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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】情報システムおよび情報管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20231129BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G06Q50/04
G05B19/418 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019114634
(22)【出願日】2019-06-20
(65)【公開番号】P2021002138
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 仁志
(72)【発明者】
【氏名】宮本 啓生
(72)【発明者】
【氏名】朱 韵成
(72)【発明者】
【氏名】井上 育美
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-285061(JP,A)
【文献】特開2004-227184(JP,A)
【文献】特開2013-246529(JP,A)
【文献】特開2011-248695(JP,A)
【文献】特開2005-332270(JP,A)
【文献】特開平06-165230(JP,A)
【文献】特開平05-061877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが読み出し可能な記憶部を備え、
前記記憶部は、業務の実施に関する情報と、前記業務の品質事象に関する情報と、前記品質事象に関する分析過程の情報を関連付けて保持し、
前記業務の実施に関する情報は、前記業務を特定する業務情報と、前記業務に関係する業務関連情報を含み、
前記業務の実施に関する情報の検索条件を入力する検索部と、
前記検索部に入力された検索条件に応じて、前記業務情報と、前記業務関連情報と、前記業務情報または前記業務関連情報に関連付けられた品質事象とを抽出して表示または提供する提供部と、
前記品質事象の要因の調査結果を入力する入力部とを備え、
前記入力部には、前記提供部が表示または提供した前記業務情報または前記業務関連情報が前記品質事象の要因であるか否かの判断結果および判断理由の情報が入力され、
前記提供部が表示または提供した前記業務情報または前記業務関連情報と、前記入力部に入力された前記品質事象の要因であるか否かの判断結果および判断理由と、前記品質事象の識別情報とを関連付けて記録する、情報システム。
【請求項2】
前記記憶部にアクセス可能なプロセッサをさらに備え、
前記プロセッサは、検索条件に応じて、前記業務の実施に関する情報と、前記業務の実施に関する情報に関連付けられた業務の品質事象に関する情報とを抽出して表示させる請求項1に記載の情報システム。
【請求項3】
前記品質事象に関する情報は、前記品質事象に関係する業務情報または業務関連情報と関連付けられるか、または前記品質事象の要因に関係する業務情報または業務関連情報と関連付けられる請求項1に記載の情報システム。
【請求項4】
前記業務関連情報は、前記業務情報に関連付けられた作業員情報、機械情報、部品情報および作業手順情報の少なくともいずれか1つを含む請求項1に記載の情報システム。
【請求項5】
前記品質事象に関する情報は、
前記業務に対する苦情の情報、前記業務に対する問い合わせの情報および前記業務において発生した不具合の情報の少なくともいずれか1つを含み、
前記品質事象の要因と関係する業務関連情報と関連付けられる請求項1に記載の情報システム。
【請求項6】
前記品質事象に関する情報は、
前記業務に対するまたは前記業務に関係する変更措置の情報を含み、
前記変更措置に関係する業務情報または業務関連情報と関連付けられる請求項1に記載の情報システム。
【請求項7】
前記品質事象に関する情報は、前記業務に対する苦情の情報、前記業務に対する問い合わせの情報および前記業務において発生した不具合の情報の少なくともいずれか1つを含み、
前記苦情、前記問い合わせまたは前記不具合によって前記変更措置が実施された場合に、前記変更措置と、前記苦情、前記問い合わせまたは前記不具合を関連付けて記憶する請求項6に記載の情報システム。
【請求項8】
前記変更措置の情報は、第1業務に対するまたは前記第1業務に関係する第1変更措置の情報と、前記第1変更措置によって、第2業務に対してまたは前記第2業務に関係して実施された第2変更措置の情報とを含み、
前記第1変更措置に関連付けられた業務情報または業務関連情報と、前記第2変更措置に関連付けられた業務情報または業務関連情報とを関連付けて表示する請求項6に記載の情報システム。
【請求項9】
前記業務情報は、前記業務を識別する第1識別情報を有し、
前記業務関連情報は、前記業務の実施に関係する対象を識別する第2識別情報を有し、
前記品質事象に関する情報は、前記第1識別情報または前記第2識別情報に基づいて、前記品質事象に関係する業務情報または業務関連情報と関連付けられるか、または前記品質事象の要因に関係する業務情報または業務関連情報と関連付けられる請求項1に記載の情報システム。
【請求項10】
前記品質事象に関する情報は、前記品質事象に関係する業務情報または業務関連情報の情報要素として関連付けられるか、または前記品質事象の要因に関係する業務情報または業務関連情報の情報要素として関連付けられる請求項1に記載の情報システム。
【請求項11】
前記業務情報、前記業務関連情報および前記品質事象に関する情報は、同一の記憶装置に記録され、
前記業務情報、業務関連情報および前記品質事象に関する情報は、それぞれ情報要素として定義され、
前記業務情報または前記業務関連情報と前記品質事象に関する情報との関連付けは、前記情報要素間を接続線で接続することで実施する請求項1に記載の情報システム。
【請求項12】
コンピュータが読み出し可能な記憶部と、前記記憶部にアクセス可能なプロセッサを備える情報管理方法であって、
前記記憶部は、業務の実施に関する情報と、前記業務の品質事象に関する情報と、前記品質事象に関する分析過程の情報を関連付けて保持し、
前記業務の実施に関する情報は、前記業務を特定する業務情報と、前記業務に関係する業務関連情報を含み、
前記プロセッサは、前記業務の実施に関する情報の検索条件を入力し、
前記プロセッサは、前記入力された検索条件に応じて、前記業務情報と、前記業務関連情報と、前記業務情報または前記業務関連情報に関連付けられた品質事象とを抽出して表示または提供し、
前記プロセッサには、前記表示または提供した前記業務情報または前記業務関連情報が前記品質事象の要因であるか否かの判断結果および判断理由の情報が入力され、
前記プロセッサは、前記表示または提供した前記業務情報または前記業務関連情報と、前記入力された前記品質事象の要因であるか否かの判断結果および判断理由と、前記品質事象の識別情報とを関連付けて記録する、情報管理方法。
【請求項13】
前記プロセッサは、検索条件に応じて、前記業務の実施に関する情報と、前記業務の実施に関する情報に関連付けられた品質事象に関する情報とを抽出して表示させる、請求項12に記載の情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報システムおよび情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造業およびサービス業などの各種の業態においては、多数の業務を一連の業務の流れとして実施することで、製品およびサービスを提供している。例えば、製造業における工場およびオフィスなどにおける製造プロセスを構成する各業務では、業務の完了または所定の事象の発生を契機として現場データが発生および収集されている。現場作業者は、この現場データを分析することで、各業務での作業効率を最適化している。
【0003】
一方、各業務を管理する部門が異なると、部門間での情報共有が難しくなり、部門または業務をまたぐ問題については改善が進まない状況にある。部門または業務をまたぐ問題の改善が進まない原因の一つとして、各部門において業務の管理に用いるシステムがそれぞれ異なり、管理体系が統一されていないことが考えられる。
【0004】
また、各部門では、収集された現場データを分析することで、部門内での作業効率の最適化が進んでいることから、一連の製造プロセスの全体最適を求めると、自部門の効率が悪くなる可能性があり、部門評価を下げるような結果を生む可能性がある。しかし、製造業においては、大量生産方式から少量多品種生産方式に進み、製造プロセス全体の生産効率を高めるためには、各部門の連携が必要不可欠である。
【0005】
他方、製造プロセスにおいて発生する現場データ以外に、製品に対する苦情、不良品、製造過程で発生した不具合または逸脱行為などの品質事象データがある。例えば、品質管理部門は、製品の苦情が発生した場合には、当該製品の製造記録である現場データを収集し、苦情が発生した要因を分析するとともに、特定した要因に対する是正措置を検討する。
【0006】
特許文献1には、「部品受入、生産、出荷及び市場の各プロセスで行う検査工程の検査項目と、その検査に関連して発生する品質不良情報の項目とを統一したコードとしてコードマスターDBに予め登録し、部品用バーコードラベルと製品用バーコードラベルとに、部品固有の部品IDと製品固有の製品IDとをそれぞれ関連付けて記録し、このバーコードラベルを部品毎及び製品毎に貼付し、各プロセス毎に、部品IDまたは製品IDを読み取り、検査結果及び品質不良情報を入力して各DBに記憶することで、製品毎の品質履歴を管理する」品質管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-233652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された品質管理システムでは、品質不良の要因を特定した結果のみが管理されているため、同様の事象が発生した場合でも、過去に同様の要因分析を実施した経験がある技術者または要因分析に熟練した技術者以外には要因の特定が困難となる可能性がある。
【0009】
また、不良の対象となった製品よりも前の製品の製造時に実施された変更措置が品質に影響を及ぼしている場合もあるが、特許文献1に開示された品質管理システムでは、ある製品IDと関連する品質事象以外の品質事象を検索することが容易ではなく、品質事象の要因分析が長期化する可能性があった。
