(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】飲料製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 2/42 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
A23L2/00 N
(21)【出願番号】P 2019123929
(22)【出願日】2019-07-02
【審査請求日】2022-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】中島 宏章
(72)【発明者】
【氏名】大學 康宏
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-080067(JP,A)
【文献】特開2004-154083(JP,A)
【文献】特開2000-001500(JP,A)
【文献】特開平01-252274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料が充填された密閉容器が加熱室に配置された状態で前記密閉容器の温度制御および前記加熱室の圧力制御を並行して実施する処理工程を含み、
前記温度制御は、前記密閉容器を加熱する加熱工程および前記密閉容器を冷却する冷却工程を含み、
前記圧力制御は、前記冷却工程において前記加熱室の圧力が前記密閉容器の圧力よりも高い圧縮状態が存在するようになされ、
前記圧力制御は、前記加熱室の圧力を上昇させる昇圧工程、前記昇圧工程の後に前記加熱室の圧力を300kPa以上かつ500kPa以下の範囲内に維持する圧力維持工程、および、前記圧力維持工程の後に前記加熱室の圧力を降下させる降圧工程を含み、
前記圧力維持工程の実施中に前記冷却工程が開始されることによって前記圧縮状態が引き起こされ、
前記飲料として炭酸飲料が充填された密閉容器に対する前記処理工程と、前記飲料として非炭酸飲料が充填された密閉容器に対する前記処理工程とにおいて、同一条件で前記圧力制御が実施される、
ことを特徴とする飲料製造方法。
【請求項2】
飲料が充填された密閉容器が加熱室に配置された状態で前記密閉容器の温度制御および前記加熱室の圧力制御を並行して実施する処理工程を含み、
前記温度制御は、前記密閉容器を加熱する加熱工程および前記密閉容器を冷却する冷却工程を含み、
前記圧力制御は、前記冷却工程において前記加熱室の圧力が前記密閉容器の圧力よりも高い圧縮状態が存在するようになされ、
前記圧力制御は、前記加熱室の圧力を上昇させる昇圧工程、前記昇圧工程の後に前記加熱室の圧力を300kPa以上かつ500kPa以下の範囲内に維持する圧力維持工程、および、前記圧力維持工程の後に前記加熱室の圧力を降下させる降圧工程を含み、
前記圧力維持工程の実施中に前記冷却工程が開始されることによって前記圧縮状態が引き起こされる、
ことを特徴とする飲料製造方法。
【請求項3】
前記圧力維持工程では、前記加熱室の圧力を400kPa以上かつ500kPa以下の範囲内の圧力に維持する
、
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の飲料製造方法。
【請求項4】
前記圧力維持工程では、前記加熱室の圧力を400kPa以上かつ450kPa以下の範囲内の圧力に維持する
、
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の飲料製造方法。
【請求項5】
前記圧縮状態は、前記加熱室の圧力変動が±20kPa以内である第1状態を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の飲料製造方法。
【請求項6】
前記第1状態では、前記加熱室の圧力と前記密閉容器の圧力との差が0kPa以上かつ50kPa以下の範囲内に維持される、
ことを特徴とする請求項5に記載の飲料製造方法。
【請求項7】
前記圧縮状態は、前記第1状態に次いで、前記加熱室の圧力の降下に追従して前記密閉容器の圧力が降下する第2状態を含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の飲料製造方法。
