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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】二次電池の異常検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/367 20190101AFI20231129BHJP
   G01R 31/392 20190101ALI20231129BHJP
   G01R 31/3842 20190101ALI20231129BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G01R31/367
G01R31/392
G01R31/3842
H02J7/00 P
H02J7/00 S
H02J7/00 Q
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020505553
(86)(22)【出願日】2019-03-05
(86)【国際出願番号】 IB2019051750
(87)【国際公開番号】W WO2019175707
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2018049713
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018114814
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭
(72)【発明者】
【氏名】楠 紘慈
(72)【発明者】
【氏名】伊佐 敏行
(72)【発明者】
【氏名】千田 章裕
(72)【発明者】
【氏名】山内 諒
(72)【発明者】
【氏名】栗城 和貴
(72)【発明者】
【氏名】田島 亮太
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0164763(US,A1)
【文献】国際公開第2016/129248(WO,A1)
【文献】特開昭57-127820(JP,A)
【文献】特開2012-198114(JP,A)
【文献】特開2010-271852(JP,A)
【文献】特許第3746729(JP,B2)
【文献】特開2018-096953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/00 - 31/396
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が有する二次電池の電圧値を測定する電圧取得部と、
前記二次電池の電流値を測定する電流取得部と、
演算部と、
判定部と、
学習結果記憶部と、
機械学習部と、を有し、
前記電圧値又は前記電流値は、電磁ノイズを含み、
前記演算部は、前記電圧値及び前記電流値を入力とし、回帰モデルを用いて演算を行い予測誤差を算出する機能を有し、
前記判定部は、前記予測誤差が正常か異常かを判定し、判定結果を出力する機能を有し、
前記学習結果記憶部は、前記車両の第1の駆動パターンと、前記第1の駆動パターンと因果関係のある第1のノイズと、を解析した第1の解析結果を記憶する機能を有し、
前記機械学習部は、前記電圧値及び前記電流値が測定された時点における前記車両の駆動パターンを第2の駆動パターンとし、前記判定結果が正常である場合に、前記予測誤差、前記第2の駆動パターン及び前記第1の解析結果を入力とし、前記電磁ノイズをキャンセルするように前記予測誤差の補正データを作成し、前記補正データと前記第2の駆動パターンを対応づけて補正モデルを構築する機能を有し、
前記学習結果記憶部は、前記機械学習部の前記補正モデルを有する第2の解析結果を記憶する機能を有する、二次電池の異常検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
さらに、前記判定結果が異常である場合のみに駆動して異常であることを使用者に通知する異常通知回路を有する二次電池の異常検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記回帰モデルは、状態方程式に基づくカルマンフィルタである二次電池の異常検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一において、
前記回帰モデルは、予測ステップを複数連続で行った後、複数のフィルタリングステップが連続で行われる二次電池の異常検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一において、
前記機械学習部がニューラルネットワークを備える二次電池の異常検出装置。
【請求項6】
請求項2において、
前記異常通知回路は、金属酸化物層をチャネルとするトランジスタを少なくとも有する二次電池の異常検出装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一において、
前記二次電池は、リチウムイオン二次電池である二次電池の異常検出装置。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか一において、
前記二次電池は、全固体電池である二次電池の異常検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一様態は、物、方法、又は、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、又は、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。本発明の一態様は、半導体装置、表示装置、発光装置、二次電池、照明装置または電子機器に関する。また、本発明の一様態は、二次電池の異常検知方法、及び二次電池の充電制御方法に関する。特に、二次電池の異常検知システム、二次電池の充電システム、および二次電池の管理システム(BMS「バッテリーマネジメントシステム」とも呼ぶ)に関する。
【0002】
なお、本明細書中において、蓄電装置とは、蓄電機能を有する素子及び装置全般を指すものである。例えば、リチウムイオン二次電池などの蓄電池(二次電池ともいう)、リチウムイオンキャパシタ、ニッケル水素電池、全固体電池、及び電気二重層キャパシタなどを含む。
【0003】
また、本発明の一態様は、ニューラルネットワーク、及びそれを用いた二次電池の制御装置に関する。また、本発明の一態様は、ニューラルネットワークを用いた車両に関する。また、本発明の一態様は、ニューラルネットワークを用いた電子機器に関する。また、本発明の一態様は、車両に限定されず、構造体などに設置された太陽光発電パネルなどの発電設備から得られた電力を貯蔵するための二次電池にも適用できる。
【背景技術】
【0004】
近年、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、空気電池等、種々の蓄電装置の開発が盛んに行われている。特に高出力、高エネルギー密度であるリチウムイオン二次電池は、携帯電話、スマートフォン、タブレット、もしくはノート型コンピュータ等の携帯情報端末、ゲーム装置、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、医療機器、又は、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)、もしくはプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車、電動バイクなど、半導体産業の発展と併せて急速にその需要が拡大し、充電可能なエネルギーの供給源として現代の情報化社会に不可欠なものとなっている。
【0005】
また、電力を多く必要とする電動車両などには電源などに接続されているスイッチング素子を複数有しており、各々スイッチング素子のオン状態とオフ状態の切り替え時に電磁ノイズが発生する。電磁ノイズは、スイッチング動作による過渡電流が高周波電流を誘起し、電磁放射が発生することを指している。電磁ノイズの伝導には導体伝導と空間伝導があり、電力が大きければ大きいほど電磁ノイズが大きくなる。電磁ノイズの空間伝導を遮断するためにはシールドを設ける場合もあるが、さまざまな種類の電磁ノイズがあるため、遮断することが困難である。電磁ノイズは短時間の強いノイズ(スパイク状ノイズ、バースト状ノイズ或いはモノパルスノイズ)である。発生源の異なるノイズが重なって大きな電磁ノイズとなる場合もある。大きな電磁ノイズは、電源ラインなどを経由して他のデバイスの動作に影響を与える電磁障害(EMI:Electromagnetic Interference)が生じ、例えば回路の誤動作を引き起こす恐れがある。