【0010】
製造業における製品製造の業務プロセスに限らず、製品、商品またはサービスなどを提供する物流業、小売業またはサービス業などのその他の業種においても、複数の業務から構成される一連の業務プロセスの結果として共通した課題が発生することがある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その目的は、品質事象の要因分析の効率性を向上させることが可能な情報システムおよび情報管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、第1の観点に係る情報システムは、コンピュータが読み出し可能な記憶部を備え、前記記憶部は、業務の実施に関する情報と、前記業務の品質事象に関する情報と、前記品質事象に関する分析過程の情報を関連付けて保持する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、品質事象の要因分析の効率性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る情報システムが適用されるネットワーク環境の構成例を示すブロック図である。
図2図1の情報システムの機能的な構成例を示すブロック図である。
図3】関連性データのデータ構造と関連性データと品質事象管理データとの関係性の例を示す図である。
図4図3の関連性データの定義情報の構造の一例を説明する図である。
図5図3の苦情情報の一例を示す図である。
図6図3の逸脱情報の一例を示す図である。
図7図3の変更情報の一例を示す図である。
図8図1の情報システムが、関連性データと品質事象データを関連付けて抽出し、分析用データを提供するまでの動作手順の例を示す図である。
図9図1の情報システムが、品質事象の根本原因を分析し、分析情報を登録するまでの動作手順の例を示す図である。
図10図2の品質事象管理データ蓄積部に登録される要因分析結果の例を示す図である。
図11】品質事象データを確認し、現場データを選択および抽出する分析画面の例を示す図である。
図12】確認した現場データを基に、品質事象の要因分析の過程と結果を登録する画面の例を示す図である。
図13】登録された要因分析過程の情報と過去の品質事象を検索し抽出する画面の例を示す図である。
図14図1の情報システムが品質事象を検索する動作手順の例を示す図である。
図15】第2実施形態に係る情報システムが製造記録と品質事象管理データを異なる蓄積部にて管理する場合の品質事象の検索手順の例を示す図である。
図16】第3実施形態に係る情報システムが品質事象管理データを関連性データの定義情報の拡張情報として管理する場合の品質事象の検索手順の例を示す図である。
図17】第4実施形態に係る情報システムが品質事象管理データを関連性データのノードとして定義して管理する場合の品質事象の検索手順の例を示す図である。
図18図1の情報システムのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
図1は、第1実施形態に係る情報システムが適用されるネットワーク環境の構成例を示すブロック図である。
図1において、情報システム1は、ネットワーク2に接続されている。また、ネットワーク2には、製造記録に相当する現場データを収集または発生させる複数のデータ発生装置5a、5b、5c(以下、データ発生装置5a、5b、5cを特に区別しない場合には、単にデータ発生装置5と表記する)と、マスタデータ蓄積部3と、製造記録である現場データを蓄積する現場データ蓄積部4とが接続されている。
【0017】
また、ネットワーク2には、製品の苦情および変更措置などの品質事象データを入力する品質事象入力装置7と、品質事象データを蓄積する品質事象データ蓄積部6が接続されている。これらのデータ発生装置5と、マスタデータ蓄積部3と、現場データ蓄積部4と、品質事象データ蓄積部6とは、ネットワーク2を介して情報システム1に接続されている。
【0018】
データ発生装置5は、例えば、作業員の作業ログを取得するバーコードリーダ、作業ログを収集するPC(Personal Computer)またはサーバ(例えば、データ発生装置5a)であってもよいし、部品の加工または完成品の組み立てを行う機械(例えば、データ発生装置5b)であってもよいし、部品または完成品に付されたRFID(Radio Frequency IDentifier)の検査情報を収集するセンサ(例えば、データ発生装置5c)であってもよい。これらのデータ発生装置5で収集または発生した現場データは、ネットワーク2を介して、情報システム1、マスタデータ蓄積部3、または現場データ蓄積部4に送信される。
【0019】
マスタデータ蓄積部3は、例えば、サーバまたはメモリなどの記憶装置であり、どのような情報を現場データ蓄積部4などに蓄積するのかを定義するモデルを蓄積する。このモデルをマスタデータとも言う。つまり、マスタデータ蓄積部3で定義されるマスタデータ(モデル)を変更することで、データ発生装置5からどのような現場データ(収集する情報の種類)を収集するのかを変更することができる。このマスタデータ蓄積部3のマスタデータは、外部装置(図示せず)を介して設定または変更することができる。
【0020】
現場データ蓄積部4は、例えば、サーバまたはメモリなどの記憶装置であり、マスタデータ蓄積部3のマスタデータで定義された情報を含む現場データを蓄積する。現場データ蓄積部4には、例えば、識別情報、発生日時および実測値などの現場データが蓄積される。
【0021】
品質事象入力装置7は、コールセンター、営業部門または品質管理部門などで受け付けた製品に対する苦情または問い合わせの情報などの品質事象データを入力するPCまたはサーバなどである。その他にも、現場作業者または品質管理部門が、製造段階での不具合(逸脱と呼ばれることもある)の情報、苦情または不具合などの是正措置として実施される変更措置の情報、生産性改善またはメンテナンスなどのために実施される変更措置の情報なども入力される。品質事象入力装置7は、各々の品質事象に対して異なる装置であってもよい。
【0022】
また、品質事象入力装置7は、上述した品質事象を登録し、要因分析依頼を送付し、要因分析結果を登録し承認するなどの品質事象に関する一連のワークフローを管理する管理システムなどであってもよい。品質事象入力装置7にて入力された品質事象データは、ネットワーク2を介して、品質事象データ蓄積部6に送信される。
【0023】
品質事象データ蓄積部6は、例えば、サーバまたはメモリなどの記憶装置であり、品質事象入力装置7経由で入力された品質事象データを蓄積する。
【0024】
情報システム1は、業務の実施に関する情報と、業務の品質事象に関する情報と、品質事象に関する分析過程の情報を関連付けて保持する。この業務は、例えば、製造業における製造プロセスにおいて、一連の流れとして実施される業務である。この業務は、物流業、小売業またはサービス業などの業務プロセスにおいて、一連の流れとして実施される業務であってもよい。
【0025】
業務の実施に関する情報は、例えば、業務の実施に関する実施記録である。業務の実施に関する実施記録は、業務の実施に関する業務情報を備える。業務の実施に関する実施記録は、業務の実施に関する業務情報とともに、その業務に関係する業務関連情報を備えるようにしてもよい。業務関連情報は、業務の実施に関係する物、人および手順などの情報である。例えば、業務関連情報は、業務情報に関連付けられた作業員情報、機械情報、部品情報および作業手順情報である。
【0026】
品質事象に関する情報は、例えば、製造段階で発生した逸脱、製品の苦情およびその原因、その是正措置として実施された変更措置または生産性改善のための変更措置などの情報である。
【0027】
品質事象に関する情報は、品質事象に関係する業務情報または業務関連情報と関連付けられてもよいし、品質事象の要因に関係する業務情報または業務関連情報と関連付けられてもよい。品質事象に関する情報は、品質事象に関係する業務情報または業務関連情報の情報要素として関連付けられてもよいし、品質事象の要因に関係する業務情報または業務関連情報の情報要素として関連付けられてもよい。業務情報、業務関連情報および品質事象に関する情報は、それぞれ情報要素として定義されてもよい。
【0028】
品質事象に関する分析過程の情報は、例えば、品質事象に関して検索された業務の実施に関する情報の検索履歴である。品質事象に関する分析過程の情報は、例えば、品質事象の発生の要因の特定に至った過程の情報を示す。品質事象に関する分析過程の情報は、業務情報または業務関連情報が品質事象の要因であるか否かの判断結果および判断理由の情報を含んでいてもよい。
【0029】
ここで、情報システム1は、業務の実施に関する情報と、業務の品質事象に関する情報と、品質事象に関する分析過程の情報を関連付けて保持することにより、製造記録および品質事象データを基に特定された品質事象の要因と、その要因の特定に至るまでに確認した製造記録またはその要因の特定に至った理由とを関連付けて抽出および表示することができる。このため、過去に同様の要因分析を実施した経験がある技術者または要因分析に熟練した技術者以外であっても、製品苦情などの品質事象の要因分析を迅速化することができる。
【0030】
さらに、情報システム1は、ある製品IDと関連する品質事象以外の品質事象の検索を容易化することができ、不良の対象となった製品よりも前の製品の製造時に実施された変更措置が品質に影響を及ぼしている場合においても、品質事象の要因分析の長期化を防止することができる。
【0031】
以下、情報システム1が有する主な機能を説明する。情報システム1は、情報システム1の全体制御を行う中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)、情報システム1の制御を行う各制御プログラムなどを記憶する記憶装置(Read Only Memory:ROM)、CPUにより処理された情報を一時的に記憶する一次記憶装置(Random Access Memory:RAM)およびハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)を備える。CPUが、ROMに記憶された各制御プログラムを実行することで、以下の機能が実現される。
【0032】
図2は、図1の情報システムの機能的な構成例を示すブロック図である。
