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特許7393088USB2.0高速アプリケーションにおけるDC損失の補償
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】USB2.0高速アプリケーションにおけるDC損失の補償
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/00 20060101AFI20231129BHJP
   G06F 13/38 20060101ALI20231129BHJP
   H04L 25/06 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G06F3/00 Q
G06F13/38 350
H04L25/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020538839
(86)(22)【出願日】2019-01-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 US2019013271
(87)【国際公開番号】W WO2019140246
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】62/616,201
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/967,883
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ヨンフイ タン
(72)【発明者】
【氏名】ヤンリ ファン
【審査官】北村 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04524291(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0221521(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0358011(US,A1)
【文献】特表2016-511568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/00
G06F 13/38
H04L 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
USBデバイスであって、
電流源と、
前記電流源に結合されるチャネル入力と、制御入力と、USB通信システムにおける正のデータ線に結合される出力とを有する第1のスイッチと、
前記電流源に結合されるチャネル入力と、制御入力と、前記USB通信システムにおける負のデータ線に結合される出力とを有する第2のスイッチと、
前記負のデータ線に結合される第1の入力と、前記正のデータ線に結合される第2の入力と、出力とを有する第1の電圧閾値コンパレータと、
前記負のデータ線に結合される第1の入力と、前記正のデータ線に結合される第2の入力と、出力とを有する第2の電圧閾値コンパレータと、
前記正のデータ線に結合される第1の入力と、前記負のデータ線に結合される第2の入力と、出力とを有する第3の電圧閾値コンパレータと、
前記正のデータ線に結合される第1の入力と、前記負のデータ線に結合される第2の入力と、出力とを有する第4の電圧閾値コンパレータと、
前記第1の電圧閾値コンパレータの出力に結合される第1の入力と、前記第2の電圧閾値コンパレータの出力に結合される第2の入力と、前記第1のスイッチの制御入力に結合される出力とを有する第1のロジック回路と、
前記第3の電圧閾値コンパレータの出力に結合される第1の入力と、前記第4の電圧閾値コンパレータの出力に結合される第2の入力と、前記第2のスイッチの制御入力に結合される出力とを有する第2のロジック回路と、
を含む、USBデバイス
【請求項2】
USBデバイスであって、
USB通信システムにおける正及び負のデータ線に結合され、前記正又は負のデータ線の非移行期間を検出して前記非移行期間において前記正又は負のデータ線に電流を注入するように構成される回路であって、
電流源と、
前記電流源に結合される第1のチャネル端子と、前記正又は負のデータ線に結合される第2のチャネル端子と、制御端子とを有するトランジスタと、
前記負のデータ線に結合される第1の入力と、前記正のデータ線に結合される第2の入力と、前記トランジスタの制御端子に結合される出力とを有する電圧閾値コンパレータと、
を含む、
前記回路を含む、USBデバイス
【請求項3】
請求項2に記載のUSBデバイスであって、
前記電圧閾値コンパレータが演算増幅器であり、前記電圧閾値コンパレータの第1の入力が非反転入力であり、前記電圧閾値コンパレータの第2の入力が反転入力である、USBデバイス
【請求項4】
USBデバイスであって、
電流源と、
前記電流源に結合される第1のチャネル端子と、USB通信システムにおける正又は負のデータ線に結合される第2のチャネル端子と、制御端子とを有するトランジスタと、
前記負のデータ線に結合される第1の入力と、前記正のデータ線に結合される第2の入力と、前記トランジスタの制御端子に結合される出力とを有する第1の電圧閾値コンパレータと、
前記第1の電圧閾値コンパレータの出力に結合される第1の入力と、第2の入力と、前記トランジスタの制御端子に結合される出力とを有するロジック回路と、
前記負のデータ線に結合される第1の入力と、前記正のデータ線に結合される第2の入力と、前記ロジック回路の第2の入力に結合される出力とを有する第2の電圧閾値コンパレータと、
を含む、USBデバイス
【請求項5】
USBデバイスであって、
電流源と、
前記電流源に結合されるチャネル入力と、USB通信システムにおける正のデータ線に結合される出力と、制御入力とを有する第1のスイッチと、
前記USB通信システムにおける負のデータ線に結合される第1の入力と、前記正のデータ線に結合される第2の入力と、前記第1のスイッチの制御入力に結合される出力とを有する第1の電圧閾値コンパレータと、
前記電流源に結合されるチャネル入力と、制御入力と、前記負のデータ線に結合される出力とを有する第2のスイッチと、
前記正のデータ線に結合される第1の入力と、前記負のデータ線に結合される第2の入力と、前記第2のスイッチの制御入力に結合される出力とを有する第2の電圧閾値コンパレータと、
を含む、USBデバイス
【請求項6】
請求項5に記載のUSBデバイスであって、
前記電流源に結合されるチャネル入力と、制御入力と、接地に結合される出力とを有する第3のスイッチと、
前記第1の電圧閾値コンパレータの出力に結合される第1の入力と、前記第2の電圧閾値コンパレータの出力に結合される第2の入力と、前記第3のスイッチの制御入力に結合される出力とを有するロジック回路と、
を更に含む、USBデバイス
【請求項7】
USBデバイスであって、
電流源と、
