(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ピン留めされたバットレスを有する円形ステープル留め装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/115 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
A61B17/115
(21)【出願番号】P 2019077664
(22)【出願日】2019-04-16
【審査請求日】2022-04-15
(32)【優先日】2018-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン ウィリアムズ
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-123644(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0045200(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0153634(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面を有するシェルであって、前記外面は、前記シェルの中心軸から離れる方向を向いている、シェルと、
前記シェル上に支持されたステープルカートリッジであって、組織接触表面を有し、かつその中において締結具のアレイを支持する、ステープルカートリッジと、
前記シェル内に位置付けられ、前記ステープルカートリッジから前記締結具を発射するために、前記ステープルカートリッジに対して移動するように構成されている、プッシャと、
前記ステープルカートリッジ上に支持されているバットレスであって、前記バットレスから延在する脚部を含み、前記脚部が、前記プッシャに連結されており、前記脚部が、前記プッシャが前記ステープルカートリッジに対して移動するときに、前記プッシャから分離するように構成されている、バットレスと、を備え、前記脚部が、前記シェルの前記外面に沿って延在
し、前記外面に接触している、ステープル留め装置。
【請求項2】
外面を有するシェルであって、前記外面は、前記シェルの中心軸から離れる方向を向いている、シェルと、
前記シェル上に支持されたステープルカートリッジであって、組織接触表面を有し、かつその中において締結具のアレイを支持する、ステープルカートリッジと、
前記シェル内に位置付けられ、前記ステープルカートリッジから前記締結具を発射するために、前記ステープルカートリッジに対して移動するように構成されている、プッシャと、
前記ステープルカートリッジ上に支持されているバットレスであって、前記バットレスから延在する脚部を含み、前記脚部が、前記プッシャに連結されており、前記脚部が、前記プッシャが前記ステープルカートリッジに対して移動するときに、前記プッシャから分離するように構成されている、バットレスと、を備え、前記脚部が、前記シェルの前記外面に沿って延在し、前記シェルが、その外面に窓部を画定し、前記脚部が、前記窓部と位置合わせして配置される、
ステープル留め装置。
【請求項3】
前記脚部が、足部を含み、前記足部が、前記窓部を通して受容可能であり、かつ前記プッシャと係合可能である、請求項2に記載のステープル留め装置。
【請求項4】
前記足部が、前記プッシャにピン留めされている、請求項3に記載のステープル留め装置。
【請求項5】
前記足部が、それを貫通するピン開口部を画定し、前記プッシャが、その中にピン孔を画定し、前記ピン開口部が、前記プッシャに前記足部を固定するために、前記ピン開口部および前記ピン孔を介してピンが受容可能になるように、前記ピン孔と位置合わせするように構成されている、請求項4に記載のステープル留め装置。
【請求項6】
前記ピンが、前記プッシャが前記ステープルカートリッジに対して移動するときに、前記足部を抜去して、前記バットレスが前記ステープルカートリッジから分離することを可能にするように構成されている、請求項5に記載のステープル留め装置。
【請求項7】
前記プッシャが、前記ピン孔と位置合わせして凹部を画定し、前記足部が、前記凹部内に配置されている、請求項5に記載のステープル留め装置。
【請求項8】
前記ステープルカートリッジ上に支持された組織を切断するために、前記シェル内に移動可能に支持されたナイフをさらに備える、請求項1に記載のステープル留め装置。
【請求項9】
前記ステープルカートリッジに対して選択的に移動可能であるアンビル組立体をさらに備える、請求項1に記載のステープル留め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科用ステープル留め装置に関し、より具体的には、吻合手技において使用するために、バットレス材を円形外科用ステープル留め装置に取り外し可能に取り付けるための構造および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
