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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】レーザ加工機及びワーク加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/382 20140101AFI20231129BHJP
   B23K 26/03 20060101ALI20231129BHJP
   B23K 26/16 20060101ALI20231129BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20231129BHJP
   B23K 26/70 20140101ALI20231129BHJP
【FI】
B23K26/382
B23K26/03
B23K26/16
B23K26/38 A
B23K26/70
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022532382
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(86)【国際出願番号】 JP2021017716
(87)【国際公開番号】W WO2021261095
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】P 2020107510
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】松村 浩平
【審査官】山内 隆平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-089632(JP,A)
【文献】特開2018-161661(JP,A)
【文献】特開2004-132302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のワークをレーザ加工するレーザ加工機であって、
複数の突起部を有し、前記突起部の上端で前記ワークを支持するテーブルと、
前記テーブル上の前記ワークに形成する穴部の輪郭に沿ってレーザ光を照射して穴あけ加工を行うレーザヘッドと、
レーザ加工された前記ワークを搬送する搬送装置と、
前記穴部に残ったスラグを突き落とす棒状工具と、を備え、
平面視で前記テーブルの外側であって下方に前記スラグの排出空間を有する処理位置に、穴あけ加工により形成された前記穴部が配置されるまで、前記搬送装置により前記ワークを搬送し、
前記処理位置において、前記穴部に嵌まり込んで又は溶着して残った前記スラグを前記棒状工具により突き落とす、レーザ加工機。
【請求項2】
前記棒状工具により前記スラグを突き落とした前記穴部に対して二次加工を行う二次加工工具を備える、請求項1に記載のレーザ加工機。
【請求項3】
前記棒状工具と前記二次加工工具とのいずれか一方を選択して前記処理位置に位置決めする、請求項2に記載のレーザ加工機。
【請求項4】
前記棒状工具に対して前記ワークを挟んで配置され、前記棒状工具を挿入可能な環状部材を備え、
1つの前記棒状工具及び1つの前記環状部材を一組として複数組配置し、前記穴部の大きさに合わせていずれか一組を選択して用いる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のレーザ加工機。
【請求項5】
前記棒状工具の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記ワークに形成された全ての前記穴部に対して前記棒状工具により前記スラグを突き落とす動作を実行させる、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のレーザ加工機。
【請求項6】
前記棒状工具の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記ワークにおいて前記突起部の直上で形成された前記穴部に対して前記棒状工具により前記スラグを突き落とす動作を実行させる、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のレーザ加工機。
【請求項7】
前記棒状工具の動作を制御する制御部と、
前記穴あけ加工により形成された前記穴部を撮像する撮像部と、を備え、
前記制御部は、前記撮像部により撮像された画像から前記穴部に前記スラグが残っているかを判定し、前記穴部に前記スラグが残っていると判定した場合にその穴部に対して前記棒状工具により前記スラグを突き落とす動作を実行させる、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のレーザ加工機。
【請求項8】
レーザ加工により板状のワークを加工する方法であって、
テーブルに備える複数の突起部の上端で前記ワークを支持することと、
前記テーブル上の前記ワークに形成する穴部の輪郭に沿ってレーザ光を照射して穴あけ加工を行うことと、
平面視で前記テーブルの外側であって下方にスラグの排出空間を有する処理位置に、穴あけ加工により形成された前記穴部が配置されるまで、搬送装置により前記ワークを搬送することと、
前記処理位置において、前記穴部に嵌まり込んで又は溶着して残った前記スラグを棒状工具により突き落とすことと、を含む、ワーク加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工機及びワーク加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工機は、板状のワークに成形、タップ加工の下穴として穴部を形成する穴あけ加工を行うことが可能である。穴あけ加工は、複数の突起部を有するテーブルにより板状のワークが支持された状態で、ワークに形成する穴部の輪郭に沿ってレーザヘッドによりレーザ光を照射する加工である。スラグは、通常、ワークから落下して除去される。しかしながら、落下する筈のスラグは、落下が突起部に阻害され、穴部に嵌まり込んで落下しないことがある。また、切断不良が生じた場合にも、落下する筈のスラグは、ワークに溶着して落下しないことがある。スラグが落下していない状態のワークは、穴部に対する成形、タップ加工を行うときに、加工不良、金型の破損、タップの破損の要因となり得る。
