(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】縫合を少なくした置換心臓弁
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
A61F2/24
(21)【出願番号】P 2020522323
(86)(22)【出願日】2018-09-12
(86)【国際出願番号】 US2018050669
(87)【国際公開番号】W WO2019078979
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-07-07
(32)【優先日】2017-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520020100
【氏名又は名称】アンテリス テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Anteris Technologies Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ニースリング、ウィリアム モリス レオナルド
(72)【発明者】
【氏名】ブリス、スコット
(72)【発明者】
【氏名】マッキンタイア、アンソニー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】パターソン、ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】オリグ、クリストファー ピー.
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/013999(WO,A2)
【文献】特開2001-120582(JP,A)
【文献】特表2005-505343(JP,A)
【文献】特開2008-264553(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0005772(US,A1)
【文献】国際公開第01/076510(WO,A2)
【文献】国際公開第2015/126712(WO,A1)
【文献】米国特許第4624822(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端と、第2端と、外面と、ルーメンを画定する内面とを有するステントと、
前記ステントのルーメン内に配置されて該ステントに取り付けられる一体成形弁であって、前記一体成形弁は、
成形中に架橋さ
れ、無細胞の、コラーゲンをベースとする生体材料の単一シートから
成形され、且つ外面と、ルーメンを画定する内面と、前記外面と前記内面との間に一定の厚みとを有し、
各成形弁小葉が、凹状の外形を備える湾曲した3次元形状
に成形された部分を含む、少なくとも3つの成形弁小葉と、
各成形交連部が
、隣接する成形弁小葉の間に配置される、複数の成形交連部と、
前記少なくとも3つの成形弁小葉の遠位側に配置されて前記少なくとも3つの成形弁小葉に接続されている本体部と
を含む
3次元形状に成形および架橋された一体成形弁と、
を備え、
前記本体部、前記複数の成形交連部、および前記少なくとも3つの成形弁小葉は、
前記3次元形状に成形および架橋された、前
記無細胞の、コラーゲンをベースとする生体材料の単一シートで一体形成されている、心臓弁置換装置。
【請求項2】
前記一体成形弁は、3本~20本の縫合糸で前記ステントに取り付けられる、請求項1に記載の心臓弁置換装置。
【請求項3】
前記本体部の厚みは、前記少なくとも3つの成形弁小葉の厚みとは異なる、請求項1に記載の心臓弁置換装置。
【請求項4】
前記一体成形弁は、折り返し部を有する、請求項1に記載の心臓弁置換装置。
【請求項5】
前記折り返し部は、前記ステントに対して第1姿勢から第2姿勢に拡張可能である、請求項4に記載の心臓弁置換装置。
【請求項6】
前記折り返し部は、前記一体成形弁の本体部に連結されている、請求項4に記載の心臓弁置換装置。
【請求項7】
前記折り返し部の厚みは、前記本体部の厚みとは異なる、請求項6に記載の心臓弁置換装置。
【請求項8】
前記折り返し部の厚みは、前記少なくとも3つの成形弁小葉の厚みとは異なる、請求項4に記載の心臓弁置換装置。
【請求項9】
前記ステントは、少なくとも1つの取り付け要素を有する、請求項1に記載の心臓弁置換装置。
【請求項10】
少なくとも1本の縫合糸は、1つの取り付け要素において前記ステントを前記一体成形弁に連結する、請求項9に記載の心臓弁置換装置。
【請求項11】
前記一体成形弁は、
一体成形弁の近位端から一体成形弁の遠位端まで延びる第1端と、
前記第1端に対向して前記近位端から前記遠位端まで延びる第2端と
をさらに備える、請求項1に記載の心臓弁置換装置。
【請求項12】
前記第1端及び前記第2端は、前記近位端から前記遠位端に軸線方向に延びる継ぎ目を形成する、請求項11に記載の心臓弁置換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体材料で形成された新規で優利な効果を有する心臓弁に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書の背景技術の記載は、概略的に開示することを目的とする。本願の発明者による他の発明は、この背景技術の欄に記載されている範囲で、また出願の時点で先行技術と見なされない態様と同様に先行技術として認められるべきではない。
【0003】
