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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/32 20200101AFI20231129BHJP
   D06F 58/02 20060101ALI20231129BHJP
   D06F 58/22 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
D06F58/32
D06F58/02 K
D06F58/22
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019084283
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2020178914
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-03-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(74)【代理人】
【識別番号】100135356
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(72)【発明者】
【氏名】辻 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】八田 聡
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-500147(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0027298(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/32
D06F 58/02
D06F 58/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が溜められる外槽と、
前記外槽内に収容され、洗濯物を収容する洗濯槽と、
前記外槽に接続された取出口および戻し口を有する循環路と、
前記循環路内に設けられる電動のファンであって、前記外槽内の空気を前記取出口から前記循環路内に取り出して前記戻し口から前記外槽内に戻すことによって循環させるファンと、
前記循環路内に設けられ、前記循環路内の空気を加熱する加熱部と、
前記循環路内において前記ファンおよび前記加熱部よりも前記取出口側に配置され、前記循環路内で前記取出口から前記戻し口へ向かう空気から異物を捕獲する乾燥フィルタと、
前記乾燥フィルタに給水する給水部と、
前記乾燥フィルタにおける異物の付着量を検出する付着量検出手段と、
前記ファン、前記加熱部および前記給水部を制御する制御部であって、前記洗濯槽内の洗濯物を乾燥させるために前記ファンおよび前記加熱部を作動させる乾燥工程を実行する制御部とを含み、
前記付着量検出手段が検出する異物の付着量が所定量を上回ると、前記制御部は、前記乾燥フィルタから異物を除去するために前記給水部によって前記乾燥フィルタに給水する掃除工程を実行し、
前記制御部は、前記掃除工程後の前記乾燥フィルタから水を除去するために前記ファン及び前記加熱部を作動させる水除去工程を実行し、
前記循環路内において、前記加熱部は、前記ファンよりも前記戻し口側に配置され、
前記水除去工程における前記ファンの回転数は、前記乾燥工程における前記ファンの回転数よりも低い、洗濯乾燥機。
【請求項2】
前記付着量検出手段は、前記ファンの電流値を検出する検出部を含み、
前記検出部が検出する前記ファンの電流値が所定値を下回ると、前記制御部は、異物の付着量が所定量を上回ったと判断し、前記掃除工程を実行する、請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の洗濯乾燥機は、水が溜められる外槽と、外槽内に配置されて洗濯物を収容するドラムと、外槽に接続された空気吸い込み口および空気吐出口を有する循環風路と、ブロアおよびヒータを有する送風ユニットとを含む。ブロアが稼働すると、外槽内の空気は、空気吸い込み口から循環風路内に吸い込まれて空気吐出口から外槽内へ流入するように循環する。循環する空気は、循環風路内においてヒータによって加熱される。加熱された空気によって、ドラム内の洗濯物が乾燥する。循環する空気に含まれるリントなどの異物を捕獲する乾燥フィルタが、送風ユニットに配置される。乾燥フィルタは、清掃のために送風ユニットから取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-244984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の洗濯乾燥機では、使用者が乾燥フィルタを定期的に取り外して掃除する必要があるので、乾燥フィルタのメンテナンスに手間がかかる。さらに、乾燥フィルタを取り外す前の状態では乾燥フィルタの汚れ具合つまり異物の付着量を把握できないので、使用者が、メンテナンスが必要なほど汚れてはいない乾燥フィルタを、その状態に気付かずに清掃のために取り外すと、その作業は無駄になってしまう。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、乾燥フィルタに関するメンテナンス性の向上を図れる洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水が溜められる外槽と、前記外槽内に収容され、洗濯物を収容する洗濯槽と、前記外槽に接続された取出口および戻し口を有する循環路と、前記循環路内に設けられる電動のファンであって、前記外槽内の空気を前記取出口から前記循環路内に取り出して前記戻し口から前記外槽内に戻すことによって循環させるファンと、前記循環路内に設けられ、前記循環路内の空気を加熱する加熱部と、前記循環路内において前記ファンおよび前記加熱部よりも前記取出口側に配置され、前記循環路内で前記取出口から前記戻し口へ向かう空気から異物を捕獲する乾燥フィルタと、前記乾燥フィルタに給水する給水部と、前記乾燥フィルタにおける異物の付着量を検出する付着量検出手段と、前記ファン、前記加熱部および前記給水部を制御する制御部であって、前記洗濯槽内の洗濯物を乾燥させるために前記ファンおよび前記加熱部を作動させる乾燥工程を実行する制御部とを含み、前記付着量検出手段が検出する異物の付着量が所定量を上回ると、前記制御部が、前記乾燥フィルタから異物を除去するために前記給水部によって前記乾燥フィルタに給水する掃除工程を実行する、洗濯乾燥機である。
また、本発明は、前記付着量検出手段が、前記ファンの電流値を検出する検出部を含み、前記検出部が検出する前記ファンの電流値が所定値を下回ると、前記制御部が、異物の付着量が所定量を上回ったと判断し、前記掃除工程を実行することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記制御部が、前記掃除工程後の前記乾燥フィルタから水を除去するために前記ファンを作動させる水除去工程を実行することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記循環路内において、前記加熱部が、前記ファンよりも前記戻し口側に配置され、前記水除去工程における前記ファンの回転数が、前記乾燥工程における前記ファンの回転数よりも低いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、洗濯乾燥機の乾燥工程では、作動する電動のファンによって、外槽内の空気が、取出口から循環路内に取り出されて戻し口から外槽内に戻るように循環する。循環する空気は、循環路内で加熱部によって加熱されることによって熱風となり、洗濯槽内の洗濯物を乾燥させる。循環路内においてファンおよび加熱部よりも取出口側に配置された乾燥フィルタが、循環のために循環路内で取出口から戻し口へ向かう空気に含まれる異物を捕獲する。そのため、空気中の異物が加熱部に付着することを抑制できる。
