(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】生体組織採取器具、生体組織採取装置、および生体組織の採取方法
(51)【国際特許分類】
A61B 10/02 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
A61B10/02 110H
A61B10/02 110B
(21)【出願番号】P 2020507954
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2019012248
(87)【国際公開番号】W WO2019182148
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2018056697
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100194515
【氏名又は名称】南野 研人
(73)【特許権者】
【識別番号】522438389
【氏名又は名称】株式会社スリーエスシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】柴田 和博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康二
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-054449(JP,A)
【文献】特開2009-233333(JP,A)
【文献】国際公開第2016/154170(WO,A1)
【文献】特表2017-500085(JP,A)
【文献】特開2009-261946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1切断ユニットと、第2切断ユニットとを含み、
前記第1切断ユニットは、生体組織を切断して切断組織の側面を形成し、
前記第2切断ユニットは、回転時に、前記生体組織を切断して切断組織の底面を形成し、
前記第2切断ユニットは、形状が1枚の板状又は2枚以上の板を組み合わせた形状のいずれか一方であり、前記第1切断ユニット内に配置され、
前記底面は、前記側面と交差する面方向であることを特徴とする、生体組織採取器具。
【請求項2】
前記第2切断ユニットは、前記第1切断ユニットに内接する、請求項1記載の採取器具。
【請求項3】
前記第2切断ユニットは、前記生体組織を切断する第2の切断部と、前記第2の切断部を支持する支持部とを含む、請求項1または2記載の採取器具。
【請求項4】
前記第2の切断部は、前記第1切断ユニットに内接する、請求項3記載の採取器具。
【請求項5】
前記第2の切断部は、前記第1切断ユニットの軸方向に対する断面において、前記断面を横断するように配置される、請求項3または4記載の採取器具。
【請求項6】
前記第1切断ユニットは、前記生体組織を切断する第1の切断部と、前記切断組織を保持する保持部とを含み、
前記第1の切断部は、前記保持部の一端に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載の採取器具。
【請求項7】
前記保持部は、筒であり、
前記第1の切断部は、前記筒の開口部に配置される、請求項6記載の採取器具。
【請求項8】
前記第1切断ユニットは、前記保持部に保持された前記切断組織の脱離を規制する規制部を含む、請求項6または7記載の採取器具。
【請求項9】
前記第2切断ユニットは、前記第1切断ユニットに着脱可能に配置される、請求項1から8のいずれか一項に記載の採取器具。
【請求項10】
前記第2切断ユニットは、前記第1切断ユニットに固定されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の採取器具。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の生体組織採取器具と、移動ユニットと、回転ユニットとを含み、
前記移動ユニットは、前記生体組織採取器具を、生体組織に向かって前進および前記生体組織から後退可能であり、
前記回転ユニットは、前記第2切断ユニットを回転可能であることを特徴とする、生体組織採取装置。
【請求項12】
閉塞ユニットを含み、
前記閉塞ユニットは、前記生体組織採取器具の開口部を開閉可能に閉塞する、請求項11記載の採取装置。
【請求項13】
回転止めユニットを含み、
前記回転止めユニットは、前記回転ユニットによる前記生体組織採取器具の回転を阻害する、請求項11または12記載の採取装置。
【請求項14】
取付ユニットを含み、
前記取付ユニットは、前記生体組織採取器具を着脱可能に取付する、請求項11から13のいずれか一項に記載の採取装置。
【請求項15】
請求項1から10のいずれか一項に記載の生体組織採取器具を生体組織内に導入し、前記第1切断ユニットにより生体組織を切断して切断組織の側面を形成する第1の切断工程と、
前記生体組織採取器具を回転し、前記第2切断ユニットにより、前記生体組織を切断して前記切断組織の底面を形成する第2の切断工程と、
前記生体組織採取器具を、前記生体組織外に導出し、前記切断組織を回収する回収工程とを含むことを特徴とする、
非ヒト動物の生体組織の採取方法。
【請求項16】
前記生体組織採取器具は、請求項1から10のいずれか一項に記載の生体組織採取器具を含む、請求項11から14のいずれか一項に記載の生体組織採取装置であり、
前記第1の切断工程において、前記移動ユニットにより、前記生体組織採取器具を生体組織内に導入し、前記第1切断ユニットにより生体組織を切断して切断組織の側面を形成し、
前記第2の切断工程において、前記回転ユニットにより、前記生体組織採取器具を回転し、前記第2切断ユニットにより、前記生体組織を切断して前記切断組織の底面を形成し、
前記回収工程において、前記移動ユニットにより、前記生体組織採取器具を、前記生体組織外に導出し、前記切断組織を回収する、請求項15記載の採取方法。
【請求項17】
前記生体組織が、軟骨、膜組織、皮膚組織、皮下組織、血管組織、ホルモン産生組織、神経、腱、肝臓組織、脂肪および筋肉からなる群から選択された少なくとも1つである、請求項15または16記載の採取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織採取器具、生体組織採取装置、および生体組織の採取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体組織検査(以下、「生検」ともいう)を行なう場合、生検針等を用いて、組織採取が実施される。生検針を用いる場合、生体組織への穿刺後、減圧吸引し、生検針の先端周囲の生体組織を針内に吸い込むことにより、生体組織を採取する(非特許文献1)。しかしながら、吸引採取で得られた生体組織は、採取時に組織構造が破壊される。このため、元の組織構造を維持した状態で、生体組織を採取できないという問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】株式会社トップ、「トップ吸引生検針(トップ吸引生検針(穿刺セット))(トップ吸引生検針(減圧セット))(トップ吸引生検針(キット))使用説明書」、2016年8月改訂
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、組織構造の破壊が低減された生体組織を採取可能な生体組織採取器具、生体組織採取装置、および生体組織の採取方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明の生体組織採取器具(以下、「採取器具」ともいう)は、第1切断ユニットと、第2切断ユニットとを含み、
前記第1切断ユニットは、生体組織を切断して切断組織の側面を形成し、
前記第2切断ユニットは、回転時に、前記生体組織を切断して切断組織の底面を形成し、
前記第2切断ユニットは、前記第1切断ユニット内に配置され、
前記底面は、前記側面と交差する面方向であることを特徴とする。
【0006】
本発明の生体組織採取装置(以下、「採取装置」ともいう)は、前記本発明の生体組織採取器具と、移動ユニットと、回転ユニットとを含み、
