(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】収納庫
(51)【国際特許分類】
A47B 55/00 20060101AFI20231129BHJP
A47B 96/02 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A47B55/00
A47B96/02 G
A47B96/02 D
(21)【出願番号】P 2019179265
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000152228
【氏名又は名称】株式会社内田洋行
(73)【特許権者】
【識別番号】597008245
【氏名又は名称】江戸崎共栄工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】秋本 恵三
(72)【発明者】
【氏名】丸山 高央
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 正行
(72)【発明者】
【氏名】中根 泰弘
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-051226(JP,A)
【文献】特開2018-003321(JP,A)
【文献】特開2009-190753(JP,A)
【文献】実開昭63-003282(JP,U)
【文献】特開2002-320527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 55/00-55/06
A47B 91/00-97/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1乃至複数の収納空間を有する収納庫本体と、
前記収納空間の開口を閉塞可能な扉であって、水平方向に延出
し且つ投入物を投入するための挿入口を備える扉と、
前記収納空間に設けられる仕切りと、を備え、
前記仕切りは、
鉛直方向と平行な方向に延出し、前記収納庫本体の一対の側壁部の間を区画する第1壁部と、
水平方向に延出し、前記挿入口よりも鉛直方向の下方に位置し、前記収納庫本体の上壁部及び底壁部の間を区画して前記挿入口から投入された投入物を
支持する第2壁部と、
前記収納庫本体の底壁部に形成された孔部に差し込まれる爪部と、を有
し、
前記仕切りは、前記爪部が前記孔部に差し込まれて前記収納庫本体に固定されることにより、
前記第1壁部、前記第2壁部、及び前記収納庫本体の側壁部によって区画される第1空間と、
前記第1壁部及び前記収納庫本体の側壁部によって区画される第2空間と、
前記第2壁部及び前記収納庫本体の上壁部との間に位置し、前記投入物が収容される第3空間と、
前記第1壁部及び前記第2壁部と、前記収納庫本体の背壁部との間に位置する後方空間と、を区画し、
前記第2壁部は、前記挿入口に対して反対側に位置する端部に前記後方空間への前記投入物の落下を防ぐための屈曲部と、使用者が前記第2壁部の下方から手を差し込んで前記投入物を手前に押し出すための貫通孔を有する、収納庫。
【請求項2】
前記第2壁部の少なくとも一部は、前記第1壁部のうち前記収納空間の開口側の端部よりも前記開口側に突出している
請求項1に記載の収納庫。
【請求項3】
前記第2壁部のうち前記開口側に位置する先端部は上方に延出している
請求項1又は2に記載の収納庫。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記第2壁部のうち前記開口側の端部から当該端部と反対側となる端部に向かう奥行方向と長手方向が平行である細長い形状を有する、請求項1に記載の収納庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納庫に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスの態様の一つとして、固定席を設けず、オフィスのユーザの一人ひとりが日々の業務にあわせて席を選択して働くことのできる、いわゆるフリーアドレススタイルのオフィスが知られている。このようなオフィスには、ユーザの持ち物を収納するための収納庫が設置されることがある。オフィスに設置される個人用収納庫としては、例えば特許文献1に記載されたようなものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オフィス内に設置される個人用収納庫にはパーソナルコンピュータや、書類等といった多様な物品が収納されうる。