締結具は従来、例えば、腸または気管支などの様々な身体構造を接合するときに、縫合糸の代わりに使用されてきた。これらの締結具を適用するために用いられる外科用ステープル留め装置は、一般に、吻合手技に伴う時間および危険性を低減するために、組織を同時に切断および封止するように設計されている。
【0003】
円形外科用ステープル留め装置は、体組織のセグメントを一緒に接合する目的で、および/または吻合を形成する目的で、1つ以上の外科用締結具、例えば、ステープルまたは2つの部品からなる締結具を体組織に適用するために、外科医によって用いられる。円形外科用ステープル留め装置は、一般に、複数の環状列の締結具を支持する環状締結具カートリッジ組立体と、円形ステープル留め装置の発射時に締結具が形成される表面を提供する締結具カートリッジ組立体と動作可能に関連付けられた環状アンビル組立体と、組織を切断するための環状ブレードと、を含む。
【0004】
ほとんどの手技では、むき出しの締結具の使用は、締結具を患者の組織に直接接触させた状態で、一般的に許容可能である。組織の完全性は、通常、締結具が組織から抜去され、治癒が生じる前に封止し損なうことを防止する役目を果たす。しかしながら、いくつかの外科手術では、バットレス材は、円形ステープル留め装置と組み合わせて、外科医によって使用され、患者内の組織欠損を架橋、修復、および/または補強する。特に、バットレス材は、患者が被る外傷を低減し、漏出の事例を低減し、出血の事例を低減し、かつ隣接する身体組織間に比較的強い固着を作り出す。
【0005】
したがって、バットレス材が装置の動作に干渉せず、締結具が発射された後まで装置上に留まり、設置および使用が便利かつ容易であるように、バットレス材を円形ステープル留め装置に確実にかつ取り外し可能に取り付ける必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、本開示は、ステープル留め装置を対象とする。ステープル留め装置は、シェルと、ステープルカートリッジと、プッシャと、バットレスと、を含む。ステープルカートリッジは、シェル上に支持されている。ステープルカートリッジは、組織接触表面を有し、かつその中に締結具のアレイを支持する。プッシャは、シェル内に位置付けられ、ステープルカートリッジから締結具を発射するために、ステープルカートリッジに対して移動するように構成されている。バットレスは、ステープルカートリッジ上に支持され、かつバットレスから延在する脚部を含む。脚部は、プッシャに連結されている。プッシャがステープルカートリッジに対して移動するとき、脚部は、プッシャから分離するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、脚部は、シェルの外面に沿って延在し得る。シェルは、その外面に窓部を画定し得る。脚部は、窓部と位置合わせして配置され得る。脚部は、窓部を通して受容可能であり、かつプッシャと係合可能である、足部を含み得る。足部は、プッシャにピン留めされ得る。足部は、それを貫通するピン開口部を画定し得、プッシャは、その中にピン孔を画定し得る。ピン開口部は、足部をプッシャに固定するために、ピンがピン開口部およびピン孔を通して受容可能であるように、ピン孔と整列するように構成され得る。ピンは、プッシャがステープルカートリッジに対して移動するときに、足部を抜去して、バットレスがステープルカートリッジから分離することを可能にするように構成され得る。プッシャは、ピン孔と位置合わせして凹部を画定し得る。足部は、凹部内に配置され得る。
【0008】
実施形態では、ステープル留め装置は、ステープルカートリッジ上に支持された組織を切断するためにシェル内に移動可能に支持されたナイフをさらに含み得る。
【0009】
特定の実施形態において、ステープル留め装置は、ステープルカートリッジに対して選択的に移動可能であるアンビル組立体をさらに含み得る。
【0010】
本開示のまた別の態様によれば、円形ステープル留め装置が提供される。円形ステープル留め装置は、ステープルカートリッジと、プッシャと、バットレスと、を含む。ステープルカートリッジは、組織接触表面を有し、かつその中に締結具のアレイを支持する。プッシャは、ステープルカートリッジから締結具を発射するために、ステープルカートリッジに対して移動するように構成される。バットレスは、ステープルカートリッジ上に支持され、かつプッシャに選択的にピン留めされる。
【0011】
いくつかの実施形態では、バットレスは、プッシャにピン留めされている1つ以上の脚部を含み得る。
【0012】
円形ステープル留め装置は、ステープルカートリッジおよびプッシャを支持するシェルをさらに含み得る。シェルは、バットレスの1つ以上の脚部と位置合わせして配置された1つ以上の窓部を画定し得る。1つ以上の脚部は、プッシャと係合するために、1つ以上の窓部を通して受容可能な足部を含み得る。足部は、フックによってプッシャにピン留めされ得る。足部は、プッシャがステープルカートリッジに対して移動するときに抜去するように構成され得る。
