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特許7393113コークス制御反応器、装置及び含酸素化合物から軽オレフィンを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】コークス制御反応器、装置及び含酸素化合物から軽オレフィンを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/24 20060101AFI20231129BHJP
   B01J 29/85 20060101ALI20231129BHJP
   B01J 38/06 20060101ALI20231129BHJP
   B01J 38/12 20060101ALI20231129BHJP
   C07C 1/20 20060101ALI20231129BHJP
   C07C 11/04 20060101ALI20231129BHJP
   C07C 11/06 20060101ALI20231129BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20231129BHJP
【FI】
B01J8/24
B01J29/85 M
B01J38/06
B01J38/12 B
C07C1/20
C07C11/04
C07C11/06
C07B61/00 300
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022573389
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 CN2020121560
(87)【国際公開番号】W WO2022077457
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2022-12-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503190796
【氏名又は名称】中国科学院大▲連▼化学物理研究所
【氏名又は名称原語表記】DALIAN INSTITUTE OF CHEMICAL PHYSICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 涛
(72)【発明者】
【氏名】叶 茂
(72)【発明者】
【氏名】張 今令
(72)【発明者】
【氏名】徐 庶亮
(72)【発明者】
【氏名】唐 海龍
(72)【発明者】
【氏名】王 賢高
(72)【発明者】
【氏名】張 聘
(72)【発明者】
【氏名】▲ジャー▼ 金明
(72)【発明者】
【氏名】王 静
(72)【発明者】
【氏名】李 華
(72)【発明者】
【氏名】李 承功
(72)【発明者】
【氏名】劉 中民
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/081489(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111099945(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110818522(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108786670(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104610006(CN,A)
【文献】中国実用新案第202478902(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第110818521(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101279873(CN,A)
【文献】国際公開第2015/077142(WO,A1)
【文献】特表2017-501989(JP,A)
【文献】特表2017-504654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/24- 8/26
B01J 19/00-19/32
B01J 29/85
B01J 38/06
B01J 38/12
C07B 61/00
C07C 1/00- 1/36
C07C 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ークス制御反応器であって、
触媒が、DMTO触媒であり、
コークス制御原料が、前記触媒中に入って高活性の低分子コークス種を生成し、
前記コークス制御反応器が、コークス制御反応器ハウジング、コークス制御反応器分配器、バッフル板、コークス制御触媒輸送管、コークス制御触媒滑動弁、コークス制御生成ガス輸送管を含む気泡流動床反応器であり、
前記コークス制御反応器が、下から上へ反応領域I、遷移領域とコークス制御触媒沈降領域に分けられ、前記反応領域I内には、1≦n≦9の整数であるn個の前記バッフル板が設けられ、
前記バッフル板の底部が、前記コークス制御反応器ハウジングの底部に接続され、前記バッフル板の頂部が、前記遷移領域に位置し、
前記バッフル板が、前記反応領域Iを、2≦m≦10の整数であるm個の反応領域Iサブ領域に分割し、
各前記反応領域Iサブ領域の底部には、いずれも前記コークス制御反応器分配器が独立して設けられ、
再生剤輸送管の出口が、前記コークス制御反応器の前記第1反応領域Iサブ領域に接続され、前記コークス制御触媒輸送管の入口が、前記コークス制御反応器の第m反応領域Iサブ領域に接続され、
前記バッフル板には、触媒流通孔が含まれ、隣接する前記触媒流通孔は、前記バッフル板の上部又は下部に位置して交錯配置され、
前記コークス制御触媒輸送管には、前記コークス制御触媒滑動弁が設けられ、前記コークス制御触媒輸送管の出口が、メタノール転化反応器の下部に接続され、
前記コークス制御生成ガス輸送管の入口は、前記コークス制御反応器の頂部に接続され、前記コークス制御生成ガス輸送管の出口が、前記メタノール転化反応器の上部に接続され、
前記コークス制御原料を前記コークス制御反応器分配器から前記コークス制御反応器の前記反応領域Iに通入し、前記触媒を前記再生剤輸送管から前記コークス制御反応器の前記反応領域Iに通入し、前記コークス制御反応器の前記反応領域Iにおいて、前記コークス制御原料を前記触媒と接触させ、コークス制御触媒とコークス制御生成ガスを生成し、
前記コークス制御触媒が、前記バッフル板における前記触媒流通孔を経て前記第m反応領域Iサブ領域を順次に通過し、前記コークス制御触媒輸送管、前記コークス制御触媒滑動弁を経て前記メタノール転化反応器の反応領域IIに入り、
前記コークス制御生成ガスが、前記コークス制御生成ガス輸送管を経て前記メタノール転化反応器の固気分離領域に入ること、を特徴とするコークス制御反応器。
【請求項2】
個の前記バッフル板には、前記触媒流通孔が設けられ、隣接する前記バッフル板上の流通孔は、前記触媒が前記反応領域I内で折り線の方式で流れるように上下交錯して配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のコークス制御反応器。
【請求項3】
記遷移領域、前記反応領域Iは、前記コークス制御触媒沈降領域と同軸連通され、
前記反応領域Iは、触媒入口と、コークス制御触媒出口と、コークス制御原料入口とを含み、前記m個の反応領域Iサブ領域は、前記第1反応領域Iサブ領域、第2反応領域Iサブ領域ないし前記第m反応領域Iサブ領域を含み、前記触媒入口は、前記第1反応領域Iサブ領域に設けられ、前記コークス制御触媒出口は、第m個の反応領域Iサブ領域に設けられ、前記コークス制御原料入口は、前記反応領域Iサブ領域の底部に設けられ、前記コークス制御触媒沈降領域は、前記コークス制御触媒沈降領域の頂部に設けられるコークス制御ガス出口を含み、
前記コークス制御原料入口には、前記コークス制御反応器分配器が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のコークス制御反応器。
【請求項4】
含酸素化合物から軽オレフィンを製造する装置であって、前記装置は、前記メタノール転化反応器と、請求項1に記載のコークス制御反応器とを含む、ことを特徴とする軽オレフィン製造装置
【請求項5】
前記メタノール転化反応器は、メタノール転化反応器ハウジングと、輸送管とを含み、
記メタノール転化反応器ハウジングの下部は
反応領域IIを包囲形成し、
前記輸送管は、前記反応領域IIの上方に位置し、且つ前記輸送管の一端が閉合され、他端が前記反応領域IIと連通され、
前記メタノール転化反応器ハウジングは、前記輸送管の外周に設けられ、
前記メタノール転化反応器ハウジングの上部と、前記輸送管の管壁は、キャビティを包囲形成し、
前記キャビティは、下から上へ使用済み剤領域と固気分離領域とに分けられ、
前記使用済み剤領域には、使用済み剤領域ガス分配器が設けられ、
前記固気分離領域には、メタノール転化反応器第1の固気分離器が設けられ、前記輸送管の上部は、前記メタノール転化反応器第1の固気分離器の入口に接続され、前記メタノール転化反応器第1の固気分離器の使用済み触媒出口は、前記使用済み剤領域に位置し、前記メタノール転化反応器第1の固気分離器のガス出口は、メタノール転化反応器ガス収集室と連通され、前記メタノール転化反応器ガス収集室は、前記コークス制御生成ガス輸送管と連通され、
前記固気分離領域には、メタノール転化反応器第2の固気分離器がさらに設けられ、前記メタノール転化反応器第2の固気分離器のガス入口は、固気分離領域に位置し、前記メタノール転化反応器第2の固気分離器の使用済み触媒出口は、前記使用済み剤領域に位置し、前記メタノール転化反応器第2の固気分離器のガス出口は、前記メタノール転化反応器ガス収集室と連通される、ことを特徴とする請求項4に記載の軽オレフィン製造装置
【請求項6】
前記使用済み剤領域ガス分配器は、前記メタノール転化反応器第1の固気分離器と前記メタノール転化反応器第2の固気分離器との下方に位置し、
前記使用済み剤領域の外部には、使用済み剤循環管と使用済み傾斜管とがさらに設けられ、前記使用済み剤循環管は、前記使用済み剤領域を前記反応領域IIに接続するために用いられ、前記使用済み傾斜管は、使用済み触媒を送出するために用いられ、