このため、個人用収納庫は、ユーザがそれらの物品の収納及び取り出しがしやすいような構成であることが好ましい。上記した収納庫は、収納部本体に、収納空間である収納部が設けられているだけであり、収納のしやすさや取り出しやすさといった点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、物品の収納及び取り出しがしやすい収納庫及び仕切りを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する収納庫は、1乃至複数の収納空間を有する収納庫本体と、前記収納空間の開口を閉塞可能な扉であって、水平方向に延出する挿入口を備える扉と、前記収納空間に設けられる仕切りと、を備え、前記仕切りは、鉛直方向と平行な方向に延出し、前記収納庫本体の一対の側壁部の間の空間を区画する第1壁部と、水平方向に延出し、前記挿入口よりも鉛直方向の下方に位置し、前記収納庫本体の上壁部及び底壁部の間の空間を区画して前記挿入口から投入された投入物を受ける第2壁部と、を有する。
【0007】
上記構成によれば、仕切りによって収納空間が、異なる方向において複数の空間に仕切られるため、仕切られた空間に物品を分類して収納することができる。また、第2壁部は、挿入口よりも下方に位置するため、挿入口から収納空間へ投入した書類等の投入物を受けるトレイとしても機能させることができる。このため、投入物と、その他の多様な物品とが分類して収納される。このため、投入物を含む物品の位置が一目でわかるため、物品の収納及び取り出しをしやすくすることができる。
【0008】
上記収納庫について、前記第2壁部の少なくとも一部は、前記第1壁部のうち前記収納空間の開口側の端部よりも前記開口側に突出していることが好ましい。
上記構成によれば、第2壁部のうち突出した部分によって、挿入口から差し込まれた投入物を受け止めやすくするとともに、且つ投入物の落下を抑制することができる。
【0009】
上記収納庫について、前記第2壁部のうち前記開口側に位置する先端部は上方に延出していることが好ましい。
第2壁部の先端部は上方に延出しているため、投入物の落下を抑制することができる。
【0010】
上記収納庫について、前記第2壁部には、長手方向が、前記第2壁部のうち前記開口側の端部から当該端部と反対側となる端部に向かう奥行方向と平行な貫通孔が設けられていることが好ましい。
【0011】
第2壁部には、奥行方向に延びる孔部が設けられているため、孔部に手を差し込んで第2壁部に載置された奥側の書類を簡単に手前に引き出すことができる。
上記課題を解決する仕切りは、1乃至複数の収納空間を有する収納庫本体と、前記収納空間の開口を閉塞可能であって、水平方向に延びる挿入口を備える扉とを備える収納庫に設けられる仕切りであって、前記仕切りは、鉛直方向と平行な方向に延出し、前記収納庫の側壁部との間に第1空間を区画する第1壁部と、水平方向に延出し、前記挿入口よりも鉛直方向の下方に位置し、前記収納庫の底壁部との間の空間を区画して前記挿入口から投入された投入物を受ける第2壁部と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、多様な物品を収納及び取り出しがしやすい収納庫及び仕切りを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】同実施形態における仕切りが収容された収納庫の斜視図。
【
図4】(a)は
図1の4-4断面線における収納庫の要部断面図であって、(b)は扉の一部を拡大した拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
図1~
図4を参照して、収納庫及び収納庫に収容される仕切りについて説明する。
図1に示すように、収納庫10は、収納庫本体11と、収納庫本体11に取り付けられた扉12とを備える。収納庫本体11は、複数の板状の金属材から組み立てられ、複数の収納空間13を有している。
図1に示す収納庫本体11は4つの収納空間13を有している。扉12は、収納庫本体11にヒンジ機構15を介して取り付けられている。扉12は、収納空間13の開口を閉じる全閉位置と、開口から最も離れた全開位置との間で回動可能に設けられている。ヒンジ機構15は、扉12の正面からみて右側部に設けられている。なお、収納庫10のうち、扉12が設けられた面を正面、その反対側の面を背面、正面からみて左側の面を左側面及び右側の面を右側面とし、収納庫10の底面から上面に向かう方向を高さ方向Y、左側面から右側面に向かう方向を幅方向X、正面から背面に向かう方向を奥行方向Zとする。
