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特許7393078バスマットを載置可能な健康機器およびバスマットと健康機器とを備える健康機器セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】バスマットを載置可能な健康機器およびバスマットと健康機器とを備える健康機器セット
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0537 20210101AFI20231129BHJP
   A61B 5/107 20060101ALI20231129BHJP
   G01G 19/44 20060101ALI20231129BHJP
   G01G 19/50 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A61B5/0537 110
A61B5/107 130
G01G19/44 P
G01G19/50 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023556890
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 JP2022048695
【審査請求日】2023-09-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522315552
【氏名又は名称】issin株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100110135
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 裕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100208269
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 雅士
(72)【発明者】
【氏名】程 涛
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-061820(JP,A)
【文献】特開2015-213607(JP,A)
【文献】特開2011-024732(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110720921(CN,A)
【文献】特表2005-537581(JP,A)
【文献】特開2012-021845(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104783793(CN,A)
【文献】特開2014-081346(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0061224(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/053- 5/0537
A61B 5/107
G01G 19/44 -19/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に配置された感圧センサと、
前記上面に重ねられたバスマットの4つの導電領域にそれぞれ接続する4つの電極と、
ユーザに通電することにより前記ユーザの体組成を推定する体組成推定部と、
周縁部に、歪ゲージと、2つ以上の跳ね上がり防止ガードと、
を備え、
吸水性能を有するバスマットであって、非導電領域によって互いに絶縁されている前記4つの導電領域を有し、前記4つの導電領域は、前記バスマットの表面において、それぞれ、ユーザの右足もしくは左足の足裏のつま先側もしくはかかと側に接触可能であり、前記4つの導電領域は、前記バスマットの裏面において露出するバスマットを上面に重ねた場合に、
前記感圧センサに対して荷重が課されることを契機として、前記4つの電極を介して前記ユーザに通電し、測定量の計測を開始し、
前記計測が開始された後に前記荷重が解放されてから所定時間が経過すると、測定量の計測を停止し、前記4つの導電領域を介した前記ユーザへの通電を停止し、
前記計測が開始された後に計測された第1計測値と、前記計測が停止される直前に計測された第2計測値と、に基づいて、前記ユーザの体重もしくは体組成を算出し、
前記2つ以上の跳ね上がり防止ガードは、前記ユーザが健康機器に乗った際の前記健康機器の跳ね上がりを防止し、
前記4つの電極の荷重分布の偏りを、前記4つの電極の下部に配置された前記歪ゲージにより推定し、
前記偏りが所定の閾値を超えた場合、前記測定量を破棄する、
ことを特徴とする健康機器。
【請求項2】
記感圧センサの出力から前記上面に乗った物体のサイズまたは形状を計測する計測部をさらに備え