前記反応領域IIは、コークス制御触媒輸送管を介して反応領域Iと連通される、ことを特徴とする請求項5に記載の軽オレフィン製造装置
【請求項7】
前記装置は、再生器をさらに含み、
前記再生器は、使用済み傾斜管に接続され、使用済み触媒を前記再生器に搬送するために用いられ、
前記再生器は、前記再生剤輸送管に接続され、再生触媒を前記コークス制御反応器に搬送するために用いられ、
前記再生器の内底部には、再生器分配器が設けられ、
前記再生器の底部には、再生器ストリッパーがさらに設けられ、前記再生器ストリッパーの上部は、前記再生器の内部に設けられ、且つ前記再生器ストリッパー上部の入口は、
前記再生器分配器の上方に位置し、前記再生器ストリッパーの下部は、前記再生器の外部に設けられ、且つ前記再生器ストリッパー下部の出口は、前記再生剤輸送管に接続され、
前記再生器は、使用済み剤輸送管とメタノール転化反応器ストリッパーを介して前記使用済み傾斜管に接続され、前記再生器は、前記再生器ストリッパーを介して前記再生剤輸送管に接続され、
前記再生器には、再生器固気分離器と、再生器ガス収集室とがさらに設けられ、前記再生器固気分離器の再生触媒出口は、前記再生器分配器の上方に位置し、前記再生器固気分離器のガス出口は、前記再生器ガス収集室に接続され、前記再生器ガス収集室は、前記再生器の外部に位置する排煙輸送管に接続される、ことを特徴とする請求項4に記載の軽オレフィン製造装置
【請求項8】
含酸素化合物から軽オレフィンを製造する方法であって、
請求項1に記載のコークス制御反応器を使用することにより行われるDMTO触媒をオンライン改質する方法を含む、ことを特徴とする軽オレフィン製造方法
【請求項9】
前記DMTO触媒をオンライン改質する方法は、触媒とコークス制御原料を反応領域Iに通入し、反応させ、コークス制御触媒を含有する生成物を生成することを少なくとも含み、
前記触媒は、前記バッフル板上の前記触媒流通孔を経て予め定められた方式で流れ、
前記コークス制御原料は、C1~C6の炭化水素系化合物を含み、
前記炭化水素系化合物は、C1~C6のアルカン、C1~C6のアルケンから選ばれる少なくとも一つであり、
前記コークス制御原料は、水素ガス、アルコール系化合物、水のうちの少なくとも一つをさらに含み、前記アルコール系化合物と水との合計含有量のコークス制御原料における質量含有量は、10%以上50%以下であり、
前記アルコール系化合物は、メタノール、エタノールから選ばれる少なくとも一つであり、
前記コークス制御原料は、水素ガス0~20wt%、メタン0~50wt%、エタン0~50wt%、エチレン0~20wt%、プロパン0~50wt%、プロペン0~20wt%、ブタン0~90wt%、ブテン0~90wt%、ペンタン0~90wt%、ペンテン0~90wt%、ヘキサン0~90wt%、ヘキセン0~90wt%、メタノール0~50wt%、0エタノール~50wt%、水0~50wt%を含み、炭化水素系化合物の含有量は、0ではなく、
前記触媒は、SAPO-34分子篩を含み、前記触媒におけるコークス含有量は、≦3wt%であり、前記コークス制御触媒におけるコークス含有量は、4~9wt%であり、前記コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、1wt%よりも小さく、
前記コークス制御触媒におけるコークス種は、ポリメチルベンゼンと、ポリメチルナフタレンとを含み、前記ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの合計質量のコークス合計質量における含有量は、≧70wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、≦25wt%であり、ここで、前記コークス合計質量とは、コークス種の合計質量であり、
前記コークス制御反応器の反応領域Iのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.1~0.5m/s、反応温度が300~700℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が400~800kg/mであり、
前記方法は、コークス制御原料と触媒を反応領域Iに通入し、反応させ、コークス制御触媒とコークス制御生成ガスを生成することと、コークス制御触媒が前記バッフル板における前記触媒流通孔を経てm個の反応領域Iサブ領域に順次に通過し、コークス制御触媒出口から流出することと、コークス制御生成ガスがコークス制御ガス出口から流出することとを含む、ことを特徴とする、請求項8に記載の軽オレフィン製造方法
【請求項10】
前記含酸素化合物から軽オレフィンを製造する方法は、
コークス制御生成ガスを前記メタノール転化反応器の固気分離領域に通入することと、
コークス制御触媒を前記メタノール転化反応器の反応領域IIに通入することとをさらに含み、
反応領域IIにおいて、含酸素化合物を含有する原料をコークス制御触媒と接触させ、反応させ、軽オレフィンと使用済み触媒を含有する流れAを生成し、
前記流れAは、メタノール転化反応器の固気分離領域で固気分離した後、気相流れBと固相流れCとに分けられ、前記気相流れBは、前記メタノール転化反応器ガス収集室に入り、前記固相流れCは、使用済み剤領域に入り、ここで、前記気相流れBは、軽オレフィンを含有し、前記固相流れCは、使用済み触媒を含有し、
使用済み剤領域流動化ガスを使用済み剤領域に通入し、前記使用済み剤領域流動化ガス、コークス制御生成ガスは、一部の使用済み触媒を混合担持して、流れDを形成し、前記流れDに対して固気分離を行い、分離された後、気相流れEと固相流れFとを得、前記気相流れEは、前記メタノール転化反応器ガス収集室に入り、前記固相流れFは、使用済み剤領域に入り、ここで、前記気相流れEは、使用済み剤領域流動化ガスとコークス制御生成ガスとの混合ガスであり、前記固相流れFは、使用済み触媒であり、
前記気相流れBと気相流れEは、前記メタノール転化反応器ガス収集室で混合して、生成ガスを形成し、前記生成ガスは、前記コークス制御生成ガス輸送管を経て下流工程に入り、
使用済み剤領域にある一部の前記使用済み触媒は、使用済み剤循環管を経て反応領域IIの底部に戻り、他の一部の前記使用済み触媒は、使用済み傾斜管を経て排出され、
前記使用済み傾斜管を経て排出された使用済み触媒を再生器に通入し、再生ガスを前記再生器に通入して、前記使用済み触媒と接触させ、反応させ、排煙と再生触媒を含有する流れGを得、
前記流れGに対して固気分離を行い、分離された後の排煙は、再生器ガス収集室に入り、排煙輸送管を経て下流の排煙処理システムに入り、分離された後の再生触媒に対してストリッピングを行い、熱除去された後、前記コークス制御反応器に入り、
前記含酸素化合物は、メタノール及び/又はジメチルエーテルを含み、
前記使用済み触媒におけるコークス含有量は、9~13wt%であり、
前記使用済み剤領域流動化ガスは、窒素ガス及び/又は水蒸気を含み、
前記再生ガスは、空気0~100wt%、酸素ガス0~50wt%、窒素ガス0~50wt%及び水蒸気0~50wt%を含み、
前記メタノール転化反応器の反応領域IIのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.5~7.0m/s、反応温度が350~550℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が100~500kg/mであり、
前記メタノール転化反応器の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.1~1.0m/s、反応温度が350~550℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が200~800kg/mであり、
再生器のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.5~2.0m/s、再生温度が600~750℃、再生圧力が100~500kPa、ベッド密度が150~700kg/mである、ことを特徴とする請求項8に記載の軽オレフィン製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、化学工業触媒化分野に属し、コークス制御反応器、装置及び含酸素化合物から軽オレフィンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メタノールからアルケンを製造する技術(MTO)は、主に中国科学院大連化学物理研究所のDMTO技術と米国UOP会社のMTO技術がある。2010年、DMTO技術を用いた神華包頭メタノールからアルケンを製造する工場が建設され操業した。これは、MTO技術の世界初の工業化応用であり、2019年末までに、既に14セットのDMTO工業装置が操業され、軽オレフィン生産能力は合計約800万トン/年であった。
【0003】
近年では、DMTO技術はいっそう発展し、性能がより優れた新世代DMTO触媒が次第に工業化応用され始め、DMTO工場のためにより高い利益を創造した。新世代DMTO触媒は、より高いメタノール処理能力と軽オレフィン選択性を有する。従来のDMTO工業装置は、新世代DMTO触媒の長所を十分に利用することが困難であるため、高メタノール処理能力、高軽オレフィン選択性の新世代DMTO触媒需要に適応できるDMTO装置及び製造方法を研究開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の一側面によれば、コークス制御反応器を提供しており、該コークス制御反応器は、DMTO触媒をオンライン改質することができ、本明細書に記載の改質とは、DMTO触媒におけるコークス含有量、コークス含有量分布とコークス種を制御することであり、それによって、DMTO触媒活性を向上させ、軽オレフィンの選択性を向上させる。
【0005】
DMTO触媒の主な特徴の1つは、メタノール転化プロセスの軽オレフィンの選択性が触媒のコークス含有量が高くなるにつれて上昇することである。本明細書に記載の軽オレフィンとはエチレンとプロペンである。
【0006】
