(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】時計の日付表示のための瞬時制御装置
(51)【国際特許分類】
G04B 19/253 20060101AFI20231129BHJP
G04B 19/247 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G04B19/253 G
G04B19/247 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019110289
(22)【出願日】2019-06-13
【審査請求日】2022-05-16
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510283546
【氏名又は名称】マニュファクチュア・ドーロジュリー・オードゥマール・ピゲ・エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジル・レ-メルメ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・ゴワ
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】独国特許発明第102015011324(DE,B3)
【文献】特公昭45-21235(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/253
G04B 19/247
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計の日付表示のための、特に機械式腕時計の日付表示のための瞬間日付制御装置であって、
日付盤(1)と、
前記瞬間日付制御装置と前記時計の時計ムーブメントとの間に運動学的結合を形成している歯車列(2)と、
カム可動子である第1の可動子(3)であって、
一日当たり一回転の速度で前記歯車列(2)によって駆動される第1の歯車(3.1)と、
限定された角度範囲に亘り及び/又は単一の回転方向で自在に回転可能な状態で前記第1の歯車(3.1)に取り付けられているカム(3.2)であって、前記カム(3.2)が限定された角度範囲に亘り及び/又は単一の回転方向で自在に回転することに起因して、前記カム(3.2)が前記第1の歯車(3.1)によって一日当たり一回転の速度で不連続に駆動されるように、自転して前記第1の歯車(3.1)に一時的に結合される前記カム(3.2)と、
を備えている前記第1の可動子(3)と、
ヨーク可動子である第2の可動子(4)であって、一日当たり一回転の速度で前記第1の歯車(3.1)を介して駆動される第2の歯車(4.1)を備えている前記第2の可動子(4)と、
アンロック駆動ヨーク(4.3)であって、
前記第1の歯車(3.1)に取り付けられた前記カム(3.2)に当接しているフィーラ(4.4)であって、アンロックフィンガとして機能する前記フィーラ(4.4)と、
前記日付盤(1)に配置された歯(1.1)と係合可能とされる駆動フィンガ(4.5)と、
を備えている前記アンロック駆動ヨーク(4.3)と、
対応する前記時計のフレームに取り付けられているアンロック駆動バネ(5)であって、前記フィーラ(4.4)を前記カム(3.2)に抗して作動させるように、且つ、前記日付盤(1)の瞬間ジャンプを発生させるに十分なエネルギを蓄えるように、付勢力を前記アンロック駆動ヨーク(4.3)に作用させる前記アンロック駆動バネ(5)と、
前記日付盤(1)の角度位置を2つの瞬間ジャンプの間に固定するための保持手段(6)と、
を備えている前記瞬間日付制御装置において、
前記ヨーク可動子(4)が、前記第2の歯車(4.1)に偏心して配置されている回動軸(4.2)を備えており、
前記アンロック駆動ヨーク(4.3)の全体が、前記回動軸(4.2)を中心として回動可能なように、前記第2の歯車(4.1)に取り付けられており、
これにより、前記第2の歯車(4.1)が、瞬間ジャンプそれぞれの直前に、前記アンロック駆動ヨーク(4.3)の前記駆動フィンガ(4.5)を前記日付盤(1)の歯(1.1)の背後に配置させるように、且つ、瞬間ジャンプそれぞれの直後に、前記アンロック駆動ヨーク(4.3)の前記駆動フィンガ(4.5)を前記日付盤(1)の前記歯(1.1)の軌道の外周に配置させるように、回転によって前記アンロック駆動ヨーク(4.3)の前記回動軸(4.2)を変位させることを特徴とする瞬間日付制御装置。
【請求項2】
前記駆動フィンガ(4.5)が、対応する前記時計の急速日付補正手段を介して日付を補正するために、前記アンロック駆動ヨーク(4.3)に対して退避可能なように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の瞬間日付制御装置。
【請求項3】
前記駆動フィンガ(4.5)が、前記アンロック駆動ヨーク(4.3)に回動可能に取り付けられた別部品によって形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の瞬間日付制御装置。
【請求項4】
前記駆動フィンガ(4.5)が、前記アンロック駆動ヨーク(4.3)に取り付けられているか、又は前記アンロック駆動ヨーク(4.3)と一体に形成されている可撓性部品によって形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の瞬間日付制御装置。
【請求項5】
前記アンロック駆動ヨーク(4.3)が、付勢バネ(4.6)を備えており、
前記付勢バネ(4.6)が、前記駆動フィンガ(4.5)を前記日付盤(1)に配置された前記歯(1.1)に向かって付勢する付勢力を、前記駆動フィンガ(4.5)に作用させることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の瞬間日付制御装置。
【請求項6】
前記アンロック駆動ヨーク(4.3)に作用する前記付勢バネ(4.6)の付勢力が、前記日付盤(1)の
偶発的な変位を防止するために、瞬間ジャンプそれぞれの直後に前記保持手段(6)と協働して前記日付盤(1)の角度位置を固定するように選択されることを特徴とする請求項5に記載の瞬間日付制御装置。
【請求項7】
前記アンロック駆動ヨーク(4.3)に配置された前記フィーラ(4.4)が、小車輪(4.4.1)を装着していることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の瞬間日付制御装置。
【請求項8】
前記カム(3.2)が、限定された角度範囲に亘り自在に回転可能な状態で前記第1の歯車(3.1)に取り付けられており、さらには、前記第1の歯車(3.1)の略半円状の弧の形態をした案内スロット(3.1.1)を介して、且つ、前記案内スロット(3.1.1)に格納された前記カム(3.2)のピン(3.2.1)を介して、自転して前記第1の歯車(3.1)に一時的に結合又は結合解除されるようになっており、
