(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】セーフティロジックのためのセルフテスト
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20231129BHJP
G01S 7/40 20060101ALI20231129BHJP
G06F 11/22 20060101ALI20231129BHJP
G01R 31/3187 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G01R31/28 V
G01S7/40 121
G06F11/22 675Z
G01R31/3187
(21)【出願番号】P 2022070415
(22)【出願日】2022-04-21
(62)【分割の表示】P 2019512263の分割
【原出願日】2017-08-31
【審査請求日】2022-05-12
(32)【優先日】2016-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】サンダラジャン ランガチャリ
(72)【発明者】
【氏名】サケット ジャラン
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-288150(JP,A)
【文献】特開2016-080364(JP,A)
【文献】特開2013-131274(JP,A)
【文献】特開2008-267999(JP,A)
【文献】特開2002-196047(JP,A)
【文献】米国特許第05732209(US,A)
【文献】米国特許第07213186(US,B2)
【文献】米国特許第04271515(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0182402(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0012576(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0088621(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0187462(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0230388(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0061555(US,A1)
【文献】米国特許第04554661(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0216318(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0194565(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/28-31/30、
G01S 7/00-7/42、
13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
第1の出力と第2の出力とを有するマスターモジュールと、
第1の出力と第2の出力とを有する比較モジュールと、
前記マスターモジュールの第1の出力に結合される第1の入力と、前記比較モジュールの第1の出力に結合される
反転入力としての第2の入力と、出力とを有する第1の比較器と、
前記マスターモジュールの第2の出力に結合される第1の入力と、前記比較モジュールの第2の出力に結合される第2の入力と、出力とを有する第2の比較器と、
前記第1の比較器の出力に結合される第1の入力と、前記第2の比較器の出力に結合される第2の入力と、セルフ試験エラー出力とを有するORゲートと、
を含む、システム。
【請求項2】
請求項
1に記載のシステムであって、
前記第2の比較器の第2の入力が第2の反転入力である、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、
前記第1の比較器の出力に結合される第1の入力と、前記第2の比較器の出力に結合される第2の入力と、安全論理エラー出力とを有するNANDゲートを更に含む、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、
セルフ試験イネーブル線を更に含み、
前記セルフ試験イネーブル線がイネーブルされた後に前記第1の比較器の第2の入力が反転入力である、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、
セルフ試験イネーブル線を更に含み、
前記セルフ試験イネーブル線がイネーブルされた後に前記第2の比較器の第2の入力が第2の反転入力である、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、
クロックを更に含み、
前記クロックの
異なるサイクルの間に前記第1の比較器の第2の入力が第2の反転入力であり、前記第2の比較器の第2の入力が第2の反転入力である、システム。
【請求項7】
安全論理システムであって、
複数の比較器であって、各比較器が試験下回路(CUT)によって生成される複数の信号対のそれぞれの信号対に結合され、各比較器が、
前記それぞれの信号対の第1の信号の第1の信号ビット値と前記それぞれの信号対の第2の信号の第2の信号ビット値と
の1つを反転し、
前記第1の信号ビット値と前記第2の信号ビット値とが同じときに第1のビット値を出力し、
前記第1及び第2の信号ビット値が異なるときに第2のビット値を出力する、
ように構成される、前記複数の比較器と、
組み合わせ回路であって、
前記複数の比較器の出力を組み合わせ、
前記安全論理システムに欠陥があるかを示すビット値出力を出力する、
ように構成される、前記組み合わせ回路と、
を含む、安全論理システム。
【請求項8】
請求項
7に記載の安全論理システムであって、
出力ビット値が全て前記第2のビット値であるときに前記第1のビット値が集信器によって出力され、前記出力ビット値の少なくとも1つが前記第1のビット値であるときに前記第2のビット値が出力されるように、前記組み合わせ回路が前記複数の比較器の前記出力ビット値を組み合わせるように更に構成される、安全論理システム。