本発明者らの研究から、DMTO触媒の活性と軽オレフィンの選択性に影響を与える主な要素は、触媒におけるコークス含有量、コークス含有量分布とコークス種であることが明らかになった。触媒の平均コークス含有量が同じである場合、コークス含有量分布が狭いと、軽オレフィンの選択性が高く、活性が高い。触媒におけるコークス種は、ポリメチル芳香族炭化水素とポリメチル環式アルカンなどを含み、ここで、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンは、エチレンの生成を促進することができる。従って、触媒におけるコークス含有量、コークス含有量分布及びコークス種を制御することは、DMTO触媒の活性の制御、軽オレフィンの選択性の向上のキーポイントである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第一の側面によれば、コークス制御反応器を提供する。前記コークス制御反応器は、コークス制御反応器ハウジングと、反応領域Iと、コークス制御触媒沈降領域とを含み、
前記コークス制御反応器ハウジングは、コークス制御反応器上ハウジングと、コークス制御反応器下ハウジングとを含み、前記コークス制御反応器上ハウジングは、前記コークス制御触媒沈降領域を包囲形成し、
前記コークス制御反応器下ハウジングは、前記反応領域Iを包囲形成し、
前記反応領域Iは、前記コークス制御触媒沈降領域と連通され、
前記反応領域Iの何れかの位置の断面積は、前記コークス制御触媒沈降領域の何れかの位置の断面積よりも小さく、
前記反応領域I内に、n個のバッフル板が鉛直方向に沿って設けられ、n個の前記バッフル板の底部は、前記コークス制御反応器の底部に接続され、n個の前記バッフル板の頂部は、前記コークス制御触媒沈降領域に位置し、n個の前記バッフル板は、前記反応領域Iをm個の反応領域Iサブ領域に分割し、mとnは、いずれも整数であり、
前記バッフル板には、触媒が反応領域I内で予め定められた方式で流れるように触媒流通孔が設けられる。
【0008】
選択的に、1≦n≦9であり、2≦m≦10である。
【0009】
選択的に、前記反応領域Iと前記反応領域Iサブ領域の断面は、いずれも矩形であり、n個の前記バッフル板には、触媒流通孔が設けられ、隣接するバッフル板上の流通孔は、触媒が反応領域I内で折り線の方式で流れるように上下交錯して配置される。
【0010】
選択的に、前記反応領域Iの断面は、円形であり、前記反応領域Iサブ領域の断面は、扇形であり、n-1個の前記バッフル板には、触媒が反応領域I内で環形方式で流れるように、いずれも少なくとも一つの触媒流通孔が設けられる。
【0011】
選択的に、前記反応領域Iの断面は、環形であり、前記反応領域Iサブ領域の断面は、扇形であり、n-1個の前記バッフル板には、触媒が反応領域I内で環形方式で流れるように、いずれも少なくとも一つの触媒流通孔が設けられる。
【0012】
選択的に、本願における反応領域Iと前記反応領域Iサブ領域の断面がいずれも矩形である場合、反応領域I内に、前記反応領域Iをn+1個の反応領域Iサブ領域に分割するn個のバッフル板が設けられ、即ち、m=n+1である。
【0013】
選択的に、本願における反応領域Iの断面が円形である場合、反応領域I内に、前記反応領域Iをn個の反応領域Iサブ領域に分割するn個のバッフル板が設けられ、即ち、m=nであり、コークス制御触媒沈降領域の直径は反応領域Iの直径よりも大きい。
【0014】
選択的に、本願における反応領域Iの断面が環形である場合、反応領域I内に、前記反応領域Iをn個の反応領域Iサブ領域に分割するn個のバッフル板が設けられ、即ち、m=nであり、且つ反応領域Iの中央位置に円筒が一つ設けられ、バッフル板は、反応領域Iサブ領域の断面が扇環形になるように、前記円筒の側壁に接続され、コークス制御触媒沈降領域の直径は反応領域Iの直径よりも大きい。
【0015】
選択的に、前記コークス制御触媒沈降領域の断面積は、反応領域Iの断面積の1.5~3倍である。
【0016】
具体的には、バッフル板に開設された触媒流通孔は1つでもよいし、或いは複数でもよく、本願は厳格に限定されるものではない。複数の触媒流通孔が設けられる場合、触媒流通孔互いの相対位置は本願でも厳格に限定されるものではなく、例えば、複数の触媒流通孔は平行に配置してもよいし、或いはランダムに配置してもよい。
【0017】
選択的に、前記コークス制御反応器は、反応領域Iとコークス制御触媒沈降領域との間に位置する遷移領域をさらに含み、
前記遷移領域の何れかの位置の断面積は、前記反応領域Iの何れかの位置の断面積と前記コークス制御触媒沈降領域何れかの位置の断面積との間にあり、
前記遷移領域、反応領域Iは、コークス制御触媒沈降領域と同軸連通される。
【0018】
具体的には、本願における遷移領域は、反応領域Iとコークス制御触媒沈降領域を接続するために用いられる。
【0019】
選択的に、本願におけるバッフル板の上部は、前記遷移領域に位置し、下部は、前記反応領域Iの底部に接続される。
【0020】
選択的に、前記コークス制御反応器は、気泡流動床反応器である。
【0021】
選択的に、前記反応領域Iは、触媒入口と、コークス制御触媒出口と、コークス制御原料入口とを含み、
前記m個の反応領域Iサブ領域は、第1反応領域Iサブ領域、第2反応領域Iサブ領域ないし第m反応領域Iサブ領域を含み、前記触媒入口は、第1反応領域Iサブ領域に設けられ、前記コークス制御触媒出口は、第m個の反応領域Iサブ領域に設けられ、
前記コークス制御原料入口は、前記反応領域Iサブ領域の底部に設けられ、
前記コークス制御触媒沈降領域は、前記コークス制御触媒沈降領域の頂部に設けられるコークス制御ガス出口を含む。
【0022】
好ましくは、前記コークス制御原料入口には、コークス制御原料を通入するためのコークス制御反応器分配器が設けられる。
【0023】
選択的に、前記コークス制御ガス出口には、コークス制御生成ガス輸送管が設けられる。
【0024】
選択的に、各前記反応領域Iサブ領域の底部には、いずれもコークス制御反応器分配器が設けられる。このように、コークス制御原料全体が反応領域Iに均一に入ることを実現することができ、各サブ領域の間にコークス制御原料が不均一な現象の発生を避け、触媒コークス含有量分布が狭くなることをより良く実現することができる。
【0025】
選択的に、前記コークス制御触媒出口には、コークス制御触媒を反応領域IIに搬送するためのコークス制御触媒輸送管が設けられる。
【0026】
本願において、コークス制御触媒輸送管の形状は厳格に限定されるものではなく、コークス制御触媒輸送管がコークス制御触媒を反応領域に送ることができることを保証すればよく、例えば、折り曲げ構造の細長状配管であってもよく、もちろん、他の適切な形状であってもよい。
【0027】
選択的に、前記コークス制御触媒輸送管には、触媒の循環を制御するためのコークス制御触媒滑動弁がさらに設けられる。
【0028】
本願において、反応領域I内にバッフル板を取り付け、バッフル板上に流通孔を有し、コークス制御領域を若干の反応領域Iサブ領域に分割することによって、触媒が反応領域Iで規則流れを形成し、それによって、前記反応領域Iに入る触媒の滞留時間分布、及びコークス制御の方式を制御し、触媒におけるコークス含有量分布が狭くなり、そして触媒上のコークス種及びコークス含有量も制御される。触媒粒子上のコークス含有量の均一性が比較的に低く、即ち、ある触媒粒子のコークス含有量が非常に少なく、ある触媒粒子のコークス含有量が非常に多いため、触媒コークス含有量分布が広くなることを回避した。
【0029】
本願において、コークス制御領域に入る触媒は、新触媒であってもよく、或いは再生触媒であってもよい。好ましくは、再生触媒であり、このようにして、再生とコークス制御を同時にオンラインで実現することができる。
【0030】
本願の第2の側面によれば、DMTO触媒をオンライン改質する方法を提供する。この方法は、上述したコークス制御反応器を使用することにより行われる。
【0031】
選択的に、前記方法は、触媒とコークス制御原料を反応領域Iに通入し、反応させ、コークス制御触媒を含有する生成物を生成することを少なくとも含み、
前記触媒は、バッフル板上の触媒流通孔を経て予め定められた方式で流れる。
【0032】
選択的に、前記コークス制御原料は、C~Cの炭化水素系化合物を含み、
好ましくは、前記炭化水素系化合物は、C~Cのアルカン、C~Cのアルケンから選ばれる少なくとも一つである。
【0033】
選択的に、前記コークス制御反応の反応温度は、300~700℃である。
【0034】
選択的に、本願におけるコークス制御反応器は、気泡流動床反応器である。
【0035】
選択的に、前記コークス制御原料は、水素ガス、アルコール系化合物、水のうちの少なくとも一つをさらに含み、
前記アルコール系化合物と水との合計含有量のコークス制御原料における質量含有量は、10%以上50%以下であり、
好ましくは、前記アルコール系化合物は、メタノール、エタノールから選ばれる少なくとも一つである。
【0036】
選択的に、前記コークス制御原料は、水素ガス0~20wt%、メタン0~50wt%、エタン0~50wt%、エチレン0~20wt%、プロパン0~50wt%、プロペン0~20wt%、ブタン0~90wt%、ブテン0~90wt%、ペンタン0~90wt%、ペンテン0~90wt%、ヘキサン0~90wt%、ヘキセン0~90wt%、メタノール0~50wt%、0エタノール~50wt%、水0~50wt%を含み、
炭化水素系化合物の含有量は、0ではない。
【0037】
選択的に、前記触媒は、SAPO-34分子篩を含み、前記触媒におけるコークス含有量は、≦3wt%であり、
前記コークス制御触媒におけるコークス含有量は、4~9wt%であり、
前記コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、1wt%よりも小さく、
好ましくは、前記コークス制御触媒におけるコークス種は、ポリメチルベンゼンと、ポリメチルナフタレンとを含み、
前記ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの合計質量のコークス合計質量における含有量は、≧70wt%であり、
分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、≦25wt%であり、
ここで、前記コークス合計質量とは、コークス種の合計質量である。
【0038】