図2において、情報システム1は、関連性データモデル作成部10と、関連性データ登録部11と、関連性データ検索部12と、蓄積データ取得部13と、分析用データ蓄積部14と、関連性データ蓄積部15と、データ提供API(Application Programming Interface)部16と、対照データ定義部17と、一時蓄積部18と、品質事象管理データ取得部19と、品質事象管理データ蓄積部20とを有する。
【0033】
情報システム1は、ネットワーク2を介して、現場データ蓄積部4、データ発生装置5、マスタデータ蓄積部3、品質事象データ蓄積部6および辞書データベース21に接続されている。関連性データモデル作成部10および関連性データ検索部12は、ユーザインタフェース9に接続されている。ユーザインタフェース9は、情報システム1で処理した結果の情報を表示する表示環境をユーザに提供したり、関連性データモデル作成部10または関連性データ検索部12に所定の情報を入力する入力環境をユーザに提供したりする。
【0034】
分析用データ蓄積部14およびデータ提供API部16は、情報システム1で処理した結果の情報を、情報システム1の外部のアプリケーション8に提供する。
【0035】
関連性データモデル作成部10は、ユーザインタフェース9から入力されたモデルデータに基づいて、マスタデータ蓄積部3からモデルデータに対応するマスタデータを読み出し、図4の定義情報300を作成する。この関連性データモデル作成部10で作成された定義情報300は、所定のデータ構造を有し、関連性データ登録部11がどのようなデータ構造で現場データをデータ発生装置5から取得するかを定義する。
【0036】
関連性データ登録部11は、データ発生装置5から現場データを受信するとともに、関連性データモデル作成部10から取得した定義情報300で定義されたデータ構造に基づいて現場データを構造化する。そして、関連性データ登録部11は、定義情報300に応じて取得した現場データが業務情報、作業者、機械(または設備)、作業手順および材料(または部品)の何れの情報であるかを、現場データに付与された識別情報に基づいて判断する。
【0037】
以下、この作業者(Man)、機械(Machine)、作業手順(Method)および材料(Material)の頭文字のMを取って、これらの情報を4M情報(または4Mノード)または業務関連情報と呼ぶこともある。また、作業者、機械(または設備)、作業手順および材料(または部品)のことを略して4Mと呼ぶこともある。以下の説明では、4Mは、作業者、機械(または設備)、作業手順および材料(または部品)の少なくともいずれか1つのことを指すこともある。
【0038】
関連性データ登録部11には、対照データ定義部17が接続されている。対照データ定義部17は、関連性データ登録部11で判断された4M情報と、現場データに付与された識別情報との関係性を定義する。関連性データ登録部11は、この定義に基づいて、関連性データ登録部11で判断された4M情報と、実際に取得された現場データとを関係付ける(4M情報に現場データの識別情報をマッピングする)。関連性データ登録部11は、現場データが関係付けられた4M情報を関連性データ蓄積部15に送信する。
【0039】
さらに、関連性データ登録部11には、一時蓄積部18が接続されている。一時蓄積部18は、メモリなどの記憶装置であり、現場データに含まれる各情報(業務情報と4M情報)の接続関係を構成する(接続線を生成する)ための情報を登録する。
【0040】
蓄積データ取得部13は、関連性データ蓄積部15に蓄積された関連性データ100に基づいて、現場データ蓄積部4またはマスタデータ蓄積部3から現場データを取得する。関連性データ100は、図3に示すように、業務情報および4M情報を含む。
【0041】
関連性データ検索部12は、ユーザインタフェース9から入力された検索条件に従い、関連性データ蓄積部15および品質事象管理データ蓄積部20などから現場データおよび品質事象データを取得し、ユーザインタフェース9に表示してユーザに提示する。また、関連性データ検索部12は、ユーザインタフェース9から入力された品質事象の要因分析情報を品質事象管理データ蓄積部20に送信する。また、関連性データ検索部12は、取得した現場データおよび品質事象データを分析用データとして分析用データ蓄積部14に送信する。
【0042】
分析用データ蓄積部14は、関連性データ検索部12から送信された現場データおよび品質事象データから構成される分析用データをアプリケーション8に送信する。アプリケーション8は、分析用データ蓄積部14から送信された分析用データを用いることで、種々の分析手法を用いたデータ分析を実行する。
【0043】
データ提供API部16は、関連性データ100により関連付けられたデータをアプリケーション8に送信する。また、データ提供API部16は、品質事象管理データ蓄積部20から品質事象に関するデータを取得し、アプリケーション8に送信する。データ提供API部16は、辞書データベース21に接続されている。辞書データベース21は、各製造プロセスで使用されている4M情報の項目名の同一意味の異なる単語を関連付けて登録する。
【0044】
データ提供API部16は、辞書データベース21を参照することにより、各製造プロセス(業務)で使用されている4M情報の項目名などが製造プロセスごとに異なる場合においても、同一の単語のみならず同一意味の異なる単語も含めて、関連性データ100により関連付けられたデータを正確に取得することができる。
【0045】
品質事象管理データ取得部19は、品質事象データ蓄積部6から品質事象データ、またはその管理に必要となる識別情報および品質事象データ蓄積部6へのアクセス情報などを取得し、品質事象管理データ200として品質事象管理データ蓄積部20に格納する。
【0046】
品質事象管理データ蓄積部20は、業務の実施に関する情報と、品質事象に関する情報と、品質事象に関する分析過程の情報を関連付けて保持する。業務の実施に関する情報は、例えば、図3の関連性データ100である。品質事象に関する情報は、例えば、図3の品質事象管理データ200である。品質事象に関する分析過程の情報は、例えば、図10の調査結果の情報である。
【0047】
図3は、関連性データのデータ構造と関連性データと品質事象管理データとの関係性の例を示す図である。
図3において、図2の情報システム1は、関連性データ100のデータ構造と品質事象管理データ200のデータ構造および関連性データ100と品質事象管理データ200との関係性を管理する。関連性データ100は、関連性データ蓄積部15に蓄積されているデータである。品質事象管理データ200は、品質事象管理データ蓄積部20に蓄積されているデータである。
【0048】
関連性データ100のデータ構造は、各製造プロセスにおける様々な装置(データ発生装置5)から発生する現場データを関連付けることで、所定の業務(製造プロセス)に対して、どのような作業者、機械および部品などが、どのような作業手順でどのように関連したかを表す。関連性データ100は、例えば、業務に関連付けられた業務ノード110を中心に、業務を実行するときに必要な材料に関連付けられた部品ノード120、業務を実施する作業者に関連付けられた作業者ノード130、業務を実施するために使用される機械に関連付けられた機械ノード140、部品を材料として業務を実施した結果、生成された完成品に関連付けられた完成品ノード150、業務の実施手順を定義する作業手順に関連付けられた作業手順ノード160などを含む。
【0049】
完成品ノード150に関連付けられた完成品は、後工程112で使用される材料(部品)となり、部品ノード120に関連付けられた材料は、前工程111で生成された完成品である。つまり、部品ノード120に関連付けられた材料と、完成品ノード150に関連付けられた完成品とは、属性が持つ意味は同種であり、両方を特に区別しない場合には、まとめて材料ノードと呼んでもよい。また、前述したように、部品ノード120、作業者ノード130、機械ノード140、完成品ノード150および作業手順ノード160を、4M情報、4Mノードまたは業務関連情報と呼ぶ。
【0050】
情報システム1は、完成品自体に問題が発生した場合、関連性データ100により当該完成品に関連付けられている4M情報を検索することができ、所定の製造プロセス(業務)での問題に対する要因を探ることができる。
【0051】
以下の説明では、各製造プロセスにおけるデータ発生装置5で収集または発生した現場データにそれぞれ識別情報が付与されている場合を例にとる。
【0052】
情報システム1は、複数の製造プロセス(業務)に渡って、業務に対する機械および作業者などの関連性を定義する関連性データ100を蓄積することで、業務間の関連性を管理することができる。
【0053】
この関連性データ100の基本的な情報は、それぞれの情報を示す識別情報と、識別情報との間の関連性と関係したタイミング(日時、時刻)である。関連性データ100の各識別情報が示す現場データ(実データ)は、外部で管理されている現場データ蓄積部4に蓄積されている。情報システム1は、この現場データ蓄積部4に蓄積された現場データへのアクセス方法(現場データ蓄積部4にアクセスするためのメモリアドレスなど)などを管理する。
【0054】
関連性データ100は、業務ノード110および4M情報を含む。それぞれのノード間を接続する接続線は、業務を実行するために必要なものを入力とし、それらの作用によって生成された完成品を出力として、有向グラフで表すことができる。情報システム1は、このような関連性データ100を複数の業務を連ねて表現することで、一連の製造プロセスとして表示することができる。
【0055】
品質事象管理データ200は、製品または製品の製造に関わる種々の品質事象の情報を表す。品質事象管理データ200は、品質事象データ蓄積部6に格納されている品質事象データのうち、関連性データ100に関連付けられた品質事象データであってもよいし、関連性データ100に関連付けられた品質事象データにアクセスするための情報であってもよい。品質事象管理データ200は、苦情情報210、逸脱情報220および変更情報230を含む。
【0056】
苦情情報210は、製造された製品に対する苦情および問い合わせに関する情報を表す。苦情情報210は、苦情の対象となった製品を示す完成品ノード150と関連付けられる。また、苦情の要因が特定された場合には、苦情情報210は、その要因となった4Mと関係する4M情報と関連付けられる。例えば、苦情の要因が作業手順の不備であった場合には、苦情情報210と作業手順ノード160が関連付けられる。
【0057】