前記移動ユニットは、前記生体組織採取器具を、生体組織に向かって前進および前記生体組織から後退可能であり、
前記回転ユニットは、前記第2切断ユニットを回転可能であることを特徴とする。
【0007】
本発明の生体組織の採取方法(以下、「採取方法」ともいう)は、前記本発明の生体組織採取器具を生体組織内に導入し、前記第1切断ユニットにより生体組織を切断して切断組織の側面を形成する第1の切断工程と、
前記生体組織採取器具を回転し、前記第2切断ユニットにより、前記第1切断ユニットにより切断された生体組織を切断して前記切断組織の底面を形成する第2の切断工程と、
前記生体組織採取器具を、前記生体組織外に導出し、前記切断組織を回収する回収工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、組織構造の破壊が低減された生体組織(切断組織)を採取できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の採取器具の一例を示す図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、A-A’方向の断面図であり、(C)は、B-B’方向の断面図であり、(D)は、C-C’方向の断面図であり、(E)は、分解図である。
【
図2】
図2は、本発明の採取器具の他の例を示す図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、A-A’方向の断面図であり、(C)は、B-B’方向の断面図であり、(D)は、C-C’方向の断面図であり、(E)は、分解図である。
【
図3】
図3は、本発明の採取器具の他の例を示す図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、A-A’方向の断面図であり、(C)は、B-B’方向の断面図であり、(D)は、C-C’方向の断面図であり、(E)は、分解図である。
【
図4】
図4は、本発明の採取器具の他の例を示す図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、A-A’方向の断面図であり、(C)は、B-B’方向の断面図であり、(D)は、C-C’方向の断面図であり、(E)は、分解図である。
【
図5】
図5は、本発明の採取器具の他の例を示す図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、D-D’方向の断面図であり、(C)は、E-E’方向の断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の採取器具の他の例を示す図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、D-D’方向の断面図であり、(C)は、E-E’方向の断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の採取器具の他の例を示す図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、D-D’方向の断面図であり、(C)は、E-E’方向の断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の採取器具の他の例を示す図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、D-D’方向の断面図であり、(C)は、E-E’方向の断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の採取装置の一例を示す斜視図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、(A)における採取器具100の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<生体組織採取器具>
本発明の生体組織採取器具は、前述のように、第1切断ユニットと、第2切断ユニットとを含み、前記第1切断ユニットは、生体組織を切断して切断組織の側面を形成し、前記第2切断ユニットは、回転時に、前記生体組織を切断して切断組織の底面を形成し、前記第2切断ユニットは、前記第1切断ユニット内に配置され、前記底面は、前記側面と交差する面方向であることを特徴とする。本発明の採取器具は、前記第1切断ユニットが、前記生体組織を切断して切断組織の側面を形成し、前記第2切断ユニットが、回転時に、前記第1切断ユニットにより切断された生体組織を切断して切断組織の底面を形成し、前記第2切断ユニットが、前記第1切断ユニット内に配置され、前記底面が、前記側面と交差する面方向であることを特徴とし、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の生体組織採取器具は、例えば、後述の本発明の採取装置および採取方法の説明を援用できる。
【0011】
本発明の採取器具は、例えば、まず、前記採取器具を生体組織に導入すると、この導入に伴って、前記第1切断ユニットが前記生体組織を切断し、つぎに、前記第2ユニットを回転すると、この回転に伴って、前記第2切断ユニットが前記生体組織をさらに切断する。この際、前記第1切断ユニットは、例えば、前記生体組織に対する前記採取器具の導入方向に沿って、前記生体組織を切断するため、最終的に得られる切断組織の側面を形成し、前記第2切断ユニットは、前記切断組織の底面を形成する。前記切断組織において、前記底面は、前記側面に対して交差する方向の面である。また、前記切断組織において、前記底面と対向する面は、例えば、本発明の採取器具を前記生体組織に導入する際の生体組織の表面(例えば、皮膚等の上皮組織)である。導入対象の生体組織は、例えば、生体から分離した生体組織でもよいし、生体であってもよい。このため、前記切断組織は、例えば、前記側面および底面の形成により、前記生体組織から分離可能となる。また、本発明の採取器具は、例えば、前記切断組織の形成にあたり、前記生体組織の吸引を行わずに実施できる。したがって、本発明の採取器具によれば、組織構造の破壊が低減された生体組織を採取できる。前記「組織構造の破壊の低減」は、例えば、前記生体組織における層構造または階層構造が維持されていることを意味する。具体例として、例えば、前記生体組織外から生体組織内方向に向かって、上皮組織、結合組織、および筋組織がこの順序で積層されている生体組織の場合、前記切断組織において、前記上皮組織、前記結合組織、および前記筋組織がこの順序で積層されていると、前記層構造または階層構造が維持されているといえる。他方、前記切断組織において、前記上皮組織、前記結合組織、および前記筋組織の順序が変わっている場合、または2以上の組織が独立した層ではなく、混合している場合、例えば、前記層構造または階層構造が維持されていない、すなわち、前記組織構造が破壊されているといえる。なお、前記第1切断ユニットによる切断後に、前記第2切断ユニットによる切断を実施する場合、すなわち前記第1切断ユニットにより切断された生体組織を切断して切断組織の底面を形成する場合を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明の採取器具は、例えば、前記第1切断ユニットによる切断と同時または切断に先立ち、前記第2切断ユニットは、前記生体組織を切断してもよい。
【0012】
本発明の採取器具は、前記第2切断ユニットにより、前記切断組織の底面を形成できる。前述の生検針のように、前記第2切断ユニットを有さない採取器具の場合、前記採取器具は、例えば、前記切断組織の底面を形成できない。このため、前記採取器具が前記生体組織を貫通できると、前記採取器具は、例えば、前記表面と対向する前記生体組織の他方の表面を前記底面とできるため、前記切断組織を採取できる。しかしながら、前記第2切断ユニットを有さない採取器具の場合、前記採取器具が前記生体組織を貫通できないと、前記採取器具は、例えば、前記底面を形成できず、前記側面のみを形成できる。この場合、前記切断組織は、例えば、前記底面と対応する部分において生体組織と連結している。このため、前記切断組織は、例えば、採取できない。一方、本発明の採取器具は、前記生体組織が、本発明の採取器具により貫通できない場合においても、前記第2切断ユニットにより底面を形成できる。このため、本発明の採取器具は、例えば、本発明の採取器具により貫通できない程度の厚みがある生体組織に対しても、前記側面および底面を形成することにより、前記切断組織を前記生体組織から分離可能とできる。このため、本発明の採取器具によれば、例えば、任意の厚みの生体組織から、前記切断組織を採取できる。