具体的には、本願において、反応領域Iの設置及びコークス制御プロセスの選択により、コークス制御触媒におけるコークス含有量が4~9wt%であることを実現し、触媒が粉体であるため、触媒のコークス含有量とは各触媒粒子のコークス含有量の平均値であるが、各触媒粒子におけるコークス含有量は実際に同じものではない。本願において、触媒全体のコークス含有量分布が狭くなるように、コークス制御触媒粒子のークス含有量分布の四分位偏差を1wt%未満の範囲内に制御してもよく、それによって、触媒の活性、及び軽オレフィンの選択性を向上させる。
【0039】
本願において、コークス種のタイプ、及びコークス種の含有量も非常に重要であり、本願の制御の目的の一つでもある。本願において、コークス制御の設置及びコークス制御プロセスパラメータの選択により、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとのコークス合計質量における含有量が≧70wt%である効果を実現し、触媒の活性、及び軽オレフィンの選択性を向上させた。
【0040】
選択的に、前記コークス制御反応器の反応領域Iのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.1~0.5m/s、反応温度が300~700℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が400~800kg/mである。
【0041】
選択的に、前記方法は、コークス制御原料と触媒を反応領域Iに通入し、反応させ、コークス制御触媒とコークス制御生成ガスを生成することと、コークス制御触媒がバッフル板における触媒流通孔を経てm個の反応領域Iサブ領域に順次に通過し、コークス制御触媒出口から流出することと、コークス制御生成ガスがコークス制御ガス出口から流出することとを含む。
【0042】
本願の第三の側面によれば、含酸素化合物から軽オレフィンを製造する装置を提供する。前記装置は、メタノール転化反応器と、上述したコークス制御反応器とを含む。
【0043】
選択的に、前記メタノール転化反応器は、メタノール転化反応器ハウジングと、輸送管とを含み、
前記メタノール転化反応器ハウジングは、メタノール転化反応器下ハウジングと、メタノール転化反応器上ハウジングとを含み、
前記メタノール転化反応器下ハウジングは、反応領域IIを包囲形成し、
前記輸送管は、前記反応領域IIの上方に位置し、且つ前記輸送管の一端が閉合され、他端が前記反応領域IIと連通され、
前記メタノール転化反応器上ハウジングは、前記輸送管の外周に設けられ、
前記メタノール転化反応器上ハウジングと前記輸送管の管壁は、キャビティを包囲形成し、
前記キャビティは、下から上へ使用済み剤領域と固気分離領域とに分けられ、
前記使用済み剤領域には、使用済み剤領域ガス分配器が設けられる。
【0044】
選択的に、前記反応領域IIの底部には、メタノール転化反応器分配器が設けられ、
選択的に、前記使用済み剤領域には、前記使用済み剤領域ガス分配器の上方に位置し、前記固気分離領域の下方に位置するメタノール転化反応器熱除去器がさらに設けられる。
【0045】
選択的に、前記コークス制御生成ガス輸送管は、前記固気分離領域と連通され、コークス制御生成ガスを固気分離領域に搬送するために用いられる。
【0046】
選択的に、前記固気分離領域には、メタノール転化反応器第1の固気分離器が設けられ、
前記輸送管の上部は、前記メタノール転化反応器第1の固気分離器の入口に接続され、
前記メタノール転化反応器第1の固気分離器の使用済み触媒出口は、前記使用済み剤領域に位置し、
前記メタノール転化反応器第1の固気分離器のガス出口は、メタノール転化反応器ガス収集室と連通され、
前記メタノール転化反応器ガス収集室は、生成ガス輸送管と連通される。
【0047】
選択的に、前記固気分離領域には、メタノール転化反応器第2の固気分離器がさらに設けられ、
前記メタノール転化反応器第2の固気分離器のガス入口は、固気分離領域に位置し、
前記メタノール転化反応器第2の固気分離器の使用済み触媒出口は、前記使用済み剤領域に位置し、
前記メタノール転化反応器第2の固気分離器のガス出口は、メタノール転化反応器ガス収集室と連通される。
【0048】
選択的に、前記メタノール転化反応器第1の固気分離器は、1組の又は複数の組の固気サイクロン分離器を採用し、各組の固気サイクロン分離器は、1つの一段目の固気サイクロン分離器と1つの二段目の固気サイクロン分離器とを含む。
【0049】
選択的に、前記メタノール転化反応器第2の固気分離器は、1組の又は複数の組の固気サイクロン分離器を採用し、各組の固気サイクロン分離器は、1つの一段目の固気サイクロン分離器と1つの二段目の固気サイクロン分離器とを含む。
【0050】
選択的に、前記使用済み剤領域ガス分配器は、メタノール転化反応器第1の固気分離器とメタノール転化反応器第2の固気分離器の下方に位置する。
【0051】
選択的に、前記使用済み剤領域の外部には、使用済み剤循環管と使用済み傾斜管とがさらに設けられ、
前記使用済み剤循環管は、前記使用済み剤領域を前記反応領域IIに接続するために用いられ、
前記使用済み傾斜管は、使用済み触媒を送出するために用いられる。
【0052】
選択的に、前記使用済み剤循環管には、触媒の循環を制御するための使用済み剤循環滑動弁がさらに設けられる。
【0053】
選択的に、前記使用済み剤循環管の一端は、前記反応領域IIに接続され、且つ前記メタノール転化反応器分配器の上方に位置し、他端は、使用済み剤領域に接続される。
【0054】
選択的に、前記反応領域IIは、コークス制御触媒輸送管を介して反応領域Iと連通される。
【0055】
選択的に、前記装置は、再生器をさらに含み、
前記再生器は、使用済み傾斜管に接続され、使用済み触媒を前記再生器に搬送するために用いられ、
前記再生器は、再生剤輸送管に接続され、再生触媒を前記コークス制御反応器に搬送するために用いられ、
前記再生器の内底部には、再生器分配器が設けられる。
【0056】
選択的に、前記再生器の底部には、再生器ストリッパーがさらに設けられ、
前記再生器ストリッパーの上部は、前記再生器の内部に設けられ、且つ前記再生器ストリッパー上部の入口は、前記再生器分配器の上方に位置し、
前記再生器ストリッパーの下部は、前記再生器の外部に設けられ、且つ前記再生器ストリッパー下部の出口は、前記再生剤輸送管に接続される。
【0057】
選択的に、前記再生器は、再生器ハウジングと、再生器ストリッパーとを含み、前記再生器ストリッパーの下部は、前記再生器ハウジングの外部に設けられ、且つ前記再生器ストリッパー下部の出口は、前記再生剤輸送管に接続される。前記再生器ストリッパーの上部は、前記再生器ハウジングの内部に設けられ、且つ前記再生器ストリッパー上部の入口は、前記再生器分配器の上方に位置する。
【0058】
選択的に、前記再生器は、使用済み剤輸送管とメタノール転化反応器ストリッパーを介して前記使用済み傾斜管に接続され、
前記再生器は、再生器ストリッパーを介して前記再生剤輸送管に接続される。
【0059】
選択的に、前記メタノール転化反応器ストリッパーと前記使用済み剤輸送管との間には、使用済み滑動弁がさらに設けられる。
【0060】
選択的に、前記再生器には、再生器固気分離器と、再生器ガス収集室とがさらに設けられ、
前記再生器固気分離器の再生触媒出口は、前記再生器分配器の上方に位置し、
前記再生器固気分離器のガス出口は、前記再生器ガス収集室に接続され、
前記再生器ガス収集室は、前記再生器の外部に位置する排煙輸送管に接続される。
【0061】
選択的に、前記再生器ストリッパーには、再生器熱除去器がさらに設けられる。
【0062】
選択的に、前記再生器固気分離器は、1組の又は複数の組の固気サイクロン分離器を採用し、各組の固気サイクロン分離器は、1つの一段目の固気サイクロン分離器と1つの二段目の固気サイクロン分離器とを含む。
【0063】
選択的に、前記再生器ストリッパーと前記再生剤輸送管との間には、再生滑動弁がさらに設けられる。
【0064】
本願の最後の側面によれば、含酸素化合物から軽オレフィンを製造する方法を提供する。前記方法は、上述したDMTO触媒をオンライン改質する方法を含む。
【0065】
選択的に、前記方法は、コークス制御生成ガスをメタノール転化反応器の固気分離領域に通入することと、
コークス制御触媒をメタノール転化反応器の反応領域IIに通入することとをさらに含む。
【0066】
選択的に、反応領域IIにおいて、含酸素化合物を含有する原料をコークス制御触媒と接触させ、反応させ、軽オレフィンと使用済み触媒を含有する流れAを生成する。
【0067】
選択的に、前記流れAは、メタノール転化反応器の固気分離領域で固気分離した後、気相流れBと固相流れCとに分けられ、
前記気相流れBは、メタノール転化反応器ガス収集室に入り、
前記固相流れCは、使用済み剤領域に入り、
ここで、前記気相流れBは、軽オレフィンを含有し、前記固相流れCは、使用済み触媒を含有する。
【0068】
選択的に、使用済み剤領域流動化ガスを使用済み剤領域に通入し、
前記使用済み剤領域流動化ガス、コークス制御生成ガスは、一部の使用済み触媒を混合担持して、流れDを形成し、
前記流れDに対して固気分離を行い、分離された後、気相流れEと固相流れFとを得、
前記気相流れEは、メタノール転化反応器ガス収集室に入り、
前記固相流れFは、使用済み剤領域に入り、
ここで、前記気相流れEは、使用済み剤領域流動化ガスとコークス制御生成ガスとの混合ガスであり、
前記固相流れFは、使用済み触媒である。
【0069】
選択的に、前記気相流れBと気相流れEは、メタノール転化反応器ガス収集室で混合して、生成ガスを形成し、前記生成ガスは、生成ガス輸送管を経て下流工程に入る。
【0070】
選択的に、使用済み剤領域にある一部の前記使用済み触媒は、使用済み剤循環管を経て反応領域IIの底部に戻り、
他の一部の前記使用済み触媒は、使用済み傾斜管を経て排出される。
【0071】
選択的に、前記使用済み傾斜管を経て排出された使用済み触媒を再生器に通入し、
再生ガスを前記再生器に通入して、前記使用済み触媒と接触させ、反応させ、排煙と再生触媒を含有する流れGを得る。
【0072】
選択的に、前記流れGに対して固気分離を行い、
分離された後の排煙は、再生器ガス収集室に入り、排煙輸送管を経て下流の排煙処理システムに入り、