【0015】
扉12には、扉12を施錠するための錠16と、挿入口17とが設けられている。挿入口17は、扉12の上部に貫通形成されている。挿入口17は、細長い形状であり、その長手方向が幅方向Xと平行に延びている。また、収納空間13には、仕切り20が収容されている。
【0016】
図2を参照して、仕切り20について説明する。仕切り20は、板状の金属材からなる。仕切り20は、第1壁部21と、第1壁部21に連結する第2壁部22とを備える。仕切り20の正面側、背面側及び右側方は開口している。
【0017】
第1壁部21は、高さ方向Y及び奥行方向Zに延出している。さらに、第2壁部22は、第1壁部21の上端に連結し、幅方向X及び奥行方向Zに延出している。第1壁部21は、下端に爪部23を備える。また、第1壁部21の中央部には、正面側から奥行方向に切り欠いた切り欠き部24が設けられている。
【0018】
第2壁部22の正面側の端部の一部には突出部25が設けられている。突出部25は、第1壁部21の正面側の端より突出している。また、突出部25の先端部29は、曲げられ、上方に延出している。また、第2壁部22のうち、第1壁部21との連結部に対して反対側となる右側端には、仕切り20を収納庫本体11側に固定するための固定片26が設けられている。固定片26の正面側の端部には、爪部26Aが設けられている。さらに、第2壁部22のうち、突出部25が設けられた端部に対して反対側となる端部には、屈曲部27が設けられている。また、第2壁部22の中央部には、貫通孔28が設けられている。貫通孔28は、その長手方向が奥行方向Zと平行な長円状に形成されている。
【0019】
図3を参照して、仕切り20が収容された収納庫10について説明する。仕切り20は、突出部25を収納庫本体11の開口14側に向けて収納空間13に収納される。また、第2壁部22は、固定片26の爪部26Aを収納庫本体11側に引っ掛けることにより、収納庫本体11側に固定される。これにより、仕切り20の右側方の開口は、収納庫本体11の側壁部11Aによって閉塞される。
【0020】
仕切り20は、収納空間13を、複数の空間に仕切る。第1壁部21は、収納庫本体11の一対の側壁部11Aの間の空間を区画する、第2壁部22は、収納庫本体11の底壁部11B及び上壁部11Dの間の空間を区画する。第1空間31は、第1壁部21及び第2壁部22の内側に設けられる空間である。第2空間32は、第2壁部22の外側に設けられる空間であって、第1空間31よりも幅方向Xの長さが小さい。第3空間33は、第2壁部22の上方に設けられる空間である。
【0021】
図3及び
図4を参照して、収納庫10の作用について説明する。収納庫10は、例えばフリーアドレススタイルのオフィスに設置され、収納空間13の各々は、オフィスを利用するユーザに割り当てられている。
【0022】
図3に示すように、第1空間31、第2空間32及び第3空間33には、物品を分類して収納することができる。使用態様の一例として、第1空間31には、書類を収容したフォルダ100や、書類を綴じたファイル等が収容される。第1壁部21には、切り欠き部24が設けられているため、第1空間31に収容されたフォルダ100を手前に引き出しやすい。第2空間32には、例えばノート型のパーソナルコンピュータ101、タブレット等が立てた状態で収容される。第3空間33は、挿入口17から投入された郵便物やその他の書類等の投入物を収容することを想定している。ユーザは、仕事を開始するときに、収納庫10からフォルダ100やパーソナルコンピュータ101などの必要な物品を取り出し、仕事を終了した後は、それらの物品を収納庫10に収容してオフィスを退出する。
【0023】
図4(a)に示すように、仕切り20の爪部23は、収納庫本体11の底壁部11Bに形成された孔部(図示略)に差し込まれる。仕切り20の背面と収納庫本体11の背壁部11Cとの間には後方空間35が設けられている。第2壁部22は、高さ方向Yにおいて挿入口17の下方となるように配置されている。また、突出部25と全閉位置にある扉12との間には、隙間36が設けられている。隙間36の大きさは、書類等が落下しないような大きさであり、例えば5mm~20mmである。また、挿入口17と第2壁部22との高さの差H1は、10mm~40mmである。