【0013】
本発明の採取器具は、例えば、対象物から、対象物の一部を分離することができる。このため、本発明の採取器具は、例えば、「生体組織分離器具」ということもできる。前記対象物は、特に制限されず、例えば、乳がん、皮膚がん等の固形がん等があげられる。本発明の採取器具を前記がんの分離に用いる場合、本発明の採取器具は、例えば、「手術器具」ということもできる。また、本発明の採取器具は、例えば、内視鏡等の医療器具における生体組織の採取器具としても使用できる。この場合、本発明の採取器具は、例えば、「医療器具」ということもできる。
【0014】
本発明において、前記側面と前記底面とは、前述のように、前記底面が、前記側面と交差する面方向であればよい、すなわち、前記側面と前記底面とは、それぞれの面方向が交差している。前記側面と前記底面とは、例えば、前記切断組織の組織構造の破壊をより低減できることから、前記底面が、その交差角度が、90±30度、90±20度、90±10度、90±1度であり、略直交または直交が好ましい。
【0015】
本発明において、各種「ユニット」は、例えば、「手段」または「機構」と読み替え可能である。
【0016】
本発明において、前記生体組織は、特に制限されず、例えば、生検に供される生体組織があげられる。具体例として、前記生体組織は、例えば、軟骨、皮膚組織、皮下組織、血管組織、肝臓組織、骨膜、滑膜、粘膜、歯根膜等の膜組織、甲状腺、副腎、前立腺等のホルモン産生組織、神経組織、腱等があげられる。前記生体組織は、例えば、器官等でもよい。前記器官は、例えば、乳房等があげられる。前記生体および生体組織の由来は、例えば、ヒトでもよいし、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、サル、トリ、ヒツジ等の非ヒト動物でもよい。
【0017】
本発明の採取器具の前記第1切断ユニットおよび前記第2切断ユニットについて、
図1~
図8を用いて説明する。
【0018】
図1は、本発明の採取器具の一例を示す概略図である。
図1において、(A)は、斜視図であり、(B)は、A-A’方向の断面図であり、(C)は、B-B’方向の断面図であり、(D)は、C-C’方向の断面図であり、(E)は、分解図である。
図1に示すように、採取器具100は、第1切断ユニット1および第2切断ユニット2を有する。第1切断ユニット1は、前記生体組織を切断する第1の切断部である刃11と、前記切断組織を保持する保持部である筒12とを有する。刃11は、筒12の開口部に形成されている。第2切断ユニット2は、前記生体組織を切断する第2の切断部である刃21と、前記切断部を支持する支持部22とを含む。刃21は、支持部22において、筒12の開口部側端部に形成されている。
図1(E)において矢印で示すように、第2切断ユニット2は、第1切断ユニット1内に着脱可能に配置される。
図1(B)および(D)に示すように、第2切断ユニット2において、刃21および支持部22は、その側面が、それぞれ、刃11および筒12と内接している。
図1(B)に示すように、刃21は、筒12の軸方向に対する断面において、前記断面を横断するように配置されている。また、刃21は、筒12の断面の中心(重心)を通るように配置されている。
【0019】
採取器具100の第1切断ユニット1により前記生体組織を切断する際、矢印X方向の先に生体組織または生体を配置し、矢印X方向に採取器具100を進めることにより、刃11により生体組織が切断され、前記切断組織の側面が形成される(第1の切断工程)。また、この際に、刃21により、前記生体組織は、切断される。つぎに、採取器具100を、前記生体組織に導入した状態で、第2切断ユニット2を筒12の周方向に回転させる。これにより、刃21により生体組織が切断され、前記切断組織の底面が形成される(第2の切断工程)。第2切断ユニット2は、例えば、採取器具100を回転させることにより、回転させてもよい。周方向の回転角度は、例えば、前記切断組織の底面が形成される角度であればよい。具体例として、第2切断ユニット2の回転角度は、例えば、180°以上である。刃11により形成された前記側面と、刃21により切断された前記底面とは、交差している。すなわち、前記底面は、例えば、前記側面と接続している。このため、前記切断組織は、周囲の生体組織と分離する。したがって、前記切断組織は、例えば、採取器具100を、矢印X方向と逆方向に戻すことにより、採取(回収)される(回収工程)。
【0020】
採取器具100において、第1切断ユニット1は、前記生体組織を切断する第1の切断部である刃11と、前記切断組織を保持する保持部である筒12を有するが、第1切断ユニット1は、前記生体組織を切断して切断組織の側面を形成できればよく、他の構成を採用してもよい。具体例として、第1切断ユニット1は、例えば、前記第1の切断部である刃11のみを有してもよい。
【0021】
採取器具100において、刃11は、筒12の開口部全体に形成されているが、一部に形成されてもよい。刃11は、筒12の開口部全体に形成されることにより、例えば、採取器具100の生体組織の切断時の抵抗を低減でき、切断時の過度な力により生じる生体組織(切断組織)の組織構造の破壊を低減できる。前記保持部が筒12以外の形状の場合、前記第1切断部は、前記保持部の一端に、より具体的には、前記保持部の生体組織への導入端側に形成される。採取器具100において、刃11は、両刃であるが、片刃としてもよい。採取器具100は、刃11を両刃とすることにより、例えば、採取器具100により前記生体組織を切断する際の抵抗を低減できる。このため、採取器具100は、切断時の過度な力により生じる生体組織の組織構造の破壊をより低減できる。刃11の刃の角度は、特に制限されず、例えば、10~120°、10~60°、60~90°、90~120°である。前記刃の角度は、例えば、一方の刃面に対して他方の刃面が交差する角度を意味する。刃11の厚みは、例えば、刃11の材質の強度(例えば、硬さ、弾力)に応じて、適宜設定できるが、例えば、切断時の抵抗を低減でき、切断時の過度な力により生じる生体組織(切断組織)の組織構造の破壊を低減できることから、薄い方が好ましい。刃11の厚みは、例えば、10~500μmであり、好ましくは、30~500μmである。
【0022】
採取器具100において、前記保持部である筒12は、円筒であるが、前記切断組織を保持できる構造であればよい。前記保持部は、例えば、断面円状の円状もしくは方形状の筒または箱等があげられる。前記保持部が筒の場合、前記保持部は、例えば、有底筒状でもよい。この場合、前記第1の切断部は、前記有底筒の開口部に形成される。また、前記底部は、例えば、前記保持部内の前記切断組織を保持部外に容易に導出可能となることから、孔を有することが好ましい。前記保持部は、例えば、その側面に開口部を有さないことが好ましい。前記側面は、例えば、前記保持部の周方向の面を意味する。前記保持部が側面に開口部を有さないことにより、採取器具100は、例えば、回転時に、前記切断組織との摩擦により生じる生体組織の組織構造の破壊を低減できる。前記保持部の径(直径)は、特に制限されず、採取する切断組織の径に応じて適宜設定できる。前記保持部の径(直径)は、例えば、0.2~50mm、0.2~10mm、10~50mmである。また、前記保持部の長さは、特に制限されず、採取する生体組織の前記表面からの深さに応じて設定できる。前記保持部の長さは、例えば、20~300mm、20~100mm、100~300mmである。前記長さは、例えば、前記保持部の軸方向の距離を意味する。採取器具100を生体組織採取器具として用いる場合、前記保持部の径(直径)は、好ましくは、0.1~0.9mm、1~3mm、4~6mmである。また、採取器具100を手術器具として用いる場合、前記保持部の径(直径)は、好ましくは、3~30mm、3~5mm、5~10mm、10~30mmである。
【0023】