洗濯乾燥機では、捕獲されて乾燥フィルタに付着する異物の付着量が検出され、その付着量が所定量を上回ると乾燥フィルタの掃除工程が実行される。一例として、異物の付着量が増えると、乾燥フィルタにおいて空気が通過できる領域が減少して乾燥フィルタの通気性が低下することにより、循環路内においてファンと乾燥フィルタとの間の領域で空気が流れにくくなる。すると、ファンの回転に対する空気抵抗が減少するので、これに応じてファンの電流値が低下する。つまり、ファンの電流値は、乾燥フィルタにおける異物の付着量を示す指標の一例である。乾燥フィルタにおける異物の付着量が所定量を上回ると、ファンの電流値が所定値を下回るので、この場合には、掃除工程が実行されて、給水部によって乾燥フィルタに給水される。これにより、乾燥フィルタに付着した異物が、乾燥フィルタを流れ落ちる水によって乾燥フィルタから剥がれされる。この異物は、例えば、循環路内を落下して取出口から外槽内に到達し、外槽の排水時に外槽内から除去される。
このように洗濯乾燥機が乾燥フィルタの自動メンテナンス機能を有し、乾燥フィルタは、ある程度汚れた適切なタイミングに自動メンテナンスされる。そのため、使用者は、乾燥フィルタを取り外してメンテナンスをしなくてもよい。よって、乾燥フィルタに関するメンテナンス性の向上を図れる。
【0010】
また、本発明によれば、掃除工程によって乾燥フィルタが濡れるが、掃除工程後の水除去工程においてファンが作動することにより、循環路内を流れる空気によって乾燥フィルタから水が除去される。これにより、水膜による乾燥フィルタの目詰りを解消して乾燥フィルタの通気性を回復できるので、その後の乾燥工程では、空気が乾燥フィルタを円滑に通過できることによって循環路と外槽との間で円滑に循環できる。そのため、洗濯槽内の洗濯物を効果的に乾燥させることができる。そして、使用者は、掃除工程によって濡れた乾燥フィルタを取り外して乾かさなくてよいので、乾燥フィルタに関するメンテナンス性の一層の向上を図れる。
【0011】
また、本発明によれば、水除去工程におけるファンの回転数は、乾燥工程におけるファンの回転数よりも低いので、水除去工程中では、循環路内を流れる空気の勢いを抑えることができる。そのため、乾燥フィルタから除去された水が、循環路内を流れる空気に乗って下流側の加熱部に到達して加熱部を濡らすことを防止できる。これにより、加熱部の故障を防止できるので、メンテナンス性の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯乾燥機の模式的な縦断面左側面図である。
図2図2は、洗濯乾燥機内に配置された外槽および乾燥ユニットを後側から見た斜視図である。
図3図3は、外槽および乾燥ユニットの分解斜視図である。
図4図4は、乾燥ユニットを構成するフィルタユニットの背面図である。
図5図5は、フィルタユニットの平面図である。
図6図6は、フィルタユニットの分解斜視図である。
図7図7は、フィルタユニットの斜視図である。
図8図8は、図4のA-A矢視断面図である。
図9図9は、図5のB-B矢視断面図である。
図10図10は、図5のC-C矢視断面図である。
図11図11は、縦断面を含む乾燥ユニットの斜視図である。
図12図12は、縦断面を含む外槽および乾燥ユニットの要部斜視図である。
図13図13は、乾燥ユニットを構成するダクトおよびフィルタユニットの斜視図である。
図14図14は、洗濯乾燥機において実行される乾燥工程、掃除工程および水除去工程を示すフローチャートである。
図15図15は、ダクトおよびフィルタユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯乾燥機1の模式的な縦断面左側面図である。図1の紙面に直交する方向を洗濯乾燥機1の左右方向Xといい、図1における左右方向を洗濯乾燥機1の前後方向Yといい、図1における上下方向を洗濯乾燥機1の上下方向Zという。左右方向Xのうち、図1の紙面における奥側を右側X1といい、図1の紙面における手前側を左側X2という。前後方向Yのうち、図1における左側を前側Y1といい、図1における右側を後側Y2という。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。洗濯乾燥機1は、いわゆるドラム式の洗濯乾燥機である。洗濯乾燥機1は、筐体2と、筐体2内に配置された外槽3と、外槽3に接続された給水路4および排水路5と、排水路5を通って外槽3から排出される水から異物を捕獲する排水フィルタ6と、外槽3内に収容された洗濯槽7と、洗濯槽7を回転させるモータ8と、洗濯槽7内の洗濯物Lを乾燥させる乾燥ユニット9とを含む。
【0014】
筐体2は、ボックス状に形成される。筐体2の前面2Aは、例えば垂直面である。前面2Aには、筐体2の内外を連通させる開口2Bが形成される。前面2Aには、開口2Bを開閉する扉10が設けられる。
【0015】
外槽3は、吊り棒(図示せず)を介して、筐体2によって弾性支持される。外槽3は、水平方向Hに沿って前後方向Yに延びる軸線Jを中心とした円筒状の円周壁3Aと、円周壁3Aの中空部分を後側Y2から塞いだ円盤状の背面壁3Bと、円周壁3Aの前端縁につながったリング状の正面壁3Cとを有する。背面壁3Bは、垂直に配置され、外周部3Dと、外周部3Dよりも後側Y2へ一段突出した中央部3Eとを有する。中央部3Eの中心には、軸線Jに沿って中央部3Eを前後方向Yに貫通した貫通孔3Fが形成される。正面壁3Cは、円周壁3Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第1部3Gと、第1部3Gの内周縁から前側Y1へ突出した円筒状の第2部3Hと、第2部3Hの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第3部3Iとを有する。第3部3Iの内側には、円周壁3Aの中空部分に前側Y1から連通した出入口3Jが形成される。出入口3Jは、筐体2の開口2Bに対して後側Y2から対向して連通する。
【0016】
給水路4は、蛇口(図示せず)に接続された一端(図示せず)と、外槽3の背面壁3Bにおける例えば中央部3Eに接続された他端4Aとを有する。給水時には、蛇口からの水が給水路4から外槽3内に供給される。外槽3内には、水道水や、水道水に洗剤が溶けた洗剤水などの水が溜められる。給水路4の途中には、給水を開始したり停止したりするために開閉される給水弁11が設けられる。
【0017】
排水路5は、外槽3の下端部、例えば正面壁3Cの第1部3Gの下端部に接続される。外槽3内の水は、排水路5から機外に排出される。排水路5の途中には、排水を開始したり停止したりするために開閉される排水弁12が設けられる。
【0018】
排水フィルタ6は、排水路5において排水弁12よりも外槽3に近い上流部に設けられる。排水フィルタ6の前端は、筐体2の前面2Aに露出されるので、使用者は、排水フィルタ6の前端を掴んで排水フィルタ6を筐体2に対して着脱させることができる。排水フィルタ6の構成として、公知の構成を用いることができる。
【0019】
洗濯槽7は、外槽3よりも一回り小さい。洗濯槽7は、外槽3の円周壁3Aと同軸上に配置された円筒状の円周壁7Aと、円周壁7Aの中空部分を後側Y2から塞いだ円盤状の背面壁7Bと、円周壁7Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の環状壁7Cとを有する。洗濯槽7において少なくとも円周壁7Aには、複数の貫通孔7Dが形成され、外槽3内の水は、貫通孔7Dを介して、外槽3と洗濯槽7との間で行き来する。そのため、外槽3内の水位と洗濯槽7内の水位とは、一致する。洗濯槽7の背面壁7Bの中心には、軸線Jに沿って後側Y2へ延びる支持軸13が設けられる。支持軸13の後端部は、外槽3の背面壁3Bの貫通孔3Fを通って背面壁3Bよりも後側Y2に配置される。
【0020】
環状壁7Cの内側には、円周壁7Aの中空部分に前側Y1から連通した出入口7Eが形成される。出入口7Eは、外槽3の出入口3Jおよび筐体2の開口2Bに対して後側Y2から対向して連通する。出入口3Jおよび出入口7Eは、開口2Bとともに、扉10によって一括開閉される。洗濯乾燥機1の使用者は、開放された開口2B、出入口3Jおよび出入口7Eを介して、洗濯槽7内に洗濯物Lを出し入れする。