前記カム(3.2)が、前記第1の歯車(3.1)の回転軸に対して偏心している回転軸(3.1.2)を中心として回転可能なように、前記第1の歯車(3.1)に取り付けられていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の瞬間日付制御装置。
【請求項9】
前記カム(3.2)が、限定された角度範囲に亘り自在に回転可能な状態で前記第1の歯車(3.1)に取り付けられており、さらには、前記第1の歯車(3.1)の略円弧状の形態をした案内スロット(3.1.4.1)を介して、前記案内スロット(3.1.4.1)に格納された前記カム(3.2)のピン(3.2.1)を介して、且つ、前記第1の歯車(3.1)に配置されている一方向クラッチ手段(3.1.3,3.1.4)を介して、自転して前記第1の歯車(3.1)に一時的に結合又は結合解除されるようになっており、
前記カム(3.2)が、前記第1の歯車(3.1)の回転軸と同軸で回転可能なように、前記第1の歯車(3.1)に取り付けられていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の瞬間日付制御装置。
【請求項10】
前記カム(3.2)が、単一の回転方向において自在に回転可能な状態で前記第1の歯車(3.1)に取り付けられており、さらには、前記第1の歯車(3.1)と前記カム(3.2)との間に配置されている一方向クラッチ手段(3.1.5,3.2.2)を介して、自転して前記第1の歯車(3.1)に一時的に結合されるようになっており、
前記カム(3.2)が、前記第1の歯車(3.1)の回転軸と同軸で回転可能なように、前記第1の歯車(3.1)に取り付けられていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の瞬間日付制御装置。
【請求項11】
前記アンロック駆動ヨーク(4.3)が、一体品として形成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の瞬間日付制御装置。
【請求項12】
前記第2の可動子(4)の前記第2の歯車(4.1)の回転方向が、前記第1の可動子(3)の前記第1の歯車(3.1)の回転方向と逆方向であることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の瞬間日付制御装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の瞬間日付制御装置を備えていることを特徴とする時計ムーブメント。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の瞬間日付制御装置又は請求項13に記載の時計ムーブメントを備えていることを特徴とする時計。
【請求項15】
前記時計が、機械式時計ムーブメントを装着した腕時計であることを特徴とする請求項14に記載の時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のおいて書きに記載の時計の日付表示のための、特に機械式腕時計の日付表示部のための日付を瞬時制御するための装置、時計ムーブメント、及び、当該瞬時制御装置を具備する時計に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、時計学において、瞬間変化型の日付表示は既知である。当該日付表示は、一般に単純な構造を有するカレンダードラッグ変化型の日付表示が有する欠点を克服することができるが、利用者が近く可能であることが明らかな程極めて遅い日付変更を実行しているにすぎない。特に、このことは、日付盤が変位している際であっても、表示された日付が数分間又は数時間に亘って日付窓の中央に配置されないという事実によって理解可能である。これら欠点を克服するために、瞬間変化型の日付表示は、日付表示の瞬間回転によって、すなわち通常毎日真夜中に発生する瞬間ジャンプによって、変化可能とされる一層複雑な機構を備えている。
【0003】
このようなタイプの瞬間日付表示は、特許文献1から知られている。当該特許文献は、限定された角度範囲に亘って回転可能とされるカムを具備する第1の可動子と、第1のばねを介してカムに作用する制御レバーと、制御レバーによって駆動される作動レバーであって、駆動フィンガを介して日付盤を段階的に回転させる作動レバーとを備えている瞬間日付機構を開示している。作動レバーは、時計のブリッジに固定状態で取り付けられたピンが収容されている滑りガイドを備えており、作動レバーに連接している駆動フィンガが、第2のバネによって日付盤に向かって付勢される。
【0004】
特許文献2は、特許文献1に開示される機構に類似する機構を開示している。当該機構は、カムを備えた上で、特許文献1の機構のようにブリッジに固定される代わりに、駆動レバーの滑りガイドに偏心して収容されているピンが固定された第2の可動子を有した第1の可動子を備えている。さらに、特許文献2に開示される機構は、特許文献1に開示される制御レバー及び作動レバーを日付アンロック揺動子と呼称される部品に組み込んでいる。特許文献1に開示される機構の作動レバーに設けられた滑りガイドは、特許文献2に開示される機構の駆動レバーに配置されている。駆動レバーは、この場合には、特許文献1に開示される機構の駆動フィンガを付勢する第2のバネを抑制すると同時に、滑りガイドによって駆動レバーを日付盤に接近又は離隔させるために、回動可能に日付アンロック揺動子に設けられている。
【0005】
当該機構は、瞬間日付表示を可能とし、他の類似する機構が有する課題を部分的に克服することができる。すなわち、“手動補正が禁じられた期間”の際に時計の竜頭を利用することによって時刻及び/又は日付を手動で補正することは、利用者が置かれた状況次第では、日付機構の故障又は損傷の原因となる。しかしながら、当該機構は、このような課題を完全に克服した訳ではない。手動補正は、日付の瞬間変化の際には不可能であるからである。さらに、特許文献2に開示される機構の駆動レバーの軌道を滑動によって案内することは、特許文献1に開示される機構でも発生するが、最適であるようには思われない。さらに、日付盤を二重ジャンプから保護することは、日付盤の瞬間ジャンプを実施するために必要なエネルギが非常に短い時間周期に亘って解放され、且つ、特定の状況下において不慮の二重ジャンプを発生させたとすれば、常にこれら機構が有する課題である。同様に、このようなタイプの機構によって時計の時計ムーブメントからトルクを検出ことは、時計ムーブメントの時計としての性能に対する影響を最小限度に抑えるために、蓄勢されたエネルギの瞬時解放を可能にしつつ、このような検出が最大時間周期に亘って行われるべきであるので、常にデリケートである。
【0006】
従って、上述の欠点及び課題を克服する、時計の日付表示のための瞬間日付制御装置を設けることについて依然としてニーズが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第1673663号明細書