前記バスマットを介して乗った前記ユーザの足のサイズまたは形状を計測する、
ことを特徴とする請求項1に記載の健康機器。
【請求項3】
前記第1計測値は、前記計測が開始された後所定期間内に計測されている測定量の収束値である、
ことを特徴とする請求項に記載の健康機器。
【請求項4】
前記上面に重ねた前記バスマットの前記4つの導電領域に少なくとも一部が重なる位置に前記4つの電極がそれぞれ配置され、
前記2つ以上の跳ね上がり防止ガードは、前記4つの電極において前記4つの導電領域と重なる領域である4つの接続領域を結んだ直線よりも前記健康機器の周縁側に配置されている、
ことを特徴とする請求項に記載の健康機器。
【請求項5】
周縁部に、突起をさらに備え、
前記健康機器は、床側脚部を介して床面に設置され、
前記2つ以上の跳ね上がり防止ガードが前記床側脚部に接触する場合、または、前記突起が前記床面に接触する場合、前記測定量を破棄する、
ことを特徴とする請求項に記載の健康機器。
【請求項6】
前記バスマットと、
請求項のいずれか1項に記載の健康機器と、を備える、
ことを特徴とする健康機器セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体組成を計測する健康機器に使用可能なバスマット、バスマットを載置可能な健康機器およびバスマットと体組成を計測する健康機器とを備える健康機器セットに関する。
【背景技術】
【0002】
健康状態を把握するために使用される健康機器の1つである体組成計は、例えば、特許文献1に記載されているように、体重や体脂肪等の計測を行う持ち運び可能な筐体型の装置であることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-166886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような体組成計は、使用時に収納場所から出してくる必要がある。従って、使用の度に体組成計を取り出すことが面倒になり、やがて体組成計を使用する頻度が低下したり、使用しなくなることがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、健康機器を使用する際に収納場所からの取り出しおよび収納が不要になるバスマット、および使用する際に収納場所からの取り出しおよび収納が不要になる健康機器セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るバスマットは、
吸水性能を有するバスマットであって、
非導電領域によって互いに絶縁されている4つの導電領域を有し、
前記4つの導電領域は、前記バスマットの表面において、それぞれ、ユーザの右足もしくは左足の足裏のつま先側もしくはかかと側に接触可能であり、
前記4つの導電領域は、前記バスマットの裏面において露出する。
【0007】
また、前記裏面を、4つの電極を有する健康機器の上面に重ねると、前記4つの導電領域が、それぞれ、前記4つの電極に接続され、
前記4つの電極および前記4つの導電領域を介して、前記ユーザの体組成が前記健康機器にて計測可能となるとよい。
【0008】
ユーザの進行方向に前記ユーザの足裏を配置すべき位置を表す誘導マークが表示されるとよい。
【0009】
本発明の第2の観点に係る健康機器は、
上面に配置された感圧センサと、
前記感圧センサの出力から前記上面に乗った物体のサイズまたは形状を計測する計測部と、
を備え、
第1の観点に係るバスマットを上面に重ねた場合に、
前記バスマットを介して乗った前記ユーザの足のサイズまたは形状を計測する。
【0010】
前記上面に重ねられた前記バスマットの前記4つの導電領域にそれぞれ接続する4つの電極と、
前記ユーザに通電することにより前記ユーザの体組成を推定する体組成推定部と、
をさらに備え、
前記感圧センサに対して荷重が課されることを契機として、前記4つの電極を介して前記ユーザに通電し、測定量の計測を開始し、
前記計測が開始された後に前記荷重が解放されてから所定時間が経過すると、測定量の計測を停止し、前記4つの導電領域を介した前記ユーザへの通電を停止し、
前記計測が開始された後に計測された第1計測値と、前記計測が停止される直前に計測された第2計測値と、に基づいて、前記ユーザの体重もしくは体組成を算出するとよい。
【0011】
前記第1計測値は、前記計測が開始された後所定期間内に計測されている測定量の収束値であるとよい。
【0012】
周縁部に、歪ゲージと、2つ以上の跳ね上がり防止ガードと、を備え、
前記2つ以上の跳ね上がり防止ガードは、前記ユーザが前記健康機器に乗った際の前記健康機器の跳ね上がりを防止し、
前記4つの電極の荷重分布の偏りを、前記4つの電極の下部に配置された前記歪ゲージにより推定し、
前記偏りが所定の閾値を超えた場合、前記測定量を破棄する。
【0013】
前記上面に重ねた前記バスマットの前記4つの導電領域に少なくとも一部が重なる位置に前記4つの電極がそれぞれ配置され、