【0021】
モータ8は、筐体2内において、外槽3の背面壁3Bの後側Y2に配置される。モータ8は、洗濯槽7に設けられた支持軸13に連結される。モータ8が発生した駆動力は、支持軸13に伝達され、洗濯槽7が、支持軸13を伴って軸線Jまわりに回転する。なお、モータ8と支持軸13と間には、モータ8の駆動力を支持軸13に伝達したり遮断したりするクラッチ機構(図示せず)が設けられてもよい。
【0022】
乾燥ユニット9は、循環路20と、ファン21と、加熱部22とを含む。循環路20は、筐体2内において外槽3の上側Z1に配置された流路である。循環路20は、前後方向Yに延びる途中部分20Aと、途中部分20Aの後端から下側Z2へ延びる後部分20Bと、途中部分20Aの前端から下側Z2へ延びる前部分20Cとを有する。後部分20Bの下端部の前端には、取出口20Dが形成される。取出口20Dは、外槽3の背面壁3Bの外周部3Dにおいて上限水位よりも高い部分に接続され、外槽3内に後側Y2から連通する。前部分20Cの下端には、戻し口20Eが形成される。戻し口20Eは、外槽3の正面壁3Cの第2部3Hの上端部に接続され、外槽3内に上側Z1から連通する。
【0023】
ファン21は、循環路20内において取出口20Dに近い上流側の領域に配置された回転羽根21Aと、回転羽根21Aを回転させる電動のモータ21Bとを含む。回転羽根21Aおよびモータ21Bのそれぞれの回転数は、この実施形態では同じであり、当該回転数をファン21の回転数という。回転羽根21Aが回転すると、外槽3内の空気、つまり外槽3内および洗濯槽7内の空気が、太い破線矢印で示すように、取出口20Dから循環路20内に取り出された後に、戻し口20Eから外槽3内に戻される。これにより、外槽3内の空気は、外槽3と循環路20とを順に流れるように循環する。洗濯乾燥機1は、ファン21のモータ21Bにおける電流値を検出する検出部の一例としての電流センサ23Aと、ファン21の回転数を検出する回転数センサ23Bとを含む。電流センサ23Aおよび回転数センサ23Bとして、公知のセンサをそれぞれ採用できる。
【0024】
加熱部22は、ヒートポンプにおける熱交換器または一般的なヒータなどであり、この実施形態の加熱部22は、ヒートポンプの熱交換器を構成するコンプレッサである。加熱部22の少なくとも一部は、循環路20内に設けられる。加熱部22において循環路20内に設けられた部分は、循環路20内において、ファン21の回転羽根21Aよりも戻し口20E側つまり下流側に配置される。加熱部22において循環路20内に設けられた部分は、フィン状の放熱部22Aを複数有する。洗濯乾燥機1は、加熱部22以外にヒートポンプを構成する部材として、冷媒を加熱部22経由で循環させる配管22Bなどを含む。加熱部22が作動すると、加熱部22を流れる冷媒が圧縮されて高温になり、放熱部22Aが、この冷媒の熱が伝達されることによって高温になる。これにより、循環路20内を流れる空気が放熱部22Aの周囲を通過する際に加熱されて熱風になる。
【0025】
洗濯乾燥機1は、マイコンとして構成された制御部24を含む。制御部24には、モータ8、給水弁11、排水弁12、ファン21、加熱部22、電流センサ23Aおよび回転数センサ23Bなどの電気部品が電気的に接続される。制御部24には、電流センサ23Aが検出するファン21の電流値や、回転数センサ23Bが検出するファン21の回転数がリアルタイムで入力される。そして、制御部24は、モータ8、給水弁11、排水弁12、ファン21および加熱部22の動作を制御することによって洗濯乾燥運転を実行する。洗濯乾燥運転は、洗い工程と、すすぎ工程と、脱水工程と、乾燥工程とを含む。
【0026】
洗い工程の開始に先立って、洗濯槽7内に洗剤が投入される。制御部24は、洗い工程では、排水弁12を閉じた状態で、給水弁11を所定時間開いて外槽3および洗濯槽7に給水してから、モータ8によって洗濯槽7を回転させる。これにより、洗濯槽7内の洗濯物Lが、たたき洗いされる。たたき洗いでは、洗濯物Lがある程度持ち上げられてから水面に自然落下するというタンブリングが繰り返される。タンブリングによる衝撃や、洗濯槽7に溜まった洗剤水に含まれる洗剤成分によって、洗濯物Lから汚れが取り除かれる。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部24が排水弁12を開いて排水すると、洗い工程が終了する。
【0027】
制御部24は、すすぎ工程では、排水弁12を閉じた状態で、給水弁11を所定時間開いて外槽3および洗濯槽7に給水してから、モータ8によって洗濯槽7を回転させる。すると、前述したタンブリングが繰り返されるので、洗濯物Lが洗濯槽7内の水道水によってすすがれる。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部24が排水すると、すすぎ工程が終了する。すすぎ工程は、複数回繰り返されてもよい。制御部24は、脱水工程では、排水弁12を開いた状態で、洗濯槽7を脱水回転させる。洗濯槽7の脱水回転により生じた遠心力によって、洗濯槽7内の洗濯物Lが脱水される。脱水により洗濯物Lから染み出た水は、排水路5から機外に排出される。脱水工程は、すすぎ工程後だけでなく、洗い工程後にも実施されてもよい。
【0028】
制御部24は、乾燥工程では、ファン21および加熱部22を作動させることによって熱風を発生させて洗濯槽7と循環路20との間で循環させ、洗濯槽7内の洗濯物Lに供給する。これにより、洗濯物Lが乾燥する。洗濯運転ではリントなどの異物が発生して、この異物が乾燥工程中において熱風に乗って流れる。異物が加熱部22の放熱部22Aに付着して蓄積すると、加熱部22での加熱効率の低下や循環路20における空気の流れの悪化に伴う性能低下が生じるおそれがあるので、この異物を捕獲する必要がある。そこで、乾燥ユニット9は、フィルタユニット25と、分岐路26と、注水弁27とをさらに含む。以下では、ファン21および循環路20について詳しく説明した後に、フィルタユニット25、分岐路26および注水弁27について説明する。
【0029】
図2は、外槽3および乾燥ユニット9を後側Y2から見た斜視図である。ファン21は、回転羽根21Aを収容した中空円盤状のケーシング29を含む。ケーシング29は、循環路20の一部であり、筐体2に固定される。ケーシング29の内部空間は、循環路20内における途中部分20Aと後部分20Bとの接続部を構成する。
【0030】
図3は、外槽3および乾燥ユニット9の分解斜視図である。循環路20は、後部分20Bのほとんどを占めるダクト30と、ケーシング29とダクト30とをつないだ接続ホース31とを含む。ダクト30は、本体32と、カバー33(図2参照)とを含む。
【0031】
本体32は、外槽3の円周壁3Aの左上部分に沿って左下側へ下降するように湾曲した湾曲壁32Aと、前側Y1へ膨出した略半円の板状であって湾曲壁32Aの右端から左側X2へ延びる天壁32Bとを有する。湾曲壁32Aと天壁32Bとの間には、右側X1へ向かうにつれて上下方向Zに狭くなった下流空間32Cが区画される。天壁32Bは、左側X2へ向かうにつれて下降するように、水平方向Hに対して傾斜して延びる。天壁32Bには、上側Z1へ突出した円筒状の上連結部32Dが設けられる。上連結部32Dの内部空間は、下流空間32Cに上側Z1から連通した状態にある。下流空間32Cおよび上連結部32Dの内部空間は、循環路20の後部分20Bの内部空間の一部を構成する。本体32は、下流空間32Cを前側Y1および左側X2から塞ぐように湾曲壁32Aおよび天壁32Bの端縁間に架設された側壁32Eを有する。
【0032】
本体32は、湾曲壁32Aの後端から下側Z2へ延びる第1縦壁32Fと、第1縦壁32Fの下端から後側Y2へ突出した横壁32Gとを有する。第1縦壁32Fの上端は、湾曲壁32Aに沿って円弧状に湾曲し、第1縦壁32Fの下端は、左側X2へ向かうにつれて下降するように水平方向Hに対して傾斜しながら直線状に延びる。横壁32Gは、帯状であり、第1縦壁32Fの下端に沿って水平方向Hに対して傾斜しながら延びる。側壁32Eの後端部は、下流空間32Cよりも後側Y2に配置される。側壁32Eの後端部の下部分は、第1縦壁32Fおよび横壁32Gのそれぞれの左端に接続される。
