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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】シート処理システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/20 20060101AFI20231129BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20231129BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B65H7/20
B41J29/00 H
G06F3/12 311
G06F3/12 320
G06F3/12 340
G06F3/12 373
G06F3/12 326
G06F3/12 332
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020067720
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021160928
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】金岡 弘道
(72)【発明者】
【氏名】徳竹 茜
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-248840(JP,A)
【文献】特開2013-092999(JP,A)
【文献】特開平07-168482(JP,A)
【文献】特開2000-151873(JP,A)
【文献】特開2000-043380(JP,A)
【文献】特開2019-131358(JP,A)
【文献】特開平06-051923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/20
B41J 29/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送しながら前記シートに対して1以上の加工からなる処理を実行できるシート処理装置を、複数台備えるとともに、複数台の前記シート処理装置へジョブを出力するジョブ指示装置を備えている、シート処理システムであって、
前記複数台のシート処理装置は、搬送速度が異なる2つ以上の前記シート処理装置を含んでおり、及び/又は、実行処理内容が異なる2つ以上の前記シート処理装置を含んでおり、
前記ジョブ指示装置は、
1個以上のジョブを入力するジョブ入力部と、
各々の前記シート処理装置のステータス情報を取得する、ステータス情報取得部と、
入力された前記ジョブを何れの前記シート処理装置へ出力するかを、前記入力されたジョブに基づく指示処理内容と、取得された前記ステータス情報と、所定判断基準と、に基づいて、決定する、出力先決定部と、
決定された出力先の前記シート処理装置へ、前記入力されたジョブを出力する、ジョブ出力部と、
を有しており、
前記ステータス情報取得部は、実行処理内容取得部を有しており、前記実行処理内容取得部によって、各々の前記シート処理装置の前記実行処理内容を、前記ステータス情報として取得するようになっており、
前記出力先決定部は、(a)処理可能装置選択部を有しており、前記処理可能装置選択部によって、前記入力されたジョブ毎に、処理可能な前記シート処理装置を選択するようになっており、(b)処理時間算出部を有しており、前記処理時間算出部によって、前記入力されたジョブ毎に、前記選択されたシート処理装置において当該ジョブを処理するのに必要なジョブ処理必要時間を算出するようになっており、(c)第1基準採用部を有しており、前記第1基準採用部によって、前記入力されたジョブを、前記選択された複数台のシート処理装置に振り分けた際に、各々の前記シート処理装置における前記ジョブ処理必要時間の総和の、相互の差を、最小にするという、第1基準を、前記所定判断基準として、採用するようになっており、
前記複数台のシート処理装置の少なくとも一台は、1個以上の前記ジョブを実行した後に、前記実行処理内容の一部を、所定の変更作業時間を要して、変更可能であり、
前記出力先決定部は、前記実行処理内容の一部が変更された前記シート処理装置を含めるとともに前記ジョブ処理必要時間の総和に前記変更作業時間を加えた条件下で、前記第1基準を、採用するようになっている、シート処理システム。
【請求項2】
シートを搬送しながら前記シートに対して1以上の加工からなる処理を実行できるシート処理装置を、複数台備えるとともに、複数台の前記シート処理装置へジョブを出力するジョブ指示装置を備えている、シート処理システムであって、
前記複数台のシート処理装置は、搬送速度が異なる2つ以上の前記シート処理装置を含んでおり、及び/又は、実行処理内容が異なる2つ以上の前記シート処理装置を含んでおり、
前記ジョブ指示装置は、
1個以上のジョブを入力するジョブ入力部と、
各々の前記シート処理装置のステータス情報を取得する、ステータス情報取得部と、
入力された前記ジョブを何れの前記シート処理装置へ出力するかを、前記入力されたジョブに基づく指示処理内容と、取得された前記ステータス情報と、所定判断基準と、に基づいて、決定する、出力先決定部と、
決定された出力先の前記シート処理装置へ、前記入力されたジョブを出力する、ジョブ出力部と、
を有しており、
前記ステータス情報取得部は、実行処理内容取得部を有しており、前記実行処理内容取得部によって、各々の前記シート処理装置の前記実行処理内容を、前記ステータス情報として取得するようになっており、
前記出力先決定部は、(a)処理可能装置選択部を有しており、前記処理可能装置選択部によって、前記入力されたジョブ毎に、処理可能な前記シート処理装置を選択するようになっており、(b)処理時間算出部を有しており、前記処理時間算出部によって、前記入力されたジョブ毎に、前記選択されたシート処理装置において当該ジョブを処理するのに必要なジョブ処理必要時間を算出するようになっており、(c)第1基準採用部を有しており、前記第1基準採用部によって、前記入力されたジョブを、前記選択された複数台のシート処理装置に振り分けた際に、各々の前記シート処理装置における前記ジョブ処理必要時間の総和の、相互の差を、最小にするという、第1基準を、前記所定判断基準として、採用するようになっており、
