(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】中空構造体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 3/12 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
B32B3/12 B
(21)【出願番号】P 2019171817
(22)【出願日】2019-09-20
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大澤 健
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-247447(JP,A)
【文献】特開2010-247448(JP,A)
【文献】特表2008-520456(JP,A)
【文献】特開2017-065026(JP,A)
【文献】特開2017-196782(JP,A)
【文献】国際公開第2010/119946(WO,A1)
【文献】特開2018-066914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B29C49/00-49/46
49/58-49/68
49/72-51/28
51/42、51/46
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に延びる側壁部によって区画された複数のセルが並設されてなる中空板状のコア層と、前記コア層の少なくとも一方の主面に接合されたスキン層を備えた熱可塑性樹脂製の中空構造体であって、
前記コア層の前記側壁部には、前記セルの内方側に向かって突出する突出部が形成されて
おり、
前記側壁部の一部は、第1側壁部と第2側壁部とからなる2層構造の側壁部として形成され、
前記第1側壁部及び前記第2側壁部との間には、互いを繋ぐ形状の側壁部間突出部が形成され、
前記突出部の突出長は、前記側壁部間突出部の突出長より長く、
前記突出部は、前記側壁部における前記スキン層が接合された側の端縁で前記主面に沿って突出して、前記スキン層に接合されていることを特徴とする中空構造体。
【請求項2】
前記突出部は、
前記厚み方向に圧縮された前記側壁部によって形成されて
おり、
前記突出部の肉厚は、前記側壁部の肉厚より薄いことを特徴とする請求項1に記載の中空構造体。
【請求項3】
前記コア層は、上壁部と、下壁部と、前記上壁部及び前記下壁部との間に立設された前記側壁部とによって前記セルが区画されており、
前記突出部は、
前記側壁部の上端部で前記側壁部を部分的に厚肉にする厚肉部として形成されて
おり、
前記厚肉部は、前記側壁部と前記上壁部の下面との交点より下方に位置するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の中空構造体。
【請求項4】
厚み方向に延びる側壁部によって区画された複数のセルが並設されてなる中空板状のコア層と、前記コア層の少なくとも一方の主面に接合されたスキン層を備えた熱可塑性樹脂製の中空構造体であって、
前記コア層は、前記セルの上端が上壁部によって閉塞されるとともに下端が閉塞されることなく下方に開口している第1セルと、前記セルの下端が下壁部によって閉塞されるとともに上端が閉塞されることなく上方に開口している第2セルとを備え、
前記コア層の前記側壁部には、前記セルの内方側に向かって突出する突出部が形成されて
おり、
前記突出部は、前記側壁部における前記スキン層が接合された側の端縁で前記主面に沿って突出して、前記スキン層に接合されており、
前記第1セルの側壁部の下端縁に形成された前記突出部の大きさは、前記第2セルの側壁部の上端縁に形成された前記突出部の大きさより大きいことを特徴とする中空構造体。
【請求項5】
厚み方向に延びる側壁部によって区画された複数のセルが並設されてなる中空板状のコア層を形成するコア層形成工程と、
前記コア層の少なくとも一方の主面に熱可塑性樹脂製のスキン層を接合するスキン層接合工程とを備え、
前記コア層形成工程では、厚み方向に延びる側壁部によって区画された複数のセルが並設されてなる中空板状のコア層を形成するとともに、前記側壁部の一部を、第1側壁部と第2側壁部とからなる2層構造の側壁部として形成し、
前記コア層形成工程では、前記コア層を加熱状態でその厚み方向に圧縮することにより、
前記側壁部における前記スキン層が接合される側の端縁に、前記セルの内方側に向かって突出する突出部を形成
するとともに、2層構造の前記側壁部の間に、互いを繋ぐ形状の側壁部間突出部を形成し、
前記スキン層接合工程では、前記突出部を含む前記主面に前記スキン層を接合することを特徴とする中空構造体の製造方法。
【請求項6】
熱可塑性樹脂製の一枚のシート材を真空成形することにより、膨出部が形成された凹凸シート材を得る真空成形工程をさらに備え、
前記コア層形成工程では、前記凹凸シート材を加熱状態で折り畳んでその厚み方向に圧縮することにより、前記突出部を形成することを特徴とする請求項5に記載の中空構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空構造体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に複数のセルが並設された中空構造体は、軽量でありながら適度な強度を備えていることから、各種車両の構成部材や建材等として使用される場合がある。特許文献1に記載される中空構造体は、ハニカム構造体の両主面に、一対の被覆層を接合したサンドイッチパネル構造をなしており、ハニカム構造体の内部には、中空構造体の厚み方向に延びる側壁部によって区画された六角形状の複数のセルが並設されている。ここでのハニカム構造体は、平坦なシート材を真空成形することによって凸状の膨出部が形成された凹凸シート材を成形し、凹凸シート材を折り畳むことによって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、真空成形により膨出部が形成された凹凸シート材では、膨出側の凹凸シート材の壁厚が非膨出側の凹凸シート材の壁厚より薄くなる傾向がある。そのため、特許文献1に記載されるような、真空成形により膨出部が形成された凹凸シート材を折り畳んで形成されたハニカム構造体では、膨出側の凹凸シート材が位置する部分では、側壁部の壁厚が薄くなり易く、側壁部の強度を十分保持できない場合がある。また、膨出側の凹凸シート材が位置する側では、被覆層との接合強度を十分確保できない場合がある。強度をさらに向上させたいといった課題は、真空成形以外の方法で形成された中空構造体にも共通するものである。
【0005】
本発明は、従来のこうした課題を解決するためになされたものであり、その目的は、強度に優れた中空構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明は、厚み方向に延びる側壁部によって区画された複数のセルが並設されてなる中空板状のコア層と、前記コア層の少なくとも一方の主面に接合されたスキン層を備えた熱可塑性樹脂製の中空構造体であって、前記コア層の前記側壁部には、前記セルの内方側に向かって突出する突出部が形成されている。
【0007】
上記の構成によれば、突出部が形成された部分では側壁部の強度が向上する。強度に優れた中空構造体が得られる。
上記の構成において、前記突出部は、厚み方向に圧縮された前記側壁部によって形成されていることが好ましい。
【0008】
