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特許7392920固定式スクリーン装置、及び固定式スクリーン装置の固定方法
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  • 特許-固定式スクリーン装置、及び固定式スクリーン装置の固定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】固定式スクリーン装置、及び固定式スクリーン装置の固定方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/56 20060101AFI20231129BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G03B21/56
H04N5/74 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020090672
(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公開番号】P2021189193
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】501475550
【氏名又は名称】株式会社オーエスエム
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【氏名又は名称】大西 裕人
(72)【発明者】
【氏名】奥村 正之
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-115340(JP,A)
【文献】特開2005-091762(JP,A)
【文献】特開2012-098560(JP,A)
【文献】登録実用新案第3108188(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00-21/10
21/12-21/30
21/56-21/64
33/00-33/16
H04N 5/66-5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンと、該スクリーンを壁や天井等へ固定するための固定部材とを有する固定式スクリーン装置であって、
前記スクリーンが被掛止部と、上面に形成された長手方向にのびる凹条とを有するとともに、
前記固定部材が、
前記スクリーンの上面に対応する位置に形成された第一接当部と、前記凹条に対応する位置で第一接当部よりも下方に突出する第二接当部とを有し、壁等の設置対象面に固定される本体部と、
該本体部に対して上方位置と下方位置との間でスライド可能に設けられ、前記スクリーンの前記被掛止部に引っ掛けるための、上方に突出する掛止片を有する可動部と、
該可動部を前記本体部に対して上方位置に持ち上げるとともに位置固定する持ち上げ部とを備え、
前記スクリーンの上方位置では、前記第二接当部が前記凹条に嵌まり込み、第一接当部がスクリーンの上面に、前記第二接当部が前記スクリーンの前記凹条に、夫々接当又は近接することで、前記スクリーンの脱落方向への移動を規制するものであり、
前記持ち上げ部が、前記本体部に対して回動するものであって、回転中心側に設けられた偏心形状を有する押当片と、該押当片よりも外方に設けられた操作レバーとを備えてなる固定式スクリーン装置。
【請求項2】
前記スクリーンが前記可動部に掛止された状態で上方位置に持ち上げられた状態において、前記可動部と前記押当片との当接部分が平面視で前記持ち上げ部の回転中心に重なり、且つ、前記当接部分が互いに略水平に形成されていることで、前記スクリーン及び前記可動部の荷重では前記持ち上げ部が回動しないものである請求項記載の固定式スクリーン装置。
【請求項3】
前記スクリーンが前記上方位置に位置固定された状態で前記持ち上げ部をロックするロック手段を更に備えてなる請求項記載の固定式スクリーン装置。
【請求項4】
請求項記載固定式スクリーン装置の固定方法であって、
前記本体部を設置対象面に固定し、
前記スクリーンの被掛止部を、前記掛止片に引っ掛けて、前記スクリーンを設置対象面
に仮取り付けした状態とし、その後、前記持ち上げ部を操作して、前記可動部及び前記ス
クリーンを前記本体部に対して上方位置にスライド移動することによって、前記スクリー
