
この状態からユーザが「確認する」ボタン502aを操作すると、HMI機器5は、
図10に示すように、ナビゲーション画面501からダウンロード承諾画面503に表示を切替え、ダウンロード承諾画面503を表示させる。HMI機器5は、ダウンロード承諾画面503では、キャンペーンIDや更新名称をユーザに知らせると共に、「ダウンロード開始」ボタン503a、「詳細確認」ボタン503b、「戻る」ボタン503cを表示させ、ユーザの操作を待機する。この場合、ユーザは、「ダウンロード開始」ボタン503aを操作することでダウンロードを開始させることができ、「詳細確認」ボタン503bを操作することでダウンロードの詳細を表示させることができ、「戻る」ボタン503cを表示させることでダウンロードを拒否し、前の画面に戻ることができる。「戻る」ボタン503cを操作した場合であって、ユーザは、キャンペーン通知アイコン501aを操作することにより、ダウンロードを開始するための画面に進むことができる。
【0037】
このダウンロード承諾画面503を表示させた状態からユーザが「詳細確認」ボタン503bを操作すると、HMI機器5は、
図11に示すように、ダウンロード承諾画面503の表示内容を切替え、ダウンロードの詳細を表示させる。HMI機器5は、ダウンロードの詳細として、受信した配信諸元データを用いて、更新内容や、更新にかかる時間、更新に伴う車両機能の制約等を表示させる。「更新にかかる時間」は、ダウンロード、インストール、アクティベートの各フェーズについて、それぞれ例えばX分,Y分,Z分のように個別に表示される。又、ユーザが「ダウンロード開始」ボタン503aを操作すると、HMI機器5は、外部通信機器4を介して配信パッケージのダウンロードを開始する。HMI機器5は、配信パッケージのダウンロードを開始することと並行して、
図12に示すように、ダウンロード承諾画面503からナビゲーション画面501に表示を切替え、ナビゲーション画面501を車載ディスプレイ7に再度表示させ、ナビゲーション画面501の右下にダウンロード実行中を示すダウンロード実行中アイコン501bを表示させる。ユーザは、ダウンロード実行中アイコン501bの表示を確認することで、配信パッケージのダウンロード実行中を把握できる。
【0038】
この状態からユーザがダウンロード実行中アイコン501bを操作すると、HMI機器5は、
図13に示すように、ナビゲーション画面501からダウンロード実行中画面504に表示を切替え、ダウンロード実行中画面504を表示させる。HMI機器5は、ダウンロード実行中画面504では、ダウンロードの実行中をユーザに知らせると共に、「詳細確認」ボタン504a、「戻る」ボタン504b及び「キャンセル」ボタン504cを表示させ、ユーザの操作を待機する。この場合、ユーザは、「詳細確認」ボタン504aを操作することで、ダウンロード実行中の詳細を表示させることができ、「キャンセル」ボタン504cを操作させることで、ダウンロードを中断させることができる。
【0039】
HMI機器5は、ダウンロードを完了すると、
図14に示すように、ナビゲーション画面501上にダウンロード完了通知画面505をポップアップ表示させる。HMI機器5は、ダウンロード完了通知画面505では、例えば「ダウンロードが完了しました ソフトウェア更新ができます」のガイダンスを表示してダウンロードの完了をユーザに知らせると共に、「確認する」ボタン505a、「後で」ボタン505bを表示させ、ユーザの操作を待機する。この場合、ユーザは、「確認する」ボタン505aを操作することで、インストールを開始するための画面に進むことができる。
【0040】
この状態からユーザが「確認する」ボタン505aを操作すると、HMI機器5は、
図15に示すように、ナビゲーション画面501からインストール承諾画面506に表示を切替え、インストール承諾画面506を表示させる。HMI機器5は、インストール承諾画面506では、インストールに関する所要時間や制約事項及びスケジュールの設定をユーザに知らせると共に、「すぐ更新」ボタン506a、「予約して更新」ボタン506b、「更新しない」ボタン506cを表示させ、ユーザの操作を待機する。この場合、ユーザは、「すぐ更新」ボタン506aを操作することで、インストールを直ぐに開始させることができる。又、ユーザは、インストールを実行したい時刻を設定し、「予約して更新」ボタン506bを操作することで、インストールを予約して開始させることができる。又、ユーザは、「更新しない」ボタン506cを操作することで、インストールを拒否し、前の画面に戻ることができる。「戻る」ボタン506cを操作した場合であって、ユーザは、ダウンロード実行中アイコン501bを操作することにより、インストールを開始するための画面に進むことができる。
【0041】
この状態からユーザが「すぐ更新」ボタン506aを操作すると、HMI機器5は、
図16に示すように、インストール承諾画面506の表示内容を切替え、インストールの詳細を表示させる。HMI機器5は、ここでのインストール承諾画面506では、インストールの要求を受付け、インストールを開始する旨をユーザに知らせる。
【0042】
HMI機器5は、インストールを開始すると、