上記の構成によれば、突出部は熱可塑性樹脂製の側壁部が厚み方向に圧縮されて側壁部と一体に形成されている。他部材を用いて補強する場合に比べて、容易に側壁部の強度を向上させることができる。
【0009】
上記の構成において、前記突出部は、前記側壁部における前記スキン層が接合された側の端縁に、前記主面に沿って突出していることが好ましい。
上記の構成によれば、コア層の少なくとも一方の主面に接合されたスキン層側では、コア層の側壁部の端縁に、コア層の主面に沿って突出するように突出部が形成されている。そのため、突出部によりスキン層に対するコア層の接合面積が増加する。これにより、コア層に対するスキン層の接合強度を向上させることができる。また、中空構造体の曲げ強度を向上させることができる。
【0010】
上記の構成において、前記突出部は、前記側壁部を部分的に厚肉にする厚肉部として形成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、突出部が形成された部分では側壁部が厚肉になっている。そのため、厚肉部の存在によって側壁部の強度が向上する。
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明は、厚み方向に延びる側壁部によって区画された複数のセルが並設されてなる中空板状のコア層を形成するコア層形成工程と、前記コア層の少なくとも一方の主面に熱可塑性樹脂製のスキン層を接合するスキン層接合工程とを備え、前記コア層形成工程では、前記コア層を加熱状態でその厚み方向に圧縮することにより、前記側壁部に、前記セルの内方側に向かって突出する突出部を形成する。
【0012】
上記の構成によれば、熱可塑性樹脂製のコア層を加熱状態でその厚み方向に圧縮することにより、側壁部に一体に突出部を形成することができる。そのため、側壁部を補強するための突出部として、他部材を接合する場合に比べて、容易に側壁部の強度を向上させることができる。強度に優れた中空構造体の製造が容易である。
【0013】
上記の構成において、熱可塑性樹脂製の一枚のシート材を真空成形することにより、膨出部が形成された凹凸シート材を得る真空成形工程をさらに備え、前記コア層形成工程では、前記凹凸シート材を加熱状態で折り畳んでその厚み方向に圧縮することにより、前記突出部を形成することが好ましい。
【0014】
上記の構成によれば、凹凸シート材を加熱状態に折り畳みながらコア層を形成しつつ、厚み方向に圧縮して側壁部に突出部を形成することができる。コア層の形成と突出部の形成を同時に行うことができる。強度に優れた中空構造体の製造工程を簡略化することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、強度に優れた中空構造体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)は第1実施形態の中空構造体の斜視図。(b)は(a)における1B‐1B線断面図、(c)は(a)における1C‐1C線断面図。
【
図2】(a)は第1実施形態の凹凸シート材の斜視図、(b)は凹凸シート材の折り畳み途中の状態を示す斜視図、(c)は凹凸シート材を折り畳んだ状態を示す斜視図。
【
図4】(a)は第2実施形態の中空構造体の斜視図。(b)は(a)における4B‐4B線断面図、(c)は(a)における4C‐4C線断面図。
【
図5】(a)は第2実施形態の凹凸シート材の斜視図、(b)は凹凸シート材の折り畳み途中の状態を示す斜視図、(c)は凹凸シート材を折り畳んだ状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態の中空構造体10について説明する。まず、本実施形態の中空構造体10の構造について、
図1に基づいて説明する。
【0018】
図1(a)に示すように、本実施形態の中空構造体10は、内部に複数のセルSが並設されたコア層20と、コア層20の上面20aに接合されたスキン層30と、コア層20の下面20bに接合されたスキン層40を備えている。なお、ここでは、中空構造体10及びコア層20において、スキン層30が接合された側を上、スキン層40が接合された側を下として説明する。
【0019】
コア層20及びスキン層30、40は、従来周知の熱可塑性樹脂で構成されている。コア層20及びスキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。コア層20及びスキン層30、40は同じ材質の熱可塑性樹脂であることが好ましく、本実施形態ではポリプロピレン樹脂製とされている。
【0020】
図1(b)及び
図1(c)に示すように、コア層20は、ポリプロピレン樹脂製の平坦シート材を所定形状に真空成形してなる1枚の凹凸シート材を折り畳んで形成されている。コア層20は、上壁部21と下壁部22と、上壁部21及び下壁部22の間に立設されて六角筒状の壁部を構成する側壁部23とから構成されている。上壁部21、下壁部22、及び側壁部23によって、コア層20の内部には六角柱状のセルSが区画形成されている。
【0021】
図1(a)に示すように、コア層20の内部に区画形成されるセルSには、構成の異なる第1セルS1と第2セルS2とが存在する。
図1(b)に示すように、第1セルS1は、その上端が上壁部21によって閉塞されるとともに、その下端は閉塞されることなく下方に開口している。第1セルS1の開口端である第1セルS1の側壁部23の下端縁には、コア層20の下面20bに沿って延びるように第1セルS1の内方側に向かって突出する突出部24が形成されている。つまり、第1セルS1では、コア層20の上面20aは、上壁部21で構成され、下面20bは側壁部23の下端縁及び突出部24とで構成されている。
【0022】
一方、
図1(c)に示すように、第2セルS2は、その下端が下壁部22によって閉塞されるとともに、その上端は閉塞されることなく上方に開口している。第2セルS2の開口端である第2セルS2の側壁部23の上端縁には、コア層20の上面20aに沿って延びるように第2セルS2の内方側に向かって突出する突出部25が形成されている。つまり、第2セルS2では、コア層20の下面20bは、下壁部22で構成され、上面20aは側壁部23の上端縁及び突出部25で構成されている。
【0023】
第1セルS1の上壁部21の厚みと第2セルS2の下壁部22の厚みは同程度である。また、第1セルS1の側壁部23の下端縁に形成された突出部24の大きさは、第2セルS2の側壁部23の上端縁に形成された突出部25の大きさより相対的に大きい。
【0024】
また、第1セルS1の開口端とは反対側である側壁部23の上端縁には、上壁部21の下面に沿って延びるように突出部26が形成されている。突出部26の突出量は、突出部24より少なく、突出部26の大きさは、突出部24より小さい。第2セルS2の開口端とは反対側である第2セルS2の側壁部23の下端縁には、下壁部22の上面に沿って延びるように突出部27が形成されている。突出部27の突出量は、突出部25より少なく、突出部27の大きさは、突出部25より小さい。
【0025】
図1(a)に示すように、第1セルS1及び第2セルS2は、X方向において第1セルS1同士又は第2セルS2同士が隣接して列を形成するように配置されている。また、X方向に直交するY方向において、第1セルS1の列と第2セルS2の列とが交互に配置されている。
【0026】
図1(b)及び