前記電流源に結合される第1のチャネル端子と、USB通信システムにおける正又は負のデータ線に結合される第2のチャネル端子と、制御端子とを有するトランジスタと、
前記負のデータ線に結合される第1の入力と、前記正のデータ線に結合される第2の入力と、バッファを介して前記トランジスタの制御端子に結合される出力とを有する電圧閾値コンパレータと、
を含む、USBデバイス
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に直流(「DC」)損失の補償に関し、より具体的にはUSB2.0システムにおけるDC損失の補償に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの現代のアプリケーション(例えば、車載インフォテインメントシステム)は、USB2.0データ伝送を用いる。また、これらのUSB2.0システムは、特にUSB2.0システムにおける付加構成要素(例えば、USBケーブル、PCBトレース、信号スイッチなど)の導入に伴い、より複雑になってきている。しかしながら、これらの構成要素はデータ経路に付加抵抗を導入するため、これらの付加構成要素の導入は、収縮アイハイトを伴うデータ伝送における直流(「DC」)損失につながっている。或る状況において、DC損失は、USB2.0についてのアイダイアグラム準拠性テストで信号を不合格にする。
【0003】
従来、USB2.0ハブは、USB2.0ホストとデバイスとの間で信号を繰り返すことによってこの問題を軽減しようと試みる。しかしながら、これらのUSB2.0ハブは、ハブが伝送路を破断し、大量の電力を要し、信号を理解して繰り返さなければならないため、煩わしい。また、USB2.0ハブは、その単一方向性のため、USB On-The-Go and Embedded Host Supplement to the USB 2.0 Specificationには役割を交換するためのホスト及びデバイスが備わっているため、この補足(supplement)を完全にはサポートしない可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
例示の実施形態は、データ移行期間の開始・終了を検出するために移行検出機構を用いる。「高」信号のDCレベルを上げるように、非移行期間の間、「高」レベル信号に電流が投入される。これにより、収縮アイハイトに起因して失敗したUSB2.0システムが、システムのアイダイアグラム準拠性テストに合格するのを助ける。
【0005】
例示の実施形態は、いくつかの技術的利点を有し得る。DC損失補償回路の技術的利点は、実装が簡単であり、本質的に電力効率が良く、また方向に依存しない、電流ブーストシステムを含み得る。また、DC損失補償回路は、USB2.0システムにおける二つの構成要素間で通信される信号の信号完全性を維持する助けとなり得る。また、DC損失補償回路は、広範なUSB2.0システムアプリケーションに対処するようにパラメータを調整するための柔軟性を提供する。また、DC損失補償回路は、USB On-The-Go and Embedded Host Supplement to the USB 2.0 Specificationに準拠し得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】直流(「DC」)損失補償回路130を組み込む例示のUSB2.0システムを図示する。
【0007】
図2】正のデータ線及び負のデータ線を伴うDC損失補償回路の例示の回路図である。
【0008】
図3】DC損失補償回路による、正のデータ線又は負のデータ線のいずれかにおける電流の投入を示す、例示の信号図である。
【0009】
図4】DC損失補償回路による、正のデータ線又は負のデータ線のいずれかにおける電流の投入のための、例示の方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本説明及び図面において、同様の参照番号は類似の要素を示す。また、図面に示されるステップは、示された順序以外で行なわれ得、本明細書に記載されるステップのうちの一つ又は複数は任意選択であり得る。また、図面に示される一つ又は複数の構成要素は、説明される配置以外の配置に配され得、また、図示される構成要素のうちの一つ又は複数が任意選択であり得る。
【0011】
既存のUSB2.0ハブには問題のある可能性がある。例えば、USB2.0ハブは、ハブが伝送路を破断するため煩わしい。別の例として、USB2.0ハブは、動作するために大量の電力を必要とする。第3の例として、USB2.0ハブは複雑であり、ハブが信号を理解して信号を繰り返す必要がある。第4の例として、USB2.0ハブは単一方向性であり、USB On-The-Go and Embedded Host Supplement to the USB 2.0 Specificationをサポートすることができない。
【0012】
他方で、DC損失補償回路は、USB2.0システムの両方向に信号をブーストすることによって、伝送路全体にわたって生じるDC損失を修正する助けとなる。DC損失補償回路は、データ移行期間における開始及び終了を検出し、また、信号のDCレベルをブーストするために非移行期間の間、電流を投入する。特に、USB2.0通信システムにおいて、電流源がスイッチを介して正又は負のデータ線に結合される。また、電圧閾値コンパレータの第1の入力が負のデータ線に結合され、電圧閾値コンパレータの第2の入力が正のデータ線に結合され、電圧閾値コンパレータの出力がスイッチの制御入力に結合される。
【0013】
図1は、直流(「DC」)損失補償回路130を組み込む例示のUSB2.0システム100を図示する。USB2.0システム100は、USB2.0ホスト110、USB2.0デバイス120、及びDC損失補償回路130を含み得る。正のデータ線(「DP」)140及び負のデータ線(「DM」)150は、USB2.0ホスト110とUSB2.0デバイス120との間で電流ベース信号を搬送し得る。
【0014】
USB2.0ホスト110は、DP 140及びDM 150上のすべての通信を開始する、USB2.0規格準拠デバイスである。例示のUSB2.0ホスト110は、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン、又は、USB2.0規格下で通信を開始し得る、任意の他の構成要素/デバイスを含み得る。
【0015】
USB2.0デバイス120は、DP 140及び/又はDM 150を用いてUSB2.0ホスト110と相互作用し得る、USB2.0規格準拠デバイスである。例示のUSB2.0デバイス120は、USBサムドライブ、外部ハードドライブ、USB Wi-Fiアダプタ、及び、USB2.0ホスト110と通信可能な任意の他の構成要素/デバイスを含み得る。或る実施形態において、USB2.0システム100は、DP 140及びDM 150を介してUSB2.0ホスト110と通信し得る、複数のUSB2.0デバイス120を組み込み得る。
【0016】
