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特許7393012循環システムの操作方法、および循環システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】循環システムの操作方法、および循環システム
(51)【国際特許分類】
   E03B 7/04 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
E03B7/04
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020564667
(86)(22)【出願日】2019-05-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2019062547
(87)【国際公開番号】W WO2019219785
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-16
(31)【優先権主張番号】102018111579.2
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520444579
【氏名又は名称】エルテーツェット- ツェントルム フュア ルフト-ウント トリンクヴァッサーヒュギエーネ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バウェイ,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】オピッツ,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ハイネッケ,オラフ
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-132037(JP,A)
【文献】国際公開第2013/005842(WO,A1)
【文献】特表2012-524848(JP,A)
【文献】特開2008-155190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 1/00
7/04
E03C 1/00-1/10
F24D 17/00-17/02
19/00-19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力ポート(12a、14a)および出力ポート(12b、14b)を備えた、水を冷却するための冷却装置(12、14)を有し、周囲に所与の熱結合を有し、ノードによって接続されている1つまたは複数の部分セクションを備える複数の分岐を有するパイプラインシステムを有する循環システム(10)を操作する方法であって、パイプラインシステムの1つまたは複数のラインが、フローパイプ(4、5、6)として構成され、少なくとも1つは単一の供給ライン(7)としてタッピングポイント(9)に接続され、少なくとも1つのラインは、1つまたは複数のフローパイプ(4、5、6)に接続された循環導管(10a)として構成されており、
前記熱結合とは、前記パイプラインシステムのラインを介した周囲への熱伝達であり、
-前記冷却装置(12、14)を使用して、前記出力ポート(12b、14b)の水温を値Taに設定するステップと、
-前記入力ポート(12a)の体積流量を値Vzに設定するステップとを含む方法であって、
以下のステップ、
-温度開始値TMA*<Tsollおよび体積流量開始値Vz*から開始して、前記出力ポート(12b、14b)に接続された第1の部分セクションの軸方向温度変化のモデルに従って、初期領域と終了領域との間の水の温度変化を決定し、特に計算するステップと、
-前記所与の部分セクションの前記初期領域の前記水温が、該所与の部分セクションが接続される前記部分セクションの終了領域内の前記水温に等しいという境界条件下で、前記温度変化の前記モデルに従って、さらなる所与の各部分セクションの初期領域と終了領域との間の水の温度変化を決定し、特に計算するステップと、
-各部分セクションの前記終了領域で、前記水温がTME<Tsollであり、前記入力ポート(12a、14b)で、前記水温がTb<Tsollに設定され、Tsoll-Tb<θであり、ここで、θ>0が所与の値であるように、前記出力ポート(12b、14b)での前記水温の値Taおよび体積流量の値Vzを選択するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記値TaおよびVzが反復近似手順で決定されることを特徴とする方法であって、前記所与の部分セクションの前記初期領域の前記水温が、前記所与の部分セクションが接続される前記部分セクションの前記終了領域内の前記水温に等しいという前記境界条件下で、前記初期領域と前記終了領域との間の水の前記温度変化が、さらなる所与の各部分セクションの前記出力ポート(12b、14b)に接続された前記第1の部分セクションの温度開始値TMA*<Tsoll、および体積流量開始値Vz*から開始して計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記部分セクションが、それらの初期領域とそれらの終了領域との間の長さに沿った周囲へのそれらの熱結合に関して均一に設計されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
長さLを有する少なくとも1つの部分セクションの終了領域における前記水温TMEが式
によって決定されることを特徴とする方法であって、
L=前記均一部分セクションの長さ(TS1)(m)
TMA=前記初期領域の水温(℃)
TME=前記終了領域の水温(℃)
TLuft=前記周囲空気の温度(℃)
kR=前記パイプラインの熱伝達係数(W/(m*K))
