(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】牽引装置およびそれを備える車両
(51)【国際特許分類】
B60D 1/24 20060101AFI20231129BHJP
B60D 1/00 20060101ALI20231129BHJP
B61B 13/00 20060101ALI20231129BHJP
B61G 1/32 20060101ALI20231129BHJP
B62B 5/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B60D1/24
B60D1/00 Z
B61B13/00 V
B61G1/32
B62B5/00 C
(21)【出願番号】P 2023146706
(22)【出願日】2023-09-11
【審査請求日】2023-09-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522390696
【氏名又は名称】株式会社ヤマナカ
(74)【代理人】
【識別番号】110003535
【氏名又は名称】スプリング弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山中 崇
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 毅
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特許第7204273(JP,B1)
【文献】特開2005-119521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60D 1/24
B60D 1/00
B61B 13/00
B61G 1/32
B62B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車両に能動操向性を有しない被牽引車両を連結する牽引装置において、
前記牽引車両の後部に設けられ、上方または下方に延びる係止ピンと、
前記牽引車両の後端面に形成され前記被牽引車両に当接可能な牽引車両側当接面と、
前記被牽引車両に設けられ、1または複数の前輪を取り付ける前輪取付板と、
前記被牽引車両から前方に延び、前記牽引車両の前記係止ピンが遊嵌可能な穴が先端部に形成されたアームと、
一端がこのアームに固定され他端が前記前輪取付板を貫通し前記前輪取付板に回動可能に固定された上下方向に延びる軸部材と、
一方は前記軸部材に、他方は前記前輪取付板に回動可能に立設した立設軸に、それぞれ固定された互いに噛み合う1組の歯車部材と、
前記立設軸の前面側に固定して設けられた被牽引車両側当接部と、を備え、
前記軸部材と前記前輪の回動を同期するリンク機構を前記軸部材に取り付けたことを特徴とする牽引装置。
【請求項2】
前記1組の歯車部材の噛み合い部分はともに平歯車であり、噛み合い時には互いに反対方向に回転することを特徴とする請求項1に記載の牽引装置。
【請求項3】
前記立設軸に固定した歯車は部分歯車であり、前記被牽引車両側当接部と一体化されていることを特徴とする請求項2に記載の牽引装置。
【請求項4】
前記牽引車両は、AGV車両であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の牽引装置。
【請求項5】
牽引車両に連結する能動操向性を有しない被牽引車両において、
前記被牽引車両に設けられ、1または複数の前輪を取り付ける前輪取付板と、
前記被牽引車両から前方に延び、牽引車両に立設された係止ピンが遊嵌可能な穴が先端部に形成されたアームと、
一端がこのアームに固定され他端が前記前輪取付板に回動可能に固定された、上下方向に延びる軸部材と、
前記軸部材に固定して設けられた被牽引車両側当接部と、
一方が前記軸部材の他端部に、他方が前記前輪取付板に回動可能に立設した立設軸に、それぞれ固定された互いに噛み合う1組の歯車部材と、
前記立設軸に固定され前記前輪取付板の前面側に位置する被牽引車両側当接部と、を備え、
前記軸部材と前記前輪の回動を同期するリンク機構を前記軸部材に取り付け、前記被牽引車両の後退時には、前記被牽引車両側当接部が牽引車両の後端部に形成される牽引車両側当接面に当接して直進後退することを可能とする、ことを特徴とする被牽引車両。
【請求項6】
前記1組の歯車部材は、ともに平歯車であり、噛み合い時には互いに反対方向に回転することを特徴とする請求項5に記載の被牽引車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車、ピックアップトラックおよびAGV車両等の牽引車両で、プレジャーボートや台車等の被牽引車両を牽引する際に用いる牽引装置、およびこの牽引装置を備える牽引車両と被牽引車両からなる車両に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動源を有する牽引車両と、動力源を有せず牽引車両に牽引装置を介して牽引される被牽引装置からなる車両は、例えばプレジャーボートの陸送や工場敷地内での物品の移送等に用いられる。
