(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】表示プレート支持具
(51)【国際特許分類】
G09F 7/18 20060101AFI20231129BHJP
G09F 7/00 20060101ALI20231129BHJP
E01F 9/692 20160101ALI20231129BHJP
【FI】
G09F7/18 A
G09F7/00 E
E01F9/692
(21)【出願番号】P 2019221438
(22)【出願日】2019-12-06
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹田 徹
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189698(JP,A)
【文献】登録実用新案第3222558(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00-11/00
G09F 7/00-7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の表示プレートを支持する合成樹脂製の表示プレート支持具であって,
表示プレートを収納する収納空間の底面に位置するプレート支持部と,
前記プレート支持部に対して前面側に設けられ,表示プレートの収納空間の板面内方向の外側限界を規定する側辺支持部と,
前記側辺支持部から前記収納空間の前に部分的に覆い被さる脱落防止部と,
前記プレート支持部を地面に対して立てた状態に維持する脚部材を,角度変更と脱着とのうち少なくとも角度変更が可能な状態にて前記プレート支持部の後面側に位置するように保持する脚部材保持部とを有し,
前記脱落防止部は,
前記側辺支持部の1辺における中央領域を挟んだ第1箇所および第2箇所と,
前記側辺支持部の前記1辺に対する平行な対辺における前記第1箇所と対向する第3箇所および前記第2箇所と対向する第4箇所との少なくも4箇所に設けられており,
前記側辺支持部の前記中央領域での前記1辺と前記対辺との間の間隔が,前記脱落防止部の先端同士間での前記1辺と前記対辺との間の間隔より広
く,
前記側辺支持部における前記中央領域内の位置に,前記1辺と前記対辺との間の間隔が前記中央領域内における他の位置よりも広くされている凹部が形成されている表示プレート支持具。
【請求項2】
可撓性の表示プレートを支持する合成樹脂製の表示プレート支持具であって,
表示プレートを収納する収納空間の底面に位置するプレート支持部と,
前記プレート支持部に対して前面側に設けられ,表示プレートの収納空間の板面内方向の外側限界を規定する
,前記収納空間の四辺すべてに対して設けられた縦壁部を有する側辺支持部と,
前記側辺支持部から前記収納空間の前に部分的に覆い被さる脱落防止部と,
前記プレート支持部を地面に対して立てた状態に維持する脚部材を,角度変更と脱着とのうち少なくとも角度変更が可能な状態にて前記プレート支持部の後面側に位置するように保持する脚部材保持部とを有し,
前記脱落防止部は,
前記側辺支持部の1辺における中央領域を挟んだ第1箇所および第2箇所と,
前記側辺支持部の前記1辺に対する平行な対辺における前記第1箇所と対向する第3箇所および前記第2箇所と対向する第4箇所との少なくも4箇所に設けられており,
前記側辺支持部の前記中央領域での前記1辺と前記対辺との間の間隔が,前記脱落防止部の先端同士間での前記1辺と前記対辺との間の間隔より広
く,
前記側辺支持部の隣り合う2辺間に渡されて形成され,前記収納空間のコーナー部の前に覆い被さるコーナー支持部を,四隅のコーナーのいずれにも有する表示プレート支持具。
【請求項3】
請求項
2に記載の表示プレート支持具であって,
前記側辺支持部における前記中央領域内の位置に,前記1辺と前記対辺との間の間隔が前記中央領域内における他の位置よりも広くされている凹部が形成されている表示プレート支持具。
【請求項4】
請求項
1または3に記載の表示プレート支持具であって,
前記収納空間の前に部分的に覆い被さる保持部品を脱着可能に取り付ける取り付け形状部が前記凹部に設けられている表示プレート支持具。