分離された後の再生触媒に対してストリッピングを行い、熱除去された後、コークス制御反応器に入る。
【0073】
選択的に、前記含酸素化合物は、メタノール及び/又はジメチルエーテルを含む。
【0074】
選択的に、前記使用済み触媒におけるコークス含有量は、9~13wt%である。
【0075】
選択的に、前記使用済み剤領域流動化ガスは、窒素ガス及び/又は水蒸気を含む。
【0076】
選択的に、前記再生ガスは、空気0~100wt%、酸素ガス0~50wt%、窒素ガス0~50wt%及び水蒸気0~50wt%を含む。
【0077】
選択的に、メタノール転化反応器の反応領域IIのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.5~7.0m/s、反応温度が350~550℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が100~500kg/mである。
【0078】
選択的に、メタノール転化反応器の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.1~1.0m/s、反応温度が350~550℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が200~800kg/mである。
【0079】
選択的に、再生器のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.5~2.0m/s、再生温度が600~750℃、再生圧力が100~500kPa、ベッド密度が150~700kg/mである。
【0080】
本願におけるC~Cの炭化水素系化合物とは、炭素原子個数が1~6である炭化水素系化合物である。
【発明の効果】
【0081】
本願による有益な効果は、以下を含む。
(1)本願におけるコークス制御反応器は、m個の反応領域サブ領域を含む気泡流動床反応器であり、隣接する反応領域サブ領域間のバッフル板の高さは、触媒濃密相床の高さよりも高く、[1]コークス制御反応器中の触媒貯蔵量を自動的に調整することができるように、触媒がバッフル板中の触媒流通孔のみを介して上流サブ領域から下流サブ領域に順次に流れることができ、即ち、プロセス動作条件を変化させることで、触媒のコークス制御反応器における平均滞留時間を制御することによって、触媒におけるコークス含有量を制御することができる。[2]滞留時間分布がn個の直列の完全混合釜反応器に近似するm個の反応領域サブ領域の構造を採用して触媒の滞留時間分布を制御することによって、コークス含有量分布が狭い触媒を得ることができる。
(2)本願は、触媒におけるコークス種の転化と生成を制御することによって、一方で、再生触媒に残留された不活性の高分子コークス種を低分子コークス種に転化し、もう一方で、コークス制御原料は、触媒中に入って高活性の低分子コークス種を生成することができ、且つ低分子コークス種は、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンを主とし、エチレンの選択性を向上させることができる。
(3)本願におけるDMTO触媒をコークス制御反応によりオンライン改質する方法は、コークス含有量が高く、コークス含有量分布が狭く、コークス種の主要成分がポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンであるコークス制御触媒を得て、軽オレフィンの選択性が比較的に低い再生触媒を軽オレフィンの選択性が高いコークス制御触媒に転化することができる。
(4)本願における再生触媒は、コークス制御プロセス処理を経ずに、含酸素化合物から軽オレフィンを製造するプロセスに直接使用されてもよく、コークス制御処理を経ない場合、得られた生成ガスにおける軽オレフィンの選択性が80~83wt%であり、本願における再生触媒は、コークス制御プロセス処理を経た後、含酸素化合物から軽オレフィンを製造するプロセスに使用され、得られた生成ガスにおける軽オレフィンの選択性が93~96wt%であった。
(5)本願におけるメタノール転化反応器は、1つの高速流動床領域と1つの気泡流動床領域とを含む複合流動床反応器である。高速流動床領域は、反応領域であり、比較的に高いメタノール流束を得て、設備単位体積のメタノール処理量を向上させることができ、メタノール質量空間速度が5~20h-1に達することができ、気泡流動床領域は、使用済み剤領域であり、熱除去、使用済み触媒の温度の低下、反応領域に低温の使用済み触媒への搬送、反応領域のベッド密度の向上、反応領域のベッド温度の制御に用いられるものであり、ガスの見かけ線速度が0.5~7.0m/sである場合、対応するベッド密度が500~100kg/mであった。
(6)本願におけるメタノール転化反応器は、メタノール転化反応器第1の固気分離器が輸送管に直接接続された構造を採用し、流れA中の軽オレフィンを含有するガスを使用済み触媒から迅速に分離することを実現し、軽オレフィンの使用済み触媒の作用下でさらに反応してより大きな分子量を有するアルカン類副産物の生成を回避した。
【図面の簡単な説明】
【0082】
図1】本願の一つ実施形態による含酸素化合物から軽オレフィン(DMTO)を製造する装置の概略図である。
図2】本願の一つ実施形態によるコークス制御反応器の反応領域構造の断面概略図である。本実施形態のコークス制御反応器の反応領域Iの断面は円形であり、反応領域サブ領域の断面は扇形であり、第1~4反応領域サブ領域は、同心に反時計回りに順次配列され、コークス制御反応器の第1反応領域サブ領域と第4反応領域サブ領域との間の共用のバッフル板は、触媒流通孔が含まない。
図3】本願の一つ実施形態によるコークス制御反応器の反応領域構造の断面概略図である。本実施形態のコークス制御反応器の反応領域Iの断面は環形であり、反応領域サブ領域の断面は扇環形であり、第1~6反応領域サブ領域は、同心に時計回りに順次配列され、コークス制御反応器の第1反応領域サブ領域と第6反応領域サブ領域との間の共用のバッフル板は、触媒流通孔が含まない。
【発明を実施するための形態】
【0083】
以下、実施例を参照しながら本願について詳述するが、本願はこれらの実施例に制限されない。
【0084】
特に断らない限り、本願の実施例における原料と触媒は、いずれも市販品として購入するものである。
【0085】
本願の実施例で使用されるDMTO触媒は、中科催化(大連)有限公司から購入されたものである。
【0086】
DMTO触媒の性能を向上させるために、本願は、DMTO触媒をコークス制御反応によりオンライン改質する方法を提供し、そのステップは、
(a)再生触媒をコークス制御反応器1に送ることと、
(b)コークス制御原料をコークス制御反応器1に送ることと、
(c)コークス制御原料と再生触媒をコークス制御反応器1で接触させ、反応させ、コークス制御原料を再生触媒上でコークス化させることであって、コークス化された後の触媒は、コークス制御触媒と称され、コークス制御触媒におけるコークス含有量が4~9wt%であり、コークス種には、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとが含まれ、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量が≧70wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量が≦25wt%である、ことと、
(d)コークス制御触媒をメタノール転化反応器2に送ることとを含む。
【0087】
前記コークス制御反応の反応温度は、300~700℃である。
【0088】
本願は、上述したDMTO触媒をコークス制御反応によりオンライン改質する方法を含む含酸素化合物から軽オレフィンを製造する方法及びその方法を用いた装置をさらに提供する。前記装置は、コークス制御反応器1と、メタノール転化反応器2と、再生器3とを含む。
【0089】
ここで、前記コークス制御反応器1は、DMTO触媒をコークス制御反応によりオンライン改質することを実現することができる。該反応器は、コークス制御反応器ハウジング1-1、コークス制御反応器分配器1-2、バッフル板1-3、コークス制御触媒輸送管1-4、コークス制御触媒滑動弁1-5とコークス制御生成ガス輸送管1-6を含み、前記コークス制御反応器1は、下から上へ反応領域I、遷移領域とコークス制御触媒沈降領域が分けられ、反応領域I内には、n個のバッフル板1-3が設けられ、バッフル板1-3の底部は、コークス制御反応器ハウジング1-1の底部に接続され、バッフル板1-3の頂部は、遷移領域に位置し、nは、1≦n≦9である整数であり、バッフル板1-3は、反応領域Iをm個の反応領域Iサブ領域に分割し、mは、2≦m≦10である整数であり、各反応領域Iサブ領域の底部には、いずれもコークス制御反応器分配器1-2が独立して設けられ、反応領域Iには、合計m個のコークス制御反応器分配器1-2が含まれ、再生剤輸送管3-9の出口は、コークス制御反応器1の第1反応領域Iサブ領域に接続され、コークス制御触媒輸送管1-4の入口は、コークス制御反応器1の第m反応領域Iサブ領域に接続され、バッフル板1-3には、触媒流通孔が含まれ、隣接する触媒流通孔は、バッフル板1-3の上部又は下部に位置して交錯配置され、コークス制御触媒輸送管1-4には、コークス制御触媒滑動弁1-5が設けられ、コークス制御触媒輸送管1-4の出口は、メタノール転化反応器2の下部に接続され、コークス制御生成ガス輸送管1-6の入口は、コークス制御反応器1の頂部に接続され、コークス制御生成ガス輸送管1-6の出口は、メタノール転化反応器2の上部に接続される。
【0090】
好適な一実施形態では、コークス制御反応器1の反応領域Iの断面は、矩形であり、反応領域Iサブ領域の断面は、矩形であり、第1ないし第m反応領域Iサブ領域は、左から右へ順次に配列される。
【0091】
好適な一実施形態では、コークス制御反応器1の反応領域Iの断面は、円形であり、反応領域Iサブ領域の断面は、扇形であり、第1ないし第m反応領域Iサブ領域は、同心に時計回りに、又は反時計回りに順次配列され、コークス制御反応器1の第1反応領域Iサブ領域と第m反応領域Iサブ領域との間の共用のバッフル板1-3は、触媒流通孔が含まない。
【0092】