前記出力先決定部は、(d)ジョブ顧客検出部を有しており、前記ジョブ顧客検出部によって、前記入力されたジョブの内、顧客情報が共通している前記ジョブを検出するようになっており、(e)第2基準採用部を有しており、前記第2基準採用部によって、検出された、顧客情報が共通している複数の前記ジョブの、出力先として、同一の前記シート処理装置を選択するという、第2基準を、前記第1基準よりも優先することなく、前記所定判断基準として、採用するようになっている、シート処理システム。
【請求項3】
シートを搬送しながら前記シートに対して1以上の加工からなる処理を実行できるシート処理装置を、複数台備えるとともに、複数台の前記シート処理装置へジョブを出力するジョブ指示装置を備えている、シート処理システムであって、
前記複数台のシート処理装置は、搬送速度が異なる2つ以上の前記シート処理装置を含んでおり、及び/又は、実行処理内容が異なる2つ以上の前記シート処理装置を含んでおり、
前記ジョブ指示装置は、
1個以上のジョブを入力するジョブ入力部と、
各々の前記シート処理装置のステータス情報を取得する、ステータス情報取得部と、
入力された前記ジョブを何れの前記シート処理装置へ出力するかを、前記入力されたジョブに基づく指示処理内容と、取得された前記ステータス情報と、所定判断基準と、に基づいて、決定する、出力先決定部と、
決定された出力先の前記シート処理装置へ、前記入力されたジョブを出力する、ジョブ出力部と、
を有しており、
前記ステータス情報取得部は、実行処理内容取得部を有しており、前記実行処理内容取得部によって、各々の前記シート処理装置の前記実行処理内容を、前記ステータス情報として取得するようになっており、
前記出力先決定部は、(a)処理可能装置選択部を有しており、前記処理可能装置選択部によって、前記入力されたジョブ毎に、処理可能な前記シート処理装置を選択するようになっており、(b)処理時間算出部を有しており、前記処理時間算出部によって、前記入力されたジョブ毎に、前記選択されたシート処理装置において当該ジョブを処理するのに必要なジョブ処理必要時間を算出するようになっており、(c)第1基準採用部を有しており、前記第1基準採用部によって、前記入力されたジョブを、前記選択された複数台のシート処理装置に振り分けた際に、各々の前記シート処理装置における前記ジョブ処理必要時間の総和の、相互の差を、最小にするという、第1基準を、前記所定判断基準として、採用するようになっており、
前記出力先決定部は、(f)印刷機情報取得部を有しており、前記印刷機情報取得部によって、前記入力されたジョブによって処理される予定の、前記ジョブ毎の前記シートの、印刷に関わった印刷機情報を、取得するようになっており、(g)第3基準採用部を有しており、前記第3基準採用部によって、取得された印刷機情報が同じである前記シートの前記ジョブの出力先として、同一の前記シート処理装置を選択するという、第3基準を、前記第1基準よりも優先することなく、前記所定判断基準として、採用するようになっている、シート処理システム。
【請求項4】
シートを搬送しながら前記シートに対して1以上の加工からなる処理を実行できるシート処理装置を、複数台備えるとともに、複数台の前記シート処理装置へジョブを出力するジョブ指示装置を備えている、シート処理システムであって、
前記複数台のシート処理装置は、搬送速度が異なる2つ以上の前記シート処理装置を含んでおり、及び/又は、実行処理内容が異なる2つ以上の前記シート処理装置を含んでおり、
前記ジョブ指示装置は、
1個以上のジョブを入力するジョブ入力部と、
各々の前記シート処理装置のステータス情報を取得する、ステータス情報取得部と、
入力された前記ジョブを何れの前記シート処理装置へ出力するかを、前記入力されたジョブに基づく指示処理内容と、取得された前記ステータス情報と、所定判断基準と、に基づいて、決定する、出力先決定部と、
決定された出力先の前記シート処理装置へ、前記入力されたジョブを出力する、ジョブ出力部と、
を有しており、
前記ステータス情報取得部は、実行処理内容取得部を有しており、前記実行処理内容取得部によって、各々の前記シート処理装置の前記実行処理内容を、前記ステータス情報として取得するようになっており、
前記出力先決定部は、(a)処理可能装置選択部を有しており、前記処理可能装置選択部によって、前記入力されたジョブ毎に、処理可能な前記シート処理装置を選択するようになっており、(b)処理時間算出部を有しており、前記処理時間算出部によって、前記入力されたジョブ毎に、前記選択されたシート処理装置において当該ジョブを処理するのに必要なジョブ処理必要時間を算出するようになっており、(c)第1基準採用部を有しており、前記第1基準採用部によって、前記入力されたジョブを、前記選択された複数台のシート処理装置に振り分けた際に、各々の前記シート処理装置における前記ジョブ処理必要時間の総和の、相互の差を、最小にするという、第1基準を、前記所定判断基準として、採用するようになっており、
前記複数台のシート処理装置は、第1搬送速度を有する前記シート処理装置と、前記第1搬送速度より遅い第2搬送速度を有する前記シート処理装置と、を含んでおり、
前記出力先決定部は、(j)加工方向判断部を有しており、前記加工方向判断部によって、前記入力されたジョブが前記搬送方向の加工及び前記搬送方向に対する直交方向の加工の何れを多く含むかを判断するようになっており、(k)第4基準採用部を有しており、前記第4基準採用部によって、前記入力されたジョブが前記搬送方向の加工を多く含む場合には、前記第2搬送速度を有する前記シート処理装置を出力先として決定し、前記入力されたジョブが前記直交方向の加工を多く含む場合には、前記第1搬送速度を有する前記シート処理装置を出力先として決定するという、第4基準を、前記第1基準よりも優先することなく、前記所定判断基準として、採用するようになっている、シート処理システム。
【請求項5】
シートを搬送しながら前記シートに対して1以上の加工からなる処理を実行できるシート処理装置を、複数台備えるとともに、複数台の前記シート処理装置へジョブを出力するジョブ指示装置を備えている、シート処理システムであって、
前記複数台のシート処理装置は、搬送速度が異なる2つ以上の前記シート処理装置を含んでおり、及び/又は、実行処理内容が異なる2つ以上の前記シート処理装置を含んでおり、
前記ジョブ指示装置は、