【請求項5】
請求項
4に記載の表示プレート支持具であって,
前記取り付け形状部に脱着可能に取り付けられるとともに,取り付けられている状態では,前記収納空間の前に部分的に覆い被さる保持部品と,
前記保持部品を前記取り付け形状部に固定する固定部材とを有し,
前記保持部品を固定している状態での前記固定部材の前記プレート支持部から前面側への最大突出高さが,
前記側辺支持部の前面側への最大突出高さ以下であり,かつ,
固定されている前記保持部品の前記プレート支持部から前面側への最大突出高さ以下である表示プレート支持具。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1つに記載の表示プレート支持具であって,
前記側辺支持部が前記収納空間の四辺すべてに対して設けられており,
各辺の前記側辺支持部のいずれにも前記脱落防止部が設けられている表示プレート支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,情報を表示する表示プレートを地面に対して立てた状態で支持することで通行者に対して提示する表示プレート支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の支持具の一例として特許文献1に開示されているものを挙げることができる。同文献の
図1に描かれている支持具(工事用看板K)は,「フレーム11」と「脚体20」とを有している。フレーム11に対して同図中で上側から「表示板1」を差し込むことで,表示板1を支持する状態とすることができる。表示板1は樹脂製であるがフレーム11や脚体20は金属製である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記した従来の技術には,次のような問題点があった。表示板1の脱着の作業性がよくないのである。フレーム11は表示板1を保持する必要上,表示板1よりやや大きいサイズを有している。このため,フレーム11の上方から表示板1を差し込む際,表示板1の最高部位の高さは,表示板1の長さの2倍以上となってしまう。このため,同文献の支持具を屋内で使おうとすると,天井が邪魔になって表示板1の脱着に支障を来す場合があった。フレーム11を水平に寝かせた状態のままで表示板1の脱着作業をすることも考えられるが,その場合には水平方向に関して表示板1の長さの2倍以上の作業スペースが必要となる。このため屋内でも屋外でも,狭い場所では脱着作業をしづらかった。
【0005】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,表示プレートの脱着作業に大きなスペースを要しない表示プレート支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様における表示プレート支持具は,可撓性の表示プレートを支持する合成樹脂製の表示プレート支持具であって,表示プレートを収納する収納空間の底面に位置するプレート支持部と,プレート支持部に対して前面側に設けられ,表示プレートの収納空間の板面内方向の外側限界を規定する側辺支持部と,側辺支持部から収納空間の前に部分的に覆い被さる脱落防止部と,プレート支持部を地面に対して立てた状態に維持する脚部材を,角度変更と脱着とのうち少なくとも角度変更が可能な状態にてプレート支持部の後面側に位置するように保持する脚部材保持部とを有し,脱落防止部は,側辺支持部の1辺における中央領域を挟んだ第1箇所および第2箇所と,側辺支持部の1辺に対する平行な対辺における第1箇所と対向する第3箇所および第2箇所と対向する第4箇所との少なくも4箇所に設けられており,側辺支持部の中央領域での1辺と対辺との間の間隔が,脱落防止部の先端同士間での1辺と対辺との間の間隔より広いものである。
【0007】