【0006】
電磁ノイズがバッテリーマネジメントシステムに入力されると、正常動作しない、或いは異常となっていない二次電池からの出力を電磁ノイズの影響により異常とみなしてしまう恐れがある。
【0007】
電池システムにおいて、電池セルの過充電や過放電の診断をおこなう特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2005-318751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
二次電池を含むデバイスの集合体の出力信号を長期間にわたりモニタリングすると、得られている観測値に不要な電磁ノイズと異常信号とが混在している。異常信号も大きなノイズの一種とも言えるが二次電池の安全管理上必要なノイズと言える。電磁ノイズと二次電池の異常信号ノイズとの区別を可能とし、リアルタイムまたは準リアルタイムで異常の検知を行い、より精密に異常検出を行う装置または二次電池制御システムを開示することを課題の一つとする。
【0010】
電力を多く必要とする電動車両などにはモータやインバータやDCDCコンバータがあり、大電力をスイッチング制御するため比較的大きな電磁ノイズ(スイッチングノイズとも呼ぶ)が発生し、電磁ノイズにより誤動作が生じる恐れがある。誤動作が生じにくく、異常検知を精度高く行える二次電池の制御方法を提供することも課題の一つである。また、LSIなどの半導体チップの動作スピードが速ければ速いほど消費する電力の変化が激しくなり、電圧の変動が増大し、これがノイズとなって伝わる。車載に搭載するシステムに用いるLSIは数が増え、今後、電気自動車を半自動または全自動とすることに向けて動作スピードも上げることが必要とされている。電気自動車を半自動または全自動とすると電磁ノイズも大きくなるため、その電磁ノイズの影響を最低限に抑えて充電率を高精度に算出することを課題とする。
【0011】
電磁ノイズやジッタを軽減または正確に除去する方法も課題の一つである。なお、ジッタとは信号波形の時間軸方向に発生する非常に時間的に短い変動(ゆらぎ)成分のことである。信号をAD変換した時、デジタル信号にジッタが生じる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書で開示する発明の構成は、電磁ノイズを発生するデバイスと、デバイスと電気的に接続する二次電池の電圧値を測定する第1の検出手段と、デバイスと電気的に接続する二次電池の電流値を測定する第2の検出手段と、第1の検出手段または第2の検出手段を用いて得られる複数の電磁ノイズを含むデータから電磁ノイズと駆動パターンとの間の因果関係を抽出し、該因果関係に基づいてデータ補正を行う補正手段と、データ補正後のデータに基づいて回帰モデルを用いて充電率を算出する演算手段と、を有する二次電池の充電状態推定装置である。
【0013】
上記構成において回帰モデルは、状態方程式に基づくカルマンフィルタである。
【0014】
カルマンフィルタは、無限インパルス応答フィルタの一種である。また、重回帰分析は多変量解析の一つであり、回帰分析の独立変数を複数にしたものである。重回帰分析としては、最小二乗法などがある。回帰分析では観測値の時系列が多く必要とされる一方、カルマンフィルタは、ある程度のデータの蓄積さえあれば、逐次的に最適な補正係数が得られるメリットを有する。また、カルマンフィルタは、非定常時系列に対しても適用できる。
【0015】
二次電池の内部抵抗及びSOC(State Of Charge)を推定する方法として、非線形カルマンフィルタ(具体的には無香料カルマンフィルタ(UKFとも呼ぶ))を利用することができる。また、拡張カルマンフィルタ(EKFともよぶ)を用いることもできる。なお、SOC(State Of Charge)とは、充電状態(充電率ともよぶ)を示しており、満充電時を100%、完全放電時を0%とする指標である。
【0016】
また、上記構成において、データ補正は、電磁ノイズの逆位相の信号を生成し、電磁ノイズの少なくとも一部を打ち消すことによって行う。例えば、電磁ノイズの逆位相の信号を生成は、機械学習で得られた演算結果を基に、インバータまたはコンバータなどを含む電力発生手段で逆位相の電力を生成し、電源に帰還させて打ち消す。なお、データ補正が複雑でなければ機械学習は必要ないため、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)などを適宜設計し、インバータまたはコンバータなどを含む電力発生手段で逆位相の電力を生成し、電源に帰還させて打ち消すこともできる。
【0017】
電力を多く必要とする電動車両などに対して、駆動パターンとカルマンフィルタの予測誤差を入力とし、電磁ノイズの影響をキャンセルするように、予測誤差の補正データを補正手段、具体的には機械学習で作成し、駆動パターンと紐付けする。元の信号には、ノイズと駆動パターンとの関係を紐付けする情報が埋め込まれている。紐付けされた補正データを実使用で適用する。因果関係がある程度わかっているため、補正精度を上げやすい。
【0018】
駆動パターンとは、インバータやコンバータやモータや無線モジュール、コンピュータなどのデバイスを駆動させる場合に一連の動作を行うモードを指しており、例えば電動車両の運転時において、電力を消費するアクセル動作時や、回生電流が得られるブレーキ動作時などは駆動パターンの一つと言える。
【0019】
また、電磁ノイズの影響をキャンセルするように、電磁ノイズに基づく逆位相の信号を用いて補正により不要な電磁ノイズを打ち消した補正後のデータを用いると、高品質の信号出力を基に充電率を精度高く算出することもできる。電磁ノイズをキャンセルするための逆位相の信号は、機械学習で作成することが好ましい。
【0020】
また、マイクロショートに関係するノイズは比較的ノイズ強度が大きい。従って、マイクロショートなどの異常検出は、予め設定したしきい値を越えた場合に検出することができる。
【0021】
マイクロショートとは、二次電池の内部の微小な短絡のことを指しており、二次電池の正極と負極が短絡して充放電不可能の状態になるというほどではなく、微小な短絡部でわずかに短絡電流が流れてしまう現象を指している。比較的短時間、且つ、わずかな箇所であっても大きな電圧変化が生じるため、その異常な電圧値がその後の推定に影響を与える恐れがある。
【0022】
マイクロショートの原因の一つは、充放電が複数回行われることによって、正極活物質の不均一な分布により、正極の一部と負極の一部で局所的な電流の集中が生じ、セパレータの一部が機能しなくなる箇所の発生、または副反応による副反応物の発生によりミクロな短絡が生じていると言われている。
【0023】
理想的な二次電池としては、二次電池の小型化のため、セパレータの薄化が望まれており、さらに、高い電圧での急速給電による充電が望まれており、どちらも二次電池にマイクロショートが生じやすい構成となっている。マイクロショートが生じたからといってすぐに二次電池が使用不可となるわけではないが、充放電を何回か繰り返せばマイクロショートが繰り返し発生することで二次電池の異常発熱、及び発火などの重大事故に繋がる可能性がある。従って、マイクロショートの発生は、異常予兆とも言える。マイクロショートの問題は充電中に発生する。例えば1本のみの電池で構成されている場合は、充電器で電流が制御されるため、マイクロショート時には見た目の電流値は変化せず、電圧値に変化が現れる。ただし並列電池になると、電圧変化は小さくなり検出が難しくなる。また、この電圧変化は電池使用の上下限電圧範囲内にあるため、特別な検知機構が必要である。また、電流に関しては並列電池では、マイクロショートが発生すると内部抵抗が低くなるため、健常電池に流れる電流量は相対的に小さくなり、異常電池に多くの電流が流れることになり危険である。ただし、組電池全体の電流は制御された値が保たれる為、異常を検知することが難しい。また、一般的な組電池(電池パックとも呼ぶ)の構成であれば、各直列段の電圧をモニターすることが普通であるが、全電池の電流をモニターすることはコスト、配線の煩雑さから採用するのは難しい。
【0024】