1個以上のジョブを入力するジョブ入力部と、
各々の前記シート処理装置のステータス情報を取得する、ステータス情報取得部と、
入力された前記ジョブを何れの前記シート処理装置へ出力するかを、前記入力されたジョブに基づく指示処理内容と、取得された前記ステータス情報と、所定判断基準と、に基づいて、決定する、出力先決定部と、
決定された出力先の前記シート処理装置へ、前記入力されたジョブを出力する、ジョブ出力部と、
を有しており、
前記ステータス情報取得部は、実行処理内容取得部を有しており、前記実行処理内容取得部によって、各々の前記シート処理装置の前記実行処理内容を、前記ステータス情報として取得するようになっており、
前記出力先決定部は、(a)処理可能装置選択部を有しており、前記処理可能装置選択部によって、前記入力されたジョブ毎に、処理可能な前記シート処理装置を選択するようになっており、(b)処理時間算出部を有しており、前記処理時間算出部によって、前記入力されたジョブ毎に、前記選択されたシート処理装置において当該ジョブを処理するのに必要なジョブ処理必要時間を算出するようになっており、(c)第1基準採用部を有しており、前記第1基準採用部によって、前記入力されたジョブを、前記選択された複数台のシート処理装置に振り分けた際に、各々の前記シート処理装置における前記ジョブ処理必要時間の総和の、相互の差を、最小にするという、第1基準を、前記所定判断基準として、採用するようになっており、
前記ステータス情報取得部は、エラー履歴取得部を有しており、前記エラー履歴取得部によって、各々の前記シート処理装置のエラー履歴を取得するようになっており、
前記出力先決定部は、第5基準採用部を有しており、前記第5基準採用部によって、エラー履歴を持たない前記シート処理装置を優先的に出力先に決定するという、第5基準を、前記第1基準よりも優先することなく、前記所定判断基準として、採用するようになっている、シート処理システム。
【請求項6】
シートを搬送しながら前記シートに対して1以上の加工からなる処理を実行できるシート処理装置を、複数台備えるとともに、複数台の前記シート処理装置へジョブを出力するジョブ指示装置を備えている、シート処理システムであって、
前記複数台のシート処理装置は、搬送速度が異なる2つ以上の前記シート処理装置を含んでおり、及び/又は、実行処理内容が異なる2つ以上の前記シート処理装置を含んでおり、
前記ジョブ指示装置は、
1個以上のジョブを入力するジョブ入力部と、
各々の前記シート処理装置のステータス情報を取得する、ステータス情報取得部と、
入力された前記ジョブを何れの前記シート処理装置へ出力するかを、前記入力されたジョブに基づく指示処理内容と、取得された前記ステータス情報と、所定判断基準と、に基づいて、決定する、出力先決定部と、
決定された出力先の前記シート処理装置へ、前記入力されたジョブを出力する、ジョブ出力部と、
を有しており、
前記ステータス情報取得部は、実行処理内容取得部を有しており、前記実行処理内容取得部によって、各々の前記シート処理装置の前記実行処理内容を、前記ステータス情報として取得するようになっており、
前記出力先決定部は、(a)処理可能装置選択部を有しており、前記処理可能装置選択部によって、前記入力されたジョブ毎に、処理可能な前記シート処理装置を選択するようになっており、(b)処理時間算出部を有しており、前記処理時間算出部によって、前記入力されたジョブ毎に、前記選択されたシート処理装置において当該ジョブを処理するのに必要なジョブ処理必要時間を算出するようになっており、(c)第1基準採用部を有しており、前記第1基準採用部によって、前記入力されたジョブを、前記選択された複数台のシート処理装置に振り分けた際に、各々の前記シート処理装置における前記ジョブ処理必要時間の総和の、相互の差を、最小にするという、第1基準を、前記所定判断基準として、採用するようになっており、
前記ステータス情報取得部は、ジョブエラー履歴取得部を有しており、前記ジョブエラー履歴取得部によって、各々の前記シート処理装置においてジョブに関係するジョブエラー履歴を取得するようになっており、
前記出力先決定部は、第6基準採用部を有しており、前記第6基準採用部によって、前記入力されたジョブに関係するジョブエラー履歴を持たない前記シート処理装置を優先的に出力先に決定するという、第6基準を、前記第1基準よりも優先することなく、前記所定判断基準として、採用するようになっている、シート処理システム。
【請求項7】
シートを搬送しながら前記シートに対して1以上の加工からなる処理を実行できるシート処理装置を、複数台備えるとともに、複数台の前記シート処理装置へジョブを出力するジョブ指示装置を備えている、シート処理システムであって、
前記複数台のシート処理装置は、搬送速度が異なる2つ以上の前記シート処理装置を含んでおり、及び/又は、実行処理内容が異なる2つ以上の前記シート処理装置を含んでおり、
前記ジョブ指示装置は、
1個以上のジョブを入力するジョブ入力部と、
各々の前記シート処理装置のステータス情報を取得する、ステータス情報取得部と、
入力された前記ジョブを何れの前記シート処理装置へ出力するかを、前記入力されたジョブに基づく指示処理内容と、取得された前記ステータス情報と、所定判断基準と、に基づいて、決定する、出力先決定部と、
決定された出力先の前記シート処理装置へ、前記入力されたジョブを出力する、ジョブ出力部と、
を有しており、
前記ステータス情報取得部は、実行処理内容取得部を有しており、前記実行処理内容取得部によって、各々の前記シート処理装置の前記実行処理内容を、前記ステータス情報として取得するようになっており、
前記出力先決定部は、(a)処理可能装置選択部を有しており、前記処理可能装置選択部によって、前記入力されたジョブ毎に、処理可能な前記シート処理装置を選択するようになっており、(b)処理時間算出部を有しており、前記処理時間算出部によって、前記入力されたジョブ毎に、前記選択されたシート処理装置において当該ジョブを処理するのに必要なジョブ処理必要時間を算出するようになっており、(c)第1基準採用部を有しており、前記第1基準採用部によって、前記入力されたジョブを、前記選択された複数台のシート処理装置に振り分けた際に、各々の前記シート処理装置における前記ジョブ処理必要時間の総和の、相互の差を、最小にするという、第1基準を、前記所定判断基準として、採用するようになっており、