上記態様における表示プレート支持具では,プレート支持部が,表示プレートを収納する収納空間の底面をなしている。プレート支持部よりも前面側に迫り出している側辺支持部が,収納空間の板面内方向の外側限界を規定している。側辺支持部から収納空間の前に部分的に覆い被さる脱落防止部が,収納空間の前方側の限界を規定している。側辺支持部における脱落防止部以外の部位での1辺と対辺との間の間隔は,脱落防止部同士での先端間の間隔より広い。側辺支持部において中央領域の範囲には,脱落防止部が設けられておらず,両辺における中央領域の両外側の計4箇所には脱落防止部が設けられている。この,脱落防止部のない中央領域の部分から,表示プレートの一端を収納空間に挿し込むことができる。表示プレートの一端を収納空間に押し込んでいき,その後に表示プレートを湾曲させることで他端側も収納空間に挿し込むことができる。表示プレートの収納空間への挿し込みを開始する時,最初から表示プレート支持具と表示プレートとがある程度重なった位置関係にあるので,過大な作業スペースを要することがない。
【0008】
上記態様の表示プレート支持具は,脚部材を脚部材保持部に取り付けることで,地面あるいは床面に対して立った状態に維持することができる。脚部材は,表示プレート支持具に対して角度変更と脱着とのうち少なくとも角度変更が可能である。このため,非使用時には脚部材を外すか収納時用の角度とすることで,省スペースな保管が可能である。
【0009】
上記態様の表示プレート支持具ではさらに,側辺支持部における中央領域内の位置に,1辺と対辺との間の間隔が中央領域内における他の位置よりも広くされている凹部が形成されている。これにより,装着している表示プレートの取り外しが容易にできる。凹部のところで表示プレートの裏側に指を入れて表示プレートを引き上げることができるからである。
【0010】
本発明の別の一態様の表示プレート支持具は,可撓性の表示プレートを支持する合成樹脂製の表示プレート支持具であって,表示プレートを収納する収納空間の底面に位置するプレート支持部と,プレート支持部に対して前面側に設けられ,表示プレートの収納空間の板面内方向の外側限界を規定する,収納空間の四辺すべてに対して設けられた縦壁部を有する側辺支持部と,側辺支持部から収納空間の前に部分的に覆い被さる脱落防止部と,プレート支持部を地面に対して立てた状態に維持する脚部材を,角度変更と脱着とのうち少なくとも角度変更が可能な状態にてプレート支持部の後面側に位置するように保持する脚部材保持部とを有し,脱落防止部は,側辺支持部の1辺における中央領域を挟んだ第1箇所および第2箇所と,側辺支持部の1辺に対する平行な対辺における第1箇所と対向する第3箇所および第2箇所と対向する第4箇所との少なくも4箇所に設けられており,側辺支持部の中央領域での1辺と対辺との間の間隔が,脱落防止部の先端同士間での1辺と対辺との間の間隔より広く,側辺支持部の隣り合う2辺間に渡されて形成され,収納空間のコーナー部の前に覆い被さるコーナー支持部を,四隅のコーナーのいずれにも有するものである。コーナー支持部を有することで,表示プレートのコーナー支持部に外向きの湾曲癖が付いていたとしても,その脱落を防止することができる。この態様でも前述の凹部を有することができる。
【0011】
凹部が形成されている態様の表示プレート支持具ではさらに,収納空間の前に部分的に覆い被さる保持部品を脱着可能に取り付ける取り付け形状部が凹部に設けられていることが望ましい。前述の中央領域の範囲内には脱落防止部が設けられていないが,取り付け形状部が設けられていることで,中央領域においても表示プレートの脱落を防止する保持部品を取り付けることができる。
【0012】
取り付け形状部が設けられている態様の表示プレート支持具ではさらに,取り付け形状部に脱着可能に取り付けられるとともに,取り付けられている状態では,収納空間の前に部分的に覆い被さる保持部品と,保持部品を取り付け形状部に固定する固定部材とを有し,保持部品を固定している状態での固定部材のプレート支持部から前面側への最大突出高さが,側辺支持部の前面側への最大突出高さ以下であり,かつ,固定されている保持部品のプレート支持部から前面側への最大突出高さ以下であることが望ましい。表示プレートを装着している状態で取り付け形状部に保持部品を取り付けることで中央領域においても表示プレートの脱落を防止することができる。固定部材は通常,保持部品等より硬い素材でできていることが多いが,他の部材との最大突出高さの関係で固定部材が他の部材より突出しないようにしておくことで,固定部材による他への攻撃性を低減できる。
【0013】