ンを脱落しないように設置対象面に固定する固定式スクリーン装置の固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁等に容易且つ安全に固定することができる固定式スクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクリーンの固定部材として、設置金具本体は、縦壁部と水平壁部とからなる倒立略L字状の本体部と、縦壁部の左右両側部を前側へ折り曲げてなる縦補強部と、水平壁部の左右両側部を下側へ折り曲げてなる水平補強部とからなり、金属板をプレス成形して製作され、縦壁部の下端部には前方へ延びる下部フック部が形成され、縦補強部の高さ方向の途中部には上方へ向けて開口する上下方向の切欠きからなる上部フック部が形成され、フック部材は、金属板を略クランク状にプレス成形したもので、縦壁部から上部フック部の下端部よりもやや上側に対応する位置へ延びる支持部と、上部フック部の前端部に沿って上方へ延びる補助フック部とを有しているものがある(特許文献1参照)。
【0003】
この設置金具を用いてスクリーン装置を建築物の壁面や天井面に固定設置する際には、先ず設置金具本体を収納ケースの全長よりも短い間隔を左右にあけて壁面や天井面に固定する。次に、スクリーン装置を持ち上げて、フレーム部材の上部係止片を設置金具の上部フック部及びフック部材の補助フック部に係合させるとともに、フレーム部材の下部係止片を設置金具の下部フック部に係合させて、スクリーン装置を左右の設置金具に仮支持する。次に、スクリーン装置を左右方向に移動させて、スクリーン装置の左右方向の位置を調整した後、設置金具の下部フック部に下側から固定ビスを装着して、該固定ビスを前後の下部係止片間に螺合させ、スクリーン装置を左右の設置金具に固定することになる。
【0004】
しかし、固定ビスを装着するために、設置金具に対するスクリーン装置の位置を微調整しながら、固定ビスを装着する必要があり、この固定ビスによる固定作業が煩雑なものとなっていた。また、この固定ビスによる固定作業において、スクリーン装置が設置金具から脱落する可能性があり、作業者が怪我を負う等の危険性を有するとともに、スクリーン装置を破損させるおそれがあるものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5609549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み解決しようとするところは、壁等への固定作業を容易且つ安全に行なうことができる固定式スクリーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る固定式スクリーン装置は、スクリーンと、該スクリーンを壁や天井等へ固定するための固定部材とを有する固定式スクリーン装置であって、前記スクリーンが被掛止部と、上面に形成された長手方向にのびる凹条とを有するとともに、前記固定部材が、前記スクリーンの上面に対応する位置に形成された第一接当部と、前記凹条に対応する位置で第一接当部よりも上方に突出する第二接当部とを有し、壁等の設置対象面に固定される本体部と、該本体部に対して上方位置と下方位置との間でスライド可能に設けられ、前記スクリーンの前記被掛止部に引っ掛けるための、上方に突出する掛止片を有する可動部と、該可動部を前記本体部に対して上方位置に持ち上げるとともに位置固定する持ち上げ部とを備え、前記スクリーンの上方位置では、前記第二接当部が前記凹条に嵌まり込み、第一接当部がスクリーンの上面に、前記第二接当部が前記スクリーンの前記凹条に、夫々接当又は近接することで、前記スクリーンの脱落方向への移動を規制するものであり、前記持ち上げ部が、前記本体部に対して回動するものであって、回転中心側に設けられた偏心形状を有する押当片と、該押当片よりも外方に設けられた操作レバーとを備えてなるものである。
【0009】
さらに、前記スクリーンが前記可動部に掛止された状態で上方位置に持ち上げられた状態において、前記可動部と前記押当片との当接部分が平面視で前記持ち上げ部の回転中心に重なり、且つ、前記当接部分が互いに略水平に形成されていることで、前記スクリーン及び前記可動部の荷重では前記持ち上げ部が回動しないものとしてもよい。
【0010】
さらにまた、前記スクリーンが前記上方位置に位置固定された状態で前記持ち上げ部をロックするロック手段を更に備えてもよい。
【0012】
さらに、上記固定部材を用いる固定式スクリーン装置の固定方法であって、前記本体部を設置対象面に固定し、前記スクリーンの被掛止部を、前記掛止片に引っ掛けて、前記スクリーンを設置対象面に仮取り付けした状態とし、その後、前記持ち上げ部を操作して、前記可動部及び前記スクリーンを前記本体部に対して上方位置にスライド移動することによって、前記スクリーンを脱落しないように設置対象面に固定するものを採用することもできる。
【発明の効果】
【0013】
上述のように構成された固定式スクリーン装置によれば、壁等に固定された固定部材に対してスクリーンを引っ掛けて保持させ仮固定し、その後、持ち上げ部によってスクリーンを可動部とともに、押し上げることで、スクリーンを壁等に固定することができ、スクリーンの固定作業を容易且つ安全に行なうことができる。
【0014】