採取器具100において、第2切断ユニット2は、前記生体組織を切断する第2の切断部である刃21と、前記刃21を支持する支持部22とを有するが、第2切断ユニット2は、例えば、回転時に、第1切断ユニット1により切断された生体組織を切断して切断組織の底面を形成できればよく、他の構成を採用してもよい。具体例として、第2切断ユニット2は、例えば、前記第2の切断部である刃21のみを有してもよい。採取器具100において、第2切断ユニット2は、第1切断ユニット1に内接しているが、内接しなくてもよい。第1切断ユニット1を、第2切断ユニット2に内接するように配置することにより、採取器具100は、例えば、前記底面を効率よく形成でき、前記生体組織の組織構造の破壊を低減できる。
【0024】
採取器具100において、第2切断ユニット2は、第1切断ユニット1内に着脱可能に配置されるが、第1切断ユニット1内に固定されてもよいし、第1切断ユニット1と一体形成されてもよい。第2切断ユニット2を第1切断ユニット1内に固定する、または第1切断ユニット1と一体形成することにより、採取器具100は、例えば、採取器具100を回転させる際の力を刃11および刃21に伝達しやすくなる。このため、このような構成を採用することにより、採取器具100は、例えば、採取する生体組織が、前記表面から深い位置に存在する場合も、容易に前記切断組織を採取できる。第1切断ユニット1内への第2切断ユニット2の固定は、例えば、固定部材を用いて実施できる。前記固定部材は、例えば、バネ等があげられる。
【0025】
採取器具100において、刃21は、第1切断ユニット1に内接しているが、内接しなくてもよい。前記第2の切断部である刃21を、第1切断ユニット1に内接するように配置することにより、採取器具100は、例えば、前記底面を効率よく形成でき、前記生体組織の組織構造の破壊をより低減できる。また、刃21は、筒12の軸方向に対する断面において、前記断面を横断するように直線状に配置されているが、曲線状に配置されていてもよい。前記断面は、例えば、第1切断ユニット1、より具体的には、前記保持部の軸方向に対し略直交または直交方向の断面であることが好ましい。前記略直交方向は、例えば、前記軸方向と、前記断面との交差角度が、90±30度、90±20度、90±10度、90±1度であることを意味する。前記略直交方向の断面とすることにより、採取器具100は、例えば、第2切断ユニット2により底面を形成する際に、前記底面側の生体組織の組織構造の破壊をより低減できる。刃21は、前記断面において、前記断面の中心を通るように配置されているが、刃21は、前記断面の中心を通らなくてもよい。刃21が、前記断面の中心を通るように配置されることにより、採取器具100は、例えば、前記底面を効率よく形成でき、前記生体組織の組織構造の破壊をより低減できる。
【0026】
採取器具100において、刃21は、筒12の軸方向(
図1(E)における左右方向)において、刃11と同じ位置に配置されているが、異なる位置に配置してもよい。具体例として、刃21は、筒12の軸方向において、刃11より筒12の内側方向(
図1(E)における右方向)に配置してもよいし、刃11より筒の外側方向(
図1(E)における左方向)に配置してもよい。
【0027】
採取器具100において、刃21は、両刃であるが、片刃としてもよい。採取器具100は、刃21を両刃とすることにより、例えば、採取器具100により前記生体組織を切断する際の抵抗を低減できる。このため、採取器具100は、切断時の過度な力により生じる生体組織の組織構造の破壊をより低減できる。刃21の刃の角度は、特に制限されず、15~180°、15~30°、30~90°、90~180°である。前記刃の角度は、例えば、一方の刃面に対して他方の刃面が交差する角度を意味する。刃21の厚みは、例えば、刃21の材質の強度(例えば、硬さ、弾力)に応じて、適宜設定できるが、例えば、切断時の抵抗を低減でき、切断時の過度な力により生じる生体組織(切断組織)の組織構造の破壊を低減できることから、薄い方が好ましい。刃21の厚みは、例えば、10~2000μmであり好ましくは、30~1000μmである。
【0028】
採取器具100において、支持部22は、方形状の板であるが、前記第2の切断部である刃21を支持できる形状であればよく、任意の形状とできる。支持部22の大きさは、特に制限されず、前記保持部の大きさおよび形状に基づき、適宜設定できる。
【0029】
採取器具100において、第2切断ユニット2は、その全体が、第1切断ユニット1内に配置されているが、その一部が第1切断ユニット1内に配置されてもよい。第2切断ユニット2の一部が第1切断ユニット1内に配置されている場合、第2切断ユニット2の一部は、例えば、第1切断ユニット1内から第1切断ユニット1外に向かって突出している。
【0030】
採取器具100において、各構成の形成材料は、特に制限されず、ステンレス、チタン等の金属、プラスチック、ポリ塩化ビニル、テフロン(登録商標)、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の樹脂、炭素繊維等のカーボン等があげられる。前記形成材料は、例えば、回転操作時に、第2切断ユニット2の先端部分まで力を効率よく伝達でき、かつ製造コストを低減できることから、ステンレスが好ましい。採取器具100は、例えば、その全体が同じ形成材料で形成されてもよい。
【0031】
採取器具100において、第1切断ユニット1は、円筒状であり、第2切断ユニット2は、板状であり、第2切断ユニット2は、第1切断ユニット1に着脱可能に配置できるが、第1切断ユニット1および第2切断ユニット2の形状および構成は、これに限定されない。本発明において、第1切断ユニット1は、例えば、その内表面に溝等の凹部を1以上有し、第2切断ユニット2は、前記凹部と嵌合されることにより、第1切断ユニット1内に配置されてもよい。また、この場合、第1切断ユニット1と第2切断ユニットとの嵌合部における接触面は、例えば、溶接等により接合されてもよい。第1切断ユニット1および第2切断ユニット2の他の例について、
図2~
図8を用いて説明する。なお、
図2~
図8における第1切断ユニット1および第2切断ユニット2は、それぞれ組合せ可能である。
図2~
図8は、本発明の採取器具の他の例を示す概略図である。
図2~
図4において、(A)は、斜視図であり、(B)は、A-A’方向の断面図であり、(C)は、B-B’方向の断面図であり、(D)は、C-C’方向の断面図であり、(E)は、分解図を示す。
図2~
図4において、(E)の左図は、第1切断ユニット1の平面図であり、(E)の右側上段の図は、第2切断ユニット2の平面図であり、(E)の右側下段の図は、第2切断ユニット2の右側面図である。
図5~
図8において、(A)は、斜視図であり、(B)は、D-D’方向の断面図であり、(C)は、E-E’方向の断面図である。
【0032】
図2に示すように、採取器具110は、第1切断ユニット1および第2切断ユニット2を有する。採取器具110において、第1切断ユニット1の保持部である筒12は、刃11が形成されている開口部端側において、テーパ状である。具体的には、筒12は、例えば、刃11に向かって狭まるテーパ状である。第1切断ユニット1をこのような構成にすることにより、採取器具110は、例えば、採取器具110により前記生体組織を切断する際の抵抗を低減できる。このため、採取器具110は、切断時の過度な力により生じる生体組織の組織構造の破壊をより低減できる。前記テーパの角度(
図2(E)における二点鎖線L1とL2との交差角度)は、例えば、10~30°である。これらの点を除き、採取器具110は、採取器具100と同様の構成を有し、その説明を援用できる。
【0033】
図3に示すように、採取器具120は、第1切断ユニット1および第2切断ユニット2を有する。採取器具120において、第1切断ユニット1の保持部である筒12は、刃11が形成されている開口部が、一端から他端に向かって傾斜するように形成されている。第1切断ユニット1をこのような構成にすることにより、採取器具120は、例えば、採取器具120により前記皮膚組織等の固い生体組織を切断する際の抵抗を低減できる。このため、採取器具120は、切断時の過度な力により生じる生体組織の組織構造の破壊をより低減できる。前記開口部の傾斜(