DC損失補償回路130は、USB2.0ホスト110とUSB2.0デバイス120との間の通信の非移行期間の間、DP 140又はDM 150に電流を供給する回路である。DC損失補償回路130は、DP 140及び/又はDM 150に電流を供給するとき、方向に依存しないものであり得る。方向に依存しない場合、DC損失補償回路130は、USB2.0ホスト110及びUSB2.0デバイス120が役割を交換できるようにする、USB On-The-Go and Embedded Host Supplement to the USB 2.0 Specificationをサポートすることもできる。或る実施形態において、USB2.0システム100は、複数のDC損失補償回路130を組み込み得る。また、DC損失補償回路130は、伝送路DP 140及びDM 150を破断する必要がないため、既存のUSB2.0システム設計にDC損失補償回路130を容易に組み込み得る。
【0017】
DP 140は、USB2.0ホスト110における正のデータ端子とUSB2.0デバイス120における正のデータ端子との間を走る通信線である。DP 140並びにDM 150が組み合わされて、USB2.0ホスト110とUSB2.0デバイス120との間のデータ転送を搬送する差動ペアを形成する。したがって、DP 140を介して転送される信号は、DM 150を介して転送される信号に相補である。DP 140における抵抗性構成要素(例えば、USBケーブル、PCBトレース、信号スイッチ)は、アイダイアグラムにおける収縮アイハイトにつながる可能性のある、データ伝送におけるDC損失をつくる可能性がある。収縮アイハイトは、USB2.0システムのアイダイアグラム準拠性テストにおいて不合格の結果をもたらす可能性がある。
【0018】
DM 150は、USB2.0ホスト110における負のデータ端子とUSB2.0デバイス120における負のデータ端子との間を走る通信線である。DM 150並びにDP 140が組み合わされて、USB2.0ホスト110とUSB2.0デバイス120との間のデータ転送を搬送する差動ペアを形成する。従って、DM 150を介して転送される信号は、DP 140を介して転送される信号に相補である。DM 150における抵抗性構成要素(例えば、USBケーブル、PCBトレース、信号スイッチ)は、アイダイアグラムにおける収縮アイハイトにつながる可能性のある、データ伝送におけるDC損失をつくる可能性がある。
【0019】
例示の実施形態において、DC損失補償回路130は、DP 140及びDM 150を介するUSB2.0信号における非移行期間を検出する。特に、DC損失補償回路130は、DP 140及びDM 150における信号の立ち上がりエッジ及び信号の立ち下がりエッジを検出し得る。非移行期間の検出に応答して、DC損失補償回路130は、DP 140及びDM 150内に電流を投入し得る。特に、DC損失補償回路130は、DP 140における信号の立ち上がりエッジの検出と、DP 140における信号の立ち下がりエッジの検出との間に、DP 140内に電流を投入し得る。別の例として、DC損失補償回路130は、DM 150上の信号の立ち上がりエッジの検出と、DM 150上の信号の立ち下がりエッジの検出との間に、DM 150内に電流を投入し得る。
【0020】
或る実施形態において、DC損失補償回路130は、移行期間の間電流を投入せず、代わりに任意の潜在的発出電流を接地する。移行期間の間の電流のレベルは、通常、付加的な抵抗性構成要素による影響を受けない。また、移行期間の間、信号完全性を維持するために、DC損失補償回路130は高インピーダンスを示し得、それによって、DC損失補償回路130内への電流を最小限にするか、又はなくすことが可能になる。
【0021】
図2は、DP 140及びDM 150を備えるDC損失補償回路130の例示の回路図200である。回路図200は、DP 140、DM 150、及びDC損失補償回路130を含み得る。DC損失補償回路130は、第1の電圧閾値コンパレータ201(第1の電圧閾値源204を備える第1のコンパレータ202を含む)、第2の電圧閾値コンパレータ205(第2の電圧閾値源208を備える第2のコンパレータ206を含む)、第3の電圧閾値コンパレータ209(第3の電圧閾値源212を備える第3のコンパレータ210を含む)、第4の電圧閾値コンパレータ213(第4の電圧閾値源216を備える第4のコンパレータ214を含む)、第1のバッファ218、第2のバッファ220、第3のバッファ222、第4のバッファ224、第1のNORゲート226、第2のNORゲート228、第3のNORゲート230、電流源232、第1のスイッチ234、第2のスイッチ236、第3のスイッチ238、及び負荷レジスタ240を含み得る。
【0022】
第1の電圧閾値コンパレータ201は、付加閾値電圧を伴うDM 150における信号電圧が、DP 140における信号電圧よりも大きいかどうか、及び/又は等しいかどうかを判定する、任意のタイプの構成要素及び/又は回路要素であり得る。DM 150とDP 140との間の充分に大きな差(すなわち、閾値に等しいか又は閾値を上回る電圧差)を検出することによって、第1の電圧閾値コンパレータ201は、DP 140における信号の立ち上がりエッジを検出可能であり得る。付加的な閾値電圧を伴うDM 150における信号電圧が、DP 140における信号電圧より大きい及び/又はそれと等しい場合、第1の電圧閾値コンパレータ201はHIGH信号を出力する。或いは、付加的な閾値電圧を伴うDM 150における信号電圧が、DP 140における信号電圧よりも大きくない及び/又はそれと等しくない場合、第1の電圧閾値コンパレータ201はLOW信号を出力する。
【0023】
図示される実施形態において、第1のコンパレータ202の第1の入力(すなわち、非反転入力)が、第1の電圧閾値源204を介してDM 150に結合され、第1のコンパレータ202の第2の入力(すなわち、反転入力)がDP 140に結合される。特定の実施形態において、第1のコンパレータ202は演算増幅器である。
【0024】
第1の電圧閾値源204は、第1のコンパレータ202の入力に電圧を導入する任意のタイプの構成要素及び/又は回路であり得る。第1の電圧閾値源204は、第1のコンパレータ202が、DP 140における信号電圧を付加的な閾値電圧を伴うDM 150における信号電圧と比較できるように、電圧を導入し得る。第1の電圧閾値源204は調節可能であり得、そのため、第1のコンパレータ202が、出力における変化を評価するのに充分に大きな差を検出する許容差をカスタマイズできるようになっている。或る実施形態において、第1のコンパレータ202は本質的に、第1の電圧閾値源204を用いることなく、DP 140における信号電圧をDM 150における信号電圧と比較可能であり得る。本実施形態において、第1のコンパレータ202における閾値は調節可能であり得る。
【0025】