【請求項8】
前記圧力制御は、前記圧縮状態の後に、前記加熱室の圧力が前記密閉容器の圧力よりも低い非圧縮状態に移行するようになされる、
ことを特徴とする請求項7に記載の飲料製造方法。
【請求項9】
前記圧力制御は、前記第1状態が1分以上かつ10分以下の範囲内の時間にわたって継続するようになされる、
ことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の飲料製造方法。
【請求項10】
前記圧力制御は、前記加熱工程において前記密閉容器の圧力が前記加熱室の圧力よりも高い非圧縮状態が存在するようになされる、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の飲料製造方法。
【請求項11】
前記圧縮状態は、前記加熱室の圧力変動が±20kPa以内である第1状態と、前記第1状態に次いで、前記加熱室の圧力が降下するとともに、その降下に追従して前記密閉容器の圧力が降下する第2状態と、を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至
10のいずれか1項に記載の飲料製造方法。
【請求項12】
前記飲料として第1のガスボリュームの飲料が充填された密閉容器に対する前記処理工程と、前記飲料として前記第1のガスボリュームとは異なる第2のガスボリュームの飲料が充填された密閉容器に対する前記処理工程とにおいて、同一条件で前記圧力制御が実施される、
ことを特徴とする請求項1乃至
11のいずれか1項に記載の飲料製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料は、それが充填された容器が密閉された後に加熱処理がなされうる。加熱処理は、例えば、殺菌を目的としてなされうる。飲料が炭酸飲料である場合、それが充填された密閉容器が加熱されると、飲料から放出される炭酸ガスによって密閉容器の圧力が上昇する。密閉容器の圧力が耐圧を超えると、密閉容器が破損しうる。
【0003】
特許文献1には、飲料が充填され密閉された容器を加熱室に配置し、容器の圧力から加熱室の圧力を減算した圧力差がゼロより大きく且つ容器の限界圧よりも小さいように加熱室の圧力および温度を制御しながら飲料を殺菌する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された方法では、容器の圧力から加熱室の圧力を減算した圧力差がゼロより大きく且つ容器の限界圧よりも小さいという条件を満たしながら加熱室の圧力および温度を制御する必要がある。したがって、例えば、飲料に与えるべき温度プロファイル(経過時間と飲料に与える温度との関係を示すプロファイル)が互いに異なる種々の飲料が存在する場合において、処理対象の飲料に応じて圧力プロファイル(経過時間と加熱室の圧力との関係を示すプロファイル)を変更する必要がある。
【0006】
本発明は、種々の飲料の製造に適した飲料製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面は、飲料製造方法に係り、前記飲料製造方法は、飲料が充填された密閉容器が加熱室に配置された状態で前記密閉容器の温度制御および前記加熱室の圧力制御を並行して実施する処理工程を含み、前記温度制御は、前記密閉容器を加熱する加熱工程および前記密閉容器を冷却する冷却工程を含み、前記圧力制御は、前記冷却工程において前記加熱室の圧力が前記密閉容器の圧力よりも高い圧縮状態が存在するようになされ、前記圧力制御は、前記加熱室の圧力を上昇させる昇圧工程、前記昇圧工程の後に前記加熱室の圧力を300kPa以上かつ500kPa以下の範囲内に維持する圧力維持工程、および、前記圧力維持工程の後に前記加熱室の圧力を降下させる降圧工程を含み、前記圧力維持工程の実施中に前記冷却工程が開始されることによって前記圧縮状態が引き起こされ、前記飲料として炭酸飲料が充填された密閉容器に対する前記処理工程と、前記飲料として非炭酸飲料が充填された密閉容器に対する前記処理工程とにおいて、同一条件で前記圧力制御が実施される。
