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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】配送車管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20230101AFI20231129BHJP
【FI】
G06Q10/083
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019076987
(22)【出願日】2019-04-15
(65)【公開番号】P2020177268
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519116296
【氏名又は名称】NEXT Logistics Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183081
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 大志
(72)【発明者】
【氏名】後藤 淳一
(72)【発明者】
【氏名】人見 真央
(72)【発明者】
【氏名】西片 優
(72)【発明者】
【氏名】松山 耕輔
(72)【発明者】
【氏名】江口 真衣子
(72)【発明者】
【氏名】黒木 誠司
(72)【発明者】
【氏名】川原 宏明
(72)【発明者】
【氏名】谷川 洋平
(72)【発明者】
【氏名】菅野 義久
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 浩章
(72)【発明者】
【氏名】田中 友之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 弘祐
(72)【発明者】
【氏名】本山 季宏
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-321829(JP,A)
【文献】特開2000-348296(JP,A)
【文献】特開2018-124762(JP,A)
【文献】特開2013-180888(JP,A)
【文献】特開2017-199320(JP,A)
【文献】特開2003-012158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配送車の各々について、荷積み又は荷卸しを行う一以上の地点を経由して荷役設備に向かう走行予定経路の情報を含む配送計画情報を記憶する配送計画情報記憶部と、
各前記配送車の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
各前記配送車の前記配送計画情報と前記位置情報とに基づいて、各前記配送車の前記荷役設備への予想到着時刻を算出する算出部と、
前記予想到着時刻が早い順に各前記配送車に前記荷役設備を利用させた場合に前記荷役設備のスペースの不足によって待ち時間が発生する前記配送車と、前記配送車毎の前記待ち時間の長さと、を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記配送車の運転者に、前記予想到着時刻から前記待ち時間の長さだけ遅らせた時刻を前記荷役設備を利用開始可能な時刻として通知する通知部と、を備える配送車管理システム。
【請求項2】
前記特定部は、各前記配送車が前記荷役設備に持ち込む荷物に関する荷物情報を取得し、各前記配送車の前記荷物情報に基づいて、各前記配送車が前記荷役設備を利用する利用時間を決定し、各前記配送車の前記利用時間に基づいて、前記待ち時間が発生する前記配送車と、前記配送車毎の前記待ち時間の長さと、を特定する、請求項1に記載の配送車管理システム。
【請求項3】
前記荷役設備は、前記配送車の荷物の積み替えを行うためのクロスドックである、請求項1又は2に記載の配送車管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配送車管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラック等の配送車の荷の積み替えを行うための拠点機能を有する配送センター等のクロスドック(荷役設備)が知られている。クロスドックは、複数の配送車によって利用される。このため、配送車がクロスドックに入門するタイミングを配送車の運転者の判断に委ねてしまうと、クロスドック内又はクロスドックの周囲で配送車が渋滞するおそれがある。特許文献1には、このような問題を回避するために、各配送車の運転者に対してクロスドックへの入門許可時間を通知するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-34566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のシステムでは、各配送車の入門許可時間(入門時間帯)は、各配送車に割り当てられる届け先(すなわち、予め定められた運行スケジュール)から求まる所要走行時間から逆算することにより決定される。