【文献】独国特許出願公開第102015011324号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、既知の装置の上述の欠点を克服すること、並びに、時計の日付表示のための瞬間日付制御装置を提供すること、とりわけ、時計の時計ムーブメントから受けるトルクを最小限度に抑えること、日付盤を二重ジャンプしないように保護すること、時計の竜頭を利用した時刻及び/又は日付の手動補正を可能とすること、特に時間帯の制限を受けずに、すなわち“手動補正が禁じられた期間”を有しないで、当該装置を損傷させることなく、反時計回り方向の時刻調整及び時刻の急速補正を実施すること、同様に当該装置の動作の際に可動部分の軌道を最適化することである。当該目的が達成されると、極薄ムーブメントに適応可能な比較的小型のモジュール式構造を得ることができると共に、当該装置の動作について高い信頼性を得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
当該目的を達成するために、本発明は、時計の日付表示のための、特に機械式腕時計の日付表示のための瞬間日付制御装置であって、請求項1に規定される特徴によって特徴づけられる瞬間日付制御装置と、このようなタイプの瞬間日付制御装置を備えている時計ムーブメント及び時計に関する。特に本発明における瞬間日付制御装置では、ヨーク可動子が、第2の歯車に偏心して配置されている回動軸を備えており、アンロック駆動ヨークの全体が、回動軸を中心として回動可能なように、第2の歯車に取り付けられており、これにより、第2の歯車が、瞬間ジャンプそれぞれの直前に、アンロック駆動ヨークの駆動フィンガを日付盤の歯の背後に配置させるように、且つ、瞬間ジャンプそれぞれの直後に、アンロック駆動ヨークの駆動フィンガを日付盤の歯の軌道の外周に配置させるように、回転によってアンロック駆動ヨークの回動軸を変位させる。
【0010】
従って、本発明における瞬間日付制御装置は、時計ムーブメントから受けるトルクを小さくしつつ、日付表示の瞬間変化を可能とするように構成されている。日中の最大期間に亘ってトルクが受容され、且つ、蓄勢されたエネルギが瞬時に解放されるからである。さらに、ブリッジではなく第2の歯車にアンロック駆動ヨークを配設しつつ、特許文献1に開示される滑りガイドを本発明における瞬間日付制御装置の第2の歯車に偏して配設された回動軸に置き換えることによって、瞬間日付制御装置の様々な部分の軌道を最適化することができる。
【0011】
本発明における瞬間日付制御装置の好ましい実施例では、駆動フィンガが、時計の急速日付補正手段を介して日付を補正するために、アンロック駆動ヨークに対して退避可能に配置されている。当該瞬間日付制御装置の特に好ましい実施例では、駆動フィンガが、アンロック駆動ヨークに回動可能に取り付けられた別部品によって、又はアンロック駆動ヨークに取り付けられているか、もしくはアンロック駆動ヨークと一体に形成されている可撓性部品によって形成されている。
【0012】
本発明における瞬間日付制御装置の他の好ましい実施例では、アンロック駆動ヨークが、付勢バネを備えており、付勢バネが、通常動作位置に位置する駆動フィンガを日付盤に配置された歯に向かって付勢する力を、駆動フィンガに作用させる。
【0013】
これら手段によって、日付盤を二重ジャンプから効果的に保護することができると共に、時間帯の制限を受けず且つ損傷の恐れなく、時計の竜頭若しくは補正プッシュボタンを利用することによって時刻及び/又は日付の手動補正、特に反時計回り方向での時刻の設定及び日付の急速補正が可能となる。これにより、このようなタイプの瞬間日付制御装置の動作を特に安全にすることができると共にその信頼性を高めることができる。さらに、アンロック駆動ヨークをブリッジに配置させる代わりに当該アンロック駆動ヨークを第2の歯車に配設させつつ、特許文献2に開示される滑りガイドを本発明における瞬間日付制御装置の第2の歯車に偏心して配置された回動軸に置き換えることによって、ブリッジに配置されたアンロック駆動バネが作用させるアンロック駆動力と、アンロック駆動ヨークに配設された付勢バネが作用させる付勢力とを分離させるという付加的な機能を実現することができる。特許文献2に開示される機構では、滑りガイドが存在するので、このような機能を実現することができない。アンロック駆動バネのアンロック駆動力と付勢バネの付勢力とは、一般に同一の閾値を有していない。しかしながら、本発明における瞬間日付制御装置には付勢バネが設けられているので、以下に詳述するように、利用し易くなるという付加的な効果を有している。
【0014】
本発明における瞬間日付制御装置の他の好ましい実施例では、当該瞬間日付制御装置の第1の可動子及び/又は第2の可動子は、より具体的には第1の歯車に又は第1の歯車とカムとの間に配置されている一方向クラッチ手段を利用することによって、代替的な配置をとることができる。このことは、カムを第1の可動子の第1の歯車に取り付けること、及び、カムと第1の歯車との相対運動の両方に関して、有益な解決策を提供する。
【0015】
他の特徴及び対応する利点については、従属請求項及び発明の詳細な説明から明らかとなる。
【0016】
添付図面は、本発明の実施例を例示的且つ概略的に表わす。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1a】本発明における時計の日付表示のための瞬間日付制御装置の概略的な斜視図である。
【
図1b】
図1aに表わす瞬間日付制御装置の上面図である。
【
図1c】
図1bの断面I-Iにおける瞬間日付制御装置の断面図である。
【
図2a】本発明における瞬間日付制御装置の第1の可動子についての第1の実施例の概略的な斜視図である。一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図2b】本発明における瞬間日付制御装置の第1の可動子についての第1の実施例の上面図である。一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図2c】本発明における瞬間日付制御装置の第1の可動子についての、
図2bに表わす断面II-IIにおける断面図である。一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図2d】本発明における瞬間日付制御装置の第1の可動子についての第2の実施例の概略的な斜視図である。一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図2e】本発明における瞬間日付制御装置の第1の可動子についての第2の実施例の上面図である。一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図2f】本発明における瞬間日付制御装置の第1の可動子についての、