【0003】
これらの陸送や移送では、車両が予め示された軌道に沿って直線動及び曲線動することが必要である。そのため、牽引装置は操舵及び操向機能が不十分な被牽引車両を、できるだけ抵抗なく牽引車両と同様な軌跡で動かすことが試みられている。
【0004】
特に、被牽引車量を押す状態で移動する後退時または後進時に、軌道からそれずに被牽引車量を後退・後進させることは必須となっている。
【0005】
このような従来の課題を解決するために、本発明者らは先願発明である特許文献1、2において後退時に直線動可能な牽引車量及び被牽引車量を提案している。具体的には、特許文献1では、自走可能なAGV車両に牽引されるAGV車両システム用被牽引車両が、物品が搭載される被牽引車両本体と、被牽引車両本体の前端部に設けられ、AGV車両が有する第1の連結具に係合する第2の連結具を備える。
【0006】
そして、第2の連結具は、1対の車輪と、この1対の車輪を連結する車輪連結材と、車輪連結材に立設された立設軸と、一端側がこの立設軸の上端部に固定されるとともに立設軸から水平方向に延びるアームと、アームの他端側に位置し、AGV車両の第1の連結具に係合する連結調整部を有する。
【0007】
車輪連結材は、アームとAGV車両との距離が短くなる被牽引車両の後退時に、AGV車両の後端面に当接して被牽引車両本体とAGV車両が同一軌道を進むのを可能にする。
【0008】
特許文献2に記載の、牽引車両が被牽引車両を牽引するのに用いる牽引装置では、牽引車両には、その後端部に被牽引車両側に延びるアームが取り付けられている。アームの先端部には上方または下方に延びるピン部材が設けられており、被牽引車両は、被牽引車両から前方に延びる板状の板状部材を備える。牽引車両の後退時に、板状部材の前端面に牽引車両の後端面に取り付けた取付け部材の後端面が当接する。
【0009】
牽引車両の後退時に、牽引車両と被牽引車両が正対し、牽引車両の進行方向と被牽引車両の進行方向が一致する。また、前記板状部材に前記ピン部材が嵌合可能な連結穴を形成し、この連結穴が被牽引車両前後方向に延びた長穴であり、牽引車両の後退時には、ピン部材は穴の大径部にある。
【0010】
特許文献3~5には、被牽引車両において歯車を用いることが開示されている。つまり、特許文献3に記載の無人搬送車では、被牽引車が水平揺動自在に連結されており、この被牽引車の前部左右には、前輪が方向変換可能に設けられている。
【0011】
これら前輪と共に旋回する部材に水平アームが取付けられ、これら水平アームの自由端に、水平アームを含んで平行リンク機構を構成するように連結ロッドが枢着連結されている。この連結ロッドにラックが設けられ、このラックが無人搬送車の後部に後方突出状に設けられている扇形歯車に噛み合っている。
【0012】
特許文献4に記載の地上走行車輛においては、キングピンに軸が装架されており、この端部に車輛が配置されている。軸にはセクタギヤが形成されており、この軸側セクタギヤは両端近傍にキングピンを配装した主軸に固定した主軸側セクタギヤと噛み合っている。
【0013】
シャシあるいは引張抄杆が例えば左回転すると主軸がこれにともなって回動し、同時に主軸側セクタギヤも左回転する。主軸側セクタギヤと軸側セクタギヤの歯は噛み合っているから、軸側セクタギヤは主軸側セクタギヤの回転方向と逆方向の右方向に回動する。
【0014】
軸は右回転し、したがって車輪も右回転する。この結果、車輪はけん引車輛の進行方向に直接追従することなく、けん引車が左方に回動すると反対に右方に回動し、長いトレーラの後輪に装架された場合、けん引車の操向操作の度合により、歯車比に応じてトレーラの後部は右の方に回動する。
【0015】
これにより同時にトレーラ前端はけん引車輛の操向方向に追随してトレーラの左側が回動のさい隅にあたるのを阻止することができる。また、けん引用自動車とこの被けん引2輪車が曲り角を曲がる際には後者は前者の軌跡とまったく同じところを通る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】特許第7204273号公報
【文献】特許第7253858号公報
【文献】実開平3-5505号(実願平1-65456号のマイクロフィルム)公報
【文献】特開昭49-83128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
特許文献1、2に記載の被牽引車両と牽引車両からなる車両では、1対の車輪を連結する車輪連結材に立設軸を立設し、水平方向に延びるアームの一端側を立設軸に固定し、アームの他端側にAGV車両の第1の連結具に係合する連結調整部を設けている。
【0018】
そして、アームと牽引車両との距離が短くなる牽引車両の後退時、延いては被牽引車両の後退時に、車輪連結材が牽引車両の後端面に当接して被牽引車両本体とAGV車両の車輪の向きを同一方向にして、牽引車両と被牽引車両が同一直線軌道を移動するのを可能にする。
【0019】