【0013】
特定の実施形態では、バットレスは、3つ以上の脚部を含む。
【0014】
実施形態では、円形ステープル留め装置は、ステープルカートリッジを通って移動し、ステープルカートリッジ上に支持された組織を切断するように位置付けられている、円筒形ナイフをさらに含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、円形ステープル留め装置は、アンビルヘッドとステープルカートリッジとの間で組織を挟持するために、ステープルカートリッジに対して選択的に移動可能である、アンビルヘッドをさらに含み得る。
【0016】
他の態様、特徴、および利点は、以下の説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
シェルと、
上記シェル上に支持されたステープルカートリッジであって、組織接触表面を有し、かつその中において締結具のアレイを支持する、ステープルカートリッジと、
上記シェル内に位置付けられ、上記ステープルカートリッジから上記締結具を発射するために、上記ステープルカートリッジに対して移動するように構成されている、プッシャと、
上記ステープルカートリッジ上に支持されているバットレスであって、上記バットレスから延在する脚部を含み、上記脚部が、上記プッシャに連結されており、上記脚部が、上記プッシャが上記ステープルカートリッジに対して移動するときに、上記プッシャから分離するように構成されている、バットレスと、を備える、ステープル留め装置。
(項目2)
上記脚部が、上記シェルの外面に沿って延在する、上記項目に記載のステープル留め装置。
(項目3)
上記シェルが、その外面に窓部を画定し、上記脚部が、上記窓部と位置合わせして配置される、上記項目のいずれかに記載のステープル留め装置。
(項目4)
上記脚部が、足部を含み、上記足部が、上記窓部を通して受容可能であり、かつ上記プッシャと係合可能である、上記項目のいずれかに記載のステープル留め装置。
(項目5)
上記足部が、上記プッシャにピン留めされている、上記項目のいずれかに記載のステープル留め装置。
(項目6)
上記足部が、それを貫通するピン開口部を画定し、上記プッシャが、その中にピン孔を画定し、上記ピン開口部が、上記プッシャに上記足部を固定するために、上記ピン開口部および上記ピン孔部を介して、上記ピンが受容可能になるように、上記ピン孔と位置合わせするように構成されている、上記項目のいずれかに記載のステープル留め装置。
(項目7)
上記ピンが、上記プッシャが上記ステープルカートリッジに対して移動するときに、上記足部を抜去して、上記バットレスが上記ステープルカートリッジから分離することを可能にするように構成されている、上記項目のいずれかに記載のステープル留め装置。
(項目8)
上記プッシャが、上記ピン孔と位置合わせして凹部を画定し、上記足部が、上記凹部内に配置されている、上記項目のいずれかに記載のステープル留め装置。
(項目9)
上記ステープルカートリッジ上に支持された組織を切断するために、上記シェル内に移動可能に支持されたナイフをさらに備える、上記項目のいずれかに記載のステープル留め装置。
(項目10)
上記ステープルカートリッジに対して選択的に移動可能であるアンビル組立体をさらに備える、上記項目のいずれかに記載のステープル留め装置。
(項目11)
組織接触面を有し、かつその中において締結具のアレイを支持する、ステープルカートリッジと、
上記ステープルカートリッジから上記締結具を発射するために、上記ステープルカートリッジに対して移動するように構成されている、プッシャと、
上記ステープルカートリッジ上に支持され、かつ上記プッシャに選択的にピン留めされる、バットレスと、を備える、円形ステープル留め装置。
(項目12)
上記バットレスが、上記プッシャにピン留めされている少なくとも1つの脚部を含む、上記項目のいずれかに記載の円形ステープル留め装置。
(項目13)
上記ステープルカートリッジおよび上記プッシャを支持するシェルをさらに備える、上記項目のいずれかに記載の円形ステープル留め装置。
(項目14)
上記シェルが、上記バットレスの上記少なくとも1つの脚部と位置合わせして配置された少なくとも1つの窓部を画定する、上記項目のいずれかに記載の円形ステープル留め装置。
(項目15)
上記少なくとも1つの脚部が、足部を含み、上記足部が、上記プッシャと係合するために、上記少なくとも1つの窓部を通して受容可能である、上記項目のいずれかに記載の円形ステープル留め装置。
(項目16)
上記足部が、フックによって上記プッシャにピン留めされている、上記項目のいずれかに記載の円形ステープル留め装置。
(項目17)
上記プッシャが上記ステープルカートリッジに対して移動するときに、上記足部が、抜去するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の円形ステープル留め装置。