同様に、第2の電圧閾値コンパレータ205は、付加的な閾値電圧を伴うDM 150における信号電圧がDP 140における信号電圧より大きいかどうか及び/又は等しいかどうかを判定する、任意のタイプの構成要素及び/又は回路要素であり得る。DM 150とDP 140との間の充分に大きな差(すなわち、閾値に等しいか又は閾値を上回る電圧差)を検出することによって、第2の電圧閾値コンパレータ205は、DP 140上の信号の立ち下がりエッジを検出可能であり得る。付加的な閾値電圧を伴うDM 150における信号電圧が、DP 140における信号電圧よりも大きい及び/又は等しい場合、第2の電圧閾値コンパレータ205はHIGH信号を出力する。或いは、付加的な閾値電圧を伴うDM 150における信号電圧が、DP 140における信号電圧より大きくない及び/又はDP 140における信号電圧に等しくない場合、第2の電圧閾値コンパレータ205はLOW信号を出力する。
【0026】
或る実施形態において、第2の電圧閾値コンパレータ205についての閾値電圧は、第1の電圧閾値コンパレータ201についての閾値電圧とは異なり得る。また、或る実施形態において、第1の電圧閾値コンパレータ201及び第2の電圧閾値コンパレータ205は、単一の電圧閾値コンパレータとして存在し得る。本実施形態において、単一のコンパレータが、DP 140の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの両方を検出し得る。
【0027】
例示の実施形態において、第2のコンパレータ206の第1の入力(すなわち、非反転入力)が第2の電圧閾値源208を介してDM 150に結合され、第2のコンパレータ206の第2の入力(すなわち、反転入力)がDP 140に結合される。特定の実施形態において、第2のコンパレータ206は演算増幅器である。
【0028】
第2の電圧閾値源208は、第2のコンパレータ206の入力に電圧を導入する任意のタイプの構成要素及び/又は回路であり得る。或る実施形態において、第2の電圧閾値源208は、第1の電圧閾値源204とは異なる電圧に設定され得る。第2の電圧閾値源208は、第2のコンパレータ206が、DP 140における信号電圧を付加的な閾値電圧を伴うDM 150における信号電圧と比較できるように、電圧を導入し得る。第2の電圧閾値源208は調節可能であり得、そのため、第2のコンパレータ206が、出力における変化を評価するのに充分に大きな差を検出する許容差をカスタマイズできるようになっている。或る実施形態において、第2のコンパレータ206は本質的に、第2の電圧閾値源208を用いることなく、DP 140における信号電圧をDM 150における信号電圧と比較可能であり得る。本実施形態において、第2のコンパレータ206における閾値は調節可能であり得る。
【0029】
第3の電圧閾値コンパレータ209は、付加的な閾値電圧を伴うDP 140における信号電圧が、DM 150における信号電圧より大きいかどうか及び/又はDM 150における信号電圧と等しいかどうかを判定する、任意のタイプの構成要素及び/又は回路要素であり得る。DP 140とDM 150との間の充分に大きな差(すなわち、閾値に等しいか又は閾値を上回る電圧差)を検出することによって、第3の電圧閾値コンパレータ209は、DM 150上の信号の立ち上がりエッジを検出可能であり得る。付加的な閾値電圧を伴うDP 140における信号電圧が、DM 150における信号電圧より大きい及び/又はDM 150における信号電圧に等しい場合、第3の電圧閾値コンパレータ209はHIGH信号を出力する。或いは、付加的な閾値電圧を伴うDP 140における信号電圧が、DM 150における信号電圧よりも大きくない及び/又はDM 150における信号電圧に等しくない場合、第3の電圧閾値コンパレータ209はLOW信号を出力する。
【0030】
例示の実施形態において、第3のコンパレータ210の第1の入力(すなわち、非反転入力)が第3の電圧閾値源212を介してDP 140に結合され、第3のコンパレータ210の第2の入力(すなわち、反転入力)がDM 150に結合される。特定の実施形態において、第3のコンパレータ210は演算増幅器である。
【0031】
第3の電圧閾値源212は、第3のコンパレータ210の入力に電圧を導入する任意のタイプの構成要素及び/又は回路であり得る。第3の電圧閾値源212は、第3のコンパレータ210が、付加的な閾値電圧を伴うDP 140における信号電圧をDM 150における信号電圧と比較できるように、電圧を導入し得る。第3の電圧閾値源212は調節可能であり得、そのため、第3のコンパレータ210が、出力における変化を評価するのに充分に大きな差を検出する許容差をカスタマイズできるようになっている。或る実施形態において、第3のコンパレータ210は本質的に、第3の電圧閾値源212を用いることなく、DM 150における信号電圧をDP 140における信号電圧と比較可能であり得る。本実施形態において、第3のコンパレータ210における閾値は調節可能であり得る。
【0032】
同様に、第4の電圧閾値コンパレータ213は、付加的な閾値電圧を伴うDP 140における信号電圧が、DM 150における信号電圧より大きいかどうか及び/又はDM 150における信号電圧に等しいかどうかを判定する、任意のタイプの構成要素及び/又は回路要素であり得る。DP 140とDM 150との間の充分に大きな差(すなわち、閾値に等しいか又は閾値を上回る電圧差)を検出することによって、第4の電圧閾値コンパレータ213はDM 150における信号の立ち下がりエッジを検出可能であり得る。付加的な閾値電圧を伴うDP 140における信号電圧が、DM 150における信号電圧より大きい及び/又はDM 150における信号電圧に等しい場合、第4の電圧閾値コンパレータ213はHIGH信号を出力する。或いは、付加的な閾値電圧を伴うDP 140における信号電圧が、DM 150における信号電圧より大きくない及び/又はDM 150における信号電圧に等しくない場合、第4の電圧閾値コンパレータ213はLOW信号を出力する。
【0033】
或る実施形態において、第4の電圧閾値コンパレータ213についての閾値電圧は、第3の電圧閾値コンパレータ209についての閾値電圧とは異なり得る。また、或る実施形態において、第3の電圧閾値コンパレータ209及び第4の電圧閾値コンパレータ213は、単一の電圧閾値コンパレータとして存在し得る。本実施形態において、単一のコンパレータが、DM 150の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの両方を検出し得る。
【0034】
例示の実施形態において、第4のコンパレータ214の第1の入力(すなわち、非反転入力)が第4の電圧閾値源216を介してDP 140に結合され、第4のコンパレータ214の第2の入力(すなわち、反転入力)がDM 150に結合される。特定の実施形態において、第4のコンパレータ214は演算増幅器である。
【0035】
第4の電圧閾値源216は、第4のコンパレータ214の入力に電圧を導入する任意のタイプの構成要素及び/又は回路であり得る。或る実施形態において、第4の電圧閾値源216は、第3の電圧閾値源212とは異なる電圧に設定され得る。