この構成は、車両を同一直線軌道で後退させるのには非常に有効な方法であり、工場内で無人搬送車を使用する場合には、所定の受け渡し位置への位置決めに要する時間が低減され、作業効率が向上している。
【0020】
しかしながら、これら公報に記載のものは、後退時に直線動することに重点を置いた結果、直線動を生じさせるために曲線軌道から直線軌道への移行(方向切換距離(切換スペース))に比較的長い距離が必要となっている。
【0021】
つまり、車輪連結材と牽引車両の後端面の当接が開始してから完全にそれらが密着して、牽引車両と被牽引車両がそれぞれ備える車輪の向きが一致するまでに、所要の距離が必要になるという新たな課題が見いだされた。工場等でAGV車両を使用する場合、これは他の物品の配置を制限するとともに、後退用の軌道長の増大をもたらす。
【0022】
特許文献3に記載の無人搬送車では、被牽引車の前輪両輪間を連結ロッドで連結し、連結ロッドの中央部にラックを、ラックに噛み合うセクタギヤを無人搬送車から延びるアームに接続して設けている。
【0023】
無人搬送車が方向変更すると、セクタギヤが回動し、ラック・セクタギヤ及び連結ロッドにより構成されるリンク機構が作動して、被牽引車の前輪の向きを変える。その際、リンク機構のラックとセクタギヤは、同一方向に移動(ラック側)または回動(セクタギヤ側)している。これにより、無人搬送車に追随して被牽引車が進行方向の向きを変えることを可能にしている。
【0024】
この被牽引車においては、後進時に被牽引車量が無人搬送車とともに直線軌道を移動することまでは考慮されていないので、方向変換直前の被牽引車の状態如何によっては、必ずしも無人搬送車と同じ軌道をたどることができない。
【0025】
その結果、無人搬送車に対して位置ずれしたまま移動する虞がある。また、後退時に方向切換距離(切換スペース)を極力低減して直線軌道に速やかに移動させる課題は見出されていない。
【0026】
特許文献4に記載の地上走行車輛では、牽引杆に直交するように連結された主軸に一対の主軸側セクタギヤが取り付けられており、各車輪に設けた軸に接続する軸側セクタギヤが主軸側セクタギヤと噛み合ってリンク機構を構成している。牽引杆が回動または向きを変えるとリンク機構を形成する軸側及び主軸側セクタギヤが回動し、各車輪を牽引杆の方向変換に応じて歯車比の分だけ方向変換させる。
【0027】
この公報に記載の地上走行車輛では、牽引用自動車が前進する場合には、牽引用自動車と被牽引2輪車の走行路が曲り角であっても、後者は前者の軌跡と全く同じところを通ることが可能である。
【0028】
しかしながら、被牽引車輛が動力も能動的な操舵性(能動操向性)も有していない場合であって後進時には、従来周知のごとくジャックナイフ現象のような牽引車両の軌跡を被牽引車輛が通れないという現象が生じる場合がある。この公報に記載のものは、牽引車輛と被牽引車輛が一緒に後進することを考慮していない。
【0029】
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、被牽引車両を牽引車両に接続する牽引装置及びそれを備える被牽引車両が、牽引車両の後退または後進時に、被牽引車両が牽引車両と実質的に同じ軌跡を辿ることを可能にすること、および後進または後退時の直線動への方向切換距離(切換スペース)を極力低減することにある。本発明の他の目的は、簡単な構成で、後進または後退時の直線移動に要する方向切換距離(切換スペース)を低減しかつ被牽引車両の正確な位置決めを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上記目的を達成する本発明の特徴は、牽引車両に能動操向性を有しない被牽引車両を連結する牽引装置において、前記牽引車両の後部に設けられ、上方または下方に延びる係止ピンと、前記牽引車両の後端面に形成され前記被牽引車両に当接可能な牽引車両側当接面と、前記被牽引車両に設けられ、1または複数の前輪を取り付ける前輪取付板と、前記被牽引車両から前方に延び、前記牽引車両の前記係止ピンが遊嵌可能な穴が先端部に形成されたアームと、一端がこのアームに固定され他端が前記前輪取付板を貫通し前記前輪取付板に回動可能に固定された上下方向に延びる軸部材と、一方は前記軸部材に、他方は前記前輪取付板に回動可能に立設した立設軸に、それぞれ固定された互いに噛み合う1組の歯車部材と、前記立設軸の前面側に固定して設けられた被牽引車両側当接部とを備え、前記軸部材と前記前輪の回動を同期するリンク機構を前記軸部材に取り付けたことにある。
【0031】
そしてこの特徴において、前記1組の歯車部材の噛み合い部分はともに平歯車であり、噛み合い時には互いに反対方向に回転することが好ましい。また、前記立設軸に固定した歯車は部分歯車であり、前記被牽引車両側当接部と一体化されていてもよい。さらに、前記牽引車両は、AGV車両であってもよく、トレーラ車であってもよい。
【0032】