【0033】
本体32は、側壁32Eの後端部および横壁32Gを縁取った背面視L字形状の第2縦壁32Hを有する。第2縦壁32Hの下端部には、前述した取出口20Dが単数または複数形成される。この実施形態では、上下方向Zに長い長穴状の取出口20Dが、1つ形成され、第2縦壁32Hを前後方向Yに貫通する。第2縦壁32Hには、取出口20Dを縁取りつつ前側Y1へ突出した筒状の下連結部32Iが設けられる。外槽3の背面壁3Bには、取出口20Dと同形状の貫通孔3Kが形成される。下連結部32Iは、貫通孔3Kに後側Y2から挿入される。これにより、取出口20Dは、背面壁3Bに接続されて外槽3内に連通する。
【0034】
本体32は、第1縦壁32Fの右縁、ならびに第2縦壁32Hの左縁、下縁および右縁を連続して縁取りつつ後側Y2へ突出した外壁32Jを有する。外壁32Jは、背面視で略U字状に形成され、外壁32Jの2つの上端部は、天壁32Bの後端部の左端および右端にそれぞれ接続される。外壁32Jにおいて天壁32Bの右端に接続された上端部には、前側Y1へ窪んだ切欠き32JAが形成される。外壁32Jの外周面において前寄りの領域には、当該外周面から突出した第1係止部32JBが複数設けられる。ボルトB1(図2参照)が、各第1係止部32JBに形成された挿通穴に挿通され、外槽3の背面壁3Bにおいて対応する位置に設けられたねじ穴3Lに組み付けられる。これにより、本体32を含むダクト30の全体が外槽3に固定される。本体32には、側壁32Eの後端部と横壁32Gと天壁32Bと外壁32Jの右部分とによって区画された途中空間32Kが形成される。途中空間32Kは、背面視で略矩形状であり、前後方向Yに薄い空間であって、第1縦壁32Fに後側Y2から隣接して、下流空間32Cに後側Y2から連通する。
【0035】
本体32は、第2縦壁32Hから後側Y2へ突出した縦仕切り板32Lおよび横仕切り板32Mを有する。縦仕切り板32Lは、途中空間32Kに左側X2から隣接して配置され、天壁32Bの後端部から下側Z2に延びて、取出口20Dにおける上側Z1の縁につながる。縦仕切り板32Lの途中部には、上下方向Zに長手の長方形状に形成された貫通穴32Nが形成される。横仕切り板32Mは、途中空間32Kよりも下側Z2かつ取出口20Dよりも上側Z1に配置され、縦仕切り板32Lの途中部と外壁32Jの右部分との間に架設される。横仕切り板32Mは、左側X2へ向かうにつれて下降するように水平方向Hに対して傾斜しながら、天壁32Bおよび横壁32Gと略平行に延びる。横仕切り板32Mの上面部の左端は、縦仕切り板32Lの貫通穴32Nの下端につながる。横仕切り板32Mの途中部には、横仕切り板32Mを左右方向Xにおいて二分するスリット32Pが形成される。スリット32P内における第2縦壁32Hの後面部には、ねじ穴32Qが形成される。
【0036】
本体32には、縦仕切り板32Lと横仕切り板32Mと天壁32Bと外壁32Jの右部分とによって区画された配置空間32Rが形成される。配置空間32Rは、背面視で略矩形状であり、前後方向Yに薄い空間であって、途中空間32Kに後側Y2から連通する。配置空間32Rにおいて横壁32Gよりも上側Z1の部分は、背面視で途中空間32Kの全域に重なる。配置空間32Rには、フィルタユニット25が配置される。本体32には、縦仕切り板32Lにおいて貫通穴32Nよりも下側Z2の部分と、横仕切り板32Mと、外壁32Jの右部分および下部分とによって区画された上流空間32Sが形成される。上流空間32Sは、背面視で下側Z2へ膨出する略半円形状をなす空間であって、横仕切り板32Mを挟んで配置空間32Rの下側Z2に位置し、取出口20Dに後側Y2から連通する。
【0037】
本体32には、外壁32Jの左部分と縦仕切り板32Lとによって左右方向Xの両側から挟まれて上下方向Zに細長く延びる縦空間32Tが形成される。縦空間32Tは、第2縦壁32Hの左端部によって前側Y1から塞がれ、天壁32Bの左端部によって上側Z1から塞がれる。縦空間32Tの下端は、上流空間32Sに左側X2から連通する。本体32は、縦仕切り板32Lにおいて貫通穴32Nよりも上側Z1の部分と外壁32Jの左部分との間に架設された遮断板32Uを含む。縦空間32Tは、その途中に位置する遮断板32Uによって、遮断板32Uよりも下側Z2の下領域と、遮断板32Uよりも上側Z1の上領域とに二分される。貫通穴32Nは、遮断板32Uの下領域に右側X1から連通する。
【0038】
カバー33(図2参照)は、背面視において本体32の外壁32Jおよび天壁32Bとほぼ一致した輪郭を有し、下側Z2へ向かうにつれて幅狭になった板状に形成される。カバー33には、その外縁から張り出した複数の係止部33A(図2参照)が設けられる。係止部33Aに対応して、本体32の外壁32Jの外周面において後寄りの領域には、当該外周面から突出した第2係止部32JCが複数設けられる。ボルト(図示せず)が、各係止部33Aに形成された挿通穴に挿通され、対応する第2係止部32JCの後端面に設けられたねじ穴32JDに組み付けられる。これにより、カバー33が本体32に後側Y2から固定されて、ダクト30が完成する(図2参照)。
【0039】
完成したダクト30では、本体32の後面側に設けられた配置空間32R、上流空間32Sおよび縦空間32Tが、カバー33によって後側Y2から塞がれる。縦仕切り板32Lおよび遮断板32Uのそれぞれの後端がカバー33の前面部に接触する。そのため、縦仕切り板32Lを挟んで配置された配置空間32Rと縦空間32Tの下領域とは、縦仕切り板32Lの貫通穴32N以外では連通しない。また、縦空間32Tにおいて遮断板32Uを挟んで配置された下領域と上領域とは、遮断される。横仕切り板32Mの後端とカバー33の前面部との間には隙間Q(図12参照)があるので、配置空間32Rと上流空間32Sとは、この隙間Qを介して連通する。
【0040】
接続ホース31は、例えばゴム製の円筒であり、その内部空間は、上側Z1および下側Z2に開放される。接続ホース31において上端部と下端部との間には、蛇腹部31Aが設けられる。接続ホース31の下端部は、ダクト30の上連結部32Dに対して外嵌される。接続ホース31の上端部は、ファン21のケーシング29に連結される。接続ホース31の内部空間は、循環路20の後部分20Bの内部空間の一部を構成する。洗濯乾燥運転中に外槽3の振動がファン21へ伝達されることが、蛇腹部31Aの弾性変形によって抑制される。
【0041】
図4は、フィルタユニット25の背面図である。背面視におけるフィルタユニット25の全体形状は、左側X2へ向かうにつれて下降するように水平方向Hに対して傾斜した二辺と、上下方向Zに沿って略垂直に延びる別の二辺とを有する矩形状、詳しくは平行四辺形状に形成される。図5は、フィルタユニット25の平面図である。フィルタユニット25は、前後方向Yに薄い箱状に形成される。
【0042】
図6は、フィルタユニット25の分解斜視図である。フィルタユニット25は、第1フィルタ部材41と、第2フィルタ部材42と、給水カバー43とを含む。
【0043】
第1フィルタ部材41は、背面視で略矩形状の輪郭を有する枠部41Aと、枠部41Aから前側Y1へ突出した左右一対の縦壁41Bと、枠部41Aの下端から前側Y1へ突出した底壁41Cとを有する。枠部41Aの上縁および下縁は、左側X2へ向かうにつれて下降するように水平方向Hに対して傾斜する。枠部41Aの右縁および左縁は、上下方向Zに沿って略垂直に延びる。枠部41Aの右縁の下端部は、下側Z2へ向かうにつれて左側X2にずれるように湾曲する。枠部41Aの上縁には、上側Z1へ突出しつつ当該上縁に沿って左右方向Xに延びるリブ状の上差込部41Dが設けられる。
【0044】