図2eに表わす断面III-IIIにおける断面図である。一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図2g】本発明における瞬間日付制御装置の第1の可動子についての第3の実施例の概略的な斜視図である。一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図2h】本発明における瞬間日付制御装置の第1の可動子についての第3の実施例の上面図である。一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図2i】本発明における瞬間日付制御装置の第1の可動子についての、
図2hに表わす断面IV-IVにおける断面図である。一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図2j】本発明における瞬間日付制御装置の第1の可動子についての第4の実施例の概略的な斜視図である。一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図2k】本発明における瞬間日付制御装置の第1の可動子についての第4の実施例の上面図である。一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図2l】本発明における瞬間日付制御装置の第1の可動子についての、
図2kに表わす断面V-Vにおける断面図である。一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図3a】本発明における瞬間日付制御装置の第2の可動子の第1の実施例についての概略的な斜視図である。良好な理解を得るために、一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図3b】本発明における瞬間日付制御装置の第2の可動子の第1の実施例についての上面図である。良好な理解を得るために、一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図3c】本発明における瞬間日付制御装置の第2の可動子の第1の実施例についての、
図3bに表わす断面VI-VIにおける断面図である。良好な理解を得るために、一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図3d】本発明における瞬間日付制御装置の第2の可動子の第2の実施例についての概略的な斜視図である。良好な理解を得るために、一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図3e】本発明における瞬間日付制御装置の第2の可動子の第2の実施例についての上面図である。良好な理解を得るために、一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図3f】本発明における瞬間日付制御装置の第2の可動子の第2の実施例についての、
図3eに表わす断面VII-VIIにおける断面図である。良好な理解を得るために、一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図3g】本発明における瞬間日付制御装置の第2の可動子の第3の実施例についての概略的な斜視図である。良好な理解を得るために、一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図3h】本発明における瞬間日付制御装置の第2の可動子の第3の実施例についての上面図である。良好な理解を得るために、一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図3i】本発明における瞬間日付制御装置の第2の可動子の第3の実施例についての、
図3hに表わす断面VIII-VIIIにおける断面図である。良好な理解を得るために、一部の部品について省略されていることに留意すべきである。
【
図3j】本発明における瞬間日付制御装置の第2の可動子の第3の実施例についてのアンロック駆動ヨークの概略的な斜視図である。
【
図3k】本発明における瞬間日付制御装置の第2の可動子の第3の実施例についてのアンロック駆動ヨークの上面図である。
【
図4a】
図1bの上面図に類似した上面図を利用して日付盤の一部分のみを表わす、本発明における瞬間日付制御装置の動作ステップ、すなわち瞬間日付制御装置のアンロック駆動バネが蓄勢された場合の位置を例示的且つ概略的に表わす。
【
図4b】
図1bの上面図に類似した上面図を利用して日付盤の一部分のみを表わす、本発明における瞬間日付制御装置の動作ステップ、すなわち瞬間日付制御装置のアンロック駆動バネが蓄勢された場合の位置を例示的且つ概略的に表わす。
【
図4c】
図1bの上面図に類似した上面図を利用して日付盤の一部分のみを表わす、本発明における瞬間日付制御装置の動作ステップ、すなわち瞬間日付制御装置のアンロック駆動バネが蓄勢された場合の位置を例示的且つ概略的に表わす。
【
図4d】
図1bの上面図に類似した上面図を利用して日付盤の一部分のみを表わす、本発明における瞬間日付制御装置の動作ステップ、すなわち瞬間日付制御装置のアンロック駆動バネが蓄勢された場合の位置を例示的且つ概略的に表わす。
【
図4e】
図1bの上面図に類似した上面図を利用して日付盤の一部分のみを表わす、本発明における瞬間日付制御装置の動作ステップ、すなわち瞬間日付制御装置のアンロック駆動バネが蓄勢された場合の位置を例示的且つ概略的に表わす。
【
図4f】
図1bの上面図に類似した上面図を利用して日付盤の一部分のみを表わす、本発明における瞬間日付制御装置の動作ステップ、すなわち瞬間日付制御装置のアンロック駆動バネが蓄勢された場合の位置を例示的且つ概略的に表わす。
【
図4g】
図1bの上面図に類似した上面図を利用して日付盤の一部分のみを表わす、本発明における瞬間日付制御装置の動作ステップ、すなわち日付盤の瞬間変化の直前における位置を例示的且つ概略的に表わす。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明について、幾つかの実施例を例示的に図解する添付図面を参照しつつ説明する。
【0019】
本発明における瞬時日付制御装置は、日付表示部を具備する時計に、特に機械式時計ムーブメントを具備する腕時計に組み込まれるように構成されている。瞬時日付制御装置は、例えばクォーツムーブメントのような他のタイプの時計ムーブメントを具備する時計に利用される場合もあり、これにより、如何なる場合であっても以下の技術的事項が適用可能とされる。
【0020】
図1aに表わす斜視図、
図1bに表わす上面図、及び