【0003】
特許文献1には、複数の突起部を有するテーブルにより板状のワークを支持した状態において、穴あけ加工により形成された穴部に残ったスラグを棒状工具により突き落とすことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平4-231192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テーブルの突起部の真上で穴あけ加工が行われた場合、特許文献1に開示されている方法は、スラグを突き落とすときの衝撃によって突起部を破損させてしまう可能性があるため適用できない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るレーザ加工機は、板状のワークをレーザ加工する。レーザ加工機は、複数の突起部を有し、突起部の上端でワークを支持するテーブルを備え。レーザ加工機は、テーブル上のワークに形成する穴部の輪郭に沿ってレーザ光を照射して穴あけ加工を行うレーザヘッドを備え。レーザ加工機は、レーザ加工されたワークを搬送する搬送装置を備え。レーザ加工機は、穴部に残ったスラグを突き落とす棒状工具を備え。レーザ加工機は、平面視でテーブルの外側であって下方にスラグの排出空間を有する処理位置に、穴あけ加工により形成された穴部が配置されるまで、搬送装置によりワークを搬送する。レーザ加工機は、処理位置において、穴部に嵌まり込んで又は溶着して残ったスラグを棒状工具により突き落と
【0007】
本発明の一態様に係るワーク加工方法は、レーザ加工により板状のワークを加工する。ワーク加工方法は、テーブルに備える複数の突起部の上端でワークを支持することを含。ワーク加工方法は、テーブル上のワークに形成する穴部の輪郭に沿ってレーザ光を照射して穴あけ加工を行うことを含。ワーク加工方法は、平面視でテーブルの外側であって下方にスラグの排出空間を有する処理位置に、穴あけ加工により形成された穴部が配置されるまで、搬送装置によりワークを搬送することを含。ワーク加工方法は、処理位置において、穴部に嵌まり込んで又は溶着して残ったスラグを棒状工具により突き落とすことを含
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係るレーザ加工機及びワーク加工方法は、テーブルの突起部を破損させることなく、穴部に残ったスラグを確実に突き落とすことができる。
【0009】
本発明の一態様に係るレーザ加工機は、棒状工具によりスラグを突き落とした穴部に対して二次加工を行う二次加工工具を備えてよい。この態様に係るレーザ加工機は、スラグが突き落とされた穴部に対する二次加工を行うことができる。
【0010】
本発明の一態様に係るレーザ加工機は、棒状工具と二次加工工具とのいずれか一方を選択して処理位置に位置決めしてよい。この態様に係るレーザ加工機は、二次加工工具の干渉を受けることなくスラグの突き落しを行うことができ、棒状工具の干渉を受けることなく二次加工を行うことができる。
【0011】
本発明の一態様に係るレーザ加工機は、棒状工具に対してワークを挟んで配置され、棒状工具を挿入可能な環状部材を備えてよい。レーザ加工機は、1つの棒状工具及び1つの環状部材を一組として複数組配置し、穴部の大きさに合わせていずれか一組を選択して用いてよい。この態様に係るレーザ加工機は、大きさが異なる複数種類の穴部に残ったスラグを好適に突き落とすことができる。
【0012】
本発明の一態様に係るレーザ加工機は、棒状工具の動作を制御する制御部を備えてよい。制御部は、ワークに形成された全ての穴部に対して棒状工具によりスラグを突き落とす動作を実行させてよい。この態様に係るレーザ加工機は、穴部に残ったスラグを確実に突き落とすことができる。
【0013】
本発明の一態様に係るレーザ加工機は、棒状工具の動作を制御する制御部を備えてよい。制御部は、ワークにおいて突起部の直上で形成された穴部に対して棒状工具によりスラグを突き落とす動作を実行させてよい。この態様に係るレーザ加工機は、スラグを突き落とす動作に係る時間を短縮することができる。
【0014】
本発明の一態様に係るレーザ加工機は、棒状工具の動作を制御する制御部を備えてよい。レーザ加工機は、穴あけ加工により形成された穴部を撮像する撮像部を備えてよい。制御部は、撮像部により撮像された画像から穴部にスラグが残っているかを判定し、穴部にスラグが残っていると判定した場合にその穴部に対して棒状工具によりスラグを突き落とす動作を実行させてよい。この態様に係るレーザ加工機は、穴部に残ったスラグを確実に突き落とすことができるだけでなく、スラグを突き落とす動作に係る時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】レーザ加工機の外観斜視図の一例を示す図である。
図2】レーザヘッドの構成の一例を示す図である。
図3】突き落としの外観斜視図の一例を示す図である。
図4】穴あけ加工を制御する手順の一例を示すフローチャートである。
図5】穴あけ加工の手順の一例を示す図である。
図6】穴あけ加工の手順の一例を示す図である。
図7】スラグの突き落としと二次加工とを制御する手順の一例を示すフローチャートである。
図8】スラグの突き落としの手順の一例を示す図である。
図9】スラグの突き落としの手順の一例を示す図である。
図10】スラグの突き落としに適した棒状工具の径と環状部材の径について説明するための参照図である。
図11】スラグの突き落としと二次加工とを制御する手順の他の例を示すフローチャートである。
図12】穴あけ加工を制御する手順の他の例を示すフローチャートである。
図13】スラグの突き落としと二次加工とを制御する手順の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定しない。また、実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
以下、図中の方向は、XYZ座標系を用いて説明する。このXYZ座標系は、鉛直方向をZ方向とし、水平方向をX方向、Y方向とする。また、X方向、Y方向及びZ方向は、適宜、矢印によって指し示す側を+側と称し、その反対側を-側と称する。
【0018】