mM=前記部分セクション内の水の質量流量(kg/s)
Cp,m=水の比熱容量(J/(kg*K)
VM=前記部分セクション内の水の体積流量(m3/s)
pM=前記水の密度(kg/m3)である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記部分セクションの熱伝達係数が、
1/kR=前記パイプラインの熱貫流抵抗(m*K/W)
αi=内部熱伝達係数(W/(m2*K))
1/ΔR=熱抵抗(m*K/W)
αα=外部熱伝達係数(W/(m2*K))
dα=外径(m)
di=内径(m)である、


と、
と、
によって決定されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
循環ポンプ(10b)が前記循環システム(10)に統合されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記冷却装置(12、14)が前記循環水から別の材料流に熱エネルギーを伝達することによって循環水を冷却するために使用されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記冷却装置(12、14)が、冷温水機熱的に結合されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
-前記循環ポンプ(10b)の供給された体積流量に応じて前記循環ポンプ(10b)の特性を決定するステップと、
-前記出力ポート(12b、14b)での水温に応じて前記冷却装置(12、14)の特性を決定するステップと、
-前記循環ポンプ(10b)および前記冷却装置(12、14)の消費電力が相対的または絶対的な最小値になるように、前記出力ポート(12b、14b)での体積流量Vzおよび水温Taを設定するステップと、を特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項10】
温度Tsollについては20℃+/-5℃の値が選択され、出力ポート(12b、14b)での水温Taについては15℃+/-5℃の値が選択されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
入力ポート(12a、14a)および出力ポート(12b、14b)を備えた、水を冷却するための冷却装置(12、14)を有し、周囲に所与の熱結合を有し、ノードによって接続されている1つまたは複数の部分セクションを備える複数の分岐を有するパイプラインシステムを有する循環システムであって、
-前記ノードから出る体積流量の所与の配分について、混合水温は、前記ノードに流入する体積流量に応じて、前記ノードから出る体積流量から決定可能であり、
-前記パイプラインシステムの1つまたは複数のラインは、フローパイプ(4、5、6)として構成され、少なくとも1つは、タッピングポイント(9)に接続された単一の供給ライン(7)として構成され、少なくとも1つのラインは、1つまたは複数のフローパイプ(4、5、6)に接続された循環導管(10a)として構成され、

-前記冷却装置(12、14)によって、前記出力ポート(12b、14b)での水温を値Taに設定する手段と、
-前記入力ポート(12a、14a)での循環水の定常体積流量を値Vzに設定する手段と、
を有し、
-所与の部分セクションの終了領域の水温が、前記循環水の前記流れ方向に前記所与の部分セクションに接続される前記部分セクションの初期領域内の水温に等しいという境界条件下で、各部分セクションの前記初期領域と前記終了領域との間の水の温度変化を決定するための装置手段と、
-各部分セクションの前記終了領域で、前記水温がTME<Tsollであり、前記入力ポート(12a、14b)で、水温がTb<Tsollに設定され、Tsoll-Tb<θであり、ここで、θ>0が所与の値であるように、前記水温の前記値Taおよび前記出力ポート(12b、14b)での前記体積流量の前記値Vzを選択するための装置手段と、
を含むことを特徴とする、循環システム。
【請求項12】
装置手段が前記値TaおよびVzが反復近似手順で決定されるために提供されることを特徴とする循環システムであって、前記水温TMEが、前記出力ポート(12b)接続された第1の部分セクションの温度開始値TMA*<Tsollおよび体積流量開始値Vz*から開始して計算され、次に取り付けられた部分セクションの前記初期領域内の水温TMA´が、前記所与の部分セクションの前記終了領域内の水温TMEに等しいように選択される、請求項11に記載の循環システム。
【請求項13】
前記部分セクションが、それらの初期領域とそれらの終了領域との間の長さに沿った周囲へのそれらの熱結合に関して均一に設計されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の循環システム。
【請求項14】
循環ポンプ(7)が前記循環システム(10)に統合されることを特徴とする、請求項11から13のいずれか一項に記載の循環システム。
【請求項15】
少なくとも1つのフローパイプ(4、5、6)が少なくとも1つのループライン(8)に接続されていることを特徴とする、請求項11から14のいずれか一項に記載の循環システム。
【請求項16】
前記循環導管(10a)の少なくとも1つのラインが前記少なくとも1つのフローパイ
プ(4、5、6)から出ることを特徴とする、請求項11から15のいずれか一項に記載の循環システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの循環導管(10a)の少なくとも1つのラインが前記少なくとも1つのループライン(8)から出ることを特徴とする、請求項11から16のいずれか一項に記載の循環システム。
【請求項18】