逸脱情報220は、標準作業手順から逸脱した作業の実施および製造段階で発生した不具合の情報などを表す。逸脱情報220は、逸脱を発生させた4Mと関係する4M情報または逸脱の要因となった4Mと関係する4M情報と関連付けられる。
【0058】
変更情報230は、4Mの変更措置に関する情報を表す。ここで、変更措置は、苦情または逸脱のような不良または不具合に起因する是正措置として実施される変更措置および生産性改善のために自発的に実施される変更措置を含む。
【0059】
変更情報230は、変更の対象となる4Mと関係する4M情報と関連付けられる。例えば、苦情の要因が特定され、その結果として、作業手順ノード160に関連付けられた作業手順の修正が実施された場合、変更情報230は、その作業手順ノード160と関連付けられる。その他の例として、原価低減のために部品の変更が実施された場合には、変更情報230は、その部品に関連付けられた部品ノード120と関連付けられる。
【0060】
苦情情報210、逸脱情報220および変更情報230などの品質事象管理データ200は、同一の業務における異なる種類の業務関連情報(すなわち、異なるMに分類される情報)と関連付けられる場合もある。また、品質事象管理データ200は、異なる業務の同一の種類または異なる種類の業務関連情報に関連付けられる場合もある。
【0061】
例えば、苦情または逸脱の要因として、同一の業務に関連する作業手順ノード160および部品ノード120などの複数の業務関連情報に関係する4Mが要因となっていた場合には、苦情情報210または逸脱情報220は、作業手順ノード160および部品ノード120などの複数の業務関連情報と関連付けられる。また、苦情または逸脱の要因が、複数の業務の作業手順ノード160に関連付けられた作業手順を要因とする場合には、苦情情報210または逸脱情報220は、複数の業務の作業手順ノード160と関連付けられる。
【0062】
同様に、ある苦情の是正措置または生産性改善のための措置など、同一の事象を起因として変更が実施される場合、変更が作業手順ノード160および機械ノード140などの複数の業務関連情報に関係する4Mに対して実施される場合または複数の業務の作業手順ノード160に関係する作業手順に対して実施される場合などは、変更情報230は、複数の業務関連情報に関連付けられる。
【0063】
また、各々の品質事象管理データ200も相互に関連付けられる。例えば、苦情または逸脱の結果として変更措置が実施された場合には、苦情情報210または逸脱情報220は、変更情報230に関連付けられる。なお、変更が苦情または逸脱の要因となっている場合に、変更情報230は、苦情情報210または逸脱情報220と関連付けられてもよい。また、逸脱が苦情の要因となっている場合に、逸脱情報220と苦情情報210が関連付けられてもよい。
【0064】
これらの品質事象管理データ200は、テーブルの形で管理され、所定の識別情報に基づいて関連性データ100と関連付けられていてもよい。各々の品質事象管理データ200は、関連性データ100のデータ要素の1つとして関連性データ100と関連付けられていてもよい。各々の品質事象管理データ200は、業務情報や4M情報と同様のノードとして定義され、接続線を用いて有効グラフの形で関連性データ100と関連付けられていてもよい。
【0065】
なお、図3では、品質事象管理データ200を業務関連情報である4M情報と関連付けた例を示したが、品質事象管理データ200を業務情報と関連付けるようにしてもよいし、品質事象管理データ200を業務情報および業務関連情報と関連付けるようにしてもよい。
【0066】
図4は、図3の関連性データの定義情報の構造の一例を説明する図である。
図4において、図2の関連性データモデル作成部10は、定義情報300を作成し保持する。定義情報300は、図3の業務ノード110の定義情報として業務情報310、作業者ノード130の定義情報として作業者情報320、部品ノード120の定義情報として部品情報330、完成品ノード150の定義情報として完成品情報340、機械ノード140の定義情報として機械情報350および作業手順ノード160の定義情報として作業手順情報360を含む。
【0067】
業務情報310は、業務識別情報311と、稼働時間情報312と、稼働データアクセス情報313と、接続情報314と、拡張情報315を含む。業務識別情報311は、業務ノード110においてどのような業務であるかを定義する識別情報であり、例えば、車両の製造プロセスにおいて、シャーシのプレス加工業務や、組立業務が一意に特定できる識別情報が設定される。この業務識別情報311は、他の業務との関連性を規定し、複数の業務を関連付ける情報を有する。また、この業務識別情報311は、稼働データアクセス情報313に基づいて現場データ蓄積部4またはマスタデータ蓄積部3から現場データ(実データ)を取得するためのキーとなる情報も含む。
【0068】
稼働時間情報312は、所定の業務を実施した時の開始時間と終了時間に関する情報が設定される。例えば、所定の業務において、部品から完成品を生成する場合において、部品の投入時間が開始時間として設定され、完成品の生成時間が終了時間として設定される。この稼働時間情報312は、作業者、部品または機械などの稼働情報を参照する場合に、時間の観点から絞り込むための情報として利用される。定義情報300は、この稼働時間情報312を有することによって、時系列以外の観点において関連付けが難しい時系列データであっても、業務を実施した時の時系列データとして関連付けてユーザに提供することができる。
【0069】
稼働データアクセス情報313は、情報システム1の外部で管理されている現場データ蓄積部4に蓄積された現場データなどにアクセスする際に利用される。具体的には、稼働データアクセス情報313は、例えば、現場データ蓄積部4またはマスタデータ蓄積部3に蓄積された現場データのメモリアドレスなどを含む。
【0070】
接続情報314は、業務ノード110と4Mノードを関連付けるための接続関係を示すFrom-Toが記載されている。
【0071】
作業者情報320は、作業者識別情報321と、作業者データアクセス情報322と、拡張情報325を含む。作業者識別情報321は、図3の作業者ノード130において業務を実施した際の担当作業者を識別するための識別子が設定される。この作業者識別情報321は、作業者データアクセス情報322に基づいて、現場データ蓄積部4またはマスタデータ蓄積部3に蓄積された作業者の作業記録(ログ)にアクセスするためのキーとして利用される。
【0072】
部品情報330は、部品識別情報331と、部品データアクセス情報332と、拡張情報335を含む。部品識別情報331は、業務で使用する材料(部品)を識別するために定義される。部品データアクセス情報332は、例えば、現場データ蓄積部4またはマスタデータ蓄積部3に蓄積された部品の材料または加工履歴などの情報にアクセスするためのメモリアドレスなどを含む。
【0073】
完成品情報340は、完成品識別情報341と、完成品データアクセス情報342と、拡張情報345を含む。完成品識別情報341は、業務で生成された完成品を識別するために定義される。完成品データアクセス情報342は、例えば、現場データ蓄積部4またはマスタデータ蓄積部3に蓄積された完成品の加工履歴などの情報にアクセスするためのメモリアドレスなどを含む。
【0074】
機械情報350は、機械識別情報351と、機械データアクセス情報352と、拡張情報355を含む。機械識別情報351は、業務で使用する機械を識別する情報が定義されている。例えば、この機械識別情報351により、業務で使用する機械がプレス機であるのか、塗装機であるのか、または組立機であるのかなどの識別ができる。機械データアクセス情報352は、例えば、現場データ蓄積部4またはマスタデータ蓄積部3に蓄積された機械などの情報にアクセスするためのメモリアドレスなどを含む。機械により業務が実施されているときの機械の稼働データをユーザが参照する場合、機械データアクセス情報352と機械識別情報351とを利用して、機械の稼働データを参照することができる。
【0075】
作業手順情報360は、作業手順識別情報361と、作業手順データアクセス情報362と、拡張情報365を含む。作業手順識別情報361は、対象の業務での作業手順書を特定する識別情報が定義される。作業手順データアクセス情報362は、情報システム1の外部で管理されている現場データ蓄積部4などに蓄積された作業手順書データにアクセスするためのキーとなるメモリアドレスなどを含む。
【0076】
拡張情報315、325、335、345、355、365は、現場データを取得する際に、検索または表示に用いる情報または利用率の高い情報などを予め選択的に記憶する記憶領域である。情報システム1は、各製造プロセスで収集または発生したそれぞれの現場データの関係性を示す関連性データ100を管理し、現場データの実データを、情報システム1の外部で管理されている現場データ蓄積部4から取得する。
【0077】
これにより、情報システム1が備える記憶装置の容量を小さくできるが、その一方で、外部で管理されている現場データの検索および取得に時間を要する場合がある。そのため、現場データの中で利用率の高い情報を、定義情報300の中に拡張情報として直接保持することで、検索および表示に必要な情報や、利用率の高い情報を迅速に取得することができる。さらに、業務または部品などの稼働情報の管理に重要な情報を拡張情報に記憶してもよい。このようにすると、製造プロセス(ライン)のフローの動作に関する分析を容易にすることができる。また、品質事象管理データ200に関する情報を拡張情報に記憶してもよい。
【0078】
上述した業務情報および4M情報の識別情報には、これらの情報で特定される業務または4Mと関連する製品の個体またはロットなどを識別する製品番号または製造番号を特定するための情報が含まれる。例えば、業務識別情報311は、当該業務が実施された製品番号、製造番号および業務自体の識別子の組み合わせから構成されてもよい。もしくは、業務情報または4M情報の識別情報と、製品番号または製造番号との対応関係を、マスタデータ蓄積部6または関連性データ蓄積部15などに別途保持し、業務または4Mの識別情報から製品番号または製造番号を抽出できるようにしてもよい。
【0079】
図5は、図3の苦情情報の一例を示す図である。
図5において、製品に対する苦情は、コールセンター、営業部門または品質管理部門などで受け付けられ、図1の品質事象入力装置7に入力され、品質事象データ蓄積部6に苦情情報210として格納される。図2の品質事象管理データ取得部19は、品質事象データ蓄積部6に格納された苦情情報210を取得し、品質事象管理データ蓄積部20に格納する。