図17に示すように、インストール承諾画面506からナビゲーション画面501に表示を切替え、ナビゲーション画面501を再度表示させ、ナビゲーション画面501の右下にインストール実行中を示すインストール実行中アイコン501cを表示させる。ユーザは、インストール実行中アイコン501cの表示を確認することで、インストール実行中を把握できる。
【0043】
この状態からユーザがインストール実行中アイコン501cを操作すると、HMI機器5は、
図18に示すように、ナビゲーション画面501からインストール実行中画面507に表示を切替え、インストール実行中画面507を表示させる。HMI機器5は、インストール実行中画面507では、インストールの実行中をユーザに知らせる。HMI機器5は、例えばインストールの所要残り時間や進捗パーセントをインストール実行中画面507に表示させても良い。
【0044】
HMI機器5は、インストールを完了すると、
図19に示すように、ナビゲーション画面501からアクティベート承諾画面508に表示を切替え、アクティベート承諾画面508を表示させる。HMI機器5は、アクティベート承諾画面508では、アクティベートの内容をユーザに知らせると共に、「戻る」ボタン508a及び「OK」ボタン508bを表示させ、ユーザの操作を待機する。この場合、ユーザは、「戻る」ボタン508aを操作することで、アクティベートを拒否し、前の画面に戻ることができる。又、ユーザは、「OK」ボタン508bを操作することで、アクティベートを承諾することができる。尚、「戻る」ボタン508aを操作した場合であって、ユーザは、インストール実行中アイコン501cを操作することにより、アクティベートを実行するための画面に進むことができる。尚、これらの表示や承諾については、ユーザの設定やプログラムのシーンにより表示させずに省略することも可能である。
【0045】
ユーザが「OK」ボタン508bを操作した後の状態からユーザがIG電源をオンすると、HMI機器5は、
図20に示すように、ナビゲーション画面501上にアクティベート完了通知画面509をポップアップ表示させる。HMI機器5は、アクティベート完了通知画面509では、例えば「ソフトウェア更新が完了しました」のガイダンスを表示してアクティベートの完了をユーザに知らせると共に、「OK」ボタン509a、「詳細確認」ボタン509bを表示させ、ユーザの操作を待機する。この場合、ユーザは、「OK」ボタン509aを操作することで、アクティベート完了通知画面509のポップアップ表示を消去させることができ、「詳細確認」ボタン509bを操作することで、アクティベートの完了の詳細を表示させることができる。
【0046】
この状態からユーザが「OK」ボタン509aを操作すると、HMI機器5は、
図21に示すように、ナビゲーション画面501から確認操作画面510に表示を切替え、確認操作画面510を表示させる。HMI機器5は、確認操作画面510では、アクティベートの完了をユーザに知らせると共に、「詳細確認」ボタン510a、「OK」ボタン510bを表示させ、ユーザの操作を待機する。この場合、ユーザは、「詳細確認」ボタン510aを操作することで、アクティベートの完了の詳細を表示させることができる。
【0047】
この状態からユーザが「詳細確認」ボタン510aを操作すると、HMI機器5は、
図22に示すように、確認操作画面510の表示内容を切替え、アクティベートの完了の詳細を表示させる。HMI機器5は、更新により追加された機能や変更された機能等を更新詳細として表示すると共に、「OK」ボタン510bを表示する。HMI機器5は、ユーザが「OK」ボタン509a、510bを操作したことをもって、ソフトウェア更新完了をユーザが確認したと判断する。
【0048】
以上のように第3実施形態によれば、ECUのアプリプログラムを書き換える際の、センター装置2より更新プログラムを取得するダウンロード,取得した更新データを対象となるECUに書き込むインストール,ECUに書き込んだ更新プログラムを有効化するアクティベートの各フェーズにおいて、OTA制御部6は、全てのフェーズについて、ユーザに対し、実行を承諾するか否かの問い合わせを1回行う。これにより、各フェーズについてユーザの承諾を確認した上で、各フェーズを実行できる。
【0049】
(その他の実施形態)
充電スケジュールは、充電の開始時刻,充電の終了時刻, 充電の開始時刻及び終了時刻,並びに現時点からの充電時間のうち、何れか1つ以上が設定可能であれば良い。
第2実施形態において、スマホ14に替えて充電機器10を用いても良い。
第3実施形態において、ユーザに対する実行を承諾するか否かの問い合わせは、何れか1つ以上のフェーズについて行えば良い。
【0050】
充電している期間に、「ダウンロードのみ」,「ダウンロード+インストールまで」を行うようにしても良い。例えば、ダウンロードに要する時間aよりも充電時間の方が長い場合は、ダウンロードのみの実行及び承諾をユーザへ問い合わせる。また、ダウンロードに要する時間a+インストールに要する時間bよりも充電時間の方が長い場合は、ダウンロード及びインストールの実行及び承諾をユーザへ問い合わせる。これにより、アクティベートまで完了させるほど充電時間が長くない場合でも、充電中に一部の処理を完了させておくことができる。
【0051】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0052】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。