上記目的を達成する本発明の他の特徴は、牽引車両に連結する能動操向性を有しない被牽引車両において、前記被牽引車両に設けられ、1または複数の前輪を取り付ける前輪取付板と、前記被牽引車両から前方に延び、牽引車両に立設された係止ピンが遊嵌可能な穴が先端部に形成されたアームと、一端がこのアームに固定され他端が前記前輪取付板に回動可能に固定された、上下方向に延びる軸部材と、前記軸部材に固定して設けられた被牽引車両側当接部と、一方が前記軸部材の他端部に、他方が前記前輪取付板に回動可能に立設した立設軸に、それぞれ固定された互いに噛み合う1組の歯車部材と、前記立設軸に固定され前輪取付板の前面側に位置する被牽引車両側当接部とを備え、前記軸部材と前記前輪の回動を同期するリンク機構を前記軸部材に取り付け、前記被牽引車両の後退時には、前記被牽引車両側当接部が牽引車両の後端部に形成される牽引車両側当接面に当接して直進後退することを可能とすることにある。
【0033】
そしてこの特徴において、前記1組の歯車部材は、ともに平歯車であり、噛み合い時には互いに反対方向に回転することが好ましく、立設軸に固定した歯車が部分歯車であって被牽引車両側当接部を一体的に有するものであってもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、牽引車両と被牽引車両間に介在させる牽引装置が、牽引車両に設けたピンが遊嵌可能な穴を備えたアームを有し、被牽引車両の前輪を取り付ける前輪取付板に設けた歯車と、被牽引車両側当接部を有しアームに立設した軸部材に取り付けた歯車とを互いに反対方向に回動するようにかみ合わせている。これにより、後退または後進移行時に、牽引車両に当接して被牽引車両を押すように移動させることができ被牽引車両を高精度に位置決めできる。それとともに、アームの回動量よりも多くの回動量を被牽引車両の前輪に付与することが可能になり、被牽引車両を短い方向切換スペースで牽引車両の軌跡に移行させることが可能になり、後進または後退への切換えに要する空間を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明に係る被牽引車両の一実施例の斜視図である。
【
図2】
図1に示した被牽引車両の前輪部の斜視図である。
【
図3】
図1に示した被牽引車両の後輪部の斜視図であり、図(a)はフォーク部と後輪部を組み合わせた状態を示す図、同図(b)は後輪部を示す図、同図(c)はフォーク部を示す図である。
【
図4】
図1に示した被牽引車両が備える牽引装置を説明する図であり、同図(a)はその上面図、同図(b)はリンク機構の上面図、同図(c)はリンク機構の正面図である。
【
図5】
図4に示した牽引装置車両が備える牽引装置を説明する図であり、同図(a)はその背面図、同図(b)は正面図である。
【
図6】
図1に示した被牽引車両が備える牽引装置を説明する図であり、同図(a)はその側面図、同図(b)は歯車組の上面図である。
【
図7A】本発明に係る車両の進行状態を説明する図であり、同図(a)は模式進路図、同図(b)は前進時の牽引状態を示す模式図、同図(c)はその時の歯車組の状態を説明する図、同図(d)は曲線前進時の牽引状態を示す模式図、同図(e)はその時の歯車組の状態を説明する図である。
【
図7B】本発明に係る車両の進行状態を説明する図であり、同図(f)は前進完了時の牽引状態を示す模式図、同図(g)はその時の歯車組の状態を説明する図、同図(h)は後退開始時の牽引状態を示す模式図、同図(i)はその時の歯車組の状態を説明する図、同図(j)は曲線後退時の牽引状態を示す模式図、同図(k)はその時の歯車組の状態を説明する図、同図(l)は直線後退時の牽引状態を示す模式図、同図(m)はその時の歯車組の状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下本発明に係る車両の一実施例を、図面を用いて説明する。なお、以下の記載ではAGV車両(無人搬送車)200の後方に配置した台車100を牽引装置50を用いて牽引する場合を例にとり説明するが、牽引車両200はAGV車両に限るものではなく、ピックアップトラックや一般の乗用車であってもよい。
【0037】
また、被牽引車両100も、プレジャーボートを搭載した台車やAGVで牽引される台車等であってもよい。牽引装置50を備えた牽引車両200と被牽引車両100の組合せ、または牽引装置50を備えた被牽引車両100単体が、本発明では車両を構成する。
【0038】
図1に、牽引装置50を備える台車100の斜視図を模式的に示す。AGV車両車両200(
図7A、B参照)の後方に配置される被牽引車両である台車100にフォークリフトが設けられている。台車100は後輪部120、後輪部120の後部上側に配置されるフォーク部140、フォーク部140の前方であって後輪部120の下方に位置する前輪部160を備える。
【0039】
前輪部160が有する回動軸178の上端には、水平方向に延びるアーム162が取り付けられており、アーム162の反回動軸側先端には、卓球ラケット形状の穴166が形成された連結調整部164が形成されている。アーム162および連結調整部164は、牽引装置50を構成する。AGV車両200に取り付けた係止ピン326(