背面視における枠部41Aのほぼ全域には、枠部41Aを前後方向Yに貫通する開口41Eが設けられる。枠部41Aは、開口41Eを縦断する単数または複数の縦リブ41Fを有する。この実施形態では、2つの縦リブ41Fが左右方向Xに並んで設けられ、開口41Eは、これらの縦リブ41Fによって、左右方向Xに並ぶ3つの小開口41EAへと均等に区分される。各小開口41EAは、縦長の長方形状、厳密には、枠部41Aの上縁および下縁と平行になった二辺を有する平行四辺形状に形成される。
【0045】
第1フィルタ部材41には、各小開口41EAの全域を覆う乾燥フィルタF1が設けられる。この実施形態における乾燥フィルタF1は、枠部41Aに取り付けられたメッシュシートであるが、枠部41Aに一体形成された格子であってもよい。乾燥フィルタF1において上下左右に沿って延びる後面部を、縦面部F1Aという。枠部41Aの後面部において開口41Eよりも下側Z2には、後側Y2へ突出しつつ開口41Eの下端に沿って左右方向Xに延びる横リブ41Gが設けられる。
【0046】
一対の縦壁41Bは、枠部41Aの右縁から前側Y1へ突出して上下方向Zに延びる右縦壁41BAと、枠部41Aの左縁から前側Y1へ突出して上下方向Zに延びる左縦壁41BBとを含む。右縦壁41BAの下端部は、枠部41Aの右縁の下端部に沿って湾曲する。右縦壁41BAの前端部は、左右方向Xにおいて一段狭くなって上下方向Zに延びるリブ状の右差込部41BCを構成する。一対の縦壁41Bにおける一方である左縦壁41BBの下端部には、左縦壁41BBを左右方向Xに貫通した逃がし穴41BDが形成される。左縦壁41BBにおいて逃がし穴41BDよりも上側Z1の部分の前端部は、左右方向Xにおいて一段狭くなって上下方向Zに延びるリブ状の左差込部41BEを構成する。
【0047】
底壁41Cは、右縦壁41BAおよび左縦壁41BBの下端間に架設される。底壁41Cの上面部41CAは、左側X2の逃がし穴41BDへ向かうにつれて下降するように水平方向Hに対して傾斜して逃がし穴41BDにつながる。左右方向Xにおける底壁41Cの中央部には、底壁41Cから下側Z2へ突出した係止部41CBが設けられる。係止部41CBには、係止部41CBを前後方向Yに貫通する挿通穴41CCが形成される。
【0048】
第2フィルタ部材42は、背面視で略矩形状の輪郭を有する枠部42Aと、枠部42Aの上縁から後側Y2へ突出した天壁42Bと有する。枠部42Aの上縁および下縁は、左側X2へ向かうにつれて下降するように水平方向Hに対して傾斜する。枠部42Aの右縁および左縁は、上下方向Zに沿って略垂直に延びる。枠部42Aの右縁の下端部は、下側Z2へ向かうにつれて左側X2にずれるように湾曲する。
【0049】
背面視における枠部42Aのほぼ全域には、枠部42Aを前後方向Yに貫通する開口42Cが設けられる。枠部42Aは、開口42Cを縦断する単数または複数の縦リブ42Dを有する。この実施形態では、2つの縦リブ42Dが左右方向Xに並んで設けられ、開口42Cは、これらの縦リブ42Dによって、左右方向Xに並ぶ3つの小開口42CAへと均等に区分される。各小開口42CAは、第1フィルタ部材41の各小開口41EAと同じ大きさの長方形状、厳密には平行四辺形状に形成される。
【0050】
第2フィルタ部材42には、各小開口42CAの全域を覆う乾燥フィルタF2が設けられる。この実施形態における乾燥フィルタF2は、上下左右に沿って枠部42Aに取り付けられたメッシュシートであるが、枠部42Aに一体形成された格子であってもよい。乾燥フィルタF2において上下左右に沿って延びる後面部を、縦面部F2Aという。
【0051】
以下では、第1フィルタ部材41の乾燥フィルタF1と、第2フィルタ部材42の乾燥フィルタF2とを「乾燥フィルタF」と総称することがある。乾燥フィルタF1の縦面部F1Aと、乾燥フィルタF2の縦面部F2Aとを「縦面部FA」と総称することがある。
【0052】
枠部42Aの後面部において開口42Cよりも右側X1には、枠部42Aの右縁に沿って上下方向Zに延びる一対の右リブ42Eが設けられる。これらの右リブ42Eの間には、上下方向Zに延びる右差込溝42Fが形成される。枠部42Aの後面部において開口42Cよりも左側X2には、枠部42Aの左縁に沿って上下方向Zに延びる一対の左リブ42Gが設けられる。これらの左リブ42Gの間には、上下方向Zに延びる左差込溝42Hが形成される。
【0053】
天壁42Bは、左右方向Xに長手の長方形板状であって枠部42Aの上縁に沿って左下へ傾斜して配置された本体部42BAと、本体部42BAよりも短い長方形板状であって本体部42BAの右端から水平方向Hに沿って右側X1へ延びる延設部42BBとを有する。本体部42BAは、平面視において本体部42BAの全体の輪郭をなす長方形板状の下部42BCと、下部42BCの上面部に設けられて平面視において下部42BCの輪郭の内側に配置される長方形板状の上部42BDとを有する。下部42BCの下面部の後端部には、左右方向Xに延びる上差込溝42BE(後述する図15参照)が形成される。延設部42BBは、平面視において延設部42BBの全体の輪郭をなす長方形板状の下部42BFと、下部42BFの上面部に設けられて平面視において下部42BFの輪郭の内側に配置される長方形板状の上部42BGとを有する。下部42BFの左端は、本体部42BAの下部42BCの右端につながり、上部42BGの左端は、本体部42BAの上部42BDの右端につながる。天壁42Bの上面部には、下部42BCおよび下部42BFの上面部の一部として平面視で上部42BDおよび上部42BGを取り囲む額縁状の外縁部42Kが形成される。
【0054】
本体部42BAには、同一形状かつ同一寸法の給水口42Jが複数形成される。それぞれの給水口42Jは、縦、つまり上下方向Zに直線状に延びて下部42BCおよび上部42BDの両方を貫通する(後述する図9および図10参照)。各給水口42Jは、略矩形状の平断面を有し、この平断面は、上下方向Zにおける給水口42Jのどの位置でも同じである。給水口42Jの平断面が、給水口42Jの流路面積である。これらの給水口42Jは、上部42BDの後端部の全域に分布して左右方向Xに沿って等間隔で一列に並ぶ複数の第1給水口42JAと、上部42BDの前端部の全域に分布して左右方向Xに沿って等間隔で一列に並ぶ複数の第2給水口42JBとを含む。この実施形態では、第1給水口42JAおよび第2給水口42JBは、12個ずつ設けられる。前述した上差込溝42BEは、第1給水口42JAの列と第2給水口42JBの列との間に配置される(図15参照)。
【0055】
給水カバー43は、左右方向Xに長手で中空の本体部43Aと、本体部43Aに右側X1から接続された中空の接続部43Bとを有する。本体部43Aの下面部43AAは、左側X2へ向かうにつれて下降するように水平方向Hに対して傾斜する。本体部43Aの内部空間43ABは、下面部43AAのほぼ全域にわたって形成された開口43AC(図8参照)から下側Z2へ開放される。接続部43Bの下面部43BAは、水平方向Hに沿って延びる。接続部43Bの内部空間43BBは、下面部43BAのほぼ全域にわたって形成された開口43BC(図8参照)から下側Z2へ開放される。接続部43Bの開口43BCは、本体部43Aの開口43ACに右側X1からつながり、接続部43Bの内部空間43BBは、本体部43Aの内部空間43ABに右側X1から連通する。接続部43Bの後面部には、例えば後側Y2へ延びるパイプ状の管部43BDが設けられる。管部43BDの内部空間43BEは、接続部43Bの内部空間43BBに後側Y2から連通する。本体部43Aの内部空間43ABと、接続部43Bの内部空間43BBと、管部43BDの内部空間43BEとは、一体となって給水カバー43内の流路43Cを構成する。管部43BDの後端面に形成されて内部空間43BEを後側Y2へ開放する円形状の開口が、流路43Cの流入口43CAを構成する。流入口43CAの開口面積が、流入口43CAの流路面積である。
【0056】
次に、フィルタユニット25の組み立てについて説明する。作業者は、第1フィルタ部材41の右差込部41BC、左差込部41BEおよび上差込部41Dを、第2フィルタ部材42の右差込溝42F、左差込溝42Hおよび上差込溝42BE(図15参照)にそれぞれ差し込むことによって、第1フィルタ部材41と第2フィルタ部材42とを組み合わせる。そして、作業者は、給水カバー43を第2フィルタ部材42の天壁42Bに上側Z1から載せることによって、給水カバー43と第2フィルタ部材42とを組み合わせる。これにより、フィルタユニット25が完成する。なお、給水カバー43と第2フィルタ部材42とを組み合わせてから、第1フィルタ部材41と第2フィルタ部材42とを組み合わせてもよい。