【請求項9】
請求項
7に記載の安全論理システムであって、
前記複数の比較器の各比較器が、前記第2のビット値を1つのクロックサイクルで出力するように更に構成される、安全論理システム。
【請求項10】
請求項
7に記載の安全論理システムであって、
テストパターンからのそれぞれの2つの試験ビット値を前記複数の比較器の各比較器に単一のクロックサイクルで送信するように構成される回路を更に含み、
前記それぞれの2つの試験ビット値の1つの試験ビット値が前記第1のビット値であり、他の試験ビット値が前記第2のビット値である、安全論理システム。
【請求項11】
請求項
7に記載の安全論理システムであって、
前記CUTがデュアルロックステップ安全クリティカルモジュールを含む、安全論理システム。
【請求項12】
請求項
11に記載の安全論理システムであって、
前記デュアルロックステップ安全クリティカルモジュールが、レーダーシステムにおける複製されたタイミングエンジンである、安全論理システム。
【請求項13】
請求項
7に記載の安全論理システムであって、
前記CUTが複数の組み合わせ論理を含み、
前記安全論理システムが、各組み合わせ論理に結合されて前記複数の信号対のそれぞれの信号対を生成するパリイティ論理を更に含む、安全論理システム。
【請求項14】
請求項
13に記載の安全論理システムであって、
前記複数の組み合わせ論理がレーダーシステムのデシメーションフィルタチェインで構成される、安全論理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してセーフティクリティカルデバイスに関し、更に特定して言えば、セーフティクリティカルデバイスにおけるセーフティロジックのセルフテストに関連する。
【背景技術】
【0002】
オートモーティブレーダーシステム及びインダストリアル制御などのセーフティクリティカルシステムは、埋め込みシステムとして実装され得る。このような埋め込みシステムのハードウェア、例えば、一つ又は複数のシステムオンチップ(SOC)及び/又はマイクロコントローラ(MCU)、及びソフトウェアは、典型的に、ビルトインセルフテストメカニズム、即ち、ハードウェアロジックにおける欠陥を識別するためのセーフティロジック、を有することを含む機能的セーフティ要件を満たすことが要求される。また、セーフティロジックにおける欠陥を識別するためにテストメカニズムが必要とされる。
【発明の概要】
【0003】
記載される例において、装置が、信号対を生成するように構成される被試験回路(CUT)を含み、各信号対に対し、信号対における第1の信号が、信号対における第2の信号と同一であることが予期され、セーフティロジックが、CUTをテストするためにCUTに結合され、セーフティロジックはコンパレータを含み、各コンパレータは、それぞれの信号対に結合され、それぞれの信号対の第1の信号の第1の信号ビット値と第2の信号のそれぞれの第2の信号ビット値とが同じであるとき、第1のビット値を出力するように、及び、第1及び第2の信号ビット値が異なるとき、第2のビット値を出力するように構成され、第2のビット値が、CUTにおける欠陥を示し、セルフテストロジックがセーフティロジックをテストするためセーフティロジックに結合され、セルフテストロジックは、セルフテストロジックがイネーブルされるとき、コンパレータの少なくとも一つに、第2のビット値を出力させるように構成される。
【0004】
被試験回路(CUT)に結合されるセーフティロジックのセルフテストのための記載される例において、この方法は、セーフティロジックにおける複数のコンパレータの少なくとも一つに第2のビット値を出力させることを含み、コンパレータの各々が、CUTにより生成される複数の信号対のそれぞれの信号対に結合され、それぞれの信号対の第1の信号の第1の信号ビット値とそれぞれの信号対の第2の信号のそれぞれの第2の信号ビット値とが同じであるとき第1のビット値を出力するように、及び第1及び第2の信号ビット値が異なるとき第2のビット値を出力するように構成され、複数のコンパレータの少なくとも一つに第2のビット値を出力させることが、セーフティロジックに結合されるセルフテストロジックによって実施され、この方法は更に、コンセントレータにおけるコンパレータの出力を組み合わせることを含み、コンセントレータによるビット値出力が、セーフティロジックに欠陥が存在するか否かを示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】単一サイクルパラレルビット反転セルフテストロジックの一実施例を含む例示のセーフティロジックのブロック図である。
【0006】
【
図2】マルチサイクルシリアルビット反転セルフテストロジックの一実施例を含む例示のセーフティロジックのブロック図である。
【0007】
【
図3】
図1のセーフティロジックに結合されるロックステップセーフティクリティカルモジュールのブロック図である。
【0008】
【
図4】
図2のセーフティロジックに結合されるロックステップセーフティクリティカルモジュールのブロック図である。
【0009】
【
図5】
図1のセーフティロジックに結合されるパリティロジックのブロック図である。
【0010】
【
図6】
図1及び
図2のセルフテストロジックが用いられ得る例示の周波数変調連続波(FMCW)レーダーシステムの実施例のブロック図である。
【0011】
【
図7】
図6のFMCWレーダーシステムに含まれる例示のレーダーシステムオンチップ(SOC)のブロック図である。
【0012】
【
図8】
図7のレーダーSOCのデジタルフロントエンドのディメーションフィルタチェーンのための例示のアーキテクチャのブロック図である。
【0013】
【
図9】セーフティロジックのセルフテストのための方法のフローチャートである。
【
図10】セーフティロジックのセルフテストのための方法のフローチャートである。
【0014】
【
図11】セルフテストロジックを含む例示のセーフティロジックのブロック図である。
【0015】
【