図7A、B参照)を穴166に手動で係止させることにより、AGV車両200と台車100は連結される。
【0040】
図2に、前輪部160を斜視図で示す。前輪部160では、平行に配置した1対の前輪170のそれぞれにおいて、前輪170の両側に配置された車輪保持具171(
図5b参照)に、前輪170の車軸173が取り付けられている。各車輪保持具171は、1対の前輪170の上方を覆う天板部と前部下方を覆う前面部172b、後部下方を覆う背面部172a(
図4(a)参照)が連接した、車輪連結材172に固定されている。
【0041】
これにより、1対の前輪170は常時同一方向に回転するように、向きが固定される。なお、車輪連結材172の幅方向(1対の前輪470が並べられる方向)中間部には、鉛直方向に延びる回動軸178が設けられている。
【0042】
回動軸178の上端部には、水平方向に延びるアーム162が固定手段(留め具)180により固定されている。アーム162の先端には、穴166が形成された連結調整部164が設けられている。
【0043】
穴166に、AGV車両200の係止ピン326を手動で貫挿させた後、AGV車両200を前進方向に移動させると、係止ピン326は連結調整部164の枠形状に案内されて、穴166の幅狭部へと収まる。
【0044】
ここで本発明の特徴的構成として、回動軸178の鉛直方向中間部に歯車402が取り付けられており、この歯車402と噛み合う歯車404を回動軸178に隣り合って新規に設けた立設軸412に取り付けている。
【0045】
これらの歯車402、404の組は、インボリュート平歯車であり、その歯数比は1かそれに近い値である。立設軸412には当接板175が取り付けられており、当接板175の当接面部175aは、AGV車両の後退または後進時にAGV車両の後端面に当接し、詳細を後述するが台車100をAGV車両200と同一軌道に乗せるのを促進する。
【0046】
なお、図示したように、歯車404を部分歯車として当接板175と一体化してもよい。歯車404を鋼板からレーザ加工で切り出して形成する場合などは、一体化が加工費の低減に有効である。
【0047】
図3に後輪部120とフォーク部140を斜視図で示す。同図(a)は後輪部とフォーク部を組み合わせた状態を示す斜視図であり、同図(b)は後輪部120を、同図(c)はフォーク部140を示す斜視図である。
【0048】
後輪部120は、前輪部160とともに台車100の足回りを構成する。それとともに、台車100の転倒防止等のために、1対の平行に配置され前後方向に延びるベース部材122と、各ベース部材122の前端部に立設された案内用支柱110と、1対のベース部材122の前端部間に位置する幅方向ベース部材114を備える。
【0049】
各前後方向に延びるベース部材122の後端部には、車輪保持具126を介して後輪124がそれぞれ取り付けられている。幅方向ベース部材114には、電動シリンダ300が固定される。
【0050】
鉛直方向に延びる1対の案内用支柱110の上端部付近には、案内用支柱110、110間を平行に保つために、位置保持部材112が取り付けられている。各案内用支柱110の上下方向中間部には、前方に延びる棚支持部材116が取り付けられている。
【0051】
棚支持部材116の前端部および前後方向中間部には、棚枠部材116a、116bが配置されている。フォーク部140は、一般に流通しているフォークリフトやリフターのフォークと同様の形状および寸法である。フォーク部140の1対のフォーク142は、昇降状態の下限位置では後輪部120のベース部材122を覆って一体化したベース部材になる。
【0052】
1対のフォーク142の各々の前端部には、支柱144が立設されており、支柱144の上端部及び下端部であって前面には、支柱144、144間を平行に保つ、幅方向に延びる接続部材146(146a、146b)が取り付けられている。
【0053】
上側の接続部材146aの前側には、板状のシリンダ受け部材150が連結板148を介して取り付けられ、電動シリンダ300を固定する。連結板148は、上側の接続部材146aとシリンダ受け部材150のそれぞれのほぼ上端部を連接している。シリンダ受け部材150の上端部近傍に、案内円板154が回動可能に取り付けられた取り付け部材152が設けられている。
【0054】
次に、AGV車両200を前進または停車状態から後退状態に移動する際に、速やかに台車100をAGV車両200に当接させて、両者を一体化して後進させる本発明に係る牽引装置50の詳細を、
図4ないし
図6を用いて説明する。
【0055】
図4は、前輪部160の近傍の図であり、リンク機構310の詳細を示す図である。
図4(a)は、前輪部160の主要部の上面図、同図(b)はリンク機構310のリンク板318とそれに接続する車輪保持具固定板182、回動軸レバー184の上面図である。なお、この
図4(b)は
図5(b)のD-D矢視断面図でもある。
図4(c)は、
図4(b)のA-A矢視断面図であり、リンク機構310の節を示す図である。
【0056】