しかしながら、上述した所要走行時間は、実際の配送状況(例えば、配送車が利用する道路の交通状況等)等によって変動し得る。このため、上記システムのように入門許可時間を予め定められた運行スケジュールに基づいて固定的に定めてしまうと、各配送車に割り当てられた入門許可時間の順序と実際に各配送車がクロスドックに到着可能な順序との間に齟齬が生じるおそれがある。このような齟齬により、クロスドックがどの配送車にも利用されない時間帯が発生したり、特定の配送車に対して不必要に多くの待ち時間が課されたりするおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、荷役設備の効率的な利用を図ると共に各配送車の待ち時間の短縮を図ることができる配送車管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る配送車管理システムは、複数の配送車の各々について、荷積み又は荷卸しを行う一以上の地点を経由して荷役設備に向かう走行予定経路の情報を含む配送計画情報を記憶する配送計画情報記憶部と、各配送車の現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、各配送車の配送計画情報と位置情報とに基づいて、各配送車の荷役設備への予想到着時刻を算出する算出部と、予想到着時刻が早い順に各配送車に荷役設備を利用させた場合に待ち時間が発生する配送車と、配送車毎の待ち時間の長さと、を特定する特定部と、特定部により特定された配送車の運転者に、予想到着時刻から待ち時間の長さだけ遅らせた時刻を荷役設備を利用開始可能な時刻として通知する通知部と、を備える。
【0007】
上記配送車管理システムでは、各配送車の配送計画情報と現在位置とに基づいて、各配送車の荷役設備への予想到着時刻が、精度良く求められる。さらに、予想到着時刻順に各配送車に荷役設備を利用させた場合に待ち時間が発生する配送車の運転者に対して、上記予想到着時刻から上記待ち時間の長さだけ遅らせた時刻が、荷役設備を利用開始可能な時刻として通知される。これにより、当該運転者は、荷役設備への到着時刻を通知された時刻まで遅らせることができる。その結果、当該配送車の待ち時間が短縮されると共に、当該運転者が効率的に空き時間を利用することが可能となる。また、各配送車の現在位置に基づいて精度良く求められた予想到着時刻の早い順に荷役設備を利用させることにより、荷役設備がどの配送車にも利用されない時間帯の発生を抑制することができる。以上により、上記配送車管理システムによれば、荷役設備の効率的な利用を図ると共に各配送車の待ち時間の短縮を図ることができる。
【0008】
特定部は、各配送車が荷役設備に持ち込む荷物に関する荷物情報を取得し、各配送車の荷物情報に基づいて、各配送車が荷役設備を利用する利用時間を決定し、各配送車の利用時間に基づいて、待ち時間が発生する配送車と、配送車毎の待ち時間の長さと、を特定してもよい。これによれば、各配送車の荷物情報に基づいて各配送車が荷役設備を利用する利用時間を精度良く予測することができる。その結果、各配送車の待ち時間の長さを精度良く特定することができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、荷役設備の効率的な利用を図ると共に各配送車の待ち時間の短縮を図ることができる配送車管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る配送車管理システムの構成図である。
図2】配送計画情報の一例を模式的に示す図である。
図3】配送車管理システムによる効果を説明するための図である。
図4】配送車管理システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。各図において同一又は相当の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本開示の実施形態に係る配送車管理システム1の構成図である。図1に示されるように、配送車管理システム1は、複数の配送車Vを管理するシステムである。配送車管理システム1は、例えば、配送車Vの荷の積み替えを行うための拠点機能を有する荷役設備に設けられたコンピュータシステムである。荷役設備は、例えば、幹線輸送の拠点となる配送センター等のクロスドックである。本実施形態では、配送車管理システム1は、クロスドックに設けられたコンピュータシステムであり、複数の配送車Vは、当該クロスドックを拠点として荷の配送を行う。例えば、各配送車Vは、当該クロスドックで積み込まれた荷を各届け先に届ける役割を果たす。また、各配送車Vは、各地で集荷した荷を当該クロスドックに集約し、他の配送車(例えば幹線輸送を行う大型トラック等)に積み替える役割を果たす。
【0013】