好適な一実施形態では、コークス制御反応器1の反応領域Iの断面は、環形であり、反応領域Iサブ領域の断面は、扇環形であり、第1ないし第m反応領域Iサブ領域は、同心に時計回りに、又は反時計回りに順次配列され、コークス制御反応器1の第1反応領域Iサブ領域と第m反応領域Iサブ領域との間の共用のバッフル板1-3は、触媒流通孔が含まない。
【0093】
前記コークス制御反応器1は、気泡流動床反応器に属する。
【0094】
前記メタノール転化反応器2は、メタノール転化反応器ハウジング2-1、メタノール転化反応器分配器2-2、輸送管2-3、メタノール転化反応器第1の固気分離器2-4、メタノール転化反応器ガス収集室2-5、使用済み剤領域ガス分配器2-6、メタノール転化反応器熱除去器2-7、メタノール転化反応器第2の固気分離器2-8、生成ガス輸送管2-9、使用済み剤循環管2-10、使用済み剤循環滑動弁2-11、使用済み傾斜管2-12、メタノール転化反応器ストリッパー2-13、使用済み滑動弁2-14と使用済み剤輸送管2-15を含む。
【0095】
前記メタノール転化反応器2の下部が反応領域II、中部が使用済み剤領域、上部が固気分離領域である。
【0096】
前記メタノール転化反応器分配器2-2は、メタノール転化反応器2の反応領域IIの底部に位置し、輸送管2-3は、メタノール転化反応器2中部と上部の中央領域に位置し、輸送管2-3の底端は、反応領域IIの頂端に接続され、輸送管2-3の上部は、メタノール転化反応器第1の固気分離器2-4の入口に接続される。
【0097】
前記メタノール転化反応器第1の固気分離器2-4は、メタノール転化反応器の固気分離領域に位置し、メタノール転化反応器第1の固気分離器2-4のガス出口は、メタノール転化反応器ガス収集室2-5に接続され、メタノール転化反応器第1の固気分離器2-4の触媒出口は、使用済み剤領域に位置する。
【0098】
前記使用済み剤領域ガス分配器2-6は、使用済み剤領域の底部に位置し、メタノール転化反応器熱除去器2-7は、使用済み剤領域に位置する。
【0099】
前記メタノール転化反応器第2の固気分離器2-8は、メタノール転化反応器の固気分離領域に位置し、メタノール転化反応器第2の固気分離器2-8の入口は、メタノール転化反応器の固気分離領域に位置し、メタノール転化反応器第2の固気分離器2-8のガス出口は、メタノール転化反応器ガス収集室2-5に接続され、メタノール転化反応器第2の固気分離器2-8の触媒出口は、用済み剤領域に位置し、メタノール転化反応器ガス収集室2-5は、メタノール転化反応器2の頂部に位置し、生成ガス輸送管2-9は、メタノール転化反応器ガス収集室2-5の頂部に接続され、使用済み剤循環管2-10の入口は、使用済み剤領域に接続され、使用済み剤循環管2-10の出口は、メタノール転化反応器の反応領域IIの底部に接続され、使用済み剤循環管2-10には、使用済み剤循環滑動弁2-11が設けられ、コークス制御触媒輸送管1-4の出口は、メタノール転化反応器2の反応領域IIの底部に接続され、使用済み傾斜管2-12の入口は、使用済み剤領域に接続され、使用済み傾斜管2-12の出口は、メタノール転化反応器ストリッパー2-13の上部に接続され、メタノール転化反応器ストリッパー2-13は、メタノール転化反応器ハウジング2-1の外に配置され、使用済み滑動弁2-14の入口は、管路を介してメタノール転化反応器ストリッパー2-13の底部に接続され、使用済み滑動弁2-14の出口は、管路を介して使用済み剤輸送管2-15の入口に接続され、使用済み剤輸送管2-15の出口は、再生器3の中部に接続される。
【0100】
好適な一実施形態では、メタノール転化反応器第1の固気分離器2-4は、1組の又は複数の組の固気サイクロン分離器を採用し、各組の固気サイクロン分離器は、1つの一段目の固気サイクロン分離器と1つの二段目の固気サイクロン分離器とを含む。
【0101】
好適な一実施形態では、メタノール転化反応器第2の固気分離器2-8は、1組の又は複数の組の固気サイクロン分離器を採用し、各組の固気サイクロン分離器は、1つの一段目の固気サイクロン分離器と1つの二段目の固気サイクロン分離器とを含む。
【0102】
前記メタノール転化反応器2は、流動床反応器に属する。
【0103】
前記再生器3は、再生器ハウジング3-1、再生器分配器3-2、再生器固気分離器3-3、再生器ガス収集室3-4、排煙輸送管3-5、再生器ストリッパー3-6、再生器熱除去器3-7、再生滑動弁3-8と再生剤輸送管3-9を含む。再生器分配器3-2は、再生器3の底部に位置し、再生器固気分離器3-3は、再生器3の上部に位置し、再生器固気分離器3-3の入口は、再生器3の上部に位置し、再生器固気分離器3-3のガス出口は、再生器ガス収集室3-4に接続され、再生器固気分離器3-3の触媒出口は、再生器3の下部に位置し、再生器ガス収集室3-4は、再生器3の頂部に位置し、排煙輸送管3-5は、再生器ガス収集室3-4の頂部に接続され、再生器ストリッパー3-6は、再生器ハウジング3-1の外に位置し、再生器ストリッパー3-6の入口管は、再生器ハウジング3-1を貫通して再生器分配器3-2の上方に開口され、再生器熱除去器3-7は、再生器ストリッパー3-6の中に位置し、再生滑動弁3-8の入口は、管路を介して再生器ストリッパー3-6の底部に接続され、再生滑動弁3-8の出口は、管路を介して再生剤輸送管3-9の入口に接続され、再生剤輸送管3-9の出口は、コークス制御反応器1に接続される。
【0104】
好適な一実施形態では、再生器固気分離器3-3は、1組の又は複数の組の固気サイクロン分離器を採用し、各組の固気サイクロン分離器は、1つの一段目の固気サイクロン分離器と1つの二段目の固気サイクロン分離器とを含む。
【0105】
前記再生器3は、流動床反応器に属する。
【0106】
本願は、DMTO触媒をコークス制御反応によりオンライン改質する方法を含むメタノールからアルケンを製造する方法をさらに提供する。この方法は、
コークス制御原料をコークス制御反応器分配器1-2からコークス制御反応器1の反応領域Iに通入し、再生触媒を再生剤輸送管3-9からコークス制御反応器1の反応領域Iに通入し、コークス制御反応器1の反応領域Iにおいて、コークス制御原料を再生触媒と接触させ、化学反応を発生させ、コークス制御触媒とコークス制御生成ガスを生成し、コークス制御触媒は、バッフル板1-3における触媒流通孔を経て第m反応領域Iサブ領域を順次に通過し、そしてコークス制御触媒輸送管1-4、コークス制御触媒滑動弁1-5を経てメタノール転化反応器2の反応領域IIに入り、コークス制御生成ガスは、コークス制御領域ガス輸送管1-6を経てメタノール転化反応器2的固気分離領域に入るステップaと、
含酸素化合物を含有する原料をメタノール転化反応器分配器2-2からメタノール転化反応器の反応領域IIに通入し、コークス制御触媒と接触させ、軽オレフィンと使用済み触媒を含有する流れAを生成し、流れAは、輸送管2-3を経てメタノール転化反応器第1の固気分離器2-4に入り、固気分離された後、軽オレフィンを含有するガスである気相流れBと使用済み触媒である固相流れCとに分けられ、気相流れBがメタノール転化反応器ガス収集室2-5に入り、固相流れCが使用済み剤領域に入り、使用済み剤領域流動化ガスを使用済み剤領域ガス分配器2-6から使用済み剤領域に通入し、使用済み触媒と接触させ、使用済み剤領域流動化ガスとコークス制御生成ガスとを混合し、一部の使用済み触媒を担持して流れDを形成し、流れDがメタノール転化反応器第2の固気分離器2-8に入り、固気分離された後、使用済み剤領域流動化ガスとコークス制御生成ガスとの混合ガスである気相流れEと使用済み触媒である固相流れFとに分けられ、気相流れEがメタノール転化反応器ガス収集室2-5に入り、固相流れFが使用済み剤領域に入り、気相流れBと気相流れEは、メタノール転化反応器ガス収集室2-5で混合して生成ガスを形成し、生成ガスは、生成ガス輸送管2-9を経て下流工程に入り、使用済み剤領域の一部の使用済み触媒は、使用済み剤循環管2-10と使用済み剤循環滑動弁2-11を経てメタノール転化反応器2の反応領域IIの底部に戻り、他の部分の使用済み触媒は、使用済み傾斜管2-12を経てメタノール転化反応器ストリッパー2-13に入り、ストリッピングされた後、使用済み触媒は、使用済み滑動弁2-14と使用済み剤輸送管2-15を経て再生器3の中部に入るステップbと、
再生ガスを再生器分配器3-2から再生器の底部に通入し、再生器において、再生ガスを使用済み触媒と接触させ、化学反応を発生させ、使用済み触媒における一部のコークスが燃焼されて除去され、排煙と再生触媒を含有する流れGを生成し、流れGが再生器固気分離器3-3に入り、固気分離された後、排煙と再生触媒とに分けられ、排煙が再生器ガス収集室3-4に入り、次に、排煙輸送管3-5を経て下流の排煙処理システムに入り、再生触媒が再生器3の底部に戻り、再生器3中の再生触媒が再生器ストリッパー3-6に入り、ストリッピング・熱除去された後、再生滑動弁3-8と再生剤輸送管3-9を経てコークス制御反応器1に入るステップcとを含む。
【0107】
本願上記の方法において、生成ガスの成分は、エチレン37~60wt%、プロペン33~57wt%、C~C炭化水素系≦5wt%と他の成分≦4wt%であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCOなどであり、且つエチレンとプロペンの生成ガスにおける合計選択性は、93~96wt%である。
【0108】
本願において、生産原単位の記述に関しては、含酸素化合物におけるジメチルエーテル質量を同じ炭素原子質量に基づいてメタノール質量に換算して計算し、生産原単位の単位は、トンメタノール/トン軽オレフィンである。
【0109】
本願上記の方法において、生産原単位は、2.50~2.58トンメタノール/トン軽オレフィンである。
【0110】
本願をさらに説明し、本願の技術案を理解しやすくするために、本願の典型的且つ非限定的な実施例は、以下のとおりである。
【0111】
実施例1
本実施形態は、図1に示した装置を用い、コークス制御反応器1の反応領域Iの断面は、矩形であり、反応領域Iサブ領域の断面は、矩形であり、n=1、m=2であり、第1ないし第2個の反応領域Iサブ領域は、左から右へ順次に配列された。
【0112】