【0080】
苦情情報210は、苦情の識別情報である苦情番号、苦情を受け付けた日時または品質事象入力装置7に入力された日時である起案日時、苦情に該当する製品の製品番号(または製品品目名)、製品の製造番号(またはロット番号)、製造日、苦情分類および苦情内容などを含む。
【0081】
図6は、図3の逸脱情報の一例を示す図である。
図6において、逸脱情報220は、製造現場の作業者または品質管理部門などが品質事象入力装置7に入力し、品質事象データ蓄積部6に格納される。図2の品質事象管理データ取得部19は、品質事象データ蓄積部6に格納された逸脱情報220を取得し、品質事象管理データ蓄積部20に格納する。
【0082】
逸脱情報220は、製造過程で発生した標準作業手順からの逸脱行為または不具合などの情報である。逸脱情報220は、逸脱情報220の識別情報である逸脱番号、発生日時、製品番号、製造番号、発生した工程、発生した4Mの情報、作業手順書のうちで逸脱が発生した手順番号、作業者の情報、逸脱内容、逸脱分類、現場作業者などが入力したコメントおよびコメントを入力した人の情報などを含む。
【0083】
図7は、図3の変更情報の一例を示す図である。
図7において、変更は、苦情または逸脱の是正措置として実施され、品質管理部門などが変更情報230として品質事象入力装置7に入力する。もしくは、変更は、生産性改善またはメンテナンスなどのために実施され、現場作業者などが変更情報230として品質事象入力装置7に入力する場合もある。品質事象入力装置7に入力された変更情報230は、品質事象データ蓄積部6に格納される。図2の品質事象管理データ取得部19は、変更情報230を取得し、品質事象管理データ蓄積部20に格納する。
【0084】
変更情報230は、変更の識別情報である変更番号、変更措置の起案日時、変更の適用日時、完了日時、変更を適用する製品番号、変更が最初に適用される製品の製造番号(またはロット番号)、変更内容の詳細などを含む。苦情または逸脱などの是正措置として変更は実施される場合には、変更情報230は、起因となった苦情番号または逸脱番号なども含む。変更措置は、ある業務(または工程)の4Mに対して実施された変更が影響を及ぼし、別の業務(または工程)の4Mも変更せざるを得ない場合がある。そのため、変更情報230の詳細は、変更の主対象となる工程、4M情報、変更内容および変更分類に加え、主対象となる変更の影響によって派生した変更の情報も含む。
【0085】
ただし、以上の品質事象管理データ200として示した情報のうち、情報の検索または表示に用いる識別子である製品番号、製造番号または日時情報などの最低限の情報以外の情報は、品質事象データ蓄積部6に格納し、品質事象管理データ200は、それぞれの品質事象データのアクセス情報を含むようにしてもよい。
【0086】
図8は、図1の情報システムが、関連性データと品質事象データを関連付けて抽出し、分析用データをユーザに提供するまでの動作手順の例を示す図である。なお、図8では、苦情の要因分析を例として説明する。要因分析を実施するために情報システムを利用するユーザは、品質管理部門などである。または、品質管理部門が各製造プロセスの製造現場に苦情の要因分析を依頼し、各製造プロセスの現場作業者から要因分析結果を収集する場合には、現場作業者がユーザとなる場合もある。
【0087】
図8の動作手順では、ユーザは、分析対象の品質事象を選択し、情報システム1は、種々の検索条件によって関連性データ100および品質事象データ200を関連付けて抽出し、ユーザは、確認すべき製造記録(すなわち現場データ)を決定し、情報システム1は、要因分析を実施するための分析用データをユーザに提供する。
【0088】
具体的には、ユーザは、ユーザインタフェース9を介して、分析の対象となる事象を選択する(S101)。例えば、ユーザは、分析の対象となる1つまたは複数の苦情の識別情報(苦情番号)などを選択または入力する。情報システム1の関連性データ検索部12は、入力された苦情の識別情報を基に、品質事象管理データ蓄積部20に格納されている苦情情報210を検索する(S102)。
【0089】
なお、関連性データ検索部12は、品質事象管理データ蓄積部20に格納されている苦情情報210から品質事象データ蓄積部6のアクセス情報を抽出し、品質事象データ蓄積部6から苦情の識別情報を基に苦情情報210を検索してもよい。この場合、品質事象データ蓄積部6は、関連性データ検索部12から受信した識別情報(苦情番号)に該当する品質事象データ(苦情情報)を抽出して情報システム1に提供する(S103)。
【0090】
情報システム1は、品質事象管理データ蓄積部20または品質事象データ蓄積部6から取得した苦情情報210をユーザインタフェース9に提供して表示させる(S104)。これによって、ユーザは、図5の苦情情報210を確認することができる。
【0091】
ユーザは、表示された苦情情報を基に、確認すべき製造記録、すなわち現場データの検索条件を決定し、ユーザインタフェースに入力する(S105)。例えば、ユーザは、検索条件として、苦情の対象となった製品の製品番号または製造番号などを指定することで、苦情の対象となった製品の一連の製造記録と、それに関連する品質事象を確認することができる。もしくは、検索条件として、ユーザは、苦情の対象となった製品が製造された日時の前後の製造期間を指定してもよい。これにより、ユーザは、苦情対象となった製品の製造状況と、その前後の製造状況とを比較したり、当該製品の製造前に実施した変更措置などを確認しながら、要因分析を実施することができる。
【0092】
次に、情報システム1の関連性データ検索部12は、入力された検索条件を基に関連性データ100の検索条件を作成し(S106)、関連性データを検索する(S107)。具体的には、入力された製品番号、製造番号または製造期間に該当する業務情報または4M情報などの関連性データ100を関連性データ蓄積部15から抽出する。例えば、関連性データ検索部12は、複数の業務と4Mから構成される一連の製造プロセス、業務情報または4M情報の識別子、ユーザインタフェース9経由で選択可能な業務情報または4M情報のデータ項目などを抽出する。
【0093】
次に、情報システム1の関連性データ検索部12は、S105で入力された検索条件およびS107で検索された関連性データ100から品質事象管理データ200の検索条件を作成し(S108)、品質事象管理データ200および品質事象データを検索する(S109)。このとき、関連性データ検索部12は、検索条件に関連する逸脱情報220または変更情報230などを検索する。品質事象データ蓄積部6は、情報システム1から受信した条件に基づき、品質事象データを提供する(S110)。
【0094】
情報システム1は、S106~S109で関連性データ蓄積部15から検索した関連性データ100、品質事象管理データ蓄積部20から取得した品質事象管理データ200および品質事象データ蓄積部6から提供された品質事象データを基に表示データを作成し、ユーザインタフェース9に提供する(S111)。ユーザインタフェース9は、S111にて提供された表示データを表示する(S112)。
【0095】
ユーザは、分析対象とする苦情の内容およびS112において表示された品質事象データを基に、苦情の要因を特定するために確認すべき業務、4Mおよびその業務または4Mに関連付けられている現場データのデータ項目を決定し、ユーザインタフェース9にて確認すべきデータ項目を選択する(S113)。
【0096】
関連性データ検索部12は、選択されたデータ項目情報とS107にて検索された関連性データの情報を基に、現場データの検索条件を作成する(S114)。そして、関連性データ検索部12は、現場データの検索条件に応じて、関連性データ蓄積部15から取得する現場データへのアクセス情報に基づき、蓄積データ取得部13を経由して、現場データ蓄積部4に蓄積されている現場データを検索する(S115)。
【0097】
現場データ蓄積部4は、蓄積データ取得部13から通知された検索条件に対応する現場データを抽出し、情報システム1の蓄積データ取得部13に提供する(S116)。情報システム1は、現場データ蓄積部4より提供された現場データと関連性データ100に基づいて分析用データを作成し、ユーザインタフェース9に提供する(S117)。
【0098】
図9は、ユーザが、品質事象の根本原因を分析し、、図1の情報システムに分析情報を登録するまでの動作手順の例を示す図である。なお、図9の動作手順は、図8の動作手順に引き続いて実施される。
図9の動作手順では、ユーザは、情報システム1からユーザインタフェース9経由にて提供された分析用データを確認し、品質事象(ここでは苦情)の根本原因を分析し、分析情報を情報システム1に登録する。
【0099】
具体的には、ユーザは、図8のS117にて情報システム1より提供された分析用データに基づき、種々の方法にて現場データを確認し、苦情の要因を分析する(S118)。例えば、ユーザは、機械の稼働データ、作業記録および作業手順書の情報などを確認し、苦情の要因となる現象(すなわち疑義)の有無を分析する。
【0100】
そして、ユーザは、その分析の実施結果をユーザインタフェース9に入力する(S119)。例えば、ユーザは、確認した現場データの疑義の有無または疑義の有無を判断した理由などを入力する。苦情の要因が特定できなかった場合には、ユーザは、その他の業務情報または4M情報あるいはその他の工程の業務情報または4M情報を確認し、S105からS119の手順を繰り返し実施する(S120)。
【0101】
苦情の根本原因となる要因が特定できた場合には、ユーザは、ユーザインタフェース9から根本原因の情報を情報システム1に入力する(S121)。ただし、根本原因が特定できなかった場合には、ユーザは、分析結果の結論となる情報を入力してもよい。すべての分析を完了した場合には、ユーザは、ユーザインタフェース9から分析結果を登録する(S122)。
【0102】
情報システム1は、ユーザインタフェース9から登録された分析結果の情報、分析された関連性データ100、現場データおよび分析の対象となった苦情情報210とを関連付けて品質事象管理データ蓄積部20に登録する(S123)。
【0103】
図10は、図2の品質事象管理データ蓄積部に登録される要因分析結果の例を示す図である。