クロスドックには、配送車Vを駐車させ、当該配送車Vの荷捌き作業を行うためのスペースが用意されている。しかし、クロスドックに用意されているスペースには限りがある。このため、多くの配送車Vが一斉にクロスドックを訪問した場合、クロスドックのスペースが不足し、クロスドック内又はクロスドックの周辺で配送車Vによる交通渋滞が発生するおそれがある。そこで、配送車管理システム1は、クロスドックを拠点として荷の配送を行う複数の配送車Vの配送状況を把握し、各配送車Vの運転者に対してクロスドックへの適切な訪問時刻(利用開始可能な時刻)を通知する。
【0014】
配送車管理システム1は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等のメモリと、を含むコンピュータにより構成されている。配送車管理システム1は、配送計画情報記憶部11と、位置情報取得部12と、算出部13と、特定部14と、通知部15と、を備えている。
【0015】
配送計画情報記憶部11は、複数の配送車Vの各々の配送計画情報を記憶する。配送計画情報は、荷積み又は荷卸しを行う一以上の地点を経由してクロスドックに向かう配送車Vの走行予定経路の情報を含んでいる。図2は、配送計画情報の一例を模式的に示す図である。図2の例において、ある配送車V1の配送計画情報は、配送車V1の走行予定経路として、地点N11、リンクL11、地点N12、リンクL12、及び地点N13をこの順に経由して、最終的にクロスドックCに到着する経路の情報を含んでいる。各地点N11~N13は、荷の配達又は受取を行うための店舗等の特定地点及び交差点等に対応する。各リンクL11,L12は、配送車V1によって利用される道路等に対応する。各地点N11~N13には、各地点の位置を示す情報(例えば、緯度及び経度の組)が関連付けられている。配送計画情報記憶部11は、このような配送計画情報を配送車V毎に記憶している。各配送車Vの配送計画情報は、例えば配送会社のオペレータ等によって策定された配車計画に基づいて定められており、当該オペレータ等によって予め配送計画情報記憶部11に登録されている。
【0016】
位置情報取得部12は、各配送車Vの現在位置を示す位置情報を取得する。例えば、車載コンピュータを搭載した配送車Vの位置情報は、以下のようにして取得され得る。すなわち、当該車載コンピュータが、GPS等の測位機能と、配送車管理システム1と通信を行う通信機能と、を備えている場合、位置情報取得部12は、配送車Vの車載コンピュータと通信することにより、当該配送車Vの位置情報を取得することができる。一方、上述したような測位機能及び通信機能を備えた車載コンピュータを搭載していない配送車Vの位置情報は、以下のようにして取得され得る。例えば、このような配送車Vの運転者に、上述した測位機能及び通信機能を備える携帯端末を保持させる。この場合、位置情報取得部12は、配送車Vの運転者が保持する携帯端末と通信することにより、当該携帯端末の位置情報を当該配送車Vの位置情報として取得することができる。以降の説明においては、上述した車載コンピュータ又は携帯端末と通信して車載コンピュータ又は携帯端末の位置情報を取得することを、単に「配送車Vの位置情報を取得する」という。
【0017】
位置情報取得部12は、例えば、各配送車Vの位置情報を定期的に取得する。定期的に取得される各配送車Vの位置情報によれば、各配送車Vの配送状況(走行予定経路に沿った配送作業の進捗状況)をリアルタイムで把握することが可能となる。
【0018】
算出部13は、配送計画情報記憶部11に記憶された各配送車Vの配送計画情報と位置情報取得部12により取得された位置情報とに基づいて、各配送車VのクロスドックCへの予想到着時刻を算出する。算出部13は、ある配送車Vの配送計画情報に含まれる走行予定経路と当該配送車Vの位置情報とに基づいて、当該配送車Vの現在位置からクロスドックCまでの残りの配送経路を把握することができる。また、算出部13は、当該残りの配送経路において配送車Vが荷物を届けたり集荷したりするために立ち寄る地点(立寄り地)の数も把握することができる。例えば、算出部13は、残りの配送経路を走行するのに必要となる所要時間を予測すると共に、配送車Vの立寄り地の数に予め定められた1地点当たりの平均立ち寄り時間を乗じた作業時間を算出する。そして、算出部13は、現在時刻に当該所要時間と当該作業時間とを足すことにより、当該配送車VのクロスドックCへの予想到着時刻を算出することができる。なお、上記の算出方法は一例であり、算出部13は、上記以外の方法によって予想到着時刻を算出してもよい。例えば、配送計画情報には、各立寄り地における予想作業時間が記憶されていてもよい。このような立寄り地毎の予想作業時間は、例えば立寄り地において荷積み又は荷卸しが必要となる予定の荷物の量に基づいて予め算出され得る。この場合、算出部13は、立寄り地毎の予想作業時間の和を上記作業時間として求めることができる。
【0019】
特定部14は、予想到着時刻が早い順に各配送車VにクロスドックCを利用させた場合に待ち時間が発生する配送車Vと、配送車V毎の待ち時間の長さと、を特定する。ここで、待ち時間は、クロスドックC内のスペースが全て埋まっているときにクロスドックCを訪問した配送車Vにおいて発生する。
【0020】