患者が先天性心不全や心臓弁膜症などの疾患を有する場合には、生来の弁を交換する必要がある。病的な心臓弁は、弁が適切に機能せず血流が正常な流れの方向とは逆の方向に流れる逆流や、弁の石灰化やプラークや炎症などにより弁が閉塞する狭窄を招き得る。心臓弁は、外科的修復によって置換されたり、経カテーテルアプローチを用いて生来の弁に対して置換される。経カテーテル弁置換装置は、配備のためにカテーテルに圧着された拡張可能又は自己拡張型ステント構造に取り付けられた組織の弁小葉を含む。ステントは、問題のある心臓弁の位置まで進められて、そこで拡張するか、又はバルーンまたは別の手段によって拡張される。弁に装着されると、血流及び心臓の筋により組織の弁小葉は開閉する。これらの経カテーテル弁置換装置を製造する際において、もっとも時間と労力とを要する工程の1つは、弁小葉をステントに確実に取り付ける工程である。弁小葉は、何百本もの縫合糸でステントに取り付けられ、一般には、熟練労働者が手で縫い付ける。多くの場合、弁置換装置はそれぞれ、150本~300本又はそれ以上の本数の縫合糸を有する。上記装置の製造に必要な費用及び時間を削減する為には、組織を拡張可能又は自己拡張型ステントに確実に取り付ける為に必要とされる縫合糸の数を大幅に減らすことが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
以下では、本願の実施形態の基本的な理解を可能とする為に本発明の1つ以上の実施形態の簡略した概要を示す。この概要は、考えられる全ての実施形態の広範な概要ではなく、全ての主要又は重要な要素を同定すること、又は任意又は全ての実施形態の範囲を明らかにすることも意図していない。
【0005】
いくつかの実施形態では、本発明に係る心臓弁置換装置は、第1端と、第2端と、外面と、内面であってルーメンを形成する内面とからなるステントと、ステントのルーメン内に配置される弁であって組織の単一シートから形成され、外面と、内面と、外面と内面との間に一定の厚みとを有し、少なくとも3つの弁小葉を備え、40本より少ない縫合糸でステントに取り付けられた弁とを備える。いくつかの実施形態では、弁は、30本より少ない縫合糸でステントに取り付けられる。いくつかの実施形態では、弁は、20本より少ない縫合糸でステントに取り付けられる。いくつかの実施形態では、弁は、3本~20本の縫合糸でステントに取り付けられる。本発明のいくつかの実施形態では、弁は、弁小葉に接続された本体部を有する。少なくとも1つの実施形態では、本体部の厚みは、弁小葉の厚みとは異なる。いくつかの実施形態では、弁は折り返し部を有し、折り返し部は、弁の本体部に連結される。少なくとも1つの実施形態では、折り返し部の厚みは、本体部の厚みとは異なる。少なくとも1つの実施形態では、折り返し部の厚みは、弁小葉の厚みとは異なる。少なくとも1つの実施形態では、折り返し部は、ステントに対して第1姿勢から第2姿勢に拡張し得る。心臓弁置換装置のステントは、少なくとも1つの取り付け要素を有し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1本の縫合糸は、特定の取り付け要素においてステントを弁に連結する。
【0006】
本発明のいくつかの実施形態では、置換心臓弁は、複数の弁小葉と、弁小葉に接続された本体部とを備え、本体部及び弁小葉は、組織材料の単一シートで形成される。置換心臓弁は、本体部に連結された折り返し部を備える。いくつかの実施形態では、弁小葉の厚みは、折り返し部の厚みとは異なる。いくつかの実施形態では、本体部の厚みは、折り返し部の厚みとは異なる。請求項14に記載の心臓弁では、組織材料は、人工組織である。いくつかの実施形態では、組織材料は生体材料である。いくつかの実施形態では、弁は、心臓弁の少なくとも本体部に取り付け部位を備える。
【0007】
いくつかの実施形態では、心臓弁置換装置の製造方法は、組織材料の単一シートから弁を形成する工程であって弁は本体部に接続された少なくとも3つの弁小葉を有する本体部を有する組織材料の単一シートから弁を形成する工程と、材料の単一シートから形成された弁をステントのルーメン内に挿入する工程と、弁を40本より少ない縫合糸でステントに固定する工程とを含む。いくつかの実施形態では、弁は、30本より少ない縫合糸でステントに固定される。いくつかの実施形態では、弁は、20本より少ない縫合糸でステントに固定される。いくつかの実施形態では、弁は、3本~20本の縫合糸でステントに固定される。いくつかの実施形態では、弁を形成する工程は、組織材料の単一シートを金型に挿入する工程を含む。金型は、下部(第1の型)と上部(第2の型)とを有する。いくつかの実施形態では、金型は、上部を下部にロックする為のロック部材を有する。いくつかの実施形態では、組織材料の単一シートと、上部と下部のうちの少なくとも一方との間にスペーサーが挿入される。いくつかの実施形態では、金型の中で、組織材料の単一シートに架橋工程が実施される。組織材料は、いくつかの実施形態では、人工組織又は生体材料であり得る。いくつかの実施形態では、組織材料の単一シートは、材料の一端から他端まで一様ではない厚みを有する。いくつかの実施形態では、材料の単一シートは、切断装置で材料の一端から他端まで切断されて、材料の一端から他端まで一様でない厚みを有する。
【0008】
複数の実施形態が開示されているが、本願の別の実施形態も本発明の例示的な実施形態を示し且つ説明する以下の詳細な説明から当業者であれば理解できる。理解できるであろうが、本発明の様々な実施形態は、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく様々な明白な態様において変更できる。したがって、図面及び詳細な説明は例示であって限定ではないと理解しなければならない。
【0009】
