(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】流動床反応器、装置及び応用
(51)【国際特許分類】
B01J 8/24 20060101AFI20231129BHJP
B01J 29/85 20060101ALI20231129BHJP
B01J 29/90 20060101ALI20231129BHJP
B01J 38/16 20060101ALI20231129BHJP
B01J 38/30 20060101ALI20231129BHJP
C07C 1/20 20060101ALI20231129BHJP
C07C 11/04 20060101ALI20231129BHJP
C07C 11/06 20060101ALI20231129BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20231129BHJP
【FI】
B01J8/24
B01J29/85 M
B01J29/90 M
B01J38/16
B01J38/30
C07C1/20
C07C11/04
C07C11/06
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2022573390
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(86)【国際出願番号】 CN2020121556
(87)【国際公開番号】W WO2022077454
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2022-12-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503190796
【氏名又は名称】中国科学院大▲連▼化学物理研究所
【氏名又は名称原語表記】DALIAN INSTITUTE OF CHEMICAL PHYSICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】叶 茂
(72)【発明者】
【氏名】張 涛
(72)【発明者】
【氏名】張 今令
(72)【発明者】
【氏名】徐 庶亮
(72)【発明者】
【氏名】唐 海龍
(72)【発明者】
【氏名】王 賢高
(72)【発明者】
【氏名】張 聘
(72)【発明者】
【氏名】▲ジャー▼ 金明
(72)【発明者】
【氏名】王 静
(72)【発明者】
【氏名】李 華
(72)【発明者】
【氏名】李 承功
(72)【発明者】
【氏名】劉 中民
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/081489(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111099945(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110818522(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108786670(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104610006(CN,A)
【文献】中国実用新案第202478902(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第110818521(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101279873(CN,A)
【文献】国際公開第2015/077142(WO,A1)
【文献】特表2017-501989(JP,A)
【文献】特表2017-504654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/24- 8/26
B01J 19/00-19/32
B01J 29/85
B01J 29/90
B01J 38/16
B01J 38/30
C07B 61/00
C07C 1/00- 1/36
C07C 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークス制御反応器であって、
触媒が、DMTO触媒であり、
コークス制御原料が、前記触媒中に入って高活性の低分子コークス種を生成し、
流動床反応器が、下から上へ反応領域、コークス制御領域と固気分離領域とに分けられ、
前記流動床反応器が、流動床反応器メインハウジング、反応領域分配器、流動床反応器熱除去器、コークス制御領域分配器、バッフル板、第1の固気分離器、コークス制御触媒輸送管、コークス制御領域ガス輸送管、第2の固気分離器、第1のガス収集室、生成ガス輸送管、第1のストリッパー、使用済み滑動弁、使用済み触媒輸送管を含み、
前記反応領域分配器が、前記流動床反応器の前記反応領域の底部に位置し、前記流動床反応器熱除去器が、前記反応領域に位置し、
前記コークス制御領域が、前記反応領域上方の環形領域に位置し、前記コークス制御領域内には、2≦n≦10の整数であるn個の前記バッフル板が設けられ、前記バッフル板が、前記コークス制御領域をn個のコークス制御領域サブ領域に分割し、
各前記コークス制御領域サブ領域の底部には、いずれも前記コークス制御領域分配器が独立して設けられ、
前記コークス制御領域の断面は、環形であり、前記コークス制御領域サブ領域の断面は、扇環形であり、第1ないし第nの前記コークス制御領域サブ領域は、同心に順次配列され、
前記バッフル板には触媒流通孔が含まれ、第1の前記コークス制御領域サブ領域と第nの前記コークス制御領域サブ領域との間の共用バッフル板には前記触媒流通孔が含まれず、
前記第1の固気分離器が、前記流動床反応器の前記固気分離領域に位置し、前記第1の固気分離器の入口が、再生剤輸送管の出口に接続され、前記第1の固気分離器のガス出口が、前記固気分離領域に位置し、前記第1の固気分離器の触媒出口が、前記第1のコークス制御領域サブ領域に位置し、
前記コークス制御触媒輸送管の入口が、第nの前記コークス制御領域サブ領域に接続され、前記コークス制御触媒輸送管の出口が、前記反応領域に位置し、
各前記コークス制御領域サブ領域の頂部には、いずれも前記コークス制御領域ガス輸送管が独立して設けられ、前記コークス制御領域ガス輸送管の出口が、前記固気分離領域に位置し、
前記第2の固気分離器と前記第1のガス収集室が、前記流動床反応器の前記固気分離領域に位置し、
前記第2の固気分離器の入口が、前記流動床反応器の前記固気分離領域に位置し、前記第2の固気分離器のガス出口が、前記第1のガス収集室に接続され、前記第2の固気分離器の触媒出口が、前記反応領域に位置し、
前記生成ガス輸送管が、前記第1のガス収集室の頂部に接続され、
前記第1のストリッパーが、前記流動床反応器の下方に位置し、前記第1のストリッパーの入口管が、前記流動床反応器の底部から、前記反応領域分配器の上方に開口され、
前記使用済み滑動弁の入口が、前記第1のストリッパーの底部の出口管に接続され、前記使用済み滑動弁の出口が、管路を経て前記使用済み触媒輸送管の入口に接続され、
前記使用済み触媒輸送管の出口が、流動床再生器の中部に接続され、
前記コークス制御原料を前記コークス制御領域分配器から前記流動床反応器の前記コークス制御領域に通入し、前記触媒を前記再生剤輸送管から前記第1の固気分離器に通入し、固気分離された後、ガスが前記第1の固気分離器のガス出口から前記流動床反応器の前記固気分離領域に排入され、前記触媒が前記第1の固気分離器の前記触媒出口から前記流動床反応器の前記コークス制御領域に排入され、前記コークス制御原料を前記コークス制御領域で前記触媒と接触させ、コークス制御触媒とコークス制御生成ガスを生成し、
前記コークス制御触媒が、前記バッフル板における前記触媒流通孔を経て前記第1ないし第nのコークス制御領域サブ領域を順次に通過し、前記コークス制御触媒輸送管を経て前記流動床反応器の前記反応領域に入り、
前記コークス制御生成ガスが、前記コークス制御領域ガス輸送管を経て前記流動床反応器の前記固気分離領域に入ること、
を特徴とする
コークス制御反応器。
【請求項2】
含酸素化合物から軽オレフィンを製造するための装置であって、