マイクロショートが発生した場合に早期に検出し、未然に重大事故を防ぐための異常検知システム、または二次電池の制御システム、または二次電池の充電システムを構成し、さらに異常検知の元となったデータ、即ちマイクロショートに関係するノイズを異常検知後の推測に用いないようにすることで、異常検知後にもマイクロショートが繰り返し発生するまでは、二次電池の使用を可能とすることができる。
【0025】
マイクロショートに関係するノイズは、推定のための演算に用いず、数ステップ前までの平均値を用いる。さらに、マイクロショートに関係するノイズ以外は、機械学習で作成された電磁ノイズをキャンセルするための逆位相の信号を用いて補正を行う。
【0026】
このようにマイクロショートに関係するノイズと、それ以外の電磁ノイズとを区別し、別々の補正を行うことで、演算手段(具体的にはコンピュータ)による充電率などのパラメータ値の予測精度を上げることができる。
【0027】
予測ステップとフィルタリングステップを逐次、交互に行うのではなく、複数の予測ステップをまとめて行った後、複数のフィルタリングステップをまとめて行うことで、非同期によるタイミングのズレ(ジッタなど)を補正する。
【0028】
組電池の場合、各電池を順番にフィルタリングするのではなく、複数の電池の予測ステップをまとめて行った後、複数のフィルタリングステップをまとめて行う。なお、組電池は、二次電池の取り扱いを容易にするため、複数個の二次電池を、所定の回路と共に容器(金属缶、フィルム外装体)内部に収納したものを指す。
【0029】
ノイズを含んだままのデータをニューラルネットワークに利用すると、異常検知の精度が低下する恐れがある。異常検知性能は、学習データの質に大きく影響を受ける傾向がある。ノイズなどの異常値が学習データに混入すると、正常であっても異常と判断される恐れがある。
【0030】
ノイズなどの異常値を切り分け、補正データを作成することで、精度を高く異常検知することができる。なお、電気自動車に限定されず、モータ、インバータ、コンバータ、無線モジュールのうち、少なくとも一つを有するデバイス、例えば携帯情報端末、補聴器、撮像装置、掃除機、電動工具、電気シェーバー、照明機器、玩具、医療機器、ロボット、パーソナルコンピュータ、ウエアラブル機器であれば、本発明を用いて上述の課題を解決することができる。また、住宅を含む建築物の電力貯蔵用電源などにも本発明を用いて上述の課題を解決することができる。
【0031】
本明細書で開示する他の発明の構成は、二次電池の異常検出装置であって、二次電池の電圧値を測定する電圧取得部と、二次電池の電流値を測定する電流取得部と、電圧値及び電流値を入力とし、回帰モデルを用いて演算を行い予測誤差を算出する演算部と、予測誤差及び駆動パターンを入力とし、駆動パターンに対応づけたノイズをキャンセルするように予測誤差の補正データを作成し、補正データと駆動パターンを対応づけて補正モデルを構築する機械学習部と、機械学習部の結果を記憶する学習結果記憶部と、補正データを用いて補正された予測誤差が正常か異常かを判定する判定部と、を有する二次電池の異常検出装置である。
【0032】
上記構成において、回帰モデルは、状態方程式に基づくカルマンフィルタを用いる。
【0033】
上記構成において、前記回帰モデルは、予測ステップを複数連続で行った後、複数のフィルタリングステップが連続で行われることを特徴の一つとしている。
【0034】
上記構成において、機械学習部がニューラルネットワークを備える。
【0035】
上記構成において、補正された予測誤差が異常と判定された時のみに駆動して異常であることを使用者に通知する異常通知回路を有してもよい。異常通知回路は、金属酸化物層をチャネルとするトランジスタを少なくとも有する。金属酸化物層をチャネルとするトランジスタは、オフ状態でのリーク電流が小さいため、消費電力を抑えることができる。
【0036】
駆動パターンと予測誤差を学習することで、ノイズと異常をある程度精度よく、判別することができ、精度の高い異常検出装置を実現できる。同期ズレの問題に関しては、予測ステップやフィルタリングステップをまとめて処理することで解決することができる。
【発明の効果】
【0037】
本明細書で開示した手法により、多くの半導体チップを有する電動車両などのデバイスにおいて、電磁ノイズを除くことができれば、本来の信号成分だけが残り、その信号成分を演算に用いることで、推定精度を向上させることができる。また、異常検知の精度が上がるため、より精密に異常検出を行う装置または二次電池制御システムを実現できる。
【0038】
また、不要な電磁ノイズを除くことで誤動作が生じにくく、異常検知を精度高く行える二次電池制御方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】(A)は本発明の一態様を示すブロックであり、(B)は組電池の斜視図である。
図2】(A)及び(B)は二次電池の一例を示す斜視図であり、(C)は充電時の電流の方法を示す模式図である。
図3】(A)、(B)、(C)は、移動体の一例を示す図。
図4】(A)及び(B)は二次電池の管理システムの構成図である。
図5】(A)はニューラルネットワークの一例を示す図であり、(B)はLSTMを説明する図である。
図6】動作ステップの概念図である。
図7】フロー図である。
図8】本発明の一態様を示すブロック図の一例である。
図9】本発明の一態様を示す異常検出のフロー図の一例である。
図10】(A)、(B)、(C)、(D)は、本発明の一態様を示す概念図である。
図11】本発明の一態様を示す異常検出のフロー図の一例である。
図12】(A)、(B)、(C)、(D)は、デバイスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0041】
(実施の形態1)
本実施の形態では、図1(A)を用いて電気自動車(EV)に適用する例を示す。
【0042】
電気自動車には、メインの駆動用の二次電池として第1のバッテリ301と、モータ304を始動させるインバータ312に電力を供給する第2のバッテリ311が設置されている。本実施の形態では、第2のバッテリ311の電源で駆動する異常監視ユニット300が第1のバッテリ301を構成する複数の二次電池をまとめて監視する。モータ304などからの不要なノイズをキャンセルするような信号を生成し、信号を補正し、補正後の信号を異常監視ユニット300に入力するための補正手段320が設けられている。異常監視ユニット300は、マイクロショートの異常検知と、演算による充電状態推定を行う。なお、異常監視ユニット300は、第1のバッテリ301の温度を測定するための温度センサ(図示しない)の温度をモニタリングする。同様に、異常監視ユニット300は、第2のバッテリ311の温度を測定するための温度センサ(図示しない)の温度もモニタリングする。温度センサで得られた温度の異常も異常監視ユニット300で監視することもできる。また、後に詳細に説明する演算または機械学習などのパラメータの一つとして温度センサの数値を用いてもよい。
【0043】
二次電池の充電状態の推定を行う推定方法を以下に示す。
【0044】
二次電池の異常発生の検出を行った後、引き続き推定を行う手順を繰り返す。推定には、回帰や機械学習などの手段によって、システムの入力に対して最適な出力を決定することができる仕組み(例えば、ニューラルネットワーク、隠れマルコフモデル、多項式関数近似など)を用いてもよい。機械学習を行うためには機械学習のための大量のデータ及び分析を用いることが好ましいため、ワークステーションまたはサーバアプライアンス上のサイト内で実施してもよく、その場合には1以上のサーバを用い、データの蓄積、及び分析を自動化またはオペレータの連携を伴う半自動化で行う。また、予め大量のデータ及び分析が終了し結果が得られている場合には、それらの結果をシステム、具体的にはプログラムまたはICチップのメモリに組み込むことでサーバを用いることなく異常検出及び充電状態の推定を行うこともできる。
【0045】
事前推定予測ステップでは推定アルゴリズム及び入力値を利用し、事後推定ステップ(フィルタリングステップとも呼ぶ)では観測値を利用する。
【0046】
【数1】
【0047】
上記式は、システムの状態の遷移を記述する状態方程式である。
【0048】
ある時点(時刻k)において観測値y(k)はx(k)と以下のような関係にある。
【0049】
【数2】
【0050】
は状態空間を観測空間に線形写像する役割を担う観測モデルである。w(k)は観測雑音である。上記式は観測方程式である。
【0051】
状態方程式と観測方程式を合わせて状態空間モデルと呼ぶ。
【0052】