図1(c)に示すように、隣接する第1セルS1同士の間、及び隣接する第2セルS2同士の間は、上壁部21及び下壁部22に対して垂直に形成され、第1側壁部23a及び第2側壁部23bを備える2層構造の側壁部23によって区画されている。2層構造の側壁部23では、第1側壁部23a及び第2側壁部23bのそれぞれが、幅方向中央がセルSの内方側へ向かって膨らむようにやや湾曲する上面視湾曲形状となっている。第1側壁部23aと第2側壁部23bは、その上端縁及び下端縁で互いに熱溶着されており、上端縁及び下端縁を除いた上下方向中間部分には互いに熱溶着されていない。隣接する第1セルS1と第2セルS2の間は、上壁部21及び下壁部22に対して垂直に形成される1層構造の側壁部23によって区画されている。
【0027】
第1セルS1における2層構造の側壁部23の上端縁では、熱溶着された部分には、側壁部23から突出する図示しない突出部が形成されている。突出部は、第1側壁部23a及び第2側壁部23bの湾曲形状に沿って形成されている。これにより、第1側壁部23a及び第2側壁部23bの間が繋がれた状態になり、上端縁及び下端縁を除いた上下方向中間部分における熱溶着されていない部分では、第1側壁部23aと第2側壁部23bとは互いに接合されていない状態になっている。また、第2セルS2における2層構造の側壁部23の下端縁では、熱溶着された部分には、側壁部23から突出する図示しない突出部が形成されている。突出部は、第1側壁部23a及び第2側壁部23bの湾曲形状に沿って形成されている。これにより、第1側壁部23a及び第2側壁部23bの間が繋がれた状態になり、上端縁及び下端縁を除いた上下方向中間部分における熱溶着されていない部分では、第1側壁部23aと第2側壁部23bとは互いに接合されていない状態になっている。第1セルS1の2層構造の側壁部23の間に形成された突出部の突出長、第2セルS2の2層構造の側壁部23の間に形成された突出部の突出長は、略同一の幅であり、略同一の大きさである。また、これらの突出部は、前記突出部24、25、26、27より突出長が少なく、大きさも小さい。
【0028】
隣接する第1セルS1同士の間に形成される第1側壁部23aの厚みと第2側壁部23bの厚みは同程度である。また、隣接する第2セルS2同士の間に形成される第1側壁部23aの厚みと第2側壁部23bの厚みは同程度である。一方、隣接する第1セルS1同士の間に形成される第1側壁部23a及び第2側壁部23bの厚みは、隣接する第2セルS2同士の間に形成される第1側壁部23a及び第2側壁部23bの厚みより相対的に薄くなっている。
【0029】
また、1層構造の側壁部23の厚みは、第1セルS1同士の間に形成される第1側壁部23a或いは第2側壁部23bの厚みより相対的に厚く、第2セルS2同士の間に形成される第1側壁部23a或いは第2側壁部23bの厚みより相対的に薄い。
【0030】
図1(a)に示すように、スキン層30、40は、コア層20の上面20a及び下面20bに、図示しない接着層を介してそれぞれ接合されている。スキン層30は、第1セルS1の上面では上壁部21に接合され、第2セルS2の上面では側壁部23の上端及び突出部25に接合されている。また、スキン層40は、第1セルS1の下面では側壁部23の下端及び突出部24に接合され、第2セルS2の下面では下壁部22に接合されている。そのため、中空構造体10の上面は、第1セルS1では、コア層20の上壁部21とスキン層30からなる2層構造とされ、第2セルS2では、スキン層30のみの1層構造と、部分的にスキン層30に突出部25が接合された2層構造とされている。また、中空構造体10の下面は、第2セルS2では、コア層20の下壁部22とスキン層40からなる2層構造とされ、第1セルS1では、スキン層40のみの1層構造と、部分的にスキン層30に突出部24が接合された2層構造とされている。
【0031】
次に、本実施形態の中空構造体10の製造方法について、
図2及び
図3に基づいて説明する。
中空構造体10の製造方法は、真空成形工程、コア層形成工程、及びスキン層接合工程を含む。真空成形工程は、熱可塑性樹脂製の1枚の平坦シート材から凸条の膨出部を有する凹凸シート材100を真空成形する工程である。コア層形成工程は、凹凸シート材100を折り畳んで加熱することによりコア層20を形成する工程である。スキン層接合工程は、コア層20の上面20a及び下面20bにスキン層30、40を接合して中空構造体10を形成する工程である。これら中空構造体10を製造するための各工程は、
図3に示す装置Tによって一連の流れで行う。
【0032】
まず、
図3に示す装置について説明する。
図3は装置Tを模式図として示しており、左側が上流側、右側が下流側である。装置Tには、上流側から順に、熱可塑性樹脂製の平坦シート材が巻回されたシートロール61、真空成形工程のための真空成形用ドラム62、コア層形成工程のための第1のコンベヤ63、スキン層30、40の原材料となるシートが巻回されたシートロール64、65、及スキン層接合工程のための第2のコンベヤ66が配置されている。
【0033】
図3に示すように、真空成形工程では、シートロール61に巻回された熱可塑性樹脂製の平坦シート材が真空成形用ドラム62に供給される。真空成形用ドラム62を通過することによって平坦シート材に凸条の膨出部が形成されて、所定の凹凸形状を有する凹凸シート材100が成形される。真空成形用ドラム62は、回転駆動可能に軸支されるとともに所定温度に加熱可能に構成されている。真空成形用ドラム62の回転速度は、シートロール61の回転速度と等しくなるように設定されている。さらに、真空成形用ドラム62には円筒状をなす成形金型が取り付けられており、成形金型の外周面に形成されている貫通孔を通じた真空引きが可能に構成されている(図示略)。成形金型の外周面には、その周方向に対して凹凸シート材100のX方向が沿うように、凹凸シート材100に成形される凹凸形状(後に説明する第1膨出部110及び第2膨出部120)と同様の凹凸形状が形成されている。これにより、真空成形用ドラム62に沿って搬送された平坦シート材は、真空成形用ドラム62の外周面側に向かって真空引きされて膨出部が形成される。
【0034】
図2(a)に示すように、真空成形工程により成形された凹凸シート材100には、帯状をなす第1膨出部110が上方へ突出する形状に形成される。第1膨出部110が平坦シート材から膨出するように形成される結果、第1膨出部110の間には、第1膨出部110に対して相対的に下方へ突出する第2膨出部120が形成される。第1膨出部110及び第2膨出部120は、その幅方向(Y方向)に交互に配置されている。また、第1膨出部110及び第2膨出部120はX方向に延びるように配置されている。凹凸シート材100を上面視した場合の第1膨出部110と、凹凸シート材100を下面視した場合の第2膨出部120は、同形状であってX方向に1/2ピッチずつずれた位置に形成されている。
【0035】
第1膨出部110は、上面110aと、一対の側面110bと、一対の端面110cからなり、Y方向断面形状が、正六角形を最も長い対角線で二分して得られる台形状をなしている。一対の端面110cは、
図2(a)に示す折り畳み線Pの位置に形成されている。端面110cと上面110aとのなす角度は約90゜である。
【0036】
一方、第2膨出部120は、下面120aと一対の側面120bと、一対の端面120cからなり、Y方向断面形状が、正六角形を最も長い対角線で二分して得られる台形状をなしている。一対の端面120cは、
図2(a)に示す折り畳み線Qの位置に形成されている。端面120cと下面120aとのなす角度は約90゜である。第2膨出部120のX方向の長さ、つまり、一対の端面120c間の長さは、第1膨出部110のX方向の長さ、つまり、一対の端面110c間の長さと同じである。第2膨出部120の端面120cは、第1膨出部110のX方向の中央に位置している。なお、第1膨出部110の側面110bと第2膨出部120の側面120bは説明の便宜上分けているが、同じ構成である。
