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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】補助接点ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/54 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
H01H50/54 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022556380
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2021010654
(87)【国際公開番号】W WO2022085219
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2020176692
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】菊地 翔太
(72)【発明者】
【氏名】高谷 幸悦
(72)【発明者】
【氏名】羽澤 耕明
(72)【発明者】
【氏名】蜷川 遼太郎
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】実公昭58-006119(JP,Y2)
【文献】実開昭56-085334(JP,U)
【文献】特開2017-123417(JP,A)
【文献】特開2012-014988(JP,A)
【文献】実開昭59-036292(JP,U)
【文献】中国実用新案第207398028(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/00-50/92
H01H 9/00- 9/28
H01H 45/00-45/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁接触器の側面に取り付けられる補助接点ユニットであって、
前記電磁接触器の側面と直交する方向に分割された第一のケース及び第二のケースを備え、
前記第一のケースは、
前記電磁接触器の側面と平行な第一の側壁部と、
前記第一の側壁部の壁面から前記第二のケースに向かって突出した隔壁部と、を備え、
前記第二のケースは、
前記電磁接触器の側面と平行であり、前記第一のケースと嵌め合わせたときに、壁面に前記隔壁部の先端が当接する第二の側壁部を備え、
前記第一の側壁部、前記隔壁部、及び前記第二の側壁部で囲まれた範囲が、接点収容部となり、
前記第二の側壁部は、
壁面から前記隔壁部に沿って前記第一の側壁部に向かって突出したすれ違い壁部を備え、
前記すれ違い壁部は、前記接点収容部の内側に配置され、
前記第一の側壁部は、
壁面から前記すれ違い壁部の先端部に沿って突出する突起部を備え、
前記すれ違い壁部の先端部は、前記隔壁部と前記突起部との間に配置されていることを特徴とする補助接点ユニット。
【請求項2】
前記隔壁部、及び前記すれ違い壁部の双方を通過し、一端側が前記接点収容部の内側に配置され、他端側が前記接点収容部の外側に配置される板状の固定接触子を備え、
前記隔壁部には、前記固定接触子の板厚分の隙間が形成されており、前記隙間に前記第二のケースの側から前記固定接触子が嵌め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の補助接点ユニット。
【請求項7】
電磁接触器の側面に取り付けられる補助接点ユニットであって、
前記電磁接触器の側面と直交する方向に分割された第一のケース及び第二のケースを備え、
前記第一のケースは、
前記電磁接触器の側面と平行な第一の側壁部と、
前記第一の側壁部の壁面から前記第二のケースに向かって突出した隔壁部と、を備え、
前記第二のケースは、
前記電磁接触器の側面と平行であり、前記第一のケースと嵌め合わせねじで締結したときに、壁面に前記隔壁部の先端が当接する第二の側壁部を備え、
前記第一の側壁部、前記隔壁部、及び前記第二の側壁部で囲まれた範囲が、接点収容部となり、
前記第二の側壁部は、
壁面から前記隔壁部に沿って前記第一の側壁部に向かって突出したすれ違い壁部を備え、
前記すれ違い壁部は、前記隔壁部よりも厚さが小さく、