前記のいずれかの態様の表示プレート支持具ではさらに,側辺支持部が収納空間の四辺すべてに対して設けられており,各辺の側辺支持部のいずれにも脱落防止部が設けられていることが望ましい。このようになっていれば,表示プレートの四辺のいずれもが,脱落防止部により保持されることとなる。なお,脱落防止部のない「中央領域」は,1組の対辺に対して設けられていれば十分である。
【発明の効果】
【0014】
本構成によれば,表示プレートの脱着作業に大きなスペースを要しない表示プレート支持具が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態に係る表示プレート支持具を前方から見た斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る表示プレート支持具を後方から見た斜視図である。
【
図3】表示プレート支持具の前面側からの斜視図である。
【
図4】脚部材を収納した状態での表示プレート支持具の後面側からの斜視図である。
【
図5】
図4の状態から脚部材を取り除いて示す表示プレート支持具の斜視図である。
【
図6】実施の形態に係る表示プレート支持具の正面図(表示プレート半分あり)である。
【
図7】
図6中の上端付近を拡大して示すA-A断面図である。
【
図8】実施の形態に係る表示プレート支持具の正面図(表示プレートなし)である。
【
図10】
図6中の左端付近を拡大して示すH-H断面図である。
【
図11】実施の形態に係る表示プレート支持具を平積みにした状態を示す斜視図である。
【
図12】本発明を適用可能な表示部材の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,
図1および
図2に示す表示プレート支持具10として本発明を具体化したものである。
図1および
図2には,表示プレート支持具10に表示プレート1を装着している状態を示している。
図1および
図2に示される表示プレート支持具10は,表示プレート1を収納する本体部2と,本体部2の後方に位置して本体部2を立った状態に維持する脚部材3とを有している。
図1および
図2に示される表示プレート支持具10では,下部にて本体部2と脚部材3とに錘4が掛け渡されている。これにより表示プレート支持具10の立ち姿態が安定している。
【0017】
表示プレート支持具10においては表示プレート1を撤去した状態とすることもできる。その状態での表示プレート支持具10を
図3に示す。
図3は表示プレート支持具10の前面側を示している。表示プレート支持具10では脚部材3を収納した状態とすることもできる。その状態での表示プレート支持具10を
図4に示す。
図4は表示プレート支持具10の後面側を示している。脚部材3は,本体部2における脚部材保持部16に取り付けられている。
図1および
図2の立ち姿態と
図4の収納状態とでは,本体部2に対する脚部材3の角度が違っている。錘4は表示プレート支持具10から独立した別部品であり,
図3および
図4では示していない。
【0018】
図3,
図4に示されるように表示プレート支持具10の本体部2は,全体として表示プレート1よりやや大きいサイズの長方形状のものである。
図3に示されるように表示プレート支持具10を前面側から見ると,縁辺に沿って側辺支持部5が設けられている。その内側にはプレート支持壁6が設けられている。プレート支持壁6は,本体部2の内部における表示プレート1を収納する収納空間の底面を規定する部位である。つまり
図1や
図2に示した状態にて表示プレート1の裏面に対して,このプレート支持壁6が対面している。プレート支持壁6には,側辺支持部5に沿った四辺形状の枠状部61と,中央部に位置する中間部62と,枠状部61の各コーナーと中間部62とを連結する連結部63とが含まれている。プレート支持壁6のこの形状により,表示プレート支持具10には4箇所の窓12が形成されている。さらに本体部2の下端側には,錘4を掛けるための貫通孔13が形成されている。
【0019】