図5は、前輪部160の主要部の図であり、同図(a)は下面図であり、
図4(a)に示した上面図に対応する。
図5(b)は、前輪部160の縦断面図である。
図6は前輪部160の主要部の図であり、同図(a)は側面図であり
図5(b)中のF矢視図である。同図(b)は
図6(a)中のG-G矢視断面図である。
【0057】
リンク機構310は、前進時の急カーブでの台車100の傾きやカーブ高速走行時に台車が振れ回ることによる傾き等を防止するためのものである。すなわち、アーム162の動き(回動)を速やかに台車100の前輪170に伝えてAGV車両200と前輪170の動きを同期化させ、台車100の荷崩れを防止する。
【0058】
図5(b)、
図6(a)に示すように、前輪部160の1対の前輪170は、車輪保持具171等を用いて車輪連結材172に、鉛直軸周りに回動可能に固定されて連結されている。車輪連結材172の前面には上方に折れ曲がった形状の前面部172bが形成されている。
【0059】
AGV車両200に連結する連結調整部164が端部に設けられたアーム162の他端(留め具180)と車輪連結材172の高さ方向中間部には、前面部172bとほぼ面位置もしくはより前面側に台車100の幅方向に延びる当接板175が設けられている。当接板175は、AGV車両200が後退または後進する際に、AGV車両200の後端面が当接する当接面を形成する。
【0060】
後輪部120に配置した棚支持部材116、棚枠部材116a、116bからなる棚に、車輪連結材172を配設することにより、棚が形成される。これにより、前輪部160は後輪部120に固定される。前輪部160が後輪部120に対して固定されたので、台車100の操舵性を確保するため前輪170を鉛直軸に対して回動可能にする。
【0061】
なお、フォーク部140を下限位置まで降下させた状態である
図3(c)では、フォーク142が後輪部120のベース部材122を覆うように位置する。その際、後輪部120の後輪124がフォーク142と干渉するのを避けるため、フォーク142には後輪124に対応する位置に後輪用溝穴141が形成されている。
【0062】
図5(b)に示すように、1対の前輪170の両側に車輪保持具171が配置され、車輪保持具171により車軸173周りに前後方向に回転可能になっている。車輪保持具171は、車輪保持具固定板182に図示しない締結具を用いて締結されている。
【0063】
車輪保持具171の後方の突起部分には、穴322が形成されている(
図4(b)参照)。車輪保持具固定板182の中央部にも穴が形成されており、摺動部材344を介して留め具188が挿入される。車輪170は、留め具188周りに回動可能に車輪保持具固定板182に取り付けられる。
【0064】
一方、アーム162に連接する立設軸の下端部には長方形状の板であって、一端側に穴(節)324が形成された回動軸レバー184が固定して取り付けられている。回動軸レバー184は、アーム162と同位相で回動する。
【0065】
回動軸レバー184および車輪保持具固定板182の穴322、324に、Eの字形状のリンク板318の直線部316から直角方向に分岐した各分岐部312、314の端部に形成した穴を対応させ、留めピン(回動軸)332、334を遊嵌する。
【0066】
これにより、各穴322、324を節としたリンク機構310が形成される。なお、摺動部材344の上部は、車輪連結材172に嵌合されて、車輪170を車輪連結材172に対して円滑に回動させる。車輪連結材172の中央部には回動軸178が貫通する穴が形成されており、この穴には摺動部材が嵌合している。摺動部材は、プラスチックでもよいし金属でもよい。金属の場合は銅合金等が望ましいが、グリースを封入した鋼材等も使用できる。
【0067】
図4(b)に示すリンク機構310は、回動軸178が例えば右回転するとE字形状のリンク板318が右へ移動する。リンク板318で連結され、各車輪170が固定して取り付けられた車輪保持具固定板182は、穴322をリンクの節として回動軸178に同期して右側へ回動する。
【0068】
この時、回動軸178が回動しても、リンク板318は元の姿勢から平行移動しているだけであり、その姿勢を変えない。したがって、台車100の後退時に当接板175がAGV車両200の後端面に当接後、台車100は姿勢を補正されて最終的にAGV車両200に正対して接触した状態で位置決めされる。
【0069】
台車100とAGV車両200の接触開始から台車100がAGV車両と同じ向きに正対するまでの時間を移行期間、それまでのAGV車両200または台車100の移動距離を助走区間と呼ぶことにすると、これらの期間または区間は短いほうが好ましいことは言うまでもない。
【0070】
特に、台車100に物品を荷積み荷卸しする場合には、助走区間が長いと、AGV車両200の経路のレイアウトにも制限を受け、またデッドスペースの増大を招く。そこで、本発明では、AGV車両200の後退移行時に、当接板175をアーム162の回動とは異なるように回動させ、これにより当接板175とAGV車両200の後端面での接触後の移行期間の低減を図っている。