前記2つ以上の跳ね上がり防止ガードは、前記接続領域を結んだ直線よりも前記健康機器の周縁側に配置されているとよい。
【0014】
周縁部に、突起をさらに備え、
前記健康機器は、床側脚部を介して床面に設置され、
前記2つ以上の跳ね上がり防止ガードが前記床側脚部に接触する場合、または、前記突起が前記床面に接触する場合、前記測定量を破棄するとよい。
【0015】
本発明の第3の観点に係る健康機器セットは、
上記バスマットと、
上記いずれかに記載の健康機器と、を備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、健康機器を使用する際に収納場所からの取り出しおよび収納が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る健康機器セットの斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る健康機器セットの分解斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るバスマットの平面図である。
図4図3のIV-IV切断線における断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る健康機器の底面図である。
図6図5のA部分の脚部の拡大斜視図である。
図7図6の本体側脚部の平面図である。
図8】(a)は、図6の床側脚部の底面図、(b)は、斜視図である。
図9】(a)は、図6のスライド部材の上方からの斜視図、(b)は、下方からの斜視図である。
図10】本発明の実施形態に係る健康機器セットのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のバスマットおよびバスマットを備える健康機器セットについて、以下、添付図面を参照して説明する。なお、説明における上下左右前後方向は、各図の矢印に従う。
【0019】
本発明の一実施形態としての健康機器セット1は、体脂肪計測が可能な体重計である。健康機器セット1は、図1図2に示すように、バスマットとしても使用されるスマートバスマット10と、上面31にスマートバスマット10を載置され、体重や体脂肪率を計測する健康機器20と、を備える。
【0020】
健康機器セット1は、脱衣室の浴室(またはシャワー室、屋内プール等)の入口前に常時配置され、入浴前或いは入浴後等に、ユーザがスマートバスマット10上の所定の位置に立つことで、ユーザの体重、体脂肪率等の体組成を計測する。
【0021】
[スマートバスマット10の構成]
図3に示すように、スマートバスマット10は、平面視で角丸長方形状のマット状の部材であり、導電領域11,12,13,14と、非導電領域15と、誘導マーク16,17と、を有する。スマートバスマット10は、バスマットとしても使用されるために、吸水力を有する、例えばナイロン等の繊維製のマットである。
【0022】
図3図4に示すように、導電領域11,12,13,14は、スマートバスマット10の表面18から裏面19まで、非導電領域15によって4つの領域に互いに絶縁されて分けられている。導電領域11,12,13,14には、それぞれ、ユーザの右足または左足の足裏のつま先側またはかかと側のいずれかが接触可能である。導電領域11,12,13,14は、スマートバスマット10の裏面19において、健康機器20の電極部40の後述する電極シート42とそれぞれ電気的に接続される。導電領域11,12,13,14では、例えば、ナイロンの繊維内部に導電性カーボンを筋状に配置し、繊維断面を繊維表面に露出させることにより、バスマットとしての吸水性能に加えて導電性が付与されている。
【0023】
非導電領域15は、スマートバスマット10の表面18から裏面19まで、平面視で田の字状に形成されている。非導電領域15は、導電領域11,12,13,14それぞれの4周を囲み、導電領域11,12,13,14間を絶縁している。
【0024】
誘導マーク16,17は、スマートバスマット10の表面18上で、導電領域11,12,13,14および非導電領域15に渡って形成されている。誘導マーク16,17は、スマートバスマット10の表面18上で、体重および体脂肪計測のためにユーザの足裏を配置するのに好適な位置をユーザに示すものである。本実施形態では、風呂に入浴する際に計測を行うことを想定しており、脱衣所から風呂に入る方向を進行方向として誘導マーク16,17を表示している。誘導マーク161によりユーザの右足の足裏のつま先側を導電領域11に誘導し、誘導マーク163によりユーザの右足の足裏のかかと側を導電領域12に誘導する。また、誘導マーク171によりユーザの左足の足裏のつま先側を導電領域13に誘導し、誘導マーク173によりユーザの左足の足裏のかかと側を導電領域14に誘導する。誘導マーク16,17は、導電領域11,12,13,14では導電性の素材を印刷したマーク161,163,171,173であり、非導電領域15では非導電性の素材を印刷したマーク162,172であることにより、導電領域11,12,13,14の導電性および非導電領域15の非導電性を妨げない。