図4に示される表示プレート支持具10の後面側は,後面壁7により構成されている。後面壁7はプレート支持壁6とは別の板状部材である。後面壁7は,表示プレート1の収納空間から見てプレート支持壁6より遠方に位置している。後面壁7とプレート支持壁6とは間に中空空間を隔てて配置されている。後面壁7もプレート支持壁6と同様に,四辺形状の枠状部71と,中央部に位置する中間部72と,枠状部71の各コーナーと中間部72とを連結する連結部73と含んでいる。このため後面側からでも,4箇所の窓12が設けられていることが分かる。
図2においては窓12を通して表示プレート1の裏面が見えている。下端側の貫通孔13も後面側から視認可能である。後面壁7には,溝状の脚部材収納凹部14が設けられている。
図1,
図2中に示されている脚部材3は,
図4の状態では脚部材収納凹部14に収納されている。
【0020】
脚部材3は,本体部2から取り外してしまうこともできる。
図4の状態から脚部材3を取り除いた状態を
図5に示す。なお,本体部2と表示プレート1とはいずれも合成樹脂製である。特に表示プレート1はある程度の可撓性がある材質のものである。脚部材3は合成樹脂製でも金属製でもよい。ただし脚部材3を合成樹脂製とする場合,本体部2の合成樹脂よりは硬い材質のものとするのがよい。
【0021】
本体部2の前面側について
図6によりさらに説明する。
図6は本体部2の正面図であるが,左半分は表示プレート1を装着している状態を示しており,右半分は表示プレート1を装着していない状態を示している。通常の使用ではこのような状態にすることはあまりないが,表示プレート1を左右方向に半分に切断したものを敢えて本体部2に装着すれば
図6と同じ状態になる。
【0022】
図6に示されるように側辺支持部5には,内向きに突出した脱落防止部8が離散的に設けられている。本形態では側辺支持部5の両長辺に2箇所ずつ,両短辺に3箇所ずつ,脱落防止部8が設けられている。
図6中の左半分から明らかなように脱落防止部8は表示プレート1よりも前方側に位置している。つまり脱落防止部8は,表示プレート1の前に部分的に覆い被さるものである。これにより表示プレート1の脱落を防止している。
【0023】
図7に,表示プレート支持具10の本体部2の部分断面図を示す。
図7には,
図6中のA-A位置の上端付近の断面形状を拡大して示している。
図7に示されるように側辺支持部5の少なくとも一部は,プレート支持壁6(枠状部61)よりも図中で上方(前面側)に迫り出すように形成されている。脱落防止部8は,プレート支持壁6よりも図中で上方にある。
図7中には現れていないが,プレート支持壁6のうち中間部62および連結部63の部分も枠状部61と同じ高さレベルの位置にある。
図7中に現れている脱落防止部8は
図6中の上辺の中央のものであるが,他の脱落防止部8も
図7中のものと同じ高さレベルの位置にある。脱落防止部8の下面とプレート支持壁6の上面との間の隙間が,表示プレート1の収納空間15である。脱落防止部8は収納空間15の前(
図7中では上)に部分的に覆い被さる形となっている。
【0024】
図7中には側辺支持部5も現れている。側辺支持部5の内面側には縦壁部51が設けられている。側辺支持部5の縦壁部51は,収納空間15に収納される表示プレート1の板面内方向の移動の外側限界を規定している。
図6中の上辺の中央のものに限らず他の脱落防止部8の箇所においても同様に縦壁部51が形成されている。さらに,側辺支持部5における脱落防止部8以外の箇所においても同様に,四辺いずれも縦壁部51が形成されている。
【0025】
本体部2への表示プレート1の脱着について説明する。そのため
図8により,脱落防止部8の配置についてさらに説明する。
図8では,長辺に設けられている脱落防止部8に個別の符号(81~84)を付している。脱落防止部81と脱落防止部82は同じ長辺上にあり,脱落防止部83と脱落防止部84はその対辺上にある。脱落防止部81と脱落防止部83とは互いに対向する位置にある。脱落防止部82と脱落防止部84とも同様である。短辺上にも6箇所の脱落防止部8がある。
【0026】
対向する脱落防止部8同士の関係について説明する。対向する脱落防止部81および脱落防止部83の先端同士間での間隔Bと,側辺支持部5における長辺同士間の間隔Cとを比較すると,間隔Cの方が間隔Bよりも広い。間隔Cは,長辺における脱落防止部81,83と脱落防止部82,84との間の,脱落防止部8のない中央領域Dにおける側辺支持部5同士間の間隔である。より詳しくいえば