前記流動床再生器と、請求項1に記載の
コークス制御反応器とを含む、ことを特徴とする
軽オレフィン製造装置。
【請求項3】
前記流動床再生器は
、再生器ハウジングを含み
、
前記再生器ハウジングには、使用済み剤入口が設けられ、
前記使用済み剤入口は、
前記使用済み剤輸送管を介して
前記第1のストリッパー
の出口管と連通され、
前記再生器ハウジングには、第3の固気分離器と、第2のガス収集室とがさらに設けられ、前記第2のガス収集室は、前記再生器ハウジングの内頂部に位置し、前記第3の固気分離器のガス出口は、前記第2のガス収集室と連通され、前記第2のガス収集室は、排煙輸送管と連通され、前記第3の固気分離器の触媒出口端は
、第2のストリッパー入口管開口端の上方に位置する、ことを特徴とする請求項
2に記載の
軽オレフィン製造装置。
【請求項4】
前記
再生器ハウジングの底部には、再生領域分配器がさらに設けられ、
前記再生領域分配器は、再生ガスを通入するために用いられ、
前記
流動床再生器の底部には、第2のストリッパーが設けられ、前記第2のストリッパーの入口は、前記再生器ハウジング内に位置し、前記第2のストリッパーの出口は、前記再生器ハウジング外に位置し、前記第2のストリッパーは、
前記再生剤輸送管を介して
前記第1の固気分離器と連通され、前記第2のストリッパーの入口の開口端は、前記再生領域分配器の上方に位置する、ことを特徴とする請求項
3に記載の
軽オレフィン製造装置。
【請求項5】
軽オレフィンを製造する方法であって、
前記軽オレフィンを製造する方法は、請求項4に記載の装置により軽オレフィンを製造することを含み、
前記軽オレフィンを製造する方法は、含酸素化合物から軽オレフィンを製造することを含み、このことは、
前記流動床反応器により、コークス制御反応でDMTO触媒をオンライン改質することを含み、前記方法は、
前記触媒と
前記コークス制御原料を
前記コークス制御領域に通入し、前記触媒が前記コークス制御領域サブ領域に沿って環形方向で流れながら、
前記コークス制御原料と反応させ、改質のDMTO触媒であるコークス制御触媒を含む生成物を生成するステップを含み、
前記軽オレフィンを製造する方法は、
流動床反応器反応領域中の使用済み触媒を
前記流動床再生器に通入し、再生処理を行い、再生触媒を生成し、前記再生触媒を流動床反応器の
前記コークス制御領域に通入し、
前記コークス制御原料と接触して反応させるステップをさらに含む、ことを特徴とする
軽オレフィン製造方法。
【請求項6】
前記触媒は、
前記バッフル板に設けられた
前記触媒流通孔に沿って環形方向で流れ、前記コークス制御原料は、
前記コークス制御領域分配器を経て
前記コークス制御領域サブ領域に入り、
前記触媒と反応させ、
製造された前記コークス制御触媒は、
前記コークス制御触媒輸送管を介して
前記反応領域に入り、
前記反応領域分配器から通入された含酸素化合物を含有する原料と接触し、反応させ、軽オレフィンと使用済み触媒を含有する流れAを生成し、前記生成物には、コークス制御生成ガスをさらに含み、前記コークス制御生成ガスは、
前記コークス制御領域ガス輸送管を介して
前記固気分離領域に入り、
前記流れAと
前記固気分離領域に入った
前記コークス制御生成ガスとを混合して、流れBを形成し、前記流れBは、
前記第2の固気分離器に入って固気分離し、軽オレフィンを含有する生成ガスである気相流れCと、使用済み触媒を含む固相流れDとを得、
前記気相流れCは、
前記第1のガス収集室に入り、
前記生成ガス輸送管を経て下流工程に入り、前記固相流れDは、
前記流動床反応器の
前記反応領域に戻り、前記反応領域における
前記触媒は、
前記第1のストリッパー
の入口管の開口端を経て前記第1のストリッパーに入り、ストリッピングし、ストリッピングされた後、下流領域に入る、ことを特徴とする請求項
5に記載の
軽オレフィン製造方法。
【請求項7】
前記コークス制御原料は、C
1~C
6の炭化水素系化合物を含み、
前記炭化水素系化合物は、C
1~C
6のアルカン、C
1~C
6のアルケンから選ばれる少なくとも一つであり、
前記コークス制御原料は、水素ガス、アルコール系化合物、水のうちの少なくとも一つをさらに含み、前記アルコール系化合物と水との合計含有量のコークス制御原料における質量含有量は、10wt%以上50wt%以下であり、
前記アルコール系化合物は、メタノール、エタノールから選ばれる少なくとも一つであり、 前記コークス制御原料は、水素ガス0~20wt%、メタン0~50wt%、エタン0~50wt%、エチレン0~20wt%、プロパン0~50wt%、プロペン0~20wt%、ブタン0~90wt%、ブテン0~90wt%、ペンタン0~90wt%、ペンテン0~90wt%、ヘキサン0~90wt%、ヘキセン0~90wt%、メタノール0~50wt%、エタノール0~50wt%、水0~50wt%を含み、炭化水素系化合物の総量は、0ではなく、
前記触媒は、SAPO分子篩を含み、前記触媒におけるコークス含有量は、≦3wt%であり、前記コークス制御触媒におけるコークス含有量は、4~9wtであり、前記コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、1wt%よりも小さく、
前記コークス制御触媒におけるコークス種は、ポリメチルベンゼンと、ポリメチルナフタレンとを含み、前記ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの合計質量のコークス合計質量における含有量は、≧70wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、≦25wt%であり、ここで、前記コークス合計質量とは、コークス種の合計質量であり、
前記コークス制御領域のプロセス条件は、ガスの見かけ線速度が0.1~0.5m/s、反応温度が300~700℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が400~800kg/m
3であり、
前記軽オレフィンを製造する方法は、
前記反応領域中の使用済み触媒を
前記第1のストリッパー及び
前記使用済み剤輸送管に順次に通過させ、
前記流動床再生器に入り、再生ガスと接触し、反応させ、排煙と再生触媒を含有する流れEを得、前記流れEが
前記第3の固気分離器に入り、排煙を再生触媒から分離させることと、分離された後の前記再生触媒が
前記第2のストリッパー、
前記再生剤輸送管、
前記第1の固気分離器に順次に通過して
前記流動床反応器の
前記コークス制御領域に戻り、
前記コークス制御原料と接触して反応させることとを含み、
前記再生触媒におけるコークス含有量は、≦3wt%であり、
前記再生ガスは、酸素ガス、窒素ガス、水蒸気、空気から選ばれる少なくとも一つであり、
前記再生ガスは、空気0~100wt%、酸素ガス0~50wt%、窒素ガス0~50wt%及び水蒸気0~50wt%を含み、前記空気、酸素ガス、窒素ガスと水蒸気の含有量は、同時に0ではなく、
再生
するプロセス条件は、ガスの見かけ線速度が0.5~2.0m/s、再生温度が600~750℃、再生圧力が100~500kPa、ベッド密度が150~700kg/m
3である、ことを特徴とする請求項
5に記載の
軽オレフィン製造方法。
【請求項8】
前記使用済み触媒におけるコークス含有量は、9~13wt%であり、
前記含酸素化合物は、メタノール、ジメチルエーテルから選ばれる少なくとも一つであり、
前記反応領域のプロセス条件は、ガスの見かけ線速度が0.5~2.0m/s、反応温度が350~550℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が150~500kg/m
3である、ことを特徴とする請求項
6に記載の
軽オレフィン製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、化学工業設備技術分野に属し、流動床反応器、含酸素化合物から軽オレフィンを製造するための装置及び応用に関する。
【背景技術】
【0002】
メタノールからアルケンを製造する技術(MTO)は、主に中国科学院大連化学物理研究所のDMTO技術と米国UOP会社のMTO技術がある。2010年、DMTO技術を用いた神華包頭メタノールからアルケンを製造する工場が建設され操業した。これは、MTO技術の世界初の工業化応用であり、2019年末までに、既に14セットのDMTO工業装置が操業され、軽オレフィン生産能力は合計約800万トン/年であった。