(項目18)
上記バットレスが、少なくとも3つの脚部を含む、上記項目のいずれかに記載の円形ステープル留め装置。
(項目19)
上記ステープルカートリッジを通って移動して、上記ステープルカートリッジ上に支持された組織を切断するように位置付けられている、円筒形ナイフをさらに備える、上記項目のいずれかに記載の円形ステープル留め装置。
(項目20)
アンビルヘッドと上記ステープルカートリッジとの間で組織を挟持するために上記ステープルカートリッジに対して選択的に移動可能である、上記アンビルヘッドをさらに備える、上記項目のいずれかに記載の円形ステープル留め装置。
(摘要)
円形ステープル留め装置は、ステープルカートリッジと、プッシャと、バットレスと、を含む。ステープルカートリッジは、組織接触表面を有し、かつその中に締結具のアレイを支持する。プッシャは、ステープルカートリッジから締結具を発射するためにステープルカートリッジに対して移動するように構成されている。バットレスは、ステープルカートリッジ上に支持され、かつプッシャに選択的にピン留めされる。
【0017】
本明細書に組み込まれ、かつその一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を例示し、上記の開示の一般的な説明および以下に示される詳細な説明と共に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示による外科用ステープル留め装置の斜視図であり、外科用ステープル留め装置は、接近解除位置で示されているエンドエフェクタの一実施形態を含んでいる。
【
図2】
図1に示す細部の指された領域の拡大図である。
【
図3】
図1のエンドエフェクタのバットレスおよびカートリッジ組立体の、部品が分離された側面斜視図である。
【
図5】
図3のカートリッジ組立体のプッシャの拡大斜視図である。
【
図6】
図3のカートリッジ組立体に固定された
図3のバットレスを図示する拡大斜視図であり、明瞭にするためにカートリッジ組立体の一部を仮想線で示している。
【
図7】
図1のエンドエフェクタの側面断面図であり、エンドエフェクタは接近位置で図示されている。
【
図8】(
図8および
図9)
図4のバットレスを組織に固定する
図1のエンドエフェクタを図示する進行図である。
【
図9】(
図8および
図9)
図4のバットレスを組織に固定する
図1のエンドエフェクタを図示する進行図である。
【
図10】
図1の外科用ステープル留め装置のエンドエフェクタの別の実施形態の一部分の斜視図である。
【
図11】
図10のエンドエフェクタのバットレスの一部およびリリースピンを図示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の外科用ステープル留め装置の実施形態は、図面を参照して詳細に説明され、図面において、同様の参照番号は、いくつかの図の各々において同一または対応する要素を示す。一般に既知であるように、「臨床医」という用語は、医者、看護師、または任意の他の医療提供者を指し、医療支援従事者を含み得る。さらに、「近位」という用語は、臨床医により近い構造の部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医からより遠い構造の部分を指す。さらに、前側、後側、上側、下側、頂部、底部などの方向の用語は、単に説明の便宜のために使用されており、本明細書に添付の開示を限定することを意図するものではない。
【0020】
以下の説明では、周知の機能または構成は、本開示を不必要に詳細に示して不明瞭にすることを避けるために、詳細には説明されていない。
【0021】
ここで
図1および
図2を参照すると、外科用ステープル留め装置は、概して10と称される。実施形態では、外科用ステープル留め装置10は、再使用に適合されており、特定の実施形態では、外科用ステープル留め装置10またはその一部は、単回使用および/または使い捨てに適合されていてもよい。外科用ステープル留め装置10は、中心線「CL」を画定し、電動ハンドヘルド電気機械的器具の形態の外科用デバイス100を含む。外科用ステープル留め装置10は、外科用デバイス100に選択的に取り付け可能である、アダプタ組立体200をさらに含む。アダプタ組立体200は、外科手術デバイス100から遠位方向に延在し、かつ遠位端まで延在する細長い筐体202を有する。細長い筐体202の遠位端は、エンドエフェクタ300を支持する。エンドエフェクタ300は、組織「T」の切断および/またはステープル留めのため、組織「T」(
図9を参照)を選択的に挟持するために、挟持解除または接近解除位置(
図1を参照)と、挟持または接近位置(
図7を参照)との間に位置付け可能なシェルまたはカートリッジ組立体310およびアンビル組立体320を含む。外科用デバイス100は、アダプタ組立体200と選択的に接続するように構成されており、次に、アダプタ組立体200は、エンドエフェクタ300と選択的に接続するように構成されている。外科用デバイス100およびアダプタ組立体200は、共に協働してエンドエフェクタ300を操作する。