本明細書は、本発明の様々な実施形態を形成すると見なされる発明の主題を特に指摘し且つ明確に主張する特許請求の範囲の記載で締めくくられているが、本発明は、以下の添付の図面と合わせて詳細な説明を参照することにより、よりよく理解できると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係るステント構造に対して配置された心臓弁を備える心臓弁置換装置を示す斜視図。
【
図6】本発明の一実施形態に係るステント構造に対して配置された心臓弁を備える心臓弁置換装置を示す斜視図。
【
図7】本発明の一実施形態に係る心臓弁を示す斜視図。
【
図11】本発明の一実施形態にかかる第1の金型部分と第2の金型部分とを有する本発明の心臓弁を製造する為の金型アセンブリを示す斜視図。
【
図12】
図11の金型アセンブリの第1の金型部分を示す上面図。
【
図13】
図11の金型アセンブリの第2の金型部分を示す下面図。
【
図15】本発明の一実施形態にかかる生体材料から心臓弁を製造する為の切断アセンブリを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、心臓の僧帽弁、三尖弁、大動脈弁、または肺動脈弁で使用する為の置換心臓弁に関する。いくつかの状況では、置換心臓弁は、置換心臓弁の一部、又は置換心臓弁に取り付けられたステントなどの装置の一部が生来の心臓弁に隣接するように生来の弁の内部に配置される。
【0012】
以下の詳細な説明では、いくつかの実施形態の完全に理解されるために多くの特定の詳細が示されている。しかしながら、いくつかの実施形態は、これらの特定の説明がなくても実施可能であることは当業者であれば理解できる。別例では、周知の方法、手順、構成要素、ユニットおよび/または回路は、曖昧な検討を回避する為に詳細に説明されていない。
【0013】
図1~5は、近位端104および遠位端106を有するステント102と、ステントのルーメン内に配置され、近位端104の遠位側の部位でステント102に連結された弁108とを備える心臓弁置換装置100を示す。本明細書は、図に示す装置に関して同一の相対的な方法で、「近位」と「遠位」という用語を使用するが、「近位」と「遠位」は、別の実施形態の「遠位」と「近位」と交換可能であることは本発明の範囲内である。ステント102は任意の構成を有することができ、第1姿勢から拡張姿勢まで拡張可能である。
図1~5に示すように、ステント102は、拡張姿勢にある。ステント102は、第1姿勢から第2姿勢まで自己拡張可能、バルーン式に拡張可能、又は別の様式で拡張可能である。ステント102は、外面110及び内面112を有し、内面112は、ステントの少なくとも一部にわたってルーメン114を形成する。少なくとも1つの実施形態では、外面110はコーティング材料の層を有する。少なくとも1つの実施形態では、内面112はコーティング材料の層を有して弁108との摩擦を低減し得る。ステント102は、弁108をステント102に連結する為に、外面110、内面112、又はその双方に1つ以上の取り付け要素115を有する。少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの取り付け要素115は、血管システム内で心臓弁置換装置100の位置決めを支援すべく、画像化する為に放射線不透過性マーカー又はコーティングを有し得る。
【0014】
弁108は、縫合糸又は別の機械的手段を用いて、1つ以上の取り付け要素115によりステントに取り付けられる。弁108は、接着剤でステント102に取り付けられてもよい。弁108は、接着剤を用いて取り付け要素によりステント102に取り付けられてもよい。弁108はまた、ポリマー製の取り付け層を用いてステント102に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、弁108は、縫合糸、別の機械的取り付け手段、接着剤、またはポリマー製の取り付け層のうちの1つ以上を用いて取り付けられてもよい。
【0015】
弁108は、いくつかの実施形態では、単一の組織材料片から形成される。いくつかの実施形態では、組織材料は生体材料であってもよい。いくつかの実施形態では、組織材料は、心臓血管組織、心臓組織、心臓弁、大動脈起始部、大動脈壁、大動脈弁小葉、心膜組織、結合組織、硬膜、皮膚組織、血管組織、軟骨、心膜、靱帯、腱、血管、臍帯組織、骨組織、筋膜、及び粘膜下組織、並びに皮膚からなる一群から選択された無細胞または細胞組織を含んでもよい。いくつかの実施形態では、組織材料は、2005年12月21日に出願された「埋込可能な生体材料およびその製造方法」という表題の米国特許第9,205,172号明細書に記載された生体材料などの埋込可能な生体材料であり、引用によりここにその全てを援用する。いくつかの実施形態では、生体材料は人工組織であってもよい。いくつかの実施形態では、人工組織は、単一片の成型又は形成されたポリマーからなってもよい。いくつかの実施形態では、人工組織は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレテレフタレート、別のポリマー、および別のポリマーコーティングからなってもよい。
【0016】