前記少なくとも1つのフローパイプ(4、5、6)が少なくとも1つのライザーライン(5)および/または建物フロアライン(6)を備えることを特徴とする、請求項11から17のいずれか一項に記載の循環システム。
【請求項19】
前記少なくとも1つのフローパイプ(4、5、6)が、公共の給水ネットワークへの接合部(1)によって接続されている集合供給ライン(4)を備えることを特徴とする、請求項11から18のいずれか一項に記載の循環システム。
【請求項20】
前記接合部(1)が少なくとも1つの接続ライン(2)および/または少なくとも1つの消費者側へ給水するライン(3)に接続されていることを特徴とする、請求項19に記載の循環システム。
【請求項21】
少なくとも1つの静的または動的分流器(8a)が前記少なくとも1つのフローパイプ(4、5、6)および/または前記少なくとも1つのループライン(8)に配置されることを特徴とする、請求項11から20のいずれか一項に記載の循環システム。
【請求項22】
前記冷却装置(12、14)が、前記循環水から別の材料流に熱エネルギーを伝達するために使用されることを特徴とする、請求項11から21のいずれか一項に記載の循環システム。
【請求項23】
前記冷却装置(12、14)が、冷温水機熱的に結合されることを特徴とする、請求項22に記載の循環システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毎回独立請求項の前文の特徴に従って、循環システムを操作するための方法ならびに循環システムに関する。
【背景技術】
【0002】
冷水ネットワークでの微生物増殖を防ぐために、DIN EN 806ならびにVDIガイドライン6023によれば、建物内の飲料水設備に対して、設備のすべてのラインでの冷水飲料水(PWC)の温度を+25℃以下の値に常に制限することが必要である。DIN EN 806-2、3.6によると、冷水箇所について水温は、タッピングポイントが完全に開いてから30秒以内に+25℃を超えてならない。さらに、水の滞留を防ぐために、冷水設備は、通常の操作条件下で、飲料水が設備のすべてのラインで定期的に補充されるように設計される必要がある。同様に、VDIガイドライン6023には、飲料水の温度を可能な限り+25℃未満に保つという推奨事項も含まれている。当然のことながら、水の温度の制限は、工業用プロセス水用の設備など、他の水の設備にも必要であると見なされることが多い。
【0003】
高いPWC温度の発生は、次のような様々な状況の単独または複合的な発生によって促進される。
・家庭の接合部においてすでに高いPWC温度、
・例えば、建物の位置および向き、または建物内の設備の領域による、設備の領域の熱的影響、
・熱を遮断するためのPWCパイプラインの不十分な断熱、
・シャフト、ダクト、吊り天井、熱を発生する媒体(暖房システムのパイプライン、飲料温水(PWH)、飲料温水循環システム(PWH-C)、吸気および排気ダクト、ランプなど)を備えた設置壁などの一般的な設置領域で、熱源のある部屋および機器スペース内のPWCパイプラインの設置、
・前述の設置地域における滞留段階、
・大型設置物容積に付随する高度に分岐したPWC設置、
・過度に大型のPWCパイプライン。
【0004】
滞留段階で義務付けられた規則を満たすための努力における優先方法は、これまでのところ、これらの段階での所望の操作をシミュレートするための設備の強制洗浄である。
冷温飲料水を提供するために、様々な冷却循環システムが冷水ネットワーク用にすでに提案されてきた。
【0005】
冷却循環システムは、特許文献1からすでに知られており、水への消毒剤の制御された添加が提案されている。
【0006】
特許文献2から、蓄熱、循環ポンプ、調整ユニット、および少なくとも2つの分岐を備え、さもなければ未知のパイプネットワーク構造を持つ循環システムを操作する方法が知られている。それぞれが駆動モータによって調整可能なバルブを備えている分岐は、分岐間の各混合点の上流に配置されている温度センサと一致している。駆動モータおよび/または循環ポンプは、データ交換のために無線または有線の方法で調整ユニットに接続されている。調整ユニットは、計測温度の範囲を制限することによって、および/または実際の温度値と目標温度値の差に応じてポンプ出力を調整することによって、熱および水力の均衡、ならびに熱消毒を実行するように設計されている。
【0007】
特許文献3から、公共の供給ネットワークに接続されている、冷水用の家庭用接合部を備えた建物の飲料水および上水供給の配置が知られている。供給装置は、ポンプを備え、少なくとも1人の消費者につながる少なくとも1つの循環導管を含む。水から熱を抽出する熱交換器が、循環導管内に設けられている。
【0008】
さらに、特許文献4には、特許文献3で知られている種類の飲料水および上水供給装置が記載されており、熱交換器は、潜熱蓄熱によって形成され、制御目的で制御装置に接続されている、循環導管内に提供される電動洗浄バルブを備える。洗浄バルブは、潜熱蓄熱と家庭用接合部が循環導管に入る点との間に配置され、潜熱蓄熱から下流の流れ方向に位置している。
【0009】
水を冷却する既知の循環システムは、循環システムの動作中、すべての部分セクションについて、およびすべての時間について、水温が所望の温度を下回った状態であることを保証しないか、または効果的に保証しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】欧州特許公開第1 626 034号公報
【文献】独国特許公開第10 2014 013 464号公報
【文献】独国実用新案第20 2015 007 277U1号公報