また、事前状態推定値は以下の式で表せる。
【0053】
【数3】
【0054】
なお、kは0、1、2、・・・、Nは離散時間である。u(k)は入力信号であり二次電池の場合電流値となり、x(k)は状態変数を表している。
【0055】
また、事前誤差共分散は以下の式で表せる。
【0056】
【数4】
【0057】
事前推定予測ステップでは状態方程式に基づき、事前状態推定値及び状態の事前誤差共分散行列を算出する。時刻kにおける事後状態推定値及び状態の事後誤差共分散行列と状態方程式に基づき、時刻k+1における事前状態推定値及び事前誤差共分散行列を算出する。
【0058】
推定値と実測の電圧(観測値)を比較し、カルマンフィルタにより、誤差の重み付け係数であるカルマンゲインを算出して、推定値を補正する。フィルタリングステップで用いるカルマンゲインg(k)は以下の式で表すことができる。
【0059】
【数5】
【0060】
フィルタリングステップで用いる事後状態推定値は、以下の式で表すことができる。
【0061】
【数6】
【0062】
また、フィルタリングステップで用いる事後誤差共分散P(k)は以下の式で表すことができる。
【0063】
【数7】
【0064】
上述した二次電池の異常発生の検出を行う測定モデルにより、以下の式の値、即ちある時点における観測値(電圧)と事前状態変数を用いて推定した電圧との差(差電圧)を監視し、その値の挙動が大きく変化した場合をマイクロショートなどの異常が発生したとみなすことで検知する。
【0065】
【数8】
【0066】
比較器などにより上記式の差電圧の値が、あるしきい値を越えたとして信号を出力し、異常を検知する。比較器に入力するしきい値の電圧信号REFと比較を行って異常を判断する。異常を検知したタイミングのデータは、後の推定で用いず、代わりに数ステップ前までの平均値を推定アルゴリズムに入力するようにする。
【0067】
上記式の差電圧の値が、電圧信号REFLを下回ると又は電圧信号REFLHを上回ると、前のステップの数回分の平均値と差し替える。従って、上記式の差電圧の値が、比較器に入力される電圧信号REFLを下回ると又は電圧信号REFLHを上回ると、その差電圧はカルマンフィルタのループには投入されない。代わりに平均値が推定アルゴリズムに入力されることで、不要な電磁ノイズ又は異常が発生してもSOCの推定などを精度高く行うことができる。不要な電磁ノイズ又はマイクロショートの異常を検知したタイミングのデータを用いず、代わりに数ステップ前までの平均値を推定アルゴリズムに入力すれば、上記式の差電圧の値は、不要な電磁ノイズ又はマイクロショートの発生しない場合のデータと近似する。
【0068】
また、不要な電磁ノイズを含んでいる場合、補正手段320において、不要な電磁ノイズとマイクロショート起因のノイズを区別し、不要な電磁ノイズを打ち消すような信号を機械学習によって構成し、本来の信号成分だけを残して、その信号成分を充電率などのパラメータ値を算出するための演算に用いる。
【0069】
また、補正手段320は、不要なノイズをキャンセルするような信号を生成し、信号を補正し、補正後の信号を異常監視ユニット300に入力して充電状態推定を行ってもよい。
【0070】
また、不要な電磁ノイズを打ち消す処理と、マイクロショートのノイズを補正する処理の順序は特に限定されず、どちらを先に行ってもよい。どちらを先に行っても得られる演算結果はほとんど同等である。
【0071】
第1のバッテリ301は、主に42V系(高電圧系)の車載機器に電力を供給し、第2のバッテリ311は14V系(低電圧系)の車載機器に電力を供給する。第2のバッテリ311は鉛蓄電池がコスト上有利のため採用されることが多い。鉛蓄電池はリチウムイオン二次電池と比べて自己放電が大きく、サルフェーションとよばれる現象により劣化しやすい欠点がある。第2のバッテリ311をリチウムイオン二次電池とすることでメンテナンスフリーとするメリットがあるが、長期間の使用、例えば3年以上となると、製造時には判別できない異常が生じる恐れがある。特にインバータを起動する第2のバッテリ311が動作不能となると、第1のバッテリ301に残容量があってもモータを起動させることができなくなることを防ぐため、第2のバッテリ311が鉛蓄電池の場合は、第1のバッテリから第2のバッテリに電力を供給し、常に満充電状態を維持するように充電されている。
【0072】
本実施の形態では、第1のバッテリ301と第2のバッテリ311の両方にリチウムイオン二次電池を用いる一例を示す。第2のバッテリ311は鉛蓄電池や全固体電池を用いてもよい。
【0073】
円筒型の二次電池の例について図2(A)及び図2(B)を参照して説明する。円筒型の二次電池600は、図2(A)に示すように、上面に正極キャップ(電池蓋)601を有し、側面および底面に電池缶(外装缶)602を有している。これら正極キャップと電池缶(外装缶)602とは、ガスケット(絶縁パッキン)610によって絶縁されている。
【0074】
図2(B)は、円筒型の二次電池の断面を模式的に示した図である。中空円柱状の電池缶602の内側には、帯状の正極604と負極606とがセパレータ605を間に挟んで捲回された電池素子が設けられている。図示しないが、電池素子はセンターピンを中心に捲回されている。電池缶602は、一端が閉じられ、他端が開いている。電池缶602には、電解液に対して耐腐食性のあるニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、又はこれらの合金やこれらと他の金属との合金(例えば、ステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、ニッケルやアルミニウム等を被覆することが好ましい。電池缶602の内側において、正極、負極およびセパレータが捲回された電池素子は、対向する一対の絶縁板608、609により挟まれている。また、電池素子が設けられた電池缶602の内部は、非水電解液(図示せず)が注入されている。二次電池は、コバルト酸リチウム(LiCoO)やリン酸鉄リチウム(LiFePO)などの活物質を含む正極と、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な黒鉛等の炭素材料からなる負極と、エチレンカーボネートやジエチルカーボネートなどの有機溶媒に、LiBFやLiPF等のリチウム塩からなる電解質を溶解させた非水電解液などにより構成される。
【0075】
円筒型の二次電池に用いる正極および負極は捲回するため、集電体の両面に活物質を形成することが好ましい。正極604には正極端子(正極集電リード)603が接続され、負極606には負極端子(負極集電リード)607が接続される。正極端子603および負極端子607は、ともにアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。正極端子603は安全弁機構612に、負極端子607は電池缶602の底にそれぞれ抵抗溶接される。安全弁機構612は、PTC素子(Positive Temperature Coefficient)611を介して正極キャップ601と電気的に接続されている。安全弁機構612は電池の内圧の上昇が所定の閾値を超えた場合に、正極キャップ601と正極604との電気的な接続を切断するものである。また、PTC素子611は温度が上昇した場合に抵抗が増大する熱感抵抗素子であり、抵抗の増大により電流量を制限して異常発熱を防止するものである。PTC素子には、チタン酸バリウム(BaTiO)系半導体セラミックス等を用いることができる。
【0076】
電解液を用いるリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、セパレータと、電解液と、外装体とを有する。なお、リチウムイオン二次電池では、充電と放電でアノード(陽極)とカソード(陰極)が入れ替わり、酸化反応と還元反応とが入れ替わることになるため、反応電位が高い電極を正極と呼び、反応電位が低い電極を負極と呼ぶ。したがって、本明細書においては、充電中であっても、放電中であっても、逆パルス電流を流す場合であっても、充電電流を流す場合であっても、正極は「正極」または「+極(プラス極)」と呼び、負極は「負極」または「-極(マイナス極)」と呼ぶこととする。酸化反応や還元反応に関連したアノード(陽極)やカソード(陰極)という用語を用いると、充電時と放電時とでは、逆になってしまい、混乱を招く可能性がある。したがって、アノード(陽極)やカソード(陰極)という用語は、本明細書においては用いないこととする。仮にアノード(陽極)やカソード(陰極)という用語を用いる場合には、充電時か放電時かを明記し、正極(プラス極)と負極(マイナス極)のどちらに対応するものかも併記することとする。