弁108は、近位端116と遠位端118とを有する。弁108は、外面122と内面124とを有し、内面124はルーメン125を画定する。弁108は、少なくとも1つの弁小葉126を有する。いくつかの実施形態では、弁108は、互いに接続された少なくとも3つの弁小葉126を備える。いくつかの実施形態では、弁108は、3つの弁小葉126を備える。いくつかの実施形態108では、2つの弁小葉126を備える。いくつかの実施形態では、弁108は、4つの弁小葉126を備える。いくつかの実施形態では、弁108は、4つより多い弁小葉126を備える。弁小葉126はそれぞれ、カップ状の凹部128を形成する。従って弁小葉126は、組織の平坦な片ではなく湾曲状に形成される。「平坦状又は湾曲状心膜大動脈弁尖:有限要素研究」という表題の記事で発表された研究などであって、引用によりその全体が本明細書に援用される、Journal of Heart Valve、13巻、5号(2004年9月)のKhee Hiang Lim、Johanes Candral、Joon Hock Yeo、Carlos MG Duranらによる研究は、本明細書に示すものに類似する3次元の弁小葉の弁尖が平坦状の組織片に対して応力の約35%を低減することを示している。弁小葉126は、交連130で互いに隣接して配置される。弁108は、少なくとも弁小葉126に接続された本体部132をさらに備える。いくつかの実施形態では、本体部132は、弁小葉に対して遠位に配置される。少なくとも1つの実施形態では、弁108は、遠位端112に環状部138を有する。環状部136は、本体部132に結合される。いくつかの実施形態では、弁108は、環状部138に取り付けられた折り返し部140を有する。折り返し部140は、外面142と内面144とを有する。折り返し部140は、本体部132の少なくとも一部を覆って近位方向に延びる。折り返し部140は、いくつかの実施形態では、拡張して生体の組織に対してシールを形成し得る。いくつかの実施形態では、弁108は、弁108に沿って軸方向に延びる継ぎ目148を形成する第1端146と第2端147とをさらに備える。いくつかの実施形態では、継ぎ目148は、いくつかの接着剤又は別の化学的な工程を用いて接合される。いくつかの実施形態では、第1端146及び第2端147は、1本の縫合糸により継ぎ目148を横断して接合される。いくつかの実施形態では、第1端146及び第2端147は、継ぎ目148の近位端近くの第1の縫合糸及び継ぎ目148の遠位端近くの第2の縫合糸により、継ぎ目148を横断して接合される。いくつかの実施形態では、第1端146及び第2端147は、継ぎ目148の近位端近くの第1縫合糸と、継ぎ目148の遠位端近くの第2の縫合糸と、第1の縫合糸と第2の縫合糸の間の少なくとも1つの縫合糸とにより継ぎ目148を横断して接合される。別の実施形態では、継ぎ目148は、弁の性能を損なうことなく、第1端146と第2端147の間の比較的小さなギャップを形成し得る。いくつかの実施形態では、弁小葉126は、外面122と内面124との間に本体部の厚みより小さな一定の厚みを有する。
【0017】
弁108は、弁108の少なくとも一部の外面122が、ステント102の内面112に当接するようにステント102に対して配置される。少なくとも
図3に示すように、弁108は、縫合糸150を用いてステント102に取り付けられる。縫合糸150は、本体部132またはステント102のうちの一方に折り返し部140を連結する為に使用される。縫合糸150は、本体部133をステント102に連結する為に使用される。縫合糸150は、交連部130をステント102に連結する為に使用される。少なくとも1つの実施形態では、縫合糸150は、取り付け部位115において、交連130をステント102に連結するのに使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも本体部132の外面122は、ステント102の内面112に当接する。いくつかの実施形態では、折り返し部140における内面144は、第1の部位でステント102の外面110に当接する。いくつかの実施形態では、折り返し部140における内面144は、
図1~5に示すように第2の形態である拡張時形態でステント102の外面110に当接する。いくつかの実施形態では、生来の弁に配置された際、弁内の血流や血管の血圧により、折り返し部140は、ステント102の外面110から離間する方向に拡張または移動して、生来の弁に対してシールを形成し得る。
【0018】
少なくとも部分的には、弁が単一の材料片から形成されるという理由で、弁は最小限の縫合糸でステントに取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、
図6は、15本の縫合糸650のみでステント602に取り付けられた弁608を備えた心臓弁置換装置600の一実施形態を示す。弁608は、少なくとも取り付け要素615でステント602に取り付けられる。いくつかの実施形態では、取り付け要素615は、弁608の弁小葉626の間で交連630と整合するようにされる。弁608は、取り付け要素615において第1のセットの縫合糸650aを用いて取り付けられる。少なくとも1つの実施形態では、第1セットの縫合糸650aは、3本の縫合糸650を含む。弁608は、ステントの端またはその近くに第2セットの縫合糸650bで更に取り付けられる。いくつかの実施形態では、第2のセットの縫合糸650bの縫合糸は、弁608の折り返し部640をステント602に接合する。いくつかの実施形態では、第2のセットの縫合糸650bは、折り返し部640と重なり合った本体部632に折り返し部640を接合する。少なくとも1つの実施形態では、第2セットの縫合糸650bは、ステントの遠位端近くの弁の外面622で弁608の外周を横断する連続する縫合糸のセットである。少なくとも1つの実施形態では、第2のセットの縫合糸650bは、ステント602の遠位端606の縁部655で弁の外周を横断する連続する縫合糸のセットである。少なくとも1つの実施形態では、第2のセットの縫合糸650bは、9本の縫合糸650を含む。少なくとも1つの実施形態では、弁608は、第3のセットの縫合糸650cで取り付けられる。第3のセットの縫合糸650cは、第1のセットの縫合糸650aと第2のセットの縫合糸650bとの間に軸方向に配置される。第3のセットの縫合糸650cは、本体部分632をステント602に連結し得る。第3のセットの縫合糸650cは、3本の縫合糸650を含み得る。第3のセットの縫合糸650cは、いくつかの実施形態において、それぞれ、第1のセットの縫合糸650aと軸方向に整合される。第3のセットの縫合糸650cは、いくつかの実施形態において、径方向にずらされて、第1のセットの縫合糸650aの縫合糸から遠位に配置される。少なくとも1つの実施形態では、第3のセットの縫合糸650cの少なくとも1本の縫合糸は、弁602の継ぎ目648を横断して組織を連結し得る。縫合糸の別の構成も本発明から理解できる。