以下、図3の(A)を参照して、待ち時間について具体例を用いて説明する。なお、ここでは説明を簡単にするために、クロスドックC内のスペースの数(すなわち、クロスドックCを同時に利用可能な配送車Vの個数)を「1」として説明する。図3の(A)は、3台の配送車V1,V2,V3の各々の予想到着時刻が時刻T11,T21,T31であり、各配送車が予想到着時刻にクロスドックCに到着すると仮定した場合に生じる配送車V2,V3の待ち時間W2,W3を表している。図3の(A)の例では、配送車V1は、時刻T11にクロスドックCに到着し、時刻T12にクロスドックCの利用を完了する。配送車V2は、時刻T11よりも後且つ時刻T12よりも前の時刻T21にクロスドックCに到着する。配送車V3は、時刻T21よりも後且つ時刻T12よりも前の時刻T31にクロスドックCに到着する。
【0021】
配送車V2には、配送車V1によるクロスドックCの利用が完了するまで、待ち時間W2が発生する。待ち時間W2は、配送車V2がクロスドックCに到着してから配送車V1によるクロスドックCの利用が完了するまでの時間(T12-T21)である。配送車V2は、待ち時間W2が経過した後、時刻T12からクロスドックCの利用を開始し、時刻T22にクロスドックCの利用を完了する。
【0022】
配送車V3には、配送車V1及び配送車V2によるクロスドックCの利用が完了するまで、待ち時間W3が発生する。待ち時間W3は、配送車V3がクロスドックCに到着してから配送車V1及び配送車V2によるクロスドックCの利用が完了するまでの時間(T22-T31)である。配送車V3は、待ち時間W3が経過した後、時刻T22からクロスドックCの利用を開始し、時刻T32にクロスドックCの利用を完了する。
【0023】
ここで、上述した待ち時間W2,W3は、各配送車V1,V2,V3の予想到着時刻に基づいて算出され得る。本実施形態では、待ち時間W2,W3は、各配送車V1,V2,V3の予想到着時刻と、各配送車V1,V2によるクロスドックCの利用時間(上記例では、「T12-T11」及び「T22-T12」)と、に基づいて算出され得る。ここで、特定部14は、各配送車によるクロスドックCの利用時間として、例えば予め定められた平均利用時間を用いることができる。この場合、特定部14は、当該平均利用時間と各配送車Vの予想到着時刻とに基づいて、待ち時間が発生する配送車Vと、配送車V毎の待ち時間の長さと、を特定することができる。なお、クロスドックCを同時に利用可能な配送車Vの個数が2以上の場合には、待ち時間が生じる条件が上記例とは異なるが、クロスドックCを同時に利用可能な配送車Vの個数が1の場合と同様の考え方により、待ち時間が発生する配送車Vと、配送車V毎の待ち時間の長さと、を特定することができる。
【0024】
通知部15は、特定部14により特定された配送車Vの運転者に、予想到着時刻から待ち時間の長さだけ遅らせた時刻をクロスドックCを利用開始可能な時刻として通知する。図3の(A)の例では、通知部15は、配送車V2の運転者に、予想到着時刻(時刻T21)から待ち時間W2の長さだけ遅らせた時刻T12をクロスドックCを利用開始可能な時刻として通知する。また、通知部15は、配送車V3の運転者に、予想到着時刻(時刻T31)から待ち時間W3の長さだけ遅らせた時刻T22をクロスドックCを利用開始可能な時刻として通知する。配送車V2,V3が配送車管理システム1と通信可能な車載コンピュータを搭載している場合には、通知部15は、各配送車V2,V3の車載コンピュータに対してメッセージを送信することにより、上記の通知を行うことができる。一方、各配送車V2,V3が上記車載コンピュータを搭載していない場合、通知部15は、各配送車V2,V3の運転者が所有するスマートフォン、タブレット等の携帯端末に対してメッセージを送信することにより、上記の通知を行うことができる。
【0025】
図3の(B)に示されるように、各配送車V2,V3の運転者は、通知部15から通知を受けることにより、クロスドックCへの到着時刻を通知された時刻まで遅らせることができる。その結果、各配送車V2,V3の待ち時間が短縮される。図3の(B)は、各配送車V2,V3の待ち時間が0となる理想的な状況を表している。
【0026】
図4は、配送車管理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。図4に示されるように、まず、位置情報取得部12は、各配送車Vの配送作業期間中の任意の時点において、各配送車Vの現在位置を示す位置情報を取得する(ステップS1)。続いて、算出部13は、配送計画情報記憶部11に記憶された各配送車Vの配送計画情報と位置情報取得部12により取得された位置情報とに基づいて、各配送車VのクロスドックCへの予想到着時刻を算出する(ステップS2)。続いて、特定部14は、予想到着時刻が早い順に各配送車VにクロスドックCを利用させた場合に待ち時間が発生する配送車Vと、配送車V毎の待ち時間の長さと、を特定する(ステップS3)。図3の(A)の例では、特定部14は、待ち時間が発生する配送車V2,V3を特定すると共に、各配送車V2,V3の待ち時間の長さ(待ち時間W2,W3)と、を特定する。続いて、通知部15は、特定部14により特定された配送車Vの運転者に、予想到着時刻から待ち時間の長さだけ遅らせた時刻をクロスドックCを利用開始可能な時刻として通知する(ステップS4)。