前記ステータス情報取得部は、エラー確率取得部を有しており、前記エラー確率取得部によって、各々の前記シート処理装置のエラー確率を取得するようになっており、
前記出力先決定部は、第7基準採用部を有しており、前記第7基準採用部によって、前記エラー確率が所定値以下の前記シート処理装置を優先的に出力先に決定するという、第7基準を、前記第1基準よりも優先することなく、前記所定判断基準として、採用するようになっている、シート処理システム。
【請求項8】
前記複数台のシート処理装置の少なくとも一台は、1個以上の前記ジョブを実行した後に、前記実行処理内容の一部を、所定の変更作業時間を要して、変更可能であり、
前記出力先決定部は、前記実行処理内容の一部が変更された前記シート処理装置を含めるとともに前記ジョブ処理必要時間の総和に前記変更作業時間を加えた条件下で、前記第1基準を、採用するようになっている、
請求項2から7のいずれか1つに記載のシート処理システム。
【請求項9】
前記出力先決定部は、(d)ジョブ顧客検出部を有しており、前記ジョブ顧客検出部によって、前記入力されたジョブの内、顧客情報が共通している前記ジョブを検出するようになっており、(e)第2基準採用部を有しており、前記第2基準採用部によって、検出された、顧客情報が共通している複数の前記ジョブの、出力先として、同一の前記シート処理装置を選択するという、第2基準を、前記第1基準よりも優先することなく、前記所定判断基準として、採用するようになっている、
請求項3から7のいずれか1つに記載のシート処理システム。
【請求項10】
前記出力先決定部は、(f)印刷機情報取得部を有しており、前記印刷機情報取得部によって、前記入力されたジョブによって処理される予定の、前記ジョブ毎の前記シートの、印刷に関わった印刷機情報を、取得するようになっており、(g)第3基準採用部を有しており、前記第3基準採用部によって、取得された印刷機情報が同じである前記シートの前記ジョブの出力先として、同一の前記シート処理装置を選択するという、第3基準を、前記第1基準よりも優先することなく、前記所定判断基準として、採用するようになっている、
請求項4から7のいずれか1つに記載のシート処理システム。
【請求項11】
前記複数台のシート処理装置は、第1搬送速度を有する前記シート処理装置と、前記第1搬送速度より遅い第2搬送速度を有する前記シート処理装置と、を含んでおり、
前記出力先決定部は、(j)加工方向判断部を有しており、前記加工方向判断部によって、前記入力されたジョブが前記搬送方向の加工及び前記搬送方向に対する直交方向の加工の何れを多く含むかを判断するようになっており、(k)第4基準採用部を有しており、前記第4基準採用部によって、前記入力されたジョブが前記搬送方向の加工を多く含む場合には、前記第2搬送速度を有する前記シート処理装置を出力先として決定し、前記入力されたジョブが前記直交方向の加工を多く含む場合には、前記第1搬送速度を有する前記シート処理装置を出力先として決定するという、第4基準を、前記第1基準よりも優先することなく、前記所定判断基準として、採用するようになっている、
請求項5から7のいずれか1つに記載のシート処理システム。
【請求項12】
前記ステータス情報取得部は、エラー履歴取得部を有しており、前記エラー履歴取得部によって、各々の前記シート処理装置のエラー履歴を取得するようになっており、
前記出力先決定部は、第5基準採用部を有しており、前記第5基準採用部によって、エラー履歴を持たない前記シート処理装置を優先的に出力先に決定するという、第5基準を、前記第1基準よりも優先することなく、前記所定判断基準として、採用するようになっている、
請求項6または7に記載のシート処理システム。
【請求項13】
前記ステータス情報取得部は、ジョブエラー履歴取得部を有しており、前記ジョブエラー履歴取得部によって、各々の前記シート処理装置においてジョブに関係するジョブエラー履歴を取得するようになっており、
前記出力先決定部は、第6基準採用部を有しており、前記第6基準採用部によって、前記入力されたジョブに関係するジョブエラー履歴を持たない前記シート処理装置を優先的に出力先に決定するという、第6基準を、前記第1基準よりも優先することなく、前記所定判断基準として、採用するようになっている、
請求項7に記載のシート処理システム。
【請求項14】
前記ステータス情報取得部は、搬送速度取得部を有しており、前記搬送速度取得部によって、各々の前記シート処理装置の前記搬送速度を、前記ステータス情報として取得するようになっている、
請求項1から13のいずれか1つに記載のシート処理システム。
【請求項15】
前記出力先決定部は、(h)エラージョブ判断部を有しており、前記エラージョブ判断部によって、前記入力されたジョブがエラー確率の高いジョブであるか否かを判断するようになっており、(i)所要時間増大部を有しており、前記所要時間増大部によって、前記入力されたジョブがエラー確率の高いジョブである場合には、当該ジョブの前記ジョブ処理必要時間を、所定割合だけ増大するようになっている、
請求項1から14のいずれか1つに記載のシート処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送しながらシートに対して1以上の加工からなる処理を実行できるシート処理装置を、複数台備えるとともに、複数台のシート処理装置へジョブを出力するジョブ指示装置を備えている、シート処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シート処理装置は、指示されたジョブに基づいて、シートに対して処理を実行するようになっている。そして、複数のジョブが指示された場合には、シート処理装置は、そのジョブを連続して実行するようになっている。一方、指示されたジョブの内容によっては、当該シート処理装置の実行処理内容の一部を変更したり、別のシート処理装置を使用したりする必要がある。それ故、複数のジョブを処理する際には、複数台のシート処理装置を使用することがある。複数台のシート処理装置を使用すれば、複数のジョブを並行処理できるので処理時間を短縮でき、また、実行処理内容が相互に異なるシート処理装置を使用することによって種々の内容のジョブを処理できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-201646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、処理時間の短縮を図るだけでなく、複数台のシート処理装置を利便性良く使用できる、シート処理システムを、提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、シートを搬送しながら前記シートに対して1以上の加工からなる処理を実行できるシート処理装置を、複数台備えるとともに、複数台の前記シート処理装置へジョブを出力するジョブ指示装置を備えている、シート処理システムであって、