前記すれ違い壁部における突出方向の寸法は、前記隔壁部における突出方向の寸法よりも小さいことを特徴とする補助接点ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁接触器に取り付けられる補助接点ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電磁接触器にオプションで取り付け可能な補助接点ユニットは、電磁接触器の開閉に連動して補助接点の信号を外部の電子制御回路等に出力するものである。補助接点ユニットの形式として、例えば引用文献1に示されるように、電磁接触器の本体側面に取り付けるサイドオンタイプがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-038644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サイドオンタイプの補助接点ユニットは、ケースが幅方向の中心で分割された構造と、幅方向に分割されていない一体成形型の構造とがある。幅方向の中心で分割された構造では、分割面から内部に塵埃が侵入し、接点の接触不良を招く可能性があった。また、一体成形型の構造では、固定接触子を挿入するための挿入孔があるが、固定接触子における固定接点の通過を許容するために、挿入孔の高さ寸法が、固定接触子の厚さよりも大きく設定されている。そのため、一体成形型の構造でも、挿入孔と固定接触子との間に隙間ができ、そこから内部に塵埃が侵入し、接点の接触不良を招く可能性があった。
本発明の目的は、電磁接触器に取り付けられる補助接点ユニットにおいて、接点収容部の防塵性能を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る補助接点ユニットは、電磁接触器の側面に取り付けられる補助接点ユニットであって、電磁接触器の側面と直交する方向に分割された第一のケース及び第二のケースを備え、第一のケースは、電磁接触器の側面と平行な第一の側壁部と、第一の側壁部の壁面から第二のケースに向かって突出した隔壁部と、を備え、第二のケースは、電磁接触器の側面と平行であり、第一のケースと組み付けたときに、壁面に隔壁部の先端が当接する第二の側壁部を備え、第一の側壁部、隔壁部、及び第二の側壁部で囲まれた範囲が、接点収容部となり、第二の側壁部は、壁面から隔壁部に沿って第一の側壁部に向かって突出したすれ違い壁部を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第一の側壁部からは隔壁部が突出し、第二の側壁部からは隔壁部に沿ったすれ違い壁部が突出しているため、接点収容部に塵埃が侵入するには、隔壁部とすれ違い壁部との間を通過しなければならなくなる。すなわち、接点収容部への侵入経路が長くなることで、塵埃が侵入しにくくなり、防塵性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】電磁接触器、及び補助接点ユニットを示す図である。
図2】分解したケースを示す図である。
図3】部品を展開した図である。
図4】固定接触子を組み付けた状態を示す図である。
図5】補助接点ユニットの断面を示す図である。
図6】塵埃の侵入経路を示す図である。
図7】比較例1を示す図である。
図8】比較例2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
《一実施形態》
《構成》
以下の説明では、互いに直交する三方向を、便宜的に、縦方向、幅方向、及び奥行方向とする。
図1は、電磁接触器、及び補助接点ユニットを示す図である。
図中の(a)は、電磁接触器11に補助接点ユニット12を取り付ける前の状態を示しており、図中の(b)は、電磁接触器11の側面に補助接点ユニット12を取り付けた後の状態を示している。何れも、電磁接触器11及び補助接点ユニット12を、奥行き方向の手前側から見た状態である。
【0010】
電磁接触器11は、主回路を開閉するものであり、補助接点ユニット12は、電磁接触器11の開閉に連動して補助接点の信号を外部の電子制御回路等に出力するものである。補助接点ユニット12は、電磁接触器11における幅方向の側面に取り付けるサイドオンタイプである。ここでは電磁接触器11における一方の側面だけに補助接点ユニット12を取り付けているが、他方の側面にも同じように補助接点ユニット12を取り付けることができる。補助接点ユニット12は、スナップフィットによって着脱可能な構造になっている。