図1cに表わす断面図に概略的且つ例示的に図解するように、本発明における日付表示部についての日付を瞬時制御するための装置は、日付盤1と、瞬時制御装置と時計の基本的な時計ムーブメントとの間に機械的連結を形成している歯車列2と、第1の可動子3すなわちカム可動子と、第2の可動子4すなわちヨーク可動子と、アンロック駆動ヨーク4.3と、アンロック駆動バネ5と、保持手段6とを備えている。これら構成部品は、一般的な場合には、時計の基本的な時計ムーブメントのブリッジ若しくはフレームに載置されているが、モジュール構造の場合には、基本的な時計ムーブメントに一括して載置されている。両方の場合において当該装置の構造及び機能が同一であるならば、以下の説明が両方の場合に当て嵌まる。
【0021】
これら構成部品それぞれを詳細に説明するために、最初に、一般に時計学者は、“日付盤”1との用語を利用することに留意すべきである。当該日付盤には、1~31の日付を表わす数字が刻印されており、適切な枚数の歯すなわち31枚の歯を具備する一連の歯が設けられている。好ましくは、本発明における瞬時制御装置では、これら歯が、実質的に非対称な鋸歯として構成されている。歯車列2は、瞬時制御装置と時計の基本的な時計ムーブメントとの間に機械的連結を形成しており、例えば
図1a及び
図1bから理解されるように、
図1a及び
図1bにおいて日付盤1の中心に表わされる時針歯車によって駆動される第1の中間ピニオン2.1と、第1の中間ピニオン2.1と咬合する第2の中間ピニオン2.2とから構成されている。
図1bにおいて矢印で示すように、第1の中間ピニオン2.1が反時計回り方向に回転し、第2の中間ピニオン2.2が時計回り方向に回転するので、時針歯車は時計回りに回転するが、一日当たり2回転の割合で遅れる。また、第1の中間ピニオン2.1と第2の中間ピニオン2.2とは、第1の可動子3及び第2の可動子4が一日当たり一回転の速度で回転するように減速させるように機能する。
【0022】
第1の可動子3すなわちカム可動子は、歯車列2によって一日当たり一回転の速度で駆動される第1の歯車3.1と、限定された角度範囲に亘って及び/又は単一の回転方向において回転自在とされるように第1の歯車3.1に載置されているカム3.2であって、自転して第1の歯車3.1に一時的に結合されるカム3.2とを備えている。これにより、カム3.2は限定された角度範囲に亘って及び/又は単一の回転方向において回転自在とされるので、カム3.2が第1の歯車3.1によって一日当たり一回転の速度で不連続に駆動される。
図1bにおいて矢印で示すように、第1の歯車3.1ひいてはカム3.2は、通常、反時計回り方向に回転する。
【0023】
一連の
図2a~
図2c、一連の
図2d~
図2f、一連の
図2g~
図2i、及び一連の
図2j~
図2lは、本発明における瞬時日付制御装置の第1の可動子についての4つの実施例それぞれの斜視図、上面図、及び断面図である。一連の
図2a~
図2cに表わす第1の可動子の第1の実施例では、カム3.2が、限定された角度範囲に亘って回転自在とされるように第1の歯車3.1に載置されており、第1の歯車3.1に配置された略半円弧状の形態をした案内スロット3.1.1と、カム3.2に固定されていると共に案内スロット3.1.1に収容されているピン3.2.1とを介して、自転して第1の歯車3.1に一時的に結合されるようになっている。さらに、カム3.2は、第1の歯車3.1の回転軸線に対して偏心している回転軸線3.1.2を中心として回転可能とされるように、第1の歯車3.1に載置されており、案内スロット3.1.1は略半円弧状の形態とされ、その中心は偏心した回転軸線3.1.2とされる。従って、第1の歯車3.1が反時計回り方向に駆動され、案内スロット3.1.1の時計回り方向側に配置された端部がピン3.2.1に当接した場合に、第1の歯車3.1によってカム3.2が反時計回り方向に駆動される。すなわち、カム3.2は、第1の歯車3.1に回転しながら一時的に結合される一方、カム3.2は、半円弧状の形態をした案内スロット3.1.1によって制限される角度範囲に亘って、ひいては約180°の角度範囲に亘って、特に反時計回り方向に自在に回転可能とされる。このような構造の機能については、本明細書の残り部分から、特に当該装置の動作を説明する場合に明らかになるだろう。
【0024】
一連の
図2d~
図2fに表わす第1の可動子の第2の実施例では、カム3.2は、限定された角度範囲に亘って回転自在とされるように第1の歯車3.1に載置されており、第1の歯車3.1に配置された略円弧状の形態をした案内スロット3.1.4.1と、カム3.2に固定されていると共に案内スロット3.1.4.1に収容されているピン3.2.1とを介して、自転して第1の歯車3.1に一時的に結合されるようになっている。案内スロット3.1.4.1の当該円弧状の形態は、好ましくは25°~65°の範囲に配置された角度範囲を有している。さらに、第1の歯車3.1は、2つの部品に、具体的には歯車列2によって反時計回り方向に駆動される第1の歯車3.1のリング3.1.3と第1の歯車3.1の盤3.1.4とに分割されている。盤3.1.4は、案内スロット3.1.4.1を備えており、回転自在とされるようにリング3.1.3に収容されているが、第1の歯車3.1の2つの部品3.1.3,3.1.4に配置されている一方向クラッチ手段を介してリング3.1.3に機械的に連結されている。特に、リング3.1.3は、一方向クラッチ手段のフック3.1.3.1を備えており、盤3.1.4は、一方向クラッチ手段の対応する駆動肩部3.1.4.2を備えているので、リング3.1.3を反時計回り方向に駆動することによって、リング3.1.3のフック3.1.3.1が盤3.1.4の駆動肩部3.1.4.2と接触すると即時に、第1の歯車3.1の盤3.1.4が駆動される。リング3.1.3ひいては第1の歯車3.1を時計回り方向に駆動することによって、一方向クラッチ手段が係合解除されるので、この場合には盤3.1.4が駆動されなくなる。当該実施例では、カム3.2は、第1の歯車3.1の回転軸線と同軸に回転するように第1の歯車3.1に載置されている。従って、第1の歯車3.1が反時計回り方向に駆動され、案内スロット3.1.4.1の時計回り方向側に配置された端部がピン3.2.1に当接した場合に、第1の歯車3.1によってカム3.2が反時計回り方向に駆動される。すなわちカム3.2は、自転して第1の歯車3.1に一時的に結合される一方、カム3.2は、円弧状の形態をした案内スロット3.1.4.1によって制限される角度範囲に亘って、ひいては約25°~約65°の角度範囲に亘って、特に反時計回り方向に自在に回転可能とされる。当該装置の他の部品を考慮しなければ、一方向クラッチ手段が設けられていることを理由として、カム3.2は、反時計回り方向においてリング3.1.3に対して完全に自在に回転可能とされるが、カム3.2と盤3.1.4との間における相対的な回転が盤3.1.4の案内スロット3.1.4.1によって制限される角度範囲を超えた場合には、盤3.1.4を駆動するようになっている。この場合には、一方向クラッチ手段が係合解除されるので、盤3.1.4が反時計回り方向に回転しても、リング3.1.3は回転しない。