【0057】
図7は、完成したフィルタユニット25の斜視図である。完成したフィルタユニット25では、第1フィルタ部材41の枠部41Aが、第2フィルタ部材42の枠部42Aの後側Y2に配置される。これにより、枠部41Aに取り付けられた乾燥フィルタF1が、枠部42Aに取り付けられた乾燥フィルタF2に後側Y2から重なって配置される。このように隣り合う乾燥フィルタF1および乾燥フィルタF2の間には、スペースSが確保される。第1フィルタ部材41の右縦壁41BAおよび左縦壁41BBは、横から、つまり左右方向Xの両側からスペースSを挟む。左縦壁41BBに形成された逃がし穴41BDは、スペースSに左側X2から連通し、スペースSの外に臨む。第1フィルタ部材41の底壁41Cは、枠部42Aの下端に接続され、スペースSを下側Z2から塞ぐ。第2フィルタ部材42の天壁42Bの本体部42BAは、スペースSを上側Z1から塞ぐ。天壁42Bと、天壁42Bを上側Z1から覆う給水カバー43とは、乾燥フィルタFに給水する給水部50を構成する。
【0058】
図8は、図4のA-A矢視断面図である。給水カバー43の下面部において本体部43Aの開口43ACおよび接続部43Bの開口43BCを縁取った外縁部は、天壁42Bの上面部の外縁部42Kの全域に上側Z1から接触する(図6も参照)。天壁42Bの上部42BDおよび上部42BGは、給水カバー43の流路43C内に下側Z2から嵌る。給水カバー43内の流路43Cは、天壁42Bに形成された全ての給水口42Jに上側Z1から接続される。
【0059】
図9は、図5のB-B矢視断面図である。給水カバー43において流路43Cの一部を構成する本体部43Aの内部空間43ABでは、前後方向Yの幅Wが略一定であるが(図8参照)、高さ寸法Dが左側X2へ向かうにつれて小さくなる。このような高さ寸法Dを実現するために、本体部43Aの天壁43ADの上下方向Zの厚さが、左側X2へ向かうにつれて増えるように構成される。給水口42Jのうち後側Y2の第1給水口42JAは、第1フィルタ部材41の乾燥フィルタF1の縦面部F1Aと前後方向Yおよび左右方向Xにおいて同じ位置に配置され、縦面部F1Aよりも上側Z1に配置される。これにより、複数の第1給水口42JAは、対応する乾燥フィルタF1の縦面部F1Aに沿って横つまり左右方向Xに並び、縦面部F1Aに上側Z1から臨む。
【0060】
図10は、図5のC-C矢視断面図である。第2フィルタ部材42の乾燥フィルタF2の縦面部F2Aは、乾燥フィルタF1と乾燥フィルタF2との間のスペースSに前側Y1から臨む。給水口42Jのうち前側Y1の第2給水口42JBは、乾燥フィルタF2の縦面部F2Aと前後方向Yおよび左右方向Xにおいて同じ位置に配置され、縦面部F2Aよりも上側Z1に配置される。これにより、複数の第2給水口42JBは、対応する乾燥フィルタF2の縦面部F2Aに沿って横に並び、縦面部F2Aに上側Z1から臨む。このように、給水口42Jは、第1給水口42JAや第2給水口42JBのように、複数の乾燥フィルタFに応じて複数設けられる。
【0061】
図11は、縦断面を含むダクト30およびフィルタユニット25の斜視図である。図11では、ダクト30のカバー33の図示が省略される。フィルタユニット25は、ダクト30の配置空間32R(図3も参照)に後側Y2から嵌め込まれる。第2フィルタ部材42の枠部42Aの前面部において乾燥フィルタF2よりも下側Z2には、左右方向Xに延びる横リブ42Lが設けられる。ダクト30の第2縦壁32Hにおいて前側Y1から枠部42Aに対向する部分には、左右方向Xに延びる横溝32HAが設けられる。第1フィルタ部材41の底壁41Cがダクト30の横仕切り板32Mに載って横リブ42Lが横溝32HAに嵌ることによって、フィルタユニット25が配置空間32R内で位置決めされる。底壁41Cの係止部41CBが横仕切り板32Mのスリット32Pに嵌り、ボルトB2が係止部41CBの挿通穴41CCを通ってスリット32Pのねじ穴32Qに取り付けられる(図3および図6も参照)。これにより、配置空間32R内のフィルタユニット25は、ダクト30に固定される。
【0062】
ダクト30に固定されたフィルタユニット25の第1フィルタ部材41では、底壁41C、右縦壁41BAおよび左縦壁41BBが、ダクト30の横仕切り板32M、外壁32Jおよび縦仕切り板32L(図3参照)にそれぞれ接触する。また、フィルタユニット25の給水カバー43の本体部43Aがダクト30の天壁32Bに接触する。これにより、フィルタユニット25は、ダクト30の配置空間32Rのほぼ全域を占め、ダクト30内において下流空間32Cおよび途中空間32Kと、上流空間32Sとの間に位置する。循環路20全体で見ると、フィルタユニット25における複数の乾燥フィルタFは、循環路20内においてファン21の回転羽根21Aおよび加熱部22よりも取出口20D側に配置される(図1参照)。複数の乾燥フィルタFにおいて、乾燥フィルタF1は、乾燥フィルタF2よりも取出口20D側に配置される。給水カバー43の接続部43Bは、外壁32Jの切欠き32JA(図3参照)を通って配置空間32Rよりも右側X1に配置される。左縦壁41BBに形成された逃がし穴41BD(図7参照)は、縦仕切り板32Lの貫通穴32N(図3参照)に右側X1から連通する。
【0063】
分岐路26は、給水路4において給水弁11よりも蛇口に近い上流部から分岐し、給水カバー43の接続部43Bの管部43BDに接続される。注水弁27は、分岐路26に設けられる(図1参照)。注水弁27は、給水路4から分岐路26に流れる水を管部43BDに供給したり、その供給を停止したりするために開閉される。注水弁27の開閉は、制御部24(図1参照)によって制御される。注水弁27は、前述した給水部50を構成する。
【0064】
乾燥工程では、前述したようにファン21および加熱部22によって熱風が発生して循環する。この熱風は、循環路20内において取出口20Dから戻し口20Eへ向かい、その途中の後部分20Bでは上昇しながらファン21に向かう(図1の太い破線の矢印参照)。図12は、縦断面を含む外槽3および乾燥ユニット9の要部斜視図である。図11および図12を参照して、後部分20Bを構成するダクト30内において、熱風は、太い破線の矢印で示すように、取出口20Dから上流空間32Sを経て上昇し、フィルタユニット25の乾燥フィルタF1および乾燥フィルタF2をこの順に前側Y1へ通過する。そして、この熱風は、途中空間32Kを経由して下流空間32Cに到達し、接続ホース31の内部を上昇してファン21のケーシング29内に流入する(図2も参照)。このように、乾燥フィルタF1および乾燥フィルタF2は、循環路20内での空気の流れ方向(各図の太い破線の矢印の方向)に重なって配置される。
【0065】
乾燥フィルタF1の縦面部F1Aおよび乾燥フィルタF2の縦面部F2Aは、循環路20の上流側を向くように配置されて、循環路20内の熱風から異物T(図11参照)を捕獲する。乾燥工程が進むにつれて、多くの異物Tが捕獲されて縦面部F1Aおよび縦面部F2Aに溜まっていく。これにより、循環路20内においてこれらの乾燥フィルタFよりも取出口20Dから下流側に離れて設けられた加熱部22に異物Tが付着することを抑制できる。特に、縦面部F1Aで捕獲できなかった異物Tは、縦面部F2Aによって捕獲されるので、異物Tが流出して加熱部22に付着するリスクを低減できる。さらに、乾燥フィルタF1と乾燥フィルタF2との間のスペースSは、一対の縦壁41Bによって横から挟まれ、底壁41Cによって下側Z2から塞がれ、給水部50によって上側Z1から塞がれる。これにより、乾燥フィルタF1を通過してスペースSに到達した空気が、次の乾燥フィルタF2に到達せずにスペースSの外へ漏れ出すことを防止できる。そのため、循環路20内を流れる空気が、複数の乾燥フィルタFを確実に順に通過するので、これらの乾燥フィルタFによって、循環路20内を流れる空気から、より多くの異物Tを捕獲することができる。