図3における二点鎖線L3)と筒12との交差角度αは、例えば、15~30°である。また、採取器具120において、第2切断ユニット2の支持部22は、筒12の開口部端側において、その側面から中央部が、筒12の開口部端側に向かって逆テーパ状の凸部(突出部)として形成されている。前記凸部の角度β(
図3(E)における二点鎖線L4とL5との交差角度β)は、例えば、90~120°である。これらの点を除き、採取器具120は、採取器具100と同様の構成を有し、その説明を援用できる。
【0034】
図4に示すように、採取器具130は、第1切断ユニット1および第2切断ユニット2を有する。採取器具130において、第1切断ユニット1の保持部である筒12は、刃11が形成されている開口部において、その両側面が、前記生体組織に対して逆円弧状の凹部として形成されている。そして、筒12の開口部において、2つの凹部の接合部が、突出部を形成している。これにより、採取器具130により前記皮膚組織等の固い生体組織を切断する際に、切断開始時の抵抗を低減できる。また、採取器具130において、第2切断ユニット2の支持部22は、採取器具120の支持部22と同様であり、その説明を援用できる。これらの点を除き、採取器具130は、採取器具100と同様の構成を有し、その説明を援用できる。
【0035】
図5に示すように、採取器具140は、第1切断ユニット1および第2切断ユニット2を有する。採取器具140において、第2切断ユニット2の支持部22は、筒12の軸方向の長さが短縮化されている。また、第2切断ユニット2は、その2つの第1切断ユニット1との接触面、すなわち、
図5(B)に示す刃21および支持部22における上端および下端の面を第1切断ユニット1の内周面と接合し、固定することで、第1切断ユニット1と一体化されている。第2切断ユニット2を第1切断ユニット1内に固定化することにより、採取器具140は、例えば、採取器具140を回転させる際の力を刃11および刃21に伝達しやすくなる。このため、このような構成を採用することにより、採取器具140は、例えば、採取する生体組織が、前記表面から深い位置に存在する場合も、容易に前記切断組織を採取できる。これらの点を除き、採取器具140は、採取器具100と同様の構成を有し、その説明を援用できる。
【0036】
図6に示すように、採取器具150は、第1切断ユニット1および第2切断ユニット2を有する。採取器具150において、第2切断ユニット2の支持部22は、筒12の軸方向の長さが短縮化されている。また、第2切断ユニット2は、その3つの第1切断ユニット1との接触面、すなわち、
図6(B)に示す刃21および支持部22における上端、右下端および左下端の面を第1切断ユニット1の内周面と接合し、固定することで、第1切断ユニット1と一体化されている。第2切断ユニット2を第1切断ユニット1内に固定化することにより、採取器具150は、例えば、採取器具150を回転させる際の力を刃11および刃21に伝達しやすくなる。このため、このような構成を採用することにより、採取器具150は、例えば、採取する生体組織が、前記表面から深い位置に存在する場合も、容易に前記切断組織を採取できる。また、採取器具150において、第2切断ユニット2の刃21は、3枚の刃が、筒12の軸方向に対し直交方向の断面の中心から筒12に向かって、配置されている。また、刃21は、各刃の交差角度が、略等角度(約120°)となるように配置されている。このような構成を採用することにより、採取器具150は、例えば、第2切断ユニット2を回転させる際の回転角度を小さくできるため、第2切断ユニット2により切断する際の生体組織の組織構造の破壊をより低減できる。これらの点を除き、採取器具150は、採取器具100と同様の構成を有し、その説明を援用できる。
【0037】
図7に示すように、採取器具160は、第1切断ユニット1および第2切断ユニット2を有する。採取器具160において、第2切断ユニット2の支持部22は、筒12の軸方向の長さが短縮化されている。また、第2切断ユニット2は、その4つの第1切断ユニット1との接触面、すなわち、
図7(B)に示す刃21および支持部22における上端、右端、下端、左端の面を第1切断ユニット1の内周面と接合し、固定することで、第1切断ユニット1と一体化されている。第2切断ユニット2を第1切断ユニット1内に固定化することにより、採取器具160は、例えば、採取器具160を回転させる際の力を刃11および刃21に伝達しやすくなる。このため、このような構成を採用することにより、採取器具160は、例えば、採取する生体組織が、前記表面から深い位置に存在する場合も、容易に前記切断組織を採取できる。また、採取器具160において、第2切断ユニット2の刃21は、4枚の刃が、筒12の軸方向に対し直交方向の断面の中心から筒12に向かって、配置されている。また、刃21は、各刃の交差角度が、略等角度(約90°)となるように配置されている。このような構成を採用することにより、採取器具160は、例えば、第2切断ユニット2を回転させる際の回転角度をより小さくできるため、第2切断ユニット2により切断する際の生体組織の組織構造の破壊をさらに低減できる。これらの点を除き、採取器具160は、採取器具100と同様の構成を有し、その説明を援用できる。
【0038】
図8に示すように、採取器具170は、第1切断ユニット1および第2切断ユニット2を有する。採取器具170において、第2切断ユニット2は、支持部22を有さず、線状の刃21のみを有する。これにより、採取器具170により前記皮膚組織等の固い生体組織を切断する際に、切断開始時の抵抗を低減できる。また、第2切断ユニット2において、その2つの第1切断ユニット1との接触部、すなわち、
図8(B)に示す刃21における上端および左端を第1切断ユニット1の内周面と接合し、固定することで、第1切断ユニット1と一体化されている。第2切断ユニット2を第1切断ユニット1内に固定化することにより、採取器具170は、例えば、採取器具170を回転させる際の力を刃11および刃21に伝達しやすくなる。このため、このような構成を採用することにより、採取器具170は、例えば、採取する生体組織が、前記表面から深い位置に存在する場合も、容易に前記切断組織を採取できる。これらの点を除き、採取器具170は、採取器具100と同様の構成を有し、その説明を援用できる。
【0039】
採取器具100は、例えば、後述の本発明の採取装置に取付けるための取付ユニットを有してもよい。前記取付ユニットは、例えば、第1切断ユニット1の筒12において、刃11と反対端側に配置される。前記取付ユニットは、後述する採取装置における取付ユニットの説明を援用できる。第1切断ユニット1に配置される取付ユニットは、例えば、後述の取付器具でもよい。
【0040】
採取器具100は、例えば、第1切断ユニット1の開口部を開閉可能に閉塞する閉塞ユニットを有してもよい。前記「開閉可能に閉塞する」とは、例えば、採取器具100に配置された状態において、前記閉塞ユニットが、採取器具100の開口部を閉塞でき、かつ前記開口部を開閉可能であることを意味する。前記閉塞ユニットは、例えば、第1切断ユニット1が開口部を有する時に配置される。前記閉塞ユニットが配置される第1切断ユニット1の開口部は、例えば、第1切断ユニット1における刃11が形成された開口部を除く、すなわち、第1切断ユニット1における2つの開口部のうち、刃11が形成されていない開口部であることが好ましい。前記閉塞ユニットは、例えば、前記開口部を開閉可能に閉塞可能な物であればよく、例えば、開口部の外部を塞ぐシート、開口部の内部を塞ぐゴム等の閉塞部材、これらの組合せ等があげられる。前記シートは、例えば、メッシュ等があげられる。前記組合せは、特に制限されず、例えば、前記開口部の一部が前記閉塞部材により閉塞され、前記開口部の残部が、前記シートで閉塞されている。採取器具100は、前記閉塞ユニットを有することで、例えば、第1切断ユニット1および第2切断ユニット2による切断後に、採取器具100を矢印X方向と逆方向に移動させる際に、第1切断ユニット1の内部空間に負圧が生じ、第1切断ユニット1内の切断組織が、採取器具100から脱落(脱離)することを防止できる。このため、前記閉塞ユニットを有する採取器具100によれば、前記切断組織をより簡便に回収できる。前記閉塞ユニットは、例えば、第1切断ユニット1と別部材として設けられてもよいし、同一部材として設けられてもよい、すなわち、第1切断ユニット1と一体形成されてもよい。