本実施形態において、コークス制御原料は、ブタン6wt%、ブテン81wt%、メタノール2wt%と水11wt%との混合物であり、含酸素化合物は、メタノールであり、使用済み剤領域流動化ガスは、窒素ガスであり、再生ガスは、空気であり、触媒における活性成分は、SAPO-34分子篩であり、再生触媒におけるコークス含有量は、約1wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量は、約4wt%であり、ここで、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量は、約86wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、約11wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、約0.9wt%であり、使用済み触媒におけるコークス含有量は、約9wt%であった。コークス制御反応器1の反応領域Iのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.3m/s、反応温度が約500℃、反応圧力が約100kPa、ベッド密度が約600kg/mであった。メタノール転化反応器2の反応領域IIのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約7.0m/s、反応温度が約550℃、反応圧力が約100kPa、ベッド密度が約100kg/mであった。メタノール転化反応器2の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約1.0m/s、反応温度が約550℃、反応圧力が約100kPa、ベッド密度が約200kg/mであった。再生器3のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.5m/s、再生温度が約750℃、再生圧力が約100kPa、ベッド密度が約700kg/mであった。
【0113】
本実施形態において、メタノール転化反応器の含酸素化合物の質量空間速度は、約20h-1であった。生成ガスの成分は、エチレン60wt%、プロペン33wt%、C~C炭化水素系3wt%と他の成分4wt%であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCOなどであった。生産原単位は、2.58トンメタノール/トン軽オレフィンであった。
【0114】
実施例2
本実施形態は、図1に示した装置を用い、コークス制御反応器1の反応領域Iの断面は、矩形であり、反応領域Iサブ領域の断面は、矩形であり、n=9、m=10であり、第1ないし第10個の反応領域Iサブ領域は、左から右へ順次に配列された。
【0115】
本実施形態において、コークス制御原料は、メタン22wt%、エタン24wt%、エチレン3wt%、プロパン28wt%、プロペン4wt%、水素ガス7wt%と水12wt%との混合物であり、含酸素化合物は、メタノール82wt%とジメチルエーテル18wt%との混合物であり、使用済み剤領域流動化ガスは、水蒸気であり、再生ガスは、空気であり、触媒における活性成分は、SAPO-34分子篩であり、再生触媒におけるコークス含有量は、約3wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量は、約9wt%であり、ここで、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量は、約70wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、約25wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、約0.2wt%であり、使用済み触媒におけるコークス含有量は、約13wt%であった。コークス制御反応器1の反応領域Iのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.2m/s、反応温度が約300℃、反応圧力が約500kPa、ベッド密度が約700kg/mであった。メタノール転化反応器2の反応領域IIのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.5m/s、反応温度が約350℃、反応圧力が約500kPa、ベッド密度が約500kg/mであった。メタノール転化反応器2の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.1m/s、反応温度が約350℃、反応圧力が約500kPa、ベッド密度が約800kg/mであった。再生器3のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約2.0m/s、再生温度が約600℃、再生圧力が約500kPa、ベッド密度が約150kg/mであった。
【0116】
本実施形態において、メタノール転化反応器の含酸素化合物の質量空間速度は、約5h-1であった。生成ガスの成分は、エチレン37wt%、プロペン57wt%、C~C炭化水素系5wt%と他の成分1wt%であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCOなどであった。生産原単位は、2.55トンメタノール/トン軽オレフィンであった。
【0117】
実施例3
本実施形態は、図1に示した装置を用いるが、コークス制御反応器1の構造が図2に示されるとおりであり、本実施形態のコークス制御反応器の反応領域Iの断面は、円形であり、反応領域Iサブ領域の断面は、扇形であり、n=4、m=4であり、第1ないし第4の反応領域Iサブ領域は、同心に反時計回りに順次配列され、コークス制御反応器の第1反応領域サブ領域と第4反応領域サブ領域との間の共用のバッフル板1-3には、触媒流通孔が含まなかった。
【0118】
本実施形態において、コークス制御原料は、プロパン1wt%、プロペン1wt%、ブタン3wt%、ブテン51wt%、ペンタン3wt%、ペンテン22wt%、ヘキサン1wt%、ヘキセン7wt%、メタノール2wt%と水9wt%との混合物であり、含酸素化合物は、ジメチルエーテルであり、使用済み剤領域流動化ガスは、窒素ガスであり、再生ガスは、空気50wt%と酸素ガス50wt%であり、触媒における活性成分は、SAPO-34分子篩であり、再生触媒におけるコークス含有量は、約1wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量は、約6wt%であり、ここで、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量は、約80wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、約14wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、約0.5wt%であり、使用済み触媒におけるコークス含有量は、約11wt%であった。コークス制御反応器1の反応領域Iのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.4m/s、反応温度が約700℃、反応圧力が約300kPa、ベッド密度が約500kg/mであった。メタノール転化反応器2の反応領域IIのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約3.0m/s、反応温度が約450℃、反応圧力が約300kPa、ベッド密度が約230kg/mであった。メタノール転化反応器2の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.2m/s、反応温度が約450℃、反応圧力が約300kPa、ベッド密度が約600kg/mであった。再生器3のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約1.0m/s、再生温度が約750℃、再生圧力が約300kPa、ベッド密度が約360kg/mであった。
【0119】
本実施形態において、メタノール転化反応器の含酸素化合物の質量空間速度は、約9h-1であった。生成ガスの成分は、エチレン51wt%、プロペン43wt%、C~C炭化水素系2wt%と他の成分4wt%であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCOなどであった。生産原単位は、2.55トンメタノール/トン軽オレフィンであった。
【0120】
実施例4
本実施形態は、図1に示した装置を用いるが、コークス制御反応器1の構造が図2に示されるとおりであり、本実施形態のコークス制御反応器の反応領域Iの断面は、円形であり、反応領域Iサブ領域の断面は、扇形であり、n=6、m=6であり、第1ないし第6の反応領域Iサブ領域は、同心に反時計回りに順次配列され、コークス制御反応器の第1反応領域サブ領域と第6反応領域サブ領域との間の共用のバッフル板1-3には、触媒流通孔が含まなかった。
【0121】
本実施形態において、コークス制御原料は、ブタン5wt%、ブテン72wt%、メタノール8wt%と水15wt%との混合物であり、含酸素化合物は、メタノールであり、使用済み剤領域流動化ガスは、水蒸気であり、再生ガスは、空気50wt%と窒素ガス50wt%であり、触媒における活性成分は、SAPO-34分子篩であり、再生触媒におけるコークス含有量は、約2wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量は、約6wt%であり、ここで、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量は、約82wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、約13wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、約0.3wt%であり、使用済み触媒におけるコークス含有量は、約12wt%であった。コークス制御反応器1の反応領域Iのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.5m/s、反応温度が約600℃、反応圧力が約200kPa、ベッド密度が約400kg/mであった。メタノール転化反応器2の反応領域IIのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約4.0m/s、反応温度が約500℃、反応圧力が約200kPa、ベッド密度が約160kg/mであった。メタノール転化反応器2の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.5m/s、反応温度が約500℃、反応圧力が約200kPa、ベッド密度が約300kg/mであった。再生器3のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約1.5m/s、再生温度が約650℃、再生圧力が約200kPa、ベッド密度が約280kg/mであった。