本発明の第2の側面は、飲料製造方法に係り、前記飲料製造方法は、飲料が充填された密閉容器が加熱室に配置された状態で前記密閉容器の温度制御および前記加熱室の圧力制御を並行して実施する処理工程を含み、前記温度制御は、前記密閉容器を加熱する加熱工程および前記密閉容器を冷却する冷却工程を含み、前記圧力制御は、前記冷却工程において前記加熱室の圧力が前記密閉容器の圧力よりも高い圧縮状態が存在するようになされ、前記圧力制御は、前記加熱室の圧力を上昇させる昇圧工程、前記昇圧工程の後に前記加熱室の圧力を300kPa以上かつ500kPa以下の範囲内に維持する圧力維持工程、および、前記圧力維持工程の後に前記加熱室の圧力を降下させる降圧工程を含み、前記圧力維持工程の実施中に前記冷却工程が開始されることによって前記圧縮状態が引き起こされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、種々の飲料の製造に適した飲料製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態の飲料製造方法において使用されうる加熱装置の構成を示す図。
【
図2】密閉容器(加熱室)の温度制御および加熱室の圧力制御を例示する図。
【
図3】
図2に示された温度制御および圧力制御を実施したときの実測結果を示す図。
【
図4】密閉容器(加熱室)の温度制御および加熱室の圧力制御を例示する図。
【
図5】密閉容器(加熱室)の温度制御および加熱室の圧力制御を例示する図。
【
図6】密閉容器(加熱室)の温度制御および加熱室の圧力制御を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
図1には、本発明の一実施形態の飲料製造方法において使用されうる加熱装置100の構成が模式的に示されている。加熱装置100は、飲料が充填された密閉容器1を収容する加熱室10と、加熱室10の温度を制御することによって密閉容器1の温度を制御する温度制御部20と、加熱室10の圧力を制御する圧力制御部30と、温度制御部20および圧力制御部30を制御する主制御部40とを備えうる。温度制御部20は、例えば、加熱室10内の上部に設けられたシャワーヘッドから温度制御された水を吹き出し、加熱室10内の下部に設けられた回収槽から水を回収し再びシャワーヘッドに供給する循環系と、該循環系に配置された熱交換器と、該熱交換器を制御するコントローラとを備えうる。圧力制御部30は、例えば、加熱室10に対して加圧された空気を供給する供給部と、加熱室10から空気を排出する排出部と、該供給部および該排出部を制御するコントローラとを備えうる。
【0012】
主制御部40は、飲料が充填された密閉容器1が加熱室10に配置された状態で密閉容器1の温度制御および加熱室10の圧力制御が並行して実施されるように温度制御部20および圧力制御部30を制御する。主制御部40は、例えば、経過時間と目標温度との関係を示す温度プロファイルを温度制御部20のコントローラに提供するように構成され、温度制御部20のコントローラは、該温度プロファイルに従って熱交換器を制御することによって加熱室10の温度を制御し、これによって密閉容器1の温度制御を行いうる。また、主制御部40は、例えば、経過時間と目標圧力との関係を示す圧力プロファイルを圧力制御部30のコントローラに提供するように構成され、圧力制御部30のコントローラは、該圧力プロファイルに従って供給部および排出部を制御することによって加熱室10の圧力を制御しうる。温度制御部20のコントローラおよび圧力制御部30のコントローラは、主制御部40に組み込まれてもよい。なお、密閉容器1の温度制御および加熱室10内の圧力制御は、このような例に限定されるものでなく、種々の方法が採用されうる。
【0013】
密閉容器1は、例えば、開放容器に飲料を充填した後に該開放容器をシーマー等によって密閉することによって製造されうる。密閉容器1は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、スチール等の金属で構成された金属缶でありうるが、ガラス、プラスチック、紙等の他の材料で構成された容器であってもよい。金属缶は、例えば、ツーピース缶またはスリーピース缶でありうる。飲料は、炭酸飲料または非炭酸飲料でありうる。他の観点では、飲料は、炭酸ガスのガスボリュームが0~5の範囲内の飲料でありうる。容器1は、支持プレート12に支持され、加熱室10内に配置されうる。ここで、炭酸ガスのガスボリュームは、液体に溶解している炭酸ガスを該液体から完全に抜き出したときの該炭酸ガスの20℃、1気圧における体積V1を、該炭酸ガスが完全に抜き出された該液体の体積V2で割った値(V1/V2)である。