また、前記持ち上げ部が、前記本体部に対して回動するものであって、回転中心側に設けられた偏心形状を有する押当片と、該押当片よりも外方に設けられた操作レバーとを備えたものによれば、操作レバーを操作して持ち上げ部を回動させることで、スクリーンを可動部とともに上方へ移動させることができるため、より安全確実に固定作業を行なうことができる。
【0015】
さらに、前記スクリーンが前記可動部に掛止された状態で上方位置に持ち上げられた状態において、前記可動部と前記押当片との当接部分が平面視で前記持ち上げ部の回転中心に重なり、且つ、前記当接部分が互いに略水平に形成されていることで、前記スクリーン及び前記可動部の荷重では前記持ち上げ部が回動しないものによれば、持ち上げ部の操作によって、スクリーンが可動部とともに上方に移動された状態で保持することができ、より容易且つ安全に固定作業を行なうことができる。
【0016】
さらにまた、前記スクリーンが前記上方位置に位置固定された状態で前記持ち上げ部をロックするロック手段を更に備えてなるものによれば、固定後のスクリーンをより確実に保持することができる。
【0018】
さらに、上記固定部材を用いる固定式スクリーン装置の固定方法であって、前記本体部を設置対象面に固定し、前記スクリーンの被掛止部を、前記掛止片に引っ掛けて、前記スクリーンを設置対象面に仮取り付けした状態とし、その後、前記持ち上げ部を操作して、前記可動部及び前記スクリーンを前記本体部に対して上方位置にスライド移動することによって、前記スクリーンを脱落しないように設置対象面に固定すると、容易且つ安全に固定式スクリーン装置を壁等に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る固定式スクリーン装置の構成を示す斜視図である。
図2】同じく固定式スクリーン装置の構成を示す部分拡大断面図である。
図3】同じく固定式スクリーン装置の固定部材の構成を示す斜視図である。
図4】同じく固定式スクリーン装置の固定部材の構成を示す分解斜視図である。
図5】同じく固定式スクリーン装置の固定部材の可動部を下方に位置させた状態を示す正面図である。
図6】同じく固定式スクリーン装置の固定部材の可動部を持ち上げ部によって上方へ移動させた状態を示す正面図である。
図7】同じく固定式スクリーン装置の固定部材の可動部を持ち上げ部によって上方へ移動させてロック手段によってロックした状態を示す正面図である。
図8】同じく固定式スクリーン装置の可動部を下方に位置させた状態を示す断面図である。
図9】同じく固定式スクリーン装置の固定部材の可動部を持ち上げ部によって上方へ移動させてロック手段によってロックした状態を示す断面図である。
【0020】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。図1及び図2に、本発明の実施形態としての固定式スクリーン装置1の構成を示す。
【0021】
図1及び図2に示すように、固定式スクリーン装置1は、スクリーン2と、スクリーン2を壁や天井等へ固定するための固定部材3とを有するものであって、スクリーン2が被掛止部2a,2bを有するとともに、固定部材3が、壁等の設置対象面に固定される本体部4と、本体部4に対して上方位置と下方位置との間でスライド可能に設けられ、スクリーン2の被掛止部2a,2bに引っ掛けるための、上方に突出する掛止片5a,5bを有する可動部5と、可動部5を本体部4に対して上方位置に持ち上げるとともに位置固定する持ち上げ部6と、本体部4に設けられ、可動部5に掛止された状態で上方位置に持ち上げられたスクリーン2の上面又は前面に接当して、掛止片5a,5bの突出方向へのスクリーン2の移動を規制する接当部4a,4bと、を備えたものである。
【0022】
ここで、固定式とは、壁や天井等の設置対象面に対して、螺子を用いて固定部材を固定し、当該固定部材にスクリーンを取り付けるものとして記載しているが、このような構成のものに限らず、レールに対して取り付けることでスライド移動するものや、ワンタッチで着脱可能なもの、磁石を用いて取り付けるもの等、広く含まれるものとする。また、スクリーンは、ロールタイプの映写用スクリーンとして説明するが、このようなものに限らず、他の構成を採用したものや、映写用ではなく他の目的に用いられるものであってもよい。上方位置と下方位置との間でスライド可能とは、垂直方向に限らず、斜め上下方向や上方向も含むものとし、また、上方に突出とは、垂直方向に限らず、斜め上方も含むものとし、少なくとも一部が突出しているものを含むものとする。さらに、押当片よりも外方とは、押当片よりも回転中心から離れる方向というものとする。また、接当部が接当するスクリーンの上面又は前面とは、最上面又は最前面である必要はなく、スクリーンの一部の上側の面や前側の面を含むものとする。
【0023】
