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特許7392872シート搬送装置およびそれを備えた画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】シート搬送装置およびそれを備えた画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/02 20060101AFI20231129BHJP
   B65H 5/38 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B65H5/02 P
B65H5/38
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022557410
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(86)【国際出願番号】 JP2021036985
(87)【国際公開番号】W WO2022080210
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2020173227
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】西村 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】上野 康則
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-17201(JP,A)
【文献】特開2016-60632(JP,A)
【文献】米国特許第9914606(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02
B65H 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの上面に対向する第1上搬送ガイドと、前記シートの下面に対向する第1下搬送ガイドと、前記第1上搬送ガイドおよび前記第1下搬送ガイドに沿って前記シートを搬送する搬送部材と、を含む第1シート搬送路を形成する第1搬送ユニットと、
前記第1搬送ユニットの下方に並列に配置され、前記シートの上面に対向する第2上搬送ガイドと、前記シートの下面に対向する第2下搬送ガイドと、前記第2上搬送ガイドおよび前記第2下搬送ガイドに沿って前記シートを搬送する搬送部材と、を含む第2シート搬送路を形成する第2搬送ユニットと、
前記第1搬送ユニットおよび前記第2搬送ユニットを内蔵する装置本体と、を備えたシート搬送装置において、
前記第2搬送ユニットは前記装置本体に対しシート搬送方向と直交する前後方向において、前記装置本体の前方へ水平方向に引き出し可能であり、
前記第2搬送ユニットの前記第2上搬送ガイドは、
後端縁を回動支軸とし、前端縁を回動端として、前記装置本体に上下に回動可能であるガイド本体部と、
前記ガイド本体部の前記回動端にヒンジ部を介して回動可能に連結される可動ガイド部と、
を有することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記第2搬送ユニットを引き出し、且つ前記ガイド本体部を上方に回動させた状態で、前記ヒンジ部が前記第1搬送ユニットの前端縁よりも前方に位置することを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記シート搬送方向に対し前記第1搬送ユニットおよび前記第2搬送ユニットの上流側に設けられ、前記シートの搬送経路を前記第1搬送ユニットと前記第2搬送ユニットに切り替える分岐部と、
前記シート搬送方向に対し前記第1搬送ユニットおよび前記第2搬送ユニットの下流側に設けられ、前記第1搬送ユニットおよび前記第2搬送ユニットを通過した前記シートが合流する合流部と、
を備え、
前記分岐部から前記第1搬送ユニットを経由して前記合流部に至る第1バイパス搬送路、および前記分岐部から前記第2搬送ユニットを経由して前記合流部に至る第2バイパス搬送路の長さが等しいことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記第1搬送ユニットの前記第1上搬送ガイドは、前記装置本体に後端縁を回動支軸として上下に回動可能に支持され、
前記第1搬送ユニットの上方に配置され、前記シートが積載されるシート積載トレイを備え、