【0019】
図7~10は、弁700の実施形態を示す。弁700は、ステント構造の中に挿入される前に組織の平坦なシートとして形成されるのではなく、生来の弁に配置する為にステント構造又は別の構造の中に挿入される前に円筒構造として形成される。いくつかの実施形態では、組織材料は人工組織である。いくつかの実施形態では、組織材料は生体材料である。いくつかの実施形態では、組織材料は、心臓血管組織、心臓組織、心臓弁、大動脈起始部、大動脈壁、大動脈弁小葉、心膜組織、結合組織、硬膜、皮膚組織、血管組織、軟骨、心膜、靱帯、腱、血管、臍帯組織、骨組織、筋膜、及び粘膜下組織、並びに皮膚からなる一群から選択される無細胞または細胞組織を含む架橋コラーゲンをベースとする生体材料であり得る。少なくともいくつかの実施形態では、組織材料は、2005年12月21日に出願され、「埋め込み可能な生体材料およびその製造方法」という表題の米国特許第9,205,172号明細書に記載されている生体材料などの埋め込み可能な生体材料であり、引用によりその全体は本明細書に組み込まれる。弁700は、近位端702及び遠位端704を備える。弁700は、外面706及び内面710を有し、内面710はルーメン712を形成する。いくつかの実施形態では、弁700は、本体部714と本体部714に接続された少なくとも3つの弁小葉716を備える。いくつかの実施形態では、弁700は、3つの弁小葉716を備える。いくつかの実施形態では、弁700は、4つの弁小葉716を備える。いくつかの実施形態では、弁700は、4つ以上の弁小葉716以上の弁小葉を備える。弁小葉716は、湾曲部718を有する。湾曲部718は、カップ状の凹部を形成する。弁小葉716は、交連720で互いに隣接して配置される。少なくとも1つの実施形態では、弁108、本体部714は、遠位端704に環状部722を有する。いくつかの実施形態では、弁700は、環状部722に取り付けられた折り返し部724を有する。折り返し部724は、外面726及び内面728を有する。折り返し部724は、本体部714の少なくとも一部を覆って近位方向に延びる。折り返し部724は、いくつかの実施形態では、拡張して生来の組織に対してシールを形成し得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、本発明の弁の製造方法は、弁小葉及び折り返し部を形成する為に金型の中に組織のシートを挿入する工程と、いくつかの形態において、成形された組織を円形リングの中に形成する工程とを含みうる。
図11~14は、金型1100の実施形態を示す。金型は、上部1120と下部1122とを備える。上部1120と下部1122とは、別々の構成要素であってもよいし、又は互いに連結されていてもよい。少なくとも1つの実施形態では、上部1120と下部1122とは、2枚貝の貝殻状の構造として形成され、上部1120及び下部1122は少なくとも1つのヒンジ部位で互いに回旋可能に連結される。
図11は、閉鎖時姿勢の金型を示す。少なくとも1つの実施形態では、上部1120及び下部1122は、ロック手段1123を用いて閉鎖時姿勢に互いに固定して連結される。一実施形態では、ロック手段1123は、上部1120に第1の穴1124及び第2の穴1126を備え、下部1122において、第1の穴1124及び第2の穴1126に整合可能な第1の穴1128及び第2の穴1130を備える。ボルトを第1の穴1124,1128及び第2の穴1128,1130の中に挿入して、ナットで締めることができる。ロック手段1123はまた、上部1120及び下部1122を押すクランプを備える。上部1120を下部1122に対して閉鎖時姿勢にロックする為の別の手段も本発明から考えられる。ロック手段1123が係合された時、金型の内部に配置された組織に対して所望の力が付与され得る。
【0021】
金型1100の下部1122を、
図12に示す。下部1122は、少なくとも1つの弁小葉部1134と、隣接する弁小葉部1134の間の交連部1136と、交連部1136と弁小葉部1134の間に接続された本体部1138とを含む。
図12に示すように、下部1122は、3つの弁小葉部1134を有する。いくつかの実施形態では、下部1122は、2つの弁小葉部1134を有する。いくつかの実施形態では、下部1122は、4つの弁小葉部1174を有する。いくつかの実施形態では、下部1122は、4つ以上の弁小葉部1134を有する。少なくとも1つの実施形態では、弁小葉部1134は、オスを形成する要素を備え得る。弁小葉部1134は、少なくとも1つの凸形成部1135及び陥没部1137を含む。少なくとも1つの凸形成部1135は、曲線外面1140、第1端1144における第1の曲線端1142、及び隣接する交連部1136に接して第1端1144から第2端1148に延びる第2の曲線端1146を有する。第1の曲線端1142は、放物線を形成する。第1の曲線端1142及び第2の曲線端1146は、部位1150で交差する。