【0025】
一連の
図2g~
図2i及び
図1a~
図1cに表わす第1の可動子の第3の実施例では、カム3.2が、単一の回転方向において自在に回転可能とされるように、第1の歯車3.1に取り付けられており、第1の歯車3.1とカム3.2との間に配置されている一方向クラッチ手段3.1.5,3.2.2を介して、自転して第1の歯車3.1に一時的に結合される。これに関連して、第1の歯車3.1は、一方向クラッチ手段の駆動肩部3.1.5を備えており、カム3.2は、一方向クラッチ手段の対応するフック3.2.2を備えている。これにより、第1の歯車3.1を反時計回り方向に駆動することによって、第1の歯車3.1の駆動肩部3.1.5がカム3.2のフック3.2.2と接触するとすぐにカム3.2が駆動されるようになっており、且つ、第1の歯車3.1を時計回り方向に駆動することによって、カム3.2が当該回転方向に駆動されない態様で、一方向クラッチ手段が係合解除されるようになっている。さらに、当該実施例では、カム3.2は、第1の歯車3.1の回転軸線と同軸に且つ第1の歯車3.1に回転可能に取り付けられている。従って、第1の歯車3.1が反時計回り方向に駆動される場合には、カム3.2は、第1の歯車3.1によって反時計回り方向に駆動される。すなわち、第1の歯車3.1の駆動肩部3.1.5がカム3.2のフック3.2.2と接触するとすぐに、カム3.2は、自転して第1の歯車3.1に一時的に結合される。そして、一方向クラッチ手段3.1.5,3.2.2の係合が解除されると、カム3.2は、当該装置の他の部分の影響を受けずに反時計回り方向に自在に回転可能となる。
【0026】
一連の
図2j~
図2lに表わす第1の可動子の第4の実施例でも、カム3.2は、単一の回転方向において自在に回転可能とされるように、第1の歯車3.1に取り付けられており、第1の歯車3.1とカム3.2との間に配置されている一方向クラッチ手段3.1.5,3.2.2を介して、自転して第1の歯車3.1に一時的に結合される。従って、当該実施例は、第1の可動子の第3の実施例と同一の構成原理を有しているが、最小高さを有しているので、特に
図2lに表わすような極薄ムーブメントへの組み込みに特に適合している。
【0027】
第2の可動子4すなわちヨーク可動子は、一日に一回転の速度で第1の歯車3.1を介して駆動される第2の歯車4.1を備えている。
図1bにおいて矢印によって図解されるように、第2の可動子4の第2の歯車4.1の回転方向は、第1の可動子3の第1の歯車3.1の回転方向とは反対である。好ましくは、第2の歯車4.1は、第1の歯車3.1によって直接駆動されるが、言うまでもなく、第1の歯車3.1と第2の歯車4.1との間において適切な運動学的結合を確保するための中間歯車を設けることもできる。
【0028】
アンロック駆動ヨーク4.3は、フィーラ4.4を具備しており、フィーラ4.4は、第1の可動子3の第1の歯車3.1に取り付けられているカム3.2に載置されており、アンロック駆動ヨーク4.3を装置の他の部分に対して所定の角度に方向づける。また、アンロック駆動ヨーク4.3は、歯1.1を一段ずつ駆動するために、日付盤1に配置されている歯1.1と係合可能とされる駆動フィンガ4.5を具備している。さらに、アンロック駆動ヨーク4.3は、アンロック駆動バネ5が作用するヒンジ手段4.7、例えばピンを具備している。
【0029】
アンロック駆動バネ5は、時計それぞれ又は瞬間日付モジュールのブリッジ又はフレームに取り付けられており、フィーラ4.4を第1の可動子3のカム3.2に対して付勢するように適合された付勢力を、アンロック駆動ヨーク4.3のヒンジ手段4.7に作用させる。アンロック駆動バネ5は、日付盤1の瞬間ジャンプを確実に実現するのに十分なエネルギを蓄積することができる。
【0030】
図1bに象徴的に表わす保持手段6は、例えばジャンパ又は任意の他の適切な弾性手段によって実現されているので、日付盤1の角度位置を2つの瞬間ジャンプの間に固定することができる。保持手段6によって作用される耐力は、日付盤1が外部衝撃の影響によってジャンプすることができないように、且つ、駆動フィンガ4.5の影響によって日付盤1の1回の瞬間ジャンプが日付の任意の急速補正と同様に可能となるように選定される。アンロック駆動ヨーク4.3の駆動フィンガ4.5の弾性は、任意の安全対策である。
【0031】
本発明における瞬時制御装置は、特にヨークモジュール4が第2の歯車4.1に偏心状態で配設されている回動軸4.2を備えている点において区別される。アンロック駆動ヨーク4.3の全体が、回動軸4.2を中心として回動可能に第2の歯車4.1に取り付けられているので、第2の歯車4.1は、瞬間ジャンプそれぞれの直前にアンロック駆動ヨーク4.3の駆動フィンガ4.5を日付盤1の歯1.1の背後に配置させるように、且つ、当該瞬間ジャンプそれぞれの後にアンロック駆動ヨーク4.3の駆動フィンガ4.5を日付盤1の歯1.1の軌道の外周に配置させるように回転することによって、アンロック駆動ヨーク4.3の回動軸4.2を変位させることができる。同時に、第1の歯車3.1、第1の歯車3.1に取り付けられているカム3.2、及び、アンロック駆動ヨーク4.3のフィーラ4.4の協働によって、アンロック駆動ヨーク4.3が離隔した場合に、日付盤1の歯1.1の軌道を越えて配置されているアンロック駆動バネ5に蓄勢することができる。同様に、当該協働によって、アンロック駆動ヨーク4.3が接近される場合に、日付盤1の歯1.1の背後に一時的に配置されているアンロック駆動バネ5に蓄えられたエネルギを瞬時に解放することができる。これにより、瞬間ジャンプによって、日付1の位置を変化させることができる。
【0032】
好ましくは、駆動フィンガ4.5は、対応する時計の急速日付補正手段によって日付を補正するために、アンロック駆動ヨーク4.3に対して退避可能に配置されている。この点において、
図1a、
図1b、
図3a、
図3b、
図3d、及び
図3eに概略的に且つ例示的に表わすように、駆動フィンガ4.5は、アンロック駆動ヨーク4.3に回動可能に取り付けられた別体の部品によって形成されている場合がある。代替的には、駆動フィンガ4.5は、
図3g、
図3h、
図3j、及び
図3kに概略的に且つ例示的に表わされるように、アンロック駆動ヨーク4.3に取り付けられている又は一体に形成されている可撓性部品によって形成されている。常に、
図1a、
図1b、
図3a、
図3b、
図3e、
図3g、及び
図3hから理解されるように、駆動フィンガ4.5は、駆動フィンガ4.5の回動を所望の角度範囲に制限するように、アンロック駆動ヨーク4.3に配設されている制限肩部と協働する当接部を備えている。
【0033】
さらに、アンロック駆動ヨーク4.3の第1の好ましい実施例を示す
図1a、
図1b、及び
図3a~