前記シート積載トレイは、前記装置本体に支持されるトレイ本体部と、前記トレイ本体部の前面側に回動可能に支持されるトレイ可動部と、を有し、
前記第1搬送ユニットの前記第1上搬送ガイドを上方向に回動させたとき、前記トレイ可動部が前記第1上搬送ガイドによって押し上げられ、上方へ退避することを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
請求項1に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送方向に対し前記シート搬送装置の上流側に連結され、前記シートに画像を形成する画像形成装置と、
を備えた画像形成システム。
【請求項6】
前記シート搬送方向に対し前記シート搬送装置の下流側に連結され、前記シートに所定の後処理を行うシート後処理装置を備える請求項5に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置およびそれを備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンター等の画像形成装置によって画像が形成された用紙を複数枚スタックして、スタックされた用紙束をまとめてステープルで綴じる綴じ処理およびパンチ穴形成装置で穴を空けるパンチ穴形成処理等を実行可能な用紙後処理装置が知られており、比較的多量の用紙について綴じ処理等の後処理等を行う際には、上述のような用紙後処理装置が利用されている。
【0003】
画像形成装置と用紙後処理装置を接続する方法として、画像形成装置と用紙後処理装置の間に中継搬送装置を配置する方法が提案されている。例えば特許文献1には、少なくとも2つの反転ユニットを経由する少なくとも2つの反転経路と、少なくとも2つの反転経路の何れかへ分岐する第1分岐部と、少なくとも2つの反転経路を合流する第1合流部とを備え、反転経路を交互に切り換えて用紙を搬送するように第1分岐部及び第1合流部を制御し、第1合流部を通過する用紙の紙間時間を計測して、紙間時間が均一になるように、少なくとも2つの反転経路における用紙の搬送を制御する中継搬送装置が開示されている。
【0004】
特許文献1に記載の中継搬送装置のように、シート停止位置および処理を設置した複数の搬送経路を設置し、搬送経路の分岐点と合流点を等距離に設置することで、複雑な制御を必要とせずに、分岐前と合流後で等間隔の紙間を維持することができる。
【0005】
ところで、特許文献1のように上下に重なる複数の搬送ユニットを備えた構成では、下方の搬送ユニット紙詰まり(ジャム)処理時には搬送ユニットを中継搬送装置の前方に引き出す必要がある。このとき、ジャム処理を円滑に行うためには少なくとも搬送経路の幅(用紙幅)以上はユニットを引き出して搬送ガイドを開閉して用紙を除去する必要があった。そのため、中継搬送装置の前方のスペースを大きく空けておく必要があること、およびスペースに余裕がない場合は搬送ユニットの引き出し動作に邪魔にならない位置にユーザーが移動する必要があるという課題があった。
【0006】
特許文献2には、一端側を支持部材で支持されるジャム処理用の開閉カバーと、支持部材の上端側において開閉カバーを上下方向に回動自在に支持する第1ヒンジ部と、支持部材の下端側においてベース部材との間で支持部材を上下方向に回動自在に支持する第2ヒンジ部と、を有し、支持部材の2段階ヒンジ機能によって、開閉カバーの開放後の姿勢が開放前と略平行となり、開閉カバーの下面に均一な高さのジャム処理スペースが形成される中継搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-167226号公報
【文献】特開2000-153934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2の構成では、開閉カバーの開放後の姿勢を開放前と略平行に維持した状態で上方に変位させるものである。