固定式スクリーン装置1は、スクリーン2と、スクリーン2を壁や天井等へ固定するための固定部材3とを有するものであり、例えば壁及び天井に取り付けられて、プロジェクターを用いて映像を映し出すときに、スクリーンシートを繰り出して使用されるものである。このような固定式スクリーン装置1は、天井に対して取り付けられるものであり、その重量も大きいものであるため、設置作業が困難となりやすいものである。
【0024】
スクリーン2は、スクリーンシートが筐体内の巻き取り部材に巻き取られて構成されている電動式ものであり、一般的な固定式のスクリーン装置と同様の構成のものであるが、このような構成のものに限らず、手動式のものであってもよいし、窓に設置されるスクリーンとして用いられるもの等であってもよい。また、スクリーン2の背面側には、被掛止部2a,2bを有する。この被掛止部2a,2bは、スクリーン2の背面に、スクリーン2の長手方向にのびる突条として形成されているものであり、この突条は下方を向くものとして形成されているため、水平方向において位置を限定せず、掛止することができるものである。被掛止部2a,2bは、上下に二つ設けられており、これらの被掛止部2a,2bの夫々に、固定部材3を掛止させることで、スクリーン2をより安定した状態で、固定部材3に掛けることができる。
【0025】
図3及び図4に示すように、固定部材3は、本体部4と、この本体部4にスライド可能に設けられた可動部5と可動部を上方に移動させる持ち上げ部6とを有するものである。この固定部材3は、壁又は天井に対して、例えば螺子によって固定されるため、壁又は天井に対して移動不能に取り付けられるものである。なお、この固定部材3は、直接壁又は天井に取り付けること以外にも、例えばレールや可動式の枠体等に取り付けることで、設置した固定式スクリーン装置1が可動するものとすることもできる。
【0026】
本体部4は、全体が、側面視において略倒L字状に形成されたものであって、略倒L字状の上側が天井に、下側が壁面に固定されるものとなっている。上側(天井側)には、第一接当部4a,4a及び第二接当部4b,4bが左右両側に設けられている。
【0027】
第一接当部4a,4aは、本体部4上側の左右両側が下方に垂直に折り曲げられた略水平状の下辺によって形成されている。これらの第一接当部4a,4aは、上方位置に固定されたスクリーン2が更に上方に移動しようとすると、スクリーン2の上面に接当し、上方への移動を規制する。ここで、第一接当部4a,4aは、本体部4の左右両側が下方に垂直に折り曲げられた下辺によって形成されているため、簡易に強度の高いものとなっており、スクリーン2の脱落を確実に防止することができるものとなっている。なお、第一接当部4aが接当するスクリーン2の上面とは、スクリーン2の最上面である必要はなく、何れかの部分の上面を形成する面、又はこれに類する部分であって、上方位置に固定されたスクリーン2が更に上方に移動しようとすると、スクリーン2の上面に接当し、上方への移動を規制するものであればよい。
【0028】
第二接当部4b,4bは、第一接当部4a,4aと同じく、本体部4上側の左右両側の垂直下方への折り曲げ辺に、第一接当部4a,4aの先端側で、第一接当部4a,4aよりも下方に突出する突片の略垂直状の側辺によって形成されている。これらの第二接当部4b,4bは、上方位置に固定されたスクリーン2が前方へ移動しようとすると、スクリーン2に接当し、前方への移動を規制する。ここで、第二接当部4b,4bは、本体部4上側の左右両側の垂直下方への折り曲げ辺に、幅広に形成された突片によって形成されているため、簡易に強度の高いものとなっており、スクリーン2の脱落を確実に防止することができるものとなっている。
【0029】
可動部5は、略コ字状に形成された板状部材であって、本体部4に対して上下にスライド移動するものとして設けられている。ここで、可動部5と本体部4は、可動部5の左右両側に設けられた上下に長い長孔と本体部4の丸孔とを用いて、ボルト及びナットによって、組付けられることで、互いに上下方向にスライド移動可能な状態となっている。この組付けは、上下二組のボルトナットによる連結具8よってより確実なものとなっている。可動部5の正面側には、スクリーン2を掛止するための掛止片5a,5bが左右に設けられている。これらの掛止片5a,5bは、上方に突出するように設けられているため、スクリーン2を引っ掛けるだけで保持することができるものとなっている。また、上下に二組(合計四個)の掛止片5a,5a,5b,5bが、夫々水平方向及び垂直方向に並んで形成されているため、スクリーン2を引っ掛けるときに、それらの位置を認識しやすく、容易に掛止することができる。
【0030】