【0014】
図2には、主制御部40によって制御される密閉容器1(加熱室10)の温度制御および加熱室10の圧力制御が例示されている。密閉容器1に充填された飲料は、ガスボリューム(GV)が2.7の飲料である。
図2および以降で参照する
図3~
図5において、「容器の温度」は、密閉容器1の温度であり、これは、例えば、加熱室10内に設けられた不図示の温度センサによって検出されうる。該温度センサは、加熱室10内の所定位置の温度を検出することによって密閉容器1の温度を検出してもよいし、密閉容器1の温度を直接に検出してもよい。
図2~
図5において、「加熱室の圧力」は、加熱室10の圧力(加熱室10の内部空間の圧力)であり、「容器の圧力」は、容器1の圧力(容器1の内部空間の圧力)である。なお、飲料が充填された製品の包装容器としての密閉容器1の圧力を検出することはできないので、容器1の圧力は、容器1の温度から換算されうる。この換算には、密閉容器1のサンプルを用いた実測またはシミュレーション等の結果が利用されうる。
【0015】
主制御部40によって制御される飲料製造方法あるいは加熱処理方法は、
図2に例示されるように、飲料が充填された密閉容器1が加熱室10に配置された状態で密閉容器1の温度制御および加熱室10の圧力制御を並行して実施する処理工程を含み、該処理工程は、主制御部40によって制御される。該温度制御は、密閉容器10を加熱する加熱工程および密閉容器1を冷却する冷却工程を含みうる。
【0016】
図2に例示されるように、加熱室10の圧力制御は、冷却工程において加熱室10の圧力が密閉容器1の圧力よりも高い状態(即ち、密閉容器1が圧縮される状態)が存在するように加熱室10の圧力を制御する工程を含みうる。以下、加熱室10の圧力が密閉容器1の圧力よりも高い状態を圧縮状態という。一例において、加熱室10の圧力制御は、冷却工程中のある期間において、加熱室10の圧力Phが密閉容器1の圧力Pcよりも高い状態(即ち圧縮状態)となり、その後の他の期間において、PhがPcよりも低い状態(即ち非圧縮状態)となるように実施されうる。
【0017】
冷却工程中に圧縮状態が存在する本実施形態の圧力制御は、特許文献1に記載された圧力制御とは対照的である。特許文献1に記載された圧力制御に従うならば、加熱室10の圧力を常に密閉容器1の圧力よりも小さい圧力に制御することが条件とされる。このような条件は、例えば、ある飲料に対して要求される密閉容器1の温度プロファイルに対して最適化された加熱室10の圧力プロファイルを他の温度プロファイルが要求される飲料に対して適用することを制限しうる。
【0018】
一方、本実施形態の圧力制御では、冷却工程中に圧縮状態が存在し、更に、加熱工程中に圧縮工程が存在してもよい。このような圧力プロファイルであれば、種々の飲料(あるいは、種々の温度プロファイル)に対して同じ圧力プロファイルを採用することができる。例えば、炭酸飲料が充填された密閉容器1に対する処理工程と、非炭酸飲料が充填された密閉容器1に対する処理工程とにおいて、同一条件(同一の圧力プロファイル)で圧力制御が実施されうる。あるいは、第1のガスボリュームの飲料が充填された密閉容器1に対する処理工程と、第1のガスボリュームとは異なる第2のガスボリュームの飲料が充填された密閉容器1に対する処理工程とにおいて、同一条件(同一の圧力プロファイル)で圧力制御が実施されうる。
【0019】
冷却工程における圧縮状態では、加熱室10の圧力Phと密閉容器1の圧力Pcとの差Pd=(Ph-Pc)が0kPa以上かつ50kPa以下の範囲内、好ましくは0kPa以上かつ20kPa以下の範囲内、更に好ましくは0kPa以上かつ10kPaの範囲内に維持されうる。ここで、冷却工程における圧縮状態では、密閉容器10の容積が減少するように密閉容器10が変形し、これにより、冷却による密閉容器10の圧力(炭酸ガス圧)の減少が相殺され、Pd=(Ph-Pc)が0kPa以上かつ20kPa以下の範囲内、好ましくは0kPa以上かつ10kPaの範囲内に維持されうる。Pdは、変形している密閉容器10の復元力に相当する。