【0022】
外科用ステープル留め装置10の外科用デバイス100は、充電式バッテリ103を選択的に取り外し可能に受容するように構成されたハンドルハウジング102を含む。バッテリ103は、外科用デバイス100の電気部品に電力を供給するように構成されている。ハンドルハウジング102は、外科用デバイス100の様々な動作を制御するように構成されているコントローラまたは回路基板105を支持するキャビティ「C」を画定する。
【0023】
外科用ステープル留め装置10は、外科用ステープル留め装置10の様々な動作を実行するために、ハンドルハウジング102内の回転可能シャフトおよび/またはギア構成要素(図示せず)を駆動するように構成された駆動機構106をさらに含む。例えば、駆動機構106は、外科用ステープル留め装置10の中心線「CL」の周りで、および/もしくはそれに対して、エンドエフェクタ300を選択的に回転させるように;アンビル組立体320をカートリッジ組立体310に対して選択的に移動して組織を選択的に挟持するように;ならびに/または挟持された組織を固定および/または切断するために外科用ステープル留め装置10を発射するように、動作可能であり得る。バッテリ103、コントローラ105、および/または駆動機構106は、指で作動させる制御ボタン、ロッカーデバイスなどのような1つ以上のアクチュエータ107a、107bに動作可能に連結し、上述のものなどの、外科用ステープル留め装置10の様々な機能を実現することができる。
【0024】
電気機械的外科用ステープル留め装置10の駆動機構106は、細長い筐体202を通って遠位方向に延在する接近機構108を含む。接近機構108は、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる、Millimanらの米国特許第7,303,106号に記載されているように、アンビル組立体320に選択的または取り外し可能に連結するように構成されている。接近機構108はまた、外科用ステープル留め装置10の中心線「CL」に沿って遠位位置と近位位置との間で移動し、アンビル組立体320をカートリッジ組立体310に対して接近位置と接近解除位置との間で移動させて、組織を選択的に挟持および/または挟持解除するように構成される。
【0025】
例示的な電気機械的外科用ステープル留め装置の構成および動作の詳細な説明については、Rossらの米国特許第8,806,973号が参照可能であり、その全体の内容は参照により本明細書に組み込まれ、その構成要素は、本明細書に記載の外科用ステープル留め装置10の1つ以上の構成要素と組み合わせ可能および/または交換可能である。
【0026】
外科用ステープル留め装置10は、電気機械式の電動外科用ステープル留め装置として記載されているが、本開示の外科用ステープル留め装置は、手動式の電動ステープル留め装置として提供されてもよい。例示的な手動式の電動ステープル留め装置の構造および動作のより詳細な説明については、その1つ以上の構成要素を本明細書に記載の電気機械式の電動ステープル留め装置と組み合わせおよび/または交換することが可能であり、より詳細な説明については、Violaらの米国特許第5,915,616号、Millimanらの米国特許第8,109,426号、Holstenらの米国特許第8,272,552号、Millimanの米国特許第9,504,470号、およびPennaの米国特許第9,414,839号を参照することができ、これらの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
ここで
図2~
図7を参照すると、エンドエフェクタ300のアンビル組立体320は、アンビルヘッド322と、アンビルヘッド322から近位方向に延在する中心ロッド組立体324と、を含む。アンビル組立体320のより詳細な説明については、Millimanらの米国特許第7,303,106号を参照することができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
エンドエフェクタ300のカートリッジ組立体310は、シェル312と、締結具「F」をアンビル組立体320内に発射するためのプッシャ313と、組織を切断するための円筒形ナイフ314と、カートリッジ組立体310内の締結具「F」を支持するためのステープルカートリッジ315と、バットレス316と、バットレス316をシェル312に固定するピン318と、を含む。ピン318は、ピンヘッド318aと、ピンヘッド318aから遠位方向に延在するピンシャフト318bと、を含む。カートリッジ組立体310は、矢印「A」で示すように、ステープルカートリッジ315に対してプッシャ313を遠位方向に前進させるように構成された外側駆動スリーブ317と、外側駆動スリーブ317上に支持された内側駆動スリーブ319と、をさらに含む。アンビル組立体320のアンビルヘッド322に対して締結具「F」(例えば、ステープル)を形成するために、外側駆動スリーブ317がステープルカートリッジ315に対してプッシャ313を遠位方向に前進させるとき、内側駆動スリーブ319は、矢印「B」によって示されるように、ステープルカートリッジ315に対して円筒形ナイフ314を遠位方向に前進させるように構成される。