【0025】
[健康機器20の構成]
図2図5に示すように、体重、体組成を計測する健康機器20は、基部30と、電極部(電極)40と、脚部50と、筐体60と、を有する。健康機器20は、浴室出入口付近で使用されることを想定しており、スマートバスマット10がずれたりめくれたりして水がかかる場合に備えて、IP(International Protection)x5相当の防水性能を有する。
【0026】
基部30は、平面視で、スマートバスマット10よりわずかに小さい角丸長方形状を呈しており、上面31にスマートバスマット10が載置される。上面31には、電極部40を除いて、滑り止め加工がなされている。基部30は、上面31に電極部40の後述する電極シート42が貼付され、下面32に脚部50、筐体60および接続部70が形成されている。
【0027】
電極部40は、平面視で基部30の四隅に脚部50の上側に形成されており、スマートバスマット10に電流を流す。電極部40は、電極板41、電極シート42、を有する。電極板41は、金属等の導電性の素材で形成されており、平面視で基部30の四隅に脚部50の上に上面31と面一に配置されている。電極板41は、後述する本体側脚部51および基部30に内蔵された図示しないバッテリに電気的に接続されており、電極シート42を介してスマートバスマット10の導電領域11,12,13,14に電気を供給する。電極シート42は、導電性のシール状の部材であり、略雫型に形成されている。図3に斜線のハッチングで示す電極シート42の接続領域43において、電極シート42が導電領域11,12,13,14に接続されることにより、健康機器20からスマートバスマット10に電気が供給可能になる。
【0028】
脚部50は、電極部40同様に、平面視で基部30の四隅に形成されており、図6に示すように、基部30の下側に形成された本体側脚部51、本体側脚部51の下方に配置された床側脚部53を有する。
【0029】
本体側脚部51は、金属等の導電性の素材で形成されており、床に配置される床側脚部53に支持される。図7に示すように、本体側脚部51は、後述する支持部535と当接する凹部511に力センサ512および歪ゲージ513が配置されている。凹部511が支持部535と当接されると、ユーザがスマートバスマット10に乗ったとき、支持部535が力センサ512およびその周辺を押圧して力センサ512が伸縮し、力センサ512に貼り付けられた歪ゲージ513も伸縮する。力センサ512のT字部5121には、後述するスライド部材540のかえし5402が係合可能である。被押圧部5122は、ユーザが健康機器セット1に乗ったときに、後述する押圧部5352に押圧される。周壁515は、本体側脚部51の各構成要素を収容している。周壁515の下端側には、後述する接触感知センサ104が内蔵されている。
【0030】
図8(a)に示すように、床側脚部53の板状のベース531の底面には、係止部532および開口533が形成されている。係止部532には、挿通孔534が形成されている。挿通孔534には、図9(a)、(b)に示すスライド部材540が挿通され、挿通されたスライド部材540を方向Mにスライドさせて床側脚部53が力センサ512に係合されることにより、本体側脚部51と床側脚部53とが上下動可能な状態で一体化される。床側脚部53を介して、健康機器20は床面に設置されており、通常は、健康機器20の他の構成要素は床面には接触していない。
【0031】
また、図8(b)に示すように、ベース531の上面には、支持部535が形成されている。支持部535は、1対の支柱5351を有し、支柱5351には、押圧部5352、ガイド5353、突端5354および立上がり5355が形成されている。押圧部5352は、ユーザの体重に応じて被押圧部5122を押圧する。ガイド5353は、被押圧部5122の外周側に沿って配置され、被押圧部5122がガイド5353に沿って上下動可能になるようにしている。突端5354は、被押圧部5122の先端が上方から支持部535から外れることを抑制する部材である。立上がり5355は、健康機器セット1の測定可能体重を超えるユーザが乗ってしまった場合に、周壁515等に当接することにより、本体側脚部51と床側脚部53とが接近しすぎることを防ぎ、力センサ512、歪ゲージ513等の破損等を抑制する。スライド部材540は、基部5401、かえし5402、操作部5403を有する。本体側脚部51に上下動可能に係合する。スライド部材540の上端付近に形成されたかえし5402は、本体側脚部51が上下動可能なように、ユーザが健康機器セット1に乗っていないときに、力センサ512のT字部5121の上端を押さえており、健康機器セット1を持ち運ぶ際等に床側脚部53が脱落することを抑制する。操作部5403は、スライド部材540を床側脚部53の挿通孔534に挿通し、方向Mに向けてスライドさせる際に使用する。力センサ512、周壁515、ガイド5353、突端5354、かえし5402は、跳ね上がり防止ガードを構成する。跳ね上がり防止ガードは、平面視で脚部50内に位置しており、図3に示すように、4つの接続領域43を結んだ直線Lよりも健康機器20の周縁側に配置されている。