【0011】
図2は、分解したケースを示す図である。
ここでは、幅方向のうち、電磁接触器11から遠い側を外側とし、電磁接触器11に近い側を内側とする。図中の(a)は、ケース21(第一のケース)であり、図中の(b)は、ケース31(第二のケース)である。すなわち、補助接点ユニット12は、電磁接触器11の側面と直交する方向、つまり幅方向に分割されたケース21と、ケース31と、を備える。ケース21及びケース31は、何れも樹脂製であり、ケース21における幅方向の内側と、ケース31における幅方向の外側とが、嵌め合わされる。
【0012】
ケース21は、側壁部22(第一の側壁部)と、隔壁部23と、を備える。
側壁部22は、電磁接触器11の側面と平行、つまり縦方向及び奥行方向に沿った略平板状に形成されている。
隔壁部23は、側壁部22の壁面からケース31に向かって、つまり幅方向の内側に向かって突出している。隔壁部23は、縦方向の両側と奥行方向の両端側とを囲んでおり、図中の(a)では隔壁部23の先端面を網掛けで表示している。なお、縦方向の両側で、幅方向及び奥行方向に沿って形成された範囲を、主な隔壁部23として説明する。
【0013】
縦方向の両側に形成された隔壁部23には、夫々、奥行方向の奥側に、隔壁部23を奥行方向に分離するスリット状の隙間24が形成されている。隙間24によって分離された隔壁部23は、縦方向にずれた段違いである。また、縦方向の両側に形成された隔壁部23には、夫々、奥行方向の手前側に、隔壁部23を奥行方向に分離するスリット状の隙間25が形成されている。隙間25によって分離された隔壁部23は、縦方向にずれた段違いである。
側壁部22には、一対の隙間24よりも縦方向の両外側に、一対の受壁部26が形成されている。受壁部26は、後述する固定接触子43の一端を受け、縦方向の位置決めをする。側壁部22には、一対の隙間25よりも縦方向の両外側に、一対の受壁部27が形成されている。受壁部27は、後述する固定接触子44の一端を受け、縦方向の位置決めをする。
側壁部22における縦方向の中心には、奥行方向に長い開口部28が形成されている。
【0014】
ケース31は、側壁部32(第二の側壁部)と、すれ違い壁部33と、を備える。
側壁部32は、電磁接触器11の側面と平行、つまり縦方向及び奥行方向に沿った略平板状に形成されている。
すれ違い壁部33は、側壁部32の壁面から隔壁部23に沿って側壁部22に向かって突出している。なお、縦方向の両側で、幅方向及び奥行方向に沿って形成された範囲を、主なすれ違い壁部33として説明する。
縦方向の両側に形成されたすれ違い壁部33には、夫々、奥行方向の奥側に、すれ違い壁部33を奥行方向に分離するスリット状の隙間34が形成されている。また、縦方向の両側に形成されたすれ違い壁部33には、夫々、奥行方向の手前側に、すれ違い壁部33を奥行方向に分離するスリット状の隙間35が形成されている。
側壁部32における縦方向の中心には、奥行方向に長い開口部36が形成されている。
【0015】
ケース21及びケース31は、互いのボスを嵌め合わせて締結されるが、双方を嵌め合わせたときに、隔壁部23の先端が側壁部32の壁面に当接することになる。こうして、側壁部22、隔壁部23、及び側壁部32で囲まれた範囲が、接点収容部41となる。
図3は、部品を展開した図である。
補助接点ユニット12は、接点支え42と、一対の固定接触子43と、一対の固定接触子44と、を備える。
接点支え42は、樹脂製であり、奥行方向に進退可能な状態で接点収容部41に収容される。
【0016】
接点支え42には、奥行方向の奥側に可動接触子45が設けられ、奥行方向の手前側に可動接触子46が設けられている。可動接触子45、及び可動接触子46は、縦方向に延びる板状の導電体であり、接点支え42から縦方向の両端側に向かって突出し、その両端側は二股に分かれた双接点になっている。可動接触子45は、奥行方向の奥側の面に接点が形成されており、可動接触子46は、奥行方向の手前側の面に接点が形成されている。
接点支え42の側面には、幅方向の内側に向かって突出した連結突起47が形成されている。連結突起47は、開口部36を介して側壁部32から突出し、図示は省略するが、電磁接触器11の接点支えに形成された連結凹部に嵌め込まれる。これにより、電磁接触器11の接点支えが奥行方向に進退すると、これに連動して補助接点ユニット12の接点支え42が奥行方向に進退する。