第4の電圧閾値源216は、第4のコンパレータ214が、付加的な閾値電圧を伴うDP 140における信号電圧をDM 150における信号電圧と比較できるように、電圧を導入し得る。第4の電圧閾値源216は調節可能であり得、そのため、第4のコンパレータ214が、出力における変化を評価するのに充分に大きな差を検出する許容差をカスタマイズできるようになっている。或る実施形態において、第4のコンパレータ214は本質的に、第4の電圧閾値源216を用いることなく、DM 150における信号電圧をDP 140における信号電圧と比較可能であり得る。本実施形態において、第4のコンパレータ214における閾値は調節可能であり得る。
【0036】
第1のバッファ218、第2のバッファ220、第3のバッファ222、及び第4のバッファ224(集合的に、バッファ)は、入力に利得を与え得る任意のタイプの構成要素又は回路とし得る。特に、バッファは、バッファに入ってくる信号を増幅し得る。またバッファは、遅延調節可能であり得る。遅延調節可能なバッファが、バッファを横切る信号における遅延を意図的に導入し得る。調整可能遅延は、DC損失補償のタイミングを最適化すること、及びアイダイアグラムの信号完全性を向上させることが可能である。
【0037】
第1の電圧閾値コンパレータ201の出力は、いくつかの実施形態において、第1のバッファ218を介して第1のNORゲート226の第1の入力に結合される。同様に、第2の電圧閾値コンパレータ205の出力は、いくつかの実施形態において、第2のバッファ220を介して第1のNORゲート226の第2の入力に結合される。
【0038】
第1のNORゲート226の出力は、第1のスイッチ234のための制御入力に結合される。例示の実施形態において、第1のNORゲート226の出力は、第1のスイッチ234であるトランジスタのための制御電極に結合される。第1のNORゲート226の出力は、電流源232からの電流が、例えば、HIGH信号を出力することによって、DP 140内に挿入されるかどうかを決定づける。DP 140における立ち上がりエッジの検出とDP 140における立ち下がりエッジの検出との間に、DP 140内に電流が挿入される。第1のスイッチ234は、電流源232によって生成された電流をDP 140内に導通させる任意の構成要素又は回路であり得る。第1のNORゲート226の出力は、第3のNORゲート230の第1の入力にも結合され得る。
【0039】
第3の電圧閾値コンパレータ209の出力は、いくつかの実施形態において、第3のバッファ222を介して第2のNORゲート228の第1の入力に結合される。或る実施形態において、第2のNORゲート228は第2のロジック回路である。同様に、第4の電圧閾値コンパレータ213の出力は、いくつかの実施形態において、第4のバッファ224を介して第2のNORゲート228の第2の入力に結合される。
【0040】
第2のNORゲート228の出力は、第2のスイッチ236のための制御入力に結合される。例示の実施形態において、第2のNORゲート228の出力は、第2のスイッチ236であるトランジスタのための制御電極に結合される。第2のNORゲート228の出力は、電流源232からの電流が、例えばHIGH信号を出力することによって、DM 150内に挿入されるかどうかを決定づける。DM 150における立ち上がりエッジの検出とDM 150における立ち下がりエッジの検出との間に、DM 150内に電流が挿入される。第2のスイッチ236は、電流源232によって生成された電流をDM 150内に導通させる任意の構成要素又は回路であり得る。第2のNORゲート228の出力は、第3のNORゲート230の第2の入力にも結合され得る。
【0041】
第1のNORゲート226の出力は、第3のNORゲート230の第1の入力に結合され、第2のNORゲート228の出力は、第3のNORゲート230の第2の入力に結合される。第3のNORゲート230の出力は、第3のスイッチ238のための制御入力に結合される。例示の実施形態において、第3のNORゲート230の出力は、第3のスイッチ238であるトランジスタのための制御電極に結合される。第1のチャネル電極(例えば、ドレイン)が電流源232に結合され得、第2のチャネル電極(例えば、ソース)が負荷レジスタ240に結合され得る。負荷レジスタ240は、さらに接地に結合され得る。第3のNORゲート230の出力は、電流源232からの電流が接地され、及び従って、DP 140又はDM 150内に挿入されないかどうかを決定づける。第3のスイッチ238は、電流源232によって生成された電流がDP 140及び/又はDM 150内に入るのを禁止する、任意の構成要素又は回路とし得る。
【0042】
NORゲート(例えば、第1のNORゲート226、第2のNORゲート228、及び第3のNORゲート230)は、通常は二つ又はそれ以上の入力及び出力を伴う、基本ロジックのタイプである。例えば、NORゲートが、両方の入力がLOWである場合にのみHIGHを出力し得る。他方で、NORゲートが、任意の入力がHIGHの場合にLOWを出力し得る。NORゲートは本明細書ではシンプルなロジックゲートとして図示されるが、図示されるNORゲートと同様のロジック表を実装するために、ロジックゲートの様々な回路及び構成要素の設計及び変形が可能である。
【0043】
図3は、DC損失補償回路130によるDP 140又はDM 150のいずれかにおける電流投入のための、例示の信号図300である。
【0044】
DP信号302はDP 140にわたる電圧を表す。同様に、DM信号304はDM 150にわたる電圧を表す。DP信号302及びDM信号304は、電流i又は接地のいずれかにおいて安定化される。従って、安定化期間の間、DP信号302及びDM信号304は、いずれかの信号が電流iを伝送しているとき、通信経路にわたる抵抗性構成要素によって影響を受ける。他方で、抵抗性構成要素は、信号が接地にあるとき、DP信号302又はDM信号304に影響を与えない。
【0045】
立ち上がりエッジ検出D1 306は、DP信号302及びDM信号304に関する第1の電圧閾値コンパレータ201の出力を表す。DP信号302が電圧閾値だけDM信号304を上回るとき、立ち上がりエッジ検出D1 306はLOWになる。他方で、DP信号302が電圧閾値分、DM信号304を上回っていないとき、立ち上がりエッジ検出D1 306はHIGHになる。
【0046】
第1のバッファ出力308は、第1のバッファ218の出力を表す。図示されるように、第1のバッファ218の出力は、第1の電圧閾値コンパレータ201の出力の時間遅延信号であり得る。
【0047】
立ち下がりエッジ検出D1 310は、DP信号302及びDM信号304に関する第2の電圧閾値コンパレータ205の出力を表す。DP信号302が電圧閾値だけDM信号304を上回るとき、立ち下がりエッジ検出D1 310はLOWになる。他方で、DP信号302が電圧閾値分、DM信号304を上回っていないとき、立ち下がりエッジ検出D1 310はHIGHになる。
【0048】