【文献】欧州特許公開第3 159 457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明が解決することを提案する問題は、水温がすべての部分セクションについて、および循環システムの動作中のすべての時間について所望の温度を下回った状態であることを効果的な方法で保証することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この問題は、独立クレームの特徴を備えた本発明に従って解決される。
本発明による方法は、入力ポートおよび出力ポートを備えた、水を冷却するための冷却装置を有し、周囲に所与の熱結合を有し、ノードによって接続されている1つまたは複数の部分セクション(一部の区画)を備える複数の分岐を有するパイプラインシステムを有する循環システムに関し、パイプラインシステムの1つまたは複数のラインが、フローパイプとして構成され、少なくとも1つは単一の供給ラインとしてタッピングポイントに接続され、少なくとも1つのラインは、1つまたは複数のフローパイプに接続された循環導管として構成される。
【0013】
循環システムを操作するための本発明による方法は、出力ポートに接続された第1の部分セクションの軸方向温度変化のモデルに従って、温度開始値TMA*<Tsollおよび体積流量開始値V*から開始して、初期領域と終了領域との間の水の温度変化が決定され、所与の部分セクションの初期領域における水温が、所与の部分セクションが水の流れ方向に接続される部分セクションの終了領域内の水温に等しいという境界条件下で、初期領域と終了領域との間の水の温度変化が、温度変化のモデルに従って、第1の部分セクションに接続されたさらなる各部分セクションについて決定され、循環システムの各部分セクションの終了領域において、水温がTME<Tsollであり、入力ポートで、水温がT<Tsollに設定され、Tsoll-T<θであり、ここで、θ>0が所与の値であるように、出力ポートでの水温の値Tおよび体積流量の値Vが、選択されることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、決定するステップは、モデルに従って、部分セクションの周囲からの熱吸収に基づいて、部分セクション、すなわち、対応する導管の初期領域と終了領域との間の水の軸方向の温度変化を計算するステップからなる。したがって、冷却装置に接続された第1の部分セクションから始めて、部分セクションのシステム全体を通って連続して移動し、したがってシステム全体の温度を計算する。
【0015】
本発明によれば、循環システムの各部分セクションの終了領域において水温がTME<Tsollであり、入力ポートでの水温T<TsollはTsoll-T<θであり、ここで、θ>0は所定の値である、出力ポートでの水温の値Tおよび体積流量の値Vが、導管システム内の循環水の温度および体積流量のモデリングによる方法で、好ましくは計算によって決定される。これは、好ましくはVzが安定している状態で実行される。
【0016】
次に、冷却装置と、場合によっては循環システムの循環ポンプが調整され、その結果、水温および体積流量が確認された値Tおよび値Vを取る。
本発明によれば、温度が出力ポートで設定され、温度変化がこれに基づいて計算され、請求項1の特徴的な文脈に従って、モデリングに使用されることが提案される。
計算の利点は、何かを測定するためにセンサが不要であり、影響の要因を評価および多様にすることができ、場合によっては予測もできることである。
計算は、2点調整システムおよび/または建物の床のカスケード制御、またはパイプライン分岐による制御と比較して、必要な計測点が少なく、システム全体が変動しにくいという利点を提供する。
【0017】
したがって、従来技術とは対照的に、本発明による調整は、出力ポートでの設定点操作によって達成されるが、調整器の設計は、分散パラメータを備えた全体的な水路システムおよび複数の温度TMEの計算に基づく。したがって、基本的に1つの調整器および1つの温度設定のみが、温度Taを提供するために必要とされる。
冷水ネットワークの問題と同様の問題が、温水ネットワークの場合に存在する。動作温度のみが変更され、冷却装置の代わりにヒータまたは貯水槽が使用される。温水ネットワークの温度は、貯水槽の出口で60℃から貯水槽の入口で55℃の間である。周囲からの入熱により温度上昇が発生する冷水ネットワークとは異なり、熱損失により温水ネットワークの温度が低下する。
【0018】
次の式は、温水ネットワークの温度低下と冷水ネットワークの温度上昇の両方に当てはまる。
q=W/m単位の比熱流束
Δθ=θ媒体開始-θ媒体終了 温水
Δθ=θ媒体終了-θ媒体開始 冷水
したがって、本発明はまた、冷却装置の代わりに貯水槽またはヒータが使用される、温水ネットワークの同様の例を包含する。
さらに、上記の所与の式は、水の温度が周囲温度よりも高い場合、冷水ネットワークにも当てはまる。
【0019】
したがって、一般に、本発明は、モデルによる計算に使用される式の対応する適応とともに、水を加熱または冷却することができる、冷却装置の代わりに熱交換器を使用する場合を包含する。
【0020】
分岐という用語は、2つのノード間の1つまたは複数の部分セクションで構成され、ノード間にノードがないことを意味する。分岐はノードを横切って接続されている。
好ましくは、所与の部分セクションの初期領域の水温が、所与の部分セクションが接続されている部分セクションの終了領域の水温に等しいという境界条件は、それぞれの分岐の部分セクションにのみ関連する。
【0021】
あるノードから隣接する部分セクションに現れる体積流量の温度および大きさは、流入する体積流量の温度および大きさに依存する。本発明は、好ましくは、これらがパイプラインシステムの設計によって与えられると想定されたい。
【0022】
異なる流出ラインまたは部分セクションの間でノードから出る体積流量の配分は、好ましくは、パイプラインシステムの設計によって与えられるものとして本発明によって想定される。
【0023】