上下に重なる複数の搬送ユニットを備えた構成では、開閉カバーを上方に変位させるためのスペースがないため、従来と同様の搬送ユニットの引き出し動作が必要であった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、上下に並列する2以上の搬送路を備え、下方の搬送路に停止したシートを簡単に除去可能なシート搬送装置およびそれを備えた画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成のシート搬送装置は、シートの上面に対向する第1上搬送ガイドと、前記シートの下面に対向する第1下搬送ガイドと、前記第1上搬送ガイドおよび前記第1下搬送ガイドに沿って前記シートを搬送する搬送部材と、を含む第1シート搬送路を形成する第1搬送ユニットと、前記第1搬送ユニットの下方に並列に配置され、前記シートの上面に対向する第2上搬送ガイドと、前記シートの下面に対向する第2下搬送ガイドと、前記第2上搬送ガイドおよび前記第2下搬送ガイドに沿って前記シートを搬送する搬送部材と、を含む第2シート搬送路を形成する第2搬送ユニットと、前記第1搬送ユニットおよび前記第2搬送ユニットを内蔵する装置本体と、を備え、前記第2搬送ユニットは前記装置本体に対しシート搬送方向と直交する前後方向において、前記装置本体の前方へ水平方向に引き出し可能であり、前記第2搬送ユニットの前記第2上搬送ガイドは、後端縁を回動支軸とし、前端縁を回動端として、前記装置本体に上下に回動可能であるガイド本体部と、前記ガイド本体部の前記回動端にヒンジ部を介して回動可能に連結される可動ガイド部と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の構成によれば、下段搬送ユニットの上搬送ガイドの可動ガイド部がヒンジ部において上方に回動することで、上段搬送ユニットとの干渉を回避することができ、ジャム処理作業時に上搬送ガイドを円滑に、且つ広範囲に開閉することができる。また、下段搬送ユニットの引き出し量も従来に比べて短縮することができ、シート搬送装置の前方に下段搬送ユニットの引き出しスペースを大きく空けておく必要がない。さらに、下段搬送ユニットの引き出し動作に伴う作業者の移動も抑制されるため、ジャム処理作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のシート搬送装置の一例である中継搬送装置26を備えた画像形成システム200の内部構成を示す概略図
図2】中継搬送装置26の第1バイパス搬送路54aおよび第2バイパス搬送路54bを構成する第1搬送ユニット70aおよび第2搬送ユニット70bの斜視図
図3図2の状態から第2上搬送ガイド75を開放した状態を示す斜視図
図4図3における第2上搬送ガイド75のヒンジ部75d周辺の部分拡大図
図5図3の状態から可動ガイド部75cをガイド本体部75bに対して回動させた状態を示す斜視図
図6図5における第2上搬送ガイド75のヒンジ部75d周辺の部分拡大図
図7】中継搬送装置26の内部に設けられる回収トレイ61の斜視図
図8】回収トレイ61および第1搬送ユニット70aの斜視図であって、回収トレイ可動部65がシート受け位置に配置された状態を示す図
図9】回収トレイ61および第1搬送ユニット70aの斜視図であって、回収トレイ可動部65が退避位置に配置された状態を示す図
図10】回収トレイ61および第1搬送ユニット70aの斜視図であって、上搬送ガイド71を開放した状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明のシート搬送装置の一例である中継搬送装置26を備えた画像形成システム200の内部構成を示す概略図である。図1を参照して画像形成装置100、中継搬送装置26、および用紙後処理装置30から構成される画像形成システム200について説明する。
【0014】
画像形成装置100は、インクジェット記録式のプリンターであり、画像形成装置100の下部に配設された給紙部4と、給紙部4に収容された用紙Sを画像形成部6へ給送する用紙搬送部5と、給紙部4の上方に配設された画像形成部6と、を備える。
【0015】
画像形成部6は、印字ヘッド6aと、印字ヘッド6aに対向配置される搬送部6bで構成される。搬送部6bは、駆動ローラーを含む複数のローラーに巻き掛けられた無端状の搬送ベルトを備えている。用紙搬送部5によって搬送された用紙Sは、搬送ベルト7aの内側に設けられた用紙吸引部によって搬送ベルトに吸着保持された状態で印字ヘッド6aの下方を通過する。画像形成部6により所定の画像が記録された用紙Sは、排出ローラー対50から排出されて中継搬送装置26に搬入される。
【0016】