図12】セーフティロジックのセルフテストのための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面において、一貫性を保つため、同様の要素は同様の参照数字で示す。
【0017】
上述したように、システムオンチップ(SOC)又はマイクロコントローラ(MCU)などの埋め込みセーフティクリティカルデバイスは、ハードウェアロジックにおける欠陥を識別するためのビルトインセーフティロジック、及びセーフティロジック自体における欠陥を識別するためのビルトインテストメカニズムを有することが要求される。例示の実施例は、ロックステップデュアルモジュールコンパレータセーフティロジック及びパリティ比較セーフティロジックなど、セーフティロジックの或るタイプのビルトインセルフテストを提供する。幾つかの実施例において、セルフテストロジックは、セーフティロジックの約75%をカバーする単一サイクルパラレルビット反転アプローチとして実装される。このアプローチにおいて、カバーされたセーフティロジックにおける欠陥が単一サイクルにおいて識別される。幾つかの実施例において、セルフテストロジックは、セーフティロジックの100%をカバーするマルチサイクルシリアルビット反転アプローチとして実装される。そのような実施例において、テスト時間は、入力ビットの数に基づいて線形に増大し、シリアルビット反転を実装するために用いられるシフトレジスタを実装するために、エリアオーバーヘッドが増大される。幾つかの実施例において、セルフテストロジックは、セーフティロジックの約75%をカバーする単一サイクルテストパターン注入アプローチとして実装される。
【0018】
図1は、単一サイクルパラレルビット反転セルフテストロジックの一実施例を含む例示のセーフティロジック100のブロック図である。セーフティロジック100は、具体的には図示していない被試験回路(CUT)に結合される。セーフティロジック100は、N個のコンパレータ102、104、106、108を含み、コンパレータの各々は、CUTから、それぞれのマスター信号と比較信号とを受信するように結合される2つの入力、及び論理ORツリーコンセントレータ110に結合される単一出力を有する。コンパレータの数Nは、CUTに対してテストされるべき信号の数に依存する。各コンパレータ102、104、106、108は、単一クロックサイクルにおいてそれぞれのマスター及び比較信号の対応するビット値を比較するように、及びマスタービット及び比較ビットが同じであるか否かを示すビット値を出力するように構成される。より具体的には、各コンパレータ102、104、106、108は、2つの入力ビット値が異なるときの1のビット値を出力し、2つの入力ビット値が同じであるときゼロのビット値を出力する、他的OR(XOR)ゲートである。2つの入力ビット値が異なる場合、CUTにおいて欠陥が生じている。
【0019】
論理ORツリーコンセントレータ110は、ORゲートのツリーを用いて、コンパレータ102、104、106、108の複数の出力ビット値を単一ビット値出力、即ち、セルフテストエラーインジケータに組み合わせる。欠陥がない場合、コンパレータ102、104、106、108の出力ビット値はゼロであることが予期され、論理ORツリーコンセントレータ110の出力ビット値はゼロであることが予期される。
【0020】
また、セーフティロジック100は、欠陥についてセーフティロジック100をテストするための単一サイクルパラレルビット反転セルフテストロジックを含む。セルフテストロジックは、論理ANDツリーコンセントレータ112、及びセルフテストイネーブルライン122に結合されるN個のインバータ114、116、118、120を含む。N個のインバータ114、116、118、120の各々は、CUTからのそれぞれの比較信号とそれぞれのコンパレータ102、104、106、108の比較信号入力との間に結合される。セルフテストイネーブルライン122は、セーフティロジックのセルフテストのためにイネーブルされる。インバータ114、116、118、120の各々は、セルフテストイネーブルライン122がイネーブルされるとき、比較ビット値を反転するように構成され、即ち、比較ビット値がゼロである場合、ビット値が1に変えられ、比較ビット値が1である場合、ビット値がゼロに変えられる。更に、インバータ114、116、118、120の各々は、セルフテストイネーブルライン122がイネーブルされないときビット値を変えることなく、それぞれのコンパレータ102、104、106、108の比較信号入力に比較ビット値を渡すように構成される。
【0021】
また、コンパレータ102、104、106、108の出力は、論理ANDツリーコンセントレータ112に結合される。論理ANDツリーコンセントレータ112は、ANDゲートのツリーを用いて、コンパレータ102、104、106、108の複数の出力ビット値を単一ビット値出力、即ち、セーフティロジックエラーインジケータに組み合わせる。セルフテストイネーブルライン122がアクティブにされるとき、コンパレータ102、104、106、108の出力ビット値は、コンパレータにおける欠陥がない場合1であることが予期され、ANDツリーコンセントレータ112の出力ビット値は最終的な反転の後、ゼロであることが予期される。
【0022】
図2は、マルチサイクルシリアルビット反転セルフテストロジックの一実施例を含む例示のセーフティロジック200のブロック図である。セーフティロジック200は、具体的には図示していない被試験回路(CUT)に結合される。セーフティロジック200は、N個のコンパレータ202、204、206、208を含み、各々が、CUTから、それぞれのマスター信号と比較信号とを受信するように結合される2つの入力、及び論理ORツリーコンセントレータ210に結合される単一出力を有する。コンパレータの数Nは、CUTに対してテストされるべき信号の数に依存する。各コンパレータ202、204、206、208は、単一クロックサイクルにおいてそれぞれのマスター及び比較信号の対応するビット値を比較するように、及びマスタービット値及び比較ビット値が同じであるか否かを示すビット値を出力するように構成される。より具体的には、各コンパレータ202、204、206、208は、2つの入力ビット値が異なるとき1のビット値を、2つの入力ビット値が同じであるときゼロのビット値を出力する、排他的OR(XOR)ゲートである。2つの入力ビット値が異なる場合、CUTにおいて欠陥が生じている。