好ましくは、分岐が一体に結合する場合の混合温度、および分岐が分割される場合の温度は、体積流量配分のパーセンテージに基づいて計算される。
【0024】
本発明による方法では、パイプラインシステムは所与のように想定され、パイプラインシステムは、ある特定のPWC(Potable Water Cold)ラインの公称幅および循環水の周囲への熱結合の値を指定する、パイプネットワークの設計のためのDIN1988-300の規則に従って設計されることを理解されたい。他の国または地域で指定または推奨されているパイプネットワークの設計も、一般的に留意され得ることを理解されたい。
【0025】
好ましくは、パイプラインシステムの設計による最大許容値が、体積流量開始値Vz*として選択される。この値は、循環水の温度がTsollに近づくまで減少するが、これは、体積流量の減少に伴い、循環水の温度が上昇し、したがって入力ポートの温度が上昇するためである。
【0026】
好ましくは、入力ポートでの水温がT<Tsollであり、Tsoll―<θであり、ここで、θ>0は所定の値であることに対して、値TMA*が変化し、水温の最高値Tが選択される。
【0027】
soll―<θが与えられると、循環システムの水温が冷たくなり過ぎず、システムがエネルギー効率の悪い方法で動作しないことが保証される。通常、θは1℃~5℃の範囲にあるが、別の範囲にある可能性もある。
【0028】
各部分セクションの初期領域と終了領域との間の水の温度変化の決定は、それ自体が既知のモデルに従って、例えばシミュレーション計算または適切な既知の式によって実施され得る。
【0029】
本発明の方法を実施する場合、循環システムは、水の除去および水の取り込みが発生しない状態で動作することが好ましく、これは、この状態では、水の除去が発生する状態よりも水の加熱が大きくなることが予想でき、したがってこの方法によって決定されたパラメータTおよびVを使用することにより、望ましくないほど高い水温の状態からの安全マージンが保証されるためである。
【0030】
この方法によって決定されたパラメータTおよびVは、パイプラインシステムが公称幅および循環水の周囲への熱結合に関する法的仕様に従って設計されている所与の循環システムをモデリングし、循環システム内の飲料水の温度に関する義務付けられた規則が満たされるように動作するために有利に使用される。
【0031】
既存のシステムの出願人のシミュレーションにより、本発明に従って設定されたパラメータを使用することにより、a)上記の法的要件が満たされ、b)システム動作のより大きなエネルギー効率が達成されることが明らかになった。
【0032】
この方法によって決定されるパラメータTおよびVは、パイプラインシステムが公称幅および循環水の幅と周囲への熱結合に関する法的仕様に従って設計されている所与の循環システムにおけるその冷却力に関して、冷却装置の設計を決定するために有利に使用される。さらに、循環ポンプの設計は、そのポンプ出力に関して決定され得る。
【0033】
この文書では、次の用語を特定の意味で使用するものとし、この定義は、標準のDIN EN806に依存する。
【0034】
循環システムの循環導管は、循環のタッピングポイントの下流の導管を示し、この導管にさらなるタッピングポイントが接続されていない場合、水は冷却装置の出力ポートから冷却装置の入力ポートに戻る。
【0035】
ノードという用語は、導管が接続されている導管要素のために使用される。少なくとも2つの体積流量がノードに入ることができ、正確に1つの体積流量がノードから出るか、または正確に1つの体積流量がノードに入ることができ、少なくとも2つの体積流量がノードから出ることができる。ノードは分岐点に対応する。
【0036】
好ましくは、正確に2つの体積流量が循環システムのノードに入り、1つの体積流量がそこから出るか、または正確に1つの体積流量が入り、正確に2つの体積流量が、例えば、Tピースの形態でそれから出る。
キルヒホッフの第1の法則は、電気回路と同様に、循環システムのノードに適用され、これにより、流入する体積流量の合計は、流出する体積流量の合計に等しくなる。
好ましくは、各ノードポイントでの流出体積流量は、同じサイズの流出体積流量に配分される。他の配分も可能であることを理解されたい。
異なる温度で正確に1つの流出体積流量および正確に1つの流入体積流量を有するノードの場合、流出体積流量の混合水の温度tおよび質量流量mは、次の式によって低温流の温度tkおよび質量流量mk、または温水流の温度twおよび質量流量mwに関連付けられると想定することが好ましい。

=混合水の温度(℃)
=冷水の温度(℃)
=温水の温度(℃)
=混合水の質量/体積(流量)(kg;m;kg/h;m/hまたは%)
=冷水の質量/体積(流量)(kg;m;kg/h;m/hまたは%)
=温水の質量/体積(流量)(kg;m;kg/h;m/hまたは%)
【0037】
部分セクションの初期領域と終了領域との間の水の温度変化を決定するために、部分セクションの長さとともに、好ましくは以下のパラメータが使用され得る。
Luft=周囲空気の温度(℃)
=パイプラインの熱伝達係数(W/(m*K))
=部分セクション内の水の質量流量(kg/s)
=水の比熱容量(J/(kg*K)
=部分セクションの水の体積流量(m/s)
=水の密度(kg/m
【0038】
有利には、初期領域と終了領域との間の水の温度変化は、定常体積流量中に循環システムの各部分セクションについて決定することができ、所与の部分セクションの終了領域の水温が、循環水の流れ方向に所与の部分セクションが接続される部分セクションの初期領域内の水温に等しくなるように選択される。したがって、循環システムの各部分セクションについて、初期領域の温度から開始することによって、それぞれの部分セクションの終了領域の水の温度を決定することが可能である。
【0039】