中継搬送装置26は、画像形成装置100と用紙後処理装置30の間に独立して配置され、画像形成装置100から排出された用紙Sを用紙後処理装置30へ搬送する。中継搬送装置26は、画像形成装置100により画像が記録された用紙Sの表裏を反転させる反転処理や、用紙S上のインクを乾燥させる乾燥処理を行う。図1に示すように、中継搬送装置26の中継搬入口51から搬入された用紙Sは、第1搬送路52aを通過して第1反転搬送路53aに搬送される。第1反転搬送路53aは、第1搬送路52aから搬送された用紙Sの搬送方向を切り替える(スイッチバックさせる)ことにより用紙Sの表裏面を反転させる。
【0017】
また、第1搬送路52aから分岐する第2搬送路52bが設けられており、第2搬送路52bを通過した用紙Sは第2反転搬送路53bに搬送される。第2反転搬送路53bは、第2搬送路52bから搬送された用紙Sの搬送方向を切り替える(スイッチバックさせる)ことにより用紙Sの表裏面を反転させる。
【0018】
第1反転搬送路53aまたは第2反転搬送路53bによって表裏面が反転された用紙Sは第3搬送路52cに合流する。用紙Sは分岐部DBにおいて第3搬送路52cから分岐する第1バイパス搬送路54a、第2バイパス搬送路54bに搬送される。第1バイパス搬送路54aおよび第2バイパス搬送路54bは、それぞれ第1補正ユニット55、第2補正ユニット56を備える。第1補正ユニット55、第2補正ユニット56は、用紙Sの幅方向(図1の紙面と垂直な方向)の位置を補正する。
【0019】
第1バイパス搬送路54a、第2バイパス搬送路54bは、分岐部DBから合流部DJまでの距離が等距離である。また、分岐部DBから用紙停止位置(図1の水平部分)までの距離が用紙Sの搬送間隔(紙間)と一致している。そのため、例えば、第1反転搬送路53aで反転された1枚目の用紙Sを第2バイパス搬送路54b内に停止させ、第2反転搬送路53bで反転された2枚目の用紙Sを第1バイパス搬送路54a内に停止させることによって、紙間を維持したまま停止した用紙Sの再搬送を行うことができる。即ち、第1反転搬送路53a、第2反転搬送路53bのいずれか一方が1枚目の用紙Sの反転動作を完了する前に、第1反転搬送路53a、第2反転搬送路53bの他方において2枚目の用紙Sの反転動作を開始することができる。
【0020】
同様に、第1バイパス搬送路54a、第2バイパス搬送路54bにそれぞれ配置された第1補正ユニット55、第2補正ユニット56に交互に用紙Pを搬入することで、第1補正ユニット55、第2補正ユニット56のいずれか一方が1枚目の用紙Sの位置補正を完了する前に、第1補正ユニット55、第2補正ユニット56の他方において2枚目の用紙Sの位置補正を開始することができる。
【0021】
これにより、用紙Sの反転および位置補正の待ち時間を短縮することができ、中継搬送装置26による用紙Sの処理効率(単位時間当たりの処理枚数)を高めることができる。
【0022】
第1バイパス搬送路54a、第2バイパス搬送路54bを通過した用紙Sは合流部DJにおいて第4搬送路52dに合流する。用紙Sは第4搬送路52dを通過し、中継搬出口57を介して用紙後処理装置30に搬入される。
【0023】
また、第4搬送路52dから分岐する機内排出搬送路58が設けられており、機内排出搬送路58を通過した用紙Sは機内排出ローラー対60によって回収トレイ61に排出される。用紙後処理装置30で紙詰まりが発生した場合、第4搬送路52dと機内排出搬送路58の分岐部に設けられた第3分岐ガイド62により搬送経路が切り換えられ、中継搬送装置26内に存在する後続の用紙Sが機内排出搬送路58および機内排出ローラー対60を介して回収トレイ61上に排出される。
【0024】
第1搬送路52a~第4搬送路52d、第1バイパス搬送路54a、第2バイパス搬送路54b、機内排出搬送路58には、用紙Sを搬送する搬送ローラー対59(搬送部材)が適所に配置されている。
【0025】
用紙後処理装置30の内部には、搬入された用紙Sに対してパンチ処穴形成を行うパンチ穴形成装置31、および搬入された用紙Sを複数枚スタックして、用紙Sの束の端部を揃えてステープルで綴じるステープラー33、用紙Sの束の中央をステープル処理した後、ステープル部を中心に折り曲げて冊子状にする中綴じ・中折りユニット36を備えている。用紙後処理装置30の側面には用紙Sの排出に適した位置に昇降可能なメイントレイ34aおよび用紙後処理装置30の上部に固定されたサブトレイ34b、中綴じ・中折りユニット36により冊子状に折り曲げられた用紙Sの束が排出される冊子トレイ34cが設けられている。
【0026】