図3cに例示的に表わすように、アンロック駆動ヨーク4.3は、特に好ましくは且つ優位には、付勢力を駆動フィンガ4.5に作用させるための付勢バネ4.6を備えており、付勢バネ4.6は、日付盤1に配置された歯1.1に向かって駆動フィンガ4.5を付勢するようになっている。アンロック駆動ヨーク4.3に対する付勢バネ4.6の付勢力は、保持手段6と協働して、瞬間ジャンプそれぞれの後において日付盤1の角度位置を固定可能とされるように選定される。このことについては、以下の説明から明確になるだろう。アンロック駆動ヨーク4.3の当該実施例では、アンロック駆動ヨーク4.3に配置されているフィーラ4.4は、アンロック駆動ヨーク4.3のフィーラ4.4と第1の可動子3のカム3.2との間における摩擦を低減させるために、フィーラ4.4の自由端に遊動状態で取り付けられている小車輪4.4.1を備えている。
【0034】
図3d~
図3fは、アンロック駆動ヨーク4.3の第2の実施例を表わす。アンロック可動ヨーク4.3は、フィーラ4.4に小さいホイールを備えていないが、最小高さを有しているので、特に
図3fから理解されるように、極薄ムーブメントへの組み込みに特に適している。
【0035】
図3g~
図3kは、アンロック駆動ヨーク4.3の第3の実施例を表わす。アンロック駆動ヨーク4.3は、アンロック駆動ヨーク4.3と一体に形成されている駆動フィンガ4.5を備えている。このような一体的な変形例を機械加工するために、アンロック駆動ヨーク4.3の様々な部分が物理的に接触することができない。従って、このような構成では、アンロック駆動ヨーク4.3に配設されている制限肩部に対して駆動フィンガ4.5を付勢することはできない。駆動フィンガは、日付盤を変位させるために作用する力の影響下において、瞬間ジャンプの際に限り、当該制限肩部と接触する。同様に、当該実施例は、特に極薄ムーブメントに組み込まれるように構成されている。
【0036】
本発明における瞬間日付制御装置の様々な実施例についての上述の構成部品は、例えばフライス工程、切削工程、打ち抜き工程、切削工程、及び電気化学工程のような従来技術に基づく手段を利用することによって組み立て可能とされるが、例えばUV-LIGAプロセスや3Dプリンティングを利用することによって、例えば深掘りRIE(Deep Reactive Ion Etching: DRIE)によって加工されたシリコンのような従来とは異なる材料及び工程によっても組み立て可能とされる。
【0037】
本発明における瞬間日付制御装置の様々な実施例の構成部品の構造についての上述の詳細な説明に鑑みて、瞬間日付制御装置の動作は、概略的に
図1bの上面図に類似する上面図を利用しているが日付盤1の一部分のみを表わす
図4a~
図4gを参照すれば、容易に理解可能である。
図4a~
図4gは、このタイプの瞬間日付制御装置の動作の際における7つのステップを表わす。
【0038】
実際に、このような瞬間日付制御装置を備えている時計の通常動作の際には、当該時計の基本時計ムーブメントの時針歯車は、歯車列2を駆動すし、歯車列2は、1日当たり1回転の速度で反時計回り方向に第1の歯車3.1を回転させる。限定された角度範囲で及び/又は単一の回転方向に自在に回転するように第1の歯車3.1に取り付けられているカム3.2は、第1の可動子3の様々な実施例に関して上述したように、1日1回転の速度で反時計回り方向に不連続に駆動される。アンロック駆動ヨーク4.3は、フィーラ4.4を介してカム3.2の螺旋状の周囲面に対して当接し、その後にアンロック駆動バネ5を蓄勢する。同時に、第1の歯車3.1が、1日当たり1回転の速度で時計回り方向に第2の可動子4の第2の歯車4.1を回転させる。これにより、アンロック駆動ヨーク4.3の回動軸4.2が回転変位されるので、アンロック駆動ヨーク4.3の駆動フィンガ4.5は、瞬間ジャンプそれぞれの直前に日付盤1の歯の後方に配置され、且つ、瞬間ジャンプそれぞれの後に日付盤1の歯の軌道の外周に配置される。日付盤1の瞬間ジャンプは、アンロック駆動ヨーク4.3のフィーラ4.4が実際にはカム3.2のほぼ半径方向に位置するスティープフランク(steep flank)に到達した場合に発生し、日付盤1の瞬間ジャンプを保証するに十分なアンロック駆動バネ5に蓄積されたエネルギを利用することによって、カム3.2を反時計回り方向に瞬間的に進行させる。その後に、カム3.2は第1の歯車3.1に対して相対的に前進している角度位置に位置し、一時的に当該角度位置を維持する。このことは、案内スロット3.1.1,3.1.4.1によって、及び/又は第1の可動子3.1の第1の歯車3.1とカム3.2との間にそれぞれ位置する第1の歯車3.1の2つの部品(リング3.1.3及び盤3.1.4)に配置されている一方向クラッチ手段によって実現される。その後に、時針歯車及び歯車列2による連続的な駆動によって、カム3.2が再び自転して第1の歯車3.1と一時的に結合されるまで第1の歯車3.1が前進する。これにより、サイクルが再開される。
【0039】
図4a~
図4fは、ムーブメントのこのような事象の順序を概略的に示しており、カム3.2とアンロック駆動ヨーク4.3との協働によってアンロック駆動バネ5が蓄勢された場合に、瞬間制御装置の構成部品の様々な逐次的位置を表わす。同様に、
図4gは、日付盤1が瞬間ジャンプする直前の構成部品の位置を表わす。特に、
図4aは、日付盤1が瞬間ジャンプした直後の構成部品の位置を表わすが、
図4a~
図4fに表わすように、アンロック駆動ヨーク4.3の偏心回動軸4.2の回転によって、瞬間ジャンプの直前にアンロック駆動ヨーク4.3の駆動フィンガ4.5が日付盤1の歯の背後に配置され、瞬間ジャンプそれぞれから暫く後にアンロック駆動ヨーク4.3の駆動フィンガ4.5が日付盤1の歯の軌道の外周に配置される。実際に、駆動フィンガ4.5は、直立しつつ、
図4a~
図4cに表わす装置の動作ステップの際に日付盤1の2つの歯1.1の間に維持され、その後に、
図4d及び
図4eに表わすように、当該歯から、すなわち日付盤1から徐々に離隔するように移動され、その後に、
図4f及び
図4gに表わす次の瞬間的な切り替えにおいて日付盤1の隣の歯1.1の背後に位置決めされる。本明細書では、瞬間ジャンプそれぞれが本発明における瞬間制御装置のために追加的な利点を生み出した後に、駆動フィンガ4.5が日付盤1の2つの歯の間に一時的に維持されることに留意すべきである。実際には、付勢バネ4.6が、日付盤1の偶発的な変位を防止するために、特に偶発的な二重のジャンプを防止するために、一次的な機能として、駆動フィンガ4.5を日付盤1に配置された歯1.1に向かって付勢するために駆動フィンガ4.5に付勢力を作用させるという機能を有しており、二次的な機能として、瞬間ジャンプそれぞれの直後に保持手段6と協働して日付盤1の角度位置を維持するという機能を有している。上述のように、
この場合には、アンロック駆動ヨーク4.3に作用する付勢バネ4.6の付勢力は、特に保持手段6の配置に関する関数として対応して選定される。
【0040】