図1は、レーザ加工機1の外観斜視図の一例を示す図である。レーザ加工機1は、板状のワークWに対するレーザ加工、二次加工、及びスラグの突き落としを行う装置である。レーザ加工機1は、レーザ加工装置100、搬送装置200、二次加工装置300及び制御部400を備える。制御400は、レーザ加工装置100、搬送装置200、及び二次加工装置300の動作を制御する。
【0019】
レーザ加工装置100は、ワークWに対するレーザ加工を行う装置である。レーザ加工装置100は、フレーム110A、フレーム110B、下部フレーム110C、テーブル120、レーザヘッド130及びヘッド駆動部140を備える。
【0020】
レーザ加工装置100は、レーザ加工領域R1においてワークWに対するレーザ加工を行う。レーザ加工領域R1は、フレーム110Aとフレーム110Bとに囲まれた領域である。フレーム110A及びフレーム110Bは、Z方向に起立し、X方向に延びる板状のメインフレームである。フレーム110A及びフレーム110Bは、下部フレーム110Cにより互いに連結され、ヘッド駆動部140を支持する。下部フレーム110Cは、レーザ加工領域R1の下方に設けられ、テーブル120を支持する。フレーム110Aは、搬送装置200により搬送されるワークWが通過可能な開口部110AOを備える。
【0021】
テーブル120は、レーザ加工領域R1においてワークWを支持する部材である。テーブル120は、矩形状のベースプレート121、及び複数の支持プレート122を備える。複数の支持プレート122は、ベースプレート121の上面に立った状態でX方向に並んで設けられる。支持プレート122の上端部には、複数の突起部122Aが形成される。テーブル120は、突起部122Aの上端でワークWの下面を支持する。突起部122Aは、例えば鋸歯状であり、ベースプレート121からの高さが同一となるように形成される。
【0022】
レーザヘッド130は、制御部400による制御に従って、テーブル120上のワークWにレーザ光を照射してレーザ加工を行う装置である。例えば、レーザヘッド130は、テーブル120上のワークWに形成する穴部の輪郭に沿ってレーザ光を照射して穴あけ加工を行うことが可能である。
【0023】
図2は、レーザヘッド130の構成の一例を示す図である。レーザヘッド130は、ノズル131、光ファイバ132、コリメータ133、ビームスプリッタ134及び集光レンズ135を備える。
【0024】
レーザヘッド130は、ノズル131の出射口131Aから加工用レーザ光L1及び照明用レーザ光L2をワークWに向けて照射する。レーザヘッド130は、ワークWに対して、X方向、Y方向、Z方向に相対的に移動可能に設けられる。レーザヘッド130は、ワークWに対して相対的に移動しながら、ワークWに形成する切断ラインに沿って加工用レーザL1を照射することで切断加工を行う。
【0025】
光ファイバ132は、レーザ発振器150に接続され、レーザ発振器150から出力される加工用レーザ光をレーザヘッド130に導入する。
【0026】
コリメータ133は、加工用レーザ光L1の入射側の焦点が光ファイバ132の端部の位置と一致するように設けられ、レーザ発振器150から出力される加工用レーザ光L1を平行光に変換する。
【0027】
ビームスプリッタ134は、コリメータ133を通過した加工用レーザ光L1が入射する位置に設けられ、加工用レーザ光L1を反射し、照明用レーザ光L2を透過させる。
【0028】
集光レンズ135は、ビームスプリッタ134で反射した加工用レーザ光L1が入射する位置に設けられ、入射する加工用レーザ光L1を集光する。光学系駆動部160は、集光レンズ135を光軸に沿って移動させてワークW側の焦点を調整する。
【0029】
レーザヘッド130には、照明ユニット160が着脱自在に接続される。照明ユニット160は、レーザアレイ161及びコリメータ162を備える。レーザアレイ161は、加工用レーザ光L1と異なる波長の照明用レーザ光L2を発する。コリメータ162は、レーザアレイ161から照明用レーザ光L2が入射する位置に設けられ、レーザアレイ161から入射する照明用レーザ光L2を平行光に変換する。
【0030】
レーザヘッド130は、ハーフミラー136を備える。ハーフミラー136は、コリメータ162を通過した照明用レーザ光L2が入射する位置に設けられ、照明用レーザ光L2の一部を反射し、一部を通過させる。
【0031】
ハーフミラー136で反射した照明用レーザ光L2は、ビームスプリッタ134を通過する。集光レンズ135は、ビームスプリッタ134を通過した照明用レーザ光L2を集光する。ワークWにおいて照明用レーザ光L2が照射される領域は、ワークWに対して加工用レーザ光L1が照射される領域を含むように設定される。
【0032】
レーザヘッド130には、撮像部170が設けられる。撮像部170は、加工用レーザ光L1が照射される領域を撮像する装置である。撮像部170は、撮像素子171を備える。撮像素子171は、照明用レーザ光L2の照明がワークWで反射錯乱した戻り光を検出し、画像データを生成するイメージセンサである。
【0033】
ワークWからの戻り光は、集光レンズ135を通過してビームスプリッタ134に入射する。戻り光は、照明用レーザ光L2がワークWで反射錯乱した光と、加工用レーザ光L1がワークWで反射した光とを含む。照明用レーザ光L2に由来する光は、ビームスプリッタ134を通過してハーフミラー136に入射する。一方、加工用レーザ光L1に由来する光は、ビームスプリッタ134で反射する。
【0034】
ワークWが溶融した溶融金属がワークWの切断面等に溶着している場合、戻り光は、溶融金属から放射される赤外から近赤外の波長帯の光を含む。溶融金属に起因する光は、ビームスプリッタ134を通過してハーフミラー136に入射する。
【0035】
レーザヘッド130は、波長選択フィルタ137及び結像レンズ138を備える。波長選択フィルタ137は、例えば、ダイクロイックミラー、ノッチフィルター等である。ハーフミラー136に入射した戻り光は、ハーフミラー136を通過して波長選択フィルタ137に入射する。照明用レーザ光L2に由来する光は、波長選択フィルタ137で反射して結像レンズ138に入射する。一方、加工用レーザ光L1に由来する光は、波長選択フィルタ137を透過する。結像レンズ138は、波長選択フィルタ137で反射した光を撮像素子171に集光する。