【0029】
カートリッジ組立体310のシェル312は、アダプタ組立体202(
図1)の細長い筐体202の遠位端部分に固定されている。シェル312は、ステープルカートリッジ315を支持するように構成された外側ハウジング312aと、アンビル組立体320の中心ロッド組立体324を中に受容するように構成された内側ハウジング312bと、カートリッジ組立体310をアダプタ組立体200の細長い筐体202に連結するように構成された連結部312xと、を含む。外側ハウジング312aは、外側ハウジング312aの周りの円周方向に離間した位置に窓部312cを画定する。
【0030】
カートリッジ組立体310のプッシャ313は、シェル312の内側ハウジング312bの周りに摺動可能に位置付けられ、かつ中央貫通孔313aを画定する。プッシャ313は、締結具「F」のアレイを支持するように構成された遠位方向に延在するフィンガ313bの環状アレイを含む。フィンガ313bのうちの1つ以上および/または締結具「F」のうちの1つ以上は、異なる高さを有し得る。いくつかの実施形態において、フィンガ313bのうちの1つ以上および/または締結具「F」のうちの1つ以上は、同じ高さを有し得る。プッシャ313は、プッシャ313の周りの円周方向に離間した位置に位置付けられ、その下部に支持されたピン孔313cのアレイを画定する。ピン孔313cは、貫通孔313aと流体連通するように配置され、プッシャ313の外面に形成された凹部313d内に位置付けられる。各凹部313dは、ピン孔313c内へのピン318の挿入を容易にするために、ピン孔313cのうちのそれぞれ1つに向かって半径方向内向きに先細になるかまたは湾曲してもよい。凹部313dは、円錐台形状を有してもよい。
【0031】
カートリッジ組立体310の円筒形ナイフ314は、プッシャ313の中央貫通孔313a内に摩擦保持されて、プッシャ313に対してナイフ314をしっかりと固定する。ナイフ314の遠位端は、組織を切断するように構成された円形の切刃314aを含む。
【0032】
カートリッジ組立体310のステープルカートリッジ315は、スロット315bの環状アレイが形成されている組織接触面315aを含む。ステープルカートリッジ315のスロット315bの環状アレイは、その中に締結具「F」の環状アレイを支持し、かつ摺動可能に受容するように構成される。
【0033】
カートリッジ組立体310のバットレス316は、ステープルカートリッジ315の組織接触表面315aに取り付けるように構成されている環状リング316aと、環状リング316から近位方向に延在する脚部315bと、を含む。脚部315bは、環状リング316の周りで互いに対して円周方向に離間した位置に位置付けられ、シェル312の外側ハウジング312aの外面に沿って延在する。環状リング316aがステープルカートリッジ315の組織接触面315aに取り付けられると、脚部315bは、シェル312の窓部312cと位置合わせされて位置付けられる。各脚部316bは、それを貫通するピン開口部316dを画定する足部316cを含む。各足部316cは、その脚部316bから(内側に)半径方向にずれており、脚部316cのピン開口部316dがプッシャ313のそれぞれのピン孔313cと位置合わせするように、シェル312のそれぞれの窓部312c内に受容されるように構成されている。ピン318のピンシャフト318bがプッシャ313のピン孔313c内に摩擦的に固定されると、ピン318は、足部316cをプッシャ313に固定する。特に、ピン318のピンヘッド318aは、プッシャ313のそれぞれの凹部313d内で、プッシャ313の外面に対して、バットレス316の脚部316bの足部316cを捕捉する。各足部316cは、それぞれの足部316cをその脚部316bに接続し、それぞれの足部316cの基部316fに連結するように、その脚部316bから半径方向内側に延在する踵部316eを含む。足部316cの基部316fは、足部316cの踵部316eから遠位方向に脚部316bと平行に延在している。基部316fは、それを貫通するピン孔313cを画定する。足部316cは、足部316cの基部316fから遠位方向に延在し、基部316fに対してある角度で位置付けられたつま先部316gをさらに含む。
【0034】
ここで
図7~