前記複数台のシート処理装置は、搬送速度が異なる2つ以上の前記シート処理装置を含んでおり、及び/又は、実行処理内容が異なる2つ以上の前記シート処理装置を含んでおり、
前記ジョブ指示装置は、
1個以上のジョブを入力するジョブ入力部と、
各々の前記シート処理装置のステータス情報を取得する、ステータス情報取得部と、
入力された前記ジョブを何れの前記シート処理装置へ出力するかを、前記入力されたジョブに基づく指示処理内容と、取得された前記ステータス情報と、所定判断基準と、に基づいて、決定する、出力先決定部と、
決定された出力先の前記シート処理装置へ、前記入力されたジョブを出力する、ジョブ出力部と、
を有している、
ことを特徴とする、シート処理システムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、多数のジョブの全ての処理に要する時間を最短化できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態のシート処理システムを示すブロック図である。
図2】ジョブ指示装置の構成を示すブロック図である。
図3】動作のフローチャートである。
図4】出力先決定部の別の第1例を示すブロック図である。
図5】出力先決定部の別の第2例を示すブロック図である。
図6】制御部の別の第1例を示すブロック図である。
図7】制御部の別の第2例を示すブロック図である。
図8】制御部の別の第3例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のシート処理システムは、シートを搬送しながらシートに対して1以上の加工からなる処理を実行できるシート処理装置を、複数台備えるとともに、複数台のシート処理装置へジョブを出力するジョブ指示装置を備えている。
【0009】
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態のシート処理システムを示すブロック図である。シート処理システム10は、1台のジョブ指示装置1と、3台のシート処理装置、すなわち、第1シート処理装置2A、第2シート処理装置2B、及び第3シート処理装置2Cと、を備えている。
【0010】
(シート処理装置)
第1シート処理装置2A及び第2シート処理装置2Bは、シートを第1搬送速度で搬送しながら処理するようになっている。第3シート処理装置2Cは、シートを第2搬送速度で搬送しながら処理するようになっている。第2搬送速度は、第1搬送速度より遅く設定されている。よって、第1シート処理装置2A及び第2シート処理装置2Bは、高速機であり、第3シート処理装置2Cは、低速機である。すなわち、シート処理システム10は、搬送速度が異なる2種類のシート処理装置を含んでいる。
【0011】
また、第1シート処理装置2Aは、裁断加工だけでなく、ミシン目加工も実行できるようになっている。第2シート処理装置2Bは、裁断加工を実行できるだけでなく、少なくとも1台の加工ユニットを、ミシン目加工ユニットに交換して、ミシン目加工も実行できるようになっている。すなわち、第2シート処理装置2Bは、実行処理内容の一部を、所定の変更作業時間を要して、変更可能である。所定の変更作業時間(交換作業時間)Tは、具体的には、例えば、10分である。これは、第2シート処理装置2Bにおいて、1台の加工ユニットをミシン目加工ユニットに交換する作業に、10分を要する、ことを意味する。なお、第2シート処理装置2Bにおいて、取り付けられたミシン目加工ユニットを別の加工ユニットに交換する際も、交換作業時間が必要であることは、言うまでもない。第3シート処理装置2Cは、裁断加工のみを実行できるようになっている。すなわち、シート処理システム10は、実行処理内容が異なる2種類のシート処理装置を含んでいる。
【0012】
更に、第1シート処理装置2Aは、第1印刷機Xによって印刷処理されたシートに対して加工処理を実行するのに適したように、調整が施されている。第2シート処理装置2Bは、第2印刷機Yによって印刷処理されたシートに対して加工処理を実行するのに適したように、調整が施されている。第3シート処理装置2Cは、そのような調整が施されていない。
【0013】
(ジョブ指示装置)
ジョブ指示装置1は、図2に示されるように、ジョブ入力部4と、制御部5と、ジョブ出力部6と、を有している。装置1としては、ノート型又はデスクトップ型又はタブレット型のコンピュータ、スマートフォン、又はその他の情報端末を、採用できる。ジョブ入力部4としては、タッチパネル、キーボード、マウス、又はその他のポインティングデバイスを、採用できる。制御部5は、CPU、ROM、RAM等により、実現されている。ジョブ出力部6は、有線又は無線の送信機能を有している。一方、シート処理装置2A、2B、2Cは、ジョブ出力部6からの出力を受信する受信部(図示せず)を有している。
【0014】
ジョブ入力部4は、1個以上のジョブを入力できるようになっている。
【0015】
制御部5は、ジョブ指示装置1の作動を制御するようになっている。制御部5は、具体的には、ステータス情報取得部7と、出力先決定部8と、を有している。ステータス情報取得部7は、第1シート処理装置2A、第2シート処理装置2B、及び第3シート処理装置2Cの、各々のステータス情報を、取得するようになっている。出力先決定部8は、入力されたジョブを何れのシート処理装置2A、2B、2Cへ出力するかを、入力されたジョブに基づく指示処理内容と、取得されたステータス情報と、所定判断基準と、に基づいて、決定するようになっている。
【0016】