【0024】
突出部25を除く第2壁部22の正面側の端部及び第1壁部21の正面側の端部と扉12との間には、前方空間37が設けられている。第1壁部21を奥行方向Z側に設けることにより、収納空間13の奥側まで収納物を配置したり、奥側の収納物を出しやすくすることができる。なお、
図4では、便宜上、収納庫本体11を構成する金属材に比べて仕切り20の厚さを大きくして図示しているが、収納庫本体11を構成する金属材及び仕切り20の金属材の厚さの比率は特に限定されない。
【0025】
図4(b)に示すように、個人宛の郵便物又は書類等の薄型の投入物102は、投入物102を横にした状態で、施錠した扉12の挿入口17から第3空間33へ投入される。投入物102は、突出部25に支持されながら第3空間33に収容されるため、投入される過程で折られたり又は曲げられたりすることがない。また、収納空間13に、投入物102と、フォルダ等の物品とが分けて収納されるため、ユーザは投入物102を見分けやすく、取り出しやすい。また、投入物102が、第2壁部22のうち正面寄りの位置又は背面寄りの位置に載置されたとしても、第2壁部22の正面側の先端部29と背面側の屈曲部27により、投入物102の落下を抑制することができる。また、挿入口17から屈曲部27までの奥行方向Zの長さは、投入されることが想定される投入物102の最大サイズよりも若干大きく設定されている。このように必要最小限の長さにすることにより、はがき等の小さいサイズの投入物102が奥まで入ってしまい、取り出しにくくなることを防ぐことができる。
【0026】
また、ユーザは、第2壁部22に載置された投入物102を、第2壁部22に形成された貫通孔28に第2壁部22の下方から手を差し込んで手前に押し出すことにより取り出すことができる。この方法によれば、奥側に載置されている投入物102も簡単に取り出すことができる。
【0027】
以上説明したように、収納庫及び仕切りによれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)仕切り20によって収納空間13が、異なる方向において複数の空間に仕切られるため、仕切られた空間に物品を分類して収納することができる。また、仕切り20の第2壁部22は、挿入口17よりも下方に位置するため、仕切り20を、挿入口17から収納空間13へ投入した書類等の投入物を受けるトレイとしても機能させることができる。このため、投入物と、その他の多様な物品とが分類して収納され、投入物を含む物品の収納すべき位置及び収納位置が一目でわかるため、物品の収納及び取り出しをしやすくすることができる。さらに、収納庫10の外部から挿入口17を見たときに、挿入口17よりも下方に位置する第2壁部22に載置された投入物が見えにくい。このため、収納庫10の外観を損なわず、且つ盗み見を防いで防犯性を高めることができる。
【0028】
(2)第2壁部22に突出部25が設けられることにより、挿入口17から差し込まれた投入物を受け止めやすくするとともに、且つ投入物の落下を抑制することができる。
(3)第2壁部22の先端部29は上方に延出しているため、投入物の落下を抑制することができる。
【0029】
(4)第2壁部22には、奥行方向Zに延びる貫通孔28が設けられているため、貫通孔28に手を差し込んで、第2壁部22に載置された投入物を簡単に手前に引き出すことができる。
【0030】
(第2実施形態)
図5~
図9を参照して、収納庫及び収納庫に収容される仕切りの第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態では仕切りの構成のみを変更したため、以下、第1実施形態と同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0031】
図5に示すように、仕切り40は、収納庫10の底壁部11Bに設けられる。仕切り40は、収納空間13を、第1空間41及び第2空間42に区画する。第1空間41は、仕切り40と底壁部11Bとの間に設けられる。第2空間42は、仕切り40の上方に設けられる。
【0032】
図6に示すように、仕切り40は、板状の金属材からなる固定台45と、板状の金属材からなる引出部46とを備える。
図6中、二点鎖線で示す引出部46は、固定台45に収納された収納位置にある引出部46を示し、実線で示す引出部46は、引出位置にある引出部46を示す。
【0033】