図12に示すように、弁小葉部1134は、2つの凸形成部1135を有する。第1の凸形成部の第1の曲線端1142は、部位1152で第2の凸形成部の第1の曲線部1142と交差する。部位1152は、陥没部1137の上方に配置される。第1の曲線端1142はそれぞれ放物線を形成する。第1の凸形成部1135の第2の曲線端1146は、部位1144で第2の凸形成部1135の第2の曲線端1146に交差する。第1の凸形成部1135の第2の曲線端1146と第2の凸形成部1135の第2の曲線端1146とは、放物線を形成する。いくつかの実施形態では、弁小葉部1134の形状は、1999年の10月14日に出願された、「生物学的な膜からステントレス置換心臓弁を形成するための金型」という表題の米国特許第6,491,511号明細書に説明されている弁小葉の鋳型に類似し、同内容は、引用により本明細書に援用される。本体部1138は、交連部1136に接続される。本体部1138は、ほぼ平坦であり且つ下部1122から外方に延びる。いくつかの実施形態では、下部1122は、弁小葉部1134の両側で外方に延びるロックフランジ1160,1162を備え、ロックフランジ1160,1162はそれぞれ、第1の穴1128、第2の穴1130備える。
【0022】
金型1100の上部1120を
図13~14に示す。上部1120は、少なくとも1つの弁小葉部1174と、隣接する弁小葉部1174の間の交連部1176とを備える。
図13に示すように、上部1120は、3つの弁小葉部1174を有する。いくつかの実施形態では、上部1120は、2つの弁小葉部1174を有する。いくつかの実施形態では、上部1120は、4つの弁小葉部1174を有する。いくつかの実施形態では、上部1120は、4つ以上の弁小葉部1174を有する。少なくとも1つの実施形態では、弁小葉部1174は、下部1122の弁小葉部1134の対応するオスを形成する要素に係合するメスを形成する要素を有する。弁小葉部1174は、少なくとも1つの凹形成部1178と第2部分1179とを備える。閉鎖時姿勢にある時、上部1120の少なくとも1つの凹形成部1178は、下部1122の少なくとも1つの凸形成部と係合する。少なくとも1つの凹形成部1178は、曲線面1180、第1端1184において第1の曲線端1182、及び隣接する交連部1178に接し且つ第1端1184から第2端1188に延びる第2の曲線端1186を有する。いくつかの実施形態では、金型が閉鎖時姿勢にある時、下部1148の第2端1148は、上部の第2端1188に整合する。第1の曲線端1182は、放物線を形成する。第1の曲線端1182と第2の曲線端1186とは、部位1190で交差する。第1の凹形成部の第1の曲線端1182は、部位1192で第2の凹形成部の第1の曲線端1182に交差する。部位1192は、第2の部分1179に隣接して配置される。第1の曲線端1182はそれぞれ、放物線を形成する。第1の凹形成部の第2の曲線端1186は、部位1194で第2の凹形成部の第2の曲線端1186に交差する。第1の凹形成部の第2の曲線端1186と第2の凹形成部の第2の曲線端1186とは、放物線を形成する。いくつかの実施形態では、弁小葉部1174の形状は、1999年10月14日に出願され、且つ「生物学的な膜からステントレス置換心臓弁を形成するための金型」という表題の米国特許第6,491,511号明細書に説明された弁小葉の鋳型に類似し、その内容は引用により本明細書に組み込まれる。いくつかの別の実施形態では、本体部は、交連部1176及び弁小葉部1174に接続される。本体部は、交連部1176に接続される。本体部1138は、ほぼ平坦であり且つ交連部1176から外方に延びる。本体部は、閉鎖時姿勢にある時、下部1122の本体部の少なくとも一部に重なる。上部1120の本体部は、下部の本体部に比較して短い。上部1120の本体部の端部は、形成された弁の環状部の端を決める。いくつかの実施形態では、上部1120は、弁小葉部1174の両側で外方に延びるロックフランジ1196,1198を有し、ロックフランジ1196、1198はそれぞれ、第1の穴1124、第2の穴1126を有する。上部1120は、第2端1188の近くに複数のチャンネル1199を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、金型は、金属、ポリマー又はセラミック材料から形成される。いくつかの実施形態では、金型は、金型が患者に対して個別に作られてその患者に特化した弁を形成するように積層造形を使用して印刷されてもよい。
【0024】
少なくとも1つの実施形態では、組織のシートは、下部1122と上部1124の間で金型1100の中に挿入される。ロック部材1123は、次に、下部1122及び上部1124が閉鎖時姿勢に固定されるように係合される。少なくとも1つの実施形態では、組織のシートは生物試料から形成され、組織の架橋を促進するために、組織のシートに架橋する溶液であるグルタールアルデヒドが用いられる。いくつかの実施形態では、架橋する溶液は、グルタールアルデヒドを含有する。いくつかの実施形態では、架橋する溶液は、組織の中に注入され、別の実施形態では、組織は、架橋する溶液の中で浸され、浸漬され、又は浸透される。いくつかの実施形態では、グルタールアルデヒドは、組織の中に注入され、別の実施形態では、組織はグルタールアルデヒドで浸され、浸漬され、又は浸透される。少なくとも1つの実施形態では、金型1100と金型の中に挿入された組織のシートとは、架橋する溶液であってグルタールアルデヒドを含有する溶液の中に浸漬される。少なくとも1つの実施形態では、上部1124は、組織が部分的に架橋された時、金型1100から取り除かれ、組織は、組織が完全に架橋されると、金型1100から取り除かれる。少なくとも1つの実施形態では、上部1124は、金型1100が架橋する溶液またはグルタールアルデヒドの中に浸漬されている間に金型1100から取り除かれる。少なくとも1つの実施形態では、組織のシートにグルタールアルデヒドを用いる前に、下部1122と上部1124のうちの少なくとも一方の間に、スペーサー又は間隔を設ける層が挿入される。