有利なことに、定常体積流量中の出力ポートでの温度から開始して、各部分セクションについて循環水の温度を決定することが可能であり、すなわち、すべての部分セクションの終了領域について水温がTME<Tsollになるように、出力ポートに隣接する部分セクションの初期温度として、出力ポートでの水温の値Tを決定することも可能である。
【0040】
本発明のさらなる実施形態では、値TおよびVが反復近似手順で決定されることが提案され、終了領域内の水温TMEが、出力ポートに接続された第1の部分セクションの温度開始値TMA*<Tsollおよび体積流量開始値V*から開始して、各所与の部分セクションについて計算され、次に接続された部分セクションの初期領域内の水温TMA´が、所与の部分セクションの終了領域内の水温TMEに等しいように選択される。
本発明のさらなる実施形態では、部分セクションは、それらの初期領域とそれらの終了領域との間の長さに沿った周囲へのそれらの熱結合に関して軸方向に均一に設計され、すなわち、それらは軸方向に変化しないことが提案される。これにより、計算の簡素化が可能になる。
【0041】
本発明のさらなる実施形態では、長さLを有する少なくとも1つの部分セクションの終了領域における水温TMEが、式によって決定されることが提案される。

L=均一部分セクション(TS1)の長さ(m)
MA=初期領域の水温(℃)
ME =終了領域の水温(℃)
Luft=周囲空気の温度(℃)
=パイプラインの熱伝達係数(W/(m*K))
=部分セクション内の水の質量流量(kg/s)
=水の比熱容量(J/(kg*K)
=部分セクションの水の体積流量(m/s)
=水の密度(kg/m
【0042】
この式により、均一な部分セクションの温度変化の適切な概算が可能である。
本発明の別の実施形態では、部分セクションの熱伝達係数は、式によって決定されることが提案されている。
1/k=パイプラインの熱貫流抵抗(m*K/W)
αi=内部熱伝達係数(W/(m*K))
1/ΔR=熱抵抗(m*K/W)
αα=外部熱伝達係数(W/(m*K))
α=外径(m)
=内径(m)
【0043】
以下では、周囲との温度差による水中の温度変化および熱増加を決定するために、式1~4が使用されるものとする。
このため、熱抵抗の式1を式2に挿入して、それによって熱遷移抵抗が求められる。熱伝達係数、式3は、式2の逆数を使用して計算される。
断熱を含むパイプラインの熱抵抗1/λges

式1、VDI2055、2008を参照
絶縁パイプラインの熱遷移抵抗1/U
式2、VDI2055、2008を参照
断熱パイプラインの熱伝達係数U
方程式3
熱伝達係数は、部分セクションの終了での温度を計算するための式4の中心的な要素である。
【0044】
式4を使用して、関連するすべての部分セクションについて、冷水のそれぞれの開始温度および終了温度が求められる。パイプライン内の水の軸方向加熱のための公式の導出は、式5から始まる。
式4
式5、VDI2055、2008を参照

Δθa=θMA-θLuftを挿入し、次いで統合する。
体積流量を徐々に/段階的に増加させる反復計算では、例えば、5K(15℃/20℃)の所望の/所与の広がりで冷水設備を操作する体積流量を求める。
この解決法の助けを借りて、主要な考慮事項である循環システムの体積流量だけでなく、特定のパイプラインネットワーク内の任意の所与のポイントについて水温も決定することが可能である。
【0045】
好ましくは、反復近似法は、既知のエクセル目標値検索であり、Franz Josef Mehr、MariaTeresa Mehr、Wiesbadenによる、ExcelとVBA:自然科学における実用的なアプリケーションの紹介、2015、セクション8.1を参照されたい。
【0046】
本発明によれば、例えば、次のように、部分セクションの上記に示すパラメータを含むパイプラインシステムの重要なデータがプログラムに入力され、目標値検索を使用して、飲料水目標温度Tが達成される体積流量Vが決定される。
この例では、15℃の入力温度Tに対して20°の目標温度Tbが達成される計算された体積流量Vが行MT4に示されている。
【0047】
本発明のさらなる実施形態では、循環ポンプが循環システムに統合され、その結果、所望の体積流量が設定され得ることが提案される。
もちろん、いくつかの冷却装置および/または循環ポンプもまた提供され得る。
【0048】
以下では、実施形態は、建物内の飲料水設備に通常使用されるようなパイプライン構造を用いて説明されるものとする。
接続ラインは、供給ラインと飲料水設備または循環システムとの間のラインである。
消費者ラインは、メインシャットオフバルブからタッピングポイント(栓の部分)の接合部、および任意選択で器具に水を運ぶラインである。集合供給ラインは、メインシャットオフバルブとライザーパイプとの間の水平な消費者ラインである。ライザーパイプ(ダウンパイプ)は1つのフロアから別のフロアに通じており、建物のフロアラインまたは単一の供給ラインがそこから分岐する。建物のフロアラインは、建物のフロア内のライザーパイプ(ダウンパイプ)から分岐するラインであり、単一の供給ラインがそこから分岐する。単一の供給ラインは、タッピングポイントにつながるラインである。
【0049】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのフローパイプが少なくとも1つのループラインに接続されることが提案されている。
本発明のさらなる実施形態では、循環導管の少なくとも1つの分岐が少なくとも1つのフローパイプから出ることが提案される。
本発明のさらなる実施形態では、少なくとも1つの循環導管の少なくとも1つの分岐が少なくとも1つのループラインから出ることが提案される。
本発明のさらなる実施形態では、少なくとも1つのフローパイプが、少なくとも1つのライザーラインおよび/または建物のフロアラインを含むことが提案されている。