ステータス情報取得部7は、実行処理内容取得部71と、搬送速度取得部72と、を有している。実行処理内容取得部71は、第1シート処理装置2A、第2シート処理装置2B、及び第3シート処理装置2Cの、各々の実行処理内容を、ステータス情報として取得するようになっている。搬送速度取得部72は、第1シート処理装置2A、第2シート処理装置2B、及び第3シート処理装置2Cの、各々の搬送速度を、ステータス情報として取得するようになっている。
【0017】
出力先決定部8は、処理可能装置選択部801と、処理時間算出部802と、第1基準採用部803と、ジョブ顧客検出部804と、第2基準採用部805と、印刷機情報取得部806と、第3基準採用部807と、を有している。
【0018】
処理可能装置選択部801は、入力されたジョブ毎に、第1シート処理装置2A、第2シート処理装置2B、及び第3シート処理装置2Cの内から、処理可能なシート処理装置を選択するようになっている。処理時間算出部802は、入力されたジョブ毎に、選択されたシート処理装置において当該ジョブを処理するのに必要なジョブ処理必要時間を算出するようになっている。第1基準採用部803は、入力されたジョブを、選択された複数台のシート処理装置に振り分けた際に、各々のシート処理装置におけるジョブ処理必要時間の総和の、相互の差を、最小にするという、第1基準を、所定判断基準として、採用するようになっている。
【0019】
ジョブ顧客検出部804は、入力されたジョブの内、顧客情報が共通しているジョブを検出するようになっている。第2基準採用部805は、検出された、顧客情報が共通している複数のジョブの、出力先として、同一のシート処理装置を選択するという、第2基準を、第1基準よりも優先することなく、所定判断基準として、採用するようになっている。
【0020】
印刷機情報取得部806は、入力されたジョブによって処理される予定の、ジョブ毎のシートの、印刷に関わった印刷機情報を、取得するようになっている。第3基準採用部807は、取得された印刷機情報が同じであるシートのジョブの出力先として、同一のシート処理装置を選択するという、第3基準を、第1基準よりも優先することなく、所定判断基準として、採用するようになっている。
【0021】
ジョブ出力部は、決定された出力先のシート処理装置へ、入力されたジョブを出力するようになっている。
【0022】
次に、本実施形態のシート処理システム10の作動について、表1に示される12個のジョブが入力される場合を一例として挙げて、説明する。
【0023】
【表1】
【0024】
(ジョブの説明)
・各ジョブの目的物は、ハガキ、チケット、及び名刺の、何れかである。
・各ジョブは、目的物情報の他に、次の情報を含んでいる。
・目的物を作製するためにシート処理装置が実行する必要のある「実行処理内容」に関する情報であり、具体的な一例として、「ミシン目加工」が必要か否かの情報であり、「〇」は「必要」を示し、「×」は「不要」を示す。なお、具体的な別の例として、「裁断加工」が必要か否かの情報があるが、表1の例では、全てのジョブが「裁断加工」を必要としており、必要か否かの情報は全て「〇」となるので、表1では表示していない。
・目的物の納入先である「顧客」に関する情報(顧客情報)であり、具体的には、「α」と「β」の2者の顧客を示す。
・目的物を得るためのシートの印刷に関わった「印刷機」に関する情報(印刷機情報)であり、具体的には、「X」と「Y」の2種類の印刷機を示す。
【0025】
(作動)
図3は、作動を示すフローチャートである。ジョブ入力部4から、表1に示される12個のジョブが一度に入力されると(S(ステップ)1)、制御部5は、次のように作動する。
【0026】
(1)まず、ステータス情報取得部7が、作動する(S2)。
(1-1)実行処理内容取得部71が作動して、第1シート処理装置2A、第2シート処理装置2B、及び第3シート処理装置2Cの、各々の実行処理内容を、ステータス情報として取得する。「実行処理内容」とは、シート処理装置が実行できる加工処理の内容であり、例えば、次のような加工処理を1種以上含んでおり、且つ、当該処理を何回実行できるか、という内容である。
・搬送方向に沿った、裁断処理、ミシン目加工処理、折り加工処理、ハーフカット処理、又はクリース処理、
・搬送方向に対して直交した方向(すなわち幅方向)に沿った、裁断処理、ミシン目加工処理、折り加工処理、ハーフカット処理、又はクリース処理、
・ダイカット処理、
・エンボス加工処理。
【0027】
(1-2)搬送速度取得部72が作動して、第1シート処理装置2A、第2シート処理装置2B、及び第3シート処理装置2Cの、各々の搬送速度を、ステータス情報として取得する。
【0028】
表2は、取得されたステータス情報を示す。なお、例えば、第2搬送速度は、第1搬送速度の1/2である。
【0029】
【表2】
【0030】
表2のステータス情報は、次のとおりである。
・第1シート処理装置2Aは、ミシン目加工が可能であり、第1搬送速度で処理を実行する。
・第2シート処理装置2Bは、加工ユニットを途中でミシン目加工ユニットに交換することによってミシン目加工も可能であり、第1搬送速度で処理を実行する。
・第3シート処理装置2Cは、ミシン目加工は不可であり、第2搬送速度で処理を実行する。
【0031】
(2)次に、出力先決定部8が作動する(S3)。
(2-1)処理可能装置選択部801が作動して、入力されたジョブ毎に、第1シート処理装置2A、第2シート処理装置2B、及び第3シート処理装置2Cの内から、処理可能なシート処理装置を選択する。
【0032】
表3は、処理可能装置選択部801による選択結果を示す。表3において、「〇」は処理可能なシート処理装置として「選択する」ことを示し、「×」は処理可能なシート処理装置として「選択しない」ことを示す。なお、表3に示されるように、ジョブJ(「JobID」が「J」であるジョブ)に関しては、処理可能なシート処理装置として第2シート処理装置2Bを選択しているが、この場合の第2シート処理装置2Bにおいては、少なくとも1台の加工ユニットをミシン目加工ユニットへ交換する必要がある。
【0033】
【表3】
【0034】
(2-2)処理時間算出部802が作動して、入力されたジョブ毎に、選択されたシート処理装置において当該ジョブを処理するのに必要なジョブ処理必要時間を算出する。なお、「必要なジョブ処理必要時間」は、シート処理装置における所定の交換作業時間を含んでいる。
【0035】
表4は、処理時間算出部802による算出結果を示す。なお、表4において、ジョブJについての第2シート処理装置2Bの処理必要時間は、ミシン目加工ユニットへの交換作業時間である10分に、ミシン目加工処理自体に要する時間である20分を、加えたものである。