【0077】
図2(C)に示す2つの端子には充電器が接続され、二次電池1400が充電される。二次電池1400の充電が進めば、電極間の電位差は大きくなる。図2(C)では、二次電池1400の外部の端子から、正極1402の方へ流れ、二次電池1400の中において、正極1402から負極1404の方へ流れ、負極から二次電池1400の外部の端子の方へ流れる電流の向きを正の向きとしている。つまり、充電電流の流れる向きを電流の向きとしている。なお、1406は電解液、1408はセパレータを示す。
【0078】
本実施の形態では、リチウムイオン二次電池の例を示すが、リチウムイオン二次電池に限定されず、二次電池の正極材料として例えば、元素A、元素X、及び酸素を有する材料を用いることができる。元素Aは第1族の元素および第2族の元素から選ばれる一以上であることが好ましい。第1族の元素として例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属を用いることができる。また、第2族の元素として例えば、カルシウム、ベリリウム、マグネシウム等を用いることができる。元素Xとして例えば金属元素、シリコン及びリンから選ばれる一以上を用いることができる。また、元素Xはコバルト、ニッゲル、マンガン、鉄、及びバナジウムから選ばれる一以上であることが好ましい。代表的には、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)や、リン酸鉄リチウム(LiFePO)が挙げられる。
【0079】
負極は、負極活物質層および負極集電体を有する。また、負極活物質層は、導電助剤およびバインダを有していてもよい。
【0080】
負極活物質として、リチウムとの合金化・脱合金化反応により充放電反応を行うことが可能な元素を用いることができる。例えば、シリコン、スズ、ガリウム、アルミニウム、ゲルマニウム、鉛、アンチモン、ビスマス、銀、亜鉛、カドミウム、インジウム等のうち少なくとも一つを含む材料を用いることができる。このような元素は炭素と比べて容量が大きく、特にシリコンは理論容量が4200mAh/gと高い。
【0081】
また、二次電池は、セパレータを有することが好ましい。セパレータとしては、例えば、紙をはじめとするセルロースを有する繊維、不織布、ガラス繊維、セラミックス、或いはナイロン(ポリアミド)、ビニロン(ポリビニルアルコール系繊維)、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタンを用いた合成繊維等で形成されたものを用いることができる。
【0082】
また、図1に示すように、タイヤ316の回転による回生エネルギーは、ギア305を介してモータ304に送られ、モータコントローラ303やバッテリコントローラ302から第2のバッテリ311に充電、または第1のバッテリ301に充電される。
【0083】
また、第1のバッテリ301は主にモータ304を回転させることに使用されるが、DCDC回路306を介して42V系の車載部品(電動パワステ307、ヒーター308、デフォッガ309など)に電力を供給する。後輪にリアモータを有している場合にも、第1のバッテリ301がリアモータを回転させることに使用される。
【0084】
また、第2のバッテリ311は、DCDC回路310を介して14V系の車載部品(オーディオ313、パワーウィンドウ314、ランプ類315など)に電力を供給する。
【0085】
モータ304を用いる電動車両は、複数のECU(Electronic Control Unit)を有し、ECUによってエンジン制御などを行う。ECUは、マイクロコンピュータを含む。ECUは、電動車両に設けられたCAN(Controller Area Network)に接続される。CANは、車内LANとして用いられるシリアル通信規格の一つである。
【0086】
また、無線通信を行うために、無線ネットワークを利用する無線通信モジュールを車両に設けてもよい。
【0087】
また、第1のバッテリ301は、複数の二次電池で構成される。例えば、図2(A)に示した円筒形の二次電池600を用いる。図1(B)に示すように、円筒形の二次電池600を、導電板613および導電板614の間に挟んでモジュールを構成してもよい。図1(B)には二次電池間にスイッチを図示していない。複数の二次電池600は、並列接続されていてもよいし、直列接続されていてもよいし、並列に接続された後、さらに直列に接続されていてもよい。複数の二次電池600を有するモジュールを構成することで、大きな電力を取り出すことができる。
【0088】
車載の二次電池において、複数の二次電池からの電力を遮断するため、工具を使わずに高電圧を遮断できるサービスプラグまたはサーキットブレーカを有しており、第1のバッテリ301に設けられる。例えば、2個から10個のセルを有する電池モジュールを48個直列に接続する場合には、24個目と25個目の間にサービスプラグまたはサーキットブレーカを有している。
【0089】
図3において、本発明の一態様である二次電池の充電状態推定装置を用いた車両を例示する。図3(A)に示す自動車8400の二次電池8024は、電気モータ8406を駆動するだけでなく、ヘッドライト8401やルームライト(図示せず)などの発光装置に電力を供給することができる。自動車8400の二次電池8024は、図1(B)に示した円筒形の二次電池600を、導電板613および導電板614の間に挟んでモジュールとしたものを用いてもよい。
【0090】
図3(B)に示す自動車8500は、自動車8500が有する二次電池にプラグイン方式や非接触給電方式等により外部の充電設備から電力供給を受けて、充電することができる。図3(B)に、地上設置型の充電装置8021から自動車8500に搭載された二次電池8024に、ケーブル8022を介して充電を行っている状態を示す。充電に際しては、充電方法やコネクターの規格等はCHAdeMO(登録商標)やコンボ等の所定の方式で適宜行えばよい。充電装置8021は、商用施設に設けられた充電ステーションでもよく、また家庭の電源であってもよい。例えば、プラグイン技術によって、外部からの電力供給により自動車8500に搭載された二次電池8024を充電することができる。充電は、ACDCコンバータ等の変換装置を介して、交流電力を直流電力に変換して行うことができる。また、電動車両は、PLC(Power Line Communication)技術を用いて車両と充電装置8021の接続を行う電力線を通信線として利用してもよい。
【0091】
また、図示しないが、受電装置を車両に搭載し、地上の送電装置から電力を非接触で供給して充電することもできる。この非接触給電方式の場合には、道路や外壁に送電装置を組み込むことで、停車中に限らず走行中に充電を行うこともできる。また、この非接触給電の方式を利用して、車両どうしで電力の送受信を行ってもよい。さらに、車両の外装部に太陽電池を設け、停車時や走行時に二次電池の充電を行ってもよい。このような非接触での電力の供給には、電磁誘導方式や磁界共鳴方式を用いることができる。
【0092】
また、図3(C)は、本発明の一態様の二次電池の充電状態推定装置を用いた二輪車の一例である。図3(C)に示すスクータ8600は、二次電池8602、サイドミラー8601、方向指示灯8603を備える。二次電池8602は、方向指示灯8603に電気を供給することができる。
【0093】
また、図3(C)に示すスクータ8600は、座席下収納8604に、二次電池8602を収納することができる。二次電池8602は、座席下収納8604が小型であっても、座席下収納8604に収納することができる。
【0094】
本明細書で以下に説明される実施形態は、種々のコンピュータハードウェア、若しくはソフトウェアを含む、専用コンピュータまたは汎用コンピュータの使用を含む。また、本明細書で以下に説明される実施形態は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体を使用して実装することができる。また、記録媒体は、RAM、ROM、または光ディスク、磁気ディスク、またはコンピュータによってアクセスされうる任意の他のストレージ媒体を含んでもよい。また、本明細書で以下に説明される実施形態に一例として示されているアルゴリズム、構成要素、フロー、プログラムなどはソフトウェアにおいて実装される、或いはハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにおける実装が可能である。