図10において、要因分析結果は、図9の123などで品質事象管理データ蓄積部20に登録される。要因分析結果は、苦情または逸脱などの要因分析の対象となる品質事象の識別子(苦情番号または逸脱番号)、根本原因の情報、分析作業者の情報および要因の分析過程の情報を含む。
【0104】
根本原因の情報は、例えば、根本原因と判断された工程または4Mの情報および根本原因と判断した理由などを示すコメントなどを含む。
【0105】
分析過程の情報は、図8および図9に示した手順にてユーザが現場データを確認し、品質事象の発生の要因の特定に至った過程の情報である。分析過程の情報は、例えば、製造記録の検索条件、選択した製造記録(すなわち現場データ)、疑義の有無(ステータス)、疑義の有無を判断した理由などを示すコメントおよび外部のアプリケーション8などで分析した際の分析ファイル(添付ファイル)などである。
【0106】
分析を実施した単位(すなわち、図8および図9のS105からS119を実施した単位)を一つのまとまりとして、複数回の分析を実施した場合には、複数回の分析過程の情報が要因分析結果の情報に蓄積される。複数回の分析過程の情報は、例えば、調査結果No1および調査結果No2として、図2の品質事象管理データ蓄積部20に登録される。なお、複数の部門または作業者などから分析結果を収集し、その情報を基に品質管理部門または責任者などが最終的な根本原因を判断する場合には、調査結果ごとに分析作業者の情報を登録してもよい。
【0107】
図2の情報システム1は、図10の要因分析結果の情報を品質事象管理データ蓄積部20に格納し、品質事象データと、製造記録と、分析過程と、その判断理由の情報を関連付けて管理し抽出することができる。
【0108】
例えば、要因分析結果の情報は、苦情番号または逸脱番号をキーとして、図5の苦情情報210または図6の逸脱情報220と関連付けられる。さらに、苦情情報210または逸脱情報220に格納されている製品番号、製造番号および日時情報などの情報と、根本原因と判断された工程と4Mの情報をキーとして、要因分析結果の情報と、製造記録と、苦情情報210または逸脱情報220が関連付けられる。また、要因分析結果の情報は、苦情または逸脱などの品質事象の根本原因を判断した理由および根本原因の特定に至るまでの分析過程の情報を分析作業者の情報とともに含むことができる。
【0109】
そのため、各々の品質事象の要因を特定するまでに確認した製造記録および判断理由を他の分析作業者に対して共有させることができる。さらに、分析作業者ごとの分析結果の情報を統計処理したり、機械学習などによって学習することで、品質事象の要因分析のノウハウをデータ化することができる。例えば、熟練の技術者が分析した場合と、不慣れな技術者が分析した場合とで、確認しているデータの違いおよび根本原因に至るまでに実施した分析回数の違いなどを数値化することができる。
【0110】
図11は、ユーザが、品質事象データを確認し、現場データを選択および抽出する分析画面の例を示す図である。
図11において、図8のユーザインタフェース9は、S112などで分析画面40を表示する。ユーザは、分析画面40上で、検索条件に応じた品質事象データなどを確認し、製造記録である現場データを選択および抽出する。
【0111】
分析画面40は、分析対象の品質事象を表示する領域400と、検索条件を入力する領域410と、製造プロセス(業務情報と4M情報)および製造プロセスに関連付けられた品質事象を表示する領域420と、品質事象データを表示する領域430などを含む。
【0112】
領域400には、分析対象の品質事象を示す情報が表示または入力される。図11では、分析対象となる苦情番号が表示されている例を示した。例えば、ユーザが苦情番号を選択(クリック)することで、ユーザインタフェース9は、苦情番号に関連付けられている図5の苦情情報210をポップアップ画面などで表示するようにしてもよい。
【0113】
領域410には、製造記録である現場データおよびそれに関連付けられている品質事象データを検索するための検索条件が入力される。図11では、検索条件として、製品番号、製造番号および製造期間などが表示されている例を示した。
【0114】
領域420には、検索条件に入力された条件に一致する製品の一連の製造プロセスが、図3の業務と4Mの関連性データ100に基づいて表示される。図11では、製品の製造プロセスとして業務1~3の3つの業務のノードと、それぞれの業務に関連する4M情報として手順1~3、作業者1~3、機械1~3および部品1~3のノードと、最終的な製品として完成品である製品4のノードが表示されている例を示した。
【0115】
また、それぞれの業務情報または4M情報に関連付けられている品質事象データの件数が吹き出しの形で表示されている。図11では、検索条件に該当する変更が、業務1に2件、業務2に3件発生しており、検索条件に該当する逸脱が、業務1に2件、業務3に2件発生している例を示した。また、図11では、検索条件に該当した製品の別の苦情において、業務1または業務1の4Mが根本原因となった案件が1件、業務3または業務3の4Mが根本原因となった案件が2件発生している例を示した。ユーザは、図8のS113では、領域420の業務ノードや4Mノードを選択することで、業務や4Mに関連する現場データを抽出することができる。
【0116】
領域430には、領域420において吹き出しで表示された品質事象データの詳細情報が表示されている。図11では、業務1に関連する品質事象データとして、2件の変更情報230が領域431に表示され、2件の逸脱情報220が領域432に表示され、1件の苦情情報210が領域433に表示された例を示した。このとき、各々の品質事象データは、4Mの分類ごとにまとめられて領域430に表示される。
【0117】
ここで、変更情報230は、1件目の変更情報については関連苦情の情報があるが、2件目の変更情報については、関連苦情の情報がない。これは、1件目の変更情報は、苦情に対する是正措置として実施された変更であることを示し、2件目の変更情報は、生産性改善などのために実施された変更であることを示す。
【0118】
なお、領域430は、検索条件に該当したすべての業務に関連する品質事象データを表示してもよい。また、領域431~433の情報は、領域420における各々の吹き出しをクリックした際に表示されてもよいし、別の画面にポップアップ形式で表示されてもよい。
【0119】
ここで、図11では、全ての品質事象データの件数を業務ノードの周囲に表示し、4Mの分類については領域430におけるそれぞれの品質事象データの詳細の中で分類する例を示したが、各4Mノードの周囲にそれぞれの4Mに該当する品質事象データの件数を表示するようにしてもよい。
【0120】
また、図11では、領域420における吹き出しに品質事象データの件数を表示した例を示したが、その他の情報を表示してもよい。例えば、製造段階で作業者が残したコメント件数などを表示してもよい。または、現場データまたは関連性データの中から、特徴的な情報を抽出して吹き出しに表示してもよい。例えば、各業務において、作業のやり直しなどで複数回の業務が発生しているかを直感的に把握したい場合には、各業務の実施回数または通過回数(複数製品が検索条件に該当する場合には、その平均回数)を表示してもよいし、各業務にかかった時間(または平均時間)を表示してもよい。
【0121】
図11に示すように、一連の製造プロセスにおける各業務および4Mに関連する品質事象データを視覚的に表示することで、品質事象(例えば、苦情)の要因となり得る業務および4Mの類推が容易となる。例えば、苦情が発生した製品が、業務1の作業手順を変更した直後に製造された製品であることが把握できると、変更した作業手順に不備があったと類推したり、作業者が変更された作業手順に不慣れであったために、不具合が発生した可能性が高いと類推することができる。ユーザ、すなわち分析作業者は、これらの情報に基づき、最も疑わしい業務の現場データから選択し、その詳細を確認することで、根本原因にたどり着くまでの時間および工数を削減することが可能となる。
【0122】
図12は、確認した現場データを基に、品質事象の要因分析の過程と結果を登録する画面の例を示す図である。
図12において、図8のユーザインタフェース9は、図9のS119、S121またはS122などで、登録画面41を表示する。ユーザは、登録画面41上において、確認した現場データを基に、品質事象の要因分析の過程と結果を登録する。登録画面41は、図11の分析画面40と同様に、領域400、410、420を含む。また、登録画面41は、要因分析の過程を登録する領域440および要因分析の結果として特定された根本原因情報を入力する領域450を含む。
【0123】
領域440には、領域410の検索条件および領域420で選択された現場データの情報(すなわち、製造記録の検索履歴または情報システム1の活用履歴に相当する情報)が予め表示される。また、領域440には、確認した現場データから、該当する業務または4Mが品質事象の要因となっているかを調査した調査結果を入力する領域が設けられている。具体的には、調査結果を入力する領域には、品質事象の発生要因としての疑義の有無、その判断基準を入力するコメント欄および分析に用いたファイルを添付する領域などが設けられる。これらの調査結果は、例えば、工程ごとなどの単位で確認した現場データのデータ項目のまとまりごとに入力される。
【0124】
なお、ユーザが調査結果を領域440に入力するごとに、既に確認済みの現場データの業務または4Mおよびそのデータ項目が領域420において視覚的に分かるように表示してもよい。例えば、すでに確認済みの業務ノードまたは4Mノードをグレーアウトまたはハイライト表示するようにしてもよいし、各業務または4Mを選択した際に表示されるデータ項目名に色付けするようにしてもよい。これにより、ユーザは、分析過程の中で、どこまでの現場データを確認したのかを容易に把握しながら要因分析を進めることができる。
【0125】
領域450は、根本原因となった業務または4Mの情報を入力する領域と、根本原因と判断した理由などをコメントとして入力する領域を含む。ただし、根本原因となった業務または4Mの情報を入力する領域は、領域440において、分析を実施した選択データの中から選択する構成としてもよい。また、その場合に選択対象とするデータは、調査結果のうち、疑義ありと判断されたものに限定してもよい。
【0126】
また、領域450には、登録ボタン451が表示されている。登録ボタン451が押下されると、図10の一連の要因分析過程の情報および根本原因が、品質事象の識別子とともに品質事象管理データ蓄積部20に登録される。
【0127】