図2は、第1バイパス搬送路54aおよび第2バイパス搬送路54bを構成する第1搬送ユニット70aおよび第2搬送ユニット70bの斜視図である。第1搬送ユニット70a(上段搬送ユニット)および第2搬送ユニット70b(下段搬送ユニット)は、上下に重なるように並列に配置されている。図2では、第2搬送ユニット70bを第1搬送ユニット70aの下方から搬送方向と直交する用紙幅方向(図2の白矢印方向)に引き出した状態を示している。
【0027】
第1搬送ユニット70aは、第2搬送ユニット70bの上方、且つ回収トレイ61の下方に配置されており、用紙Sの上面および下面に対向する第1上搬送ガイド71、第1下搬送ガイド73を備える。第1上搬送ガイド71、第1下搬送ガイド73は、第1バイパス搬送路54a(図1参照)の搬送面(搬送ガイド)を構成する。第1上搬送ガイド71には、第1バイパス搬送路54a内の搬送ローラー対59を構成する上側のローラーが支持されている。第1下搬送ガイド73には、搬送ローラー対59を構成する下側のローラーが支持されている。
【0028】
第2搬送ユニット70bは、第1搬送ユニット70aの下方に配置されており、用紙Sの上面および下面に対向する第2上搬送ガイド75、第2下搬送ガイド77を備える。第2上搬送ガイド75、第2下搬送ガイド77は、第2バイパス搬送路54b(図1参照)の搬送面(搬送ガイド)を構成する。第2上搬送ガイド75には、第2バイパス搬送路54b内の搬送ローラー対59を構成する上側のローラーが支持されている。第2下搬送ガイド77には、搬送ローラー対59を構成する下側のローラーが支持されている。
【0029】
第2上搬送ガイド75は、用紙Sの搬送方向と直交する幅方向の一端側(中継搬送装置26の後方側、図2の奥側)を回動支軸75aとし、回動支軸75aと反対側である中継搬送装置26の前方側(図2の手前側)を回動側として、第2下搬送ガイド77に対し上下に開閉可能に支持されている。
【0030】
第2搬送ユニット70b(第2バイパス搬送路54b)に搬入された用紙Sがジャム(紙詰まり)した場合は、図2に示すように、第2搬送ユニット70bを第1搬送ユニット70aの下方から中継搬送装置26の正面側に引き出す。
【0031】
図3は、第2上搬送ガイド75を開放した状態を示す斜視図である。図4は、図3における第2上搬送ガイド75のヒンジ部75d周辺の部分拡大図である。図2の状態から第2上搬送ガイド75の回動端を上方向に回動させて中継搬送装置26の正面側(図3の左手前側)から搬送面を開放し、搬送ローラー対59を構成する上下の搬送ローラーを分離することで、第2搬送ユニット70b内でジャムした用紙Sを中継搬送装置26の正面側に引き出して除去することができる。
【0032】
ここで、第2上搬送ガイド75の上方には第1搬送ユニット70aが配置されており、第2上搬送ガイド75を上方向に回動させる際に第1搬送ユニット70aと干渉する。そのため、第2上搬送ガイド75の回動角を大きくして第2バイパス搬送路54bの搬送面を広範囲に開放するためには、第1搬送ユニット70aに対する第2搬送ユニット70bの引き出し量を大きくする必要があった。
【0033】
そこで、本実施形態では、第2上搬送ガイド75をガイド本体部75bと可動ガイド部75cとで構成している。ガイド本体部75bは中継搬送装置26の後方側の後端縁を回動支軸75a(図2参照)として上下に回動可能である前方側の回動端75b1(図3の前方側の端部)を有する。可動ガイド部75cは、ヒンジ部75dを介してガイド本体部75bの回動端75b1に回動可能に支持されている。
【0034】
図5は、図3の状態から可動ガイド部75cをガイド本体部75bに対して回動させた状態を示す斜視図である。図6は、図5における第2上搬送ガイド75のヒンジ部75d周辺の部分拡大図である。図5および図6に示すように、第2上搬送ガイド75の可動ガイド部75cがヒンジ部75dにおいて上方に回動することで、第1搬送ユニット70aとの干渉を回避することができ、ジャム処理作業時に第2上搬送ガイド75を円滑に、且つ広範囲に開閉することができる。
【0035】
また、第2搬送ユニット70bの引き出し量も従来の1/2~1/3程度に短縮することができ、中継搬送装置26の前方に第2搬送ユニット70bの引き出しスペースを大きく空けておく必要がない。さらに、第2搬送ユニット70bの引き出し動作に伴う作業者の移動も抑制されるため、ジャム処理作業性が向上する。
【0036】