図7に示した縦壁部51同士の間隔である。間隔Cは,収納空間15の全幅である。表示プレート1の短辺長は間隔Bより長く間隔Cより短い。本体部2の短辺同士間での間隔E,Fと表示プレート1の長辺長との間にも同様の関係がある。間隔Fは,収納空間15の全長である。これにより,収納空間15に収納されている表示プレート1の前に各辺にて脱落防止部8が部分的に覆い被さり,脱落を防止するようになっている。
【0027】
図8中の中央領域Dは,本体部2の長辺方向の中央部に位置する,脱落防止部8のない領域である。この領域は,本体部2への表示プレート1の脱着作業を行うための領域でもある。本体部2に表示プレート1を装着する際の手順は,次の通りである。まず表示プレート1の表裏の向きを確認する。裏面が前を向いていたら表示プレート1を裏返して,裏面がプレート支持壁6に対面する向きとする。そして縦横,上下を合わせる。次に,表示プレート1の下端(短辺の一方)が中央領域D内に位置するように表示プレート1を本体部2の上に載せる。そして,表示プレート1の下端が脱落防止部82,84の下に入り込むようにしつつ,表示プレート1を下向きにスライド移動させる。やがて表示プレート1の下端は下辺の側辺支持部5に近接する。その際,表示プレート1の下端が下辺の脱落防止部8の下に入り込むようにする。表示プレート1の下端が下辺の縦壁部51に当接するまで表示プレート1を下向きにスライド移動させる。
【0028】
このとき,表示プレート1のうち上半分以上の部分は,まだ本体部2に収納されていない。そこでこの部分を大きく持ち上げて湾曲させ,表示プレート1の上端を脱落防止部81,83の下に入り込ませる。そして,表示プレート1のうち中央領域Dにて前面に張り出している部分を本体部2のプレート支持壁6に押し付けることで表示プレート1の上端を上向きにスライド移動させる。やがて表示プレート1の上端が上辺の脱落防止部8に近接したらその下に入り込ませる。表示プレート1の全体が平坦になったら装着完了である。この状態で表示プレート1は収納空間15に収納されており,脱落防止部8により部分的に前面を覆われている。また側辺支持部5の縦壁部51により板面方向の移動が規制されている。
【0029】
表示プレート1の本体部2からの取り外しは次の手順による。中央領域D内にて左右両側から表示プレート1の下に指を入れて表示プレート1を持ち上げる。こうすることで表示プレート1を湾曲させつつ収納空間15から引き出していく。
【0030】
本形態では上記の脱着操作を,本体部2を立てた状態でも寝かせた状態でも行うことができる。いずれの場合でも,本体部2の長辺寸法の2倍もの作業スペースを要することはない。取り付け作業の際,最初から本体部2と表示プレート1との大部分が重なった状態で作業を開始できるからである。また,取り外しの際にも,本体部2と表示プレート1とが長辺方向に並ぶ状況になることがないからである。このため,天井のある屋内や,周辺物の制約により広い作業スペースが取れない場所でも,表示プレート1の脱着作業に支障がない。これより中央領域Dの長さは,ある程度長いことが望ましい。中央領域Dが狭すぎると,表示プレート1の脱着の際に表示プレート1をかなり強く湾曲させる必要が出てくるからである。このため中央領域Dの長さは,間隔Fの4分の1以上あることが望ましい。
【0031】
本形態の表示プレート支持具10には,上記以外にもさらに,表示プレート1の脱着や保持のための構成が含まれている。その1つとして,側辺支持部5の一部に設けられている凹部17が挙げられる。凹部17は,両長辺の側辺支持部5のうち中央領域Dの中に形成されている。凹部17における両長辺間の間隔Gは,中央領域D内における凹部17以外の場所での間隔Cよりさらに大きい。凹部17は,装着している表示プレート1を取り外す場面で有用な形状である。中央領域D内に凹部17が設けられていることで,表示プレート1の取り外し作業がしやすいのである。凹部17の箇所では表示プレート1の下に容易に指を入れて表示プレート1を持ち上げることができるからである。
【0032】