【0032】
筐体60には、コンセントに接続された充電アダプタやUSBケーブルを介して、健康機器20に内蔵されたバッテリの充電を行う充電部61が形成されている。
【0033】
接続部70は、4つの脚部50と筐体60とを電気的に接続する。また、接続部70には、内部に配線された中空の角筒状の本体71の外周側端部から下方向に向けて突起72が形成されている。突起72の最も下方に突出した箇所には、接触感知センサ104が内蔵されている。また、突起72は、ユーザが体重の計測または体組成の計測に好ましくない位置に乗ってしまったときに、基部30の傾きが一定の値を超えないようにするための部材でもある。
【0034】
また、健康機器20は、図10に示すように、センサ部100、制御部110、記憶部120、通信部130、報知部140、を有する。
【0035】
センサ部100は、歪センサ101、電流測定器102、感圧センサ103、接触感知センサ104、を備える。歪センサ101は、接続部70を介して、4つの脚部50の歪ゲージ513の電気抵抗の変化からユーザの体重を計測する。電流測定器102は、電極部40からユーザの体に流す微弱な電流の流れやすさを計測する。感圧センサ103は、健康機器20の基部30の上面31に配置されており、感圧センサ103のデータをもとに後述する足裏判別部115は、基部30の上面31に重ねられたスマートバスマット10上に乗ったユーザの足のサイズおよび形状を取得する。接触感知センサ104は、突起72の最も下方に突出した箇所に内蔵されており、突起72の最も下方に突出した箇所が床に接触したことを感知する。また、接触感知センサ104は、本体側脚部51の周壁515の下端側にも内蔵されており、周壁515が床側脚部53に接触したことを感知する。
【0036】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)等で構成され、記憶部120に記憶されたプログラムを実行することにより、後述する各部(体重データ取得部111、体重データ処理部112、傾斜判別部113、体組成推定部114、足裏判別部115)の機能を実現する。
【0037】
記憶部120は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成され、ユーザ記憶部121、体重データ記憶部122、体組成データ記憶部123、設定記憶部124等を含む。ROMには制御部110のCPUが実行するプログラムや、プログラムを実行する上で予め必要なデータが記憶されている。RAMには、プログラム実行中に作成されたり変更されたりするデータが記憶される。
【0038】
ユーザ記憶部121には、健康機器セット1に対応した専用アプリがダウンロードされたユーザのスマートフォン、タブレット、パソコン等の外部機器200から入力された身長が記憶される。その他、同様に、ユーザの氏名、年齢、性別、概略体重等も記憶される。
【0039】
体重データ記憶部122には、健康機器セット1で計測されたユーザの体重データが記憶される。ユーザ記憶部121に記憶された概略体重をもとにユーザと関連付けて記憶する。
【0040】
体組成データ記憶部123には、健康機器セット1で計測されたユーザの体組成のデータが記憶される。同時に計測された体重データとともにユーザ記憶部121に記憶された概略体重をもとにユーザと関連付けて記憶する。
【0041】
設定記憶部124には、後述する各種設定(例えば、体重の計測に成功したか否かを判別する所定期間、第1計測値計測後に第2計測値を計測開始するまでの所定時間、4つの電極部40の荷重分布の偏りを判別するための所定の閾値、各ユーザの体重データや体組成データを送信するべき外部機器等)が記憶される。
【0042】
通信部130は、外部機器200と無線通信するためのモジュールである。通信装置131は、例えば、Bluetooth(登録商標)に基づく無線通信を外部機器200との間で行う。
【0043】
報知部140は、健康機器20のバッテリが所定の残量未満になった際、健康機器20のバッテリの充電が完了した際、ユーザの体重、体組成の計測が終わった際等に、ユーザに報知するために使用される。報知装置141は、報知音を発してユーザに報知する。
【0044】
外部機器200は、健康機器セット1に対応した専用アプリがダウンロードされたユーザのスマートフォン、タブレット、パソコン等である。外部機器200より、ユーザの氏名、年齢、性別、身長、概略体重等が入力され、健康機器20に送信される。また、外部機器200には、健康機器セット1で計測したユーザの体重、体組成のデータが送信される。