【0036】
レーザ加工機1は、画像処理部500を備える。画像処理部500は、撮像部170及び制御部400と通信可能に接続される。撮像部170は、撮像素子171により生成された画像データを画像処理部500に送信する。画像処理部500は、撮像部170から送信された画像データを受信すると、画像データに対する画像処理を実行し、加工状態に関するデータを生成する。画像処理部500は、加工状態に関するデータとして、例えば、カーフ幅を示すデータを生成する。カーフ幅は、例えば、レーザ加工によるカーフの両端のエッジを検出し、画像上のエッジ間の距離を実スケールの距離に変換することで算出可能である。画像処理部500は、加工状態に関するデータを生成すると、そのデータを制御部400に送信する。
【0037】
また、レーザヘッド130には、アシストガス供給部180が接続される。アシストガス供給部180は、ノズル131内にアシストガスを供給する装置である。アシストガスは、レーザ加工において、溶融した材料を除去するために用いられる。
【0038】
図1の説明に戻り、レーザヘッド130は、ヘッド駆動部140に設けられ、ヘッド駆動部140により、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能である。ヘッド駆動部140は、ガントリ140A、スライダ140B及び昇降部140Cを備える。
【0039】
ガントリ140Aは、フレーム110A及びフレーム110Bの上部に、Y方向に沿って設けられる。ヘッド駆動部140は、ガントリ140AをX方向に移動させるボールねじ機構等の駆動機構を備える。ガントリ140Aは、この駆動機構によりX方向に移動可能である。ガントリ140Aの上面には、スライダ140Bを案内するガイド140AGがY方向に沿って設けられる。
【0040】
スライダ140Bは、ガントリ140Aの上面から-X側の面にわたって設けられる。ヘッド駆動部140は、スライダ140BをY方向に移動させるボールねじ機構等の駆動機構を備える。スライダ140Bは、この駆動機構によりY方向に移動可能である。スライダ140Bの-X側の面には、昇降部140Cを案内するガイド140BGがZ方向に沿って設けられる。
【0041】
昇降部140Cは、スライダ140Bの-X側の面に設けられる。ヘッド駆動部140は、昇降部140CをZ方向に移動させるボールねじ機構等の駆動機構を備える。昇降部140Cは、この駆動機構によりZ方向に移動可能である。
【0042】
レーザヘッド130は、昇降部140Cの下部に保持される。レーザヘッド130は、ガントリ140AがX方向に移動することより、レーザ加工領域R1の上方においてX方向に移動可能である。また、レーザヘッド130は、スライダ140BがY方向に移動することにより、レーザ加工領域R1の上方において方向に移動可能である。また、レーザヘッド130は、昇降部140CがZ方向に移動することにより、レーザ加工領域R1の上方においてZ方向に移動可能である。
【0043】
搬送装置200は、レーザ加工装置100によってレーザ加工されたワークWを搬送する装置である。搬送装置200は、キャリッジ210、プレート220、及び複数のワークホルダ230を備える。
【0044】
キャリッジ210は、Y方向に移動可能に設けられる。プレート220は、キャリッジ210の+Y側の側面に設けられる。複数のワークホルダ230は、プレート220の+Y側の面から突出した状態で、X方向に間隔を置いて設けられる。ワークホルダ230は、ワークWの端部を挟み込んで把持可能である。
【0045】
二次加工装置300は、二次加工領域R2において、ワークWに対する二次加工、及びスラグの突き落としを行う装置である。二次加工領域R2は、平面視でテーブル120の外側であって下方にスラグの排出空間ESを有する領域である。
【0046】
二次加工装置300は、フレーム310、二次加工部320及び突き落とし部330を備える。
【0047】
フレーム310は、縦フレーム310A及び横フレーム310Bを備える。縦フレーム310Aは、Z方向に起立し、X方向に延びる板状の部材である。縦フレーム310Aは、一枚の金属部材から形成されており、ワークWに対する二次加工、及びスラグの突き落としを行うために十分な強度を備えるように、板質及び板厚等が設定される。縦フレーム310Aは、二次加工装置300の各部を支持する。縦フレーム310Aには、搬送装置200により搬送されるワークWが通過可能な開口部310AOが設けられる。横フレーム310Bは、縦フレーム310Aの-Y側に設けられ、X方向に延びる板状の部材である。横フレーム310Bは、二次加工部320及び突き落とし部330を吊り下げた状態で支持する。
【0048】
二次加工部320は、ワークWに対する二次加工を行う装置である。二次加工部320は、横フレーム310Bの下面にX方向に沿って設けられたガイドに吊り下げられており、ガイドに沿ってX方向に移動可能である。二次加工部320は、ワークWに対する二次加工を行うための二次加工工具321を備える。二次加工工具321は、例えば、穴あけ加工によりワークWに形成された穴部の切断面に、ねじが入る筋を切るタップ加工を行うための工具である。ワークWの穴部に対してタップ加工を行う場合、二次加工部320は、ワークWの穴部の切断面に二次加工工具321を接触させて回転させる。また、二次加工部320は、突き落とし部330によりスラグが突き落とされた穴部に対してタップ加工を行うことが可能である。
【0049】
ここで、穴あけ加工は、複数の突起部122Aを有するテーブル120によりワークWが支持された状態で、ワークWに形成する穴部の輪郭に沿ってレーザヘッド130によりレーザ光を照射する加工である。スラグは、通常、ワークWから落下して除去される。しかしながら、落下する筈のスラグは、落下が突起部122Aに阻害され、穴部に嵌まり込んで落下しないことがある。また、切断不良が生じた場合にも、落下する筈のスラグは、ワークWに溶着して落下しないことがある。突き落とし部330は、穴あけ加工によりワークWに形成された穴部に残ったスラグを突き落とす装置である。
【0050】
図3は、突き落とし部330の外観斜視図の一例を示す図である。突き落とし部330は、ストライカー支持体331、ストライカー332、工具支持体333、複数の棒状工具334、環状部材支持体335、及び複数の環状部材336を備える。