【0003】
近年では、DMTO技術はいっそう発展し、性能がより優れた新世代DMTO触媒が次第に工業化応用され始め、DMTO工場のためにより高い利益を創造した。新世代DMTO触媒は、より高いメタノール処理能力と軽オレフィン選択性を有する。従来のDMTO工業装置は、新世代DMTO触媒の長所を十分に利用することが困難であるため、高メタノール処理能力、高軽オレフィン選択性の新世代DMTO触媒需要に適応できるDMTO装置及び製造方法を研究開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の一方面によれば、流動床反応器を提供しており、該流動床反応器は、DMTO触媒におけるコークス含有量、コークス含有量分布とコークス種を制御することができ、それによって、DMTO触媒性能を制御し、軽オレフィンの選択性を向上させる。
【0005】
本明細書に記載の軽オレフィンとは、エチレンとプロペンである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
メインハウジングと、コークス制御領域ハウジングとを含む流動床反応器であって、前記メインハウジングは、固気分離領域を包囲形成する上ハウジングと、反応領域を包囲形成する下ハウジングとを含み、前記反応領域は、固気分離領域と軸方向連通され、前記コークス制御領域ハウジングは、前記メインハウジングの外壁に周方向に沿って設けられ、前記コークス制御領域ハウジングと前記メインハウジングは、コークス制御領域である環形キャビティを包囲形成し、前記コークス制御領域において、n個のバッフル板が径方向に沿って設けられ、前記n個のバッフル板は、前記コークス制御領域をn個のコークス制御領域サブ領域に分割し、nは、整数であり、前記コークス制御領域サブ領域には、コークス制御原料入口が設けられ、ここで、n-1個の前記バッフル板には、前記コークス制御領域に入った触媒が環形方向に沿って流れるように触媒流通孔が設けられる。
【0007】
コークス制御領域が1つの領域しか含まない場合、前記コークス制御領域に入る触媒の滞留時間分布は、完全混合釜反応器の滞留時間分布に近似し、このような条件下で、得られたコークス制御触媒粒子上のコークス含有量の均一性が比較的に悪く、即ち、ある触媒粒子のコークス含有量が非常に少なく、ある触媒粒子のコークス含有量が非常に多いため、触媒の平均活性が比較的に低く、平均選択性が低くなることを招く。本願において、コークス制御領域を設置し、コークス制御領域に径方向に沿ってバッフル板を取り付け、コークス制御領域を若干のコークス制御領域サブ領域に分割することによって、前記コークス制御領域に入る触媒の滞留時間分布を制御し、コークス制御触媒におけるコークス含有量分布が狭く、平均活性が比較的に高く、平均選択性が比較的に高くなる。同時に、領域分け制御方式を採用することはコークス制御触媒上のコークス種及びコークス含有量の制御にも有利である。
【0008】
本願において、コークス制御領域に入る触媒は、新触媒であってもよく、或いは再生触媒であってもよい。好ましくは、再生触媒であり、このようにして、再生とコークス制御を同時にオンラインで実現することができる。
【0009】
選択的に、前記コークス制御領域において、前記n個のバッフル板は、第1のバッフル板、第2のバッフル板ないし第nのバッフル板を含み、
前記第1のバッフル板には、前記触媒流通孔が開設されていなく、前記第2ないし第nのバッフル板には、いずれも前記触媒流通孔が開設され、
前記第1のバッフル板及び前記第2のバッフル板によって分割形成された第1のコークス制御領域サブ領域には、コークス制御領域触媒入口が設けられ、
前記第1のバッフル板及び前記第nのバッフル板によって分割形成された第nのコークス制御領域サブ領域には、コークス制御触媒輸送管が設けられ、前記コークス制御触媒輸送管の出口は、前記反応領域に位置し、
前記コークス制御領域サブ領域の下方には、コークス制御領域分配器であるコークス制御原料入口が設けられ、
前記コークス制御領域サブ領域の頂部には、コークス制御領域ガス輸送管が設けられ、前記コークス制御領域ガス輸送管の出口は、固気分離領域に位置する。
【0010】
具体的には、各枚バッフル板に開設された触媒流通孔は1つでもよいし、或いは複数でもよく、本願は厳格に限定されるものではない。複数の触媒流通孔が設けられる場合、触媒流通孔互いの相対位置は本願でも厳格に限定されるものではなく、例えば、複数の触媒流通孔は平行に配置してもよいし、或いはランダムに配置してもよい。
【0011】
本願において、コークス制御触媒輸送管の形状は厳格に限定されるものではなく、コークス制御触媒輸送管がコークス制御触媒を反応領域に送ることができることを保証すればよく、例えば、「L」状の配管であってもよく、もちろん、他の適切な形状であってもよい。
【0012】
好ましくは、コークス制御触媒輸送管は、「L」状管路であってもよく、このようにして、コークス制御触媒輸送管の出口が反応領域の比較的に低い位置に配置され、反応領域分配器から入る含酸素化合物を含有する原料と効率的に接触し、反応するとともに、コークス制御触媒が第1のストリッパーに入ることを回避する。
【0013】
コークス制御領域サブ領域の下方には、コークス制御領域分配器が設けられる。
【0014】
好ましくは、各コークス制御領域サブ領域の下方には、いずれもコークス制御領域分配器が設けられる。このようにして、コークス制御原料の全体がコークス制御領域に均一に入ることを実現し、各サブ領域の間にコークス制御原料の分布が不均一である現象を回避することができ、触媒コークス含有量及びコークス含有量分布制御をより良く実現することができる。
【0015】
前記コークス制御領域サブ領域の頂部には、ガス輸送管が設けられる。
【0016】
好ましくは、各コークス制御領域サブ領域の頂部には、ガス輸送管が設けられる。触媒コークス含有量分布制御をより良く実現することができる。
【0017】
選択的に、前記nの値取り範囲は、2≦n≦10である。
【0018】
選択的に、前記反応領域の内下方には、反応領域分配器がさらに設けられ、
前記反応領域分配器は、反応原料を通入するために用いられる。
【0019】
具体的には、本願において、反応原料は、含酸素化合物を含有する原料である。
【0020】
選択的に、前記反応領域には、流動床反応器熱除去器が設けられ、前記反応領域の底部には、第1のストリッパーが設けられ、前記第1のストリッパーの入口は、前記下ハウジング内に位置し、前記第1のストリッパーの出口は、前記下ハウジング外に位置し、前記第1のストリッパーの入口の開口端は、コークス制御触媒輸送管の出口端の上方に位置し、前記コークス制御触媒輸送管の出口端は、前記反応領域分配器の上方に位置する。
【0021】
具体的には、第1のストリッパー入口管の開口端をコークス制御触媒輸送管の出口端の上方に設けられることによって、コークス制御触媒輸送管から送られるコークス制御触媒が第1のストリッパー入口管に入ることを回避する。
【0022】
コークス制御触媒輸送管の出口端を反応領域分配器の上方に設けられることによって、コークス制御触媒を反応領域分配器から送られる反応原料と直接に効率的に反応させることができる。
【0023】
選択的に、前記固気分離領域には、第1の固気分離器と第2の固気分離器とが設けられ、前記第1の固気分離器の触媒出口管は、コークス制御領域頂部を貫通して第1のコークス制御領域サブ領域に挿設し(即ち、第1の固気分離器の触媒出口管は、コークス制御領域触媒入口を介して第1のコークス制御領域サブ領域に挿設する)、前記第1の固気分離器のガス出口は、固気分離領域に設けられ、前記第2の固気分離器の入口は、前記固気分離領域に位置し、前記第2の固気分離器の触媒出口端は、反応領域に位置する。
【0024】
好ましくは、前記コークス制御領域ガス輸送管は、前記第2の固気分離器の触媒出口端の上方に位置する。
【0025】
選択的に、前記固気分離領域の内上部には、第1のガス収集室がさらに設けられ、前記第2の固気分離器のガス出口は、前記第1のガス収集室と連通され、前記第1のガス収集室は、さらに、生成ガス輸送管と連通される。