【0037】
真空成形工程では、平坦シート材に対して第1膨出部110が膨出するように形成されることから、第1膨出部110における上面110aの厚みは、平坦シート材の厚みより薄くなっている。また、一対の側面110bの厚みは、上面110aの厚みより厚く、平坦シート材の厚みより薄くなっている。さらに、一対の端面110cの厚みも、上面110aの厚みより厚く、平坦シート材の厚みより薄くなっている。
【0038】
一方、第2膨出部120における下面120aの厚みは、平坦シート材の厚みと同等である。また、一対の側面120bの厚みは、下面120aの厚み、つまり平坦シート材の厚みより薄くなっている。さらに、一対の端面120cの厚みも、下面120aの厚み、つまり平坦シート材の厚みより薄くなっている。
【0039】
このように、真空成形工程では、平坦シート材の塑性を利用した真空成形法により、平坦シート材を部分的に上方に膨出させて形成された第1膨出部110と、第1膨出部110を膨出させた結果形成された第2膨出部120とを有する凹凸シート材100が得られる。
【0040】
図3に示すように、コア層形成工程では、凹凸シート材100は第1のコンベヤ63によって、その上下方向の移動を規制された状態で下流側へと搬送される。このとき、第1のコンベヤ63による搬送速度は、第1のコンベヤ63の上流側に配置されたシートロール61及び真空成形用ドラム62の回転速度よりも遅くなるように設定されている。つまり、第1のコンベヤ63による搬送速度は、上流側から供給される凹凸シート材100の供給速度より遅くなるように設定されている。また、第1のコンベヤ63には、第1のコンベヤ63間の温度を所定温度に加熱するための加熱装置63aが設けられている。そのため、凹凸シート材100は、第1のコンベヤ63間を搬送されるに際して、加熱されつつ下流方向へ圧縮されながら折り畳まれ、コア層20が形成される。そして、第1のコンベヤ63間を搬送される際には、コア層20が加熱されつつ上下方向に少し圧縮される。
【0041】
図2(b)及び(c)に示すように、第1のコンベヤ63の搬送速度が、その上流側から供給される凹凸シート材100の供給速度よりも遅いことにより、凹凸シート材100は、折り畳み線P、Qに沿って順次折り畳まれる。これにより、コア層20が形成される。具体的には、
図2(b)に示すように、凹凸シート材100は、折り畳み線Pに沿って山折りされ、折り畳み線Qに沿って谷折りされる。
【0042】
図2(c)に示すように、一つの第1膨出部110では、X方向の中央部分に設けられた折り畳み線Qで谷折りされて、X方向右側の上面110aとX方向左側の上面110aが立設状態で当接する。折り畳まれた第1膨出部110では、立設状態で当接したX方向右側の上面110aとX方向左側の上面110aにより、コア層20の2層構造の側壁部23が形成され、側面110bにより、コア層20の1層構造の側壁部23が形成される。側壁部23の上端には、隣り合う第1膨出部110の端面110cからなる上壁部21が形成されて、第1セルS1となる。
【0043】
また、一つの第2膨出部120では、隣り合う折り畳み線QのX方向中央に設けられた折り畳み線Pで山折りされ、X方向右側の下面120aとX方向左側の下面120aが立設状態で当接する。折り畳まれた第2膨出部120では、立設状態で当接したX方向右側の下面120aとX方向左側の下面120aにより、コア層20の2層構造の側壁部23が形成され、側面120bにより、コア層の20の1層構造の側壁部23が形成される。側壁部23の下端には、隣り合う第2膨出部120の端面120cからなる下壁部22が形成されて、第2セルS2となる。
【0044】
コア層形成工程では、第1のコンベヤ63は加熱装置63aにより加熱されている。そのため、折り畳まれて形成されたコア層20は、第1のコンベヤ63によって加熱押圧される。これにより、折り畳まれたコア層20の2層構造の側壁部23の上端縁及び下端縁は熱溶着されて突出部24、25、26、27より小さい突出部が形成され、第1側壁部23a及び第2側壁部23bの間が繋がれた状態となる。その一方で、上端縁及び下端縁を除いた部分は熱溶着されずに、2層構造の側壁部23の上下方向中間部分には第1側壁部23aと第2側壁部23bとが接合されていない非接合部が形成される。
【0045】
また、第1のコンベヤ63間を搬送させるに際して、コア層20は加熱されつつ上下方向に少し圧縮されることから、下壁部22が形成されていない第1セルS1では、側壁部23の下端が熱溶融されて上下方向に押圧される。その結果、側壁部23の下端縁が部分的に熱溶融して、第1セルS1の内側に向かって延びるバリ状の突起物である突出部24が形成される。同様に、上壁部21が形成されていない第2セルS2では、側壁部23の上端が熱溶融されて上下方向に押圧される。その結果、側壁部23の上端縁が部分的に熱溶融して、第2セルS2の内側に向かって延びるバリ状の突起物である突出部25が形成される。
【0046】
ここで、第1セルS1を区画する2層構造の側壁部23は、第1膨出部110の上面110aにより形成されており、第2セルS2を区画する2層構造の側壁部23は、第2膨出部120の下面120aにより形成されている。第2膨出部120の下面120aの厚みは、平坦シート材の厚みと同程度である一方で、第1膨出部110の上面110aの厚みは、平坦シート材の厚みより薄くなっている。そのため、第1セルS1を区画する2層構造の側壁部23の厚みは、第2セルS2を区画する2層構造の側壁部23の厚みより薄くなる。
【0047】
また、第1膨出部110の側面110bの厚みは、平坦シート材の厚みより薄く、第2膨出部120の側面120bの厚みも、平坦シート材の厚みより薄くなっている。そのため、第1セルS1及び第2セルS2を区画する1層構造の側壁部23の厚みは、第1セルS1同士の間に形成される第1側壁部23a或いは第2側壁部23bの厚みより相対的に厚く、第2セルS2同士の間に形成される第1側壁部23a或いは第2側壁部23bの厚みより相対的に薄くなる。
【0048】
さらに、第1膨出部110の一対の端面110cの厚みは、平坦シート材の厚みより薄く、第2膨出部120の一対の端面120cの厚みも、平坦シート材の厚みより薄くなっている。そのため、第1セルS1の上壁部21の厚みと第2セルS2の下壁部22の厚みは同程度となる。
【0049】
コア層20が第1のコンベヤ63間を搬送される際、コア層20の厚み方向端部には、加熱装置63aからの熱が伝わる。第1セルS1では、第1膨出部110の上面110a同士が当接して2層構造の側壁部23が形成され、側面110bにより1層構造の側壁部23が形成されている。そのため、側壁部23の下端縁には、2層構造の側壁部23の方が1層構造の側壁部23より、多くの樹脂だまりが形成されることになる。その後、コア層20が冷却されて樹脂だまりが固化すると、樹脂だまりはバリ状の突起物としての突出部24となり、2層構造の側壁部23の下端縁には、1層構造の側壁部23の下端縁より相対的に大きな突出部24が形成される。また、2層構造の側壁部23の下端縁に形成された突出部24の突出長は、1層構造の側壁部23の下端縁に形成された突出部24の突出長より大きい。2層構造の側壁部23の下端縁に形成された突出部24の突出長は部位によって略同じ幅であり、1層構造の側壁部23の下端縁に形成された突出部24の突出長は部位によって略同じ幅である。
【0050】