【0051】
ストライカー支持体331は、フレーム331A及び昇降駆動部331Bを備える。フレーム331Aは、昇降駆動部331Bを支持する。フレーム331Aは、横フレーム310Bの下面にX方向に沿って設けられたガイドに吊り下げており、ガイドに沿ってX方向に移動可能である。昇降駆動部331Bは、電動モータ等の駆動装置の駆動力によりストライカー332を昇降させる。
【0052】
ストライカー332は、下降することにより棒状工具334を駆動する。ストライカー332は、円筒状に形成され、昇降駆動部331Bにより駆動されて昇降する。ストライカー332の下端部は、棒状工具334の上端部の形状に対応するように形成される。スラグの突き落としは、ストライカー332が下降して棒状工具334を下降させることにより行われる。
【0053】
工具支持体333は、環状部材支持体335に対してワークWを挟む位置に設けられ、X方向に沿って複数の棒状工具334を支持する。複数の棒状工具334は、穴部に残ったスラグを突き落とすための工具である。複数の棒状工具334は、それぞれ棒状に形成され、互いに径が異なる。
【0054】
工具支持体333は、駆動部333A、及び複数の弾性部材333Bを備える。工具支持体333は、縦フレーム310Aの壁面に設けられたガイド310Cに支持され、駆動部333Aに駆動されてガイド310Cに沿ってX方向に移動可能である。工具支持体333は、ストライカー332によって棒状工具334が下降するときに、棒状工具334の下端部が下方に突出するように、棒状工具334を支持する。複数の弾性部材333Bは、複数の棒状工具334にそれぞれ対応して設けられ、棒状工具334を弾性的に支持する。弾性部材333Bは、ストライカー332が下降するときに圧縮され、ストライカー332が上昇するときの弾性力により棒状工具334を下降前の元の位置まで上昇させる。
【0055】
環状部材支持体335は、工具支持体333に対してワークWを挟む位置に設けられ、X方向に沿って設けられた複数の環状部材336を支持する。複数の環状部材336は、ストライカー332に駆動されて下降する棒状工具334を挿入可能な部材である。複数の環状部材336は、それぞれ中空の円筒状に形成され、互いに径が異なる。
【0056】
環状部材支持体335は、駆動部335Aを備える。環状部材支持体335は、縦フレーム310Aの壁面に設けられたガイド310Dに支持され、駆動部335Aに駆動されてガイド310Dに沿ってX方向に移動可能である。環状部材支持体335は、棒状工具334によってワークWの穴部に残ったスラグが突き落とされるときに、突き落とされたスラグが環状部材支持体335の下方に落下するように、環状部材336を支持する。
【0057】
図4は、穴あけ加工を制御する手順の一例を示すフローチャートである。図5及び図6は、穴あけ加工の手順の一例を示す図である。以下の説明においては、レーザ加工装置100による穴あけ加工の手順について説明する。
【0058】
制御部400は、図5に示すように、閉経路C1に沿ってレーザ光を照射する切断加工を行うように、レーザ加工装置100の動作を制御する(ステップS101)。
【0059】
ステップS101において、制御部400は、図5(A)に示すように、ワークWに形成する穴部の輪郭WCの中心位置Q1にレーザヘッド130のノズル131を対向させた後、ノズル131からレーザ光を照射させる。ワークWの上面には、径D1を有するレーザ光のスポットLSが形成される。そして、制御部400は、レーザ光のスポットLSがワークWに形成する穴部の輪郭WCに接する位置Q2までレーザヘッド130を移動させる。
【0060】
制御部400は、図5(B)に示すように、スポットLSの中心が所定の閉経路C1に沿って移動するようにレーザヘッド130を移動させる。スポットLSの中心が閉経路C1に沿って移動することにより、スポットLSは、ワークWに形成する穴部の輪郭WCに接するように移動する。ワークWは、レーザ光が照射された部分が溶融し、スポットLSが閉経路C1を一周したときに、スラグSがワークWから切り離される。これにより、ワークWには、スポットLSの軌跡となった閉経路C1に沿った穴部が形成される。
【0061】
ここで、スラグSは、通常、ワークWから落下して除去される。しかしながら、前述のとおり、落下する筈のスラグSは、落下が突起部122Aに阻害され、穴部に嵌まり込んで落下しないことがある。また、切断不良が生じた場合にも、落下する筈のスラグSは、ワークWに溶着して落下しないことがある。
【0062】
そこで、制御部400は、図6に示すように、閉経路C1の内側の閉経路C2に沿ってレーザ光を照射する切断加工を行うように、レーザ加工装置100の動作を制御する(ステップS102)。
【0063】
ステップS102において、制御部400は、図6(A)に示すように、スポットLSの径を、径D1よりも小さい径D2に変化させる。そして、制御部400は、図6(B)に示すように、レーザ光のスポットLSの中心が閉経路C2に沿って移動するようにレーザヘッド130を移動させる。スポットLSの中心が閉経路C2に沿って移動することにより、レーザ光は、スラグSの周縁に沿って照射される。スラグSの周縁に沿ってレーザ光が照射されることにより、スラグSが穴部に嵌まり込んでいたとしても、レーザ光は、スラグSがワークWに接している箇所にも照射される。また、スラグSの周縁に沿ってレーザ光が照射されることにより、スラグSがワークWに溶着していたとしても、レーザ光は、スラグSがワークWに溶着している箇所にも照射される。その結果、スラグは、より確実にワークWから落下して除去される。
【0064】
ここで、スラグSが落下していない状態のワークWは、穴部に対する成形、タップ加工を行うときに、加工不良、金型の破損、タップの破損の要因となり得る。そこで、スラグSが落下していない可能性もあることから、制御部400は、穴部に対する成形、タップ加工を行う前に、穴部に残っている可能性があるスラグSを突き落とすための処理を実行する。
【0065】
図7は、スラグSの突き落としと二次加工とを制御する手順の一例を示すフローチャートである。図8及び図9は、スラグSの突き落としの手順の一例を示す図である。図10は、スラグSの突き落としに適した棒状工具334の径と環状部材336の径について説明するための参照図である。以下の説明においては、ワークWに形成された全ての穴部に対してスラグSの突き落としと二次加工とを行う手順について説明する。