立ち上がりエッジ検出D2 312は、DP信号302及びDM信号304に関する第3の電圧閾値コンパレータ209の出力を表す。DM信号304が電圧閾値だけDP信号302を上回るとき、立ち上がりエッジ検出D2 312はLOWになる。他方で、DM信号304が電圧閾値分、DP信号302を上回っていないとき、立ち上がりエッジ検出D2 312はHIGHになる。
【0049】
第3のバッファ出力314は、第3のバッファ222の出力を表す。図示されるように、第3のバッファ222の出力は、第3の電圧閾値コンパレータ209の出力の時間遅延信号であり得る。
【0050】
立ち下がりエッジ検出D2 316は、DP信号302及びDM信号304に関する第4の電圧閾値コンパレータ213の出力を表す。DM信号304が電圧閾値だけDP信号304を上回るとき、立ち下がりエッジ検出D2 316はLOWになる。他方で、DM信号304が電圧閾値分、DP信号302を上回っていないとき、立ち下がりエッジ検出D2 316はHIGHになる。
【0051】
グラフ318は、DC損失補償回路130の、電流源232に接地している期間(すなわち、GND320a~d)、電流をDP 140に投入している期間(すなわち、DPへの電流挿入322a~b)、及び電流をDM 150に投入している期間(すなわち、DMへの電流挿入324a~b)を示す。
【0052】
GND320a~dの期間は、電流源232からの電流が第3のスイッチ238によって接地される期間を表す。例示の実施形態において、GND320a~dは、(1)第1のバッファ出力308がHIGHであり、立ち下がりエッジ検出D2 316がHIGHであるとき、及び、(2)第3のバッファ出力314がHIGHであるか、又は立ち上がりエッジ検出D1 310がHIGHであるときの期間中に生じる。例えば、GND320aは、立ち下がりエッジ検出D1 310がHIGHになるとき開始し、第3のバッファ出力314がLOWになるとき停止する。別の例として、GND320bは、立ち下がりエッジ検出D2 316がHIGHになるとき開始し、第1のバッファ出力308がLOWになるとき停止する。
【0053】
DPへの電流挿入322a~bの期間は、電流源232からの電流が第1のスイッチ234を介してDP 140に投入される期間を表す。DPへの電流挿入322a~bは、第1のバッファ出力308及び立ち下がりエッジ検出D1 310の両方がLOWである期間中に生じ、第1のバッファ出力308又は立ち下がりエッジ検出D1 310のいずれかがHIGHに戻るときに停止する。例えば、DPへの電流挿入322は、第1のバッファ出力308及び立ち下がりエッジ検出D1 310の両方がLOWのときに生じ、立ち下がりエッジ検出D1 310がHIGHに戻るときに停止する。別の例として、DPへの電流挿入322は、第1のバッファ出力308及び立ち下がりエッジ検出D1 310の両方がLOWのとき生じる。
【0054】
DMへの電流挿入324a~bの期間は、電流源232からの電流が第2のスイッチ236を介してDM 150に投入される期間を表す。DMへの電流挿入324a~bは、第3のバッファ出力314及び立ち下がりエッジ検出D2 316の両方がLOWである期間中に生じ、立ち下がりエッジ検出D2 316がHIGHに戻るときに停止する。例えば、DMへの電流挿入324aは、第3のバッファ出力314及び立ち下がりエッジ検出D2 316の両方がLOWであるときに成され、第3のバッファ出力314又は立ち下がりエッジ検出D2 316のいずれかがHIGHに戻るときに停止する。別の例として、DPへの電流挿入324bは、第3のバッファ出力314がLOWであり、かつ、立ち下がりエッジ検出D2 316がLOWであるときに成され、立ち下がりエッジ検出D2 316がHIGHに戻るときに停止する。
【0055】
図4は、DC損失補償回路130によって、DP 140又はDM 150のいずれかにおいて電流を投入するための例示の方法400を示す。この方法は、DC損失補償回路130がUSB2.0通信システムにおける信号の非移行期間を検出するステップ405で開始され得る。特に、DC補償則回路は、DP 140又はDM 150上の信号の立ち上がりエッジ及び/又は信号の立ち下がりエッジを検出し得る。非移行期間の検出に応答して、この方法はステップ415に移動する。代替として、移行期間の検出に応答して、この方法はステップ410に移動する。
【0056】
ステップ410において、DC損失補償回路130は、DP 140及び/又はDM 150内へ電流を投入せず、代わりに、任意の潜在的発出電流を接地する。移行期間の間の電流のレベルは、通常、抵抗性構成要素の付加によって影響を受けない。また、移行期間の間、信号完全性を維持するために、DC損失補償回路130は高インピーダンスを示し得、それにより、DC損失補償回路130内への電流を最小限にするか又は無くすことができる。
【0057】
しかしながら、DC損失補償回路130が非移行期間を検出した場合、DC損失補償回路130は、ステップ415において、その検出が、DP 140の立ち上がりエッジであるか又はDM 150の立ち上がりエッジであるかを判定する。DC損失補償回路130がDP 140の立ち上がりエッジを検出した場合、この方法はステップ420に移る。代替として、DC損失補償回路130がDM 150の立ち上がりエッジを検出した場合、この方法はステップ435に移る。
【0058】
ステップ420において、DC損失補償回路130がDP 140の立ち上がりエッジを検出した場合、DC損失補償回路130は電流をDP 140に投入する。特に、DC損失補償回路130は、DP 140における信号の立ち上がりエッジの検出と、DP 140における信号の立ち下がりエッジの検出との間に、DP 140内に電流を投入し得る。
【0059】
ステップ425において、DC損失補償回路130は、DP 140における立ち下がりエッジの検出が生じたかどうかを判定する。検出が生じた場合、この方法は430に移る。検出が生じなかった場合、この方法はステップ420において、DP 140内への電流の投入を続行する。
【0060】
ステップ430において、DC損失補償回路130は、DC損失補償回路130がDP 140において立ち下がりエッジを検出したとき、DP 140内への電流の挿入を停止する。代わりに、DC損失補償回路130は、電流源232から生成された電流を接地し得る。或る実施形態において、DC損失補償回路130は、DP 140における信号の立ち上がりエッジの検出と、DP 140における信号の立ち下がりエッジの検出との間に、DP 140内に電流を投入し得る。
【0061】
ステップ415において、DC損失補償回路130がDM 150の立ち上がりエッジを検出した場合、DC損失補償回路130はDM 150内に電流を投入する。特に、DC損失補償回路130は、DM 150における信号の立ち上がりエッジの検出と、DM 150における信号の立ち下がりエッジの検出との間に、DM 150内に電流を投入し得る。
【0062】
ステップ440において、DC損失補償回路130は、DM 150における立ち下がりエッジの検出が生じたかどうかを判定する。検出が生じた場合、この方法は440に移る。検出が生じなかった場合、この方法はステップ435において、DM 150内への電流の投入を続行する。