第2セルS2では、第2膨出部120の下面120a同士が当接して2層構造の側壁部23が形成され、側面120bにより1層構造の側壁部23が形成されている。そのため、側壁部23の上端縁には、2層構造の側壁部23の方が1層構造の側壁部23より、多くの樹脂だまりが形成されることになる。その後、コア層20が冷却されて樹脂だまりが固化すると、樹脂だまりはバリ状の突起物としての突出部25となり、2層構造の側壁部23の上端縁には、1層構造の側壁部23の上端縁より相対的に大きな突出部25が形成される。また、2層構造の側壁部23の上端縁に形成された突出部25の突出長は、1層構造の側壁部23の上端縁に形成された突出部25の突出長より大きい。2層構造の側壁部23の上端縁に形成された突出部25の突出長は部位によって略同じ幅であり、1層構造の側壁部23の上端縁に形成された突出部25の突出長は部位によって略同じ幅である。
【0051】
また、第1セルS1の2層構造の側壁部23は、第2セルS2の2層構造の側壁部23より相対的に厚みが薄い。そのため、加熱装置63aからの熱によって、より溶融され易い。その結果、第1セルS1の側壁部23の下端縁には、第2セルS2の側壁部23の上端縁より、多くの樹脂だまりが形成されることになる。その後、コア層20が冷却されて樹脂だまりが固化すると、第1セルS1の側壁部23の下端縁には、第2セルS2の側壁部23の上端縁より、大きなバリ状の突起物が形成されることになる。これにより、第1セルS1の側壁部23の下端縁に形成された突出部24の大きさは、第2セルS2の側壁部23の上端縁に形成された突出部25の大きさより相対的に大きくなる。
【0052】
第1セルS1の側壁部23の上端縁には、第1のコンベヤ63間を搬送される際にコア層20が加熱押圧されることによって樹脂だまりが形成され、その結果、バリ状の突起物である突出部26が形成される。同様に、第2セルS2の側壁部23の下端縁には、第1のコンベヤ63間を搬送される際にコア層20が加熱押圧されることによって樹脂だまりが形成され、その結果、バリ状の突起物である突出部27が形成される。
【0053】
スキン層接合工程では、コア層20の上下両面にスキン層30、40を接合する。
折り畳まれるとともに突出部24、25が形成されたコア層20は、第2のコンベヤ66に向かって移動する。第2のコンベヤ66による搬送速度は第1のコンベヤ63による搬送速度と等しくなるように設定されている。また、第2のコンベヤ66には加熱装置66aが設けられている。第2のコンベヤ66の搬入口近傍には、スキン層30、40となる熱可塑性樹脂製のシートが巻回されたシートロール64、65がそれぞれ配置されている。シートロール64、65に巻回されたシートには図示しない接着剤が塗布されている。ここでの接着剤は、ポリプロピレン樹脂と相溶性のある樹脂で構成されたホットメルト系接着剤であることが好ましいが、接着剤を省略することもできる。接着剤を省略する場合、例えば、スキン層30、40と同素材であって低融点の熱可塑性樹脂層を形成しておいてもよい。また、接着剤や低融点の熱可塑性樹脂層を省略することもできる。
【0054】
図3に示すように、第2のコンベヤ66の間を通過するコア層20の上面20a及び下面20bには、シートロール64、65に巻回された熱可塑性樹脂製のシートが供給される。シートに塗布された接着剤は溶融状態とされている。第2のコンベヤ66には加熱装置66aが設けられているため、第2のコンベヤ66を通過する際には、シートに塗布された接着剤は溶融状態に維持されている。
【0055】
続いて、上下両面にシートが配置されたコア層20は、下流側に移動して冷却される。これによりシートに塗布された接着剤が冷却固化され、コア層20の上面20a及び下面20bにシートが接合される。コア層20の上面20aに接合されたシートはスキン層30となり、コア層20の下面20bに接合されたシートはスキン層40となる。こうして、コア層20の上面20a及び下面20bにスキン層30、40が接合された中空構造体10が得られる。
【0056】
次に、中空構造体10の作用について
図1に基づいて説明する。
図1(a)に示すように、凹凸シート材100を折り畳んで形成されたコア層20は、セルSを区画する側壁部23がコア層20(中空構造体10)の厚み方向に立設されており、複数のセルSは、コア層20(中空構造体10)の厚み方向に延びるように形成されている。複数のセルSのうち、コア層20の上面20aは、第1セルS1の上壁部21と第2セルS2の側壁部23の上端縁及び突出部25で構成されており、突出部25は、第2セルS2の内方側へ延びるように突出形成されている。そして、コア層20の上面20aには、スキン層30が接合されている。
【0057】
スキン層30は、第1セルS1の上壁部21と第2セルS2の側壁部23の上端縁及び突出部25に接合されていることから、突出部25が形成されていない場合に比べて、その結合強度が強くなる。
【0058】
また、コア層20の下面20bは、第1セルS1の側壁部23の下端縁及び突出部24と第2セルS2の下壁部22で構成されており、突出部24は、第1セルS1の内方側へ延びるように突出形成されている。そして、コア層20の下面20bには、スキン層40が接合されている。
【0059】
スキン層40は、第2セルS2の下壁部22と第1セルS1の側壁部23の下端縁及び突出部24に接合されていることから、突出部24が形成されていない場合に比べて、その結合強度が強くなる。
【0060】
さらに、第1セルS1を第2セルS2を区画する1層構造の側壁部23に対して、第1セルS1同士を区画する2層構造の第1側壁部23a或いは第2側壁部23bは相対的に薄く、第2セルS2同士を区画する2層構造の第1側壁部23a或いは第2側壁部23bは相対的に厚い。そして、第1のコンベヤ63の加熱装置63aからの熱により、第2セルS2間の2層構造の側壁部23より、第1セルS1間の2層構造の側壁部23が熱溶融し易い。その結果、第1セルS1に形成された突出部24が第2セルS2に形成された突出部25より大きくなることから、突出部24が形成されたコア層20の下面20bでは、上面20aより相対的にスキン層40の接合強度が強くなる。
【0061】
本実施形態の中空構造体10及びその製造方法によれば以下の効果が得られる。
(1)本実施形態の中空構造体10は、厚み方向に延びる側壁部23によって区画された複数のセルSが並設されたコア層20を備えている。そして、コア層20の第1セルS1では、側壁部23の下端縁に、第1セルS1の内方側に向かって突出する突出部24が形成されており、コア層20の第2セルS2では、側壁部23の上端縁に、第2セルS2の内方側に向かって突出する突出部25が形成されている。
【0062】
そのため、突出部24、25が形成された部分では、側壁部23が補強されてコア層20の強度が向上する。強度に優れた中空構造体が得られる。
(2)本実施形態の中空構造体10は、コア層20と、コア層20の上面20a及び下面20bに接合されたスキン層30、40を備えている。突出部24は、側壁部23におけるスキン層40が接合された側の下端縁に、コア層20の下面20bに沿って突出している。また、突出部25は、側壁部23におけるスキン層30が接合された側の上端縁に、コア層20の上面20aに沿って突出している。
【0063】
そのため、コア層20の下面20bでは、突出部24によりスキン層40に対するコア層20の接合面積が増加し、コア層20の上面20aでは、突出部25によりスキン層30に対するコア層20の接合面積が増加する。これにより、コア層20に対するスキン層30、40の接合強度を向上させることができる。
【0064】
(3)中空構造体10の製造方法では、コア層形成工程で、コア層20を加熱状態でその厚み方向に圧縮することにより、側壁部23に、セルSの内方側に向かって突出する突出部24、25を形成している。