【0066】
レーザ加工装置100によるレーザ加工が終わると、制御部400は、ワークWに穴部があるかを判定する(ステップS101)。例えば、制御部400は、穴部を形成する穴あけ加工プログラムがレーザ加工プログラムに含まれていれば、ワークWに穴部があると判定する。
【0067】
ワークWに穴部がないと判定した場合(ステップS201;NO)、制御部400は、図7に示す処理を終了する。
【0068】
ワークWに穴部があると判定した場合(ステップS201;YES)、制御部400は、その穴部がスラグSを突き落とす処理位置に配置されるように、搬送装置200にワークWを搬送させる(ステップS202)。ワークWに複数の穴部がある場合、制御部400は、複数の穴部のうちのいずれかの穴部が処理位置に配置されるように、搬送装置200にワークWを搬送させる。ステップS202の処理が実行されることにより、搬送装置200は、図8(A)に示すように、二次加工領域R2における所定の処理位置に穴部が配置されるようにワークWを搬送する。
【0069】
そして、制御部400は、スラグSの突き落としに用いる棒状工具334が処理位置に位置決めされるように、二次加工装置300に工具支持体333を移動させる(ステップS203)。例えば、制御部400は、スラグSの突き落としを行うときに干渉しない位置へ二次加工工具321をずらすように、二次加工装置300に二次加工部320を移動させる。そして、制御部400は、互いに径が異なる複数の棒状工具334のうち、穴部の径に応じて、スラグSの突き落としに用いる棒状工具334を選択する。スラグSの突き落としに用いる棒状工具334は、穴部の径よりも小さい径でなければならない。しかしながら、穴部の径に対して棒状工具334の径が小さすぎる場合には、棒状工具334がスラグSを突き落とすときの力が不十分となる可能性がある。棒状工具334がスラグSを突き落とすときの力が不十分である場合、図10(A)に示すように、ワークWに溶着されたスラグSは、ワークWに溶着されたまま突き落とされない可能性がある。そこで、制御部400は、穴部の径よりも小さい径の棒状工具334のうちの最も径が大きい棒状工具334を、スラグSの突き落としに用いる棒状工具334として選択する。そして、制御部400は、選択した棒状工具334が処理位置に位置決めされるように、二次加工装置300に工具支持体333を移動させる。ステップS203の処理が実行されることにより、二次加工装置300は、図8(B)に示すように、選択された棒状工具334が処理位置に配置された穴部の直上に配置されるように工具支持体333を移動させる。
【0070】
そして、制御部400は、スラグSの突き落としに用いる環状部材336が処理位置に位置決めされるように、二次加工装置300に環状部材支持体335を移動させる(ステップS204)。例えば、制御部400は、互いに径が異なる複数の環状部材336のうち、穴部の径に応じて、スラグSの突き落としに用いる環状部材336を選択する。スラグの突き落としに用いる環状部材336は、穴部の径よりも大きい径でなければならない。しかしながら、穴部の径に対して環状部材336の径が大きすぎる場合には、穴部の周りのワークWを支持する力が不十分となる可能性がある。穴部の周りのワークWを支持する力が不十分である場合、図10(B)に示すように、穴部の周りのワークWは、棒状工具334がスラグSを突き落とすときの力に耐えきれず変形してしまう可能性がある。そこで、制御部400は、穴部の径よりも大きい径の環状部材336のうちの最も径が小さい環状部材336を、スラグSの突き落としに用いる環状部材336として選択する。そして、制御部400は、選択した環状部材336が処理位置に位置決めされるように、二次加工装置300に環状部材支持体335を移動させる。ステップS204の処理が実行されることにより、二次加工装置300は、図9(A)に示すように、選択された環状部材336が処理位置に配置された穴部の直下に配置されるように環状部材支持体335を移動させる。
【0071】
そして、制御部400は、穴部に残っている可能性があるスラグSを棒状工具334により突き落とすように、二次加工装置300にストライカー332を下降させる(ステップS205)。ステップS205の処理が実行されることにより、二次加工装置300は、スラグSの突き落しに用いる棒状工具334の直上にストライカー332を移動させる。そして、二次加工装置300は、図9(B)に示すように、ストライカー332を下降させて棒状工具334を駆動させ、棒状工具334によりスラグSを突き落とす。穴部の径に対して適切な径の棒状工具334が用いられる場合、図10(C)に示すように、ワークWに溶着されたスラグSは、棒状工具334により確実に突き落とされる。また、穴部の径に対して適切な径の環状部材336が用いられる場合、図10(C)に示すように、穴部の周りのワークWは、変形することがない。
【0072】
そして、制御部400は、スラグSの突き落しを行った穴部に対する二次加工を行うかを判定する(ステップS206)。例えば、制御部400は、スラグSの突き落しを行った穴部に対して二次加工を行うためのプログラムが二次加工プログラムに含まれていれば、二次加工を行うと判定する。
【0073】
二次加工を行うと判定した場合(ステップS206;YES)、制御部400は、二次加工工具321が処理位置に位置決めされるように、二次加工装置300に二次加工部320を移動させる(ステップS207)。例えば、制御部400は、二次加工を行うときに干渉しない位置へ棒状工具334をずらすように、二次加工装置300に工具支持体333を移動させる。また、制御部400は、二次加工を行うときに干渉しない位置へ環状部材336ずらすように、二次加工装置300に環状部材支持体335を移動させる。そして、制御部400は、二次加工工具321が処理位置に位置決めされるように、二次加工装置300に二次加工部320を移動させる。ステップS207の処理が実行されることにより、二次加工装置300は、二次加工工具321が処理位置に配置された穴部の直上に配置されるように二次加工部320を移動させる。
【0074】