【0026】
本願の第二の方面によれば、含酸素化合物から軽オレフィンを製造するための装置をさらに提供する。前記装置は、流動床再生器と上記のいずれか1項に記載の流動床反応器とを含む。
【0027】
具体的には、本願によって提供される含酸素化合物から軽オレフィンを製造するための装置は、流動床再生器を設け、流動床再生器を利用して、使用済み触媒を再生させ、再生された触媒をコークス制御領域に通入し、コークス制御を行い、コークス制御後に反応領域に通入して触媒化反応を行う。触媒をオンラインに再生する、及び触媒をオンラインにコークス制御することができ、生産効率を向上させることができる。
【0028】
選択的に、前記流動床再生器は、再生器上ハウジングと、再生器下ハウジングとを含む再生器ハウジングを含み、前記再生器上ハウジングは、固気分離領域を包囲形成し、前記再生器下ハウジングは、再生領域を包囲形成し、前記再生器ハウジングには、使用済み剤入口が設けられ、前記使用済み剤入口は、使用済み剤輸送管を介して第1のストリッパー出口管と連通される。
【0029】
選択的に、前記再生領域の底部には、再生領域分配器がさらに設けられ、
前記再生領域分配器は、再生ガスを通入するために用いられる。
【0030】
選択的に、前記再生領域の底部には、第2のストリッパーが設けられ、前記第2のストリッパーの入口は、前記再生器ハウジング内に位置し、前記第2のストリッパーの出口は、前記再生器ハウジング外に位置し、前記第2のストリッパーは、再生剤輸送管を介して第1の固気分離器と連通され、前記第2のストリッパーの入口の開口端は、前記再生領域分配器の上方に位置する。
【0031】
選択的に、前記再生器ハウジングには、第3の固気分離器と、第2のガス収集室とがさらに設けられ、前記第2のガス収集室は、前記再生器ハウジングの内頂部に位置し、前記第3の固気分離器のガス出口は、前記第2のガス収集室と連通され、前記第2のガス収集室は、排煙輸送管と連通され、前記第3の固気分離器の触媒出口端は、前記第2のストリッパー入口管開口端の上方に位置する。
【0032】
本願の第三の方面によれば、含酸素化合物から軽オレフィンを製造する方法をさらに提供する。前記方法は、上記のいずれか1項に記載の流動床反応器により、コークス制御反応でDMTO触媒をオンライン改質することを含み、
前記方法は、
触媒とコークス制御原料をコークス制御領域に通入し、前記触媒が前記コークス制御領域サブ領域に沿って環形方向で流れながら、コークス制御原料と反応させ、改質のDMTO触媒であるコークス制御触媒を含む生成物を生成するステップを含む。
【0033】
選択的に、前記触媒は、バッフル板に設けられた触媒流通孔に沿って環形方向で流れ、前記コークス制御原料は、コークス制御領域分配器を経てコークス制御領域サブ領域に入り、触媒と反応させる。
【0034】
具体的には、触媒がバッフル板に設けられた触媒流通孔に沿って環形方向で流れながら、コークス制御原料は、下方に位置するコークス制御領域分配器を経てコークス制御領域サブ領域に入り、触媒と接触し、触媒におけるコークス含有量を調節し、気相(未反応のコークス制御原料を含む)は、コークス制御領域上方に配置されたガス輸送管を経て固気分離領域に送る。
【0035】
選択的に、製造された前記コークス制御触媒は、コークス制御触媒輸送管を介して反応領域に入り、反応領域分配器から通入された含酸素化合物を含有する原料と接触し、反応させ、軽オレフィンと使用済み触媒を含有する流れAを生成し、
前記生成物には、コークス制御生成ガスをさらに含み、前記コークス制御生成ガスは、コークス制御領域ガス輸送管を介して固気分離領域に入る。
【0036】
選択的に、前記流れAと固気分離領域に入ったコークス制御生成ガスとを混合して、流れBを形成し、
前記流れBは、第2の固気分離器に入って固気分離し、軽オレフィンを含有する生成ガスである気相流れCと、使用済み触媒を含む固相流れDとを得る。
【0037】
選択的に、前記気相流れCは、第1のガス収集室に入り、生成ガス輸送管を経て下流工程に入り、
前記固相流れDは、流動床反応器の反応領域に戻り、
前記反応領域における触媒は、第1のストリッパー入口管の開口端を経て前記第1のストリッパーに入り、ストリッピングし、ストリッピングされた後、下流領域に入る。
【0038】
具体的には、前記下流領域は、再生器であってもよい。
【0039】
選択的に、前記コークス制御原料は、C1-C6の炭化水素系化合物を含み、
好ましくは、前記炭化水素系化合物は、C1-C6のアルカン、C1-C6のアルケンから選ばれる少なくとも一つである。
【0040】
選択的に、前記コークス制御原料は、水素ガス、アルコール系化合物、水のうちの少なくとも一つをさらに含み、
前記アルコール系化合物と水との合計含有量のコークス制御原料における質量含有量は、10wt%以上50wt%以下であり、
選択的に、前記アルコール系化合物は、メタノール、エタノールから選ばれる少なくとも一つである。
【0041】
選択的に、前記コークス制御原料は、水素ガス0~20wt%、メタン0~50wt%、エタン0~50wt%、エチレン0~20wt%、プロパン0~50wt%、プロペン0~20wt%、ブタン0~90wt%、ブテン0~90wt%、ペンタン0~90wt%、ペンテン0~90wt%、ヘキサン0~90wt%、ヘキセン0~90wt%、メタノール0~50wt%、エタノール0~50wt%、水0~50wt%を含み、炭化水素系化合物の総量は、0ではない。
【0042】
選択的に、前記触媒は、SAPO分子篩を含み、
前記触媒におけるコークス含有量は、≦3wt%であり、
前記コークス制御触媒におけるコークス含有量は、4~9wtであり、
前記コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、1wt%よりも小さい。
【0043】
具体的には、本願において、コークス制御領域の設置及びコークス制御プロセスの選択により、コークス制御触媒におけるコークス含有量が4~9wt%であることを実現し、触媒が粉体であるため、触媒のコークス含有量とは各触媒粒子のコークス含有量の平均値であるが、各触媒粒子におけるコークス含有量は実際に同じものではない。本願において、触媒全体のコークス含有量分布が狭くなるように、コークス制御触媒粒子のークス含有量分布の四分位偏差を1wt%未満の範囲内に制御してもよく、それによって、触媒の活性、及び軽オレフィンの選択性を向上させる。
【0044】
選択的に、前記コークス制御触媒におけるコークス種は、ポリメチルベンゼンと、ポリメチルナフタレンとを含み、
前記ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの合計質量のコークス合計質量における含有量は、≧70wt%であり、
分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、≦25wt%であり、
ここで、前記コークス合計質量とは、コークス種の合計質量である。
【0045】
本願において、コークス種のタイプ、及びコークス種の含有量も非常に重要であり、本願の制御の目的の一つでもある。本願において、コークス制御の設置及びコークス制御プロセスパラメータの選択により、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとのコークス合計質量における含有量が≧70wt%である効果を実現し、触媒の活性、及び軽オレフィンの選択性を向上させた。
【0046】
選択的に、前記使用済み触媒におけるコークス含有量は、9~13wt%である。
【0047】
選択的に、前記含酸素化合物は、メタノール、ジメチルエーテルから選ばれる少なくとも一つである。
【0048】
選択的に、コークス制御領域のプロセス条件は、ガスの見かけ線速度が0.1~0.5m/s、反応温度が300~700℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が400~800kg/m3である。
【0049】
選択的に、反応領域のプロセス条件は、ガスの見かけ線速度が0.5~2.0m/s、反応温度が350~550℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が150~500kg/m3である。