【0065】
そのため、熱可塑性樹脂製のコア層20を加熱状態でその厚み方向に圧縮して側壁部23を熱溶融させることにより、突出部24、25を側壁部23と一体に形成することができる。側壁部23を補強するための突出部24、25として、他部材を接合する場合に比べて、容易に側壁部23の強度を向上させることができる。
【0066】
(4)コア層形成工程では、真空成形された熱可塑性樹脂製の一枚の凹凸シート材100を折り畳んでコア層20を形成しつつ、コア層20を加熱状態で厚み方向に圧縮している。
【0067】
そのため、コア層20の形成と、突出部24、25の形成とを同じ工程で行うことができる。強度に優れた中空構造体10の製造工程を簡略化することができる。
また、コア層20の形成と、コア層20の2層構造の側壁部23の上端縁及び下端縁の熱溶着とを同時に行うことができる。
【0068】
(5)本実施形態の中空構造体10は、真空成形工程、コア層形成工程、及びスキン層接合工程を経て製造され、各工程は、装置Tによる一連の流れで行っている。
そのため、生産性、量産性に優れ、コスト的に有利に中空構造体10を製造することができる。
【0069】
(6)コア層形成工程を構成する第1のコンベヤ63による搬送速度は、第1のコンベヤ63の上流側に配置されたシートロール61及び真空成形用ドラム62の回転速度よりも遅くなるように設定されている。つまり、第1のコンベヤ63による搬送速度は、真空成形用ドラム62を通過した凹凸シート材100の供給速度より遅い。
【0070】
そのため、凹凸シート材100は、折り畳み線P、Qに沿って順次折り畳まれる。凹凸シート材100を移動させることによってコア層形成工程を容易に行うことができる。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態の中空構造体11について説明する。第2実施形態の中空構造体11は、中空構造体11のコア層50を形成するための凹凸シート材200の構成が、第1実施形態の凹凸シート材100の構成と異なっている。そのため、コア層50の上壁部51、下壁部52、及び側壁部53の構成が、第1実施形態のコア層20と異なっている。ここでは、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0071】
図4(a)~(c)に示すように、第2実施形態のコア層50は、所定形状に成形された1枚の熱可塑性樹脂製の凹凸シート材を折り畳んで形成されている。コア層50の内部に区画形成されるセルSには、構成の異なる第3セルS3及び第4セルS4が存在する。
図4(b)に示すように、第3セルS3においては、側壁部53の上部に2層構造の上壁部51が設けられている。この2層構造の上壁部51の各層は互いに接合されている。また、第3セルS3においては、側壁部53の下部に1層構造の下壁部52が設けられている。一方、
図4(c)に示すように、第4セルS4においては、側壁部53の上部に1層構造の上壁部51が設けられている。また、第4セルS4においては、側壁部53の下部に2層構造の下壁部52が設けられている。この2層構造の下壁部52の各層は互いに接合されている。
【0072】
図4(a)に示すように、第3セルS3はX方向に沿って列をなすように並設されている。同様に、第4セルS4はX方向に沿って列を成すように並設されている。第3セルS3の列及び第4セルS4の列は、X方向に直交するY方向において交互に配列されている。これら第3セルS3及び第4セルS4により、コア層50は、全体としてハニカム構造をなしている。なお、
図4(a)では、2層構造の上壁部51、下壁部52の図示を省略している。
【0073】
図4(b)及び(c)に示すように、隣接する第3セルS3同士の間、及び隣接する第4セルS4同士の間は、それぞれ2層構造の側壁部53によって区画されている。第3セルS3及び第4セルS4では、2層構造の側壁部53は、その上下両端部で互いに熱溶着されている一方で、コア層50の厚み方向中央部には互いに熱溶着されていない部分を有している。隣接する第3セルS3と第4セルS4の間は、上壁部51及び下壁部52に対して垂直に形成される1層構造の側壁部53によって区画されている。
【0074】
隣接する第3セルS3同士の間に形成される2層構造の側壁部53を構成する第1側壁部53aの厚みと第2側壁部53bの厚みは同程度である。また、隣接する第4セルS4同士の間に形成される2層構造の側壁部53を構成する第1側壁部53aの厚みと第2側壁部53bの厚みは同程度である。一方、隣接する第3セルS3同士の間に形成される第1側壁部53a及び第2側壁部53bの厚みは、隣接する第4セルS4同士の間に形成される第1側壁部53a及び第2側壁部53bの厚みより相対的に薄い。
【0075】
また、1層構造の側壁部53の厚みは、第3セルS3同士の間に形成される第1側壁部53a或いは第2側壁部53bの厚みより相対的に厚く、第4セルS4同士の間に形成される第1側壁部53a或いは第2側壁部53bの厚みより相対的に薄い。
【0076】
図4(b)に示すように、第3セルS3の側壁部53の上端部には、側壁部53が部分的に厚肉とされた厚肉部54が第3セルS3の内方側へ突出形成されている。厚肉部54は、側壁部53の上端縁で、上壁部51の下面と一体となるように形成されている。また、
図4(c)に示すように、第4セルS4の側壁部53の上端部には、側壁部53が部分的に厚肉とされた厚肉部55が第4セルS4の内方側へ突出形成されている。厚肉部55は、側壁部53の上端縁で、上壁部51の下面と一体となるように形成されている。第3セルS3の側壁部53の上端部に形成された厚肉部54の大きさは、第4セルS4の側壁部53の上端部に形成された厚肉部55の大きさより相対的に小さい。
【0077】
次に、本実施形態の中空構造体11の製造方法について、
図5に基づいて第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。第2実施形態の中空構造体11も、第1実施形態の中空構造体10を製造する際の装置Tを用いて製造する。ここでは、真空成形工程で成形された凹凸シート材200の形状が第1実施形態とは異なっている。つまり、真空成形工程での真空成形用ドラム62に取り付けられた成形金型の外周面形状が第1実施形態のものとは異なっている。
【0078】
図5(a)に示すように、シートロール61に巻回された熱可塑性樹脂製の平坦シート材から、真空成形用ドラム62での真空引きによって凸状の膨出領域220が成形された凹凸シート材200が得られる。中空構造体11のコア層50は、凹凸シート材200を折り畳んで形成されている。
【0079】
凹凸シート材200には、帯状をなす平面領域210及び膨出領域220が、凹凸シート材200の長手方向(X方向)に交互に配置されている。膨出領域220には、上面221aと一対の側面221bとからなる断面下向溝状をなす第1膨出部221が膨出領域220の延びる方向(Y方向)の全体にわたって形成されている。なお、第1膨出部221の上面221aと側面221bとのなす角は90度であることが好ましく、その結果として、第1膨出部221の断面形状は下向コ字状となる。また、第1膨出部221の幅(上面221aの短手方向の長さ)は平面領域210の幅と等しく、かつ第1膨出部221の膨出高さ(側面221bの短手方向の長さ)の2倍の長さとなるように設定されている。
【0080】