そして、制御部400は、穴部に対する二次加工を行うように、二次加工装置300に二次加工部320を駆動させる(ステップS208)。ステップS208の処理が実行されることにより、二次加工装置300は、二次加工部320の二次加工工具321によりタップ加工等の二次加工を行う。
【0075】
ステップS206において二次加工を行わないと判定した場合(ステップS206;NO)、又はステップS208の処理を実行した後、制御部400は、未処理の穴部があるかを判定する(ステップS209)。例えば、制御部400は、スラグSの突き落としを行った穴部の他に、穴部を形成する穴あけ加工プログラムがレーザ加工プログラムに含まれていれば、未処理の穴部があると判定する。
【0076】
未処理の穴部があると判定した場合(ステップS209;YES)、制御部400は、スラグSを突き落とす処理位置に、未処理の穴部が配置されるように、搬送装置200にワークWを搬送させる(ステップS202)。
【0077】
制御部400は、ステップS209において未処理の穴部がないと判定されるまで、ステップS202からステップS209までの処理を繰り返し実行する。その結果、制御部400は、ワークWに形成された全ての穴部に対して棒状工具334によりスラグSを突き落とす動作を実行させる。
【0078】
未処理の穴部がないと判定した場合(ステップS209;NO)、制御部400は、図7に示す処理を終了する。
【0079】
以上説明したとおり、レーザ加工機1は、板状のワークWをレーザ加工する装置である。レーザ加工機1は、複数の突起部122Aを有し、突起部122Aの上端でワークWを支持するテーブル120を備える。また、レーザ加工機1は、テーブル120上のワークWに形成する穴部の輪郭WCに沿ってレーザ光を照射して穴あけ加工を行うレーザヘッド130を備える。また、レーザ加工機1は、レーザ加工されたワークWを搬送する搬送装置200を備える。また、レーザ加工機1は、穴部に残ったスラグSを突き落とす棒状工具334を備える。そして、レーザ加工機1は、平面視でテーブル120の外側であって下方にスラグSの排出空間ESを有する処理位置に、穴あけ加工により形成された穴部が配置されるまで搬送装置200によりワークWを搬送する。そして、レーザ加工機1は、処理位置において、穴部に残ったスラグSを棒状工具334により突き落とす。この構成によれば、レーザ加工機1は、テーブル120の突起部122Aを破損させることなく、穴部に残ったスラグSを確実に突き落とすことができる。
【0080】
また、レーザ加工機1は、棒状工具334によりスラグSを突き落とした穴部に対して二次加工を行う二次加工工具321を備える。この構成によれば、レーザ加工機1は、スラグSが突き落とされた穴部に対する二次加工を行うことができる。
【0081】
また、レーザ加工機1は、棒状工具334と二次加工工具321とのいずれか一方を選択して処理位置に位置決めする。この構成によれば、レーザ加工機1は、二次加工工具321の干渉を受けることなくスラグSの突き落しを行うことができ、棒状工具334の干渉を受けることなく二次加工を行うことができる。
【0082】
また、レーザ加工機1は、棒状工具334に対してワークWを挟んで配置され、棒状工具334を挿入可能な環状部材336を備える。そして、レーザ加工機1は、1つの棒状工具334及び1つの環状部材336を一組として複数組配置し、穴部の大きさに合わせていずれか一組を選択して用いる。この構成によれば、レーザ加工機1は、大きさが異なる複数種類の穴部に残ったスラグSを好適に突き落とすことができる。
【0083】
また、レーザ加工機1は、棒状工具334の動作を制御する制御部400を備える。制御部400は、ワークWに形成された全ての穴部に対して棒状工具334によりスラグSを突き落とす動作を実行させる。この構成によれば、レーザ加工機1は、穴部に残ったスラグを確実に突き落とすことができる。
【0084】
図11は、スラグSの突き落としと二次加工とを制御する手順の他の例を示すフローチャートである。以下の説明においては、ワークWに形成された穴部のうち、テーブル120の突起部122Aの直上で形成された穴部に対してスラグSの突き落としと二次加工とを行う手順について説明する。図11に示すフローチャートにおいて、図7に示すフローチャートの処理と同様の処理については、図7に示すフローチャートと同じ符号を付している。以下の説明においては、図7に示すフローチャートと同じ符号が付された処理の説明を省略する。
【0085】
レーザ加工装置100によるレーザ加工が終わると、制御部400は、テーブル120の突起部122Aの直上で形成された穴部があるかを判定する(ステップS301)。例えば、制御部400は、突起部122Aの直上の座標で穴部を形成する穴あけ加工プログラムがレーザ加工プログラムに含まれているかを判定する。そして、突起部122Aの直上の座標で穴部を形成する穴あけ加工プログラムがレーザ加工プログラムに含まれていれば、制御部400は、突起部122Aの直上で形成された穴部があると判定する。
【0086】
突起部122Aの直上で形成された穴部がないと判定した場合(ステップS301;NO)、制御部400は、図11に示す処理を終了する。
【0087】
突起部122Aの直上で形成された穴部があると判定した場合(ステップS301;YES)、制御部400は、ステップS202からステップS208の処理を実行する。
【0088】
ステップS206において二次加工を行わないと判定した場合(ステップS206;NO)、又はステップS208の処理を実行した後、制御部400は、突起部122Aの直上で形成された未処理の穴部があるかを判定する(ステップS309)。例えば、制御部400は、スラグSの突き落としを行った穴部の他に、突起部122Aの直上の座標で穴部を形成する穴あけ加工プログラムがレーザ加工プログラムに含まれているかを判定する。突起部122Aの直上の座標で他の穴部を形成する穴あけ加工プログラムがレーザ加工プログラムに含まれていれば、制御部400は、突起部122Aの直上で形成された未処理の穴部があると判定する。
【0089】
制御部400は、ステップS309において未処理の穴部がないと判定されるまで、ステップS202からステップS309までの処理を繰り返し実行する。その結果、制御部400は、ワークWにおいて突起部122Aの直上で形成された穴部に対して棒状工具334によりスラグSを突き落とす動作を実行させる。