ただし、複数の分析作業者が品質事象の要因分析を実施し、品質管理部門または責任者などがそれらの情報を基に根本原因を判断する場合には、各々の分析作業者は、領域440の入力までを行って登録してもよいし、領域450には、それぞれの分析作業者の要因分析を実施した結論を示す情報を入力してもよい。また、同一の品質事象に対し、他の分析作業者などが既に登録した調査結果がある場合には、領域440などに表示するようにしてもよい。
【0128】
また、例えば、根本原因は、品質管理部門または責任者のみが入力できるものとし、その他の作業者は調査結果のみを入力可能とするなど、ユーザごとに入力可能な情報を制限してもよい。もしくは、品質管理部門または責任者のみが、他の分析作業者が入力した調査結果を確認できるようにするなど、ユーザごとに表示される情報を異ならせてもよい。
【0129】
図13は、登録された要因分析過程の情報と過去の品質事象を検索し抽出する画面の例を示す図である。
図13において、図8のユーザインタフェース9は、図14のS201またはS202などで、品質事象データの検索画面50を表示する。ユーザは、検索画面50上において、図12の登録画面41などで登録された要因分析過程の情報または過去に発生した苦情または変更などの品質事象データの検索作業を実施する。
【0130】
検索画面50は、例えば、品質事象の検索条件を入力する領域500、製造記録の検索条件を入力する領域510、一連の製造プロセスと業務と4Mに関連付けられた品質事象を表示する領域520、品質事象の詳細を表示する領域530などを含む。
【0131】
図13では、苦情情報の検索を実施する場合を例示した。ユーザは、領域500において、事象分類として苦情を選択または入力し、苦情情報の検索条件として、製品番号または苦情の識別子等、品質事象が起案された期間などを入力する。その他にも、ユーザは、破損または故障のような代表的な苦情分類(事象内分類)、検索の対象とする工程(業務)または4Mを入力してもよい。
【0132】
図2の情報システム1は、入力された条件を基に苦情案件を検索し、検索条件に該当する苦情案件の数を業務ごとに集計し、領域520に苦情原因の吹き出しとして表示させる。また、ユーザは、領域510において、製造記録の検索条件を入力し、製造記録の検索を実施させることもできる。情報システム1は、製造記録の検索を実施すると、製造記録の検索条件に該当する関連性データを抽出するとともに、当該製造記録に関連するその他の品質事象(変更および逸脱)などを合わせて抽出し、変更および逸脱の件数を集計し、変更および逸脱の吹き出しとして表示させる。
【0133】
情報システム1は、領域510において入力された検索条件に対しては、製造記録および関連性データのみを抽出し、領域500の検索条件に従って品質事象の検索を実施するようにしてもよい。この場合、例えば、領域500で複数の品質事象分類を選択できるようにしてもよい。
【0134】
各品質事象データの詳細は、領域530に表示される。または、ユーザが領域520の吹き出しをクリックすることで、該当する品質事象データの詳細が領域530に表示される。この際、領域531、532には、図12にて登録した苦情の要因分析過程の情報なども表示される。
【0135】
また、図7の変更情報230には、変更の主対象となる情報に加え、主対象となる変更の影響によって派生した変更の情報も含まれている。この場合、業務1の変更が主対象となり、その派生変更として業務2の変更が実施されたことを視覚的に示すために、領域520における業務1の変更情報の吹き出しと、業務2の変更情報の吹き出しとの間を矢印にて接続してもよい。このように、情報システム1は、過去の変更の関連性を視覚的に表現することで、ユーザは、変更の実施を検討する際に、どのような業務間に影響を及ぼしたかを容易に把握することができる。
【0136】
図14は、図1の情報システムが品質事象を検索する動作手順の例を示す図である。
図14において、ユーザは、図13の検索画面50などを用いて、ユーザインタフェース9経由にて品質事象データを検索する。
【0137】
具体的には、ユーザは、ユーザインタフェース9より、品質事象の検索条件や、製造記録の検索条件を入力し、検索を実施する(S201、S202、S203)。情報システム1の関連性データ検索部12は、入力された検索条件や、どの画面より入力されたかの情報などに基づき、検索シナリオを決定する(S204)。検索シナリオは、品質事象の検索条件に応じて品質事象データのみを検索する品質事象と、製造記録の検索条件に応じて製造記録とともに抽出する品質事象との分類を示す。
【0138】
例えば、図11の分析画面40における検索では、情報システム1は、製造記録の検索条件に応じて、製造記録に関連する変更情報230、逸脱情報220または苦情情報210などを検索する。
【0139】
一方、図13の検索画面50における検索では、情報システム1は、領域500に入力された品質事象の検索条件に応じて、入力された事象分類に該当する品質事象データのみを検索し、領域510に入力された製造記録の検索条件に応じて、その他の品質事象データを検索する。情報システム1は、領域500に入力された検索条件のみに応じて、品質事象データを検索するようにしてもよい。
【0140】
図2の関連性データ検索部12は、S204で決定した検索シナリオに応じて、品質事象単独での検索条件を決定し、品質事象管理データ蓄積部20を検索する(S205)。関連性データ検索部12は、必要に応じて、品質事象データ蓄積部6から品質事象データを抽出する。品質事象データ蓄積部6は、情報システム1からの通知に応じて、品質事象データを提供する(S206)。
【0141】
次に、関連性データ検索部12は、製造記録とともに抽出すべき品質事象の検索条件を決定し、関連性データ蓄積部15および品質事象管理データ蓄積部20を検索する(S207)。
【0142】
同様に、関連性データ検索部12は、必要に応じて、品質事象データ蓄積部6から品質事象データを抽出し、品質事象データ蓄積部6は、品質事象データを提供する(S208)。情報システム1は、抽出した品質事象管理データ200および品質事象データの件数を業務または4Mごとに集計し、表示データを作成してユーザインタフェース9に提供する(S209)。ユーザインタフェース9は、情報システム1から受信した表示データを表示する(S210)。
【0143】
以下、品質事象データ単独での検索または製造記録に関連付けられた品質事象データを検索する場合の情報システム1の動作手順の例を説明する。この動作手順は、品質事象管理データ200の管理方式に応じて異なるため、代表的な例を以下に説明する。
【0144】
図15は、第2実施形態に係る情報システムが製造記録と品質事象管理データを異なる蓄積部にて管理する場合の品質事象の検索手順の例を示す図である。
図15において、製造記録である現場データ、関連性データ100および品質事象管理データ200がそれぞれ異なる蓄積部にて管理されているものとする。このとき、情報システム1は、以下の手順で品質事象データを検索する。
【0145】
すなわち、情報システム1は、ユーザインタフェース9経由にてユーザが入力した検索条件を受信する(S301)。そして、情報システム1は、受信した検索条件または入力に用いられた画面に応じて、検索シナリオを決定する(S302)。具体的には、単独で検索する品質事象と、製造記録に関連して検索する品質事象とを決定する。
【0146】
次に、情報システム1は、品質事象の検索条件をキーとして、品質事象管理データ蓄積部20を検索する(S303)。ここで、品質事象の検索条件は、例えば、図13の領域500に示した品質事象の識別子、製品番号または起案日の期間などであり、図5図6図7および図10に示した品質事象管理データに含まれるいずれかの情報である。そのため、品質事象の検索では、情報システム1は、品質事象の検索条件に一致する情報が含まれる品質事象を検索すればよい。
【0147】
次に、情報システム1は、製造記録の検索条件に基づき、製造記録に関連する品質事象を検索する。この際、入力された検索条件によっては、品質事象の特定に至らない場合がある。例えば、製造記録の検索条件として、製品番号と製造期間が入力されたとする。この場合、製造プロセスの最終業務の終了日である製品の製造日と、その他の業務の実施日が異なる場合があるため、例えば、製品番号と発生日時をキーとして、図6の逸脱情報220を検索することができない。
【0148】
そこで、情報システム1は、製造記録の検索条件に製造番号が含まれるかどうかを判定する(S304)。製造記録の検索条件に製造番号が含まれる場合(S304のYes)、S307に進む。
【0149】
一方、製造記録の検索条件に製造番号が含まれない場合(S304のNo)、情報システム1は、製品番号および製造期間(すなわち製造の最終業務の終了日時)をキーとして関連性データ蓄積部15を検索する(S305)。そして、抽出された関連性データの識別情報(例えば、業務識別情報311または完成品識別情報341など)から、製造番号を抽出する(S306)。ここでは、複数の製造番号が抽出される場合もある。
【0150】
次に、情報システム1は、製品番号および製造番号をキーとして、品質事象管理データ蓄積部20から製造記録に関連付けられる品質事象を検索する(S307)。情報システム1は、S303またはS307で抽出されたそれぞれの品質事象管理データ200または品質事象データを、品質事象管理データ200に含まれる業務および4Mごとに集計し(S308)、図11図12および図13に示したように、吹き出し内の数値として作成して品質事象データの詳細とともに、表示データとしてユーザインタフェース9に提供する(S309)。
【0151】
図16は、第3実施形態に係る情報システムが品質事象管理データを関連性データの定義情報の拡張情報として管理する場合の品質事象の検索手順の例を示す図である。
図16において、情報システム1は、品質事象管理データ200を図4の関連性データ100の定義情報300の拡張情報として管理しているものとする。この場合、品質事象管理データ蓄積部20は、関連性データ蓄積部15の一部となる。例えば、苦情情報210は、苦情の対象となった製品の完成品の拡張情報345または根本原因となった4Mの拡張情報に格納される。逸脱情報220は、逸脱が発生した4Mの拡張情報に格納される。変更情報230は、変更が実施された4Mの拡張情報に格納される。このとき、情報システム1は、以下の手順で品質事象データを検索する。
【0152】