【0025】
いくつかの実施形態では、弁は、一様ではない厚みを有する材料の単一シートから形成される。いくつかの実施形態では、弁の為の組織のシートの製造方法は、
図15に示す切断システム1500を用いる工程を含む。切断システム1500は、第1の組織ホルダー1502及び第2の組織ホルダー1504を有し、第1の組織ホルダー1502及び第2の組織ホルダー1504は、2つの組織ホルダー1502、1504によりその間に保持された組織シート1505に張力を与える。少なくとも1つの実施形態では、第1の組織ホルダー1502と第2の組織ホルダー1504とは、サーボモーターによって駆動されて第1の方向に組織を動かす。少なくとも1の実施形態では、第1の組織ホルダー1502と第2の組織ホルダー1504とは、サーボモーターで駆動される。そのような実施形態では、第1の組織ホルダー1502のサーボモーターは、第2の組織のサーボモーターと同調して動作して、組織シート1505に予め定められた一定の張力を維持する。少なくとも1つの実施形態では、第2の組織ホルダー1504は、第1の組織ホルダー1502に直交して配置される。ローラー1506は、第1の組織ホルダー1502及び第2の組織ホルダー1504の間に配置される。いくつかの実施形態では、切断システム1500は、モーターにより駆動されるローラー1506を有し、第1の組織ホルダーから第2の組織ホルダーに組織を移動する。ローラー1506は、第1の方向において第1の組織ホルダー1502と第2の方向において第2の組織ホルダー1504の双方に整合される。少なくとも1つの実施形態では、ローラー1506は、切断ブレード1508に関して組織を位置決めし得る。切断システム1500は、所望する組織の厚みに応じてローラー1506(および組織)に向かって又はローラー1506から離間してブレードを調節可能に移動できるモーター駆動シャフトに動作可能に接続されたブレード1508を有する。少なくとも1つの実施形態では、ブレード1508は、正確な距離の精度を保つためにボールねじを駆動するサーボモーターに接続される。操作者又はコンピューターは、使用者が組織に向かって又は離間してブレードを動かすように指示して、シートに沿って所望する一様ではない厚みを有する組織にし得る。少なくとも1つの実施形態では、ブレードは、振動するブレードであり、高い周波数で、例えば1分間当たり3500サイクルの高い周波数で振動する。組織がブレード1508を通過すると、いくつかの実施形態では、所望されない組織1510は、第2の組織ホルダー1504につながれた残りの組織から離れて、本質的に組織は2つの部分に分割される。組織ホルダー1502、1504につながれた所望する組織は、次に、弁を形成する為に、金型の中に挿入するために一定のシートに切断される。別の実施形態では、組織がブレード1508を通過すると、弁の形成に使用される所望の組織1510は、第2の組織ホルダー1504につながれた残りの組織から離れる。
【0026】
本明細書で使用するように、「ほぼ」又は「概して」という用語は、作用、性質、特性、状態、構造、アイテム、または結果の範囲又は程度が、完全又はほぼ完全であることを指す。例えば、「ほぼ」又は「概して」包含される対象は、その対象が、完全に包含されているか、又はほぼ完全に包含されているかのいずれかであることを意味する。絶対的な完全性からの正確に許容される解離の程度は、いくつかの場合において、具体的な文脈に依る。しかしながら、一般的に言って、完全性に近いことは、絶対的に且つ全体的に完全性が達成されたかのように一般に同一の全体的な結果を有するようになる。「ほぼ」又は「概して」という用語の使用は、それが否定的な意味合いで使用される場合には、作用、特徴、特性、状態、構造、アイテム、又は結果の完全またはほぼ完全に欠くことを指す為に同様に用いられる。例えば、一定の成分又は要素を「ほぼ」欠く、又は「概して」欠く要素、組み合わせ、実施形態、または組成物は、一般にその測定可能な効果が無い限りは、実際にそのようなアイテムを依然として含んでいてもよい。
【0027】
本明細書において「一実施形態」又は「実施形態」についての記載は、実施形態に関連して説明する特定の要素、特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の「一実施形態において」という記載は、必ずしもすべてが同一の実施形態を指しているわけではない。
【0028】
本明細書で使用するように、「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、又はその他のそれらの用語の別の変化形は、非排他的な包含をカバーすることが意図されている。例えば、一定の要素のリストを備える工程、方法、物品、又は装置は、それらの要素に必ずしも限定されないが、明示的に列挙されていない、又はそのような工程、方法、物品、又は装置に固有の別の要素も含みうる。さらに、逆のことが明示されていない限り、「または(or)」という用語は、包括的な「又は」を指し、排他的な「又は」を指さない。例えば、A又はBは、次のいずれかによって満たされ、Aは真(又は存在する)でありBは偽(又は存在しない)、Aは偽(又は存在しない)でありBは真(又は存在する)、及びA及びBの双方は真(又は存在する)、である。
【0029】
加えて、「ひとつ(a)」、「ひとつ(an)」の使用は、本明細書の実施形態の要素又は構成要素を記載する為に使用される。これは単に便宜上であり説明の一般的な意味を与える為である。この記載は、1つ又は少なくとも1つを含むと読まれるべきであり、そうでないことを意味することが明らかでない限り複数形も含む。
【0030】