【0122】
本実施形態において、メタノール転化反応器の含酸素化合物の質量空間速度は、約13h-1であった。生成ガスの成分は、エチレン53wt%、プロペン42wt%、C~C炭化水素系4wt%と他の成分1wt%であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCOなどであった。生産原単位は、2.52トンメタノール/トン軽オレフィンであった。
【0123】
実施例5
本実施形態は、図1に示した装置を用いるが、コークス制御反応器1の構造が図3に示されるとおりであり、本実施形態のコークス制御反応器の反応領域Iの断面は、環形であり、反応領域Iサブ領域の断面は、扇環形であり、n=6、m=6であり、第1ないし第6の反応領域Iサブ領域は、同心に時計回りに順次配列され、コークス制御反応器の第1反応領域サブ領域と第6反応領域サブ領域との間の共用のバッフル板1-3には、触媒流通孔が含まなかった。
【0124】
本実施形態において、コークス制御原料は、ペンタン34wt%、ペンテン46wt%、エタノール3wt%と水17wt%との混合物であり、含酸素化合物は、メタノールであり、使用済み剤領域流動化ガスは、窒素ガス5wt%と水蒸気95wt%との混合物であり、再生ガスは、空気50wt%と水蒸気50wt%であり、触媒における活性成分は、SAPO-34分子篩であり、再生触媒におけるコークス含有量は、約2wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量は、約7wt%であり、ここで、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量は、約74wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、約10wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、約0.3wt%であり、使用済み触媒におけるコークス含有量は、約12wt%であった。コークス制御反応器1の反応領域Iのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.4m/s、反応温度が約400℃、反応圧力が約300kPa、ベッド密度が約500kg/mであった。メタノール転化反応器2の反応領域IIのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約3.0m/s、反応温度が約400℃、反応圧力が約300kPa、ベッド密度が約230kg/mであった。メタノール転化反応器2の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.3m/s、反応温度が約400℃、反応圧力が約300kPa、ベッド密度が約450kg/mであった。再生器3のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.8m/s、再生温度が約680℃、再生圧力が約300kPa、ベッド密度が約500kg/mであった。
【0125】
本実施形態において、メタノール転化反応器の含酸素化合物の質量空間速度は、約9h-1であった。生成ガスの成分は、エチレン41wt%、プロペン55wt%、C~C炭化水素系2wt%と他の成分2wt%であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCOなどであった。生産原単位は、2.50トンメタノール/トン軽オレフィンであった。
【0126】
実施例6
本実施形態は、図1に示した装置を用いるが、コークス制御反応器1の構造が図3に示されるとおりであり、本実施形態のコークス制御反応器の反応領域Iの断面は、環形であり、反応領域Iサブ領域の断面は、扇環形であり、n=9、m=9であり、第1ないし第9の反応領域Iサブ領域は、同心に時計回りに順次配列され、コークス制御反応器の第1反応領域サブ領域と第9反応領域サブ領域との間の共用のバッフル板1-3には、触媒流通孔が含まなかった。
【0127】
本実施形態において、コークス制御原料は、ヘキサン26wt%、ヘキセン23wt%、メタノール2wt%、エタノール1wt%と水48wt%との混合物であり、含酸素化合物は、メタノールであり、使用済み剤領域流動化ガスは、窒素ガス73wt%と水蒸気27wt%との混合物であり、再生ガスは、空気85wt%、水蒸気12wt%と窒素ガス3wt%との混合物であり、触媒における活性成分は、SAPO-34分子篩であり、再生触媒におけるコークス含有量は、約3wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量は、約8wt%であり、ここで、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量は、約79wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、約17wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、約0.1wt%であり、使用済み触媒におけるコークス含有量は、約12wt%であった。コークス制御反応器1の反応領域Iのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.1m/s、反応温度が約650℃、反応圧力が約400kPa、ベッド密度が約800kg/mであった。メタノール転化反応器2の反応領域IIのプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約2.0m/s、反応温度が約500℃、反応圧力が約400kPa、ベッド密度が約350kg/mであった。メタノール転化反応器2の使用済み剤領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.3m/s、反応温度が約500℃、反応圧力が約400kPa、ベッド密度が約450kg/mであった。再生器3のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.8m/s、再生温度が約700℃、再生圧力が約400kPa、ベッド密度が約500kg/mであった。
【0128】
本実施形態において、メタノール転化反応器の含酸素化合物の質量空間速度は、約7h-1であった。生成ガスの成分は、エチレン50wt%、プロペン43wt%、C~C炭化水素系4wt%と他の成分3wt%であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCOなどであった。生産原単位は、2.58トンメタノール/トン軽オレフィンであった。
【0129】
対比例
本実施例は、対比例であり、該対比例が実施例5と異なる点は、コークス制御反応オンライン改質DMTO触媒を用いず、コークス制御反応器に通入された原料が窒素ガスであることである。窒素ガスは、不活性ガスであるため、コークス制御反応器で再生触媒の性質を変化させることなく、即ち、メタノール転化反応器の反応領域IIに入る触媒が再生触媒であることに相当する。
【0130】
本実施形態において、生成ガスの成分は、エチレン36wt%、プロペン44wt%、C~C炭化水素系13wt%と他の成分7wt%であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCOなどであった。生産原単位は、2.99トンメタノール/トン軽オレフィンであった。
【0131】
本対比例は、DMTO触媒をコークス制御反応によりオンライン改質することが、触媒の性能を大幅に向上させ、生産原単位を低減することができることを示した。
【0132】
以上は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、本願を何ら制限するものではなく、本願は、好適実施例をもって以上のように開示したが、本願を制限するものではなく、当業者であれば、本願の技術案の範囲から逸脱することなく、上記で開示された技術内容に基づいて行われる若干の変更又は改善は、いずれも均等の実施態様に相当し、すべて技術案の範囲に属する。
【符号の説明】
【0133】
1コークス制御反応器、1-1コークス制御反応器ハウジング、
1-2コークス制御反応器分配器、1-3バッフル板、1-4コークス制御触媒輸送管、
1-5コークス制御触媒滑動弁、1-6コークス制御生成ガス輸送管、
2メタノール転化反応器、2-1メタノール転化反応器ハウジング、
2-2メタノール転化反応器分配器、2-3輸送管、
2-4メタノール転化反応器第1の固気分離器、2-5メタノール転化反応器ガス収集室、
2-6使用済み剤領域ガス分配器、2-7メタノール転化反応器熱除去器、
2-8メタノール転化反応器第2の固気分離器、2-9生成ガス輸送管、
2-10使用済み剤循環管、2-11使用済み剤循環滑動弁、2-12使用済み傾斜管、
2-13メタノール転化反応器ストリッパー、2-14使用済み滑動弁、2-15使用済み剤輸送管、
3再生器、3-1再生器ハウジング、3-2再生器分配器、
3-3再生器固気分離器、3-4再生器ガス収集室、
3-5排煙輸送管、3-6再生器ストリッパー、3-7再生器熱除去器、
3-8再生滑動弁、3-9再生剤輸送管、
1コークス制御反応器、1-1コークス制御反応器ハウジング、
1-3バッフル板、1-4コークス制御触媒輸送管、3-9再生剤輸送管、
1コークス制御反応器、1-1コークス制御反応器ハウジング、1-3バッフル板、
1-4コークス制御触媒輸送管、3-9再生剤輸送管
図1
図2
図3