【0063】
ステップ445において、DC損失補償回路130は、DC損失補償回路130がDM 150において立ち下がりエッジを検出したとき、DM 150内への電流の挿入を停止する。代わりに、DC損失補償回路130は、電流源232から生成された電流を接地し得る。或る実施形態において、DC損失補償回路130は、DM 150における信号の立ち上がりエッジの検出と、DM 150における信号の立ち下がりエッジの検出との間に、DM 150内に電流を投入し得る。
【0064】
特性の実施形態は、図4の方法の一つ又は複数を適宜繰り返し得る。図4の方法の特定のステップは、本明細書では、特定の順で成されるように説明及び図示されるが、図4の方法の任意の適切なステップが任意の適切な順で成され得る。また、例示の方法は、本明細書では、図4の方法の特定のステップを含む、DC損失補償回路130によるDP 140又はDM 150のいずれかにおける電流の投入について説明及び図示されるが、図4の方法のステップのすべて又はいくつかを含み得るかまったく含まないことがあり得る、任意の適切なステップを含む、DC損失補償回路130によるDP 140又はDM 150のいずれかにおける電流の投入のための任意の適切な方法を適宜用い得る。また、特定の構成要素、デバイス、又はシステムが、本明細書では、図4の方法の特定のステップを行なうことについて説明及び図示されるが、任意の適切な構成要素、デバイス、又はシステムの任意の適切な組み合わせが、DC損失補償回路130によるDP 140又はDM 150のいずれかにおける電流の投入の方法の任意の適切なステップを行なうために用いられ得る。
【0065】
例示の実施形態は、コンピュータプログラム製品を含み得る。こういったコンピュータプログラム製品には、例示の実施形態の態様をプロセッサに実装させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有する、コンピュータ可読記憶媒体が含まれ得る。
【0066】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによる使用のための命令を保持及び記憶可能な、有形デバイスとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、これらに限定されないが、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含み得る。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的な一覧には、下記が含まれる。即ち、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、読み取り専用メモリ(「ROM」)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(「EPROM」又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(「SRAM」)、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(「CD-ROM」)、デジタル多用途ディスク(「DVD」)、メモリスティック、フロッピーディスク、パンチカード又は命令が記録された溝内の隆起構造などの機械的符号化デバイス、及び、それらの任意の適切な組み合わせが含まれる。本明細書で用いられるようなコンピュータ可読記憶媒体は、電波又は他の自由伝搬電磁波、導波路又は他の伝送媒体を介して伝搬する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)、或いは、ワイヤを介して伝送される電気信号など、本来は一時的信号であるものと解釈されるべきではない。
【0067】
本明細書で説明するコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスへ、或いは、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、及び/又はワイヤレスネットワークを介して外部コンピュータ又は外部記憶デバイスへダウンロードされ得る。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、ワイヤレス伝送、ルータ、ファイヤウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、及び/又は、エッジサーバを含み得る。各コンピューティング/処理デバイスにおけるネットワークアダプタカード又はネットワークインターフェースが、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、コンピュータ可読プログラム命令を、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するために転送する。
【0068】
例示の実施形態の動作を行うためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(「ISA」)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、或いは、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、一つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかであり得る。コンピュータ可読プログラム命令は、完全にユーザのコンピュータにおいて、部分的にユーザのコンピュータにおいて、スタンドアロン型ソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータにおいて及び部分的にリモートコンピュータにおいて、又は、完全にリモートコンピュータ又はサーバにおいて、実行し得る。後者のシナリオにおいて、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)又はワイドエリアネットワーク(「WAN」)を含む、任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続され得るか、又は(例えば、インターネットサービスプロバイダを用いてインターネットを介して)外部コンピュータに接続され得る。いくつかの実施形態において、例えば、プログラマブルロジック回路要素、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、又はプログラマブルロジックアレイ(「PLA」)を含む電子回路要素が、例示の実施形態を実施するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路要素を個別化することによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行し得る。