本形態の表示プレート支持具10にはまた,コーナー支持部18も設けられている。コーナー支持部18は,側辺支持部5の隣り合う2辺間に渡されて形成されている。コーナー支持部18は,装着されている表示プレート1の前に部分的に覆い被さる形状であるという点で,脱落防止部8と共通する。表示プレート1は可撓性であるため特にそのコーナー部に湾曲癖が付くことがある。コーナー支持部18が設けられていることで,表示プレート1のコーナー部に特に外向きの湾曲癖が付いていたとしても,表示プレート1のコーナー部が表示プレート支持具10の本体部2から前方側へ張り出すように逸脱することが防止される。本形態の本体部2では四隅のコーナーのいずれにもコーナー支持部18が設けられている。
【0033】
本形態の表示プレート支持具10はまた,
図9に示す保持部品9とともに用いることができる。
図9中の上側の図が保持部品9の表側であり下側の図が裏側である。保持部品9は,
図1や
図6(左半分側)に示されるように,固定部材19により凹部17に取り付けて使用されるものである。保持部品9の素材は,本体部2と同等の合成樹脂でよい。固定部材19の素材は,保持部品9と同等の合成樹脂,保持部品9より硬質な合成樹脂,金属,のいずれかである。
【0034】
凹部17に取り付けられた状態での保持部品9は,装着されている表示プレート1の前に部分的に覆い被さるものである。このため凹部17には,保持部品9を取り付けるための取り付け形状部91が設けられている。保持部品9には,取り付け形状部91に取り付けられるための取り付け部92と,保持部93とが設けられている。保持部93は,取付状態にて表示プレート1の前に部分的に覆い被さる部分である。取り付け部92には取り付け穴95が形成されている。
【0035】
本体部2に表示プレート1を装着してさらに保持部品9を取り付けた状態では,側辺支持部5に設けられている脱落防止部8に加えて保持部品9の保持部93も,表示プレート1の本体部2からの脱落の防止に貢献する。保持部品9は,中央領域Dの範囲内に取り付けられることに特に意義がある。中央領域D内では前述のように脱落防止部8が設けられていない。このため,表示プレート1の湾曲癖によっては,本体部2に装着されている状態でも中央領域D内の部分が自然に前方に張り出してくる場合がある。保持部品9を取り付けることでこのような事態を防ぐことができる。当然であるが,表示プレート1の脱着作業は,保持部品9を取り付けていない状態で行う。表示プレート1を装着してから保持部品9を取り付け,保持部品9を取り外してから表示プレート1を取り外す。
【0036】
図10に,保持部品9が取り付けられている表示プレート支持具10の本体部2の部分断面図を示す。
図10には,
図6中のH-H位置の左端付近の断面形状を拡大して示している。この断面は,固定部材19の中心を通る断面である。
図10に示されるように保持部品9の保持部93は,プレート支持壁6(枠状部61)よりも図中で上方にある。保持部93の下面とプレート支持壁6の上面との間の隙間が,表示プレート1の収納空間15である。保持部93は収納空間15の前(
図10中では上)に部分的に覆い被さる形となっている。
【0037】
図10に示されるように,保持部品9を固定している固定部材19の頂部,すなわちプレート支持壁6から前面側(
図10中では上)への最大突出位置が,側辺支持部5の最大突出位置と同一高さとなっている。固定部材19の最大突出位置が側辺支持部5の最大突出位置より低くてもよい。また,固定部材19の最大突出位置は,保持部品9の最大突出位置に対しても同一高さまたはそれより低いことが求められ,
図10中では保持部品9の最大突出位置より低くなっている。これより固定部材19の取付状態での外部(人,物)への攻撃性は低い。なお,
図10中の保持部品9の保持部93の頂部の高さは,側辺支持部5の最大突出位置より高くなっているが,後述する位置決め凸部21の頂部に比べれば低い。
【0038】
保持部品9を取り付ける際の手順は次の通りである。表示プレート1を装着している本体部2における凹部17の箇所に保持部品9を取り付ける。その際,凹部17の上に保持部品9の取り付け部92を重ね合わせるとともに,保持部93が表示プレート1の上に重なるようにする。この状態で取り付け形状部91と取り付け穴95とが重なっている。取り付け穴95およびその下の取り付け形状部91に対して固定部材19を押し込めば保持部品9の取り付け完了である。保持部品9を取り外す際には,やや力を込めて固定部材19を引き抜けばよい。