【0041】
採取器具100において、例えば、第1切断ユニット1は、保持部である筒12に保持された前記切断組織の脱離を規制する規制部を含んでもよい。前記規制部は、例えば、採取器具100を生体組織外に向かって導出する際に、第1切断ユニット1の内部空間に負圧が生じ、第1切断ユニット1内の切断組織が、筒12から脱離することを防止する。具体例として、前記規制部は、例えば、一方弁(逆止弁)等の弁があげられる。採取器具100が前記閉塞ユニットを有する場合、前記閉塞ユニットが、前記規制部を兼ねてもよい。第1切断ユニット1における規制部の配置箇所は、例えば、刃11が形成されていない開口部、筒12の内部等があげられる。前記規制部が筒12の内部に配置される場合、前記規制部は、第1切断ユニット1および第2切断ユニット2により前記生体組織を切断した際に、得られた切断組織と接触しない位置に配置されることが好ましい。
【0042】
採取器具100は、例えば、第1切断ユニット1の保持部である筒12内に保持された切断組織を筒12外に回収可能な回収ユニットを有してもよい。前記回収ユニットは、例えば、第1の切断部である刃11が形成された開口部または刃11が形成されていない開口部から筒12内を吸引可能な吸引手段、刃11が形成された開口部または刃11が形成されていない開口部から筒12内を加圧可能な加圧手段、筒12内の前記切断組織と接触し、前記切断組織を押し出す押出手段等があげられる。前記押出手段は、例えば、棒状の部材があげられる。前記棒状の部材は、例えば、刃11および筒12の形状に応じて、その形状を適宜設計できる。
【0043】
本発明の採取器具によれば、例えば、前記採取器具を生体組織に導入し、前記生体組織内で回転させ、前記生体組織から導出することにより、前記切断組織を採取できる。このため、本発明の採取器具によれば、前記切断組織の形成にあたり、前記生体組織の吸引を行わずに実施できる。したがって、本発明の採取器具によれば、組織構造の破壊が低減された生体組織を採取できる。
【0044】
<生体組織採取装置>
本発明の生体組織採取装置は、前述のように、前記本発明の生体組織採取器具と、移動ユニットと、回転ユニットとを含み、前記移動ユニットは、前記生体組織採取器具を、生体組織に向かって前進および前記生体組織から後退可能であり、前記回転ユニットは、前記第2切断ユニットを回転可能であることを特徴とする。本発明の採取装置は、前記採取器具が、前記本発明の採取器具であることが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の採取装置は、例えば、前記本発明の採取器具および後述の本発明の採取方法の説明を援用できる。本発明の採取装置は、例えば、前記切断組織の形成にあたり、前記生体組織の吸引を行わずに実施できる。したがって、本発明の採取装置によれば、組織構造の破壊が低減された生体組織を採取できる。また、本発明の採取装置によれば、例えば、任意の厚みの生体組織から、前記切断組織を採取できる。
【0045】
本発明の採取装置は、例えば、対象物から、対象物の一部を分離することができる。このため、本発明の採取装置は、例えば、「生体組織分離装置」ということもできる。前記対象物は、特に制限されず、例えば、乳がん、皮膚がん等の固形がん等があげられる。本発明の採取装置を前記がんの分離に用いる場合、本発明の採取装置は、例えば、「手術装置」ということもできる。また、本発明の採取装置は、例えば、内視鏡等の医療器具における生体組織の採取装置としても使用できる。この場合、本発明の採取装置は、例えば、「医療装置」ということもできる。
【0046】
本発明の採取装置について、
図9を用いて説明する。
図9は、本発明の採取装置の一例を示す概略図である。
図9において、(A)は、斜視図であり、(B)は、(A)における採取器具100の拡大図を示す。
図9において、矢印方向に前記生体組織が配置される。
図9に示すように、採取装置200は、採取器具100、移動ユニット3、回転ユニット4、回転止めユニット5、および取付ユニット6を主要な構成として有する。移動ユニット3は、ガイド31、カバー32、支持具33、把持具34、およびバネ部材35を有する。ガイド31は、回転止めユニット5の突出部5aを挿脱可能な溝31aを有する。ガイド31は、連結部36において、把持部34と連結されている。カバー32は、その内部でガイド31が移動可能なように、ガイド31を収容する。カバー32は、その回転ユニット4端側に、支持具33が固定されている。支持具33は、枢動部37において、把持具34が枢動可能なように、把持具34と連結している。バネ部材35は、その一端が、支持具33に固定され、その他端が、把持具34に固定されている。バネ部材35は、把持具34の枢動部37との連結部分より下部が、支持具33に近づくように移動すると、把持具34を矢印方向に弾性的に付勢する。回転ユニット4は、ガイド31における取付ユニット6との連結部の反対端側に、ガイド31を回転可能なように配置されている。回転止めユニット5は、その一端に突出部5aを有する。回転止めユニット5は、その一端の突出部5aが、溝31a内に挿脱可能に配置されている。また、回転止めユニット5は、その他端が、支持具33に固定されている。取付ユニット6は、接続器具61および取付器具62を有する。接続器具61は、ガイド31の採取器具100端側に配置されている。取付器具62は、採取器具100の一端に取付けられている。取付器具62は、接続器具61に挿脱可能に配置されている。
図9(A)において、取付器具62が取付けられた採取器具100は、接続器具61から矢印方向(前記生体組織の方向)に向かって突出するように配置されているが、採取器具100は、接続器具61の内部に収容されていてもよい。この場合、採取器具100は、例えば、前記生体組織の採取時に、移動ユニット3により接続器具61の内部から外部に向かって移動し、接続器具61から前記生体組織方向に向かって突出する。また、採取器具100は、例えば、前記生体組織の採取後に、移動ユニット3により接続器具61の外部から内部に向かって移動し、接続器具61の内部に収容される。なお、採取装置200において、回転止めユニット5および取付ユニット6は、任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよい。
【0047】
採取装置200による生体組織の採取は、例えば、以下のように実施する。まず、採取装置200の接続器具61に、一端に取付器具62を配置した採取器具100を取付ける。採取器具100の第1切断ユニット1の刃11は、切断する生体組織の方向(
図9(A)における矢印方向)に向け配置する。つぎに、採取装置200の把持具34の枢動部37との連結部分より下部を、支持具33側に移動させる。すると、把持具34は、連結部36において、ガイド31と連結しているため、ガイド31が、枢動部37を中心として、矢印方向に移動する。これにより、採取器具100の第1切断ユニット1が、前記生体組織に向かって移動後、前記生体組織内に導入されることで、前記切断組織を切断し、切断組織の側面を形成する(第1の切断工程)。つぎに、ガイド31の溝31a内に配置された回転止めユニット5の突出部5aを溝31aから抜き出す。これにより、ガイド31は、回転ユニット4により回転可能となる。そして、回転ユニット4を、回転させると、ガイド31および取付ユニット6を介して、力が伝導し、採取器具100が周方向に回転する。これにより、第2切断ユニット2は、第1切断ユニット1により切断された生体組織を切断し、前記切断組織の底面を形成する(第2の切断工程)。さらに、把持具34を開放すると、バネ部材35により、把持具34は、矢印方向に移動する。すると、把持具34と連結部36において連結しているガイド31は、枢動部37を中心として、矢印方向と逆方向に移動する。これにより、採取器具100が、前記生体組織外に導出され、採取器具100内の前記切断組織を回収できる(回収工程)。
【0048】