【0027】
ステップS1~S4の処理により、配送作業期間中の任意の時点における各配送車Vの配送状況(進捗状況)に基づいて、クロスドックCを利用するための待ち時間を発生させないように(言い換えれば、クロスドックCを利用しようとする配送車Vによる渋滞を発生させないように)、各配送車Vの運転者にクロスドックCへの適切な訪問時刻を知らせることができる。なお、上記ステップS1~S4の処理は、定期的に繰り返し実施されてもよい。これにより、各配送車Vの配送状況をリアルタイムに把握することができ、各配送車VのクロスドックCへの予想到着時刻を適切に更新することができる。その結果、クロスドックCを利用開始可能な時刻を適切に更新し、更新後の時刻(すなわち、最新の状況に基づくより予測精度の高い時刻)を待ち時間が生じる各配送車Vの運転者に対して通知することが可能となる。
【0028】
以上述べた配送車管理システム1では、各配送車Vの配送計画情報と現在位置とに基づいて、各配送車VのクロスドックCへの予想到着時刻が、精度良く求められる。さらに、予想到着時刻順に各配送車VにクロスドックCを利用させた場合に待ち時間が発生する配送車V(本実施形態では配送車V2,V3)の運転者に対して、上記予想到着時刻から上記待ち時間(本実施形態では待ち時間W2,W3)の長さだけ遅らせた時刻が、クロスドックCを利用開始可能な時刻として通知される。これにより、当該運転者は、クロスドックCへの到着時刻を通知された時刻まで遅らせることができる。その結果、当該配送車Vの待ち時間が短縮されると共に、当該運転者が効率的に空き時間を利用することが可能となる。また、各配送車Vの現在位置に基づいて精度良く求められた予想到着時刻の早い順にクロスドックCを利用させることにより、クロスドックCがどの配送車Vにも利用されない時間帯の発生を抑制することができる。具体的には、実際の配送状況を考慮せずに各配送車Vの配送計画のみに基づいてクロスドックCの利用順を固定した場合、以下のような問題が生じ得る。すなわち、ある配送車Vの配送作業に想定外の遅延が生じ、想定されていた時刻に当該配送車VがクロスドックCに到着しなかった場合、当該配送車Vに割り当てられていた利用時間においてクロスドックCに遊休時間が生じてしまう。一方、本実施形態によれば、各配送車Vの位置情報から把握される配送状況(進捗状況)に基づいてクロスドックCの利用順が決定されるため、上記のような問題の発生を回避できる。以上により、配送車管理システム1によれば、クロスドックCの効率的な利用を図ると共に各配送車Vの待ち時間の短縮を図ることができる。
【0029】
以上のように、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述した実施形態に限定されるものではない。本開示は、特許請求の範囲の記載の要旨を逸脱しない範囲で様々な変形態様で実施することができる。
【0030】
例えば、特定部14は、各配送車VがクロスドックCに持ち込む荷物に関する荷物情報を取得し、各配送車Vの荷物情報に基づいて、各配送車VがクロスドックCを利用する利用時間を決定してもよい。荷物情報は、例えば、荷物の種類及び量等を示す情報であり、クロスドックCでの荷捌きに要する時間を推定するのに役立つ情報であればよい。荷物情報は、各配送車Vの運転者が車載コンピュータ又は携帯端末等を用いて入力されてもよいし、予め配送計画情報に記憶されていてもよい。この場合、特定部14は、各配送車Vの荷物情報に基づいて各配送車VがクロスドックCを利用する利用時間を精度良く予測することができる。そして、特定部14は、上述した平均利用時間を用いる代わりに、配送車V毎に決定された利用時間を用いることにより、待ち時間が発生する配送車Vと、配送車V毎の待ち時間の長さと、をより精度良く特定することができる。
【0031】
また、上記実施形態では、荷役設備として幹線輸送の拠点となるクロスドックを例示したが、荷役設備は上記クロスドック以外の設備であってもよい。また、クロスドックは、単一の配送会社(物流会社)によって保有され、当該配送会社が管理する配送車Vのみが使用可能な設備であってもよいし、複数の配送会社によって共有され、各配送会社が管理する配送車Vが利用可能な設備であってもよい。また、クロスドックは、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、フードコート、ホテル(カプセルホテル)、医療施設等が併設された複合施設であってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1…配送車管理システム、11…配送計画情報記憶部、12…位置情報取得部、13…算出部、14…特定部、15…通知部、V,V1,V2,V3…配送車。
図1
図2
図3
図4