【0036】
【表4】
【0037】
(2-3)ジョブ顧客検出部804が作動して、入力されたジョブの内、顧客情報が共通しているジョブを検出する。
【0038】
表5及び表6は、顧客情報が共通しているジョブを示す。
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
(2-4)印刷機情報取得部806が作動して、入力されたジョブによって処理される予定の、ジョブ毎のシートの、印刷に関わった印刷機情報を、取得する。
【0042】
表7及び表8は、印刷機情報が共通しているジョブを示す。
【0043】
【表7】
【0044】
【表8】
【0045】
(2-5)第1基準採用部803、第2基準採用部805、及び第3基準採用部807が作動する。
・第1基準採用部803が作動して、入力されたジョブを、シート処理装置2A、2B、2Cに振り分けた際に、各々のシート処理装置2A、2B、2Cにおけるジョブ処理必要時間の総和の、相互の差を、最小にするという、第1基準を、所定判断基準として、採用する。
・第2基準採用部805が作動して、検出された、顧客情報が共通している複数のジョブの、出力先として、同一のシート処理装置を選択するという、第2基準を、第1基準よりも優先することなく、所定判断基準として、採用する。
・第3基準採用部807が作動して、取得された印刷機情報が同じであるシートのジョブの出力先として、同一のシート処理装置を選択するという、第3基準を、第1基準よりも優先することなく、所定判断基準として、採用する。
【0046】
なお、出力先決定部8は、第2シート処理装置2Bにおいて1台の加工ユニットをミシン目加工ユニットに交換してミシン目加工も実行できるようにした場合において交換作業に要する所定の交換作業時間Tをジョブ処理必要時間の総和に加えた条件下で、第1基準を、採用するようになっている。
【0047】
但し、第1基準、第2基準、第3基準は、この順に優先する。具体的には、第3基準に基づいて選択を実行した後、第2基準に基づいて更なる選択を実行し、そして、第1基準に基づいて最終的な選択を実行する。
【0048】
以上のようにして、12個のジョブが3台のシート処理装置2A、2B、2Cに振り分けられてジョブ出力部6から出力される(S4)。表9は、第1シート処理装置2Aに振り分けられたジョブを示し、表10は、第2シート処理装置2Bに振り分けられたジョブを示し、表11は、第3シート処理装置2Cに振り分けられたジョブを示す。表9~11における経過時間を見ると、略同じ処理時間でジョブが終了することがわかる。表12は、処理のタイミングチャートを示す。
【0049】
【表9】
【0050】
【表10】
【0051】
【表11】
【0052】
【表12】
【0053】
(効果)
本実施形態のシート処理システムによれば、次のような効果を発揮できる。
(1)多数のジョブを、3台のシート処理装置2A、2B、2Cに振り分けて並行処理できるだけでなく、各シート処理装置2A、2B、2Cにおけるジョブ処理必要時間の相互の差を最小にできるので、12個のジョブの全ての処理に要する時間を最短化できる。
【0054】
(2)多数のジョブを、3台のシート処理装置2A、2B、2Cに、顧客情報が共通しているジョブ毎に、振り分けて処理できる。よって、各シート処理装置2A、2B、2Cで作製された目的物を、顧客毎に仕分ける作業の手間を減らして、発送できる、という利便性を発揮できる。なお、第3シート処理装置2Cにおけるジョブの処理順序は、表11では「A」→「F」→「K」としているが、「F」→「A」→「K」、又は、「K」→「A」→「F」としてもよい。この場合には、「A」→「K」、又は、「K」→「A」のように、同一顧客のジョブを連続して処理できるので、目的物を顧客毎に仕分ける作業の手間を、より減らすことができる。
【0055】
(3)多数のジョブを、3台のシート処理装置2A、2B、2Cに、ジョブによって処理されるシートの印刷に関わった印刷機毎に、振り分けて処理できる。ところで、印刷機は、機体毎に、印刷のズレ、印刷画像の伸縮、及び印刷後のシートの伸縮等に関して、差異があり、すなわち、所謂、「癖」がある。それ故、同じ印刷機で印刷されたシートを別々のシート処理装置で処理することは、全てのシート処理装置を「癖」に合わせて調整することによる作業の煩雑さをもたらし、又は、そのような調整をしないことによる加工処理精度の低下をもたらす。しかるに、本実施形態では、同じ印刷機で印刷されたシートが、その「癖」に合わせて調整された同じシート処理装置で処理されるので、調整作業の煩雑さを解消でき、また、加工処理精度を向上できる。
【0056】
[別の実施形態]
本発明のシート処理システムは、第1実施形態に比して、次のような構成を任意に一つ以上採用してもよい。
【0057】
(A)出力先決定部8は、ジョブ顧客検出部804及び第2基準採用部805と、印刷機情報取得部806及び第3基準採用部807との、一方又は両方と共に、又は、一方又は両方に代えて、次の構成を任意に一つ以上採用してもよい。
【0058】
(A-1)図4に示される、エラージョブ判断部808及び所要時間増大部809。
エラージョブ判断部808は、入力されたジョブがエラー確率の高いジョブであるか否かを判断する。所要時間増大部809は、入力されたジョブがエラー確率の高いジョブである場合には、当該ジョブのジョブ処理必要時間を、所定割合だけ増大する。例えば、表13に示されるように、エラー確率が10~40%の場合には、ジョブ処理必要時間を10~40%増大する。
【0059】
【表13】
【0060】
これによれば、シート処理装置における処理中にエラーが発生した場合でも、第1基準採用部803によって、全てのジョブの処理に要する時間の最短化を図ることができる。
【0061】
(A-2)図5に示される、加工方向判断部810及び第4基準採用部811。
加工方向判断部810は、入力されたジョブが搬送方向の加工及び搬送方向に対する直交方向(幅方向)の加工の何れを多く含むかを判断する。第4基準採用部811は、入力されたジョブが搬送方向の加工を多く含む場合には、第2搬送速度を有するシート処理装置すなわち第3シート処理装置2Cを出力先として決定し、入力されたジョブが直交方向の加工を多く含む場合には、第1搬送速度を有するシート処理装置すなわち第1シート処理装置2A又は第2シート処理装置2Bを出力先として決定するという、第4基準を、第1基準よりも優先することなく、所定判断基準として、採用する。