【0069】
例示の実施形態の態様は、本明細書では、実施形態に従った、方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照しながら説明する。フローチャート及び/又はブロック図における各ブロック、並びに、フローチャート及び/又はブロック図におけるブロックの組み合わせが、コンピュータ可読プログラム命令によって実装され得る。
【0070】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、マシンをつくるために、汎用コンピュータ、特定用途向けコンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供され得、そのため、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行する命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロックにおいて特定された機能/動作を実装するための手段をつくるようになっている。コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、及び/又は他のデバイスに特定の様式で機能するように命じることが可能なこれらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体にも記憶され得、そのため、命令が記憶されているコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャート及び/又はブロック図のブロックにおいて特定された機能/動作の態様を実装する命令を含む製品を含むようになっている。
【0071】
コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ実装プロセスを生成するためのコンピュータ、他のプログラマブル装置、又は他のデバイスに対して一連の動作ステップを実施させるために、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイス上にもロードされ得、そのため、コンピュータ、他のプログラマブル装置、又は他のデバイスに対して実行する命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロックにおいて特定された機能/動作を実装するようになっている。
【0072】
図面におけるブローチャート及びブロック図は、様々な実施形態に従ったシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品のあり得る実装の、アーキテクチャ、機能性、及び動作を図示する。この点について、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、特定されたロジック機能を実装するための一つ又は複数の実行可能命令を含む、モジュール、セグメント、又は命令の一部を表し得る。いくつかの代替実装において、ブロックの機能は、図面に示された順序以外で生じ得る。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には実質的に同時に実行され得、又はブロックは、関与する機能性に応じて、時には逆順で実行され得る。ブロック図及び/又は、フローチャートの各ブロック、並びに、ブロック図及び/又はフローチャートにおけるブロックの組み合わせが、特定された機能又は行為を実施するか、或いは特定用途向けハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせを実施する、特定用途向けハードウェアベースシステムによって実装され得る。
【0073】
また、様々な実施形態に従ったシステムが、プロセッサと、プロセッサと統合されるロジック及び/又はプロセッサによって実行可能なロジックとを含み得、ロジックは、本明細書に示されるプロセスステップのうちの一つ又は複数を行なうように構成される。統合されることという表現によって意味するものは、そのプロセッサが、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、FPGAなどのハードウェアロジックとして共に埋め込まれるロジックを有することである。プロセッサにより実行可能であることが意味するものは、ロジックが、ハードウェアロジックであるか、ファームウェア、オペレーティングシステムの一部、アプリケーションプログラムの一部などの、ソフトウェアロジックであるか、又は、プロセッサによりアクセス可能であり、プロセッサによる実行の際にプロセッサに何らかの機能性を行なわせるように構成される、ハードウェア及びソフトウェアロジックの何らかの組み合わせであることである。ソフトウェアロジックは、当分野で既知であるような、任意のメモリタイプのローカルメモリ及び/又はリモートメモリ上に記憶され得る。ソフトウェアプロセッサモジュール、及び/又は、ASIC、FPGA、中央処理ユニット(「CPU」)、集積回路(「IC」)、グラフィクス処理ユニット(「GPU」)などのハードウェアプロセッサなど、当分野で既知である任意のプロセッサが用いられ得る。
【0074】
図面において、接続矢印は、こうしたフローを特定の方向に制限しておらず、そのため、反対方向のいかなるフローをも除外しない。
【0075】
本明細書で用いられる場合、チャネル電極は、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(「MOSFET」)のソース又はドレイン、或いは、バイポーラトランジスタのエミッタ又はコレクタなどのデバイスを介して電流を搬送するデバイスの要素を意味し、制御電極は、MOSFETのゲート又はバイポーラトランジスタのベースなどのデバイスを介して電流を制御するデバイスの要素を意味する。また、本説明において、~に結合される又は~と結合する(及び同様のもの)などの用語は、間接的又は直接的のいずれかの電気接続を示す。従って、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接電気接続を介して、又は、他のデバイス及び/又は接続を介する間接的電気接続を介して成され得る。
【0076】
特定の利点を上述したが、様々な実施形態が、列挙した利点のすべて又はいくつかを達成し得、或いはまったく達成しない場合もある。また、本明細書で説明する実施形態は単なる例であり、本説明の範囲はそれらに限定されない。特定の実施形態は、上述の実施形態の構成要素、要素、特徴、機能、動作、又はステップのすべて又はいくつかを含み得るか、或いはまったく含まない場合もある。一つのカテゴリ(方法など)において説明した任意の特徴が、同様に別のカテゴリ(システムなど)に適用されてもよい。
【0077】
特許請求の範囲内で、説明した実施形態における改変が可能であり、また他の実施形態も可能である。
図1
図2
図3
図4