【0020】
加熱室10の圧力制御は、加熱室10の圧力を300kPa以上かつ500kPa以下の範囲内の圧力、好ましくは400kPa以上かつ500kPa以下の範囲内の圧力、更に好ましくは400kPa以上かつ450kPa以下の範囲内の圧力に維持する工程を含みうる。このような条件は、種々のガスボリュームの飲料に対して同一の圧力プロファイルを提供するために有利である。
【0021】
冷却工程における圧縮状態は、加熱室10の圧力変動が±20kPa以内である第1状態を含みうる。ここで、第1状態では、加熱室10の圧力と密閉容器1の圧力との差が0kPa以上かつ20kPa以下の範囲内、好ましくは0kPa以上かつ10kPaの範囲内に維持されうる。冷却工程における圧縮状態は、第1状態に次いで、加熱室10の圧力の降下に追従して密閉容器1の圧力が降下する第2状態を含みうる。また、冷却工程における圧力制御は、圧縮状態の後に、加熱室10の圧力が密閉容器1の圧力よりも低い非圧縮状態(
図2において、「第2非圧縮状態」)に移行するように加熱室10の圧力を制御する工程を含みうる。
【0022】
主制御部40は、第1状態が1分以上かつ10分以下の範囲内の時間にわたって継続するように圧力制御を実施しうる。主制御部40は、加熱工程において密閉容器10の圧力が加熱室1の圧力よりも高い非圧縮状態(
図2において、「第1非圧縮状態」)が存在するように圧力制御を実施してもよい。圧力制御は、加熱室10の圧力を上昇させる昇圧工程、昇圧工程の後に加熱室10の圧力を所定範囲内に維持する圧力維持工程、および、圧力維持工程の後に加熱室10の圧力を降下させる降圧工程を含みうる。ここで、圧力維持工程の実施中に冷却工程が開始されることによって冷却工程において圧縮状態が引き起こされうる。
【0023】
図3には、
図2に示された温度制御および圧力制御を実施したときの実測結果が示されている。密閉容器1に充填された飲料は、ガスボリュームが2.7の飲料である。実測においても、冷却工程における圧縮状態が第1状態と、それに続く第2状態とを含むことが確認された。
【0024】
図4には、
図2の例とは異なる飲料および温度プロファイルの採用例が示されている。なお、加熱室10の圧力を制御するための圧力プロファイルは、
図2に示された圧力プロファイルと同じである。密閉容器1に充填された飲料は、ガスボリュームが1.5の飲料である。
図4の例では、加熱工程および冷却工程の双方に圧縮状態となる期間が存在する。
【0025】
図5には、
図2、
図4の例とは異なる飲料および温度プロファイルの採用例が示されている。なお、加熱室10の圧力を制御するための圧力プロファイルは、
図2に示された圧力プロファイルと同じである。密閉容器1に充填された飲料は、ガスボリュームが3.0の飲料である。
【0026】
図6には、
図2、
図4、
図5の例とは異なる飲料および温度プロファイルの採用例が示されている。なお、加熱室10の圧力を制御するための圧力プロファイルは、
図2、
図4、
図5に示された圧力プロファイルと同じである。密閉容器1に充填された飲料は、ガスボリュームが0の飲料である。
【0027】
以上のように、本実施形態によれば、種々の飲料および種々の温度プロファイルに対して共通の圧力プロファイルを採用することができる。種々の飲料および種々の温度プロファイルに応じて圧力プロファイルを変更する必要がある場合、加熱装置100の設定ミス等によって誤った圧力プロファイルで加熱処理がなされ、それによって密閉容器の破損等の問題が引き起こされうるが、本実施形態は、このような問題を解消するために有利である。
【0028】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0029】
1:密閉容器、10:加熱室、12:支持プレート、20:温度制御部、30:圧力制御部、40:主制御部、100:加熱装置