【0023】
論理ORツリーコンセントレータ210は、ORゲートのツリーを用いて、コンパレータ202、204、206、208の複数の出力ビット値を単一ビット値出力、即ち、セルフテストエラーインジケータに組み合わせる。欠陥がない場合及びセーフティロジックのセルフテストがイネーブルされないとき、コンパレータ202、204、206、208の出力ビット値は0であることが予期され、論理ORツリーコンセントレータ210の出力ビット値はゼロであることが予期される。
【0024】
また、セーフティロジック200は、欠陥についてセーフティロジック200をテストするためのマルチサイクルシリアルビット反転セルフテストロジックを含む。セルフテストロジックは、シフトレジスタ212のそれぞれのビット出力に結合されるN個のインバータ214、216、218、220、及びシフトレジスタ212に結合されるセルフテストイネーブルライン222を含む。また、N個のインバータ214、216、218、220の各々は、CUTからのそれぞれの比較信号とそれぞれのコンパレータ202、204、206、208の比較信号入力との間に結合される。インバータ214、216、218、220の各々は、シフトレジスタ212によりイネーブルされるとき、比較ビット値を反転するように構成され、即ち、比較ビット値がゼロである場合、ビット値が1に変えられ、比較ビット値が1である場合、ビット値がゼロに変えられる。更に、インバータ214、216、218、220の各々は、セルフテストイネーブルライン220がイネーブルされずシフトレジスタ212がアクティブにされないとき値を変えることなく、比較ビット値をそれぞれのコンパレータ202、204、206、208の比較信号入力に渡すように構成される。
【0025】
セルフテストイネーブルライン220は、セーフティロジックのセルフテストを開始するために用いられ、これがシフトレジスタ212をアクティブにする。アクティブにされた後、シフトレジスタ212は、後続のクロックサイクルにおいて各インバータをイネーブルし、即ち、各クロックサイクルにおいて一つの比較ビット値のみが反転される。一つのコンパレータのみの出力が各セルフテストクロックサイクルにおいて1であることが予期されるので、論理ORツリーコンセントレータ210の出力は、各セルフテストクロックサイクルの間、1であることが予期される。コンパレータ出力又はORツリーコンセントレータ210出力の任意のものがゼロにされる場合、ORツリーコンセントレータ210の出力ビット値はゼロとなり、セーフティロジックにおける欠陥を示す。
【0026】
図1及び
図2のセルフテストロジックは、例えば、ロックステップセーフティクリティカルモジュールのためのセーフティロジック、及びセーフティクリティカルモジュールにおけるパリティ比較のためのセーフティロジックなど、ORツリーコンセントレータを含むセーフティロジックをテストするために用いられ得る。ロックステップアーキテクチャにおいて、マスターモジュール及びロックステップ又は比較モジュールと称され得る2つの同一のハードウェアモジュールが、同じ入力に基づいて同じオペレーションを実施し、それぞれの出力信号は、各クロックサイクルにおいて一貫性についてチェックされる。これらのモジュールのそれぞれの出力間の如何なる不一致も、モジュールの一つにおける欠陥を示す。
【0027】
図3は、
図1のセーフティロジック100に結合されるロックステップセーフティクリティカルモジュールのブロック図であり、
図4は、
図2のセーフティロジックに結合されるロックステップセーフティクリティカルモジュールのブロック図である。上述したように、セーフティロジック100は、単一サイクルパラレルビット反転セルフテストロジックを含み、セーフティロジック200は、マルチサイクルシリアルビット反転セルフテストロジックを含む。マスターモジュール300及び比較モジュール302の対応する出力信号が、セーフティロジック100に結合され、マスターモジュール400及び比較モジュール402の対応する出力信号が、セーフティロジック200に結合される。マスター及び比較モジュールは、ロックステップで、例えば、デュアルコアプロセッサのコア又はセーフティクリティカル応用例において用いられるレーダーシステムの複製されたモジュールにおいて動作する任意の複製されたセーフティモジュールであり得る。更に、マスター及び比較モジュール間で比較されるべき特定の信号は、全体的な安全性に関する任意の信号であり得る。
【0028】
図5は、
図1のセーフティロジック100に結合されるパリティロジックのブロック図である。簡潔にするため、
図5は、組み合わせロジック500及び組み合わせロジック502の2つの構成要素について、セーフティロジック100のパリティロジックの出力への結合を図示する。この例及び
図1の上述の記載に従って、パリティロジックを有するN個の構成要素は、セーフティロジック100に結合され得る。
【0029】
各組み合わせロジック500、502は、多数のビットを出力し、各々により出力されるビットの数は異なり得る。各組み合わせロジック500、502の出力は、出力ビットをストアするそれぞれのレジスタ504、506に結合される。更に、各組み合わせロジック500、502の出力は、単一パリティビットを生成するために出力ビットの論理XORを実施するように構成されるそれぞれのパリティXORロジック512、514の入力に結合される。パリティXORロジック512、514の出力は、単一パリティビットをストアするそれぞれのパリティデータフリップフロップ516、518に結合される。各パリティデータフリップフロップ516、518が、セーフティロジック100におけるそれぞれのコンパレータの入力に結合され、即ち、各パリティデータフリップフロップ516、518は、セーフティロジック100においてマスター信号をそれぞれのコンパレータに提供する。
【0030】