【0050】
本願の第四の方面によれば、軽オレフィンを製造する方法をさらに提供する。この軽オレフィンを製造する方法は、上記のいずれか1項に記載の装置により軽オレフィンを製造することを含み、
前記軽オレフィンを製造する方法は、上記のいずれか1項に記載の方法を含み、
前記軽オレフィンを製造する方法は、
反応領域中の使用済み触媒を流動床再生器に通入し、再生処理を行い、再生触媒を生成し、前記再生触媒を流動床反応器のコークス制御領域に通入し、コークス制御原料と接触して反応させるステップをさらに含む。
【0051】
選択的に、前記方法は、反応領域中の使用済み触媒を第1のストリッパー及び使用済み剤輸送管に順次に通過させ、流動床再生器に入り、再生ガスと接触し、反応させ、排煙と再生触媒を含有する流れEを得、前記流れEが第3の固気分離器に入り、排煙を再生触媒から分離させることと、
分離された後の前記再生触媒が第2のストリッパー、再生剤輸送管、第1の固気分離器に順次に通過して流動床反応器のコークス制御領域に戻り、コークス制御原料と接触して反応させることとを含む。
【0052】
選択的に、前記再生触媒におけるコークス含有量は、≦3wt%である。
【0053】
選択的に、前記再生ガスは、酸素ガス、窒素ガス、水蒸気、空気から選ばれる少なくとも一つである。
【0054】
選択的に、前記再生ガスは、空気0~100wt%、酸素ガス0~50wt%、窒素ガス0~50wt%及び水蒸気0~50wt%を含み、前記空気、酸素ガス、窒素ガスと水蒸気の含有量は、同時に0ではない。
【0055】
選択的に、再生領域のプロセス条件は、ガスの見かけ線速度が0.5~2.0m/s、再生温度が600~750℃、再生圧力が100~500kPa、ベッド密度が150~700kg/m3である。
【発明の効果】
【0056】
本願による有益な効果は、以下を含む。
(1)DMTO触媒の主な特徴の1つは、メタノール転化プロセスの軽オレフィンの選択性が触媒のコークス含有量が高くなるにつれて上昇することであり、本明細書に記載の軽オレフィンとはエチレンとプロペンである。本発明者らの研究から、DMTO触媒の活性と軽オレフィンの選択性に影響を与える主な要素は、触媒におけるコークス含有量、コークス含有量分布とコークス種であることが明らかになった。触媒の平均コークス含有量が同じである場合、コークス含有量分布が狭いと、軽オレフィンの選択性が高く、活性が高い。触媒におけるコークス種は、ポリメチル芳香族炭化水素とポリメチル環式アルカンなどを含み、ここで、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンは、エチレンの生成を促進することができる。従って、触媒におけるコークス含有量、コークス含有量分布及びコークス種を制御することは、DMTO触媒の活性の制御、軽オレフィンの選択性の向上のキーポイントである。
本願における流動床反応器は、コークス制御領域を設け、コークス制御領域に設けられたバッフル板により、コークス制御領域を複数のサブ領域に分割し、触媒がサブ領域に沿って順次に流れ、サブ領域により触媒の滞留時間分布を制御し、滞留時間分布を狭くすることによって、触媒におけるコークス含有量分布を制御し、コークス含有量分布を狭くする。これとともに、コークス含有量及びコークス種も制御する。最終的に、DMTO触媒の活性と軽オレフィンの選択性を向上させた。
(2)本願の方法では、触媒は、コークス制御領域におけるバッフル板中の触媒流通孔のみを介して上流サブ領域から下流サブ領域に流れ、第一、コークス制御領域における触媒の平均滞留時間を制御することによって、触媒におけるコークス含有量を制御させることができる。第二、n個のサブコークス制御領域の構造を採用して触媒の滞留時間分布を制御し、その滞留時間分布がn個の直列の完全混合釜反応器に近似し、それによって、コークス含有量分布が狭い触媒を得た。
(3)本願は、触媒におけるコークス種の転化と生成を制御することによって、一方で、再生触媒に残留された不活性の高分子コークス種を低分子コークス種に転化し、もう一方で、コークス制御原料は、触媒中に入って高活性の低分子コークス種を生成することができ、且つ低分子コークス種は、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンを主とし、エチレンの選択性を向上させることができる。
(4)本願におけるDMTO触媒をコークス制御反応によりオンライン改質する方法は、コークス含有量が高く、コークス含有量分布が狭く、コークス種の主要成分がポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンであるコークス制御触媒を得て、軽オレフィンの選択性が比較的に低い再生触媒を軽オレフィンの選択性が高いコークス制御触媒に転化することができる。
(5)本願における再生触媒は、コークス制御プロセス処理を経ずに、含酸素化合物から軽オレフィンを製造するプロセスに直接使用されてもよく、コークス制御処理を経ない場合、得られた生成ガスにおける軽オレフィンの選択性が80~83wt%であり、本願における再生触媒は、コークス制御プロセス処理を経た後、含酸素化合物から軽オレフィンを製造するプロセスに使用され、得られた生成ガスにおける軽オレフィンの選択性が93~96wt%であった。
(6)本願の方法では、再生器からの高温再生触媒は、コークス制御領域で冷却してから反応領域に入り、即ち、反応領域には局部高温領域が存在しないため、含酸素化合物を含有する原料のコークス化率が低い。
(7)本願の流動床反応器の反応領域は、流動床反応器熱除去器を含み、反応領域の温度を正確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】本願の一つ実施形態による含酸素化合物から軽オレフィン(DMTO)を製造する装置の概略図である。
【
図2】本願の一つ実施形態による流動床反応器のコークス制御領域の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、実施例を参照しながら本願について詳述するが、本願はこれらの実施例に制限されない。
【0059】
以下、可能な実施形態を紹介する。
【0060】
DMTO触媒の性能を向上させるために、本願は、DMTO触媒をコークス制御反応によりオンライン改質する方法を提供し、そのステップは、
a)再生触媒をコークス制御領域に送ることと、
b)水素ガス、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、ブタン、ブテン、ペンタン、ペンテン、ヘキサン、ヘキセン、メタノール、エタノールと水を含むコークス制御原料をコークス制御反応器に送ることと、
c)コークス制御原料と再生触媒をコークス制御反応器で接触させ、反応させ、コークス制御原料を再生触媒上でコークス化させることであって、コークス化された後の触媒は、コークス制御触媒と称され、コークス制御触媒におけるコークス含有量が4~9wt%であり、コークス種には、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとが含まれ、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量が≧70wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量が≦25wt%である、ことと、
d)コークス制御触媒をメタノール転化反応器に送ることとを含む。
【0061】
前記再生触媒は、コークス含有量が≦3wt%であるDMTO触媒であり、前記DMTO触媒の活性成分は、SAPO分子篩である。
【0062】
前記コークス制御原料の成分は、0~20wt%水素ガス、0~50wt%メタン、0~50wt%エタン、0~20wt%エチレン、0~50wt%プロパン、0~20wt%プロペン、0~90wt%ブタン、0~90wt%ブテン、0~90wt%ペンタン、0~90wt%ペンテン、0~90wt%ヘキサン、0~90wt%ヘキセン、0~50wt%メタノール、0~50wt%エタノールと0~50wt%水であり、且つメタノール、エタノールと水との合計含有量は、≧10wt%である。
【0063】