すなわち、情報システム1は、図15のS301およびS302と同様の処理を実施する(S401、S402)。次に、情報システム1は、品質事象の検索条件をキーとして、関連性データ100の拡張情報を検索する(S403)。具体的には、情報システム1は、全ての業務と4Mの関連性データ100の拡張情報の中に品質事象の検索条件に入力された情報を含むものを検索する。
【0153】
同様に、情報システム1は、製造記録の検索条件を基に関連性データ100を検索する。その際、情報システム1は、それぞれの業務または4Mの拡張情報に品質事象管理データ200を含むものを抽出する(S404)。そして、情報システム1は、図15のS308およびS309と同様に、各業務および4Mごとに各々の品質事象データの件数を集計し(S405)、詳細情報とともに表示データとしてユーザインタフェース9に提供する(S406)。
【0154】
図17は、第4実施形態に係る情報システムが品質事象管理データを関連性データのノードとして定義して管理する場合の品質事象の検索手順の例を示す図である。
図17において、情報システム1は、品質事象管理データ200を関連性データ100のノードとして定義して管理しているものとする。この場合、それぞれの品質事象は、関連性データ蓄積部6において、業務情報または4M情報と同様のノードとして定義され、品質事象管理データ200の情報は、定義情報300として管理される。そして、それぞれの品質事象が、関連する4Mノードと有向グラフとして接続される。この場合、品質事象管理データ蓄積部20は、関連性データ蓄積部15の一部であってもよい。また、関連性データ100には、品質事象の識別情報のみを格納し、その他の品質事象管理データ200へのアクセス情報として品質事象管理データ蓄積部20の情報を含んでいてもよい。このとき、情報システム1は、以下の手順で品質事象データを検索する。
【0155】
すなわち、情報システム1は、図15のS301およびS302と同様の処理を実施する(S501、S502)。次に、情報システム1は、品質事象の検索条件をキーとして、関連性データ100の品質事象のノードを検索する(S503)。
【0156】
次に、情報システム1は、製造記録の検索条件を基に関連性データ100を検索する。その際、情報システム1は、抽出した4Mノードに接続される品質事象のノードを抽出する(S504)。そして、情報システム1は、図15のS308およびS309と同様に、各業務または4Mごとに各々の品質事象データの件数を集計し(S505)、詳細情報とともに表示データとしてユーザインタフェース9に提供する(S506)。
【0157】
以上説明したように、上述した実施形態によれば、情報システム1は、製造段階で発生した不具合または逸脱の情報、製品に対する苦情情報、是正措置または生産性改善のために実施された変更情報などの品質事象の情報と製造記録とを関連付けて抽出し表示できるため、発生した不具合に対する要因の特定を迅速化できる。
【0158】
また、情報システム1は、要因の特定に至るまでに確認した製造記録(すなわち検索履歴または利用履歴)と、品質事象とその要因と、実施した変更とを関連付けて抽出し表示できるため、品質事象に対する要因分析および是正措置のノウハウを他者と共有させることができ、要因分析および処置対策の影響範囲の把握を容易化することができる。この結果、コールセンターなどで受け付けた苦情または問い合わせに対する応答を迅速化させたり、不具合への対応を迅速化させたりすることができ、生産性が改善されるなどの効果が見込める。
【0159】
図18は、図1の情報システムのハードウェア構成例を示すブロック図である。
図18において、情報システム1は、プロセッサ51、通信制御デバイス52、通信インタフェース53、主記憶デバイス54、補助記憶デバイス55および入出力インタフェース57を備える。プロセッサ51、通信制御デバイス52、通信インタフェース53、主記憶デバイス54、補助記憶デバイス55および入出力インタフェース57は、内部バス56を介して相互に接続されている。主記憶デバイス54、補助記憶デバイス55は、プロセッサ51からアクセス可能である。
【0160】
また、情報システム1の外部には、入力装置60および出力装置61が設けられている。入力装置60および出力装置61は、入出力インタフェース57を介して内部バス56に接続されている。入力装置60は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、カードリーダまたは音声入力装置などである。出力装置61は、例えば、画面表示装置(液晶モニタ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、グラフィックカードなど)、音声出力装置(スピーカなど)または印字装置などである。
【0161】
プロセッサ51は、情報システム1全体の動作制御を司るハードウェアである。プロセッサ51は、CPU(Central Processing Unit)であってもよいし、GPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。プロセッサ51は、シングルコアロセッサであってもよいし、マルチコアロセッサであってもよい。プロセッサ51は、処理の一部または全部を行うハードウェア回路(例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit))を備えていてもよい。プロセッサ51は、ニューラルネットワークを備えていてもよい。
【0162】
主記憶デバイス54は、例えば、SRAMまたはDRAMなどの半導体メモリから構成することができる。主記憶デバイス54には、プロセッサ51が実行中のプログラムを格納したり、プロセッサ51がプログラムを実行するためのワークエリアを設けたりすることができる。
【0163】
補助記憶デバイス55は、大容量の記憶容量を備える記憶デバイスであり、例えば、ハードディスク装置またはSSD(Solid State Drive)である。補助記憶デバイス55は、各種プログラムの実行ファイルやプログラムの実行に用いられるデータを保持することができる。補助記憶デバイス55には、情報管理プログラム55Aを格納することができる。情報管理プログラム55Aは、情報システム1にインストール可能なソフトウェアであってもよいし、情報システム1にファームウェアとして組み込まれていてもよい。
【0164】
通信制御デバイス52は、外部との通信を制御する機能を備えるハードウェアである。通信制御デバイス52は、通信インタフェース53を介してネットワーク59に接続される。ネットワーク59は、インターネットなどのWAN(Wide Area Network)であってもよいし、Wi-Fi(登録商標)またはイーサネット(登録商標)などのLAN(Local Area Network)であってもよいし、WANとLANが混在していてもよい。
【0165】
入出力インタフェース57は、入力装置60から入力されるデータをプロセッサ51が処理可能なデータ形式に変換したり、プロセッサ51から出力されるデータを出力装置61が処理可能なデータ形式に変換したりする。
【0166】
プロセッサ51が情報管理プログラム55Aを主記憶デバイス54に読み出し、情報管理プログラム55Aを実行することにより、業務の実施に関する情報と、業務の品質事象に関する情報と、品質事象に関して検索された業務の実施に関する情報の検索履歴を関連付けて保持し、製造記録および品質事象データを基に特定された品質事象の要因と、その要因の特定に至るまでに確認した製造記録またはその要因の特定に至った理由とを関連付けて抽出し、出力装置61に表示させることができる。この時、情報管理プログラム55Aは、図2の関連性データモデル作成部10と、関連性データ登録部11と、関連性データ検索部12と、蓄積データ取得部13と、データ提供API部16と、品質事象管理データ取得部19の機能を実現することができる。
【0167】
なお、情報管理プログラム55Aの実行は、複数のプロセッサやコンピュータに分担させてもよい。あるいは、プロセッサ51は、ネットワーク59を介してクラウドコンピュータなどに情報管理プログラム55Aの全部または一部の実行を指示し、その実行結果を受け取るようにしてもよい。
【0168】
なお、上述した実施形態では、製造工場における各製造プロセスで発生する現場データおよび製造された製品に関する品質事象データを収集および表示する場合に情報システム1を適用した例を説明したが、情報システム1は、製造工場に限らず、複数の業務から構成され、品質事象が発生する任意の業態に適用できる。
【0169】
例えば、物流業または運送業では、荷物の入荷から仕分け、保管、梱包および配送までの運搬プロセスを構成する複数の業務が存在している。そして、各業務に関連する作業手順、設備または作業者などの変更は、製造プロセスでの変更情報と同様に管理できる。また、荷物の配送に対する苦情または問い合わせなどは、苦情情報と同様に管理でき、各業務において発生した不具合は逸脱情報と同様に管理できる。
【0170】
同様に、小売業またはサービス業においても、一連の業務プロセスを業務情報および業務関連情報として定義でき、各業務での変更、不具合または苦情などを製造プロセスと同様に管理できる。そのため、情報システム1は、多様な業種の業務情報と業務関連情報と、品質事象情報とを関連付けて管理し表示することができ、その結果、多種多様な業種において、品質事象に対する要因特定の迅速化および是正措置の影響範囲の把握が可能となるとともに、要因特定に至るまでの分析ノウハウを共有できる。
【0171】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0172】
1…情報システム、4…現場データ蓄積部、5a~5c…データ発生装置、6…品質事象データ蓄積部、9…ユーザインタフェース、10…関連性データモデル作成部、11…関連性データ登録部、12…関連性データ検索部、13…蓄積データ取得部、14…分析用データ蓄積部、15…関連性データ蓄積部、16…データ提供API部、17…対照データ定義部、18…一時蓄積部、19…品質事象管理データ取得部、20…品質事象管理データ蓄積部、100…関連性データ、110…業務ノード、120…部品ノード、130…作業者ノード、140…機械ノード、150…完成品ノード、160…作業手順ノード、200…品質事象管理データ、210…苦情情報、220…逸脱情報、230…変更情報、300…定義情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18