採取装置200において、移動ユニット3は、ガイド31、カバー32、支持具33、把持具34、バネ部材35、連結部36、および枢動部37を含むが、いずれも任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよい。移動ユニット3は、採取器具100を、前記生体組織に向かって前進および前記生体組織から後退可能な任意の構成を採用できる。移動ユニット3は、上記の構成を採用することにより、例えば、採取器具100の生体組織への導入、前記生体組織の切断、および前記切断組織の導出を簡便にできる。移動ユニット3は、取付ユニット6を介して、すなわち、間接的に、採取器具100の移動を制御しているが、直接的に移動を制御してもよい。具体例として、移動ユニット3は、例えば、採取器具100に直接的に接続してもよい。移動ユニット3は、例えば、移動ユニット3による採取器具100の移動距離を確認できる確認部、採取器具100の移動距離を調整できる調整部を有してもよい。前記確認部は、例えば、目盛り等があげられる。前記確認部は、例えば、カバー32に設けられる。前記調整部は、例えば、採取器具100の移動を1段階または複数段階で調整できる。具体例として、前記調整部は、例えば、把持具34を支持具33に移動させ、採取器具100が所定距離移動すると、把持具34の移動を停止する。
【0049】
採取装置200において、回転ユニット4は、ガイド31および取付ユニット6を介して、すなわち、間接的に、採取器具100の第2切断ユニット2の回転を制御しているが、直接的に回転を制御してもよい。具体例として、回転ユニット4は、例えば、採取器具100の第2切断ユニット2に直接的に接続してもよい。また、回転ユニット4は、採取器具100の第2切断ユニット2を回転可能な任意の構成を採用できる。採取装置200において、回転ユニット4は、採取器具100を回転させるが、回転ユニット4は、第2切断ユニット2のみを回転させてもよい。
【0050】
採取装置200において、回転止めユニット5は、前述のように、任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよい。回転止めユニット5は、回転ユニット4による採取器具100の回転を阻害可能な任意の構成を採用できる。回転止めユニット5は、例えば、回転ユニット4の回転の阻害を解除できるよう構成されている。回転止めユニット5は、突出部5aをガイド31の溝31aに挿脱可能に配置することにより、回転ユニット4による採取器具100の回転を間接的に阻害しているが、直接的に阻害してもよい。具体例として、回転止めユニット5は、例えば、回転ユニット4に直接的に接続されている。
【0051】
採取装置200において、取付ユニット6は、前述のように、任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよい。取付ユニット6は、採取器具100を着脱可能に取付できる任意の構成を採用できる。具体例として、取付ユニット6は、例えば、メカニカルチャック、スクロールチャック、インデペンデントチャック、ドリルチャック、コレットチャック、マグネットチャック、真空チャック、チャック装置等の着脱可能な固定器具を使用できる。具体例として、取付ユニット6の接続器具61は、例えば、コレット、取付器具62は、真空チャックを使用できる。採取装置200は、例えば、取付ユニット6を有することにより、取付器具62が配置された採取器具100を交換できるため、異なる生体組織または生体を採取したときに付着する血液等の持ち込みを防止できる。
【0052】
採取装置200は、例えば、採取器具100の開口部を開閉可能に閉塞する閉塞ユニットを有してもよい。前記閉塞ユニットは、例えば、採取器具100における閉塞ユニットの説明を援用できる。前記閉塞ユニットは、例えば、移動ユニット3の採取器具100側端、取付ユニット6等に配置される。
【0053】
採取装置200は、本発明の採取器具として、採取器具100を有するが、他の採取器具を有してもよく、例えば、採取器具110~170を有してもよい。
【0054】
本発明の採取装置によれば、例えば、前記採取器具を生体組織に導入し、前記生体組織内で回転させ、前記生体組織から導出することにより、前記切断組織を採取できる。このため、本発明の採取装置によれば、前記切断組織の形成にあたり、前記生体組織の吸引を行わずに実施できる。したがって、本発明の採取装置によれば、組織構造の破壊が低減された生体組織を採取できる。
【0055】
<生体組織の採取方法>
本発明の生体組織の採取方法は、前述のように、前記本発明の生体組織採取器具を生体組織内に導入し、前記第1切断ユニットにより生体組織を切断して切断組織の側面を形成する第1の切断工程と、前記生体組織採取器具を回転し、前記第2切断ユニットにより、前記生体組織を切断して前記切断組織の底面を形成する第2の切断工程と、前記生体組織採取器具を、前記生体組織外に導出し、前記切断組織を回収する回収工程とを含むことを特徴とする。本発明の採取方法は、前記生体組織の採取にあたり、前記本発明の採取器具を用いることが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明の採取方法は、例えば、本発明の採取器具および採取装置の説明を援用できる。
【0056】
本発明の採取方法は、例えば、対象物から、対象物の一部を分離することができる。このため、本発明の採取方法は、例えば、「生体組織の分離方法」ということもできる。前記対象物は、特に制限されず、例えば、乳がん、皮膚がん等の固形がんがあげられる。本発明の採取方法を前記がんの分離に用いる場合、本発明の方法装置は、例えば、「手術方法」ということもできる。
【0057】
前記第1の切断工程は、前記本発明の生体組織採取器具を生体組織内に導入し、前記第1切断ユニットにより生体組織を切断して切断組織の側面を形成する工程である。具体的には、まず、本発明の採取器具を生体組織の表面に接触させ、前記生体組織において、採取する生体組織(採取領域)に向かって前記採取器具を移動させることにより実施する。前記生体組織が生体内に存在する場合、前記採取器具は、例えば、前記生体表面に接触させ、前記生体において、前記採取領域に向かって前記採取器具を移動させることにより実施してもよい。前記採取器具は、例えば、前記生体組織の表面または前記生体表面と、任意の角度で接触させてよい。前記採取器具は、例えば、前記第1切断ユニットの前記生体組織の切断時の抵抗を低減できることから、前記生体組織の表面または前記生体表面に対する略直交方向で接触させることが好ましい。これにより、前記採取器具は、例えば、切断時の過度な力により生じる生体組織(切断組織)の組織構造の破壊を低減できる。つぎに、前記採取器具は、例えば、前記採取器具の内部、具体的には、第1切断ユニットの内部に、前記採取領域が位置するように、移動される。これにより、前記採取器具は、例えば、前記側面にあたる前記採取領域の周囲の切断面を形成する。前記第2切断ユニットが前記第1切断ユニット内に着脱可能に配置される場合、前記第1切断ユニットの導入後に、前記第2切断ユニットを導入してもよい。前記採取器具は、例えば、前記生体組織の切断時の抵抗を低減できることから、前記第1切断ユニット内に前記第2切断ユニットを配置した状態で前記生体組織に前記採取器具を導入することが好ましい。これにより、前記採取器具は、例えば、切断時の過度な力により生じる生体組織(切断組織)の組織構造の破壊を低減できる。
【0058】
前記第2の切断工程では、前記生体組織採取器具を回転し、前記第2切断ユニットにより、前記生体組織を切断して前記切断組織の底面を形成する。前記第2切断ユニットが、前記第1切断ユニット内に着脱可能に配置される場合、前記第2切断ユニットのみ、または前記第1切断ユニットおよび前記第2切断ユニットが、回転される。一方、前記第2切断ユニットが、前記第1切断ユニット内に固定されている、または前記第2切断ユニットおよび前記第1切断ユニットが一体化している場合、前記第1切断ユニットおよび前記第2切断ユニットが、回転される。これにより、前記第2切断ユニットが、回転時に接触する生体組織を切断し、前記底面を形成する。より具体的には、前記第2切断ユニットが、前記第1切断ユニットの内部に位置する採取領域の遠位端を切断し、前記底面を形成する。また、前記底面は、前記側面と交差しているため、例えば、前記底面と前記側面とが接続する。このため、前記切断組織は、例えば、前記第1切断ユニット内に位置し、かつ周囲の生体組織と分離する。