レジスタ504、506の出力は、単一パリティビットを生成するためにそれぞれのレジスタ504、506にストアされたビットの論理XORを実施するように構成されるそれぞれのパリティXORロジック508、510の入力に結合される。パリティXORロジック512、514の出力は、セーフティロジック100におけるそれぞれのインバータに結合され、即ち、各パリティXORロジック512、514は、比較ビットをセーフティロジック100におけるそれぞれのインバータに提供する。
【0031】
FMCWレーダーシステムの文脈において、本明細書における下記の例は、オートモーティブセーフティシステム応用例における使用のために構成されている。実施例の例は、FMCWレーダーシステム又はオートモーティブセーフティシステム応用例に限定されない。FMCWレーダーは、一つ又は複数の送信アンテナを介して、チャープと称される無線周波数(RF)周波数ランプを送信する。更に、複数のチャープが、フレームと称されるユニットにおいて送信され得る。送信されたチャープは、レーダーの視野(FOV)における任意のオブジェクトから反射され、一つ又は複数の受信アンテナにより受信される。各受信アンテナに対する受信信号が、中間周波数(IF)信号にダウンコンバートされ、その後デジタル化される。フレーム全体に対するデジタル化されたデータが受信された後、データは、FOVにおける任意のオブジェクトを検出するため、及び検出されたオブジェクトのレンジ、速度、及び到来角を識別するために処理される。
【0032】
図6は、
図1及び
図2のセルフテストロジックの実施例が用いられ得る例示のFMCWレーダーシステム600のブロック図である。例示のFMCWレーダーシステム600は、車両において用いるために構成され、レーダーシステムオンチップ(SOC)602、処理ユニット604、及びネットワークインタフェース606を含む。レーダーSOC602の例示のアーキテクチャを
図7を参照して説明する。
【0033】
レーダーSOC602は、高速シリアルインタフェースを介して処理ユニット604に結合される。
図7を参照して更に説明するように、レーダーSOC602は、高速シリアルインタフェースを介して処理ユニット604に提供される複数のデジタル中間周波数(IF)信号(或いは、デチャープされた信号、ビート信号、又は生レーダー信号と称される)を生成する機能を含む。
【0034】
処理ユニット604は、任意の検出されたオブジェクトの距離、速度、及び角度を判定するために、受信したレーダー信号を処理することなど、レーダー信号処理を実施する機能を含む。処理ユニット604は、レーダーデータを用いる応用例の処理スループットに必要とされるように、任意の適切なプロセッサ又はプロセッサの組み合わせを含み得る。例えば、処理ユニット604は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、マイクロコントローラ(MCU)、DSP及びMCU処理両方を組み合わせるSOC、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)及びDSPを含み得る。幾つかの実施例において、処理ユニット604は、セーフティ用途のために2つのコアがロックステップで動作するデュアルコアプロセッサであり得る。そのような実施例において、デュアルコアは、
図1又は
図2のセーフティロジックに結合され得、即ち、一つのコアがマスターモジュール300、400であり得、他のコアが比較モジュール302、402であり得る。例えば、セーフティロジック100、200に結合されるデュアルコアからの出力信号は、データ、アドレス、及び制御信号であり得る。
【0035】
処理ユニット604は、ネットワークインタフェース408を介して車両における1つ又は複数の電子制御ユニットに必要とされるような制御情報を提供する。電子制御ユニット(ECU)は、車両において1つ又は複数の電気的システム又はサブシステムを制御する、車両における任意の埋め込みシステムに対する一般的な用語である。ECUの例示のタイプには、電子/エンジン制御モジュール(ECM)、パワートレイン制御モジュール(PCM)、送信制御モジュール(TCM)、ブレーキ制御モジュール(BCM又はEBCM)、中央制御モジュール(CCM)、中央タイミングモジュール(CTM)、ジェネラルエレクトリックモジュール(GEM)、ボディ制御モジュール(BCM)、及びサスペンション制御モジュール(SCM)が含まれる。
【0036】
ネットワークインタフェース606は、コントローラエリアネットワーク(CAN)プロトコル、FlexRayプロトコル、又はイーサネットプロトコルなど、任意の適切なプロトコルを実装し得る。
【0037】
図7は、例示のレーダーSOC602のブロック図である。レーダーSOC602は、FMCW信号を送信するための複数の送信チャネル704、及び反射された送信信号を受信するための複数の受信チャネル702を含み得る。送信チャネル704は、同一であり、送信された信号を増幅するための電力増幅器705、707、及びアンテナを含む。受信チャネルが、適切なレシーバ及びアンテナを含む。また、受信チャネル702の各々が、同一であり、受信信号を増幅するための低ノイズ増幅器(LNA)706、708、アナログ中間周波数(IF)信号、中間周波数(IF)信号(或いは、デチャープされた信号、ビート信号、又は生レーダー信号と称される)を生成するため、SOC602において伝送生成回路要素により生成された信号を受信信号とミキシングするためのミキサ710、712、アナログIF信号をフィルタするためのベースバンドバンドパスフィルタ714、716、フィルタされたIF信号を増幅するための可変利得増幅器715、717、及びアナログIF信号をデジタルIF信号に変換するためのアナログデジタルコンバータ(ADC)718、720を含む。ミキサ710、712は、いずれも無線周波数(RF)信号である低ノイズ増幅器706、708及び伝送生成回路要素から受信した入力の周波数間の差に等しい周波数を有する、出力信号を生成するダウンコンバータとして機能する。受信チャネルのバンドパスフィルタ、VGA、及びADCは、ベースバンドチェーン又はベースバンドフィルタチェーンと総称され得る。また、バンドパスフィルタ及びVGAは、IF増幅器と総称され得る。
【0038】
