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  • 特許-水素エネルギーの利用システム 図1
  • 特許-水素エネルギーの利用システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】水素エネルギーの利用システム
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/08 20060101AFI20231129BHJP
   H01M 8/065 20160101ALI20231129BHJP
【FI】
C01B3/08 Z
H01M8/065
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020073222
(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公開番号】P2021169392
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】514169714
【氏名又は名称】アルハイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】水木 伸明
(72)【発明者】
【氏名】麻生 善之
(72)【発明者】
【氏名】高坂 直樹
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-107895(JP,A)
【文献】特開2007-320792(JP,A)
【文献】特開2007-230828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応液としてアルカリ性水溶液が注入されているカートリッジ型の反応容器を用いた水素エネルギーの利用方法であって、
水素発生装置を有しているユーザーは前記カートリッジ型の反応容器を当該水素発生装置に装着し、アルミニウム材料を当該カートリッジ型の反応容器に投入し、前記アルカリ性水溶液との反応により水素を得ることができ、
前記反応が終了したカートリッジ型の反応容器を反応液再生ステーションに輸送して反応液を再生し、
再生されたカートリッジ型の反応容器を前記ユーザー側に輸送することを特徴とする水素エネルギーの利用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム材料とアルカリ性水溶液とを用いた新規の水素エネルギーの利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
環境に優しいエネルギー源として、水素を燃料とした燃料電池が検討されている。
水素燃料電池は、水しか排出されないクリーンな電源となる。
また、発電時の熱も熱エネルギーとして利用できる。
小型のものは、医療用や家庭用電源として利用が検討され、中規模のものはオフィスビル,福祉施設等での利用が検討されている。
また本発明者らは、自動車の駆動源に利用することも提案している(特許文献1)。
上記特許文献1には、水素を得るのにアルミニウム材料とアルカリ性水溶液との反応方法を提案しているが、アルミニウム材料がアルカリ性水溶液に溶け、水素が発生した後の反応終了後のアルカリ性水溶液の取扱いが技術的課題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5050166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記技術的課題であるアルカリ性水溶液からなる反応液の繰り返し利用が可能な水素エネルギーの利用システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る水素エネルギーの利用システムは、アルカリ性水溶液が注入されたカートリッジ型の反応容器と、前記カートリッジ型の反応容器を装着し、アルミニウム材料を当該反応容器に投入し、水素を得る水素発生装置とを備え、ユーザーが前記水素発生装置で使用したカートリッジ型反応容器を反応液再生ステーションに輸送する輸送手段を有し、前記反応液再生ステーションにて再生されたカートリッジ型反応容器をユーザー側に輸送及び提供することを特徴とする。
【0006】
ここでユーザーとは、燃料電池を電源として利用するいろいろなユーザーをいい、カートリッジ型の反応容器を使い切ると、新たなカートリッジ型反応容器と交換して得られる水素を燃料電池に供給し、電源として使用できる。
また、反応液再生ステーションは、アルミニウム材料が溶解し、水素発生反応が終了したカートリッジ型の反応容器をユーザーから輸送手段を介して引き取り、再生処理を行う。
【0007】
例えば、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等のアルカリ性水溶液にアルミニウム材料が溶解すると、アルミニウム材料はアルミン酸ナトリウム,アルミン酸カリウムの溶液になるが、冷却したり、結晶種を投入するとアルミン酸塩は加水分解し、水酸化アルミニウムの結晶として回収することができ、これにより水酸化ナトリウム,水酸化カリウムの水溶液として再生され、繰り返し使用が可能になる。
再生されたカートリッジ型の反応容器は、ユーザーに輸送手段を介して提供できる。
ここでユーザーは、同一ユーザーに限られる必要はなく、引き取ったユーザーとは異なるユーザーに提供することもできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る水素エネルギーの利用システムにあっては、ユーザー側はカートリッジ型の反応容器を取り替えるだけでよく、反応液再生ステーションは多くの反応容器を一括管理できるので、効率的なシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る水素エネルギーの利用システムを模式的に表現してある。
図2】カートリッジ型反応容器の繰り返し使用の実験結果をグラフに示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る水素エネルギーの利用システムの概念図を図1に模式的に示す。
水素発生のための反応液は、カートリッジに注入されている。
このカートリッジをユーザー2と反応液再生ステーション1と間を、例えば宅配便等の輸送手段3を介してつなげる。
【0011】
ユーザーは、新品あるいは再生された反応液(アルカリ性水溶液)が注入されたカートリッジを水素発生装置に装着し、アルミニウム材料をこのカートリッジ型の反応容器に必要量だけ投入し,水素を発生させる。
発生した水素は、燃料電池に配管接続されていて、各種用途の電源として使用できる。
水素発生が弱く、あるいはしなくなると、新しいカートリッジに交換し、使用済みのカートリッジを反応液再生ステーションに送り返すことになる。
【0012】
図2は、1日使用したカートリッジ型の反応容器を再生し、次の日に使い、これを25回繰り返した際の1日1回当たりの総水素発生量の推移をグラフにしたものである。
1日の終わりに反応容器中の沈殿物(主に水酸化アルミニウム)を濾過して回収し、固液分離した溶液に減少した液量に合せて新しい反応液を加えることになるが、その際に沈殿物として回収した固形分のうち、2~10質量%、好ましくは4~6質量%を反応液に戻しながら再使用できる。
これにより、反応液は再生を繰り返しながら再使用できることが明らかになった。
【符号の説明】
【0013】
1 反応液再生ステーション
2 ユーザー
3 輸送手段
図1
図2