固定台45は、1対の側壁部47と、上壁部48とを備える。固定台45のうち、引出部46を引き出す正面と、背面とには開口部49が設けられている。
側壁部47の一方の下端には、下方に突出する係止爪50が設けられている。側壁部47の他方の下端には、略L字状に突出する係止爪51が設けられている。側壁部47には、側壁部47を貫通する細長状の摺動溝53が設けられている。
【0034】
引出部46は、1対の側壁部55と、上壁部56とを備えている。側壁部55には、摺動溝53内を摺動可能な1対の摺動部57が設けられている。摺動部57は、引出部46に取り付けられた樹脂製品、又は引出部46を切り欠いて形成されたものである。上壁部48は、側壁部47の長手方向に沿って段差部58が設けられることにより、中央部よりも側方が高くなるように形成されている。また、引出部46の正面側の先端部には、ユーザが引出部46を引き出すための孔部59が設けられている。
【0035】
図7に示すように、1対の摺動部57は、引出部46の側壁部55から突出している。
図7中、左側の摺動部57は、仕切り40の正面側に係止突部57Aを備える。
図7中、右側の摺動部57は、仕切り40の背面側に係止突部57Bを備える。
【0036】
図8に示すように、図中二点鎖線で示す固定台45の左側の側壁部47と引出部46との間には、フレーム60が設けられている。フレーム60は、引出部46の側壁部55と平行な方向に延出する壁部60Aと、壁部60Aから引出部46に対して反対側の方向に水平に延出する壁部60Bと、壁部60Aと平行な壁部60Cとを有する。フレーム60の壁部60Aには、固定台45の右側の側壁部47の摺動溝53と同様な形状の摺動溝61が設けられている。引出部46の左側の側壁部55に設けられた1対の摺動部57は、フレーム60の摺動溝61内を摺動する。これにより、摺動部57は、固定台45の内側に配置され、固定台45の側壁部47から外側に突出しない。このため、固定台45を、その左側の側壁部47が収納庫本体11の側壁部11Aに接するように底壁部11Bに設置することができる。
【0037】
図9を参照して、仕切り40の作用について説明する。
図9は、扉12を全開位置に配置した状態を示す。固定台45に設けられた係止爪50は、収納庫本体11の底壁部11Bに形成された孔部(図示略)に挿入される。また、固定台45に設けられた係止爪51は、底壁部11Bに形成された孔部(図示略)に挿入される。これにより、固定台45は、収納庫本体11に固定される。また、係止爪51は、奥行方向Zに伸びる形状に形成されている。係止爪51がこの形状に形成されることで、引出部46が引き出されること等により、その上面に高さ方向Yの力が加わった場合に、仕切り40が底壁部11Bから浮き上がることを防止することができる。
【0038】
第2空間42には、パーソナルコンピュータ等を収納することができる。また、第1空間41には、フォルダ等の物品を載置することができる。引出部46がユーザの操作によって前方に引き出されると、摺動部57が摺動溝53,61内を摺動する。正面側に配置された摺動部57の係止突部57Aが摺動溝53,61の端部に当接することにより、引出部46は固定台45から最大限引き出された引出位置に配置される。このとき、固定台45の上にフォルダ等が載置されることにより上壁部48が下側に撓むことがある。引出部46には段差部58が設けられているため、引出部46の上壁部56の左側端及び右側端が、撓んだ上壁部48に当接しても、上壁部56の左側端及び右側端を除く部分は上壁部48に当接しないので、引出部46をスムーズに引き出すことができる。
【0039】
引出部46が引出位置にあるとき、引出部46の前方部分は、収納庫本体11の開口14よりも前方に突出する。このように前方に突出した引出部46には、一時的に例えばパーソナルコンピュータ101や書類等を載置することができる。このため、ユーザは、収納庫10から物品を取り出して所望の席へ移動する前に、一時的な作業を行うことができる。
【0040】
また、引出部46がユーザの操作によって固定台45に押し込まれると、摺動部57が摺動溝53,61内を摺動する。背面側に配置された摺動部57の係止突部57Bが摺動溝53,61の端部に当接することにより、引出部46は固定台45に収容された収容位置に配置される。収容位置においては、引出部46は、収納庫本体11の開口14から突出せず、扉12の回動軌跡上に位置しない。
【0041】
以上説明したように、収納庫及び仕切りによれば、以下に記載する効果が得られる。