受信チャネル702は、デジタルIF信号をDFE722に提供するために、ADC718、720を介してデジタルフロントエンド(DFE)構成要素722に結合される。DFE722は、データ転送レートを低減するためにデジタルIF信号に対してディメーションフィルタリングを実施する機能を含む。また、DFE722は、例えば、RX間利得不均衡非理想性、RX間位相不均衡非理想性、及び他の非理想性など、受信チャネルにおける非理想性のデジタル補償など、デジタルIF信号に対する他のオペレーションを実施し得る。DFE722は、デシメートされたデジタルIF信号を処理ユニット606に搬送するために、高速シリアルインタフェース(I/F)724に結合される。
図8を参照して更に説明するように、DFE722は、ディメーションフィルタチェーンを含み、ディメーションフィルタチェーンにおけるモジュールの安全な機能を検証するために、(
図5を参照して上述したように)セーフティロジックに結合されるパリティロジックが含まれる。
【0039】
シリアル・ペリフェラル・インタフェース(SPI)726は、処理ユニット606との通信のためのインタフェースを提供する。例えば、処理ユニット606は、例えば、チャープのタイミング及び周波数、出力電力レベル、モニタリング機能のトリガなどの制御情報を、制御モジュール728に送るためにSPI726を用い得る。
【0040】
制御モジュール728は、レーダーSOC602のオペレーションを制御する機能を含む。例えば、制御モジュール728は、DFE722出力サンプルをストアするためのバッファ、バッファコンテンツのスペクトル情報を演算するためのFFT(高速フーリエ変換)エンジン、及びレーダーSOC602のオペレーションを制御するためのファームウェアを実行するMCUを含み得る。
【0041】
プログラマブルタイミングエンジン732は、制御モジュール728からレーダーフレームにおけるチャープのシーケンスのためのチャープパラメータ値を受信し、パラメータ値に基づいてフレームにおけるチャープの送信及び受信を制御するチャープ制御信号を生成する機能を含む。チャープパラメータは、レーダーシステムアーキテクチャにより定義され、その例は、どのトランスミッタをイネーブルするかを示すためのトランスミッタイネーブルパラメータ、チャープ周波数開始値、チャープ周波数勾配、チャープ期間、送信チャネルがいつ送信すべきか、及び更なるレーダー処理のためにいつDFE出力デジタルが収集されるべきか、のインジケータなどを含み得る。これらのパラメータの一つ又は複数はプログラム可能であり得る。タイミングエンジン732により出力されるチャープ制御信号は、チャープのための所望の瞬時周波数(Frequency)、トランスミッタをイネーブルする制御信号(TX Power On)、トランスミッタ極性制御信号(TX Polarity)、ADCの出力が有効であることを示す制御信号(ADC Output Valid)、周波数シンセサイザー制御信号(SYNTH Control)、トランスミッタ制御信号(TX Control)、ソフトウェア割り込みなどを含み得る。
【0042】
幾つかの実施例において、タイミングエンジン732は、安全のため複製され、2つのタイミングエンジンがロックステップで動作する。そのような実施例において、2つのタイミングエンジンは、
図1又は
図2のセーフティロジックに結合され得、即ち、一方のタイミングエンジンがマスターモジュール300、400であり得、他方のタイミングエンジンが比較モジュール302、402であり得る。例えば、セーフティロジック100、200に結合された2つのタイミングエンジンからの出力信号は、上述したチャープ制御信号であり得る。
【0043】
無線周波数シンセサイザー(SYNTH)730は、タイミングエンジン732からのチャープ制御信号に基づいて伝送のためFMCW信号を生成する機能を含む。幾つかの実施例において、SYNTH730は、電圧制御発振器(VCO)を備える位相ロックループ(PLL)を含む。
【0044】
クロック乗算器770は、伝送信号(LO信号)の周波数を、ミキサ710、712のLO周波数まで増大させる。クリーンアップPLL(位相ロックループ)734は、外部低周波数基準クロック(図示せず)の信号の周波数を、SYNTH730の周波数まで及びクロック信号外のフィルタ基準クロック位相ノイズまで増大させるように動作する。
【0045】
クロック乗算器770、シンセサイザー730、タイミングエンジン732、及びクリーンアップPLL734は、伝送生成回路要素の一例である。伝送生成回路要素は、無線周波数(RF)信号を、送信チャネルへの入力として及びクロック乗算器を介する受信チャネルにおけるミキサへの入力として生成する。伝送生成回路要素の出力は、LO(局部発振器)信号又はFMCW信号と称され得る。
【0046】
図8は、
図7のDFE722のディメーションフィルタチェーンのための例示のアーキテクチャのブロック図である。上述したように、DFE722は、受信チャネル702のADCから受信したデジタルIF信号に対してディメーションフィルタリングを実施する。図示されたディメーションフィルタチェーンは、ADCと可変レートリサンプラーとの間に直列に結合される、下記のデシメーションフィルタモジュール、即ち、Sincフィルタ、Sincフィルタの出力を2でデシメートするように構成されるフィルタA1、フィルタA1の出力を2でデシメートするように構成されるフィルタA2、フィルタA2の出力を2でデシメートするように構成されるフィルタA3、フィルタA3の出力を2でデシメートするように構成されるフィルタA4、フィルタA4の出力を2でデシメートするように構成されるフィルタA5、及びフィルタA5の出力を2でデシメートするように構成されるフィルタA6を含む。
【0047】
DC補正モジュールは、フィルタA1の出力からDC値を減じるように構成される。IQミスマッチ補正モジュールは、DC補正モジュールの出力におけるI(同相)及びQ(直交)チャネル間の振幅及び位相における如何なる不均衡も補正するように構成される。可変レートリサンプラーは、フィルタA6の出力のサンプリングレートを改変するように構成される。
【0048】