【0062】
これによれば、短い加工時間で済む搬送方向の加工を搬送速度が遅いシート処理装置で実行し、長い加工時間を必要とする直交方向の加工を搬送速度が速いシート処理装置で実行するので、各ジョブの単位時間当たりの処理量を平均化でき、よって、各シート処理装置におけるジョブ処理必要時間を短縮できる。
【0063】
(B)ステータス情報取得部7は、更に、次のような構成を任意に一つ以上採用してもよい。
【0064】
(B-1)図6に示される、エラー履歴取得部73。
エラー履歴取得部73は、各々のシート処理装置2A、2B、2Cのエラー履歴を取得する。この場合、出力先決定部8は、第5基準採用部812を採用する。第5基準採用部812は、エラー履歴取得部73が取得したエラー履歴に基づいて、エラー履歴を持たない又はエラー履歴の少ない、シート処理装置を、優先的に出力先に決定するという、第5基準を、第1基準よりも優先することなく、所定判断基準として、採用する。なお、「エラー履歴を持たない」とは、対象とするシート処理装置において、過去にエラーが発生しておらず、エラー履歴が記録されていない状態を、意味する。なお、「エラー履歴」は、例えば、シート処理装置に設けた記憶部に記録されるようになっている。
【0065】
これによれば、シート処理装置に起因したエラーの発生を抑止しながら、各シート処理装置におけるジョブ処理必要時間を短縮できる。
【0066】
(B-2)図7に示される、ジョブエラー履歴取得部74。
ジョブエラー履歴取得部74は、各々のシート処理装置2A、2B、2Cにおいてジョブに関係するジョブエラー履歴を取得する。この場合、出力先決定部8は、第6基準採用部813を採用する。第6基準採用部813は、ジョブエラー履歴取得部74が取得したジョブエラー履歴に基づいて、入力されたジョブに関係するジョブエラー履歴を持たない又はジョブエラー履歴の少ない、シート処理装置を、優先的に出力先に決定するという、第6基準を、第1基準よりも優先することなく、所定判断基準として、採用する。なお、「ジョブエラー履歴を持たない」とは、対象とするシート処理装置において、入力されたジョブに関係するジョブエラーが過去に発生しておらず、当該ジョブエラー履歴が記録されていない状態を、意味する。なお、「ジョブエラー履歴」は、例えば、シート処理装置に設けた記憶部に記録されるようになっている。
【0067】
これによれば、ジョブに起因したエラーの発生を抑止しながら、各シート処理装置におけるジョブ処理必要時間を短縮できる。
【0068】
(B-3)図8に示される、エラー確率取得部75。
エラー確率取得部75は、各々のシート処理装置2A、2B、2Cのエラー確率を取得する。この場合、出力先決定部8は、第7基準採用部814を採用する。第7基準採用部814は、エラー確率が所定値以下のシート処理装置を優先的に出力先に決定するという、第7基準を、第1基準よりも優先することなく、所定判断基準として、採用する。例えば、エラー確率が10%未満のシート処理装置を優先的に出力先に決定する。
【0069】
これによれば、シート処理装置に起因したエラーの発生を抑止しながら、各シート処理装置におけるジョブ処理必要時間を短縮できる。
【0070】
(C)ステータス情報取得部7は、搬送速度取得部72を有していなくてもよい。例えば、全てのシート処理装置の搬送速度が同じである場合には、搬送速度取得部72によって搬送速度を取得しなくても、処理時間算出部802はジョブ処理必要時間を算出できる。或いは、制御部5が、全てのシート処理装置の各々の搬送速度を記憶した記憶部を有していれば、ステータス情報取得部7に設定されたシート処理装置の機種情報から、当該シート処理装置の搬送速度を呼び出すことにより、処理時間算出部802はジョブ処理必要時間を算出できる。
【0071】
(D)出力先決定部8は、「ジョブ顧客検出部804及び第2基準採用部805」と、「印刷機情報取得部806及び第3基準採用部807」と、を有していなくてもよい。この場合は、第1基準のみが所定判断基準として採用される。
【0072】
(E)出力先決定部8は、「印刷機情報取得部806及び第3基準採用部807」を有していなくてもよい。この場合は、第1基準及び第2基準のみが所定判断基準として採用される。
【0073】
(F)出力先決定部8は、「ジョブ顧客検出部804及び第2基準採用部805」を有していなくてもよい。この場合は、第1基準及び第3基準のみが所定判断基準として採用される。
【0074】
(G)シート処理装置は、2台又は4台以上でもよい。
【0075】
(H)第2~第7基準は、この順に優先するのが好ましいが、任意に変更してもよい。
【0076】
(I)シート処理装置の「実行処理内容」は、上述した加工処理だけでなく、シートに付されているバーコード又はレジマークを読み取る「読取機能」、給紙部に積載されているシートに横からエアーを吹き付けてシートの分離を促進する「エアー吹付機能」等を、含んでもよい。この場合、実行処理内容取得部71及び処理可能装置選択部801は、それらの機能も対象に含んでいる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のシート処理システムは、多数のジョブの全ての処理に要する時間を最短化できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0078】
1 ジョブ指示装置
10 シート処理システム
2A、2B、2C シート処理装置
4 ジョブ入力部
6 ジョブ出力部
7 ステータス情報取得部
71 実行処理内容取得部
72 搬送速度取得部
73 エラー履歴取得部
74 ジョブエラー履歴取得部
8 出力先決定部
801 処理可能装置選択部
802 処理時間算出部
803 第1基準採用部
804 ジョブ顧客検出部
805 第2基準採用部
806 印刷機情報取得部
807 第3基準採用部
808 エラージョブ判断部
809 所要時間増大部
810 加工方向判断部
811 第4基準採用部
812 第5基準採用部
813 第6基準採用部
814 第7基準採用部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8