【0017】
一対の固定接触子43は、幅方向及び縦方向に沿った板状の導電体であり、夫々、隔壁部23の隙間24に対してケース31の側から嵌め込まれ、受壁部26によって縦方向の位置が決まる。固定接触子43は、縦方向の内側となる端部において、奥行方向の手前側の面に接点が形成され、縦方向の外側には、ねじ端子用のねじ穴が形成されている。固定接触子43及び可動接触子45で構成される補助接点は、ここでは常開型のa接点とする。すなわち、電磁接触器11の主接点が開いているときには、接点支え42が奥行方向の手前側に位置することで、固定接触子43に対して可動接触子45が離間し、補助接点が開く。一方、電磁接触器11の主接点が閉じているときには、接点支え42が奥行方向の奥側に位置することで、固定接触子43に対して可動接触子45が接触し、補助接点が閉じる。
【0018】
一対の固定接触子44は、幅方向及び縦方向に沿った板状の導電体であり、夫々、隔壁部23の隙間25に対してケース31の側から嵌め込まれ、受壁部27によって縦方向の位置が決まる。固定接触子44は、縦方向の内側となる端部において、奥行方向の奥側の面に接点が形成され、縦方向の外側には、ねじ端子用のねじ穴が形成されている。固定接触子44及び可動接触子46で構成される補助接点は、ここでは常閉型のb接点とする。すなわち、電磁接触器11の主接点が開いているときには、接点支え42が奥行方向の手前側に位置することで、固定接触子44に対して可動接触子46が接触し、補助接点が閉じる。一方、電磁接触器11の主接点が閉じているときには、接点支え42が奥行方向の奥側に位置することで、固定接触子44に対して可動接触子46が離間し、補助接点が開く。
【0019】
図4は、固定接触子を組み付けた状態を示す図である。
ここでは、ケース31を省略し、ケース21を幅方向の内側から見た状態を示す。また隔壁部23の先端面を網掛けで表示している。
固定接触子43は、隔壁部23を通過し、縦方向の内側が接点収容部41の内側に配置され、縦方向の外側が接点収容部41の外側に配置される。固定接触子43の板厚tは、隙間24の奥行方向の寸法に相当する。したがって、隙間24に固定接触子43を嵌め込むと、固定接触子43における奥行方向の両面には、夫々、隔壁部23の切れ目が当接して隙間はゼロになる。なお、ケース31を嵌め合わせると、固定接触子43は、隙間34によってすれ違い壁部33を通過することになる。隙間34における奥行方向の寸法は、固定接触子43の板厚tよりも大きい。
【0020】
同様に、固定接触子44は、隔壁部23を通過し、縦方向の内側が接点収容部41の内側に配置され、縦方向の外側が接点収容部41の外側に配置される。固定接触子44の板厚tは、隙間25の奥行方向の寸法に相当する。したがって、隙間25に固定接触子44を嵌め込むと、固定接触子44における奥行方向の両面には、夫々、隔壁部23の切れ目が当接して隙間はゼロになる。なお、ケース31を嵌め合わせると、固定接触子44は、隙間35によってすれ違い壁部33を通過することになる。隙間35における奥行方向の寸法は、固定接触子44の板厚tよりも大きい。
【0021】
次に、すれ違い壁部33について説明する。
図5は、補助接点ユニットの断面を示す図である。
図中の(a)は、図4のA‐A断面を示し、図中の(b)は、図4のB‐B断面を示している。ここでは、ケース31を組み付けた状態を示しており、何れの断面においても、すれ違い壁部33の構造は共通である。
すれ違い壁部33は、隔壁部23とすれ違うようにして、接点収容部41の内側に配置されている。すれ違い壁部33の厚さは、隔壁部23の厚さよりも小さい。すれ違い壁部33の先端側には段差があり、先端部37は基端側よりも厚さが小さくされている。側壁部22には、壁面からすれ違い壁部33の先端部37に沿って突出する突起部29が形成されている。すれ違い壁部33の先端部37は、隔壁部23と突起部29との間に配置されている。突起部29は、図4に示されるように、奥行方向に沿って連続して形成されている。
【0022】
すれ違い壁部33と隔壁部23との間には、成形時の誤差を考慮して、微小な隙間を設けてあり、非接触の状態である。すれ違い壁部33における幅方向の寸法は、隔壁部23における幅方向の寸法よりも小さい。したがって、ケース21及びケース31を嵌め合わせたときに、隔壁部23の先端が側壁部32の壁面に当接するのに対し、すれ違い壁部33の先端は、側壁部22の壁面に当接しない。