前記コークス制御反応の反応温度は、300~700℃である。
【0064】
本願は、上述したDMTO触媒をコークス制御反応によりオンライン改質する方法を含む含酸素化合物から軽オレフィンを製造する方法及びその方法を用いた装置をさらに提供する。前記装置は、流動床反応器1と流動床再生器2とを含む。
【0065】
流動床反応器1であって、前記流動床反応器1は、下から上へ反応領域、コークス制御領域と固気分離領域とに分けられ、前記流動床反応器1は、流動床反応器メインハウジング1-1、反応領域分配器1-2、流動床反応器熱除去器1-3、コークス制御領域分配器1-4、バッフル板1-5、第1の固気分離器1-6、コークス制御触媒輸送管1-7、コークス制御領域ガス輸送管1-8、第2の固気分離器1-9、第1のガス収集室1-10、生成ガス輸送管1-11、第1のストリッパー1-12、使用済み滑動弁1-13と使用済み触媒輸送管1-14を含み、前記使用済み滑動弁1-13は、使用済み触媒の循環量を制御するために用いられる。
【0066】
前記反応領域分配器1-2は、流動床反応器1の反応領域の底部に位置し、流動床反応器熱除去器1-3は、反応領域に位置し、
前記コークス制御領域は、反応領域上方の環形領域に位置し、コークス制御領域内には、n個のバッフル板1-5が設けられ、バッフル板1-5は、コークス制御領域をn個のコークス制御領域サブ領域に分割し、nは、2≦n≦10である整数であり、各サブコークス制御領域の底部には、いずれもコークス制御領域分配器1-4が独立して設けられ、コークス制御領域の断面は、環形であり、コークス制御領域サブ領域の断面は、扇環形であり、第1ないし第nのコークス制御領域サブ領域は、同心に順次配列され、バッフル板1-5には触媒流通孔が含まれるが、第1のコークス制御領域サブ領域と第nのコークス制御領域サブ領域との間の共用バッフル板には触媒流通孔が含まれなく、
第1の固気分離器1-6は、流動床反応器1の固気分離領域に位置し、第1の固気分離器1-6の入口は、再生剤輸送管2-9の出口に接続され、第1の固気分離器1-6のガス出口は、固気分離領域に位置し、第1の固気分離器1-6の触媒出口は、第1のコークス制御領域サブ領域に位置し、コークス制御触媒輸送管1-7の入口は、第nのコークス制御領域サブ領域に接続され、コークス制御触媒輸送管1-7の出口は、反応領域に位置し、
前記各コークス制御領域サブ領域の頂部は、いずれもコークス制御領域ガス輸送管1-8が独立して設けられ、コークス制御領域ガス輸送管1-8の出口は、固気分離領域に位置し、第2の固気分離器1-9と第1のガス収集室1-10は、流動床反応器1の固気分離領域に位置し、第2の固気分離器1-9の入口は、流動床反応器1の固気分離領域に位置し、第2の固気分離器1-9のガス出口は、第1のガス収集室1-10に接続され、第2の固気分離器1-9の触媒出口は、反応領域に位置し、生成ガス輸送管1-11は、第1のガス収集室1-10の頂部に接続され、第1のストリッパー1-12は、流動床反応器1の下方に位置し、第1のストリッパー1-12の入口管は、流動床反応器1の底部から流動床反応器下ハウジングを貫通して、反応領域分配器1-2の上方に開口され、使用済み滑動弁1-13の入口は、第1のストリッパー1-12底部の出口管に接続され、使用済み滑動弁1-13の出口は、管路を経て使用済み剤輸送管1-14の入口に接続され、使用済み剤輸送管1-14の出口は、流動床再生器2の中部に接続される。
【0067】
好適な一実施形態では、第1の固気分離器1-6は、固気サイクロン分離器を採用する。
【0068】
好適な一実施形態では、第1の固気分離器1-6は、固気高速分離器を採用する。
【0069】
好適な一実施形態では、第2の固気分離器1-9は、1組の又は複数の組の固気サイクロン分離器を採用し、各組の固気サイクロン分離器は、1つの一段目の固気サイクロン分離器と1つの二段目の固気サイクロン分離器とを含む。
【0070】
含酸素化合物から軽オレフィンを製造するための装置であって、前記装置は、触媒を再生するための流動床再生器2を含み、前記流動床再生器2は、再生器ハウジング2-1、再生器分配器2-2、第3の固気分離器2-3、第2のガス収集室2-4、排煙輸送管2-5、第2のストリッパー2-6、再生器熱除去器2-7、再生滑動弁2-8と再生剤輸送管2-9を含み、
前記再生器分配器2-2は、流動床再生器2の底部に位置し、第3の固気分離器2-3は、流動床再生器2の上部に位置し、第3の固気分離器2-3の入口は、流動床再生器2の上部に位置し、第3の固気分離器2-3のガス出口は、第2のガス収集室2-4に接続され、第3の固気分離器2-3の触媒出口は、流動床再生器2の下部に位置し、第2のガス収集室2-4は、流動床再生器2の頂部に位置し、排煙輸送管2-5は、第2のガス収集室2-4の頂部に接続され、
前記第2のストリッパー2-6は、再生器ハウジング2-1の外に位置し、第2のストリッパー2-6の入口管は、再生器ハウジング2-1を貫通して、再生器分配器2-2の上方に開口され、再生器熱除去器2-7は、第2のストリッパー2-6の中に位置し、再生滑動弁2-8の入口は、管路を経て再生器ストリッパー2-6の底部に接続され、再生滑動弁2-8の出口は、管路を経て再生剤輸送管2-9の入口に接続され、再生剤輸送管2-9の出口は、第1の固気分離器1-6の入口に接続され、再生滑動弁2-8は、再生触媒の循環量を制御するために用いられる。
【0071】
好適な一実施形態では、第3の固気分離器2-3は、1組の又は複数の組の固気サイクロン分離器を採用し、各組の固気サイクロン分離器は、1つの一段目の固気サイクロン分離器と1つの二段目の固気サイクロン分離器とを含む。
【0072】
本願の別の方面によれば、DMTO触媒をコークス制御によりオンライン改質する方法を含むメタノールからアルケンを製造する方法をさらに提供する。この方法は、
コークス制御原料をコークス制御領域分配器1-4から流動床反応器1のコークス制御領域に通入し、再生触媒を再生剤輸送管2-9から第1の固気分離器1-6に通入し、固気分離された後、ガスが第1の固気分離器1-6のガス出口から流動床反応器1の固気分離領域に排入され、再生触媒が第1の固気分離器1-6の触媒出口から流動床反応器1のコークス制御領域に排入され、コークス制御原料をコークス制御領域で再生触媒と接触させ、化学反応を発生させ、コークス制御触媒とコークス制御生成ガスを生成し、コークス制御触媒は、バッフル板1-5における触媒流通孔を経て第1ないし第nのコークス制御領域サブ領域を順次に通過し、そしてコークス制御触媒輸送管1-7を経て流動床反応器1の反応領域に入り、コークス制御生成ガスは、コークス制御領域ガス輸送管1-8を経て流動床反応器1の固気分離領域に入り、含酸素化合物を含有する原料を反応領域分配器1-2から流動床反応器1の反応領域に通入し、コークス制御触媒と接触させ、軽オレフィンと使用済み触媒を含有する流れAを生成し、流れAとコークス制御生成ガスは、固気分離領域で混合して流れBを形成し、流れBは、第2の固気分離器1-9に入り、固気分離された後、軽オレフィンを含有する生成ガスである気相流れCと使用済み触媒である固相流れDとに分けられ、気相流れCが第1のガス収集室1-10に入り、その後、生成ガス輸送管1-11を経て下流工程に入り、固相流れDが流動床反応器1の反応領域に戻り、反応領域の使用済み触媒は、第1のストリッパー1-12の入口管を経て流動床反応器ストリッパー1-12に入り、ストリッピングされた後、使用済み触媒は、使用済み滑動弁1-13と使用済み剤輸送管1-14を経て流動床再生器2の中部に入るステップと、
再生ガスを再生器分配器2-2から流動床再生器2の底部に通入し、流動床再生器2において、再生ガスを使用済み触媒と接触させ、化学反応を発生させ、使用済み触媒における一部のコークスが燃焼されて除去され、排煙と再生触媒を含有する流れEを生成し、流れEが第3の固気分離器2-3に入り、固気分離された後、排煙と再生触媒とに分けられ、排煙が第2のガス収集室2-4に入り、次に、排煙輸送管2-5を経て下流の排煙処理システムに入り、再生触媒が流動床再生器2の底部に戻り、流動床再生器2中の再生触媒が第2のストリッパー2-6に入り、ストリッピング・熱除去された後、再生滑動弁2-8と再生剤輸送管2-9を経て第1の固気分離器1-6に入るステップとを含む。