また、膨出領域220には、その断面形状が正六角形を最も長い対角線で二分して得られる台形状をなす複数の第2膨出部222が、第1膨出部221に直交するように形成されている。第2膨出部222の膨出高さ(上面222aの高さ)は第1膨出部221の膨出高さ(上面221aの高さ)と等しくなるように設定されている。また、隣り合う第2膨出部222間の間隔は、第2膨出部222の上面222aの幅と等しくなっている。
【0081】
なお、こうした第1膨出部221及び第2膨出部222は、シートの塑性を利用して、真空成形により平坦シート材を部分的に上方に膨出させることにより形成されている。
真空成形工程では、平坦シート材に対して第1膨出部221及び第2膨出部222が膨出するように形成されることから、第1膨出部221における上面221aの厚みは、平坦シート材の厚みより薄くなっている。また、一対の側面221bの厚みは、上面221aの厚みより厚く、平坦シート材の厚みより薄くなっている。さらに、第2膨出部222における上面222aの厚みは、平坦シート材の厚みより薄くなっており、第1膨出部221における上面221aの厚みと同程度である。第2膨出部222における側面222b及び端面222cの厚みは、上面222aの厚みより厚く、平坦シート材の厚みより薄くなっている。
【0082】
図4(b)及び(c)に示すように、コア層形成工程では、凹凸シート材200は第1のコンベヤ63によって、その上下方向の移動を規制された状態で下流側へと搬送されて折り畳まれる。凹凸シート材200は、折り畳み線P、Qに沿って折り畳まれてコア層50が形成される。具体的には、凹凸シート材200を、平面領域210と膨出領域220との折り畳み線Pにて谷折りするとともに、第1膨出部221の上面221aと側面221bとの折り畳み線Qにて山折りしてX方向に圧縮する。そして、第1膨出部221の上面221aと側面221bとが折り重なるとともに、第2膨出部222の端面222cと平面領域210とが折り重なることによって、一つの膨出領域220に対して一つのY方向に延びる角柱状の区画体230が形成される。こうした区画体230がX方向に連続して形成されていくことにより中空板状のコア層50が形成される。
【0083】
上記のように凹凸シート材200を圧縮するとき、第1膨出部221の上面221aと側面221bとによってコア層50の上壁部51が形成されるとともに、第2膨出部222の端面222cと平面領域210とによってコア層50の下壁部52が形成される。なお、
図4(c)に示すように、上壁部51における第1膨出部221の上面221aと側面221bとが折り重なって2層構造を形成する部分、及び下壁部52における第2膨出部222の端面222cと平面領域210とが折り重なって2層構造を形成する部分がそれぞれ重ね合わせ部231となる。
【0084】
また、第2膨出部222が折り畳まれて区画形成される六角柱形状の領域が第4セルS4となるとともに、隣り合う一対の区画体230間に区画形成される六角柱形状の領域が第3セルS3となる。そのため、第3セルS3の上壁部51は、第1膨出部221の上面221aと側面221bで形成され、第4セルS4の上壁部51は、第1膨出部221の上面221aで形成される。一方、第3セルS3の下壁部52は、平面領域210で形成され、第4セルS4の下壁部52は、第2膨出部222の端面222cと平面領域210で形成される。つまり、平面シート材を膨出させない部分を含んで形成される下壁部52より、膨出させた部分で形成される上壁部51は相対的にその厚みが薄くなる。また、2層構造の側壁部53では、第2膨出部222の上面222a同士が当接して形成された第4セルS4の側壁部53が、膨出領域220のうち膨出されていない部分同士が当接して形成された第3セルS3の側壁部53より薄くなる。
【0085】
コア層形成工程では、第1のコンベヤ63は加熱装置63aにより加熱されている。そのため、折り畳まれて形成されたコア層50は、第1のコンベヤ63によって加熱押圧される。これにより、折り畳まれたコア層50の2層構造の側壁部53の上端縁及び下端縁は熱溶着された状態となる一方で上端縁及び下端縁を除いた部分は熱溶着されない。
【0086】
また、第1のコンベヤ63間を搬送させるに際して、コア層20は加熱されつつ上下方向に少し圧縮されることから、加熱された上壁部51或いは下壁部52からの熱が側壁部53に伝わって熱可塑性樹脂が熱溶融するとともに、側壁部53に部分的に厚肉部54、55が形成される。このとき、コア層50における上壁部51は、下壁部52より相対的に厚みが薄いことから、加熱装置63aからの熱は、上壁部51を介する方が下壁部52を介するより側壁部53に伝わり易い。これにより、コア層形成工程では、側壁部53における上端部に、側壁部53が熱溶融することによって樹脂だまりができ易い。その後の冷却により、形成された樹脂だまりは、厚肉部54、55となり、側壁部53の上端部には、第3セルS3及び第4セルS4の内方側へ突出する厚肉部54、55が形成されることになる。
【0087】
また、第4セルS4同士を区画する2層構造の側壁部53は、第3セルS3同士を区画する2層構造の側壁部53より薄い。そのため、加熱装置63aからの熱は、第3セルS3同士を区画する2層構造の側壁部53より、第4セルS4同士を区画する2層構造の側壁部53に伝わり易い。これにより、コア層形成工程では、第4セルS4同士を区画する2層構造の側壁部53には、第3セルS3同士を区画する2層構造の側壁部53より、大きな樹脂だまりができ易い。その結果、第4セルS4の側壁部53の上端部に形成された厚肉部55の大きさは、第3セルS3の側壁部53の上端部に形成された厚肉部54の大きさより相対的に小さくなる。
【0088】
本実施形態の中空構造体11及びその製造方法によれば、第1実施形態での(5)、(6)に加えて、以下の効果が得られる。
(7)コア層50の側壁部53には厚肉部54、55が形成されている。
【0089】
そのため、厚肉部54、55の存在によって側壁部53の強度が向上する。
(8)中空構造体11の製造方法では、コア層形成工程で、コア層50を加熱状態でその厚み方向に圧縮することにより、側壁部53に、セルSの内方側に向かって突出する厚肉部54、55を形成している。
【0090】
そのため、熱可塑性樹脂製のコア層50を加熱状態でその厚み方向に圧縮して側壁部53を熱溶融させることにより、厚肉部54、55を側壁部53を一体に形成することができる。側壁部53を補強するための厚肉部54、55として、他部材を接合する場合に比べて、容易に側壁部53の強度を向上させることができる。
【0091】
(9)コア層形成工程では、真空成形された熱可塑性樹脂製の一枚の凹凸シート材200を折り畳んでコア層50を形成しつつ、コア層50を加熱状態で厚み方向に圧縮している。
【0092】
そのため、コア層50の形成と、厚肉部54、55の形成とを同じ工程で行うことができる。強度に優れた中空構造体11の製造工程を簡略化することができる。
また、コア層50の形成と、コア層50の2層構造の側壁部53の上端縁及び下端縁の熱溶着とを同時に行うことができる。
【0093】
上記実施形態は、次のように変更できる。なお、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて適用することができる。
・コア層20は、凹凸シート材を折り畳んで形成されたものに限定されない。例えば、一枚のシート材を真空成形することにより、円柱状や截頭円錐形状の膨出部が形成された凹凸シート材であってもよい。
【0094】
・コア層20は、柱形状のセルSが区画されたものに限らない。例えば、所定の凹凸形状を有するコア層の上下両面にシート層を接合したものであってもよい。このような構成のコア層としては、例えば特開2014-205341号公報に記載のものが挙げられる。また、断面がハーモニカ状のプラスチックダンボール等であってもよい。