図8には具体的に示さないが、モジュールの出力がクロックサイクル上でレジスタにストアされ、チェーンにおける次のモジュールが、次のクロックサイクル上でレジスタから読み出すためにレジスタに結合されるように、チェーンにおけるモジュールの各々の間にレジスタが結合される。また、レジスタは、内部値をストアするために存在し得る。安全のため、DFE722のディメーションフィルタチェーンのモジュールの各々の出力及びレジスタの出力は、
図5を参照して説明したようにセーフティロジックに結合されるパリティロジックに結合され得る。従って、ディメーションフィルタチェーンのモジュールの各々は、
図5に示すような組み合わせロジックであり得る。
【0049】
図9は、
図1を参照して説明したようなセーフティロジックのセルフテストのための方法のフローチャートである。この方法を、
図9及び
図1両方を参照して説明する。初期的に、セルフテストロジックは、セルフテストイネーブルライン122を介してイネーブルされる(900)。
図1を参照して説明したように、セルフテストロジックのイネーブルは、単一クロックサイクルにおいてCUTからの比較ビット値の反転を起こす。CUTからのマスタービット値及び反転された比較ビット値が、同じクロックサイクルにおいてセーフティロジックにおけるそれぞれのコンパレータ102、104、106、108において受信される(902)。対応するマスタービット値及び反転された比較ビット値は、それぞれのコンパレータ102、104、106、108において比較され(904)、各コンパレータは、同じクロックサイクルにおける比較の結果を示す出力ビット値を出力する。コンパレータにおける欠陥がない場合、コンパレータの出力ビット値は1であることが予期される。出力ビット値は、セーフティロジックに欠陥が存在するか否かを示す出力ビット値を生成するために、同じクロックサイクルにおいてANDツリーコンセントレータ112において組み合わされる(906)。
【0050】
図10は、
図2を参照して説明したようなセーフティロジックのセルフテストのための方法のフローチャートである。この方法は、
図10及び
図2両方を参照して説明される。初期的に、セルフテストロジックは、セルフテストイネーブルライン222を介してイネーブルされる(1000)。
図2を参照して説明したように、セルフテストロジックのイネーブルは、連続するクロックサイクルにおいて各インバータ214、216、218、220をイネーブルするシフトレジスタをアクティブにする。そのため、一つのクロックサイクルにおいて、比較ビットを反転させるためにコンパレータの比較信号に結合されるインバータがイネーブルされる(1002)。CUTからのマスタービット値、及び反転された比較ビット値を含む比較ビット値が、同じクロックサイクルにおいてセーフティロジックにおけるそれぞれのコンパレータ202、204、206、208において受信される(1004)。セーフティロジックに欠陥が存在するか否かを示す出力ビット値を生成するため、同じクロックサイクルにおいてORツリーコンセントレータ210において出力ビット値が組み合わされる(1008)。工程1002~1008は、全てのインバータがイネーブルされるまで、後続のクロックサイクルにおいて反復される(1010)。
【0051】
図11は、単一サイクルテストパターン注入セルフテストロジックの一実施例を含む例示のセーフティロジック1100のブロック図である。セーフティロジック1100は、具体的には図示していない被試験回路(CUT)に結合される。CUTは、ロックステップセーフティクリティカルモジュール又はパリティロジックであり得る。セーフティロジック1100は、N個のコンパレータ1102、1104、1106、1108を含み、各々が、CUTからの、それぞれのマスター信号と比較信号とを受信するように結合される2つの入力、及び論理ORツリーコンセントレータ1110に結合される単一出力を有する。コンパレータの数Nは、CUTに対してテストされるべき信号の数に依存する。各コンパレータ1102、1104、1106、1108は、単一クロックサイクルにおいてそれぞれのマスター及び比較信号の対応するビット値を比較し、マスタービット値及び比較ビット値が同じであるか否かを示すビット値を出力するように構成される。より具体的には、各コンパレータ1102、1104、1106、1108は、2つの入力ビットが異なるとき1のビット値を出力し、2つの入力ビットが同じであるときゼロのビット値を出力する、排他的OR(XOR)ゲートである。2つの入力ビット値が異なる場合、CUTにおいて欠陥が生じている。
【0052】
論理ORツリーコンセントレータ1110は、ORゲートのツリーを用いて、コンパレータ1102、1104、1106、1108の複数の出力ビット値を、単一ビット値出力、即ち、セルフテストエラーインジケータに組み合わせる。欠陥がない場合、コンパレータ1102、1104、1106、1108の出力ビット値がゼロであることが予期され、論理ORツリーコンセントレータ1110の出力ビット値がゼロであることが予期される。
【0053】
また、セーフティロジック1100は、欠陥についてセーフティロジック1100をテストするために単一サイクルテストパターン注入セルフテストロジックを含む。セルフテストロジックは、論理ANDツリーコンセントレータ1112、セルフテストイネーブルライン1122に結合されるN対のマルチプレクサ(mux)1113、1114、1115、1116、1117、1118、1119、1120、及びテストパターン生成器1124を含む。
【0054】
各MUX対において、一方のMUX1113、1115、1117、1119が、CUTからのそれぞれのマスター信号と、それぞれのコンパレータ1102、1104、1106、1108のマスター信号入力との間に結合され、他方のMUX1114、1116、1118、1120が、CUTからのそれぞれの比較信号と、それぞれのコンパレータ1102、1104、1106、1108の比較信号入力との間に結合される。また、各MUX対において、一方のMUX1113、1115、1117、1119の入力が、データパターン生成器1124のマスターパターン出力に結合され、他方のMUX1114、1116、1118、1120の入力が、データパターン生成器1124の比較パターン出力に結合される。テストパターン生成器1124は、各比較MUX1114、1116、1118、1120に提供された各比較テストパターンビットが、各マスターMUX1113、1115、1117、1119に提供されたマスターテストパターンビットの反転された値であるように、マスター及び比較テストパターンを生成するように構成される。