【0071】
アーム132と当接板175の回動量を同じにしていた特許文献1、2とは異なり、アーム162の鉛直方向中間部に平歯車402を取り付け、平歯車402に噛み合う平歯車404を有する立設軸412を車輪連結材172に摺動材418を介して留め具406、420を用いて回動可能に固定している(
図4(a)、
図6(a)参照)。
図6(b)に示すように、平歯車404は部分歯車であり、噛合い側の反対側(反噛合い側)は当接板175に一体化されている。
【0072】
アーム162に固定された回動軸178に取り付けられた歯車402はアーム162と同期して回動し、
図5(a)に示すリンク機構310を介して前輪部160の車輪170の向きをアーム162の向きに同期して変える。
【0073】
一方、立設軸412に固定された歯車404は、この
図6(b)から分かるように回動軸178に固定されたアーム162の回動方向とは逆方向に同期して回動し、当接板175をアーム162の向き、すなわち前輪部160の車輪170の向きとは異ならせる。
【0074】
このように構成した本発明に係る牽引装置50を有する牽引車両200及び被牽引車両100を、荷受け位置へ誘導する場合の一例を、
図7A、
図7Bに示した模式図を用いて説明する。
図7A(a)図は、牽引車両であるAGV車両200が荷受け位置450に被牽引車両である台車100を、後進状態で導く様子を説明する、工場内のレイアウト図である。
【0075】
図7A(b)、(d)、
図7B(f)、(h)、(j)、(l)は、
図7A(a)内の各点における牽引車両200と被牽引車両100の姿勢を示す上面図である。
図7A(c)、(e)、
図7B(g)、(i)、(k)、(m)はそれら各点における歯車402、404の組の回動状態を模式的に示す図であり、歯車404は噛合い側だけが重要であるので、理解を容易にするため、部分歯車ではなく全歯車で示している。
【0076】
初めにAGV車両200は、工場内に設定された通路を図示しない誘導手段(例えば導線)を参照して、台車100を牽引しながら前進状態で進む。AGV車両200が荷受け位置に達すると、AGV車両200は台車100を荷受け位置に位置決めするために、逆進状態、すなわち後退または後進する。一般的に荷受けのための通路は、それまでの走行通路から90度向きを変えた分岐通路として形成されるから、後進状態への移行では、AGV車両200は直線前進走行から90度向きを変えた向きへの後退走行になる。
【0077】
ただし、台車100が荷受け位置450まで直進前進したすぐ後にAGV車両200が90度舵を切ると、台車100の車輪124は台車100に向きを固定されているので、車輪124の回転方向に直角な方向に多大な摩擦力が発生する。
【0078】
これにより、台車100を傾けたり、意図しない向きに台車100の姿勢を向ける恐れがあるので、台車100の転向角(向きの変化角)が適正になるように、進路切換えスペース454を荷受け位置450近傍に設けている。
【0079】
図7A(b)以下を用いて、AGV車両200走行時における牽引装置50と歯車402、404の組の状態を具体的に説明する。
図7A(a)で実線で示したAGV車両200が直線路を前進走行中(代表点としてP
os1)は、
図7A(b)、(c)に示すように、台車100の当接板175はAGV車両200に当接しておらず、台車100はAGV車両200とは離れて一緒に進行する。
【0080】
なお、
図7A(b)以下における矢印は、AGV車両200の走行方向を示す。このとき、歯車402、404の組は初期噛合い位置α
0、β
0でそれぞれ噛合っている。噛合い位置を、以後mとする。したがって、
図7A(a)の状態では、α
0=β
0=mである。
【0081】
AGV車両200が後退姿勢に移行するために、荷受け位置450近傍に設けた進路切換えスペース454に進行方向の向きを変えながら前進すると、台車100とAGV車両200は正対状態から左右の一方側が近づき左右の多方側が離れる上面視V字形状になる。代表点をP
os2とし、その時のAGV車両200と台車100の位置関係を
図7A(d)に、歯車402、404の組の関係を、
図7A(e)に示す。
【0082】
この状態でもAGV車両200と台車100は当接板175で当接していないが、当接板175の前面とAGV車両200の後端面はもはや平行ではない。歯車402、404の組では、噛合い位置mは初期噛合い位置α0、β0から移動する。すなわち、歯車402は左回りに、歯車404は右回りに歯数比に応じて回動している。
【0083】
十分な助走距離が得られる位置までAGV車両200が向きを変えながら前進を続けて進路を後進状態に切換える位置に達したら、AGV車両200は前進を停止し後進に切換る。
図7B(f)、(g)にAGV車両200の前進停止時の状態を、
図7B(h)、(i)に後退移行時のAGV車両200と歯車402、404の組の状態を示す。
【0084】
これらは、
図7A(a)の進路切換え位置P