【0073】
好適な一実施形態では、本願上記コークス制御原料の成分は、水素ガス0~20wt%、メタン0~50wt%、エタン0~50wt%、エチレン0~20wt%、プロパン0~50wt%、プロペン0~20wt%、ブタン0~90wt%、ブテン0~90wt%、ペンタン0~90wt%、ペンテン0~90wt%、ヘキサン0~90wt%、ヘキセン0~90wt%、メタノール0~50wt%、エタノール0~50wt%と水0~50wt%であり、且つ、メタノール、エタノールと水との合計含有量は、≧10wt%である。
【0074】
好適な一実施形態では、本願上記の方法における含酸素化合物は、メタノール又はジメチルエーテルのうちの1種又はメタノールとジメチルエーテルとの混合物である。
【0075】
好適な一実施形態では、本願上記の方法における再生ガスは、空気0~100wt%、酸素ガス0~50wt%、窒素ガス0~50wt%及び水蒸気0~50wt%である。
【0076】
好適な一実施形態では、前記触媒の活性成分は、SAPO分子篩である。
【0077】
好適な一実施形態では、前記再生触媒におけるコークス含有量は、≦3wt%である。
【0078】
好適な一実施形態では、前記コークス制御触媒におけるコークス含有量が4~9wt%であり、前記コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差が1wt%よりも小さく、コークス種には、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとが含まれ、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量が≧70wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量が≦25wt%である。
【0079】
好適な一実施形態では、前記使用済み触媒におけるコークス含有量が9~13wt%であり、さらに好ましくは、使用済み触媒におけるコークス含有量が10~12wt%である。
【0080】
好適な一実施形態では、前記流動床反応器1のコークス制御領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.1~0.5m/s、反応温度が300~700℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が400~800kg/m3である。
【0081】
好適な一実施形態では、前記流動床反応器1の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.5~2.0m/s、反応温度が350~550℃、反応圧力が100~500kPa、ベッド密度が150~500kg/m3である。
【0082】
好適な一実施形態では、前記流動床再生器2のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が0.5~2.0m/s、再生温度が600~750℃、再生圧力が100~500kPa、ベッド密度が150~700kg/m3である。
【0083】
本願上記の方法において、生成ガスの成分は、エチレン38~57wt%、プロペン37~55wt%、C4~C6炭化水素系≦5wt%と≦他の成分3wt%であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCO2などであり、且つエチレンとプロペンの生成ガスにおける合計選択性は、93~96wt%である。
【0084】
本願において、生産原単位の記述に関しては、含酸素化合物におけるジメチルエーテル質量を同じ炭素原子質量に基づいてメタノール質量に換算して計算し、生産原単位の単位は、トンメタノール/トン軽オレフィンである。
【0085】
本願上記の方法において、生産原単位は、2.50~2.58トンメタノール/トン軽オレフィンである。
【0086】
実施例1
本実施形態は、
図1と
図2に示した装置を用い、流動床反応器中のコークス制御領域には、二枚のバッフル板が含まれ、即ちn=2であり、コークス制御領域には、2つのコークス制御領域サブ領域が含まれ、第1の固気分離器は、固気サイクロン分離器を採用した。
【0087】
具体的には、
図1に示されるように、下ハウジングと上ハウジングとの接続部の直径が下から上へ徐々に増大し、固気分離領域の直径が反応領域の直径より大きくなる。コークス制御領域は、前記下ハウジングと上ハウジングとの接続部に位置する。前記バッフル板の縦断面は平行四辺形である。
【0088】
本実施形態において、コークス制御原料は、ブタン6wt%、ブテン81wt%、メタノール2wt%と水11wt%との混合物であり、含酸素化合物は、メタノールであり、再生ガスは、空気であり、触媒における活性成分は、SAPO-34分子篩であり、再生触媒におけるコークス含有量は、約1wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量は、約4wt%であり、ここで、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量は、約85wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、約6wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、約0.9wt%であり、使用済み触媒におけるコークス含有量は、約9wt%であった。
【0089】
流動床反応器のコークス制御領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.3m/s、反応温度が約500℃、反応圧力が約100kPa、ベッド密度が約600kg/m3であった。
【0090】
流動床反応器の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約2.0m/s、反応温度が約550℃、反応圧力が約100kPa、ベッド密度が約150kg/m3であった。
【0091】
流動床再生器のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.5m/s、再生温度が約700℃、再生圧力が約100kPa、ベッド密度が約700kg/m3であった。
【0092】
本実施形態において、生成ガスの成分は、エチレン57wt%、プロペン37wt%、C4~C6炭化水素系3wt%と他の成分3wt%であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCO2などであった。生産原単位は、2.55トンメタノール/トン軽オレフィンであった。
【0093】
実施例2
本実施形態は、
図1と
図2に示した装置を用い、流動床反応器中のコークス制御領域には、十枚のバッフル板が含まれ、即ちn=10であり、コークス制御領域には、10つのコークス制御領域サブ領域が含まれ、第1の固気分離器は、固気サイクロン分離器を採用した。
【0094】
本実施形態において、コークス制御原料は、メタン22wt%、エタン24wt%、エチレン3wt%、プロパン28wt%、プロペン4wt%、水素ガス7wt%と水12wt%との混合物であり、含酸素化合物は、メタノール82wt%とジメチルエーテル18wt%との混合物であり、再生ガスは、空気50wt%と水蒸気50wt%であり、触媒における活性成分は、SAPO-34分子篩であり、再生触媒におけるコークス含有量は、約3wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量は、約9wt%であり、ここで、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量は、約78wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、約13wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、約0.2wt%であり、使用済み触媒におけるコークス含有量は、約13wt%であった。
【0095】