【0045】
次に、制御部110の機能について説明する。制御部110は、計測部111、データ処理部112、傾斜判別部113、体組成推定部114、足裏判別部115を含み、後述するユーザの体重および体組成の計測等を行う。
【0046】
計測部111は、健康機器20に対して荷重が課されることを契機として、ユーザの体重(測定量)の計測を開始する。計測部111は、歪センサ101を使用して、4つの脚部50の歪ゲージ513の電気抵抗の変化からユーザの体重を所定期間内計測し、その収束値である第1計測値を取得する。また、計測部111は、計測が開始された後にユーザによる荷重が解放されてから所定時間が経過し、体重の計測が停止される直前に第2計測値を計測する。さらに、計測部111は、ユーザの足裏を足裏判別部115が判別した結果を用いてユーザの足のサイズおよび形状を計測する。
【0047】
データ処理部112は、第1計測値から第2計測値を差し引いた値をユーザの体重データとして体重データ記憶部122に記憶する。
【0048】
傾斜判別部113は、歪ゲージ513により、4つの電極部40の荷重分布の偏りを推定し、偏りが所定の閾値を超えた場合、測定量を破棄する。また、傾斜判別部113は、接触感知センサ104により、いずれかの突起72が健康機器20が設置された床に接触したと判別した場合、測定量を破棄する。
【0049】
体組成推定部114は、生体電気インピーダンス(BIA:Bioelectrical Impedance Analysis)法により、電流測定器102が測定したデータからユーザの体組成、本実施形態では、骨量、体水分量、筋肉率、基礎代謝量、体脂肪率を推定する。
【0050】
足裏判別部115は、基部30の上面31に配置される感圧センサ103によって、スマートバスマット10を介して、ユーザの足のサイズおよび形状を判別することができる。
【0051】
[体重、体組成および足のサイズ、形状の計測方法]
まず、ユーザは、図3に示す誘導マーク16,17の位置にあわせるように自身の足裏を乗せ、しばらくの間静止する。計測部111は、ユーザの体重の計測を開始し、第1計測値を取得する。所定期間内に、4つの電極部40の荷重分布の偏りが所定の閾値を超えなかった場合、かつ、接触感知センサ104により、いずれかの突起72が健康機器20が設置された床に接触したと傾斜判別部113が判別しなかった場合、所定期間が経過すると、報知部140は第1計測値の計測ができた旨の報知音を発する。一方、所定期間内に、4つの電極部40の荷重分布の偏りが所定の閾値を超えた場合、或いは、接触感知センサ104により、(跳ね上がり防止ガードを構成する)周壁515が床側脚部53に接触した、または、いずれかの突起72が健康機器20が設置された床面に接触した、と傾斜判別部113が判別した場合、第1計測値の測定量を破棄し、報知部140は体重の計測に失敗した旨の報知音を発する。これにより、正確性の低い体重データを排除することができる。ユーザが健康機器セット1から降りた後、所定時間が経過し、体重の計測が停止される直前に第2計測値を計測する。健康機器セット1は、第1計測値から第2計測値を差し引いた値をユーザの体重データとして体重データ記憶部122に記憶させるとともに、体重データを予め登録されたユーザ指定の外部機器200に送信する。送信に成功すると、体重データ送信成功の報知音を発する。第1計測値から第2計測値を差し引いた値をユーザの体重データとするので、風呂上がりに体重を計測した場合で、スマートバスマット10が水分を多く含んでしまっても、体重データの正確性を高めることができる。
【0052】
計測部111の計測と平行して、体組成推定部114は、4つの電極部40および導電領域11,12,13,14を介してユーザに微弱な電流を流して、電流測定器102が測定したデータからユーザの骨量、体水分量、筋肉率、基礎代謝量、体脂肪率を推定する。推定が終了すると、報知部140は体組成の計測ができた旨の報知音を発する。
【0053】
計測部111の計測、体組成推定部114の推定と平行して、足裏判別部115は、感圧センサ103によって、スマートバスマット10を介して、ユーザの足のサイズおよび形状を判別する。計測部111が足裏判別部115の判別結果を用いてユーザの足のサイズおよび形状を計測すると、報知部140は足のサイズおよび形状を計測できた旨の報知音を発する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の健康機器セット1は、体重測定可能な健康機器20の上面31に吸水性能を有するスマートバスマット10を載置されており、また、4つの電極部40および導電領域11,12,13,14を介してユーザに微弱な電流を流して、ユーザの体組成等を推定、計測できるので、風呂やシャワー室等の出入口前に配置したままにしながら体重や体組成等の計測等をすることができる。従って、健康機器20を使用する際に収納場所からの取り出しおよび収納が不要になる。よって、使用の度に健康機器20を取り出すことが面倒になって、やがて健康機器20を使用する頻度が低下したり、使用しなくなることを抑制できる。また、健康機器セット1は、計測結果をユーザ指定の外部機器200に送信するので、計測の度に計測結果をユーザ自身が記録する必要が無いので、継続的に体組成のデータを得ることができ、ユーザは、データを健康管理に活かすことが容易になる。