本発明のさらなる実施形態では、少なくとも1つのフローパイプが、接合部によって給水ネットワークに接続されている集合供給ラインを含むことが提案されている。
本発明のさらなる実施形態では、接合部が少なくとも1つの接続ラインおよび/または少なくとも1つの消費者ラインに接続されることが提案されている。
【0050】
本発明のさらなる実施形態では、少なくとも1つの静的または動的分流器が、少なくとも1つのフローパイプおよび/または少なくとも1つのループラインに配置され、それによって、好ましくは水のための1つのタッピングポイントが接続されることが提案される。好ましくは、出口で95%および通過する5%の体積流量のパーセンテージ配分が達成される。
【0051】
本発明のさらなる実施形態では、循環水を冷却するための冷却装置を使用して、熱エネルギーを循環水から別の材料流に、好ましくは熱伝達剤によって伝達することが提案され、これにより、プロパンなどの他の材料の流れを適切に選択することによって冷却プロセスの最適化、および冷却装置の操作に必要なエネルギーの削減を達成することができる。
本発明のさらなる実施形態において、冷却装置は、冷温水機、好ましくはヒートポンプ、ウォータチラーまたは冷温供給ネットワークに熱的に結合されることが提案され、それによって同様に冷却プロセスに必要なエネルギーの低減を達成することができる。
【0052】
本発明のさらなる実施形態において、循環ポンプの供給された体積流量に応じて循環ポンプの消費者特性を決定し、出力ポートでの水温に応じて冷却装置の消費者特性を決定し、循環ポンプおよび冷却装置の消費電力が相対的または絶対的な最小値をとり、それによって方法のエネルギー効率を改善するように、出力ポートでの体積流量Vおよび水温Tを調整することが提案される。
【0053】
本発明のさらなる実施形態では、温度Tsollについては20℃+/-5℃の値が選択され、出力ポートでの水温Tについては15℃+/-5℃の値が選択されることが熟慮の上で提案される。
【0054】
本発明のさらなる実施形態では、パイプラインシステムの少なくとも1つの部分セクションが外部循環導管として設計されることが提案されるが、外部循環導管は通常、特に既存の循環システム内に設置されるからである。
【0055】
本発明のさらなる実施形態では、少なくとも1つの部分セクションがインライナ循環導管として設計されることが提案されるが、これらはしばしば、より新しい、または新しい循環システム内に設置されるからである。
【0056】
以下の図面の説明から、さらなる利点が明らかになるであろう。
図面は、本明細書における例示的な実施形態を示している。図面、明細書、および特許請求の範囲には、多くの機能が組み合わされて含まれる。当業者はまた、熟慮のうえで機能を個別に検討し、それらをさらなる意味のある組み合わせに組み合わせる。
例として、以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】本発明による循環システムの概略図である。
図2】本発明による循環システムの追加の実施形態である。
図3】追加の熱交換器が提供される、本発明による循環システムの追加の実施形態である。
図4】本発明による循環システムの追加の実施形態である。
図5】本発明による循環システムの追加の実施形態である。
図6】本発明による循環システムの追加の実施形態である。
図7】本発明による循環システムの追加の実施形態である。
図8】本発明による循環システムの追加の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1図8に示される循環システムは単なる例であり、本発明はこれらのシステムに限定されない。図示されるすべてのシステムで、正確に2つの体積流量がノードに入り、1つの体積流量がそこから出るか、または正確に1つの体積流量が入り、正確に2つの体積流量が、Tピースの場合のように、それから出る。しかしながら、本発明は、そのようなノードを備えたシステムに限定されない。基本的に、ノード間、ノードと入力ポートとの間、ならびにノードと出力ポートとの間で表されるすべてのラインは、上記で定義したように、1つまたは複数の部分セクション(一部の区画)で構成することができる。
【0059】
同様の構成要素には同じ参照符号が付されている。
図1に示される循環システムでは、1つのノードK1が、フローパイプ4aを横切って、冷却装置12の出力ポート12bに接続されている。冷却装置12は、冷却側および冷却ポンプ13に接続部を有する。
【0060】
ノードK1には、集合ライン4への分岐点、給水ネットワークでの接合部1への接続ライン、および消費者ライン3が提供され、消費者ラインおよび接続ラインは循環システムの一部ではない。したがって、ノードK1では体積流量の配分は発生しない。
【0061】
集合供給ライン4は、ノードK2内に空になるライザーパイプ5に接続されている。ノードK2は、建物のフロアライン6およびライザーパイプ5に分岐し、ノードK3に空になり、そのノードK3で、建物のフロアライン6およびライザーパイプ5への分岐が発生し、それが建物のフロアライン6に接続され、ノードK4に空になる。ノードK2は、建物のフロアライン6によってノードK6に接続されている。ノードK3は、建物のフロアライン6によってノードK5に接続されている。
【0062】
そのように明示的に特徴付けられる2つの部分セクションTS1およびTS2は、ノードK4を横切って接続され、TS1は建物のフロアライン6の部分セクションを表し、TS2は循環導管を表す。
【0063】
さらに、ノードK4では、単一の供給ライン7を横切ってタッピングポイント9への分岐が発生する。問題を簡単にするために、ノードK2およびK3に接続された単一の供給ラインおよびタッピングポイントには参照符号が付されてない。本発明による循環システムは、水除去が発生しない状態で本発明による方法を実施するために動作するため、以下では、タッピングポイントと協調するノードは考慮されず、したがってノードK4以外は、図面には参照符号が付されてない。