【0090】
未処理の穴部がないと判定した場合(ステップS309;NO)、制御部400は、図11に示す処理を終了する。
【0091】
以上説明したとおり、レーザ加工機1は、棒状工具334の動作を制御する制御部400を備える。そして、制御部400は、ワークWにおいて突起部122Aの直上で形成された穴部に対して棒状工具334によりスラグSを突き落とす動作を実行させる。この構成によれば、レーザ加工機1は、スラグSを突き落とす動作に係る時間を短縮することができる。
【0092】
図12は、穴あけ加工を制御する手順の他の例を示すフローチャートである。図12に示すフローチャートにおいて、図4に示すフローチャートと同様の処理については、図4に示すフローチャートと同じ符号を付している。以下の説明においては、図4に示すフローチャートと同じ符号が付された処理の説明を省略する。
【0093】
ステップS102の処理を実行した後、制御部400は、穴あけ加工により形成された穴部にスラグSが残っているかを判定する(ステップS403)。前述のとおり、撮像部170は、加工用レーザ光L1が照射される領域を撮像して生成した画像データを画像処理部500に送信する。画像処理部500は、撮像部170から送信された画像データを受信すると、画像データに対する画像処理を実行し、加工状態に関するデータを生成する。そして、画像処理部500は、加工状態に関するデータとして、例えば、カーフ幅を示すデータを生成し、そのデータを制御部400に送信する。ここで、穴あけ加工の終了位置におけるカーフ幅は、穴あけ加工を行ってスラグSが落下している場合、スラグS側のエッジが検出されないため算出されない筈である。そこで、制御部400は、例えば、カーフ幅を示すデータを参照し、穴あけ加工の終了位置におけるカーフ幅が算出されていれば、穴あけ加工により形成された穴部にスラグSが残っていると判定する。
【0094】
穴部にスラグSが残っていないと判定した場合(ステップS403;NO)、制御部400は、図12に示す処理を終了する。
【0095】
穴部にスラグが残っていると判定した場合(ステップS403;YES)、制御部400は、穴あけ加工により形成された穴部をスラグSの突き落とし処理の対象とし(ステップS404)図12に示す処理を終了する。
【0096】
図13は、スラグSの突き落としと二次加工とを制御する手順の他の例を示すフローチャートである。以下の説明においては、穴部にスラグSが残っていると判定された穴部に対してスラグSの突き落としと二次加工とを行う手順について説明する。図13に示すフローチャートにおいて、図7に示すフローチャートの処理と同様の処理については、図7に示すフローチャートと同じ符号を付している。以下の説明においては、図7に示すフローチャートと同じ符号が付された処理の説明を省略する。
【0097】
レーザ加工装置100によるレーザ加工が終わると、制御部400は、図12のステップS404においてスラグSの突き落とし処理の対象とされた穴部があるかを判定する(ステップS501)。
【0098】
スラグSの突き落とし処理の対象とされた穴部がないと判定した場合(ステップS501;NO)、制御部400は、図13に示す処理を終了する。
【0099】
スラグSの突き落とし処理の対象とされた穴部があると判定した場合(ステップS501;YES)、制御部400は、ステップS202からステップS208の処理を実行する。
【0100】
ステップS206において二次加工を行わないと判定した場合(ステップS206;NO)、又はステップS208の処理を実行した後、制御部400は、スラグSの突き落とし処理の対象とされた未処理の穴部があるかを判定する(ステップS509)。
【0101】
制御部400は、ステップS509において未処理の穴部がないと判定されるまで、ステップS202からステップS509までの処理を繰り返し実行する。その結果、制御部400は、穴部にスラグSが残っていると判定された穴部に対して棒状工具334によりスラグSを突き落とす動作を実行させる。
【0102】
未処理の穴部がないと判定した場合(ステップS509;NO)、制御部400は、図13に示す処理を終了する。
【0103】
以上説明したとおりレーザ加工機1は、棒状工具334の動作を制御する制御部400を備える。また、レーザ加工機1は、穴あけ加工により形成された穴部を撮像する撮像部170を備える。そして、制御部400は、撮像部170により撮像された画像から穴部にスラグSが残っているかを判定する。そして、制御部400は、穴部にスラグSが残っていると判定した場合に、その穴部に対して棒状工具334によりスラグSを突き落とす動作を実行させる。この構成によれば、レーザ加工機1は、穴部に残ったスラグを確実に突き落とすことができるだけでなく、スラグを突き落とす動作に係る時間を短縮することができる。
【0104】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。また、法令で許容される限りにおいて、日本特許出願である特願2020-107510、及び上述したとおりの実施の形態等において引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0105】
特許請求の範囲、明細書及び図面において示した装置、システム、プログラム及び方法における動作、手順、ステップ及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示していない。また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、各処理は、任意の順序で実現し得ることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明しても、この順で実施することが必須であることを意味しない。
【符号の説明】
【0106】
1 レーザ加工機
120 テーブル
122A 突起部
130 レーザヘッド
170 撮像部
200 搬送装置
334 棒状工具
336 環状部材
321 二次加工工具
400 制御部
ES 排出空間
S スラグ
W ワーク
WC 輪郭
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13