【0095】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0096】
(実施の形態2)
実施の形態1に従えば、マイクロショートなどの突発性ノイズを検出できる。上記数式8で算出される値が、しきい値を越えればマイクロショートと特定できるため、それ以外のノイズを分類し、ノイズと駆動パターンとを紐づけて機械学習を行う。
【0097】
マイクロショートのように紐づけできれば、そのノイズは二次電池が原因であることがわかる。それ以外のものは、モータ、インバータ、コンバータ、無線モジュールなどからどのようなノイズかをデータを集め、解析、学習することでノイズを分類でき、また、その中でも異常が検出されれば、二次電池の異常だけでなく、モータ、インバータ、コンバータ、無線モジュールなどの故障や故障にいたる予兆を検出することもできる。
【0098】
また、ノイズを打ち消すための信号を形成する場合、逆位相の信号を重畳させることで打ち消すことができるが、打ち消さなくとも打ち消したとみなした数値を基に演算処理により充電率(SOC)などを演算してもよい。ノイズを打ち消す場合は、信号にノイズが除去され、他の回路などで誤作動が生じない。
【0099】
図4は、二次電池のSOCを推定し、且つ、異常検知も行える管理システムの一例を図4に示す。また、異常検知を行うフロー図を図7に示す。図7に示すようにモータを作動させることで電磁ノイズが発生し、電磁ノイズを含む二次電池の特性データを抽出(S1)する。そしてカルマンフィルタで予測誤差を算出(S2)し、異常検出(S3)となった場合、Noff-CPU(ノーマリーオフCPU)をアクティブ状態に切り替え(S5)、CPUに通知(S6)する。また、異常が検出されなかった場合には機械学習によりノイズを打ち消す補正およびタイミングのズレを補正する補正データを作成(S4)する。なお、ノーマリーオフCPUとは、ゲート電圧が0Vであっても非導通状態(オフ状態ともいう)であるノーマリーオフ型のトランジスタを含む集積回路である。ノーマリーオフ型のトランジスタは、酸化物半導体を半導体層に用いることで実現できる。
【0100】
図4(A)は管理システムの構成図の一例を指している。電気自動車の制御用のECUは、マイクロコンピュータで構成され、マイクロコンピュータはCPU(Central Processor Unit)501を含み、電気自動車全体を管理する。本実施の形態では、CPU501を用いる例を示したが必要とされる演算ができるのであれば特に限定されず、GPU(Graphics Processing Unit)、またはAPU(Accelerated Processing Unit)を用いてもよい。なお、APUは、CPUとGPUを一つに統合したチップを指している。
【0101】
また、FPGA502は、二次電池の実際の電圧(観測電圧)を検出する素子または二次電池の実際の電流(観測電流)を用いてSOCや内部抵抗を出力し、CPU501にそれらの情報を提供する素子構成を有している。また、CPU501が内部演算回路やデータバスで扱えるビット数は、例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビットなどとすることができる。
【0102】
また、図4(A)中のNoff-CPU503は、非アクティブ状態で待機しておき、異常が検出されて初めてアクティブ状態となり、CPU501に通知する回路構成を有している。また、Noff-CPU503は、一部に酸化物半導体を有するトランジスタを含み、そのトランジスタはノーマリーオフ型である。ノーマリーオフ型トランジスタは、しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有する。また、また、Noff-CPU503が内部演算回路やデータバスで扱えるビット数は、例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビットなどとすることができる。
【0103】
補正手段520はFPGA502で得られる予測誤差電圧を順次取り込み、時系列予測誤差電圧をある一定の長さで常にキャプチャし、学習によって得られた不要な電磁ノイズをキャンセルするための信号(不要な電磁ノイズと逆相の信号)を加算することで、不要な電磁ノイズを除去した予測誤差信号を算出し、当該予測誤差電圧を基にSOCや内部抵抗のパラメータを補正する。
【0104】
また、当該予測誤差信号が予め定めたしきい値を超えた場合を異常とみなし、Noff-CPU503をアクティブ状態として、CPU501に通知する。
【0105】
学習手段は、まず、学習データから特徴値を抽出する。時間によって変化する相対的変化量を特徴値として抽出し、抽出された特徴値に基づいてニューラルネットワークを学習させる。学習手段は時間区間ごとに互いに異なる学習パターンに基づいてニューラルネットワークを学習させることができる。学習データに基づいた学習結果に従ってニューラルネットワークに適用された結合重みを更新することができる。
【0106】
事前に駆動パターンと因果関係のあるノイズの学習データを大量に収集しておき、解析済みの結果を利用して紐付けを行う補正手段であってもよい。補正手段520での補正は、ノイズと逆位相の信号を用いてノイズを打ち消す処理を行う。ニューラルネットワークだけでなく、線形モデル、カーネルモデルを使っても良い。
【0107】
こうして異なる2回の補正を行ったデータを基にCPU501で演算を行うSOCの推定処理を行い、充電率を算出することで精度の高い値を得ることができる。
【0108】
また、頻度が高くない異常検知のマイクロショートはほとんど発生せず、省電力化のため通常時は非動作、即ち回路が停止しているノーマリーオフ型CPUとするが好ましい。
【0109】
一方、補正手段520は、常時測定を行い、ノイズキャンセルを実行するため、リアルタイムまたは準リアルタイムにおいて充電状態推定を高い精度で行うことができる。本明細書で使用するリアルタイムとは、実質的に同時であることを指しており、信号処理の遅延を含むものとする。また、準リアルタイムとは、リアルタイムよりも広い適用範囲を示しており、例えば10秒以上3600秒以下の遅延を指している。
【0110】
また、図4(A)に示す一例に特に限定されず、例えば図4(B)に示す構成としてもよい。図4(B)では、Noff-CPU503とFPGA502を同じ1つのチップとする例である。一つのチップとすることで省スペース化、高集積化ができる。また、FPGA502と補正手段520を同じ1つのチップとしてもよい。
【0111】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2において図4に示したCPU501で演算を行うSOCの推定処理時のニューラルネットワーク処理に用いるニューラルネットワークNNの構成の一例を示す。
【0112】
図5(A)には、本発明の一態様のニューラルネットワークの一例を示す。図5(A)に示すニューラルネットワークNNは、入力層IL、出力層OL、及び隠れ層(中間層)HLを有する。ニューラルネットワークNNは、隠れ層HLを複数有するニューラルネットワーク、すなわち、ディープニューラルネットワークによって構成することができる。なお、ディープニューラルネットワークにおける学習を、ディープラーニングと呼ぶことがある。
【0113】
図5(A)に示す出力層OL、入力層IL、隠れ層HLはそれぞれ複数のニューロン回路を有し、異なる層に設けられたニューロン回路同士は、シナプス回路を介して接続されている。
【0114】
ニューラルネットワークNNには、二次電池の状態を解析する機能や、ノイズを解析する機能や、ノイズをキャンセルするための信号生成機能が、学習によって付加されている。そして、測定された二次電池のパラメータがニューラルネットワークNNに入力されると、各層において演算処理が行われる。各層における演算処理は、前層が有するニューロン回路の出力と重み係数との積和演算などにより実行される。なお、層と層との結合は、全てのニューロン回路同士が結合する全結合としてもよいし、一部のニューロン回路同士が結合する部分結合としてもよい。
【0115】
例えば、図5(B)に示すLSTM(Long Short-Term Memory)構造のリカレントニューラルネットワークを用いる。LSTM構造のリカレントニューラルネットワークは、他と比べてシーケンスの長さが長いシーケンシャルデータの認識率を高めることができる。