すれ違い壁部33の先端部37と突起部29との間には、成形時の誤差を考慮して、微小な隙間を設けてあり、非接触の状態である。突起部29における幅方向の寸法は、先端部37における幅方向の寸法よりも小さい。したがって、ケース21及びケース31を嵌め合わせたときに、突起部29の先端は、すれ違い壁部33における先端部37の段差面に当接しない。
【0023】
《作用》
次に一実施形態の主要な作用について説明する。
補助接点ユニット12は、ケースの内部、特に接点収容部41に塵埃が侵入すると、接点の接触不良を招く可能性がある。本実施形態では、幅方向に分割されたケース21及びケース31を備え、ケース21の側壁部22には、ケース31に向かって突出した隔壁部23を形成する。一方、ケース31の側壁部32には、隔壁部23に沿って側壁部22に向かって突出したすれ違い壁部33を形成する。したがって、接点収容部41に塵埃が侵入するには、隔壁部23とすれ違い壁部33との間を通過しなければならなくなる。すなわち、接点収容部41への侵入経路が長くなることで、塵埃が侵入しにくくなり、防塵性能が向上する。
【0024】
図6は、塵埃の侵入経路を示す図である。
図中の(a)は、図4のA‐A断面を示し、図中の(b)は、図4のB‐B断面を示している。ここでは、ケース31を組み付けた状態を示しており、何れの断面においても、すれ違い壁部33の構造は共通である。
塵埃の侵入経路を、太い実線矢印で示す。塵埃は、隔壁部23の先端と側壁部32の壁面との間を通過し、隔壁部23とすれ違い壁部33との間を通過し、すれ違い壁部33における先端部37の先端と側壁部22の壁面との間を通過する。さらに、すれ違い壁部33における先端部37と突起部29との間を通過し、突起部29の先端とすれ違い壁部33における先端部37の段差面との間を通過し、こうして接点収容部41へと侵入することになる。このように、接点収容部41への侵入経路が長くなることで、塵埃が侵入しにくくなり、防塵性能が向上する。
【0025】
また、固定接触子43及び固定接触子44は、夫々、隔壁部23、及びすれ違い壁部33の双方を通過しており、少なくとも隔壁部23には、固定接触子43の板厚t分の隙間24、及び固定接触子44の板厚t分の隙間25が形成されている。そして、隙間24及び隙間25の夫々に、ケース31の側から固定接触子43及び固定接触子44が嵌め込まれる。このとき、固定接触子43における奥行方向の両面には、夫々、隔壁部23の切れ目が当接して隙間はゼロにり、また固定接触子44における奥行方向の両面には、夫々、隔壁部23の切れ目が当接して隙間はゼロになる。したがって、接点収容部41に塵埃が侵入しにくくなり、防塵性能が向上する。
【0026】
また、すれ違い壁部33は、接点収容部41の内側に配置され、側壁部22には、すれ違い壁部33の先端部37に沿って突出する突起部29が形成されている。すなわち、すれ違い壁部33の先端部37は、隔壁部23と突起部29との間に配置されている。すれ違い壁部33には反りや撓みが生じる可能性があるが、すれ違い壁部33の先端部37に突起部29を近接させているので、すれ違い壁部33が反りや撓みによって、可動接触子45及び可動接触子46の側に傾倒することを防止できる。したがって、接点支え42の進退に伴う接点同士の離間や接触に支障を来すことがない。
【0027】
また、すれ違い壁部33の先端部37は、基端側よりも厚さが小さくされている。したがって、先端部37の厚さを小さくした分だけ、突起部29を隔壁部23の側に寄せることができる。これにより、突起部29によって接点収容部41の空間を狭めてしまうことを抑制することができる。
また、すれ違い壁部33は、隔壁部23よりも厚さが小さくされている。これにより、すれ違い壁部33によって接点収容部41の空間を狭めてしまうことを抑制することができる。
【0028】
また、すれ違い壁部33における幅方向(突出方向)の寸法は、隔壁部23における幅方向(突出方向)の寸法よりも小さくされている。したがって、ケース21及びケース31を嵌め合わせたときに、隔壁部23の先端が側壁部32の壁面に当接するのに対し、すれ違い壁部33の先端が、側壁部22の壁面に当接することはない。これは、すれ違い壁部33が隔壁部23よりも厚さが小さく、幅方向の耐荷重が低いことで、ケース21及びケース31をねじで締結するときに、すれ違い壁部33にひびや割れが生じることを防ぐためである。すなわち、ケース21及びケース31をねじで締結するときに、互いを密着させる幅方向の力は、隔壁部23だけが受ける。これにより、ケース21及びケース31をねじで締結するときに、すれ違い壁部33にひびや割れが生じることを防ぐことができる。