このようなタイプの瞬間日付制御装置を具備する時計の利用者が、手動で巻き戻すことによって、すなわち調整用竜頭が設定位置に位置する状態で時計それぞれの調整用竜頭を巻き戻すことによって時刻を調整する場合には、時針歯車、歯車列2、第1の歯車3.1、及び第2の歯車4.1が、
図1bの矢印によって指示される方向の反対の回転方向に駆動される。しかしながら、このことは、時刻のみを補正するが、日付盤1には影響を及ぼさない。実際には、第1の可動子3の4つの実施例の構造の説明の際に詳細に上述したように、第1の可動子3の配置は、第1の可動子3及び第2の可動子4の後方回転の際に、駆動フィンガ4.5が日付盤1の歯1.1に如何なる時も接触しないことを確保する。第1の可動子3の第1の実施例では、このことは、略半円状の弧の形態をした案内スロット3.1.1と第1の歯車3.1の偏心回転軸3.1.2とによって、加えてカム3.2の周面の対応する形状に起因して可能となる。略半円状の弧の形態をした案内スロット3.1.1と第1の歯車3.1の偏心回転軸3.1.2とが、後転による補正の際におけるカム3.2とアンロック駆動ヨーク4.3との協働が日付盤1の歯1.1と非接触の状態を維持する駆動フィンガ4.5の軌道を生み出すという効果を有しているからである。第1の可動子3の他の実施例では、このことは、第1の歯車3.1に又は第1の歯車3.1とカム3.2との間に配置されている一方向クラッチ手段によって可能となる。実際に、第1の可動子3のこれら実施例における後転による補正の結果として、一方向クラッチ手段の係合が解除されるので、カム3.2は駆動されず、好天による補正の際におけるアンロック駆動ヨーク4.3の回転が、日付盤1の歯1.1と非接触状態を維持する駆動フィンガ4.5の軌道を生み出す。さらに、第1の可動子3の第1の実施例では、カム3.2は、後転による補正の際にアンロック駆動ヨーク4.3のフィーラ4.4が傾斜部を登ることができるように、カムのドロップを形成している部分に非常に小さい傾斜部を有している。これにより、アンロック駆動ヨーク4.3が上向きにされる。第1の可動子3の他の実施例では、カムのドロップを形成している部分が急傾斜部を有しているので、後転による補正の際に、一方向クラッチ手段の係合解除によってアンロック駆動ヨーク4.3が上向くことが防止される。その結果として、同時に、カム3.2の荷重負荷区間が長くなるので、トルクの受容分布が良好になる。
【0041】
最後に、このようなタイプの瞬間制御装置を具備する時計の利用者は、すなわち設定用竜頭が急速日付補正位置に位置している状態で時計の設定用竜頭を通常の方向に回転させることによって、迅速に日付を補正する場合に、図示しない補正歯車列が、日付盤1に直接作用し、日付盤1を時計回り方向に回転させる。しかしながら、このことは、本発明における瞬間制御装置に影響を及ぼさない。当該瞬間制御装置のアンロック駆動ヨーク4.3の駆動フィンガ4.5が、毎日、毎日午後又は晩に限り発生する従来技術に基づく瞬間日付機構と比較して早く、すなわち一般には朝4時から7時の間に、日付盤1の歯1.1の軌道から持ち上げられる。一方、アンロック駆動ヨーク4.3の駆動フィンガ4.5が依然として日付盤1の歯1.1の軌道に位置しているときに急速日付補正が実施される場合には、このことは再び影響を及ぼさない。駆動フィンガ4.5がアンロック駆動ヨーク4.3に対して退避可能に配置されているので、必要であれば、急速日付補正の際に日付盤1の歯1.1が通過可能なように退避可能とされるからである。従って、アンロック駆動ヨーク4.3の付勢バネ4.6は、瞬間日付制御装置を損傷させることなく常に急速日付補正することができるという第3の機能を有している。さらに、時計のフレーム若しくはブリッジに、又は瞬間制御モジュールに配置されているアンロック駆動バネ5が作用させるアンロック駆動力と、アンロック駆動ヨーク4.3に配置されている付勢バネ4.6が作用させる付勢力との分離によって、使い勝手の良さが改善される。一般に、これら力が同一の閾値を有しておらず、本発明における制御装置では、利用者は、急速に日付を補正することを希望する場合に、従来技術に基づく機構より遥かに小さい保持力のみを扱えば良いからである。
【0042】
また、本発明は、ムーブメント、及び。隅々まで詳細に説明する必要が無いこのようなタイプの瞬間制御装置を具備する時計に関し、本発明の技術的示唆を具備する限り、当業者が想到可能な範囲内である。好ましくは、時計は、機械式時計ムーブメントを装着した腕時計とされる。
【0043】
本発明における瞬間日付制御装置の様々な実施例の構造及び機能の両方に関する上述の詳細な説明に鑑みて、当該瞬間日付制御装置が従来技術に基づく瞬間日付制御装置と比較して多くの利点を有していることは、当業者にとって明白である。一方、本発明における瞬間日付制御装置は、トルクが一日中最大周期に亘って受容されると同時に、蓄勢された力が解放されることを条件として、示される日付を瞬間的に変更可能でありつつ、時計ムーブメントからの小さいトルクを受容することを保証する。他方、本発明における装置の第2の歯車の回動軸の偏心位置は、第2の歯車のアンロック駆動ヨークの全体を位置決めしつつ、当該装置の様々な部分の軌道を最適化する。さらに、当該装置は、二重ジャンプから日付盤を効果的に保護することができると共に、特に反時計回り方向に日付を補正する際に又は日付を急速補正する際に、時間帯に制限を受けることなく且つ損傷させる恐れなく、対応する時計の竜頭によって時刻及び/又は日付を手動設定することができる。これら特性のすべての結果として、当該装置を特に安全に信頼を以って操作することができる。さらに、本発明における瞬間日付制御装置は、一層快適に利用可能とされる。フレーム又はブリッジに位置するアンロック駆動バネが作用させるアンロック駆動力と、アンロック駆動ヨークに配置されている付勢バネが作用させる付勢力とが分離されるからである。これら利点を得つつ、モジュール式である比較的小さい構造を保証することができるので、本発明における瞬間日付制御装置は、極薄ムーブメントにも適している。最後に、当該装置の幾つかの変形例が利用可能であり、これにより利用時に当該装置に可撓性を持たせることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 日付盤
1.1 歯
2 歯車列
2.1 第1の中間ピニオン
2.2 第2の中間ピニオン
3 第1の可動子(カム可動子)
3.1 第1の歯車
3.1.1 案内スロット
3.1.2 回転軸線
3.1.3 リング
3.1.3.1 一方向クラッチ手段のフック
3.1.4 盤
3.1.4.1 案内スロット
3.1.4.2 (一方向クラッチ手段の)対応する駆動肩部
3.1.5 (一方向クラッチ手段の)駆動肩部
3.2 カム
3.2.1 ピン
3.2.2 (一方向クラッチ手段の)フック
4 第2の可動子(ヨーク可動子)
4.1 第2の歯車
4.2 回動軸
4.3 アンロック駆動ヨーク
4.4 フィーラ
4.4.1 小車輪
4.5 駆動フィンガ
4.6 付勢バネ
4.7 ヒンジ手段
5 アンロック駆動バネ
6 保持手段