【0064】
部分セクションTS2は、ノードK5に空になる垂直循環導管10aに接続されている。ノードK5は、ノードK6に空になる循環導管10aに接続されている。ノードK6は、垂直循環導管10aに接続され、垂直循環導管10aは水平循環導管10aに接続され、次いで水平循環導管10aは、垂直循環導管を横切って循環ポンプ10bに接続される。
【0065】
図2に示す循環システムは、図1のシステムと同様の構造を有するが、建物のフロアライン6にループラインが提供され、簡単にするために、図2に示す最上部のループラインにのみ参照符号8が使用される。ループライン8は、任意選択の分流器8aと協働する。ループラインはノードK21からK32までと協働する。ループラインが1つだけ存在するそのようなシステムもまた、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0066】
図3は、ノードK31からK34を有する別のシステムを示しているが、ここでは、ノードK34およびK35に空になる循環導管10aが、ノードK32およびK33から流出する建物のフロアライン6と平行に導かれている。
【0067】
さらに、入力ポート14aおよび出力ポート14bを備えた任意選択の分散型冷却装置14は、最上階の建物のフロアライン6に配置されているが、表示を簡単にするために、冷却側回路および対応するポンプの既存の接合部は図示されていない。
【0068】
同様に、追加の分散型冷却装置は、他の建物のフロアラインに配置され得る。
図3と同様の別の実施形態では、熱交換器12を省略することができ、この場合、1つの冷却装置14または複数の冷却装置14が必要である。
図3の実施形態と同様に、冷却装置は、図1図2および図4から図8までの実施形態のライザーパイプ5および建物のフロアラインに提供され得る。
図4は、図3のようにノードK41からK51を備えたシステムを図示するが、建物のフロアラインにはループライン8が設けられている。
図5は、ノードK51からK55を備えたシステムを図示するが、循環導管10は、ノードK52、K53に接続されたライザーパイプ5と平行に導かれている。
図6は、ノードK61からK69bを備えたシステムを図示しており、ここでは、ノードK63とK64との間、K66とK67との間、およびK68とK69との間にループラインが提供されている。
図7は、ノードK71からK75を備えたシステムを図示しており、ここでは、ライザーパイプ5はノードK72およびK73に接続されている。
図8は、図7と同様のノードK81からK89bを備えたシステムを図示しているが、ノードK89aとK89bとの間、K88とK89との間、およびK84とK85との間にループラインが配置されている。
【0069】
図1図3図5図7の下でクリーンな図面に示されている実施形態もまた、部分的な領域のみが循環を有することができることも可能である。したがって、部分セクションは、例えば、異なる要件(水消費量の取引調量)のために一緒に循環することが許可されていない住居の設備を表す場合もある。ここでは、自動洗浄を使用して、目的の温度を維持するための水交換が可能である。
【0070】
本発明による方法は、上述のように図1から図8のシステムで実施され、出力ポート(12b)に接続された第1の部分セクションのために、温度開始値TMA*<Tsollおよび体積流量開始値V*から開始して、初期領域と終了領域との間の水の温度変化が、温度変化のモデルに従って決定される。
【0071】
さらに、所与の部分セクションの初期領域の水温が、所与の部分セクションが接続される部分セクションの終了領域内の水温に等しいという境界条件下で、温度変化のモデルに従って、さらなる所与の各部分セクションの初期領域と終了領域との間の水の温度変化が決定される。
【0072】
好ましくは、軸方向温度変化の上記モデルを使用し、それによれば、長さLの部分セクションの終了領域における水温TMEは、式によって計算される。
循環システムの各部分セクションの終了領域で、水温がTME<Tsollであり、入力ポート12aで、水温がT<Tsollであり、Tsoll-T<θであり、ここで、θ>0が所与の値であるように、出力ポート12bでの水温の値Tおよび体積流量の値Vが選択される。
【0073】
循環ポンプ10bは、常に一定の体積流量で動作するわけではなく、すなわち、ポート入口温度12aが正確に設定値を有するか、またはそれより下にあるかどうかに関係ないことを理解されたい。
【0074】
様々な理由でポート入口温度12aが17℃にある必要がある場合、例えば、最大20℃が所与である場合、循環ポンプ10bの供給体積流量を減らすことができる。これは、例えば温度制御下で自動的に実行され得る。その結果、省エネが達成される。
【0075】
同様に、そのような場合、ポンプ13の供給体積流量を温度制御によって減らすことができる。
様々な理由でポート入口温度を例えば17℃にする必要がある場合(例えば、最大20℃が所与である場合)、冷却回路のフロー温度も同様に調整され得る。その結果、省エネが達成されるであろう。

【表1】
【符号の説明】
【0076】
1給水ネットワークへの接続
2接続ライン
3消費者ライン
4集合供給ライン
5ライザー(ダウンパイプ)
6建物のフロアライン
7単一の供給ライン
8ループライン
8a静的または動的な流れの分割
9タッピングポイント
10循環システム
10a循環導管
10b循環ポンプ
12冷却装置
12a入力ポート
12b出力ポート
14熱交換器
14a入力ポート
14b出力ポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8