更に、図面は、例示することだけを目的として好ましい実施形態を示す。当業者であれば、本明細書の説明から、本明細書に示された構造や方法の別の実施形態も明細書に記載されている原理から逸脱することなく用いることができることが理解できる。
【0031】
本開示を読めば、当業者であれば、本明細書に記載の装置の更なる代替的な構造上及び機能上のデザインを理解できる。したがって、具体的な実施形態及び使用が図に示され且つ説明されているが、開示されている実施形態は、本明細書に開示されているまさにその構造や構成要素に限定されないことを理解されたい。添付の特許請求の範囲に定義される趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書で開示されている方法及び装置の構成、操作及び詳細について、当業者であれば明白であろうが、さまざまな修正、変更、及び変形が可能である。
【0032】
いくつかの例示の実施形態を参照して本明細書で説明したシステム及び方法は、これらの実施形態が限定ではなく、且つ必ずしも互いに排他的ではなく、様々な実施形態の具体的な要素は、本発明の範囲内において、省略又は別の構成要素の特徴と共に使用する為に組み合わせることができると考えられる。本明細書の任意の実施形態の特徴はいずれも、任意の実施形態で使用可能であり、且つ、別の実施形態の任意の特徴と共に使用可能である。
(付記)
(付記1)
第1端と、第2端と、外面と、内面とを有するステントであって、前記内面はルーメンを画定する前記ステントと、
前記ステントのルーメン内に配置された弁であって、組織の単一シートから形成され、外面と、内面と、前記外面と前記内面との間に一定の厚みとを有し、少なくとも3つの弁小葉を備える前記弁と
を備え、
前記弁は、40本より少ない縫合糸で前記ステントに取り付けられる心臓弁置換装置。
(付記2)
前記弁は、30本より少ない縫合糸で前記ステントに取り付けられる、付記1に記載の心臓弁置換装置。
(付記3)
前記弁は、20本以下の縫合糸で前記ステントに取り付けられる、付記2に記載の心臓弁置換装置。
(付記4)
前記弁は、3本~20本の縫合糸で前記ステントに取り付けられる、付記3に記載の心臓弁置換装置。
(付記5)
前記弁は、前記弁小葉に接続された本体部を有する、付記1に記載の心臓弁置換装置。
(付記6)
前記本体部の厚みは、前記弁小葉の厚みとは異なる、付記5に記載の心臓弁置換装置。
(付記7)
前記弁は、折り返し部を有する、付記1に記載の心臓弁置換装置。
(付記8)
前記折り返し部は、前記ステントに対して第1姿勢から第2姿勢に拡張可能である、付記7に記載の心臓弁置換装置。
(付記9)
前記折り返し部は、前記弁の本体部に連結されている、付記7に記載の心臓弁置換装置。
(付記10)
前記折り返し部の厚みは、前記本体部の厚みとは異なる、付記9に記載の心臓弁置換装置。
(付記11)
前記折り返し部の厚みは、前記弁小葉の厚みとは異なる、付記7に記載の心臓弁置換装置。
(付記12)
前記ステントは、少なくとも1つの取り付け要素を有する、付記1に記載の心臓弁置換装置。
(付記13)
少なくとも1本の縫合糸は、1つの取り付け要素において前記ステントを前記弁に連結する、付記12に記載の心臓弁置換装置。
(付記14)
湾曲部を有する複数の弁小葉と、
前記弁小葉に接続された本体部と、を備え、
前記本体部と前記弁小葉とは、組織材料の単一シートから形成される、心臓弁。
(付記15)
前記本体部に連結された折り返し部をさらに備える、付記14に記載の心臓弁。
(付記16)
前記弁小葉の厚みは、前記折り返し部の厚みとは異なる、付記15に記載の心臓弁。
(付記17)
前記本体部の厚みは、前記折り返し部の厚みとは異なる、付記15に記載の心臓弁。
(付記18)
前記組織材料は人工組織である、付記14の記載の心臓弁。
(付記19)
前記組織材料は生物材料である、付記14に記載の心臓弁。
(付記20)
前記心臓弁の少なくとも前記本体部に取り付け部位をさらに備える、付記14に記載の心臓弁。
(付記21)
組織材料の単一シートから弁を形成する工程であって、前記弁は、本体部であって前記本体部に接続された少なくとも3つの弁小葉を備える前記本体部を有する、前記組織材料の単一シートから弁を形成する工程と、
前記組織材料の単一シートから形成した前記弁をステントのルーメン内に挿入する工程と、
前記弁を40本より少ない縫合糸で前記ステントに固定する工程と
を備える心臓弁置換装置の製造方法。
(付記22)
前記弁は、30本より少ない縫合糸で前記ステントに固定される、付記21に記載の方法。
(付記23)
前記弁は20本より少ない縫合糸で前記ステントに固定される、付記21に記載の方法。
(付記24)
前記弁は、3~20本の縫合糸で前記ステントに固定される、付記21に記載の方法。
(付記25)
前記弁を形成する工程は、前記組織材料の単一シートを金型の中に挿入する工程を含む、付記21に記載の方法。
(付記26)
前記金型は、上部と下部とを有する、付記25に記載の方法。
(付記27)
前記金型は、前記上部を前記下部にロックする為のロック部材を備える、付記26に記載の方法。
(付記28)
前記組織材料の単一シートと前記上部と前記下部のうちの少なくとも一方の間にスペーサーが挿入される、付記25に記載の方法。
(付記29)
架橋する工程は、前記金型内で前記組織材料の単一シート対して実施される、付記25に記載の方法。
(付記30)
前記組織材料は人工組織である、付記21に記載の方法。
(付記31)
前記組織材料は生体材料である、付記21に記載の方法。
(付記32)
前記組織材料の単一シートは、前記組織材料の一端から他端まで一様ではない厚みを有する、付記21に記載の方法。
(付記33)
前記組織材料の単一シートは、切断装置で切断されて、前記組織材料の一端から他端まで一様ではない厚みを有する、付記33に記載の方法。