(5)仕切り40の引出部46を、収納庫本体11の開口14よりも前方に突出させることにより、引出部46に物品を一時的に載置することができる。
【0042】
(その他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0043】
・第1実施形態の仕切り20及び第2実施形態の仕切り40は、板状の金属材からなるとした。これに代えて、仕切り20,40の少なくとも一方を、樹脂材、木材、又は複数の材料の組み合わせによって形成してもよい。
【0044】
・上記各実施形態では、収納庫本体11を金属材から形成した。これに代えて、木材、樹脂材、又は複数の材料の組み合わせによって形成してもよい。
・第1実施形態の仕切り20及び第2実施形態の仕切り40は、板状の金属材から構成した。これに代えて若しくは加えて、仕切り20,40の少なくとも一方を、網材から形成してもよい。網材は、例えば、金属線材から形成された金属網、樹脂からなる樹脂網、多数の孔が穿孔された金属板(例えばパンチングメタル)等である。網材は、仕切り全体に適用してもよいし、仕切りの一部に適用してもよい。
【0045】
・第1実施形態の仕切り20の第2壁部22に設けられた貫通孔28の形状は、長円状ではなく、円形や四角形等、その他の形状であってもよい。または、第2壁部22に複数の貫通孔28を設けるようにしてもよい。
【0046】
・第1実施形態の仕切り20の突出部25の先端部29、及び屈曲部27の少なくとも一方を省略してもよい。例えば前方空間37及び後方空間35を省略するか小さくすることによって、背壁部11C側への投入物の落下を抑制することができる。
【0047】
・第1実施形態の仕切り20の突出部25を省略し、第2壁部22の正面側の端部と、第1壁部21の正面側の端部との奥行方向Zの位置を同じ位置にしてもよい。この態様において、仕切り20の正面側の端部を開口14付近とし、前方空間37を省略するか小さくすることによって、投入物の落下を抑制することができる。
【0048】
・第1実施形態の仕切り20を、第1壁部21及び第2壁部22からなる略L字状の形状としたが、これ以外の形状であってもよい。例えば、第1壁部21、第1壁部21と平行に延びる垂直壁部と、第2壁部22とからなる形状としてもよい。第1壁部21は、第2壁部22の一方の側端部に連結し、垂直壁部は、第2壁部22の他方の側端部に連結する。また、仕切り20の背面側の開口は、仕切り20に設けられた背壁部によって閉塞されていてもよい。
【0049】
・第1実施形態の仕切り20を、爪部23及び固定片26の爪部26Aを介して収納庫本体11に固定するようにしたが、爪部23,26Aのうち少なくとも一方を省略してもよい。また、爪部23,26Aに代えて若しくは加えて、第1壁部21の下端を外側に屈曲させて形成した固定片等、その他の部分によって、仕切り20を収納庫本体11に固定してもよい。
【0050】
・第1実施形態の仕切り20は、その背面と収納庫本体11の背壁部11Cとの間には後方空間35が設けられるようにしたが、収納空間13の奥行方向の長さが短い収納庫10の場合には、後方空間35を省略し、仕切り20の背面を収納庫本体に接近又は接するように設けてもよい。
【0051】
・上記各実施形態では、収納庫本体11は、4つの収納空間13を備えるものとした。これに代えて、収納庫本体11は、1つの収納空間13を備えていてもよいし、4つ以外の複数の収納空間13を備えていてもよい。
【0052】
・上記各実施形態では、収納庫10は、フリーアドレス式のオフィスに設置されるものとして説明したが、学校等、その他の施設に設置されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
10…収納庫、11…収納庫本体、11A…側壁部、11B…底壁部、11C…背壁部、11D…上壁部、12…扉、13…収納空間、14…開口、15…ヒンジ機構、16…錠、17…挿入口、20…仕切り、21…第1壁部、22…第2壁部、23…爪部、24…切り欠き部、25…突出部、26…固定片、26A…孔、27…屈曲部、28…貫通孔、29…先端部、31…第1空間、32…第2空間、33…第3空間、35…後方空間、36…隙間、37…前方空間、40…仕切り、41…第1空間、42…第2空間、45…固定台、46…引出部、47…側壁部、48…上壁部、49…開口部、50,51…係止爪、53,61…摺動溝、55…側壁部、56…上壁部、57…摺動部、57A,57B…係止突部、58…段差、59…孔部。