【0116】
LSTMにおいては、隠れ層(中間層)HLがLSTMBlockと呼ばれるメモリと3つのゲートをもつブロックとしている。3つのゲートは入力ゲート、忘却ゲート、出力デートである。
【0117】
また、図6に時刻(k-1)と時刻kにおける動作ステップの概念図を示す。カルマンフィルタでは、時刻が1つ進むごとに予測ステップとフィルタリングステップを実施していく。
【0118】
予測ステップでは、1ステップ前の事後誤差共分散(P(k-1))を使って事前誤差共分散(P(k))を決定する。なお、事前状態変数を決定する際は、システムの入力値(本実施の形態では電池の電流値u(k))も用いて事前状態変数が決定される。
【0119】
フィルタリングステップでは、事前誤差共分散を用いて事後誤差共分散を決定し、事前状態変数及び観測値(本実施の形態では電池の電圧y(k))を用いて事後状態変数が決定される。なお、LSTMにおいては、y(k)は出力値であり、一つ前の時刻k-1での出力値y(k-1)を用いて出力される。
【0120】
LSTM構造のリカレントニューラルネットワークは、図4(A)や図4(B)に示した管理システムを用いて実行することができる。
【0121】
また、図4に示したFPGA502のメモリ部やCPU501のメモリ部として酸化物半導体を用いたトランジスタを用いることで省電力化を図ることができる。ニューラルネットワークにおける積和演算などを行う場合、メモリ部にデータを保持した状態で多くの演算処理がおこなわれるため、有用である。
【0122】
また、本実施の形態は、実施の形態1または実施の形態2と自由に組み合わせることができる。
【0123】
(実施の形態4)
図8に二次電池100の異常検出装置のブロック図の一例を示す。図8に示す二次電池100の異常検出装置は、電気自動車やハイブリッド電気自動車などの車両に用いられる。図8に示すように、二次電池100の異常検出装置は、電流取得部である電流モニタIC102と、電圧取得部である電圧モニタIC103と、演算部104と、機械学習部120と、学習結果記憶部105と、判定部107とを少なくとも備える。
【0124】
演算部104、学習結果記憶部105、機械学習部120、判定部107、をまとめて学習部としてもよく、FPGAやマイクロコントローラで構成される。
【0125】
二次電池100はリチウムイオン二次電池を用いる。車両にリチウムイオン二次電池を用いる場合には複数用いるが、ここでは簡略化するため複数の二次電池を一つの二次電池として表現することとする。リチウムイオン二次電池は、充電或いは放電しすぎると劣化が促進される。従ってリチウムイオン二次電池は、充電率が一定範囲内(例えば20%以上80%以下)に収まるように充放電が保護回路や制御回路などによって管理される。
【0126】
電流モニタIC102は、検出した二次電池100の電流値を演算部104へ入力する。電圧モニタIC103は検出した二次電池100の電圧値を演算部104へ入力する。
【0127】
演算部104は、二次電池100の等価回路モデルと、カルマンフィルタとを有する。入力された電流値及び電圧値に基づいて、パラメータ値を推定し、推定したパラメータ値に基づいて予測誤差を算出できる。
【0128】
機械学習部120は、予測誤差及び駆動パターンを入力とし、駆動パターンに対応づけたノイズをキャンセルするように予測誤差の補正データを作成し、補正データと駆動パターンを対応づけて補正モデルを構築する。車両の駆動パターンと電磁ノイズは対応づけられることが多く、車両の駆動パターンと対応する場合には電磁ノイズであると認定できる。車両の駆動パターンと対応しない変化は、二次電池起因であるとすることができる。
【0129】
学習結果記憶部105は、機械学習部の結果を記憶する。事前に駆動パターンと因果関係のあるノイズの学習データを大量に収集しておき、解析済みの結果を記憶しておく。
【0130】
判定部107は、しきい値と比較し、補正データを用いて補正された予測誤差が正常か異常かを判定する。
【0131】
また、判定した結果を車両の上位制御部分、例えばCPU101に通達する。CPU101は異常を通知されると、使用者(運転者)などに対応措置を促す。
【0132】
また、判定部107が正常であった場合、特にCPU101に通達しなくともよく、正常と判断した時間を記録しておけばよい。また、信頼性の高い二次電池の場合、二次電池が異常発生することはほとんどないため、基本的には常時非動作状態としておくことが望ましく、長時間非動作状態であっても消費電力を極めて小さくすることが好ましい。従って、判定部107に電気的に接続する異常通知回路106を設け、Noff-CPUを用いてもよい。異常通知回路106は、異常を判定した場合に使用者(運転者)などに対応措置を促す構成としてもよい。
【0133】
Noff-CPUは、一部に酸化物半導体を有するトランジスタを含み、そのトランジスタはノーマリーオフ型である。ノーマリーオフ型トランジスタは、しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有する。また、また、Noff-CPUが内部演算回路やデータバスで扱えるビット数は、例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビットなどとすることができる。図8中の異常通知回路106は、非アクティブ状態で待機しておき、異常が検出されて初めてアクティブ状態となり、CPU101に通知する回路構成を有している。
【0134】
図8に示す異常検知装置を用いれば、マイクロショートなどの突発性異常を検出できる。マイクロショート以外のものは、モータ、インバータ、コンバータ、無線モジュールなどからどのようなノイズかデータに基づき対応づけ、解析、学習することでノイズを分類でき、また、その中でも異常が検出されれば、二次電池の異常だけでなく、モータ、インバータ、コンバータ、無線モジュールなどの故障や故障にいたる予兆を検出することもできる。
【0135】
また、異常検知を行うフローの一例を図9に示す。
【0136】
図9に示すようにモータを作動させることで電磁ノイズが発生し、電磁ノイズを含む二次電池の特性データを抽出(S1)する。そしてカルマンフィルタで予測誤差を算出(S2)し、異常検出(S3)となった場合、Noff-CPUをアクティブ状態に切り替え(S5)、CPUに通知(S6)する。また、異常が検出されなかった場合には機械学習によりノイズを打ち消す補正およびタイミングのズレを補正する補正データを作成(S4)する。異常が検出されなかった場合にはステップS1、S2、S3、S4を順に繰り返すこととなり、リアルタイムにチェックすることができる。なお、特にリアルタイムに限定されず、ある一定の間隔で間欠的に異常検知をおこなってもよい。
【0137】
また、図10(A)に逐次カルマンフィルタをかけるのではなく、事前推定予測ステップと事後推定ステップをある程度まとめて行うことで、非同期によるタイミングのズレを補正する概念図を示している。図10(A)において横軸は時間であり、上段が、事前推定予測ステップであり、下段が事後推定ステップである。図10(A)に示す方法とすることでタイミングのズレも一緒に学習することができる。
【0138】
事前推定予測ステップでは推定アルゴリズム及び入力値を利用し、事後推定ステップ(フィルタリングステップとも呼ぶ)では観測値を利用する。
【0139】
なお、比較例として図10(B)に逐次カルマンフィルタをかける概念図を示している。
【0140】
また、組電池では1つ1つ二次電池を逐次フィルタリングしていくのではなく、事前推定予測ステップと事後推定ステップをある程度まとめて行うことができ、その一例を図10(C)に示す。図10(C)において横軸は時間であり、上段が、事前推定予測ステップであり、下段が事後推定ステップである。図10(C)においては5つの二次電池を1つにまとめて事前推定予測ステップを行っている。
【0141】
なお、比較例として図10(D)に逐次カルマンフィルタをかける概念図を示している。
【0142】
また、10個以上の電池で構成された組電池を図10(C)に示した順序で学習させる場合の学習フローの一例を図11に示す。
【0143】
図11に示すようにモータを作動させることで電磁ノイズが発生し、電磁ノイズを含む二次電池の特性データを抽出(S1)する。そしてカルマンフィルタで予測誤差を算出(S2)し、機械学習によりノイズを打ち消す補正およびタイミングのズレを補正する補正データを作成する。