【0055】
例示のMUX1126に図示するように、各MUXは、3つの入力A、B、S、及び、それぞれのコンパレータの入力に結合される単一出力Yを有する。入力Sは、セルフテストイネーブルライン1122に結合され、入力Aは、CUTから比較信号又はマスター信号を受信するように結合され、入力Bは、データパターン生成器1124から比較パターン入力又はマスターパターン入力を受信するように結合される。各MUXは、S=0(セルフテストロジックがイネーブルされない)の場合、Y=Aであり、S=1(セルフテストロジックがイネーブルされる)の場合、Y=Bであるように動作する。
【0056】
また、コンパレータ1102、1104、1106、1108の出力は、論理ANDツリーコンセントレータ1112に結合される。論理ANDツリーコンセントレータ1112は、ANDゲートのツリーを用いて、コンパレータ1102、1104、1106、1108の複数の出力ビット値を、単一ビット値出力、即ち、セーフティロジックエラーインジケータに組み合わせる。セルフテストイネーブルライン1122がアクティブにされるとき、コンパレータにおける欠陥がない場合はコンパレータ1102、1104、1106、1108の出力は1であることが予期され、ANDツリーコンセントレータ1112の出力は、最終的な反転の後ゼロであることが予期される。
【0057】
図12は、
図11を参照して説明したようなセーフティロジックのセルフテストのための方法のフローチャートである。この方法は
図11及び
図12両方を参照して説明される。初期的に、セルフテストロジックは、セルフテストイネーブルライン1122を介してイネーブルされる(1200)。
図11を参照して説明したように、セルフテストロジックのイネーブルは、単一クロックサイクルにおいてマスター及び比較テストパターンをコンパレータ1102、1104、1106、1108に入力させる。マスターテストパターンビット値及び比較テストパターンビット値は、同じクロックサイクルにおいてセーフティロジックにおけるそれぞれのコンパレータ1102、1104、1106、1108において受信される(1202)。対応するマスターテストパターンビット値及び比較テストパターンビット値は、それぞれのコンパレータ1102、1104、1106、1108において比較され(1204)、各コンパレータは、同じクロックサイクルにおける比較の結果を示す出力ビット値を出力する。コンパレータにおける欠陥がない場合、コンパレータの出力ビット値は1であることが予期される。出力ビット値は、セーフティロジックに欠陥が存在するか否かを示す出力ビット値を生成するために、同じクロックサイクルにおいてANDツリーコンセントレータ112において組み合わされる(1206)。
【0058】
他の実施例
例示の実施例を本明細書では車両における埋め込みレーダーシステムの文脈で説明してきたが、監視及びセキュリティ応用例、及び工場や倉庫におけるロボットの操作、及び工業流位感知等、埋め込みレーダーシステムの他の応用例に対する実施例も可能である。また、レーダーシステム以外のシステムのための実施例が可能である。
【0059】
インバータが比較信号を受信するように結合される例示の実施例を本明細書で説明してきたが、インバータがマスター信号を受信するように結合される実施例が可能である。
【0060】
欠陥が生じたか否かを示す単一ビット値を生成するために、論理ORツリーコンセントレータ及び論理ANDツリーコンセントレータが複数のコンパレータの出力ビット値を組み合わせるために用いられる例示の実施例を本明細書において説明してきたが、コンセントレータが、例えば、NANDゲート、NORゲートなどを用いるなど、機能的に等価のロジックと共に実装される実施例が可能である。
【0061】
論理ANDツリーコンセントレータの出力ビット値が反転される例示の実施例を本明細書において説明してきたが、出力ビット値が反転されない実施例が可能である。また、コンパレータがXORゲートとして実装される例示の実施例を本明細書において説明してきたが、コンパレータが機能的に等価のロジックにおいて実装される実施例が可能である。
【0062】
マスター及び比較テストパターンからのビット値と、マスター及び比較信号からのビット値との間で選択するためにマルチプレクサが用いられる例示の実施例を本明細書において説明してきたが、機能的に等価の信号選択ロジックが用いられる実施例が可能である。また、テストパターンが単一テストパターンである実施例が可能である。
【0063】
処理ユニットがレーダーSOCの外部にある例示の実施例を本明細書において説明してきたが、処理ユニットがレーダーSOCに含まれる実施例が可能である。また、パリティロジックが
図1のセーフティロジックに結合される例示の実施例を本明細書において説明してきたが、パリティロジックが、
図2又は
図3のセーフティロジックに結合される実施例が可能である。
【0064】
ロックステップセーフティクリティカルモジュールが
図1及び
図2のセーフティロジックに結合される例示の実施例を本明細書において説明してきたが、ロックステップセーフティクリティカルモジュールが
図3のセーフティロジックに結合される実施例が可能である。また、FMCWレーダーシステムを参照して例示の実施例を本明細書において説明してきたが、例示の実施例はFMCWレーダーシステムに限定されない。
【0065】
本記載において、「結合する」という用語は、間接的、直接的、光学的、及び/又は、無線の電気接続を意味する。そのため、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接的電気接続を介するものであり得、或いは、他のデバイス及び接続を介する間接的電気接続を介するもの、光学的電気接続を介するもの、及び/又は、無線の電気接続を介するものであり得る。
【0066】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。