【0066】
図13は、ダクト30およびフィルタユニット25の斜視図である。図13では、ダクト30のカバー33の図示が省略される。ダクト30内の左端に位置する縦空間32Tの下領域には、縦仕切り板32Lの貫通穴32Nを開閉する扉51が設けられる。扉51は、上下方向Zに長手の長方形板状であり、その上端を通る回動軸52を介して縦仕切り板32Lに支持され、回動軸52まわりに左右方向Xに回動可能である。図13の扉51は、縦仕切り板32Lに沿って貫通穴32Nを左側X2から閉じた閉位置にある。乾燥工程において取出口20Dからダクト30の上流空間32Sに流入した空気が縦空間32Tの下領域に到達しても、扉51は、この空気によって閉位置へ向けて付勢される。そのため、上流空間32Sの空気が、乾燥フィルタF1を通過せずに、貫通穴32Nおよびフィルタユニット25の逃がし穴41BD(図7参照)を通って乾燥フィルタF2側へ流れることが抑制される。つまり、上流空間32Sの空気を、必ず乾燥フィルタF1を通過するように流すことができる。
【0067】
図14のフローチャートを参照して、制御部24は、乾燥工程の開始に応じて、ファン21および加熱部22を作動させることによって熱風を発生させて循環させ、洗濯槽7内の洗濯物Lに供給する。乾燥工程が開始してから例えば20分の所定時間が経過するまでの間は、熱風の循環が安定しない。この20分が経過すると(ステップS1でYES)、制御部24は、電流センサ23Aが検出するファン21の電流値を確認する(ステップS2)。
【0068】
捕獲されて乾燥フィルタFに付着する異物Tの付着量が増えると、乾燥フィルタFにおいて空気が通過できる領域が減少して乾燥フィルタFの通気性が低下する。これにより、循環路20内においてファン21の回転羽根21Aと乾燥フィルタFとの間の領域K(図1参照)で空気が流れにくくなる。すると、ファン21の回転に対する空気抵抗が減少するので、これに応じてファン21の電流値が低下する。ファン21の電流値は、乾燥フィルタFにおける異物Tの付着量、つまり乾燥フィルタFの通気性を示す指標である。乾燥フィルタFにおける異物Tの付着量が所定量を上回ると、ファン21の電流値が所定値を下回る。このように、ファン21の電流値を検出する電流センサ23Aは、乾燥フィルタFにおける異物Tの付着量を検出する付着量検出手段を構成する。
【0069】
乾燥フィルタFにおける異物Tの付着量が少ないことにより、ファン21の電流値が所定値以上であれば(ステップS2でNO)、制御部24は、乾燥工程を終了するための終了条件が満たされたか否かを確認する(ステップS3)。終了条件が満たされることの一例は、例えば乾燥工程開始から所定の乾燥時間が経過することや、洗濯物Lの乾燥率が所定値に到達することである。洗濯物Lの乾燥することによって終了条件が満たされると(ステップS3でYES)、制御部24は、ファン21および加熱部22を停止させることによって乾燥工程を終了する。終了条件が満たされなければ(ステップS3でNO)、制御部24は、乾燥工程を継続して(ステップS4)、ステップS2以降の処理を繰り返す。
【0070】
乾燥フィルタFにおける異物Tの付着量が所定量を上回るほど多いことにより、ファン21の電流値が所定値を下回ると(ステップS2でYES)、制御部24は、異物Tの付着量が所定量を上回ったと判断し、ファン21および加熱部22を停止させることによって乾燥工程を中断し(ステップS5)、掃除工程を実行する(ステップS6)。掃除工程として、制御部24は、給水部50の注水弁27を開く。なお、給水弁11が給水路4における分岐路26の分岐位置よりも蛇口に近い上流側に設けられてもよく、その場合には、制御部24は、掃除工程として、給水弁11および注水弁27の両方を開く。蛇口からの水は、給水路4および分岐路26を経由して、給水カバー43の管部43BDの流入口43CAから流路43C内に流入する。
【0071】
流路43C内に流入した水は、流路43C内から各給水口42Jに流出して各給水口42Jから噴射される。給水口42Jのうち第1給水口42JAから噴射された水は、図13において太い破線の矢印で示すように、乾燥フィルタF1の縦面部F1Aに上側Z1から浴びせられて、縦面部F1Aを伝って流れ落ちる。縦面部F1Aに付着した異物Tは、縦面部F1Aを流れ落ちる水によって縦面部F1Aから剥がされて、そのままダクト30の上流空間32Sに落下し、取出口20Dに到達する。乾燥フィルタF1の周辺には、水や異物Tが落下する方向に延びる縦リブ41Fが設けられるので、乾燥フィルタF1から除去された異物Tは、縦リブ41Fに引っ掛かることなく円滑に落下する。ダクト30において上流空間32Sを区画する外壁32Jなどには、取出口20Dへ向けて傾斜したガイド部30Aが設けられ、ガイド部30Aは、異物Tや水を取出口20Dへガイドする。取出口20Dに到達した異物Tは、取出口20Dから外槽3内に落下し、外槽3内に溜まる。各第1給水口42JAから縦面部F1Aに浴びせられた水も、異物Tと同様に、ダクト30から外槽3内に落下し、外槽3内に溜まる。
【0072】
取出口20Dに最も近い乾燥フィルタF1の縦面部FA1は、循環路20を構成する上流空間32S内に直接露出される。そのため、第1給水口42JAから縦面部FA1に給水されると、縦面部FA1に付着した異物Tは、縦面部FA1から剥がれた後に速やかに循環路20内を落下して取出口20Dから外槽3内に到達する。ダクト30において取出口20Dを縁取る下連結部32Iは、外槽3の背面壁3Bの貫通孔3K内に後側Y2から挿入されて、下連結部32Iの前端は、背面壁3Bの前面部から外槽3内に露出される(図12参照)。つまり、取出口20Dから外槽3内に至るまでの間には、段差などの障害物が存在しないので、異物Tは、途中で引っ掛かることなく取出口20Dから外槽3内に到達できる。
【0073】
図15は、ダクト30およびフィルタユニット25の斜視図である。図15では、ダクト30のカバー33および第1フィルタ部材41の図示が省略され、第2フィルタ部材42の乾燥フィルタF2が露出して図示される。給水口42Jのうち第2給水口42JBから噴射された水は、太い破線の矢印で示すように、乾燥フィルタF2の縦面部F2Aに上側Z1から浴びせられて、縦面部F2Aを伝って流れ落ちる。縦面部F2Aに付着した異物Tは、縦面部F2Aを流れ落ちる水によって縦面部F2Aから剥がされ、乾燥フィルタF1と乾燥フィルタF2との間のスペースSを落下して、第1フィルタ部材41の底壁41Cの上面部41CAに載る。乾燥フィルタF2の周辺には、水や異物Tが落下する方向に延びる縦リブ42Dが設けられるので、乾燥フィルタF2から除去された異物Tは、縦リブ42Dに引っ掛かることなく円滑に落下する。
【0074】
スペースSは、乾燥フィルタF1および乾燥フィルタF2によって前後方向Yから挟まれ、右縦壁41BAおよび左縦壁41BBによって横から挟まれ、底壁41Cによって下側Z2から塞がれる(図7も参照)。そのため、底壁41Cの上面部41CA上の水および異物Tは、上面部41CAの傾斜に沿って滑り落ちて必ず左側X2へ向かい、第1フィルタ部材41の逃がし穴41BDおよび縦仕切り板32Lの貫通穴32Nに到達する。つまり、底壁41Cの上面部41CA上の水および異物Tの行き先が、逃がし穴41BDに定められる。貫通穴32Nに到達した水および異物Tは、扉51を右側X1から押す。これにより、扉51が、図15に示すように、今までの閉位置から左側X2へ回動して逃がし穴41BDおよび貫通穴32Nを開くので、上面部41CA上の水および異物Tは、逃がし穴41BDおよび貫通穴32Nを通ってスペースSの外に出てダクト30の縦空間32Tの下領域で落下し、取出口20Dに到達する。取出口20Dに到達した異物Tおよび水は、取出口20Dから外槽3内に落下して溜まる。異物Tや水が逃がし穴41BDおよび貫通穴32Nを通過した後、扉51は、自重または付勢部材(図示せず)の付勢力などによって閉位置(図13参照)に戻る。
【0075】