【0055】
[変形例]
例えば、上記実施形態では、スマートバスマット10は、脱衣所から風呂に入る方向を進行方向として誘導マーク16,17を表示していたが、風呂から脱衣所に出る方向を進行方向として誘導マークを表示してもよい。或いは、誘導マークを、例えばホログラム印刷することにより、ユーザが脱衣所から風呂に入るときには風呂に入る方向を進行方向として誘導マークが表示されているようにユーザに見え、ユーザが風呂から脱衣所に出るときには脱衣所に出る方向を進行方向として誘導マークが表示されているようにユーザに見えるようにしてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、スマートバスマット10は、導電領域11,12,13,14は、図4に示すように、スマートバスマット10の表面18から裏面19まで一様に、平面視で同じ位置および面積の非導電領域15によって同じ位置および面積の4つの領域に絶縁されていたが、裏面19において4つの導電領域がそれぞれ電極部40と接続可能な程度に露出していればよい。或いは、裏面19から電極部40に接続可能な端子等のみが露出するような構成であってもよい。
【0057】
上記実施形態では、スマートバスマット10は、ナイロンの繊維内部に導電性カーボンを配置する構成であったが、バスマットとしての吸水性能に加えて導電性が付与されていれば、他の構成であってもよい。例えば、アクリル繊維、ポリエステル繊維に導電性カーボン等を配置してもよい。
【0058】
上記実施形態では、健康機器20は、4つの脚部50にそれぞれ跳ね上がり防止ガードが形成されていたが、例えば、右足側の一方の脚部50と左足側の一方の脚部50との2ヶ所に跳ね上がり防止ガードを形成してもよいし、或いは脚部とは別に跳ね上がり防止ガードを形成するようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、スマートバスマット10は、ナイロン製であったが、バスマットとして吸水性能を有しておりかつその一部に導電性素材を混合できればよく、例えば不織布やアクリル繊維等に導電性粒子等を練り込んだものであってもよい。
【0060】
上記実施形態では、健康機器20は、骨量、体水分量、筋肉率、基礎代謝量、体脂肪率の計測が可能な体重計であったが、他の組成分を計測できるものであってもよく、ユーザに通電することにより他の指標を計測できるものであればよい。或いは、体重計測機能を有さないものも含んでもよい。
【0061】
なお、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされているものである。また、上述した実施形態は、本発明の一実施例を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。上記実施例及び変形例は任意に組み合わせることができる。さらに、必要に応じて実施形態の構成要件の一部を除いても本発明の技術的思想の範囲内となる。
【符号の説明】
【0062】
1 健康機器セット
10 スマートバスマット
11,12,13,14 導電領域
15 非導電領域
16,17 誘導マーク
18 表面
19 裏面
20 健康機器
30 基部
31 上面
32 下面
40 電極部(電極)
41 電極板
42 電極シート
43 接続領域
50 脚部
51 本体側脚部
53 床側脚部
60 筐体
61 充電部
70 接続部
71 本体
72 突起
100 センサ部
101 歪センサ
102 電流測定器
103 感圧センサ
104 接触感知センサ
110 制御部
111 計測部
112 データ処理部
113 傾斜判別部
114 体組成推定部
115 足裏判別部
120 記憶部
130 通信部
140 報知部
200 外部機器
【要約】
バスマット(10)は、吸水性能を有しており、また、非導電領域(15)によって互いに絶縁されている4つの導電領域(11,12,13,14)を有する。バスマット(10)では、4つの導電領域(11,12,13,14)は、バスマット(10)の表面において、それぞれ、ユーザの右足もしくは左足の足裏のつま先側もしくはかかと側に接触可能であり、4つの導電領域(11,12,13,14)は、バスマット(10)の裏面において露出する。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図10