持ち上げ部6は、可動部5を上方位置に移動させるものとして、本体部4に回動可能に設けられている。この持ち上げ部6は、回動中心の近く形成された押当片6aと、先端側に設けられた操作レバー6bと、本体部4に回動支持されるための回転支持孔6cを有する。可動部5に押し当てる押当片6aの外周形状は、回転支持孔6cからの距離が小さい円弧からそのまま直線状に回転支持孔6cから離れるように伸ばした押上用部分と、押上部分から略角丸直角に曲げて回転支持孔6cから離れた位置で直線状に伸ばした位置固定用部分とを含むものとなっている。操作レバー6bを操作して持ち上げ部6を回動させて、可動部5に押当片6aの押上用部分を押し当てていくと、回転支持孔6cから離れていくように形成されて直線が可動部5に連続的に作用して、可動部5を上方に移動させる。また、この位置から操作レバー6bを更に回動させると、押当片6aの位置固定用部分が可動部5に当接することとなるが、この状態において、押当片6aは、略水平となった位置固定用部分が、可動部5の下面に当たり、且つ、この当接が、平面視における回転支持ピン9に重なるものとなっている。
【0031】
ロック手段としての留め具7は、本体部4に対して、スクリーン2を上方位置に移動させた状態の持ち上げ部6が戻らないように固定するものであり、本体部4に対してロック姿勢と解除姿勢に姿勢変更可能に設けられている。また、留め具7は、本体部4に対して上方に付勢するようにばねを用いて取り付けられており、この上方への付勢によってロックが不意に解除されないように構成されている。
【0032】
以下、図5乃至7に沿って、固定部材3の可動部5を、下方位置から上方位置へ移動させて上方位置で位置固定する方法について説明する。
【0033】
図5に示すように、まず、固定部材3の可動部5が下方位置にある状態とする。この状態では、持ち上げ部6が重力によって略垂直下方向に垂れ下がることとなる。このとき、持ち上げ部6の押当片6aと可動部5との間には隙間が形成され、可動部5は持ち上げ部6に関係せず、可動部5は本体部4との係合によって位置決め保持される。ここから、持ち上げ部6の操作レバー6bを操作して、持ち上げ部6を回転支持ピン9を中心に回転させる。なお、この状態における持ち上げ部6と可動部5との隙間は、必須ではなく、これらが常時接触するものとなっていてもよい。
【0034】
操作レバー6bを用いて持ち上げ部6を回転させると、図6に示すように、持ち上げ部6の押当片6aが可動部5を上方位置あたりまで押し上げることとなる。このとき、解除姿勢の留め具7が操作レバー6bの途中部分に形成されたロック用孔6dに差し込まれる。
【0035】
続けて、図7に示すように、持ち上げ部6の操作レバー6bを本体部4近くまで回転させると、持ち上げ部6の押当片6aが略水平に形成された位置固定用部分によって、可動部5を保持する。また、この保持が回転中心である回転支持ピン9の真上で行われるため、可動部5の荷重(スクリーン2掛止時はスクリーン2の荷重も加えられる)が、持ち上げ部6を安定して保持する力として作用することとなる。この状態から最後に留め具7を回転させてロック姿勢とすることで、可動部5の上方位置への移動、位置固定が完了する。なお、図6の状態と、最後の図7の状態とでは、本体部4に対する可動部5の上下位置が若干異なる。つまり、図6の状態における可動部5が最も上方の位置となり、この位置から若干下方に移動して図7の状態として、可動部5が持ち上げ部6の押当片6aに位置固定されることとなる。
【0036】
以下、図8及び図9に沿って、壁又は天井に取り付けられた固定部材3にスクリーン2を固定する方法を説明する。
【0037】
図8に示すように、まず、壁又は天井に取り付けられた固定部材3の操作レバー6bを下方へ垂れ下げ、可動部5が下方位置にある状態(図5の状態)とする。次に、スクリーン2を被掛止部2a,2bを用いて、図示するように、可動部5の掛止片5a,5bに引っ掛けて保持させる。このとき、可動部5は、本体部4に支持されているため、この位置から下方に移動することもなく、安定して、スクリーン2を引っ掛けることができる。
【0038】
続けて、持ち上げ部6の操作レバー6bを回転操作して、可動部5に掛止されたスクリーン2を上方に移動させる。そうすると、上述のように、持ち上げ部6の押当片6aの位置固定部分が作用して、図9に示すように、スクリーン2が上方位置に位置固定される。このとき、スクリーン2の上面に向かい合うように設けられ突条2c,2dの間の凹条に、本体部4の第二接当部4bを有する突片が嵌まり込み、本体部4の第一接当部4aがスクリーン2の上面に、また、第二接当部4bがスクリーン2の突条2cに接当又は近接し、スクリーン2の脱落方向への移動を規制する。最後に、留め具7によって、操作レバー6bを本体部4に固定して、スクリーン2の固定作業が完了する。
【符号の説明】
【0039】
1 固定式スクリーン装置
2 スクリーン
2a,2b 被掛止部
2c,2d 突条
3 固定部材
4 本体部
4a,4a 第一接当部
4b,4b 第二接当部
5 可動部
5a,5b 掛止片
6 持ち上げ部
6a 押当片
6b 操作レバー
6c 回転支持孔
6d ロック用孔
7 留め具
8 連結具
9 回転支持ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9