【0144】
この補正データを作成する際に、組電池のうち1個目から5個目まで事前推定予測ステップをまとめて行い、その後、1個目から5個目まで事後推定ステップをまとめて行う。その後に組電池のうち6個目から10個目まで事前推定予測ステップをまとめて行い、その後、6個目から10個目まで事後推定ステップをまとめて行う。その後は組電池の残りの電池を同様に5個ずつまとめて行えばよい。
【0145】
そして、得られた補正データと駆動パターンとの関連づけを行い、それらのデータを学習用データとして学習結果記憶部に記憶する。図11に示す学習フローを用いて、事前に学習させておくことで精度高く異常検知を行うことができる。
【0146】
また、組電池の数が多い、及び駆動パターンが多いことで学習用データが膨大なデータとなる場合には、車両外に通信可能なデータサーバなどに記憶すればよい。その場合には、車両外に設置された学習結果記憶部と車両内に設置された機械学習部との間でデータ通信を行いながら異常検知することとなる。
【0147】
(実施の形態5)
本発明の一態様に係る二次電池の異常検出装置は、車両に限らず、二次電池及び無線モジュールを有するデバイスに適用することができる。
【0148】
図12(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、二次電池7407及び二次電池7407の異常検出装置を有している。データを送受信する無線モジュールと二次電池7407とが近くに配置されていても上記実施の形態で説明した異常検出装置によってノイズを切り分けつつ異常検知を行うことができる。
【0149】
図12(B)は、情報処理装置200の外観の一例を説明する投影図である。本実施の形態で説明する情報処理装置200は、演算装置210と入出力装置220と、表示部230、240と、二次電池250及び異常検出装置とを有する。
【0150】
情報処理装置200は、ノイズ発生源となりえる通信部を有し、無線モジュールは、ネットワークに情報を供給し、ネットワークから情報を取得する機能を備える。また、通信部を用いて特定の空間に配信された情報を受信して、受信した情報に基づいて、画像情報を生成してもよい。情報処理装置200は、表示部230、240のいずれか一方をキーボード表示させた画面をタッチ入力パネルと設定することで、パーソナルコンピュータとして機能させることができる。
【0151】
また、図12(C)に示すようなウェアラブルデバイスに、本発明の一態様に係る二次電池の異常検出装置を搭載することができる。
【0152】
例えば、図12(C)に示すような眼鏡型デバイス400に搭載することができる。眼鏡型デバイス400は、フレーム400aと、表示部400bと、無線モジュールを有する。湾曲を有するフレーム400aのテンプル部に二次電池、異常検出装置、及び無線モジュールを互いに近づけて配置してもノイズに影響されずに異常検出できるため、二次電池の異常発生を検知できる安全な眼鏡型デバイス400とすることができる。
【0153】
また、ヘッドセット型デバイス401に二次電池、異常検出装置、及び無線モジュールを搭載することができる。ヘッドセット型デバイス401は、少なくともマイク部401aと、フレキシブルパイプ401bと、イヤフォン部401cを有する。フレキシブルパイプ401b内やイヤフォン部401c内に二次電池、異常検出装置、及び無線モジュールを設けることができる。
【0154】
また、身体に直接取り付け可能なデバイス402に搭載することができる。デバイス402の薄型の筐体402aの中に、二次電池402b及び二次電池の異常検出装置を設けることができる。
【0155】
また、衣服に取り付け可能なデバイス403に搭載することができる。デバイス403の薄型の筐体403aの中に、二次電池403b及び二次電池の異常検出装置を設けることができる。
【0156】
また、腕時計型デバイス405に搭載することができる。腕時計型デバイス405は表示部405aおよびベルト部405bを有し、表示部405aまたはベルト部405bに、二次電池及び二次電池の異常検出装置を設けることができる。
【0157】
表示部405aには、時刻だけでなく、メールや電話の着信等、様々な情報を表示することができる。
【0158】
また、腕時計型デバイス405は、腕に直接巻きつけるタイプのウェアラブルデバイスであるため、使用者の脈拍、血圧等を測定するセンサを搭載してもよい。使用者の運動量および健康に関するデータを蓄積し、健康維持に役立てることができる。
【0159】
また、ベルト型デバイス406に二次電池及び二次電池の異常検出装置を搭載することができる。ベルト型デバイス406は、ベルト部406aおよびワイヤレス給電受電部406bを有し、ベルト部406aの内部に、二次電池、異常検出装置、及び無線モジュールを搭載することができる。
【0160】
また、日用電子製品の二次電池として本発明の一態様の二次電池及び二次電池の異常検出装置を用いることで、軽量で安全な製品を提供できる。例えば、日用電子製品として、電動歯ブラシ、電気シェーバー、電動美容機器などが挙げられ、それらの製品の蓄電装置としては、使用者の持ちやすさを考え、形状をスティック状とし、小型、軽量、且つ、大容量の二次電池が望まれている。図12(D)はタバコ収容喫煙装置(電子タバコ)とも呼ばれる装置の斜視図である。図12(D)において電子タバコ7410は、加熱素子を含むアトマイザ7411と、アトマイザに電力を供給する二次電池7414と、液体供給ボトルやセンサなどを含むカートリッジ7412で構成されている。安全性を高めるため、二次電池の異常検出装置を二次電池7414に電気的に接続してもよい。図12(D)に示した二次電池7414は、充電機器と接続できるように外部端子を有している。二次電池7414は持った場合に先端部分となるため、トータルの長さが短く、且つ、重量が軽いことが望ましい。二次電池の異常発生と、アトマイザ7411によるノイズとを切り分けることができるため、本発明の一態様の異常検出装置は安全な電子タバコ7410を提供できる。
【0161】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0162】
100:二次電池、101:CPU、102:電流モニタIC、103:電圧モニタIC、104:演算部、105:学習結果記憶部、106:異常通知回路、107:判定部、120:機械学習部、200:情報処理装置、210:演算装置、220:入出力装置、230:表示部、240:表示部、250:二次電池、300:異常監視ユニット、301:バッテリ、302:バッテリーコントローラ、303:モータコントローラ、304:モータ、305:ギア、306:DCDC回路、307:電動パワステ、308:ヒーター、309:デフォッガ、310:DCDC回路、311:バッテリ、312:インバータ、314:パワーウィンドウ、315:ランプ類、316:タイヤ、320:補正手段、400:眼鏡型デバイス、400a:フレーム、400b:表示部、401:ヘッドセット型デバイス、401a:マイク部、401b:フレキシブルパイプ、401c:イヤフォン部、402:デバイス、402a:筐体、402b:二次電池、403:デバイス、403a:筐体、403b:二次電池、405:腕時計型デバイス、405a:表示部、405b:ベルト部、406:ベルト型デバイス、406a:ベルト部、406b:ワイヤレス給電受電部、501:CPU、502:FPGA、503:Noff-CPU、520:補正手段、600:二次電池、601:正極キャップ、602:電池缶、603:正極端子、604:正極、605:セパレータ、606:負極、607:負極端子、608:絶縁板、609:絶縁板、611:PTC素子、612:安全弁機構、613:導電板、614:導電板、1400:二次電池、1402:正極、1404:負極、7400:携帯電話機、7401:筐体、7402:表示部、7403:操作ボタン、7404:外部接続ポート、7405:スピーカ、7406:マイク、7407:二次電池、7410:電子タバコ、7411:アトマイザ、7412:カートリッジ、7414:二次電池、8021:充電装置、8022:ケーブル、8024:二次電池、8400:自動車、8401:ヘッドライト、8406:電気モータ、8500:自動車、8600:スクータ、8601:サイドミラー、8602:二次電池、8603:方向指示灯、8604:座席下収納
図1
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図12