【0095】
・コア層20は、真空成形された凹凸シート材から形成したものでなくてもよい。例えば、複数の帯状のシートを所定間隔毎に屈曲させて配置してセルの側壁を構成した凹凸シート材から形成したものであってもよい。
【0096】
・コア層20の内部には六角柱状のセルSが並設されているが、セルSの形状はこれに限定されない。例えば、四角柱状、八角柱状等の多角柱状もよい。また、各セルは隣接していなくてもよく、セルとセルとの間に隙間(空間)が存在していてもよい。
【0097】
・コア層20は、形状の異なるセルが混在しているものであってもよい。
・第1実施形態の中空構造体10で、コア層20を形成する凹凸シート材100の厚みが部位によって異なるものでなくてもよい。また、各部位の厚みが第1実施形態のコア層20と異なっていてもよい。同様に、第2実施形態の中空構造体11で、コア層50を形成する凹凸シート材200の厚みが部位によって異なるものでなくてもよい。また、各部位の厚みが第2実施形態のコア層50と異なっていてもよい。
【0098】
・第1実施形態の中空構造体10のコア層20を形成する凹凸シート材100では、第1膨出部110における上面110aの厚みが、平坦シート材の厚みより薄い。また、一対の側面110bの厚みが、上面110aの厚みより厚く、平坦シート材の厚みより薄い。さらに、一対の端面110cの厚みも、上面110aの厚みより厚く、平坦シート材の厚みより薄い。上面110a、側面110b、端面110cの厚みは、これに限定されない。例えば、端面110cの厚みが、上面110aの厚みより薄い場合がある。これは、シートロール61に巻回された平坦シート材から凹凸シート材100を真空成形する際に、上面110aと端面110cが繋がっている角部が一番引かれる部分になり、端面110cの方が薄くなることがあるためである。また、上面110a、側面110b、端面110cの各面が、均一な厚みではなく、前記角部に向けて徐々に薄くなることもある。
【0099】
第1実施形態の中空構造体10のコア層20を形成する凹凸シート材100では、第2膨出部120における下面120aの厚みが、平坦シート材の厚みと同等である。また、一対の側面120bの厚みが、下面120aの厚み、つまり平坦シート材の厚みより薄い。さらに、一対の端面120cの厚みも、下面120aの厚み、つまり平坦シート材の厚みより薄い。上面110a、側面110b、端面110cの厚みは、これに限定されない。例えば、下面120aの厚みが、平坦シート材の厚みより薄い場合がある。これは、平坦シート材を真空成形用ドラム62で加熱している時に、平坦シート材が引き伸ばされることがあるためである。
【0100】
いずれの場合も、折り畳み工程で折り畳まれたコア層20では、第1セルS1の2層構造の側壁部23は、第2セルS2の2層構造の側壁部23より相対的に厚みが薄くなり、加熱装置63aからの熱によって、より溶融され易い。その結果、第1セルS1の側壁部23の下端縁には、第2セルS2の側壁部23の上端縁より、多くの樹脂だまりが形成されることになる。
【0101】
・第1実施形態の中空構造体10のコア層20では、第1セルS1の上壁部21の厚みと第2セルS2の下壁部22の厚みは同程度である場合について説明した。これに限定されず、例えば、第1セルS1の上壁部21の厚みが第2セルS2の下壁部の厚みより薄い場合があってもよい。
【0102】
・第2実施形態の中空構造体11では、厚肉部54、55は、側壁部53の上端縁で、上壁部51の下面と一体となるようにして形成されているが、厚肉部54、55の形成位置はこれに限定されない。側壁部53において、上壁部51に接しないような位置であってもよい。この場合、上壁部51は下壁部52より相対的に厚みが薄く、加熱装置63aからの熱が、下壁部52を介するより上壁部51を介する方が側壁部53に伝わり易いことから、厚肉部54、55は、側壁部53の上端部に形成され易い。
【0103】
・第2実施形態の中空構造体11の側壁部23に、厚肉部54、55に加えて第1実施形態の突出部24、25と同様の突出部が形成されていてもよい。つまり、側壁部53の上端縁に形成された突出部と、側壁部53の上端部に形成された厚肉部54、55とが併存していてもよい。第2実施形態のコア層50においても、2層構造の側壁部53は、第1側壁部53a及び第2側壁部53bのそれぞれが、幅方向中央がセルSの内方側へ向かって膨らむようにやや湾曲する上面視湾曲形状となっている場合がある。この場合の側壁部53の上端縁の突出部も、第1実施形態の突出部24、25と同様に、第1側壁部53a及び第2側壁部53bの湾曲形状に沿って形成される。なお、2層構造の側壁部53は、上面視したときに第1側壁部53a及び第2側壁部53bの両端部から中央に行くにつれて離間する幅が広くなるような上面視湾曲形状となっている。
【0104】
・第1実施形態の中空構造体10で、突出部24より突出部25が大きくてもよい。また、同程度の大きさであってもよい。
・第2実施形態の中空構造体11で、厚肉部54より厚肉部55が小さくてもよい。また、同程度の大きさであってもよい。
【0105】
・厚肉部54、55は、側壁部53の上端部以外の部分に形成されていてもよい。下端部であってもよく、中間部であってもよい。また、上端部から下端部までの複数箇所に形成されていてもよい。
【0106】
・中空構造体10を補強するために、セルS内に発泡樹脂等の充填剤を充填したり、コア層20の主面のいずれかの部分に鋼板を接合したり、セルS内に金属棒等の補強部材を挿入したりしてもよい。
【0107】
・中空構造体10に接合されているスキン層30、40は1層構造ではなく、少なくともいずれかが多層構造であってもよい。例えば、低融点フィルム層、柄を印刷した装飾層、不織布層等を有する多層構造であってもよい。
【0108】
・スキン層30、40の少なくともいずれかを省略してもよい。
・コア層20、及びスキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂として、各種機能性樹脂を添加したものを使用してもよい。例えば、熱可塑性樹脂に難燃性の樹脂を添加することにより、難燃性を高めることが可能である。コア層20、及びスキン層30、40のすべてに対して各種機能性樹脂を添加したものを使用することも可能であり、また、コア層20、及びスキン層30、40の少なくともいずれかに対して使用することも可能である。
【0109】
・スキン層30、40は接着剤によってコア層20に接合されているが、コア層20に熱溶着されることによって接合されていてもよい。この場合、コア層20、スキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂の熱溶融温度を考慮して、第2のコンベヤ66の加熱装置66aの温度を調整すればよい。
【0110】
・上記各実施形態では、平板状の中空構造体10、11について説明したが、中空構造体10、11は平板状でなくてもよい。例えば、プレス成形等によって湾曲板状に形成したりしてもよい。この場合、中空構造体10、11の剥離強度が高いため、湾曲板状に形成してもその表面を平坦に形成することができる。
【符号の説明】
【0111】
10、11…中空構造体、20、50…コア層、20a、20b…主面、21、51…上壁部、22、52…下壁部、23、53…側壁部、24、25…突出部、30…スキン層、40…スキン層、54、55…厚肉部、100、200…凹凸シート材、S…セル、S1…第1セル、S2…第2セル。