【0039】
本形態の表示プレート支持具10は,
図11に示す平積み状態とすることができる。平積み状態の各表示プレート支持具10は,脚部材3に関して
図4の収納状態もしくは
図5の撤去状態にある。収納状態の表示プレート支持具10と撤去状態の表示プレート支持具10とが1つの平積み体の中に混在していてもよい。
【0040】
図11に示される平積み体の中の表示プレート支持具10は,表示プレート1を装着しており保持部品9も取り付けられている状態のものである。ただし,表示プレート1も保持部品9も装着していないものや,表示プレート1を装着しているが保持部品9が取り付けられていない状態のものでも平積み可能である。混載も可能である。
【0041】
本形態の表示プレート支持具10の本体部2の表面側には,位置決め凸部21(
図1等)が設けられている。裏面側におけるその対応位置には位置決め凹部22(
図2等)が設けられている。
図11の平積み体においては,上下の本体部2間で位置決め凸部21と位置決め凹部22とが嵌り合っている。これにより平積み状態が安定している。
【0042】
以上詳細に説明したように本実施の形態によれば,表示プレート支持具10の本体部2の側辺支持部5に脱落防止部8を設けている。この脱落防止部8を離散的に複数箇所に設けるとともに,長辺方向における中央領域Dには脱落防止部8が存在しないこととしている。これにより,可撓性の表示プレート1を,広い作業スペースを要さずして脱着することができる表示プレート支持具10が実現されている。
【0043】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,前記形態では本体部2および表示プレート1の全体形が長方形状でその長辺方向に表示プレート1を湾曲,移動させて脱着するものであった。しかしこのようなものに限らず,短辺方向に表示プレート1を湾曲,移動させる形式のものでもよい。全体形も長方形に限らず正方形でもよいし,台形など少なくとも1組の平行な対辺を有する形状であればよい。全体形が長方形である場合,脱落防止部8のない中央領域Dは,短辺に対して設けられていてもよい。
【0044】
また,前記形態では脚部材3に関して,本体部2に対する角度変更と脱着とのいずれもが可能なものであったが,角度変更のみ可能で取り外しができないものであってもよい。さらには,脚部材3を有さず,本体部2同士を連結することで立ち状態を実現するものであってもよい。例えば
図12のように2つの表示部材23を組み合わせてなる表示具24にも本発明を適用できる。すなわち2つの表示部材23を前記形態の本体部2のようなものとし,その頂部25を連結部(脚部材保持部)とするのである。
【0045】
この場合,各表示部材23(本体部2)から見て,もう1つの表示部材23が脚部材3の役割を果たしていると見ることができる。その場合には脚部材収納凹部14に相当する部位は不要である。また,その場合の連結部は,角度変更のみ可能なものでもよいし,角度変更と脱着とのいずれもが可能なものでもよい。
図12のような縦長のものに限らず横長のものでもよい。
【0046】
保持部品9の取り付けのための固定部材19については,
図10にはスナップフィット型のものを示したが,これに限らずネジ止め式のものでもよい。スナップフィット型の場合には,保持部品9と固定部材19とが一体になっているものでもよい。保持部品9の形状として,保持部93と取り付け部92との境目が明瞭であることは必須ではない。
【符号の説明】
【0047】
1 表示プレート
3 脚部材
5 側辺支持部
6 プレート支持壁(プレート支持部)
7 後面壁
8 脱落防止部
9 保持部品
10 表示プレート支持具
14 脚部材収納凹部
16 脚部材保持部
17 凹部
18 コーナー支持部
19 固定部材
61 枠状部(プレート支持部)
62 中間部(プレート支持部)
63 連結部(プレート支持部)
71 枠状部(後面壁)
72 中間部(後面壁)
73 連結部(後面壁)
91 取り付け形状部