【0059】
前記第1の切断工程および前記第2の切断工程は、例えば、同時に実施されてもよいし、別々に実施されてもよい。前者の場合、前記第1の切断工程および前記第2の切断工程において、前記側面と前記底面とは、例えば、同時に形成される。後者の場合、本発明の採取方法は、前記第1の切断工程の実施後に前記第2の切断工程を実施してもよいし、前記第2の切断工程の実施後に前記第1の切断工程を実施してもよい。本発明の採取方法において、前記第1の切断工程および前記第2の切断工程は、例えば、前記生体組織(切断組織)の組織構造の破壊を低減できることから、前記第1の切断工程の実施後に前記第2の切断工程を実施することが好ましい。この場合、前記第2の切断工程では、前記生体組織採取器具を回転し、前記第2切断ユニットにより、前記第1切断ユニットにより切断された生体組織を切断して前記切断組織の底面を形成する。
【0060】
前記回収工程では、前記採取器具を、前記生体組織外に導出し、前記切断組織を回収する。前記切断組織は、例えば、前記第1切断ユニット内に位置し、かつ周囲の生体組織と分離している。このため、前記第1切断ユニットを含む前記採取器具を、前記生体組織外または前記生体外に導出することにより、前記第1切断ユニット内の切断組織を導出できる。したがって、前記採取器具は、前記切断組織を回収できる。前記導出時の前記採取器具の移動方向は、例えば、前記採取器具の導入時の移動方向と逆方向である。前記採取器具が閉塞ユニットを含む場合、前記回収工程は、前記採取器具の開口部を前記閉塞ユニットにより閉塞後、実施してもよい。これにより、前記採取器具の導出時に、前記切断組織が、例えば、前記採取器具から脱落(脱離)するのを抑止できる。前記回収工程では、例えば、さらに、前記採取器具内の前記切断組織を前記採取器具外に導出することにより、前記切断組織を回収する工程を含んでもよい。前記切断組織の導出は、例えば、前記回収ユニットを用いて実施できる。
【0061】
本発明の採取方法は、前記採取器具として、前記採取器具を含む本発明の採取装置を用いてもよい。この場合、前記第1の切断工程では、前記移動ユニットにより、前記生体組織採取器具を生体組織内に導入し、前記第1切断ユニットにより生体組織を切断して切断組織の側面を形成する。また、前記第2の切断工程では、前記回転ユニットにより、前記採取器具を回転し、前記第2切断ユニットにより、前記第1切断ユニットにより切断された生体組織を切断して前記切断組織の底面を形成する。そして、前記回収工程では、前記移動ユニットにより、前記生体組織採取器具を、前記生体組織外に導出し、前記切断組織を回収する。この点を除き、本発明の採取装置は、前記本発明の採取器具を用いた場合と同様に、前記切断組織を採取できる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0063】
<付記>
上記の実施形態および実施例の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
第1切断ユニットと、第2切断ユニットとを含み、
前記第1切断ユニットは、生体組織を切断して切断組織の側面を形成し、
前記第2切断ユニットは、回転時に、前記生体組織を切断して切断組織の底面を形成し、
前記第2切断ユニットは、前記第1切断ユニット内に配置され、
前記底面は、前記側面と交差する面方向であることを特徴とする、生体組織採取器具。
(付記2)
前記第2切断ユニットは、前記第1切断ユニットに内接する、付記1記載の採取器具。
(付記3)
前記第2切断ユニットは、前記生体組織を切断する第2の切断部と、前記第2の切断部を支持する支持部とを含む、付記1または2記載の採取器具。
(付記4)
前記第2の切断部は、前記第1切断ユニットに内接する、付記3記載の採取器具。
(付記5)
前記第2の切断部は、前記第1切断ユニットの軸方向に対する断面において、前記断面を横断するように配置される、付記3または4記載の採取器具。
(付記6)
前記第1切断ユニットは、前記生体組織を切断する第1の切断部と、前記切断組織を保持する保持部とを含み、
前記第1の切断部は、前記保持部の一端に配置される、付記1から5のいずれかに記載の採取器具。
(付記7)
前記保持部は、筒であり、
前記第1の切断部は、前記筒の開口部に配置される、付記6記載の採取器具。
(付記8)
前記第1切断ユニットは、前記保持部に保持された前記切断組織の脱離を規制する規制部を含む、付記6または7記載の採取器具。
(付記9)
前記第2切断ユニットは、前記第1切断ユニットに着脱可能に配置される、付記1から8のいずれかに記載の採取器具。
(付記10)
前記第2切断ユニットは、前記第1切断ユニットに固定されている、付記1から8のいずれかに記載の採取器具。
(付記11)
付記1から10のいずれかに記載の生体組織採取器具と、移動ユニットと、回転ユニットとを含み、
前記移動ユニットは、前記生体組織採取器具を、生体組織に向かって前進および前記生体組織から後退可能であり、
前記回転ユニットは、前記第2切断ユニットを回転可能であることを特徴とする、生体組織採取装置。
(付記12)
閉塞ユニットを含み、
前記閉塞ユニットは、前記生体組織採取器具の開口部を開閉可能に閉塞する、付記11記載の採取装置。
(付記13)
回転止めユニットを含み、
前記回転止めユニットは、前記回転ユニットによる前記生体組織採取器具の回転を阻害する、付記11または12記載の採取装置。
(付記14)
取付ユニットを含み、
前記取付ユニットは、前記生体組織採取器具を着脱可能に取付する、付記11から13のいずれかに記載の採取装置。
(付記15)
付記1から10のいずれかに記載の生体組織採取器具を生体組織内に導入し、前記第1切断ユニットにより生体組織を切断して切断組織の側面を形成する第1の切断工程と、
前記生体組織採取器具を回転し、前記第2切断ユニットにより、前記生体組織を切断して前記切断組織の底面を形成する第2の切断工程と、
前記生体組織採取器具を、前記生体組織外に導出し、前記切断組織を回収する回収工程とを含むことを特徴とする、生体組織の採取方法。
(付記16)
前記生体組織採取器具は、付記1から10のいずれかに記載の生体組織採取器具を含む、付記11から14のいずれかに記載の生体組織採取装置であり、
前記第1の切断工程において、前記移動ユニットにより、前記生体組織採取器具を生体組織内に導入し、前記第1切断ユニットにより生体組織を切断して切断組織の側面を形成し、
前記第2の切断工程において、前記回転ユニットにより、前記生体組織採取器具を回転し、前記第2切断ユニットにより、前記生体組織を切断して前記切断組織の底面を形成し、
前記回収工程において、前記移動ユニットにより、前記生体組織採取器具を、前記生体組織外に導出し、前記切断組織を回収する、付記15記載の採取方法。
(付記17)
前記生体組織が、軟骨、膜組織、皮膚組織、皮下組織、血管組織、ホルモン産生組織、神経、腱、肝臓組織、脂肪および筋肉からなる群から選択された少なくとも1つである、付記15または16記載の採取方法。
【0064】
この出願は、2018年3月23日に出願された日本出願特願2018-056697を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明によれば、例えば、前記採取器具を生体組織に導入し、前記生体組織内で回転させ、前記生体組織から導出することにより、前記切断組織を採取できる。このため、本発明によれば、前記切断組織の形成にあたり、前記生体組織の吸引を行わずに実施できる。したがって、本発明によれば、組織構造の破壊が低減された生体組織を採取できる。よって、本発明は、例えば、医療分野等において極めて有用である。
【符号の説明】
【0066】
1 第1切断ユニット
11、21 刃
12 保持部
2 第2切断ユニット
22 支持部
3 移動ユニット
31 ガイド
32 カバー
33 支持具
34 把持具
35 バネ部材
36 連結部
37 枢動部
4 回転ユニット
5 回転止めユニット
5a 突出部
6 取付ユニット
61 接続器具
62 取付器具
100、110、120、130、140、150、160、170 採取器具
200 採取装置