図9を参照すると、手術中に、外科手術ステープル留め装置10のエンドエフェクタ300が外科手術部位に隣接して位置付けられると、エンドエフェクタ300のアンビル組立体320は、エンドエフェクタ300のカートリッジ組立体310に接近して、カートリッジとアンビル組立体310、320との間の組織を把持し得る。次いで、外側および内側の駆動スリーブ317、319が、プッシャ313および円筒形ナイフ314を遠位方向に前進させて締結具「F」を組織「T」内に発射し、組織「T」を切断するように、ステープル留め装置10が発射され得る。締結具「F」を発射するためにプッシャ313がステープルカートリッジ315を通って前進すると、ピン318は、バットレス316の足部316cを通って抜去し、発射された締結具「F」がバットレス316を組織「T」に固定するときに、有利にステープルライン圧力をかけずに、バットレス316がカートリッジ組立体310から分離する。次いで、エンドエフェクタ300のアンビル組立体320は、エンドエフェクタ300のカートリッジ組立体310から接近解除または分離されて、ステープル留めされた組織を解放し、かつ外科手術部位からエンドエフェクタ300を取り外すことができる。アンビルおよび/またはカートリッジ組立体310、320は、外科用ステープル留め装置10から取り外され得る、および/または交換され得る。締結具「F」の発射、切断、および/もしくは締結、ならびに/またはアンビルおよび/もしくはカートリッジ組立体310、320の交換のより詳細な説明については、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,303,106号を参照することができる。
【0035】
図10および
図11を参照すると、バットレス416の別の実施形態、およびピン418の別の実施形態が示されている。バットレス416は、バットレス316と実質的に同様であるが、その足部416aは、つま先部を含まない。ピン418は、フック418aと、フック418aから遠位方向に延在するシャフト418bと、を含む。ピン418はさらに、足部416aを内部に保持するように構成されている、フック418aとシャフト418bとの間に配置された凹部418cを画定する。
【0036】
理解され得るように、本開示の装置の構成要素のうちのいずれかの固定は、溶接、圧着、接着、締結などのような既知の固定技術を使用して達成され得る。
【0037】
本明細書に開示される様々な実施形態はまた、ロボット手術システムおよび一般に「遠隔手術」と称されるものと共に動作するように構成され得る。このようなシステムは、臨床医を支援し、手術器具の遠隔操作(または部分遠隔操作)を可能にする様々なロボット要素を使用する。様々なロボットアーム、歯車、カム、滑車、電気モータおよび機械モータなどをこの目的のために使用することができ、手術または治療の過程で臨床医を補助するようにロボット外科手術システムにより設計することができる。このようなロボットシステムは、遠隔操縦可能システム、自動フレキシブル外科手術システム、遠隔フレキシブル外科手術システム、遠隔関節運動外科手術システム、無線外科手術システム、モジュール式または選択的に構成可能な遠隔動作式外科手術システムなどを含み得る。
【0038】
ロボット外科手術システムは、手術室に隣接するか、または遠隔場所に位置する1つ以上のコンソールと共に用いられ得る。この場合、臨床医の1つのチームが外科手術のために患者を準備し得、かつ別の臨床医(または臨床医のグループ)がロボット外科手術システムを介して器具を遠隔的に制御しながら、本明細書で開示される器具のうちの1つ以上を用いてロボット外科手術システムを構成し得る。理解され得るように、高度に熟練した臨床医は、自身の遠隔コンソールを離れることなく、複数の場所で複数の動作を行うことができ、これは、経済的に有益であり、患者または一連の患者にとっての利益となり得る。例示的な医療用ワークステーションおよび/またはその構成要素の詳細な説明については、米国特許出願公開第2012/0116416号およびPCT出願公開第WO2016/025132号を参照することができ、それぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
当業者であれば、本明細書において具体的に記載され、添付の図に示される構造および方法が、非限定的で例示的な実施形態であり、説明、開示、および図面が、単に特定の実施形態を例示しているものと解釈されるべきであることを理解するであろう。したがって、本開示は、説明される厳密な実施形態に限定されることがなく、種々の他の変更および修正を、本開示の範囲または主旨から逸脱することなく、当業者により行うことができることを理解されたい。さらに、例示的な一実施形態に関連して図示または記載された要素および特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の要素および特徴と組み合わせることができ、そのような変更および変形も本開示の範囲内に含まれることが想定される。実際、本明細書に開示されている要素および特徴のいずれかの任意の組み合わせは、本開示の範囲内にある。したがって、本開示の主題は、特に示され、説明されているものによって限定されない。