なお、第2搬送ユニット70bを引き出した状態で、第1搬送ユニット70aの前方側(図4の左手前側)の端部よりも後方側(内側)にヒンジ部75dが位置していると、可動ガイド部75cを回動させることが困難となる。可動ガイド部75cの回動によって第1搬送ユニット70aとの干渉を円滑に回避するためには、第2搬送ユニット70bを引き出した状態で、ヒンジ部75dが第1搬送ユニット70aの前端縁よりも前方側(外側)にあることが好ましい。
【0037】
図7は、中継搬送装置26の内部に設けられる回収トレイ61の斜視図である。回収トレイ61は、トレイ本体部63とトレイ可動部65とを有する。トレイ本体部63は、中継搬送装置26の背面フレーム80aに固定されている。トレイ可動部65は、ヒンジ部67を介してトレイ本体部63の前方側(図7の手前側)に回動可能に支持されている。
【0038】
図8および図9は、回収トレイ61および第1搬送ユニット70aの斜視図であって、それぞれトレイ可動部65がシート受け位置および退避位置に配置された状態を示す図である。
【0039】
第1上搬送ガイド71は、用紙Sの搬送方向と直交する幅方向の一端側(中継搬送装置26の背面側、図8の右側)を回動支軸71aとし、回動支軸71aと反対側である中継搬送装置26の正面側(図8の左側)を回動端として、第1下搬送ガイド73に対し上下に開閉可能に支持されている。
【0040】
通常の画像形成時においては、図7および図8に示すようにトレイ可動部65はシート受け位置に配置されている。シート受け位置に配置されたトレイ可動部65はトレイ本体部63と面一であり、トレイ本体部63と共に機内排出ローラー対60から排出された用紙Sを積載する用紙積載面を形成する。回収トレイ可動部65は、図9に示すようにシート受け位置から上方に回動した退避位置に移動可能である。
【0041】
図10は、第1上搬送ガイド71を開放した状態を示す斜視図である。第1搬送ユニット70a(第1バイパス搬送路54a)に搬入された用紙Sがジャム(紙詰まり)した場合は、第1上搬送ガイド71の回動端を上方向に回動させて中継搬送装置26の正面側(図10の左側)から搬送面を開放し、搬送ローラー対59を構成する上下の搬送ローラーを分離することで、ジャムした用紙Sを中継搬送装置26の正面側(図10の左側)に引き出して除去することができる。
【0042】
図10に示すように、トレイ可動部65は第1上搬送ガイド71の直上に位置している。そのため、第1上搬送ガイド71を上方向に回動させたときトレイ可動部65が第1上搬送ガイド71によって押し上げられ、シート受け位置から退避位置に移動する。
【0043】
これにより、回収トレイ61を第1バイパス搬送路54aの直上に配置した場合でも、第1上搬送ガイド71を開放する際の回収トレイ61と第1上搬送ガイド71との干渉を回避することができ、ジャム処理作業時に第1上搬送ガイド71を円滑に開閉することができる。従って、回収トレイ61の配置スペースの省スペース化を図ることができ、中継搬送装置26内のレイアウトの自由度も高くなる。
【0044】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、画像形成装置100に連結される中継搬送装置26に本発明を適用した例について説明したが、例えば画像形成装置100や用紙後処理装置30が上下に並列する2つの搬送路を備える場合は同様に本発明を適用することができる。
【0045】
また、上記実施形態では上下に並列する第1搬送ユニット70aと第2搬送ユニット70bとを備えた中継搬送装置26について説明したが、上下に並列する3つ以上の搬送ユニットを備える場合にも同様に本発明を適用することができる。この場合、最上位以外の搬送ユニットの上搬送ガイドを、ヒンジ部を介して連結されたガイド本体部と可動ガイド部とを備える構成とすればよい。
【0046】
また、上記実施形態では画像形成装置1の一例としてインクジェットプリンターを例示しているが、画像形成装置1としてインクジェットプリンター以外の、例えば複写機やレーザープリンター、ファクシミリ装置等であっても適用できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置に利用可能である。本発明の利用により、上下に並列する2以上の搬送路を備えた構成において、下方の搬送路に停止したシートを簡単に除去可能なシート搬送装置を提供することができる。
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