RTで生じる。AGV車両200が前進を停止した状態では、AGV車両200は台車100を牽引した状態にあり、AGV車両200と台車100は離れており、AGV車両200の後端面と台車100の当接板175は当接していない。前進状態から後進状態に切換ると、離れていたAGV車両200と台車100は近づいてきてやがて当接板175がAGV車両200の後端面に接触する。
【0085】
AGV車両200が、
図7A(a)で鎖線で示した後退路に沿って後進する(代表点P
os3)と、
図7B(j)、(k)で示すように、AGV車両200の後端面は台車100の当接板175と当接しながら、AGV車両200が台車100を押して後進する。
【0086】
さらにAGV車両200が後進を続けると、
図7B(l)、(k)に示すように、台車100の当接板175は、P
os4においてAGV車両200の後端面に正対し、AGV車両200と台車100は同一の姿勢、すなわち車輪の向きが同じになり、AGV車両は台車100を押しながら直線後進する。
【0087】
従来の台車100とAGV車両200の組み合わせでは、当接板が常にアームの向きに直角になっていたので、当接板175がAGV車両200に当接するタイミングが遅れ、
図7A(a)中で一点鎖線で示したような後退路を走行し、P
os4aでようやくAGV車両200と台車100が正対することになった。つまり、P
os4aとP
os4の差だけ余分な助走距離を必要としていた。
【0088】
本発明によれば、助走距離を短くでき、レイアウトに制限が多い工場内でのAGV車両による自動搬送において、搬送距離、特に本線から荷受け位置への搬送距離を低減できる。したがって、デッドスペースの低減と荷受け位置のレイアウトの変更が容易になる。
【0089】
上記実施例では、歯車組の歯数比を1程度にしている。歯数比が極端になると、アームの向きと当接板の向きの相違が過大になり、被牽引車に働く進行方向に直角な方向の力成分が増大して、被牽引車を傾けるもしくは進行をロックする虞があるためである。したがって、歯数比は1程度にするのが望ましい。
【0090】
また、本発明の上記実施例によれば、後退または後進時に台車をAGV車両に正対させたまま移動できる。これにより、台車がフォークリフト機能を有する場合にフォークをパレットの適正位置に挿入および運搬できるので、無人作業であっても積み荷の荷崩れ等の不具合の発生を防止できる。また、構成が簡単なので、AGV車両に複雑な制御を追加する必要がなく、さらに台車の製作費用等も低減できる。
【0091】
なお、上記実施例ではアームの支柱を円柱または円筒形状としているが、支柱の形状は、板材をX字状に組み合わせたものであってもよい。その場合、さらなる軽量化が可能となる。
【符号の説明】
【0092】
50…牽引装置、100…被牽引車両(台車)、110…案内用支柱、112…位置保持部材、114…幅方向ベース部材、116…棚支持部材、116a,116b…棚枠部材、120…後輪部(被牽引車両本体)、122…ベース部材、124…車輪(後輪)、126…車輪保持具、140…フォーク部、141…後輪用溝穴、142…フォーク、144…支柱、146、146a、146b…接続部材、148…連結板、150…シリンダ受け部材、152…取り付け部材、154…案内円板、160…前輪部、162…アーム、164…連結調整部、166…穴、170…車輪(前輪)、171…車輪保持具、172…車輪連結材、172a…背面部、172b…前面部、173…車軸、175…当接板、175a…当接面部、178…回動軸、180…留め具(固定手段)、182…車輪保持具固定板、184…回動軸レバー、186…滑り軸受、188…留め具、200…牽引車両(AGV車両)、300…電動シリンダ、310…リンク機構、312、314…分岐部、316…直線部、318…リンク板、322、324…穴(節)、326…係止ピン、332、334…留めピン(回動軸)、344…摺動部材、356…留め具、402…(平)歯車、404…(部分)歯車、406…留め具、412…立設軸、418…摺動材、420…留め具、430…軸受箱、450…荷受け位置、452…通路、454…進路切換えスペース、Pos1~4a…AGV(台車)位置、PRT…進路切換え位置、m…噛合い位置、α0、β0…初期噛合い位置
【要約】
【課題】
牽引装置を備える被牽引車両が、牽引車両の後退または後進時に被牽引車両と実質的に同じ軌跡を辿るようにする、および後進または後退時の直線動への方向切換距離(切換スペース)を低減する。
【解決手段】
牽引車両に連結する能動操向性を有しない被牽引車両は、被牽引車両に設けられ前輪を取り付ける前輪取付板と、被牽引車両から前方に延び、牽引車両の係止ピンが遊嵌可能な穴が先端部に形成されたアームと、一端がこのアームに固定され他端が前輪取付板に回動可能に固定された、上下方向に延びる軸部材と、一方は軸部材の他端部に、他方は前輪取付板に固定された1組の歯車部材と、軸部材の前面側に位置する被牽引車両側当接部とを備える。被牽引車両の後退時には、被牽引車両側当接部が牽引車両の後端部の牽引車両側当接面に当接して同じ軌道を後退する。
【選択図】
図6