流動床反応器のコークス制御領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.1m/s、反応温度が約300℃、反応圧力が約500kPa、ベッド密度が約800kg/m3であった。
【0096】
流動床反応器の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.5m/s、反応温度が約350℃、反応圧力が約500kPa、ベッド密度が約500kg/m3であった。
【0097】
流動床再生器のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約2.0m/s、再生温度が約600℃、再生圧力が約500kPa、ベッド密度が約150kg/m3であった。
【0098】
本実施形態において、生成ガスの成分は、エチレン38wt%、プロペン55wt%、C4~C6炭化水素系5wt%と他の成分2wt%であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCO2などであった。生産原単位は、2.58トンメタノール/トン軽オレフィンであった。
【0099】
実施例3
本実施形態は、
図1と
図2に示した装置を用い、流動床反応器中のコークス制御領域には、四枚のバッフル板が含まれ、即ちn=4であり、コークス制御領域には、4つのコークス制御領域サブ領域が含まれ、第1の固気分離器は、固気高速分離器を採用した。
【0100】
本実施形態において、コークス制御原料は、プロパン1wt%、プロペン1wt%、ブタン3wt%、ブテン51wt%、ペンタン3wt%、ペンテン22wt%、ヘキサン1wt%、ヘキセン7wt%、メタノール2wt%と水9wt%との混合物であり、含酸素化合物は、ジメチルエーテルであり、再生ガスは、空気50wt%と酸素ガス50wt%であり、触媒における活性成分は、SAPO-34分子篩であり、再生触媒におけるコークス含有量は、約2wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量は、約6wt%であり、ここで、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量は、約81wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、約15wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、約0.6wt%であり、使用済み触媒におけるコークス含有量は、約11wt%であった。
【0101】
流動床反応器のコークス制御領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.4m/s、反応温度が約700℃、反応圧力が約300kPa、ベッド密度が約500kg/m3であった。
【0102】
流動床反応器の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約1.0m/s、反応温度が約450℃、反応圧力が約300kPa、ベッド密度が約300kg/m3であった。
【0103】
流動床再生器のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約1.0m/s、再生温度が約750℃、再生圧力が約300kPa、ベッド密度が約360kg/m3であった。
【0104】
本実施形態において、生成ガスの成分は、エチレン48wt%、プロペン47wt%、C4~C6炭化水素系3wt%と他の成分2wt%であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCO2などであった。生産原単位は、2.53トンメタノール/トン軽オレフィンであった。
【0105】
実施例4
本実施形態は、
図1と
図2に示した装置を用い、流動床反応器中のコークス制御領域には、六枚のバッフル板が含まれ、即ちn=6であり、コークス制御領域には、6つのコークス制御領域サブ領域が含まれ、第1の固気分離器は、固気高速分離器を採用した。
【0106】
本実施形態において、コークス制御原料は、ブタン5wt%、ブテン72wt%、メタノール8wt%と水15wt%との混合物であり、含酸素化合物は、メタノールであり、再生ガスは、空気50wt%と窒素ガス50wt%であり、触媒における活性成分は、SAPO-34分子篩であり、再生触媒におけるコークス含有量は、約2wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量は、約6wt%であり、ここで、ポリメチルベンゼンとポリメチルナフタレンとの質量のコークス合計質量における含有量は、約70wt%であり、分子量が>184であるコークス種の質量のコークス合計質量における含有量は、約24wt%であり、コークス制御触媒におけるコークス含有量分布の四分位偏差は、約0.3wt%であり、使用済み触媒におけるコークス含有量は、約12wt%であった。
【0107】
流動床反応器のコークス制御領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約0.5m/s、反応温度が約600℃、反応圧力が約200kPa、ベッド密度が約400kg/m3であった。
【0108】
流動床反応器の反応領域のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約1.5m/s、反応温度が約500℃、反応圧力が約200kPa、ベッド密度が約200kg/m3であった。
【0109】
流動床再生器のプロセス動作条件は、ガスの見かけ線速度が約1.5m/s、再生温度が約680℃、再生圧力が約200kPa、ベッド密度が約280kg/m3であった。
【0110】
本実施形態において、生成ガスの成分は、エチレン53wt%、プロペン43wt%、C4~C6炭化水素系3wt%と他の成分1wt%であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCO2などであった。生産原単位は、2.50トンメタノール/トン軽オレフィンであった。
【0111】
対比例
該対比例が実施例4と異なる点は、コークス制御反応オンライン改質DMTO触媒を用いず、コークス制御領域に通入された原料が窒素ガスであることである。窒素ガスは、不活性ガスであるため、コークス制御領域で再生触媒の性質を変化させることなく、即ち、反応領域に入る触媒が再生触媒であることに相当する。
【0112】
本実施形態において、生成ガスの成分は、エチレン43wt%、プロペン39wt%、C4~C6炭化水素系12wt%と他の成分6wt%であり、他の成分は、メタン、エタン、プロパン、水素ガス、COとCO2などであった。生産原単位は、2.91トンメタノール/トン軽オレフィンであった。
【0113】
本対比例は、DMTO触媒をコークス制御反応によりオンライン改質することが、触媒の性能を大幅に向上させ、生産原単位を低減することができることを示した。
【0114】
以上は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、本願を何ら制限するものではなく、本願は、好適実施例をもって以上のように開示したが、本願を制限するものではなく、当業者であれば、本願の技術案の範囲から逸脱することなく、上記で開示された技術内容に基づいて行われる若干の変更又は改善は、いずれも均等の実施態様に相当し、すべて技術案の範囲に属する。
【符号の説明】
【0115】
1 流動床反応器、1-1 メインハウジング、1-2 反応領域分配器、
1-3 流動床反応器熱除去器、 1-4コークス制御領域分配器、
1-5 バッフル板、 1-6 第1の固気分離器、
1-7 コークス制御触媒輸送管、 1-8 コークス制御領域ガス輸送管、
1-9 第2の固気分離器、 1-10 第1のガス収集室、
1-11 生成ガス輸送管、 1-12 第1のストリッパー、
1-13 使用済み滑動弁、 1-14 使用済み触媒輸送管、
2 流動床再生器、 2-1 再生器ハウジング、 2-2 再生器分配器、
2-3 第3の固気分離器、 2-4 第2のガス収集室、
2-5 排煙輸送管、 2-6 第2のストリッパー、 2-7 再生器熱除去器、
2-8 再生滑動弁、 2-9 再生剤輸送管。