注水弁27が開いてから例えば5秒間の所定時間が経過すると、制御部24は、注水弁27を閉じることによって給水部50への給水を停止する。これにより、掃除工程が終了する。掃除工程が終了したときの各乾燥フィルタFは、濡れた状態にある。そこで、制御部24は、図14に示すように、掃除工程後の水除去工程として、ファン21を例えば6分間の所定時間作動させる(ステップS7)。これにより、空気が外槽3と循環路20との間で循環するので、各乾燥フィルタFには、外槽3から循環路20に流れ込む空気が浴びせられる。これにより、各乾燥フィルタFから水が除去されることによって各乾燥フィルタFが乾燥する。
【0076】
なお、加熱部22も作動することによって、熱風が循環してもよく、これにより、乾燥フィルタFの乾燥が促進される。このように使用者が乾燥フィルタFを乾燥させなくてもよいので、乾燥フィルタFに関するメンテナンス性の一層の向上を図れる。制御部24は、水除去工程後に、ステップS3以降の処理を実行する。そのため、終了条件が満たされなければ(ステップS3でNO)、制御部24は、乾燥工程を再開して(ステップS4)、ファン21および加熱部22の両方を作動させ、ステップS2以降の処理を繰り返す。
【0077】
制御部24は、乾燥工程終了後または乾燥工程中に、排水弁12を開く。なお、注水弁27が開いた状態において、排水弁12も常に開かれてもよい。排水弁12が開くと、外槽3内に溜まった水が、異物Tを乗せて排水路5に流れ込む。つまり、異物Tは、外槽3の排水時に外槽3内から除去される。排水路5に流れ込んだ異物Tは、排水フィルタ6(図1参照)によって捕獲される。排水フィルタ6によって捕獲された異物Tは、適当なタイミングにおいて使用者が排水フィルタ6を取り外してメンテナンスする際に除去される。
【0078】
以上のように、洗濯乾燥機1では、乾燥工程中における所定のタイミングにおいて、掃除工程が実行され、その際、給水部50が、複数の乾燥フィルタFの縦面部FAに上側Z1から給水する。つまり、洗濯乾燥機1が乾燥フィルタFの自動メンテナンス機能を有するので、乾燥フィルタFは、ある程度汚れた適切なタイミングに自動メンテナンスされる。そのため、使用者が乾燥フィルタFを取り外してメンテナンスする作業が不要である。よって、乾燥フィルタFに関するメンテナンス性の向上を図れる。特に、フィルタユニット25では、取出口20Dに最も近い乾燥フィルタF1の縦面部F1Aで捕獲された異物Tだけでなく、スペースSを挟んで乾燥フィルタF1に重なる乾燥フィルタF2の縦面部F2Aで捕獲された異物Tも、給水部50による給水によって外槽3内へ送り込まれる。よって、使用者は、乾燥フィルタFを取り外してスペースSから異物Tを除去しなくてもよいので、乾燥フィルタFに関するメンテナンス性の向上を一層図れる。
【0079】
また、乾燥フィルタFにおける異物Tの付着量は、ファン21の電流値に基いて検出され、異物Tの付着量が所定量を上回ると(ステップS2でYES)、掃除工程が実行される(ステップS6)。異物Tが塊状に大きくなるまで乾燥フィルタFに堆積し、その後に乾燥フィルタFから剥がれ落ちると、塊状の異物Tが、排水路5のどこかの領域に詰まったり、外槽3と洗濯槽7との隙間に詰まったりするおそれがある。異物Tがこのように大きくなる前のタイミングにおいて掃除工程が実行されるので、剥がれた異物Tの詰まりを防止できる。
【0080】
また、ステップS7での水除去工程により、水膜による乾燥フィルタFの目詰りを解消して乾燥フィルタFの通気性を回復できるので、その後の乾燥工程(ステップS4)では、空気が乾燥フィルタFを円滑に通過できることによって循環路20と外槽3との間で円滑に循環できる。そのため、洗濯槽7内の洗濯物Lを効果的に乾燥させることができる。そして、使用者は、掃除工程によって濡れた乾燥フィルタFを取り外して乾かさなくてよいので、乾燥フィルタFに関するメンテナンス性の一層の向上を図れる。
【0081】
水除去工程におけるファン21の回転数は、乾燥工程におけるファン21の回転数よりも低く、例えば乾燥工程におけるファン21の回転数の50%程度に設定される。これにより、水除去工程中では、循環路20内を流れる空気の勢いを抑えることができる。そのため、乾燥フィルタFから除去された水が、循環路20内を流れる空気に乗ってファン21よりも戻し口20E側の加熱部22に到達して加熱部22を濡らすことを防止できる。これにより、加熱部22の故障を防止できるので、メンテナンス性の向上を図れる。
【0082】
また、乾燥工程中に異物Tや水膜によって乾燥フィルタFが目詰まりすると、循環路20において空気が流れにくくなることによって、加熱部22において熱交換ができなくなるので、この状態でファン21および加熱部22が作動し続けると、ヒートポンプの配管22B内の冷媒の温度が上昇して、冷媒の圧力が急上昇する。しかし、前述したように掃除工程や水除去工程が実行されることによって乾燥フィルタFの通気性が適宜改善されるので、冷媒の圧力の急上昇を防止して、ヒートポンプを安定して作動させることができる。
【0083】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0084】
例えば、前述した実施形態では、電流センサ23Aが検出するファン21の電流値に基いて乾燥フィルタFにおける異物Tの付着量を検出したが、この構成と組み合わせて、例えばヒートポンプの配管22Bを流れる冷媒の温度を温度計(図示せず)によって検出して、その温度に基いて異物Tの付着量を検出してもよい。この場合には、冷媒の温度を検出する温度計が、電流センサ23Aと同様に、前述した付着量検出手段を構成する。異物Tの付着量が所定量を上回ると、制御部24は、掃除工程を実行する。
【0085】
また、前述した実施形態では、乾燥フィルタFは、乾燥フィルタF1および乾燥フィルタF2の2つであったが、3つ以上の乾燥フィルタFが重ねて配置されてもよい。その場合、ダクト30の取出口20Dに最も近い乾燥フィルタF1以外の各乾燥フィルタFの縦面部FAには、前述した乾燥フィルタF2と同様に、異物Tを除去するために水が上側Z1から浴びせられる。複数の乾燥フィルタFでは、縦面部FAが循環路20の取出口20D側つまり上流側を向くように縦に配置されるが、これらの縦面部FAは、平行に配置されてもよいし、平行に配置されなくてもよい。また、各縦面部FAは、垂直方向に沿って配置されてもよいし、垂直方向に対して傾斜して配置されてもよい。
【0086】
乾燥フィルタFの縦面部FAから取り除かれた異物Tや、縦面部FAに浴びせられた水は、前述した実施形態では、循環路20の取出口20Dから外槽3を経由して排水路5に向かう。これに代え、ダクト30の本体32の外壁32Jにおいて縦面部FAよりも下側Z2の下端部に、逃がし穴(図示せず)を設けて、排水路5において例えば排水フィルタ6よりも上流側の部分と逃がし穴とを流路(図示せず)によってつないでもよい。これにより、ダクト30内の異物Tや水を、外槽3を経由させずに、逃がし穴および流路から排水路5に到達させることができる。これにより、洗濯槽7内の洗濯物Lに異物Tや水が付着することを防止できる。
【0087】
洗濯乾燥機1では、排水フィルタ6が省略されてもよい。この場合には、各乾燥フィルタFで捕獲されて外槽3に流された異物Tは、外槽3の排水時に排水路5(図1参照)を通って機外に排出される。
【0088】
前述した実施形態におけるドラム式の洗濯乾燥機1では、軸線Jが水平方向Hに傾斜するように洗濯槽7が配置されてもよい。また、洗濯乾燥機1は、軸線Jが縦に延びる縦型の洗濯乾燥機であってもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 洗濯乾燥機
3 外槽
7 洗濯槽
20 循環路
20D 取出口
20E 戻し口
21 ファン
22 加熱部
23A 電流センサ
24 制御部
50 給水部
F 乾燥フィルタ
L 洗濯物
T 異物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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