【0029】
次に、比較例について説明する。
図7は、比較例1を示す図である。
比較例1の補助接点ユニット51は、幅方向の中心で分割された構造であり、その分割面52を太い点線で図示している。このように、幅方向の中心で分割された構造では、分割面52から内部に塵埃が侵入し、接点の接触不良を招く可能性があった。これに対して本実施形態では、前述したように、すれ違い壁部33を形成しているので、塵埃が侵入しにくくなり、防塵性能が向上する。
【0030】
図8は、比較例2を示す図である。
比較例2の補助接点ユニット61は、幅方向に分割されていない一体成形型の構造である。この場合、固定接触子62を縦方向に沿って挿入するための挿入孔63があるが、固定接触子62における固定接点64の通過を許容するために、挿入孔63の高さ寸法が、固定接触子62の厚さよりも大きく設定されている。そのため、一体成形型の構造でも、挿入孔63と固定接触子62との間に隙間ができ、そこから内部に塵埃が侵入し、接点の接触不良を招く可能性があった。これに対して本実施形態では、前述したように、固定接触子43及び固定接触子44をケース31の側から嵌め込むことができ、奥行方向の両面には、夫々、隔壁部23の切れ目が当接して隙間はゼロになる。したがって、塵埃が侵入しにくくなり、防塵性能が向上する。
【0031】
《変形例》
一実施形態では、ケース21の側壁部22に隔壁部23を形成し、ケース31の側壁部32にすれ違い壁部33を形成しているが、これに限定されるものではない。逆に、ケース21の側壁部22にすれ違い壁部33を形成し、ケース31の側壁部32に隔壁部23を形成してもよい。
一実施形態では、隔壁部23のうち、縦方向の両側で、幅方向及び奥行方向に沿って形成された範囲に対して、主要なすれ違い壁部33を形成しているが、これに限定されるものではない。すなわち、隔壁部23の全体、つまり奥行方向の両側で、幅方向及び縦方向に沿って形成された範囲においても、すれ違い壁部を形成してもよい。
【0032】
一実施形態では、すれ違い壁部33と隔壁部23との間に、成形時の誤差を考慮して、微小な隙間を設けてあるが、これに限定されるものではなく、すれ違い壁部33と隔壁部23とが面接触するようにしてもよい。これにより、さらに塵埃が侵入しにくくなり、防塵性能が向上する。
一実施形態では、突起部29を奥行方向に沿って連続して形成しているが、これに限定されるものではない。すなわち、奥行方向に沿って所定の間隔で点在するように、突起部29を形成してもよい。
【0033】
一実施形態では、隙間34における奥行方向の寸法は、固定接触子43の板厚tよりも大きくされているが、これに限定されるものではない。すなわち、隙間34における奥行方向の寸法を、固定接触子43の板厚tと同等にしてもよい。隙間35と固定接触子44についても同様である。これにより、さらに塵埃が侵入しにくくなり、防塵性能が向上する。
一実施形態では、隙間24によって分離された隔壁部23は、縦方向にずれた段違いであるが、これに限定されるものではない。すなわち、隙間24によって分離された隔壁部23は、縦方向にずれていなくてもよい。隙間25によって分離された隔壁部23についても同様である。
【0034】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
【符号の説明】
【0035】
11…電磁接触器、12…補助接点ユニット、21…ケース、22…側壁部、23…隔壁部、24…隙間、25…隙間、26…受壁部、27…受壁部、28…開口部、29…突起部、31…ケース、32…側壁部、33…壁部、34…隙間、35…隙間、36…開口部、37…先端部、41…接点収容部、42…接点支え、43…固定接触子、44…固定接触子、45…可動接触子、46…可動接触子、47…連結突起、51…補助接点ユニット、52…分割面、61…補助接点ユニット、62…固定接触子、63…挿入孔、64…固定接点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8